勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国は、「戦狼外交」でやりたい放題の振る舞いを続けてきた。それが「強国」中国に与えられた当然の権利と錯覚してきたのだ。しかし、中国経済の未来が決して明るくないことに気付くにしたがい、米国の強力な包囲網に落込んでいることを自覚し始めたようである。

     

    だが、すでに時遅しである。中国は、人権弾圧国というイメージが強まることで、「価値外交」が前面に出て来ている。その好例は欧州である。これまでは、経済重視で新疆ウイグル族弾圧に目を向けなかった。だが、香港の民主主義を蹂躙した「国家安全維持法」が成立して以来、欧州の中国観は「友好」から「警戒」へと大きく転換している。

     


    最近、中国の台湾侵攻の噂が飛び交い始めてから、欧州は「台湾防衛」へと視点が移っている。万一、中国が台湾侵攻に踏み切った場合、まとまって軍事行動に参加しないまでも、それ以外の海上封鎖などで協力する姿勢になってきた。台湾の「第二の香港」化阻止という共通認識が生まれつつある。

     

    中国が、ここ1~2年の間にとって来た強硬策は、ことごとく裏目に出ている。米国バイデン政権は、この中国の「敵失」をうまく利用している。これまで聞き慣れなかった「価値外交」という言葉が、先進国の共通認識に変わったのだ。

     

    『朝鮮日報』(12月4日付)は、「中国シンクタンク『米国の圧力に対抗して韓国などと協力を強化すべき』」と題する記事を掲載した。

     

    中国のシンクタンクが「中国は米国の圧力に対抗し、韓国・日本などのアジアおよびヨーロッパのパートナーたちと可能なあらゆる協力を強化すべきだ」と助言した。

     

    (1)「香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』(SCMP)が3日に伝えたところによると、中国人民大学重陽金融研究所は12月1日に出した報告書で、「中国に対抗して西方戦線構築に集中している米国の圧力に対応し、中国はアジア・太平洋、欧州のパートナーたちと可能なあらゆる協力を追求しなければならない」と主張した」

     

    米国が、なぜ中国に対抗する姿勢を強めているか。その原因をつくったのは中国である。米国覇権に挑戦するという、「中国製造2025」がその発端であった。あそこまで赤裸々に、米国打倒を示せば、米国が反発して防御姿勢を取るのは当然である。習氏は、自らの「永久政権」を目指す布石として打ったはずが、米国を敵に回す結果を招いた。米中対決を決定的にしたのは、2020年6月の「香港国家安全維持法」導入である。中英協定による「一国二制度」を破棄したので、EU(欧州連合)も従来の中国観を変えざるを得なかった。

     

    こうして、「中国はアジア・太平洋、欧州のパートナーたちと可能なあらゆる協力を追求しなければならない」という道を、中国自らが閉ざして「敵対関係」に持込んだのである。

     


    (2)「重陽金融研究所はまた、「中国は米国への依存度を減らすため、世界のあらゆる地域で貿易と投資を強化しなければならない」「中国に対する米国の抑制と圧力は変わらず、特に先端技術を封鎖して民主国家理念を掲げ、中国を『小さな円』の中に閉じ込めようとする動きは変わらないだろう」と展望した」

     

    中国が、米国覇権に挑戦する姿勢を明らかにした以上、中国の最大の弱点である先端技術を封鎖するのは当然である。太平洋戦争の直前、米国は日本への経済封鎖でABCDラインを敷いて対抗した。A(米国)、B(英国)、C(中国)、D(オランダ)が、日本経済の生命線である石油禁輸策に出たのである。現代では、先端技術がこれに相当する。

     

    中国封じ込めへは、日米欧の世界3極構造がスクラムを組む。その素地は、今年のG7首脳会談で決まった。台湾問題が、G7の共同声明に盛り込まれたからだ。

     


    (3)「重陽研究所は、バイデン政権は中国抑制のために同盟を団結させることにおいて「トランプ政権よりも進んでいる」と指摘した。「中国は欧州との貿易規模を、米国との貿易規模より少なくとも10%は大きい状態を維持しなければならず、欧州議会が保留した中国・欧州連合包括的投資協定批准がなされるように努力しなければならない」と強調した」

