勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    テイカカズラ
       

    中国中部および東部で洪水が相次いで発生し、140人超が死亡または行方不明になっている。主要河川や湖の水位は記録的な高さに達し、当局はさらなる事態の悪化について警鐘を鳴らしている。

     

    『大紀元』(7月13日付)は、「中国最大淡水湖が史上最高水位、江西省『臨戦態勢』」と題する記事を掲載した。

     

    連日の豪雨と三峡ダムの放水により、長江中下流地域は深刻な水害に見舞われている。現在、江西省の状況が最も深刻だ。省内にある長江水系の淡水湖、鄱陽湖では12日午前、史上最高水位を突破した。省政府は、洪水防止対策の「臨戦態勢」に入ったと宣言した。

     

    (1)「中国メディア『澎湃新聞』などによると、78日以降、湖北省監利市以下の長江中下流地域の河川の水位はすべて氾濫危険水位を超えた。特に江西省の鄱陽湖地域が現在最も危険な状況にある。中国最大の淡水湖である鄱陽湖の水位は7月12日午前0時、1998年に起きた大洪水時の水位(22.52メートル)を0.01メートル超え、観測史上の過去最高水位となった。7月12日午前11時までに、鄱陽湖の4カ所の観測所の水位も1998年の史上最高水位を超えた。水位が引き続き上昇しているという」

     

    78日以降、湖北省監利市以下の長江中下流地域の河川の水位はすべて氾濫危険水位を超えたという。三峡ダムの放水も重なっている。中国最大の淡水湖である鄱陽湖の水位も過去最高水位に達している。何が起こっても不思議でない状況だ。鄱陽湖の湖水が長江に流れ込めず、いわゆる「バックウォーター現象」が起きたという。

     


    (2)「中国水利部(省)長江水利委員会の専門家である陳桂亜氏は、同湖は7月15日に最高水位を迎えるとの見解を示した。また、68日にかけて、長江の増水により鄱陽湖の湖水が長江に流れ込めず、いわゆる「バックウォーター現象」が起きたと伝えられた。水利部長江水利委員会は11日、鄱陽湖地域の洪水特別警報を再び発令した。江西省鄱陽県にある15カ所の堤防が決壊し、全県が深刻な冠水被害に見舞われた。地元紙『江西日報』は、江西省政府は11日に洪水警戒レベルを、4段階中の最も高いレベル1に引き上げた。省トップである劉奇・党委員会書記は同日、省の洪水防止対策の体制について、「臨戦態勢に入った」と話した。一方、長江の湖北省武漢市の一部地域の水位は7月11日、1931年の過去最高水位を超えた

     

    新型コロナウイルスの発症地になった武漢市の一部が、1931年の過去最高水位を超えたという。武漢市は、三峡ダムの下流にある。三峡ダムの放水の影響もあろう。

     

    『AFP』(7月13日付)は、「中国各地で洪水、長江の記録的な水位上昇で武漢も警戒」と題する記事を掲載した。

     

    中国中部および東部で洪水が相次いで発生し、140人超が死亡または行方不明になっている。主要河川や湖の水位は記録的な高さに達し、当局はさらなる事態の悪化について警鐘を鳴らしている。

     


    (3)「新型コロナウイルス流行の発火点となった武漢には長江が流れており、警戒を必要とする大都市の一つ。国営メディアによると、人口1100万人の同市では長江の水位が観測史上3位の高さまで上昇。今週にかけてさらに上昇することが予想されている」

     

    中国では古来より、夏季の河川の氾濫に毎年見舞われ、一般的には広大で人口の多い中国中部の長江流域に災害が集中する。政府の集計によると、6月下旬から断続的に降り続く豪雨によるこれまでの死者・行方不明者は141人で、3789万人が被災し、住宅2万8000軒が被害を受けた。先週から雨は激しさを増し、河川の水位が急上昇。政府は警戒レベルを引き上げた。

     

