勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    a0960_006628_m
       

    韓国の8月消費者物価が、前年比「-0.04%」になったことで警戒信号が出てきた。今年1月以来、「0%台」がずっと続いている中での「マイナス」である。突発的な「マイナス」でないことに要注意だ。

     

    韓国経済が、正常軌道を歩んでいるものならば、「突発的マイナス」でそれほど気にもとめる必要はない。だが、景気循環状況から判断して韓国経済はすでに「不況局面」に入っている。9月20日、韓国統計庁は正式に「不況認識」を発表せざるを得ないところへ追い込まれている。こういう現実を無視して、気休めの楽観論を流すべきではない。無責任の誹りを受けるだけだ。

     

    『中央日報』(9月16日付)は、「デフレは大げさ」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の  ナ・ヒョンチョル論説委員である。

     

    (1)「8月の消費者物価指数が104.81を記録し、104.85だった1年前より0.04%下がった。1965年に関連統計の作成を始めてから初めてのマイナスだ。通貨危機の渦中だった1999年2月に記録した0.2%以降で最も低い水準という。そうでなくても物価が今年に入って7カ月間0%の上昇率を見せていたところだ。そのためだろうか、四方からデフレの危険性を叫ぶ声が聞こえてきている」

     

    物価は、景気の体温計である。需要と供給の強弱を示している。決して、無視して言いわけがない。経済は、「傾向」で判断すべきものだ。上昇・下降の波動を描く中で、現状はどこに位置しているのか。その意味で物価は体温計であり、羅針盤の役割を果たしている。

    (2)「韓国経済のデフレリスクはまだ体感しにくい。まずデフレになるには相当期間持続して物価が下落しなければならない。通常1年以上物価が下がらなくてはならない。日本は1999年から2011年までの13年のうち11年で物価上昇率がマイナスだった。需要をあおるため大幅な量的緩和とマイナス金利を使わなければならなかった。これに比較すると1カ月物価指標がマイナスである韓国のデフレを心配するのはとても性急だ。市場に行き商品価格を昨年と比較してみるといい。ほとんどが昨年より大きく上がっているだろう。こうした状況でデフレをうんぬんするのは、いもしないオオカミが来ると大声を張り上げるヒツジ飼いの少年のようだ」

     

    消費者物価指数(CPI)は、今年1月から7月まで前年比「0%台」に止まってきた。日本の消費者物価指数も「0%台」であることをご存じであろうか。世界の「低物価王」日本と同じ状況の落込んでいる事実を知れば、韓国も安閑としてはいられまい。このコラムの筆者は、韓国の消費者心理指数が100を割って下降局面あること。特に、日韓関係の悪化している7~8月に消費者心理指数の悪化をご存じないようだ。8月のCPIが、マイナスになったことに神経を払うべきなのは、この消費者心理指数の落込みだ。

     

    (3)「 いま大韓民国はデフレを体験していない。それでも叫び声が鳴り響くのは物価そのものに対する懸念というよりは、景気鈍化で経済が冷え込む兆しが見えているのにともなう不安感だ。賢明な政府ならばこの不安感を無視してはならない。経済の半分は心理という。不安感をうまく手なずけて経済主導者の自信を高める政策が必要だ。増やした財政が経済にどれだけ戻ってくるのか、低金利状況での金利引き下げが経済にどのように助けになるのかを国民にしっかり説明する政府を期待する」
     
    下線を引いた部分は、きわめて重要なことを指摘している。物価が体温計であり羅針盤であるのは、景気自体が悪化している証拠である。物価と景気は別次元のものでない。この点を誤解しているようだ。このコラムの筆者は、
    「デフレは大げさ」というタイトルをつけたが、現在の高失業率をなんと解釈しているのか聞いて見たいと思う。

    24
       

    韓国が、日本へ病的なまでの嫌がらせを始めている。今度は、日本から輸入して、セメントの原料に使う石炭灰(石炭火力発電の灰)に基準値以上の放射能や重金属が含まれていないか、全数調査をするという。すでに、日本産海産物の放射能汚染検査を厳重に始めており、どこまでも日本と「喧嘩」をする積もりらしい。その結果が何をもたらすか。「特攻隊」と同じようなものだ。

     

