勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    ともかく、韓国は日韓関係打開に焦っている。菅首相の返書があったというだけで喜ぶほどだ。外交儀礼上の返書で、それに特別の意味があるわけでない。韓国が、外交的に行き詰まっている証拠である。

     

    韓国では、菅首相がリアリストであるという認識も深まっている。「北東アジアの安定のために」といった抽象的なテーマで、管氏が日韓会談に応じるようなことはない。韓国が、旧徴用工賠償問題について解決案を出さない限り、日本は首脳会談を開かないだろうと見るようになっている。焦る韓国では、自らの譲歩案を用意すべし、との意見が強いのだ。

     

    『中央日報』(9月23日付)は、「韓日首脳が書簡を交わした今、『譲歩イニシアチブ』推進を」と題する記事を掲載した。

     

    この記事は、韓国の日韓問題専門家を集めた座談会記事である。出席者全員、韓国が「譲歩案」を用意しなければ、日本は首脳会談に応じないだろうと見ている点に注目したい。

     

    16日の菅義偉内閣の発足をきっかけに、ふさがった韓日関係を改善すべきだという声が高まっている。18日に開催された「韓日ビジョンフォーラム」で、出席者らは「菅首相は韓日関係を改善しようという意志があるため、我々が先に11月の韓日中首脳会議の前に水面下交渉を積極的にすべきだ」という意見をまとめた。



    (1)「菅氏は外交の門外漢でない。最長寿官房長官として国家安全保障会議を通じて主な情報を集め、韓日懸案に関する熟知度が高い。また庶民派であり、名誉に対する執着も少ない方だ。右派団体の「日本会議」に参加するが、中心人物でない。理念性向も少なくて実用的だ。韓国が主導的に対話による問題解決に取り組めば、菅氏も反応を見せる可能性がある。カギは今年末から来年初めにかけて、日本企業の差し押さえ資産の現金化が近づくのを防げるかだ

     

    菅首相についての認識は、韓国側にも相当深まっている。思想的背景で、韓国に対応しているのでなく、韓国の度の過ぎた対日要求に辟易しているという認識だ。文政権にとっては、やりにくい交渉相手であろう。単なる「反日意識=歴史認識」で立ち向かうと、ぴしゃりとやられると見ているのだ。

     

    (2)「日韓首脳会談を開催できる、前提条件は次のようなものだ。

    ▼司法的に現金化を猶予できるか

    ▼文喜相(ムン・ヒサン)案に続く尹相ヒョン(ユン・サンヒョン)案のように特別立法で強制徴用問題を解決できるか

    ▼政府が代位弁済した後に求償権を請求するのは可能か

    ▼国際法的な協議・仲裁・裁判への回付が可能か--

    これらを議論する必要がある。これらすべてが失敗する場合の危機管理対策も必要だ」

     

    以上のような4点について、韓国が国内でコンセンサスをつくる必要がある。韓国は、謝罪とか誠意などの情緒的言葉が入り込む余地のない合理的な案をまとめることだ。それができなければ、日韓首脳会談は開けない。

     

    (3)「安倍内閣の最長寿官房長官の記録を立てただけに、当分は「安倍氏のいない安倍内閣」を維持するだろう。特に菅首相は官房長官として内政だけでなく外交に関与したうえ、2015年の韓日慰安婦合意当時には安倍首相が消極的な姿勢を見せると菅氏が関与したほど韓日間の懸案をよく知っている。我々がどんな案を日本に提示するかがカギだ。菅首相こそが「韓国は度が過ぎる」と考える普通の日本人であり、草の根ナショナリズムの典型だ。日本の首相が交代したので日本が先に動いてほしいという接近はいかなる効果もない。我々が代案を作り、日本が対話に出てくるよう引き出すのがよい」


    菅首相は、安倍政権7年8ヶ月を裏で支えた官房長官であった。それだけに、日韓関係にも精通している。「日本の首相が交代したので、日本が先に動いてほしいという接近はいかなる効果もない」と見ている。文政権は多分に、日本が先に動いて欲しいという願望だろうが、それは全くの見当違いである。

    (4)「強制徴用判決は特別なものではなく、最近の大法院の判決のトレンドだ。人民革命党事件および光州(クァンジュ)民主化運動などでも被害者に慰謝料を支払うことにした。現金化は司法手続きに基づいて進行され、世論のため止まることはできない。立法を通じて解決するのが最も望ましいだろう。日本もやむを得ず交渉に応じるのではないかと考える」