    水利省の当局者は13日、北京での会見で、33の河川で記録的な水位にまで上昇し、計433の河川で警報が発出されたと述べた。

     

    ムシトリナデシコ
       

    習近平国家主席は、自らの誕生日である6月15日夜、中印国境紛争を引き起させた。インド軍に20名の死者が出る惨事だ。中国軍が、夜陰に乗じてインド運兵士を襲ったのである。中印側はその後、外相会談により紛争地点から双方が撤退することになった。中国の得たものはゼロである。何の紛争であったか、無意味なものに終わった。

     

    インド側は、多数の死者を出したこともあり怒りが収まらない。報復策として先ず、中国製ソフトの全面禁止措置に踏み切った。現状では、中国にとっての損害は軽微だが、将来のインドのスマホ普及率向上を計算に入れれば、中国は莫大な損失を被る、という指摘が出てきた。習近平氏の対印強硬策が、中国に大きな損害をもたらす。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月13日付)は、「インド国境紛争で中国が失ったもの」と題する記事を掲載した。

     

    これは、中国の習近平国家主席がヒマラヤの国境紛争地帯で起こした大失態とみるべきだろう。中国とインドの国境をめぐる対立の最終的な結果は不透明かもしれないが、人気の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を含む59の中国製アプリを利用禁止にするというインド政府が先週出した決定の影響は明白だ。この禁止措置が継続され、他の諸国も同様の措置を取った場合には、米国に代わって世界を支配する技術強国になるという中国政府の野望にとって、大きな痛手となる。

     


    (1)「ブルッキングス研究所の中国戦略専門家であるラッシュ・ドーシ氏は、「中国企業がインドで敗れた場合、真の世界企業になれない。インドがこうした措置を取れるなら、他の国も同じことができる」と述べている。マイク・ポンペオ米国務長官は6日、FOXニュースに対し、米国はTikTokなどの中国のソーシャルメディア・アプリの使用禁止を検討していると語った。オーストラリアも、TikTokの使用禁止を検討している」

     

    インド政府は、「TikTok」を含む59の中国製アプリを利用禁止にした。他国も、この例にならえば、中国ソフトは将来利益を大きく損ねることは確実と見られる。

     

    (2)「一見したところ、インドのアプリ禁止はたいしたことに見えないかもしれない。昨年の字節跳動(バイトダンス、TikTokの親会社)の世界売上高170億ドル(約1兆8200億円)のうち、インドが占めた比率は1%に満たない。インドの10代がボリウッド(インド映画)のダンスを踊る様子を見せるのを禁じることが、人民解放軍による土地の強奪に対抗する上で最も有効な方法には見えない。加えて、インドは中国のベンチャー投資を動揺させることで、萌芽(ほうが)期のインドの新興企業のエコシステムに打撃を与え、経済に関する意思決定の透明性および予測可能性に深い疑問を生じさせてしまう」

     

    TikTokの親会社は、世界売上高が170億ドルに達する。インドは、1%未満であるから、当面の損失は微々たるもの。一方、中国ベンチャーのインド投資が、今回の中国ソフト禁止を理由に減る懸念が強い。要するに、短期的にインド側の受ける損失が大きいのだ。ただ、インドのスマホ普及率向上を計算に入れると、この損得計算は一挙に「中国の大損」という結果に変わる。

     


    (3)「この動きは、インドに打撃を与える可能性があるものの、最終的には中国により大きな打撃を与え得る。まず、インドからの永久的な撤退は、フェイスブックの世界的ライバルになるというTikTokの期待に深刻なダメージを与える。2億人を超えるユーザーがいるインドは、TikTokにとって最大の海外市場だった。アプリ禁止前に内部評価で1100億ドル前後になるとされていたバイトダンスの企業評価は、間違いなく打撃を受ける」

     

    TikTokは将来、フェイスブックの世界的ライバルになると目されてきた。それが、インド市場から撤退するので、将来利益を捨てることになった。

     