    朝鮮半島の大地が発する放射能は、日本よりも高いという。韓国の市民団体は、原発を廃止し太陽光発電に移行させる思惑を秘めている。そこで、必要以上に放射能汚染恐怖症を巻き起こさなければならないのだ。

     

    ソウル大学原子力学科では、韓国市民団体の滑稽なまでの放射線恐怖症を笑っているほど。その非科学的な論拠で、原発を廃止させ市民団体が多く手がけている太陽光発電への補助金獲得の一助にしようという狙いだ。動機が,きわめて不順である。日本から輸入の石炭灰をヤリ玉に上げることは、「日本への報復」と国内の原発廃止をより確実にさせる思惑であろう。

     

    『東亜日報』(9月10日付)は、「日本産石炭灰4000トンについて初めて放射能と重金属を全数調査」と題する記事を掲載した。

     

    方環境庁の職員4人が、港に停泊していた4500トンの貨物船に上がった。韓国国内セメントメーカー、双竜(サンヨン)セメントが、日本関西電力の舞鶴火力発電所から輸入した4000トンの石炭灰が積載された船だった。原州地方環境庁の職員らは、5メートルの長さの試料採取器で貨物室に積まれた石炭灰を汲み上げた。

     

    (1)「石炭灰の表面に三回、放射線簡易測定器をつけて測定した放射線量は、平均0.22μSv(マイクロシーベルト)。石炭灰から10メートルほど離れて測定した背景濃度の平均値である0.13μSvの二倍ほどと高く出たが、通関許容基準値である1時間当たり0.μSvよりは低かった。この日の検査に参加したキム・ヒョヨン原州地方環境庁環境管理課長は、「簡易測定が終わった日本産石炭灰は、重金属や放射能精密検査のために、原子力安全研究院などに送る」とし、「精密検査を通ってこそ、セメント業者が使用できる」と説明した」

    火力用石炭は、全量が輸入であろう。日本産石炭があるわけでない。韓国は、それを承知で全数調査をするという。明らかな嫌がらせである。ありとあらゆることを穿り返して、日本へ「対決する」姿勢を鮮明にしてきた。韓国の安全保障では、米軍が日本の後方基地を利用している。そういう、重大な事態を忘れて「枝葉末節」なことで意趣返しする。子どもじみた行動を恥ずかしいと思わないだろうか。

     

    (2)「今回の検査は、環境部が先月30日、日本産石炭灰、廃バッテリーなどの輸入リサイクル廃棄物の全量に対して放射能・重金属検査を実施すると、安全対策を強化後、初めて行われたものだ。今までは、石炭灰の輸入業者が輸入届出の際、公認機関の放射能検査成績書と重金属成分分析書を提出し、通関のたびに放射線の簡易測定結果を出すだけだった。地方環境庁は、これまで四半期に一度、この書類の真偽をチェックしてきたが、今後は通関手続きを踏むたびに検査を行う。全数検査に変わったことで、2日で済んでいた通関手続きが7〜10日に伸びることになった」

     

    (3)「これまで韓国が日本産石炭灰を大量に輸入した理由は、国内セメント業界と日本の火力発電所に「ウィンウィン」だったからだ。国内セメントメーカーは、日本産石炭灰を輸入する際、処理コストとして1トン当たり5万ウォン払われるが、輸送コストなどを除いても1トン当たり1万〜2万ウォンが収益になる。日本の発電所の立場でも、自国で埋め立てる際の埋め立て負担金が1トン当たり20万ウォンであり、韓国に輸出する際のコストがより安い。昨年、韓国に輸入された日本産石炭灰は126万8000トンで、国内で使用された315万1000トンの約40%に達している」

     

    日韓での石炭灰処理は、双方にメリットのある取引である。そういう事実を知りながら、文政権は介入し始めてきた。韓国市民団体による、放射能恐怖症をまき散らす手段に使う積もりであろう。

     

    韓国セメント業界では、日本産石炭灰の輸入を強く規制すれば、セメント生産に支障が生じる可能性があるという懸念も出ているという。韓国環境部は、「セメント業界などと協議体を構成して運営したい」とし、「国内で埋立てられ、リサイクルされない石炭灰を活用する方策や石炭灰代替材の発掘などを推進したい」と明らかにしている。ゆくゆくは、日本からの石炭灰輸入を止める意思だ。日本へ対抗する意向を滲ませている。

     