     

    下線部は、7年越しの交渉で昨年の年末に署名した。あとは、批准だが欧州議会が棚上げしている。EUは、新疆ウイグル族弾圧に関わった中国高官を罰すると通告したことに中国が反発。中国は逆に、EU関係者を罰すると発表したので、EUが反発し前記の批准手続きの棚上げをした。批准期限は2022年末まで。結局、批准されずに葬られるであろう。中国にとっては、大きな痛手に違いない。

     

    (4)「重陽研究所はその中でも半導体・航空受信機・産業ロボットなどの分野で韓国・日本・ヨーロッパと緊密な協力を推進すべきだと提案した。重陽研究所のホ・ウェイウォン上級研究員は「我々の戦略は米中ばかりに焦点を当てるのではなく、国際的な範囲で米中両国間の貿易関係をよりよく扱うことだ」「米国との経済・貿易紛争で自信を持つため、我々はアジアの隣国、ヨーロッパ、そして一帯一路(陸上・海上シルクロード)国家との協力を強化しなければならない」と強調した」

     

    下線部は、中国の生命線である。戦前の日本が、ABCDラインで封じ込められたように、今度は中国がその包囲網に閉じ込められるのだ。中国の技術構造は、先端技術に弱点を抱えている。中国による台湾侵攻リスクや尖閣諸島への圧力増大を考えれば、日欧が先端技術で中国を支援することなど「白昼夢」である。中国は、自らの外交戦略を反省することだ。

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    韓国は、反日不買運動が2019年7月から始まった。文大統領は、「二度と日本に負けない」と国民に向かって啖呵を切った。あれから2年経過して、反日ムードはどうなったか。日本企業では、韓国へ進出したユニクロが反日不買の標的にされた。ユニクロ東京本社の幹部が、「反日不買運動は、すぐに鎮まる」と発言。韓国国民をさらに激昂させた。その見せしめにと、ユニクロが火あぶりにされたのだ。

     

    そのユニクロは、昨年の業績が急回復した。皮肉にも、ユニクロ東京本社幹部の見通しが的中したのである。「熱し易きは冷め易し」で、韓国の国民性を表す好例が見られたと言えよう。

     


    『中央日報』(12月3日付)は、「今はもう『YES JAPAN』? ユニクロ完全復活…884億ウォン赤字→529億ウォン黒字」と題する記事を掲載した。

     

    2019年に始まった日本製品不買運動、いわゆる「NO JAPAN(ノージャパン)」で大きな打撃を受けたユニクロが韓国で黒字転換に成功した。

    (1)「12月2日、韓国金融監督院によると、韓国でユニクロを運営する、エフアールエルコリアの2020年9月1日から今年8月31日までの営業利益は529億ウォン(約51億円)と集計された。前会計年度884億ウォンの赤字から大幅に黒字に転換した。売上額は5824億ウォンで前年に比べて7.5%減少したが、当期純利益も473億ウォンで純赤字が994億ウォンに達した2019年に比べると劇的なターンアラウンドを見せた」

    赤字が一年で黒字に転換したのは、経営合理化努力によるものだろう。売上高は、まだ7.5%の減少であるから、徹底したコストダウンと好採算商品の販売に成功したと言えよう。

     


    (2)「これに先立って「NO JAPAN」運動の影響で構造調整と費用削減に乗り出したユニクロは韓国で50カ所を超える店舗を閉めた。この過程でアジアの代表的な店舗の一つだった明洞(ミョンドン)店をはじめ、江南(カンナム)店、弘大(ホンデ)店なども閉店に追い込まれた。ユニクロは世界的デザイナーやブランドと共同作業したコラボ製品で韓国人の心をつかみ直すために引き続き努力した。今年10月、名品アウトドアブランドのホワイトマウンテニアリングとコラボレーションして発売したコレクションをはじめ、デザイナーのジル・サンダーとの「+J」コレクション、セオリーとのコラボコレクションなどが人気を呼んで完売事態が起きたこともある」

