勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    a0005_000144_m
       

    韓国は、すべて他人(他国)のせいにする国である。きょう午前中に発表された政策金利の引き下げ(0.25%)と、午後に発表された今年のGDP成長率予想の引下げ(2.2%へ)は、ともに日本の半導体製造の3素材の輸出規制に原因をなすりつけている。これほど脆弱な韓国経済にもかかわらず、文大統領が大口を叩いて「日本の被害は韓国を上回る」と宣言したのだ。この舌の根が乾かないうちに、韓国が早々と「敗北宣言」である。

     

    日韓のGDP規模は3対1である。韓国の専門家は、「韓国が日本を1発殴れば、3発見舞われる関係」と指摘するほど。自己の力量を冷静に知ることだ。泣いたり喚いたりしないで、早く平常心を取り戻して、今後の対応考えるべきである。

     

    『聯合ニュース』(7月18日付)は、「韓国与党、『経済戦犯国として記録される』輸出規制巡り日本に警告」と題する奇妙な記事を掲載した。

     

    韓国与党「共に民主党」は18日、日本による輸出規制強化への対策に当たっている党内委員会「日本経済侵略対策特別委員会」の全体会議を国会で開いた。

    (1)「崔宰誠(チェ・ジェソン)委員長は日本の輸出規制に関し、「日本発の経済大戦が現実のものとなるなら、日本は再び国際貿易秩序を崩壊させた『経済戦犯国』として記録されるだろう」と警告した。韓国政府の対応については、「政治的な問題で経済報復をしてはならないという原則を一貫して強調し、日本政府の措置が名分のない一方的な侵略行為であることを明確にした」と評価した」

     

    韓国は、日本が「ホワイト国」から外すことを「経済戦犯国」と言い出した。それならば、すでに「ホワイト国」でない他国も日本を「経済戦犯国」と呼んでいるのか。そういう国はないし、また日本をWTOへ提訴しようという国もない。それにもかかわらず、大騒ぎしている。それほど困るのなら、なぜ素直に言ってこないのか。居丈高になって、「ホワイト国」扱いが既得権益のような顔をして威張り散らしている。そこが、田舎者に映るのだ。

     


    (2)「日本が輸出手続きで優遇する「ホワイト国」から韓国を外す方針であることに関し、半導体などの材料3品目に対する輸出規制を全面的に拡大するものであり、「グローバル経済秩序に対する明らかな宣戦布告」だと指摘。その上で、「安倍晋三政権の経済侵略は経済を媒介として(韓国に)コントロール可能な親日政権を樹立しようとするものだ」と批判し、決してこれに屈服しないと述べた。同党は前日、委員会の名称を「日本経済報復対策特別委員会」から変更し、対日強硬姿勢を強めている」

     

    「ホワイト国」を外されても、通関手続きが最大限90日かかるだけである。不正使用の目的でないかぎり普通に輸入できるのに、なぜこういう騒ぎ方をしているのか。本来ならば、日本へ抗議すのでなく、日本の事務手続きが順調に行くように協力すべきである。威張り散らして歩くことは、問題解決になんら役に立たないのだ。


    テイカカズラ
       

    韓国銀行(中央銀行)が今朝、唐突に政策金利を年1.75%から1.50%に引き下げた。これは、間もなく発表される4~6月期の実質GDPが、前期に引き続きマイナス成長に落込んだ結果と見られる。本欄では、2期連続のマイナス成長を予想してきたので、別段の驚きもないが、これが事実となればそのショックは大きいだろう。

     

    これで、日韓の揉めごとはどうなるか。韓国はあくまでも突っ張って行くか。あるいは、日本へ歩み寄りを見せるかは分らない。ただ、株価や為替相場に変調が出てくれば、さすがの超強気の大統領府は動揺するだろう。その先には、「3回目の経済危機」の悪夢がちらつくからだ。

     

    『聯合ニュース』(7月18日付)は、「韓国中銀が政策金利を1.5%に引き下げ、日本の輸出規制も一因に」と題する記事を掲載した。

     

    タイトルに、「日本の輸出規制も一因に」と日本を悪者にしている。半導体製造の3素材の「禁輸」をするような間違った印象を与えて、罪を他人になすりつける韓国の悪いクセが出ている。

     

    韓国銀行(中央銀行)は18日、定例の金融通貨委員会を開き、政策金利を年1.75%から1.50%に引き下げた。利下げは2016年6月(1.25%に0.25%引き下げ)以来、3年1カ月ぶり。韓銀は17年11月と18年11月にそれぞれ0.25%利上げしている。