    韓国では、過去の歴史事件の被疑者に慰謝料を払う流れがつくられている。旧徴用工賠償問題もその一つとして政府が慰謝料を払い、日韓問題解決に乗出すべき、としている。文大統領の「三権分立」という原則論では、問題が永久に解決しないのだ。

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    中国は、完全に米国に舐められている。米国が、中国の意に反すること行えば、必ず「対抗措置を取る」と威嚇する。それは、口先だけの中国国内向け発言である。中国は、米国を刺激しないように最大の注意を払っているからだ。

     

    中国をここまで弱気に追い込んでいるのは、習氏の外交政策がすべて失敗していることである。「香港国家安全維持法」は、中国が欧州まで敵に回す最悪事態を引き起した。香港との間に交わした「一国二制度」は、中国により今回の香港騒動で破棄された。これは、同時に中国自らが「一つの中国」を危機に陥れる結果を招いている。

     

    「一つの中国」とは、中国と外交を結べば台湾と断交せよ、という要求だ。中国と国交を結んだ国は、台湾との交流を差し控えているが、チェコ上院議長はこれを無視して99人もの大使節団を台湾に送った。中国はチェコに報復したが、チェコから購入予定のピアノ(約2500万円)をキャンセルしただけ。世界の笑いものになったほど。

     

    『人民網』(9月22日付)は、「米国務次官の台湾訪問に中国外交部『正当な対抗措置を取る』」と題する記事を掲載した。

     

    クラック米国務次官が先日台湾を訪問したことについて、中国外交部の汪報道官は21日の定例記者会見で「中国側はかねてから、米国と台湾地区のいかなる形の公的交流にも断固反対しており、必ず正当な対抗措置を講じる」と述べた。

     

    (1)「汪報道官は、「米側は最近、頑としてアザー厚生長官、クラック国務次官を相次いで台湾地区に派遣した。これは『一つの中国』原則と中米間の3つの共同コミュニケの規定に深刻に違反するものであり、中国側に対する政治的挑発であり、『台湾独立』分離勢力の気炎を助長し、中米関係と台湾海峡の平和・安定を破壊するものであり、中国側は断固反対し、激しく非難する。中国側は関係する個人に対するものを含め、必ず正当な対抗措置を講じる。

     

    米国は、先のアザー厚生長官の訪台に続き、クラック国務次官も訪台させるなど、米台交流を積極化させている。これは、米国内法である「台湾旅行法」(2018年3月成立)にもとづく、米台高官の相互訪問の規定による交流だ。米国の国内法ゆえに、中国は抗議できないという弱点を抱えている。中国が、「一国二制度」を破っている以上、台湾旅行法を非難できる立場にないのだ。

     

    (2)「米側のこうした行為は重大な国際・地域問題における中米の調整と協力をさらに損なうことにもなる。米側はこれに対して完全に責任を負わなければならない」とした。また、「中国側の国家の主権及び領土的一体性を守る決意は確固不動たるものであり、いかなる外部勢力による中国への内政干渉にも反対する決意は確固不動たるものであり、両岸の統一を実現する決意は確固不動たるものだ。われわれは米側に厳正に告げる。『台湾独立』は破滅への道であり、『台湾独立』の黙認と支持は失敗する運命にある。中国側の核心的利益を損ない、中国の内政に干渉するいかなる行為も中国側の力強い反撃に遭う。いかなる勢力も中国統一という歴史的潮流は阻止できない」とした」

     

    8月初めのチェコ上院議長の訪台は、EU全体に「一つの中国」を軽視する前兆を示している。王毅外相が、チェコの訪台に対して、「相応の代償を払わせる」と凄みをきかす発言をしたが、訪欧先のドイツやフランスの外相から手厳しい非難を浴びた。「人権弾圧」に関わる重大問題という認識で反撃されたのだ。EUでは、チェコに続く台湾訪問国が現れるだろう。中国は、欧州で完全に信頼を失った。

     

    中国国内からも、台湾攻撃論が批判され始めている。中国軍が、米軍の反撃で手痛い打撃を受けるという警告である。

     