     

    ユニクロの商品戦略は、世界的なデザイナーを起用することと、経営が米国流であることだ。経営トップの柳井正氏は学生時代、ろくに勉強しなかったという。だが、社会人になってドラッカー経営学を徹底的に学び、本人から直接学ぶ「生きた学問」をした経営者である。その点が異色であり、大きな強みになっている。

     

    (3)「ユニクロは、最近1年余りで新規店舗をオープンして再び売り場拡大に乗り出している。今年11月5日、釜山(プサン)に沙下(サハ)店を開店したことに続き、12日には釜山ロッテ百貨店センタムシティ店にも再オープンした」

     

    ユニクロは、機あらずと見ればすぐに撤退して傷を深くしないことだ。チャンスがめぐってきたと見れば進む。機動的経営である。このユニクロ式経営から見れば、韓国製造業は、日本製造業との関係強化に力を入れたいと強い希望を持っている。技術と資本の両面で、韓国企業は日本企業との関係が深い。文政権は、こういう事実関係を全く知らず、反日不買運動を行なってきた。

     

    『聯合ニュース』(11月29日付)は、「日本との経済協力『必要』92.6%、関係改善には悲観的見通し=韓国」と題する記事を掲載した。

     

    大韓商工会議所が11月11~15日、国内の輸出入企業202社を対象に日本との経済協力の必要性に関する世論調査を実施した結果、回答企業の92.6%が「必要」とし、「必要性を感じない」との答えは7.4%にすぎなかった。

     

    (4)「両国の関係改善の見通しについては、「現在の困難が続くと思う」(80.7%)と「もっと悪くなると思う」(6.4%)との悲観的な回答が大半を占めた。「徐々によくなると思う」との楽観的な見通しは12.9%にすぎなかった」

     

    日韓関係は、改善見通しが付かないとする見方が8割もある。改善方向と見るのは1割強に過ぎない。極めて、悲観的である。韓国で次期政権が進歩派であれば、改善期待は持てないだろう。

     


    (5)「両国の協力を妨げる最も大きな障害に関しては「歴史問題」との回答が42.1%で最多だった。次いで、「新型コロナウイルスの再拡大など対外環境の悪化」(15.3%)、「輸出規制など両国の貿易摩擦」(12.9%)、「相互けん制・競争意識の高まり」(10.4%)、「両国国民意識の悪化」(9.9%)などだった」

     

    韓国が、歴史問題を国内で解決する方向になれば、日韓関係は雪解けムードになろう。だが、日本へ謝罪しろとか、賠償せよと言う従来通りの主張であれば、両国関係は凍結したままだ。日本は、外交的に韓国を切実に必要としなくなっているからだ。

     

    (6)「企業の問題解消のための政策支援課題としては、「外交正常化」と「物流支援」(それぞれ25.5%)、「協力課題発掘」(12.3%)、「民間交流の活性化支援」(11%)などと続いた。大韓商工会議所のカン・ソクグ国際通商本部長は、「外交対立と新型コロナで二重苦に見舞われている両国の企業は今後、世界の供給網(サプライチェーン)再編にも対応しなければならない難題に直面している」として、「民間経済界から韓日協力の基盤を修復し、協力課題を発掘して交流するよう努力する必要がある」と述べた」

     

    韓国は、中国との関係が悪化すれば、日本へ接近する気持ちになろう。現状では、まだ日本と対抗して困らせてやれという復讐心に燃えている。その意識が消えない限り、日本へ接近しないはずだ。

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    韓国は、11月から日本と張り合って「ウィズコロナ」へ踏み切ったが大混乱に陥っている。政府は、11月29日に特別防疫対策を発表し、「すべての感染者は自宅に留まり、必要な場合にのみ入院治療を受けるようにする」というお粗末な事態だ。

     

    自宅療養を原則とし、住居環境が感染患者に不適であることや、小児・障害者・70歳以上などケアが必要な場合にのみ入院治療するというもの。これが、最近まで「K防疫モデル」と自慢していた韓国の実情である。12月3日の新規感染者は5000人近かった。重症者数は3日連続で700人を超え、またもや過去最多となっている。こういう医療崩壊は、すでに11月初旬に予知されていたのである。