    (1)「この日の利下げは予想外だったといえる。市場では利下げの時期として7月よりも8月末を見込む声が多かった。利下げを早めたのは、今年の韓国の経済成長率が当初の見通しを大きく下回るためと推定される。韓銀は4月、韓国の今年の成長率を2.5%と予測した。だが、この日午後に発表する修正予測で2%台前半、あるいは2%に近い水準へ大幅に引き下げる可能性が高い」

     

    (2)「今年1~3月期の実質国内総生産(GDP)が前期比0.4%減のマイナス成長となり、4~6月期の回復も期待に及ばなかったとみられている。政策金利を据え置くには成長減速が深刻だと判断した可能性がある。輸出や投資、内需の不振に加え、日本が韓国に対する半導体・ディスプレー材料の輸出規制を強化したことも利下げの一因に挙げられる。日本の輸出規制で半導体などの主力産業が打撃を受け、韓日の摩擦による不確実性が長期化する公算が大きくなったことで、韓銀も政策金利の引き下げで対応せざるを得なくなった」

     

    (3)「このほか、米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)による今月末の利下げが確実視されることも、韓銀の利下げ負担を軽減した。市場の一部では、景気の状況によっては11月末に政策金利がさらに0.25%引き下げられるとの観測もある。ただ、下手に下げれば景気対応余力が底をつくとの懸念、住宅価格の不安定化の兆しなどを理由とする慎重論も強い」

     

    韓国経済が、臨戦体制に入っていることが分る。こういう切羽詰まった状況で日本を敵にして戦うのは、文大統領の経済知識がいかに少ないかを示している。万一の場合、日韓通貨協定という命綱を自ら断ち切って日本へ争いを挑んできたのは、余りにも無謀であると言うほかない。


    a1370_000549_m
       

    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    バブルの宴の後で

    PPI低迷リスク

    GDP3倍の債務

    保守が改革派圧迫

     

    中国の4~6月期のGDP統計が発表されました。事前予想の通り前年同期比で実質6.2%成長でした。リーマン・ショック直後の09年13月期を下回り、四半期ベースで統計を遡れる1992年以降で最低でした。

     

    前期の実質成長率は6.4%。今期は、0.2ポイント低下しました。ここで注目されるのは、中国共産党が2012年の党大会で2020年までにGDP倍増という長期目標を決めていました。それによると、19~20年に平均6.%の成長が必要になります。今後の米中貿易摩擦の結果しだいでは、6%割れの局面を迎えます。固く見れば、「GDP倍増計画」に警戒信号が灯った感じです。

     

    バブルの宴の後で

    GDP倍増計画には、「中所得国のワナ」を突破する目的もありました。「中所得国のワナ」とは、国民1人当たりのGDPが1万2000ドル前後で停滞して、高所得国グループに手が届かず、経済が停滞局面に陥る現象を指しています。多くの発展途上国が、「中所得国のワナ」にはまってきたのです。共通した理由は、豊富な労働力を使い果たせば、そこで生産性の上昇が止るというものです。

     

    中国は2010年、総人口に占める生産年齢人口比率がピークでした。それまでの急速な経済成長は、生産年齢人口比率の上昇がもたらしたものです。2011年以降は、生産年齢人口比率が下降に向かっています。経済成長率が鈍化するのは不可避でした。

     

    グライダーに喩えれば、飛行機(生産年齢人口比率の上昇)が牽引した経済は、2011年以降に推進力を失い滑降状態へ移行しています。経済成長率は、減速局面入りしたのです。中国経済は、このいかんともし難い人口動態変化の中に巻き込まれています。

     

    中国は2010年以降、経済政策として不動産バブルを利用しました。土地国有制という「土地供給独占」によって地価を釣り上げ、空前の住宅投資を引き出したのです。中国経済が、セメントや鉄鋼という素材産業に結びついた歪な構造になった大きな理由です。目先のGDPを引き上げる目的で、不動産バブルを利用した「咎め」は現在、中国経済に大きな禍根を残しています。GDP規模に比べた過剰な債務を置き土産にしたのです。この問題に付いては、後で触れます。

     


    今年上半期の経済データをまとめました。

     

    公表された主要経済指標(前年比増減率)

               1~6月    1~3月     差し引き

    工業生産       6.%増    6.5%増      0.5ポイント減

    固定資産投資     5.%増    6.%増    0. 5ポイント減 

    社会消費品小売総額  8.%増       .%増      0.1ポイント増

    家計調査の消費額実質 5.%増    5.4%増   0.2ポイント減

    輸出                       .%減    1.%増    2.7ポイント減   

     

    これらの項目を見て気付くことは、1~6月の増加率が1~3月に比べて軒並み、低下しています。4~6月の落勢を示しているもので、とりわけ輸出の急減ぶりが目を引きます。米中貿易戦争の影響が強く出ていることを示しています。