    (4)「同じく禁止措置の影響を受けるアプリには、アリババ集団の「UCブラウザー」、テンセント(騰訊)の「ウィーチャット(微信)」、ファイル共有アプリのShareItなどがある。市場調査会社センサー・タワーの推測によると、インドの人々が今年、今回禁止されたアプリをダウンロードしていた回数は累計で7億5000万回に上る。シカゴのポールソン研究所と連携している中国専門のシンクタンク、マクロポロの研究によると、昨年インドで最も多くダウンロードされたアプリ10個のうち6個が中国のもの(5年前には10個中3個)で、首位はTikTokだった」

     

    昨年、インドで最も多くダウンロードされたアプリは、10個のうち6個までが中国のものであった。これが、すべて使用禁止措置になるのだ。中国は、潤沢市場を放棄する形になる。

     

    (5)「5億人以上のスマホユーザーを抱えるインドからの撤退は、「次の10億人のユーザー」を求めてフェイスブック、グーグル、アマゾンといった米国企業と戦う中国の取り組みの足かせとなる。次の10億人のユーザーは、買い物、情報検索、デジタル決済などのために初めてインターネットを利用する人々だ。ドーシ氏は、「中国の指導者らは、中国のアプリが世界標準を打ち立てることを夢見ていた。その夢は消えてしまった」と話す。

     

    中国は、5億人以上のスマホユーザーを抱えるインドから撤退する。これは、「次の10億人のユーザー」を失うことだ。この市場が、ごっそりと米国ソフト企業に移る。中国のアプリが、世界標準を打ち立てるという中国最高指導部の夢は、完全に消えたのである。

     


    (6)「影響はアプリだけにとどまらないだろう。インド政府は既に、同国国営通信会社のBSNLが中国のZTE(中興通訊)やファーウェイ(華為技術)から機器を調達するのを禁じている。インドは向こう何年かで第5世代(5G)移動通信網の運用を開始するが、そこでファーウェイが役割を担う可能性はほとんど消えたように見える。「その打撃はインドだけにとどまらないだろう。米外交問題評議会で中国ハイテク企業を担当する専門家、アダム・シーガル氏は、インドの禁止は「連鎖反応」を引き起こす可能性があると指摘する。(TikTok禁止を警告した)ポンペオ氏の発言が最もはっきりした例だ。

     

    インド政府による中国ソフトの禁止は、次世代通信網「5G」でもファーウェイ製を排除することになる。中国の受ける損害は、莫大なものが予想されるのだ。6月15日の中印国境紛争は、将来の中国経済に大きな損失をもたらすことが決定的になった。

     

     

    a0960_006640_m
       


    韓国政治は、なし崩し的に北朝鮮化を進めている。教科書から、韓国の高度成長期である「漢江の奇跡」の記述を大幅に縮小させたり、北朝鮮に民主主義が存在するなど、事実と反することを教え込んでいる。韓国の国是は、「自由と民主主義」であるが、文政権になって「自由」を削除して「民主主義」のみにした。こうした小細工を通して、韓国と北朝鮮は、同じ政治システムであると子どもたちに説くことで、南北統一を実現しようという狙いである。

     

    韓国と北朝鮮の統一は、短期間に成し遂げられるものではない。天と地ほどの差がある経済的格差や、金ファミリーという「家族政治」が障害になるはずだ。そういう現実面の壁に焦点を当てることなく、夢のような軽い気持ちで南北統一を話題にしている。

     

    南北統一を急ぐあまり、日本を踏み段にしている。「日本悪者説」を広く流布して、南北は協力して、日本に対抗しなければならないという空気をつくっているのだ。この流れのなかで、朝鮮戦争の意義を矮小化している。

     

    その典型的な例が、朝鮮戦争で北朝鮮軍の猛攻撃を少ない兵力を率いて撃退し、韓国を北朝鮮占領から守ったペク将軍の死に対する目立った冷遇である。韓国が、現在の姿で残っているのは、朝鮮戦争で北朝鮮の侵略を撃退したことにある。米国を核とする国連軍が、北朝鮮・中国義勇軍と戦った結果である。こういう犠牲の上に、現在の韓国が存在する。この歴史を、南北統一という錦の御旗で隠そうとしている。歴史の改ざんである。