     


    英国オックスフォード大学が発表した、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)厳格度指数によれば、韓国の防疫強度が主要20カ国・地域(G20)で最下位水準という研究結果が発表されていた。
    厳格度指数は、各国の新型コロナ対応水準を分析したもの。集会人員や大衆利用施設営業など9つの分野の防疫措置を評価している。点数が高いほど防疫度が高いということを意味する。

    韓国は、100点満点中39.35点だ(11月8日集計)。低評価の理由は、11月1日から首都圏10人、非首都圏12人まで私的な集まりを許容している。レストランやカフェは24時間営業することができる。遊興施設は夜12時まで運営する代わりに防疫パス(接種証明・陰性確認制)を適用中という規制緩和を行なった。こういう「ウィズコロナ」が、すべて裏目に出たのである。

     

    『朝鮮日報』(12月3日付)は、「未曾有の『複合ショック』、韓国のウィズコロナはグロッキー状態」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「一日新規感染者が連日5000人を上回り、重症者も過去最多の733人(12月2日午前0時時点)まで達するや、医療現場から相次いで悲鳴が上がっている。中央事故収拾本部によると、1日午後5時時点のソウル市内の病床使用率は90.1%、仁川市は88.6%、京畿道は85.5%だった。首都圏に近い忠清道の病床も既に満床だ。最も重症の患者が入院している「ビッグ5」病院(5大病院)でも、残っているのは9床(使用率94.6%)だけだ。病床待機患者は915人、このうち四日間以上待っている患者は377人(41.2%)に達する」

     

    ソウル市内の5大病院は、重症患者用のベッドがあと9床(使用率94.6%)しかないのだ。病床待機患者は、915人もいる。まさに、医療崩壊が起こっている。

     


    (2)「それにもかかわらず、当局が12月中旬までに追加確保することにしている1300床のうち、重症者用は50床、準重症者用は190床だけだ。ソウル市も同日、「新型コロナ緊急対策」を発表し、重症者用病床を52床用意するという。それでも、年内に確保できる重症者用病床は約100床にしかならない。しかも今は「二重の危機」に見舞われている。現在の感染者のほとんどはデルタ変異株の感染者だが、これより感染力が強いオミクロン変異株の感染者が国内で既に6人確認されている。デルタ株とオミクロン株の「複合ショック」が迫っている状況なのだ」

     

    当局が12月中旬までに追加確保する重症者用は50床だけしかない。一方には900人を超す待機患者がいるのだ。

     

    (3)「防疫当局は来週から4週間、私的な集まりの制限人数を首都圏6人、非首都圏8人に減らし、飲食店などにも防疫パスを拡大適用する案を協議したという医療現場のあちこちからも「『ウィズコロナ(段階的な日常生活の回復)』措置はしばらく中断してほしい」という悲鳴と訴えが相次いでいる。大韓重症者医学会も「新型コロナの重症者用病床を増やすには、新型コロナでない患者の病床の縮小が避けられない状況だ」と明らかにした。医療現場は今、袋小路に入ってしまっているということだ」

     

    医療崩壊を防ぐには、「ウィズコロナ」を中断するしかない。文政権は、大統領選の思惑で中断できないのだ。医療より政治思惑の先行である。

     


    (4)「政府は最近、首都圏の病院に対して「保有病床の1~1.5%を新型コロナ患者用病床にせよ」という行政命令を繰り返し出している。しかし、新型コロナの重症者用病床はすぐに設置できるわけではない。首都圏のある大型病院の関係者は「新型コロナ患者を治療するための陰圧室を作るには設備工事が必要で、新型コロナ患者が移動する時にほかの患者と遭遇しないように移動の動線まで考慮して新たな空間を確保しなければならないため、通常は数週間かかる」「さらに、新型コロナ患者のケアをするための医療従事者を追加しなければならないが、今いるほかの重症者をケアしている医療従事者を、新型コロナ患者だけ見ろと言うこともできず、懸念している」と話した」