    『レコードチャイナ』(5月6日付)は、「中国軍事界のタカ派人物『台湾統一急げば、中国復興の大業が犠牲になる』」と題する記事を掲載した。

     

    米国際放送局『VOA』5月5日付中国語版サイト)は、中国軍事界のタカ派人物が「台湾との統一を急げば、中国復興の大業を葬り去ることになる」との考えを示したと報じた。記事は、中国軍事界のタカ派を代表する人物とされている喬良(チアオ・リアン)氏が4日、香港紙『サウスチャイナ・モーニングポスト』の取材に対して「台湾問題は内政に属するとどんなに中国が強調したとしても、本質的にはやはり米中間の問題。台湾問題解決のカギは台湾独立勢力の処理ではなく、まず米中の力比べに決着をつけることだ」と述べたことを紹介した

     

    (3)「中国本土は総じて「台湾は中国の領土であり、台湾問題は中国の内政問題。外国には干渉する権利はない」という論法で米国の干渉に対処しているのに対し、喬氏の「台湾問題の本質は米中問題」という見方は実情に即しているとの声がウオッチャーの間で出ているとした」

     

    台湾問題は、中台問題でなく米中問題という認識は正しい。中国が台湾を攻撃すれば、米軍が台湾防衛に立ち上がるという意味だ。

     

    (4)「喬氏が、「台湾問題が中国復興の大業のすべてではない。主な内容にさえ挙がらない。復興の大業は主として14億人が幸せな生活を送ることが目的であり、台湾問題の解決もそのために道を譲らなければならない」と語るとともに、台湾問題解決のタイミングについては「誤った時期に正しいことをしても、それは誤り。米中の力比べで雌雄が決するまで、力を蓄えつつ待たなければならない」と主張し、ネット上の過激な言論に対して「複雑な外的環境を考えない、単に自信だけに頼った主張は、愛国に見えて実は『害国』となる」と戒めたことを紹介した」

     

    喬氏は、習氏が22年に来る国家主席3期目を目指す「目玉成果」として、台湾征服を考えるとすれば、大きな損害を被るという警告をしているのだ。それよりも14億人の国民の幸せを先行すべしと正論を述べている。習氏が、自らの出世欲に目が眩んで「台湾攻撃」に出れば、中国は大損害を被るという軍事的な警告を真面目に聞くべきだろう。 

     

     

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    中国は、国連で「一国主義反対」と遠回しに米国を批判するが、何よりも恐れているのはトランプの怒り爆発である。米国が、ファーウェイやティックトック(TikTok)に遠慮なく制裁を科しても、中国は口先だけで「報復」を叫ぶだけだ。いざ、米企業制裁を発表する段に躊躇するのは、さらなる制裁の嵐が降りかねないからである。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月22日付)は、「中国指導部にすれ違い、米企業ブラックリスト巡り」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府は米国のテクノロジー企業締め付けに利用可能なブラックリストの作成を急いでいる。だが当局者によると、指導部は公表をためらっており、リストの決定は米大統領選後まで待つべきだと主張する向きもある。こうした議論からは、中国政府がトランプ政権との関係を崩壊させることなく渡り合う方法を探り続けていることがうかがえる。

     

    (1)「これまでのところ、中国指導部は米政府の措置に同様の対抗措置を取ってきたが、米国以上に強い措置を講じることは避けてきた。時宜を得た反撃は時として、中国政府や同国企業に有利に働く。ドナルド・トランプ大統領が中国の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を支配下に置く動きに出て以降、中国の規制当局は新たな輸出規制を打ち出した。これによりTikTok親会社の北京字節跳動科技(バイトダンス)は、米事業の支配権や基幹技術を失う事態を回避する条件を設けることが可能になった」

     

    TikTok問題では、中国当局が「ソフト輸出規制」を打ち出したことで、完敗を免れた。中国は、米国と表だって対抗する術を捨てたようだ。これ以上の米報復に耐えられないからだ。

     


    (2)「中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)による米国製部品や技術へのアクセスを米国が禁止した直後の2019年5月、中国は初めて米企業のブラックリスト作成計画を発表した。だが20年1月の「第1段階」貿易合意の署名につながった協議に臨む中、中国政府はリストに掲載する企業や個人を指定することは控えていた。トランプ政権はメッセージ・決済アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営するテンセントホールディングスを含め、名の知れた中国企業に対する攻撃を強めており、リスト作成が急務となっている」