     

    a0001_001082_m
       

    最近の日韓対立の中で、韓国では多くの人が「日本をもっと知るべきだ」と発言し始めているそうです。7月に発刊された、元ソウル大学教授らによる『反日種族主義』は、10万部に達するというベストセラーになっています。年内に、文藝春秋から翻訳が出るそうです。韓国左翼からはきわめて評判の悪い本ですが、日本の立場を認めていますので、ぜひ、読んで欲しいと思います。

     

    韓国は、「反日」、「排日」、侮蔑という意味での「侮日」まで、感情論で日本を排斥しています。感情論ですから、日本のことを知ろうという「理性」は働きません。日本のことに関心を持つと「親日」に間違われ不利益を被るというのが関の山です。

     


    こういう雰囲気の中で、『反日種族主義』が10万部とは破格の売れ行きでしょう。日韓の対立が深まってきた7月以降、韓国の消費者心理指数が格段の悪化傾向を強めています。韓国では過去、政治不安が消費者心理悪化に結びつき、消費減退を招いているのです。日本との対立が、一種の政治不安を醸し出しています。

     

    韓国の高学歴社会では、「日本をもっと知ろう」という動きが始まってもなんら不思議はないのです。こういう雰囲気の中で、孫一(ソン・イル)元釜山大学教授が『幕末の風雲児、榎本武揚と明治維新』を発行したそうです。期せずして、元大学教授が、韓国でポジティブな意味での日本歴史書を発行するのは不思議な気がします。

     

    現役教授の時代には、いろいろと厄介な問題がつきまとうので、引退して自由な身になってから、伸び伸びと執筆したかったのでしょう。

     

    『幕末の風雲児、榎本武揚と明治維新』は、次のような内容だそうです。『朝鮮日報』(9月15日付)が、「国の未来のため反乱軍の司令官とも手を携える」と題する寄稿を掲載しました。筆者は、朴薫(パク・フン)ソウル大学東洋史学科教授です。

     

    「(江戸)幕府は1862年、当時26歳だった俊才・榎本をオランダに留学させた。榎本は砲術、化学、蒸気機関学、国際法を猛烈に学んだ。隣国で戦争が起こったら、駆け付けて観戦することも忘れなかった。しかし1867年に日本へ戻ってからあまりたたずして、幕府は自ら政権を天皇へ渡し、「秩序を保って」退却した。榎本は幕府海軍を率い、北海道まで逃れて抵抗したが、結局は捕虜になってしまった。当然、斬首されるべきところ。しかし明治政府も、政権を「秩序を保って」引き継いだ。榎本の西洋知識を惜しんだ「敵将」黒田清隆は榎本を助けた。その後、榎本は明治政府で遂には外務大臣まで務め、才能を余すところなく還元した」

     

    ここで、言わんとしている点は、敵だからと言って相手の存在を抹殺せずに、長所を生かせば双方がプラスになると説いているのでしょう。

     

    「革命や変革は、反体制勢力が主導するもののようであっても、実は体制側の対応の仕方やレベルがその性格を規定するケースが多い」とも指摘しています。

     

    体制側の榎本武揚に活躍の場を与えた、黒田清隆という反体制側の柔軟さが大事であると言っているのです。日韓問題解決に、ヒントを与えているように思います。韓国の読者にぜひ気付いて貰いたいものですね。

     

     

    a0001_001168_m
       

    中国ファーウェイのスマホは、米国政府の輸出禁止で米国ソフトの搭載が不可能になっている。それだけに、中国でのアップル「iPhone」への人気が高まるばかりだ。米中貿易戦争の合意事項の難易度の中で、「ファーウェイ問題」が最も厳しい位置づけになっている。となれば、ファーウェイ・スマホにグーグル・ソフトの搭載は絶望的である。

     

    アップルの新iPhone3機種が、中国でも9月20日に発売される。1年前のiPhoneXシリーズ発表時には「高すぎる」との不満が噴出し、実際に売れ行きも不振だった。今年は「目新しさはない」との評価が多いものの、割安感が最大のサプライズとして受け止められているという。現に、下記の通り予約は絶好調である。

     