     

    政府の無策と政治的な思惑が絡んで、韓国の医療は危機的状況に追い込まれている。病床を増やせば、医療スタッフを増加させなければならない。そのスタッフが枯渇している。専門医が足りない事態に追い込まれている。

     

    (5)病床不足よりも急を要するのは医療従事者不足だ。政府はこのほど、首都圏の医療従事者不足を穴埋めするために公衆保健医師(農村などの公衆保健業務に携わる医師)たちを急きょ駆り出した。首都圏でない地域の公衆保健医師47人を首都圏の病床に投入したのだ。ところが、新型コロナ治療に必要な内科専門医は1人もいなかった上、皮膚科医・眼科医など重症者の治療の助けとはなりにくい分野の専門医が多数含まれていたという」

     

    首都圏で医師不足に直面し、地方の医師47人を公募したが、必要な専門医は一人もいなかったという。皮膚科や眼科の医師までかき集められている。これで、急増する重症患者へ満足な治療ができるとは思えない。これが、文政権の実態である。

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    中国は、不動産バブルが支えてきた経済である。本欄では、この点を一貫して指摘してきた。バブルで土地が値上りしない限り、中国経済は円滑に回らない仕組みになっている。

     

    かつては、アヘンが中国社会を蝕んだが、現在は不動産バブルがその役割をしている。バブルが、中国経済を正常化不能なまでに冒しているのだ。現に、地方政府は住宅価格の値下がりを禁じる布令を出し始めている。地価値下がりが、土地売却収入減となり、地方政府に欠陥財政をもたらすリスクが高まってきたのだ。いずれ、財政機能は相当に制約されるであろう。

     


    『日本経済新聞 電子版』(12月3日付)は、「中国、大都市も不動産値下げ制限 地方財政悪化に危機感」と題する記事を掲載した。

     

    中国で住宅価格の下落が広がり、大都市でも不動産市場の救済に乗り出す動きが出てきた。新築物件の値下げ幅を制限したり、不動産融資の規制を緩めたりする。マンションなどの価格が下がると、地方政府に入る用地の売却収入が減りかねないためだ。人口流出などで景気回復が遅れ気味の中小都市だけでなく、大都市も警戒感を強めている。

     

    (1)「四川省の省都、成都市は11月23日、「不動産会社と(投機を除く)住宅購入者の相応の資金需要は(満たされるよう)保障する」。不動産金融の規制緩和を発表した。開発資金の融資や住宅ローンの上限を緩め、速やかに融資を実行する。重点企業には融資期間の延長や金利負担の軽減も認める。中央政府が直轄する天津市は11月、不動産会社を集めた会議で、値下げ幅を制限するよう指示した。同市政府の関係者によると、新築物件を当局に事前に届け出た価格より15%超値引きすることを禁じる。大規模なセールを行う際も担当部局への報告を義務付けた

     


    地方政府は、住宅価格の値下がりに敏感である。土地売却収入が将来、減少する兆候であるからだ。住宅の大規模セールを行なう際には事前報告=チェックする意向を見せている。財政状態が悪化しているだけに、何とかそれを食止めたいはずである。

     

    (2)「中国メディアによると、江蘇省の省都、南京市も値引き販売をした開発業者に市場をかき乱す行為をやめるよう命じた。今年夏以降、すでに20以上の都市が値下げ制限に踏み切った。値下げ制限はこれまで、大都市に比べて経済成長の速度が鈍く、マンションの在庫が高止まりしやすい中小都市が軸だった。政府の住宅ローン規制などをうけ、住宅価格が下落する都市はこの夏、一気に増えた。中国国家統計局がまとめた主要70都市の新築マンション価格をみると、5月に前月より下がったのは5地域だけだったが、10月には52地域と10倍以上になった。2015年2月以来の多さだ」

     

    主要70都市で、新築マンション価格が値下がりしたのは、10月で52地域と4分の3にもなっている。こうなると、地方政府の土地売却収入減がそれだけ拡大する。中国は今後、急速な高齢社会へ向かうだけに、財源はいくらでも必要な時期を迎える。それだけに、土地売却収入減は打撃になる。