     

    これまでの習近平氏は、得意になって「米国と最後まで戦う」と粋がってきた。だが、その啖呵の結果、中国経済はさらに追い込まれている。「口は災いの元」で習氏は沈黙の道を選んでいる。

     

    (3)「事情に詳しい関係者によると、胡春華副首相(外国投資・貿易担当)率いる省庁間グループはここ数週間、米国が制裁の標的とする中国企業のリストに対抗する「信頼できない事業体」リストの完成に力を入れ始めた。中国商務部は19日、さらなる詳細を示し、リストの完成が近いと示唆。ブラックリスト入りした企業や個人は中国との売買や中国への投資を禁止されると述べた。ただ、具体名を公表することは再び控えた。商務省は発表文で、リストが「非常に少数の違法な外国事業体に限られる」としている」

     

    中国は、米企業への報復準備でリストを上げているが、いざ発表の段になると米国のリアクションを恐れている。この辺りに、米中関係は圧倒的に米国有利で進んでいることが分る。

     

    (4)「中国当局者は現在、いつどのようにリストを公表するか話し合っているが、米大統領選の前に公表すべきではないとの意見も出ている。習近平国家主席の下、米中関係や中国国内の経済・産業いずれにも修繕不可能なダメージを引き起こすことなく米政府に反撃する方法を練る上で、これは極めて難しいかじ取りを要する措置となる。「米企業に対する行き過ぎた措置に釣り込まれないよう、(中国は)非常に自制している」。ユーラシア・グループ(本部ニューヨーク)のグローバル技術担当責任者ポール・トリオロ氏はそう語る」

     

    中国は、米大統領選の結果を待っている。トランプ氏再選になると、この戦略は効果を上げないが、ともかく中国はこれ以上、米国を刺激することを避けている。ユーラシア・グループのトップは、中国が譲渡しない限り米中対立は解決しないと見ている。

     

    (5)「胡氏率いるチームはここ数週間、経済計画の上級機関や商務省、中国サイバー管理局(CAC)、反トラスト法(独占禁止法)規制当局など一握りの省庁に対し、リストに含める企業名を提出するよう求めている。事情を知る関係者が明らかにした。各省庁が挙げた企業が最終リストに載ることになる。これまでに省庁別リストの全てに挙がったのは米ネットワーク機器大手シスコシステムズ1社だという。ファーウェイの競合であるシスコは既に、中国国営の大手通信社など、長年の顧客数社との契約を失った」

     

    中国の上げるリストには、米ネットワーク機器大手のシスコシステムズ1社だけだという。中国が、これまで米企業の中国国内での活動を制限してきた結果だ。中国は、米国へ撃ち込む「弾」がなくなっている。

     

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    2月から3月にかけた新型コロナウイルスの猛威で、韓国もマスク不足に悩まされた。現在、マスク需給は落ち着いているが、それは政府承認の「正規マスク」の話しだ。「非正規マスク」は中国からの安値品も流入して、価格が急落している。新規参入した非正規マスク業者は、倒産必至の状態である。

     

    韓国統計では、「医薬部外品」として食品医薬品安全処の認証を受けたマスクに限定した数値だけが発表されている。食品医薬品安全処は9月22日、9月第3週(9月14-20日)のマスク総生産量を2億8452万枚と明らかにした。

     

    それによると、マスク価格もオン・オフラインでともに安定している。保健用マスク(KF94)は、オンライン販売価格が1枚あたり1149ウォン(9月10日)から1109ウォン(約100円、9月17日)に下がり、オフライン販売価格は1枚あたり1576ウォンから1578ウォンと似た水準を維持したという。『中央日報』(9月22日付)が報じた。



    一方では、産業団地工場設立情報網(ファクトリーオン)によると、韓国の「非正規」マスク工場は2月の380カ所から8月末には1090カ所と3倍近く増加して、大混戦である。ある産業団地関係者は、「京畿道地域のマスク工場は3月に3カ所にすぎなかったが現在は100カ所を超える。新型コロナ流行後に、それまでの部品工場をたたんでマスク市場に参入した中小企業が多い」という。『韓国経済新聞』(9月21日付)が報じた。

     