    『レコードチャイナ』(9月15日付)は、iPhone 11シリーズ、中国ECサイト大手での予約数が昨年比480%増」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「『新浪財経』(9月14日付)は、新型iPhoneの中国ECサイト大手・京東での予約数が昨年比で480%増になったと伝えた。京東では、13日午後8時(現地時間)からiPhone 11シリーズの予約受け付けが始まった。11日の新機種発表からiPhone 11シリーズに注目したユーザーが1600万人を超えており、少なくとも14日午後の時点で3機種合計の予約数が100万台を超えたという。これは昨年比480%増で、最初の予約は予約開始からわずか1秒で成立、iPhone 11 Pro5分で予約受け付けが終了となった3機種の中で最も人気が高いのが、iPhone 11 Proのミッドナイトグリーンで、続いてiPhone 11のブラック、iPhone 11のパープルだったという」

    14日午後の時点で3機種合わせて100万台の予約を超えたという。昨年比480%、ざっと5倍という人気振りである。米中貿易戦争のプラス面が出ている。

     


    (2)「これに対し、中国のネットユーザーから「スマホはやっぱりアップルだね。データがすべてを物語っている」「やっぱりアップルはすごいよ」「スマホが分かる人はみんな知っている。この性能はほかを秒殺できる」など、アップルを評価するコメントが寄せられた。また、「数日前、(中国のSNSの)ウェイボーではみんながiPhoneは買わないと言っていた。やっぱりウェイボーは低収入の人ばかりが集まっているんだな」「ウェイボーではみんな買わないと言っているが、京東でも天猫でも公式サイトでもみんな買う。これが答えだよ」との指摘もあった」

     

    下線部分に、アップルの強味が出ている。ファーウェイは、米国からの禁輸で手も足も出ない状況だ。スマホは、ソフトがすべてである。

     

    (3)「ほかには、「iPhone 11の価格は安めだからね」「主な理由は高くはないということだ」との分析や、「宇宙で最も先進的な(中国ファーウェイの)鴻蒙OSが入っていないから低評価」との声もあった」

     

    ファーウェイ独自のOS鴻蒙は、グーグルOSを使えないため「代替OS」である。世界的には、こういう「新OS」はほとんど生き延びる余地がないとされている。

    111
       

    耐久消費財の花形である乗用車が、8月の新車販売の中で最も落込んでいる。中国経済の逼塞化が進む中で、乗用車だけ別格とは行かず、一蓮托生はやむを得まい。日系車にも影が指している。ただ、1~8月の累計では、唯一の「増加」を維持した。乗用車の普及率が天井圏にある以上、景気減速と同じ流れの中でもがくのであろう。

     

    中国汽車工業協会によると、8月の新車全体の動きは前年比6.9%減、1~8月の累計では11.0%減となった。新車全体の8割強を占める乗用車は、8月に前年比7.7%減、1~8月の累計では12.3%減である。収益源である乗用車の販売落込みは、カーメーカーの採算を圧迫する。

     

    乗用車の販売状況は、次のようになっている。いずれも前年の同期比。

         8月   1~8月累計  同シェア

    民族系 -8.6%  -19.5%   38.9%

    日系  -2.0%    4.4%   21.7%

    独系   1.8%   -3.3%   23.8%

    米系 -17.3%  -21.8%    9.5%  

    韓国 -32.2%  -15.3%    4.4%

     

    上の表は、各国の増減率である。日系車は8月に微減であったが、1~8月の累計では唯一の増加で4.4%だ。日系車は、ドイツ車とのシェアを縮めており、1~8月累計でその差が2.1ポイントに迫ってきた。日系車の燃費の良さや故障率の少なさが、静かな人気を得ている理由だという。

     

    2~3年前は、日系車の構造が弱いという「デマ」に悩まされてきた。そこで、「プロは日系車、素人はドイツ車」という区分があったものの、実績で日系車が上回っていることから、「デマ」も消えたようである。この調子で、シェアを縮めれば、年内に日独の逆転が起こるかも知れない。「隠れたニュース」である。

     

    韓国車はお気の毒の一言だ。かつては、デザインが人気を得ていた。それが今では、見る影もなくなっている。THAAD(超高高度ミサイル網)を巡る中国の嫌がらせで不買対象にされて、8月の販売台数は6万1700台に落込んでいる。現代自では、中国市場を捨てて、インド市場を狙う話が報じられている。スズキと勝負しようということだが、スズキはインドで先行の利を固め、地盤をがっちりと握っている。

     

    このページのトップヘ