     


    (3)「都市の規模別でみると、中小都市で先行して価格が下がり始め、大都市にも波及しつつある傾向がわかる。成都市、天津市、南京市は省都レベルの2級都市のなかでも規模が大きい「新1級都市」と呼ばれる。新1級都市の平均価格は10月、前月比0.%の下落に転じた。北京市、上海市、広東省広州市、同省深圳市の1級都市は9月に上昇が止まった。このうち広州市と深圳市はすでに値下がりしている」

     

    下線のように、広州市と深圳市がすでに値下がりしていることは、輸出(広州市)とIT企業(深圳市)の不振を先取りした現象である。注目すべきだ。

     

    (4)「マンションの値下がりは、住宅ローンの審査厳格化で購入需要が落ち込んだことだけが理由ではない。政府の規制強化で不動産会社の資金繰りが悪化したことも影を落とす。開発する会社のほか、各社から代金でなく、不動産の現物を受け取った施工業者が現金化を急ぎ、値引き販売に拍車をかけた」

     

    施工業者は、大量のマンションを現金代わりに渡されている。そこで業者は、大幅値引き(約30%)で、現金決済を条件にしている。これが、値崩れの原因の一つだ。

     


    (5)「政府は不動産バブルが金融リスクを高めていると警戒してきた。新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んで経済の正常化を進めつつ、不動産規制を強めた。だが、中国恒大集団など不動産大手の経営が揺らぐと、金融監督当局の中国人民銀行(中央銀行)などは方針を微修正した。不動産融資の過度な絞り込みの是正を銀行に求めた」

     

    中国は、不動産金融が綱わたりである。締めすぎて不動産開発企業を苦境に追いやるのでないかと気を配っている。これが、不動産バブルの温床になっている。アヘン患者が苦しまないように、適当にアヘンを配ると同じことをやっているのだ。

     

     

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    民主主義社会では、人権尊重は基本である。だが、中国は「人権思想」そのものが存在しない。最高支配者の思いのままに罪を着せられ、社会から葬られるのだ。この中国が、世界覇権を狙っている。背筋の凍る話だ。

     

    英紙『フィナンシャル・タイムズ』(11月30日付)は、「安泰でない中国エリート、名声しのぐ共産党支配」と題する記事を掲載した。

     

    中国では富や名声、影響力があっても汚名を着せられたり行方不明になったり、もっと悪い事態に陥ったりする危険が常につきまとう。この問題は、米誌フォーブスが11年に掲載した寄稿「友人には中国の億万長者になってほしくない」も指摘している。

     


    (1)「同寄稿は、中国共産党が発行する英字紙『チャイナ・デイリー』の記事にあるデータを引用し、それまでの8年間で72人の中国の億万長者が早死にしたと記している。引用元の記事はその内訳も明らかにしており、「72人の億万長者のうち15人は殺害され、17人は自殺、7人が事故死、14人は法に従い死刑が執行され、19人が病死した」とある。以来約10年、超富裕層を取り巻く状況が改善したと思う人は、中国の実業家で今は国外で暮らすデズモンド・シャム(沈棟)氏が9月に出版した「Red Roulette(赤いルーレット)」を読むとよい」

     

    中国共産党が発行する英字紙『チャイナ・デイリー』は、2011年までの8年間に、72人の中国の億万長者が早死にしたと伝えているという。この72人の人たちの内、19人を除けば非業の死である。ゾッとする事件だ。中国社会の暗黒ぶりを示している。

     


    (2)「シャム氏と元妻でかつてのビジネスパートナーだったホイットニー・ドゥアン(段偉紅)氏は貧困から身を立て、不動産開発で富を築いた。2人は絶頂期には北京で英高級車ロールス・ロイスを乗り回し、プライベートジェットで世界を飛び回った。ドゥアン氏は中国政界の大物との人脈を利用して事業を成功させていったが、17年に拘束され、行方がわからなくなった。突然の失踪が珍しくないことはこの本を読めば明らかだ。シャム氏とドゥアン氏は北京にある空港の拡張工事を手がけていた。だが北京の空港運営会社の総経理でこのプロジェクトの重要人物の一人だった李培英氏が何の説明もないまま姿を消し、両氏のプロジェクトは暗礁に乗り上げた。李氏は後に収賄罪で起訴され死刑が執行された」