     


    『朝鮮日報』(7月13日付)は、「2020年大韓民国衰亡史」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の金泰勲(キム・テフン)論説委員である。

     

    英国の歴史家エドワード・ギボンは名著『ローマ帝国衰亡史』で、ローマ滅亡の理由に破たんしたローマ精神を挙げた。滅亡を説明した節の名称は「ローマ精神の衰退」だ。次の通り書かれている。「ローマ人は自由と栄光に対する自負心を失い、(中略)自身も知らない間にオドアケルとその野蛮族の後継者たちの王権を承認する準備をしていた」。

     

    (1)「今、ここでも大韓民国の自由と栄光に対する自負心を失ったと疑うしかない出来事が起こっている。大韓民国の自由を守るために戦った戦争の70周年を記念する場で、その自由を奪おうとした人々の国そっくりそのままの音楽が鳴り響いた。国会外交統一委員長は「将軍様」という表現が出てくる北朝鮮の童謡を口ずさんだ。私たちがお金かけて建てた建物を北が「報復」という表現まで使って爆破したのに、この国の統一外交安保特別補佐官は「北朝鮮の領土で起こったことなので挑発ではない」という奇怪な主張を展開した」

     

    朝鮮民族が、南北に分断されているのは悲劇である。分断を乗り越えるには、北の金ファミリー支配体制を終わらせなければならない。だが、それを待っていると「百年河清を待つ」になる。こういう矛楯から、見切り発車して朝鮮版「一国二制度」をモデル化しようとしている。だが、北が核を保有している中での統一は、韓国が核の人質になることを意味する。こういう厳密な分析をせずに、北朝鮮の童謡を歌ったところで、問題が解決するはずがない。南北統一を、浮ついたお祭り気分で促進させようという「戦略」であろう。

     

    (2)「生徒たちが学ぶ教科書は民主主義を「人民」が支配する統治形態だと教える。「人民」は「民衆」と共に階級的な意味合いを持つ。そうした点で、人民に関する教科書の叙述は「民主主義は国民すべてが享受する価値」であることを明言した大韓民国のアイデンティティーに対する挑戦だ。全羅北道選挙管理委員会が公式ブログに「北朝鮮は民主主義国家」「私たちとほぼ同じ(選挙)原則を持っている」という文をなんと2年間も掲載し、最近削除された事実も明らかになった。3代世襲のための見せかけに過ぎない北朝鮮の選挙を民主主義で包んだ。

     

    韓国の南北統一派は、北朝鮮の問題点に目を塞いでいる。あたかも理想郷のように扱っている。ここに、南北統一の危険性が潜んでいる。

     

    (3)「このような主張が勢いを得れば、国民の支持を正統性の根拠と見なす大韓民国の民主主義は立つ瀬がなくなる。そうする間に私たちの国家的自負心は崩れつつある。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を「偉人」と呼ぶ、まともではない若者グループはこうしたあらゆる形態の産物であって、空から突然降ってきたわけではない。

     

    韓国は、朝鮮戦争という犠牲を払って民主主義を守った。韓国進歩派は、その貴い犠牲を評価せず、北朝鮮を理想郷のように扱っている。何とも言えない愚かさを感じるのだ。盲目的な南北統一論である。

     

    (4)「北朝鮮の童謡を歌った与党・共に民主党の宋永吉(ソン・ヨンギル)議員は、「在韓米軍は韓米同盟軍事力のオーバーキャパ(過剰)ではないか」と南の心配をしてくれる発言をした。大統領はさらにその上を行った。「北朝鮮より50倍もいい暮らしをしているから、南北の体制競争は終わった」と勝利を宣言し、「共にいい暮らしをしようと思う」という言葉で国民の警戒心を崩した。人口2000万人の大国ローマが、たかだか100万人のゲルマン人に滅ぼされた歴史を知らないで話しているのだ」