    政府統計に集計される「正規」マスク業者は安定しているが、「非正規」マスク業者はブームが去って、淘汰の時代を迎えている。中には、新規参入したが、生産後僅かで倒産という悲劇も生まれている。中国の「マスク狂想曲」を見るような感じだ。儒教国家の「一発屋」は、中韓共通のようだ。

     

    『韓国経済新聞』(9月21日付)は、「『雨後のタケノコ』状態の韓国マスク工場で相次ぐ休廃業」と題する記事を掲載した。


    仁川南洞(インチョン・ナムドン)産業団地近くでデンタルマスクを製造するA社が最近売りに出された。この会社は、4月にマスク製造設備を導入して稼動に入ったが、最近の1カ月は休業状態だ。この会社の代表は「マスク事業は絶対につぶれないという話を聞きノンバンクから融資を受け中国から設備まで購入して工場を作ったが、最近は売り上げがほとんどない」と話した。

    (1)「9月20日の「食品医薬品安全処」の発表によると、正規のマスク生産業者は1月末の137社から8月末には396社と2.9倍に増加した。保健用・手術用・飛沫遮断用マスク品目も1月末の1012種類から2179種類と2.2倍に増えた。9月第2週に生産されたマスクだけで2億7311万枚に達する」

     

    この統計は、「医薬部外品」として食品医薬品安全処の認証を受けたマスクに限定した数値だ。産業団地工場設立情報網(ファクトリーオン)によると、政府の認証を受けていない「非正規」マスク工場は、2月の380カ所から8月末には1090カ所と3倍近く増加した。ある産業団地関係者は「京畿道地域のマスク工場は3月に3カ所にすぎなかったが現在は100カ所を超える。新型コロナ流行後にそれまでの部品工場をたたんでマスク市場に参入した中小企業が多い」と伝えた。

     

    マスクに医療用と一般用がある。医療用は、需要先が確保されているので価格は安定している。一般用マスクは、店頭での販売に頼る。供給過剰があれば、すぐに値崩れするのは致し方ない。

     

    (2)「現在、韓国のマスク供給量(医療用・一般用)は、需要の2倍以上と分析される。業界関係者は、「全国民が1日1枚マスクを使うとしても1日の需要は3000万枚水準」と話す。だが食品医薬品安全処未認証業者を含むと1日平均生産量は8000万~9000万枚に達する。食品医薬品安全処は、認証を受けたマスク業者のうち今年廃業したのは2カ所だと明らかにした。だが未認証マスク業者を考慮すると実際に廃業したり、休業に入ったところは数十カ所に達するというのが業界の推定だ」

    医療用マスクでも、今年度に入って2つの企業が廃業した。一般用マスクを入れると、数十カ所が倒産の憂き目に遭っている。

    (3)「7月に公的マスク制度が廃止され、1500ウォンで売れた食品医薬品安全処認証マスクが最近は700~900ウォン台で販売されている点も零細業者には負担だ。あるマスク業者の営業担当者は「マスク供給過剰に最低賃金上昇など人件費負担によりマスク1枚売って残る利益は10~50ウォン水準にしかならない」と話した。「今年に入り工場を立てた業者は枯死するほかない構造」という」

     

    マスク1枚売った利益は、10ウォン(約90銭)~50ウォン(約4円50銭)水準にしかならないという。これでは、内職レベルの利益である。これからますます、マスクの乱売が活発化する勢いだ。

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    1年前、あれほど日本を罵倒した韓国が、文大統領から菅首相へ送られた就任祝賀文書に対して、菅返書があったと大喜びしている。外交慣例として、祝賀文書に返書を出すのは当然のこと。韓国は、この単純な事実に喜ぶほど、日韓関係の改善を切望しているのだ。

     

    韓国はなぜ、ここまで日本との関係改善に期待を寄せているのか。本欄は、この問題を複数回報じる過程で、その都度取り上げてきた。結論は一つ、米中対立の長期化という国際情勢急変の中で、韓国がつんぼ桟敷に置かれている不安であろう。せめて日本との関係が正常化していれば、日本の把握している国際情報を聞いて、多角的に判断できるという面もあろう。

     

    韓国は、米韓同盟という強いつながりを薄めようとしている。こういう韓国に対して、米国が腹蔵ない話しをするはずがない。中国へ筒抜けになることを警戒するからだ。その意味で米韓同盟は、信頼感の薄い「名ばかり」のものになっている。韓国は、米韓同盟の持つ重要性を認識すれば、日韓関係もスムーズに動くはずだ。要するに、韓国は謙虚な態度を取ることだ。