     

    このパラグラフに書かれている事柄は、民主社会では絶対に起こり得ない話である。それが、日常的に行なわれている無法社会である。

     


    (3)「元妻のドゥアン氏は、政界との重要なコネクションとして、習近平(シー・ジンピン)国家主席の後継候補ともいわれた孫政才・重慶市党委員会書記(当時)と関係を築いていた。しかし、孫氏は党籍を剝奪され、18年に収賄罪で無期懲役の判決を言い渡された。シャム氏は、孫氏は「実は政治的な目的で葬られた」と主張する。ドゥアン氏がその後逮捕されたのは、孫氏とのつながりを問題視された可能性がある。あるいは、温家宝前首相の夫人との親密な関係があだになったかもしれない。温氏が今春、新聞としてはあまり規模の大きくないマカオ紙に寄稿した母を悼む文章は、暗に習氏を批判したものとして中国内のインターネット上で閲覧制限を受けた」

     

    中国は純粋な市場社会ではない、コネを付けた者が勝ちとなる社会である。このコネは、賄賂で結ばれているので、公安が狙いを付けた人物は必ず拘束できる社会である。民主社会からみれば、想像もできない暗黒社会と言って間違いない。

     


    (4)「
    国際的な名声があっても、権力を自在に振るう現体制の下では、それが自分を守ることにはならない。中国のインターネット通販最大手、アリババ集団の創業者で中国で最も著名な実業家の馬雲(ジャック・マー)氏は20年10月、大胆にも中国の金融規制を批判して以降、公の場にほとんど姿を現していない。中国人として初めて国際刑事警察機構(ICPO)の総裁を務めた孟宏偉氏も18年、中国に一時帰国した際に拘束され、昨年収賄罪で懲役13年6月の判決を言い渡された。そもそも体制の恩恵を受けて富や権力を手にした億万長者や共産党幹部が、同体制により引きずり下ろされても同情する向きは少ないかもしれない」

     

    アリババのジャック・マー氏は、政府批判をしたばかりに「追放」の身になった。秋口に欧州へ現れたことが報じられた程度である。ビジネスの第一線から姿を消してしまった。

     


    (5)「中国の国家権力が、反体制派の弁護士やジャーナリスト、学者らを弾圧する際はもっと苛烈だ。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)の最近の報告書によると、当局は反体制活動家の家族にまでも、しばしば追及の手を伸ばしているという。中国の現体制では、政治と一切かかわらないようにしても安全を確保できるわけではない。ビジネスの世界は不透明でコネが不可欠なため、誰もがシャム氏の言うところの「グレーゾーン」に踏み込まざるを得ない。そして、そのことが贈収賄の容疑を招くリスクとなる。あらゆる組織は中国共産党の支配下にある。当局に拘束されれば有能な弁護士や気骨あるジャーナリストがどう頑張っても救い出すことはできない。中国の裁判の有罪率は99.%だ」

     

    中国の有罪率は99.%だという。公安の描くとおりの刑に処せられている。これで、「中国式社会主義」と嘯(うそぶ)いているから恐れ入るのだ。

     


    (6)「この体制の頂点に君臨する習主席は、毛沢東だけでなくレーニンやスターリンの思想も信奉する姿勢を示してきた。スターリンの下で秘密警察トップを務め大粛清を陣頭指揮したベリヤは、警察国家であらゆる個人に及ぶ危険性についてこう語った。『誰でもいいから連れてくれば、私がその人物の罪を必ず探し出す』」

     

    習氏は、権力を恣(ほしいまま)に使っている。この上、「歴史決議」によって、「終身国家主席」が約束されたようなものだ。習氏は、思いのままに国を操れてさぞやご満悦であろう。このことが、後になってどれだけ高いものに付くか。想像もできないのであろう。

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