     

    北朝鮮が核を離さない理由は、核で韓国を脅す手段に使う意図であるからだ。北が核を放棄すれば、同じ民族として協力すればいい。核が、北朝鮮の最終兵器として韓国の頭上に釣り下げられているのだ。文大統領は、この危機の構図を忘れている。

     

     

    a0960_005041_m
       

    韓国では、「二人の著名人の死」に対する文政権の対照的な動きが注目されている。お一人は、ソウル市長の朴氏である。もうお一人は、朝鮮戦争で北朝鮮軍の猛攻撃を少ない兵力を率いて撃退し、韓国を北朝鮮占領から守ったペク将軍の死である。現在、ソウルでは約900メートル離れた場所に、それぞれの焼香所が設けられている。

     

    文在寅大統領は、朴氏に「大統領文在寅」と書かれた花輪を送った。ペク将軍には無反応である。この極端な例の中に、文政権が政治(朴氏)を重視し、安全保障(ペク将軍)を軽視するという思潮がはっきりと浮かんでいる。

     

    『朝鮮日報』(7月13日付)は、「ペク・ソンヨプ将軍を弔問するのは大韓民国大統領の義務だ」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「享年100歳でこの世を去った6・25戦争の英雄、ペク・ソンヨプ予備役大将に各界から弔問と哀悼の声が相次いでいる。ペク将軍がいなければ、今日われわれが享受している自由と平和と繁栄はなかったし、大韓民国そのものが存在しなかっただろう。70年前に破竹の勢いで押し寄せてきた北朝鮮軍の前で、洛東江に最後の防衛戦を敷いたペク将軍は、恐怖におののく兵士たちに「われわれが引き下がれば米軍も撤収する。私が後退したらおまえたちが私を撃て」と言って先頭に立って突撃した。ペク将軍は8000人の兵力で北朝鮮軍2万人の総攻勢を1カ月以上防ぎ、戦況をひっくり返した。奇跡のような出来事だった。ペク将軍は仁川上陸作戦成功後、米軍よりも先に平壌に入城し、14後退後のソウル奪還の際にも先頭に立った

     

    ペク将軍は、韓国を共産主義から守った英雄である。文政権は、その英雄の死に対して、国民を代表して弔意を表わすこともなく無視している。一方では、セクハラ疑惑で命を絶った朴ソウル市長に花輪を送る。余りにも落差の大きいこの行動に、文氏の人間性が現れている。文氏の人権論が、虚しく響くだけである。

     

    文大統領が、このような極端な行動に出ている背景は何か。朝鮮戦争が、北朝鮮による民族統一という「聖戦意識」で臨んでいる結果であろう。ペク将軍は奮闘せず、北朝鮮軍に敗北して貰った方が良かったという認識だ。これが、韓国大統領と与党「共に民主党」の共通の考え方と言える。

     


    (2)「この偉大な護国元老が、自ら命懸けで守り抜いた祖国から晩年に受けた仕打ちを考えると、惨憺たる思いがするどころか信じられないほどだ。左派執権勢力は彼が日帝強占期に日本軍にいた記録だけを強調し、機会があるたびにあしざまに非難し罵倒してきた。ペク将軍は日帝治下で生まれた。その世代の人たちにとって、大韓民国という国そのものが想像もできないものだった。今の観点からその時代を裁き、ペク将軍を「独立軍を討伐した親日派」と呼んでいる。ペク将軍は「当時は中共八路軍とは戦ったが、独立軍など見たこともない」と語ったにもかかわらず、その言葉は聞こうともしない」

     