     


    『聯合ニュース』(9月21日付)は、「文大統領と菅首相、初のメッセージ交換は『肯定的』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国青瓦台(大統領府)は21日、菅義偉首相が19日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領からの首相就任を祝う書簡に返信を送ってきたと発表した。菅政権発足後、両国がやり取りした初めてのメッセージが肯定的な内容と評価されたことで、両首脳が行う電話会談の時期に関心が集まっている。

     

    (1)「韓国青瓦台の姜珉碩(カン・ミンソク)報道官によると、菅氏は文大統領の書簡に謝意を表し、両国が重要な隣国であることを強調した。また、菅氏は韓日が困難な問題を克服し、未来志向の両国関係を構築していくことに期待を示したという。「困難な問題」は韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた強制徴用判決を示すとみられる」

     

    菅返書が、「困難な問題を克服し」と先ず前提が置かれている。旧徴用工判決が、まさにこれを指している。菅首相は、官房長官時代から「国際法違反」と発言してきた。それが、首相になったからと言って、コロリと変わって韓国と妥協するはずがないのだ。韓国は、糠喜びしてはなるまい。

     

    (2)「文大統領は菅氏に送った書簡で、「菅首相の在任期間中に韓日関係がさらに発展するよう努力しよう」と呼び掛け、菅内閣の発足を機に関係改善に向けた意思を示した。文大統領の書簡の具体的な内容は公開されなかったが、青瓦台によると、文大統領は基本的価値と戦略的利益を共有するだけでなく、地理的・文化的に最も近い友人である日本政府といつでも向かい合って対話し、意思疎通する準備ができており、日本側の積極的な呼応を期待していると伝えた」

     

    個人間であれば、儀礼的な挨拶で会うことはある。一国を代表する首相や大統領が、懸案を抱える関係で「儀礼的会見」などあるだろうか。問題解決が前提であって、事前交渉が不可欠である。韓国はその努力をしないで、「日韓首脳会見」という上っ面だけの成果を求め、韓国世論をなだめようとしている。小手先の戦術であろう。

     

    (3)「外交関係者らは、両国の首脳が初めて交換した書簡でそれぞれを重要な隣国とし関係改善の必要性に言及したのは、良いメッセージと評価している。ある外交消息筋は「就任祝いに返信するのは相手国に対して礼を尽くす国際的慣例」としながらも、「懸案が前向きに解決するように願う雰囲気が盛り込まれた可能性もある」と話した。別の外交消息筋も両国関係が置かれた厳しい状況を考えれば、「良いメッセージ」と評価した」

     

    儀礼的な就任祝いが来れば、それに返書を出す。外交慣例である。特別の意味はないのだ。韓国は、この普通のことに対して「歓喜」するとは異常と言うほかない。

     

    (4)「文大統領と菅首相による電話会談が近い将来に行われるとの見方も出ている。菅氏は就任後、トランプ米大統領、オーストラリアのモリソン首相と電話会談した。ただ、強制徴用賠償判決とこれに対する事実上の報復である日本の対韓輸出規制など両国の懸案が山積した状況では、両国首脳の電話会談が早期に実現するのは容易ではないという慎重な見方も出ている。また菅内閣は韓国に対して強硬な姿勢を示した安倍晋三内閣の外交政策を継承するとの立場だ」

     

    中曽根首相と安倍首相(一次内閣)は、就任最初の訪問国が韓国(安倍首相は中国も同時訪問)であった。日本が、最大級の敬意を払ったのだ。日韓併合への「謝罪」という意味も含めた近隣国への配慮である。だが、韓国はその意味を正しく理解せず、自分たちが「偉い国」と錯覚したのである。日本が、韓国を見限るのには過去の長い葛藤の積み重ねがある。

     


    (5)「発足したばかりの菅内閣が、すぐに成果を見込めない韓日関係に力を注ぐよりも、新型コロナウイルス対策をはじめ、看板政策に掲げた行政のデジタル化や携帯電話料金の引き下げなどに注力するとの見方も出ている」

     

    菅首相は、国内問題の解決に最大限の努力を払っている。衆院解散という目前の問題を抱えており、内政面での実績づくりが至上課題だ。


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