    韓国進歩派は、ペク将軍が日本軍に属したという理由で排撃している。日韓併合時代に生きた朝鮮人が、日本軍に入隊するのは不可避的な選択であろう。その経験があったから、北朝鮮軍を撃退できたのだ。こういう因果関係を無視した議論は、空論である。韓国進歩派は、空論を好む。事実を無視して、「反日」という一点でペク将軍の輝かしい業績をマイナス評価する。この偏向した人々に対しては、話す言葉すら失うのだ。

     

    (3)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領はペク将軍のような人物ではなく、南侵の功績で北朝鮮で重用された人物を「韓国軍のルーツ」と呼んだ。韓国与党・共に民主党はペク将軍の死去に哀悼の声明は一言も出していないが、これはどう考えても異常だ。ソウル市長の自殺について「過は過、功は功」として美化する人間たちが、国を救ったペク将軍の「功」からは顔を背け、「過」ばかりを無理やりつくり上げ歪曲しているのだ」

     

    韓国進歩派政権が誕生して、満3年が経った。この間の行動原点は、「親中朝・反日米」である。この単純な図式で、あらゆるものを評価している。恐ろしいほどの「没理論」的な振る舞いである。ここまで日本と対決して、何の利益が得られるだろうか。日本への「甘え」は、もはや限界を超えている。

     


    (4)「韓国政府はペク将軍を12万人の6・25(朝鮮戦争)戦友が眠るソウル顕忠院に埋葬するよう求める各界の求めを無視した。「場所がない」というあり得ない理由で大田顕忠院に埋葬するという。しかも与党の一部議員らは「親日派破墓法」の成立を推進しているのだから、後になって何が起こるか分からない。左派団体からは「ペク将軍が行くべきところは顕忠院ではなく靖国神社」という言葉まで出ている。国と民族のために命をささげた英雄の安息の地である顕忠院にペク将軍が入れないのなら、一体誰が入るのか。金元鳳(キム・ウォンボン)のような人物を移葬するのだろうか。今の大韓民国を存在させた護国英雄の最後の道が、このような論争の対象になるのは恥ずかしいことだ。全ての国民を代表する公職者であり、韓国軍統帥権者である大統領がペク将軍を弔問するのは最も基本的な義務だ」

     

    韓国を共産主義から守った英雄に対して、朝鮮戦争の戦友が眠るソウル顕忠院に埋葬しないという文政権の「仕打ち」は、人間として理解し難い行動である。人間の心を持たない文政権が、韓国の民心を一つにまとめられる訳がない。文氏は、韓国大統領でなく進歩派の大統領に過ぎないのだ。

    a0960_008525_m
       

    米国大手IT企業は、香港国家安全維持法が施行され、その去就について思案中である。社名は定かでないが、1社は香港から完全撤退の方針という。他社は、国安法でどこまで自由なビジネスが展開可能かを見極めると慎重だ。これまで、明るい展望に包まれていた香港ビジネスは一転、地獄へ突き落とされた感じだ。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(7月9日付)は、「米IT大手、国安法下の香港から撤退検討」と題する記事を掲載した。

     

    香港のインターネットを統制下に置こうと目を光らせる中国政府の大がかりな新法制定を受けて、米シリコンバレーに本社を置くIT(情報技術)企業も対応を急いでいる。少なくとも大手1社が香港からの完全撤退を検討している。

     

    中国が香港への統制を強める「香港国家安全維持法」が6月30日に制定され、香港のインターネットは事実上、「グレートファイアウオール」と呼ばれる中国の検閲システムの下に置かれ、警察はウェブを検閲する権限を得る。IT企業が利用者の個人情報の提供を拒めば、トップが逮捕される可能性も考えられる。

     


    (1)「この状況を受けて米企業であるフェイスブックやツイッター、グーグル、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ、マイクロソフト傘下のビジネスSNS(交流サイト)、リンクトインの各社は、法執行当局からのデータ提供要請に対応することを全面的に「一時停止」し、自社の法的な立場を確認するとしている」

     

    米大手IT企業は、香港当局からのデータ提供要請に対して、全面的な「一時停止」措置に止めている。だが、「一時停止」であることから、時間は限られている。間もなく、撤退か残留かを決めなければならない。すでに1社は、完全撤退を決めた。

     

    (2)「米IT企業の中では中国本土で最大規模の事業を展開するアップルは、状況を「評価中である」としか述べていない。クラウド事業を手がけるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、新法の「細部を確認している」という。西側企業は現在、どれほどの自由の余地が残されるのかを見極めなければならない。新たな体制に従うことが可能なのか、あるいは最終的に香港から去らなければならないのかという判断を下さなければならない

     

    香港当局へデータ提供したということが分かれば、その企業の信用失墜はいうまでもない。その辺の状況判断が大事だ。

     

    (3)「香港政府はIT企業に対し、ネット上の投稿やアカウントの削除、利用者の個人情報の提供を強制できるようになった。例えば、IT企業がSNS上の投稿の削除を拒んだ場合、警察はその投稿を保管する香港域内のサーバーを差し押さえることが可能だ。海外のサーバーに投稿が保管されていても、警察は香港と外の世界をつなぐインターネット接続事業者(ISP)に対し、当該サイトへの接続を遮断するよう求めることができる。英法律事務所ピンセント・メーソンズの香港駐在パートナー、ポール・ハズウェル氏は、香港企業であるISPは海外に本社を置くIT企業より要請を拒みにくいだろうと指摘する。IT大手はおそらくサーバーを香港域外に移すが、最終的に各社のサイトは遮断される可能性が高いと同氏はみている」

     

    海外に本社を置くISP(インターネット接続事業者)の方が、香港企業よりも当局の情報提供要請を拒否しやすいとみられている。だが、最終的に各社のサイトは遮断される可能性が高い。となれば、撤退という結論しか浮かばなくなろう。

     


    (4)「IT企業はすでに、香港警察から犯罪捜査のためのデータ提供を求められている。要請件数を開示している会社もある。例えばフェイスブックは2019年、提供する全サービスにおいて384件の要請を受けており、そのほぼ半数に応じた。だが、新法の下で国家安全に関わる犯罪捜査は国家機密とされる可能性があり、いかなる裁判であっても非公開となり得る。IT企業も、警察から何を求められたかを明かすことを禁じられるかもしれない

     

    下線部のように、IT企業は有無を言わせずに協力させられることになりそうだ。利用者の疑心暗鬼は、深まるばかりであろう。

     

    (5)「英系調査会社ウィー・アー・ソーシャルによると、リンクトインやツイッター、フェイスブックにとって、人口700万人余りの香港市場は世界のユーザー基盤の0.%にも満たないという。大手インターネット企業はいずれも香港にオフィスを構えているが、地域統括本社を置いているところは1社もない。IT各社は新法による影響の掌握につとめているものの、まだ香港での将来について語れる状態にはなっていない。各社とも、アジアの別の国にもオフィスを持っているが、その中でもシンガポールが人気のハイテク拠点として台頭している

     

    人口700万人余りの香港市場は、世界ユーザー基盤の0.%にも満たないという。この程度であれば、大手IT企業の営業成績にとって大きな問題でなくなる。他社が香港を引き揚げれば、追随するのは時間の問題だろう。香港に残留して、あらぬ疑惑の目で見られる方が、はるかにマイナスになるからだ。中国と関わらないビジネス展開に、魅力を感じる企業も出てくるだろう。

     

    (6)「データ提供要請への対応を「一時停止」しても、各社が新法に従わなければならないことに変わりはないと、香港の黄宇逸(ウォン・ユヤット)弁護士は指摘する。「合法的な理由ではないため(一時停止は)法的責任に対する盾にはならない。あくまで、外国企業がとった方針としかみなされない」

     

    米IT大手は現在、「一時停止」措置が可能でも有効期間があるはずだ。結局、多くのIT企業の撤退になりそうな感じだが、どうなるか。残留すれば、中国と妥協したという「黒い噂」が待ち構えるであろう。

    このページのトップヘ