     

    PPI低迷リスク

    米国の関税率引上の多くは、中国企業が負担しています。これは、生産者物価指数(PPI)の推移に現れています。次に、その推移(前年増加率)をマネーサプライ(M2)と比較します。(つづく)

     

     


    a0001_000269_m
       

    中国の年金財政ほど複雑怪奇なものはない。過去、年金積立金が流用されたりして、あるべき財源が存在しないなど信じがたい杜撰な管理がされている。これまで、海外メディアが中国の年金財源を報道してきたが、多くは、すでに赤字というもの。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(2018年9月13日付)は、「中国、福祉財源の賃金税徴収強化」は、次のような報道をしてきた。

     

    「人口の高齢化と労働力の縮小を背景に、中国の公的年金制度は大きな財源不足に直面している。17年時点で社会保険の支出額は賃金税の徴収額を4650億元(約7兆4400億円)上回り、差額は一般税収で補てんしている。国泰君安証券によると、差額は20年に1兆8000億元(約28兆8000億円)、30年には3兆2000億元(約51兆2000億円)に拡大する見通しだ」

     

    年金財源不足は、次のような推移をたどる予測である。

    17年は、約7兆4400億円

    20年は、約28兆8000億円

    30年は、約51兆2000億円

     

    前記の『FT』では、すでに中国全体の年金財政は赤字になっているはずである。それにしても、膨大な赤字である。今後の経済成長率の低下を考えれば、果たして年金制度を維持できるのか疑問である。

     


    一方、都市勤労者の年金財政はまだ黒字という記事が現れた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月17日付)は、「中国の年金積立金 2035年に枯渇 長期試算に衝撃」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国が公的年金の財源拡充を急いでいる。政府系研究機関が「会社員らが加入する公的年金の積立金が2035年に枯渇する」との試算を公表し、若者らの間で年金への不安が広がっていることに対応する。不安のきっかけは、中国社会科学院が4月に公表した報告書だった。サラリーマンら34千万人が加入する「全国都市企業従業員基本年金」に関し、19~50年の収支状況を試算した」

     

    サラリーマンら34千万人が加入する「全国都市企業従業員基本年金」の年金財政報告である。これは、都市サラリーマンの年金財政であるから資金の横流しはないのだろう。

     

    (2)「報告書によると、高齢化で支出の伸びが収入の伸びを上回り、単年度の収支は19年の1062億元(約17千億円)の黒字から28年に1181億元の赤字に転落する。赤字幅は年々拡大し、50年には11兆2774億元まで膨らむ。19年末に4兆2600億元ある積立金は27年に6兆9900億元に増えるが、35年には底をつく。それ以降は毎年の赤字をすべて財政で補填しなければならない」

     

    年金資金の運用は、国内金融市場でしかできない仕組みになっているのであろう。海外への資金流出を防止してきたので、年金資金も例外でなかったはずだ。外貨準備高3兆1000億ドルを守るための資本規制が、こうして年金財政破綻への危機をもたらしている。中国経済を総合的に観察すると、完全な落第状態になっている。


    32
       

    韓国は、泣き叫ぶ幼子のように米国へ日本の悪口を言いつけている。自分で演じながら恥ずかしいと思わないだろうかと、見ている日本の方が恥ずかしくなるほどだ。

     

    スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は17日、訪問先のソウルで、対立の解消を支援するため「できることはする」と述べた。スティルウェル次官補は記者団に対し、日韓両国の状況を深刻に受け止めているとしつつ、米政府が取り得る措置については明言せず、対立の解消は基本的に両国次第だと述べた。

     

    韓国は、自国の要求をすべて実現させる積もりらしい。徴用工では、日本企業に賠償金を払わせる。日本が「ホワイト国」から韓国を外すことは「絶対反対」と叫んでいる。これでは、トランプ流の「ディール」は成り立たない。韓国政府の振る舞いは、幼子の域を出ていないのだ。

     

    『ロイター』(7月17日付)は、「日韓対立に解消の兆し見られず、米国務次官補『できることはする』」と題する記事を掲載した。

     

    スティルウェル次官補は記者団に対し、日韓両国の状況を深刻に受け止めているとしつつ、米政府が取り得る措置については明言せず、対立の解消は基本的に両国次第だと述べた。同次官補は「われわれは近いうちに解決することを望んでいる」と表明。「米国は両国の親しい友人・同盟国として、対立解消に向けた両国の取り組みを支援するため、できることはする」と述べた。

     

    (1)「韓国政府筋は匿名を条件に記者団に対し、日本による半導体材料の韓国向け輸出規制の強化は世界のハイテク企業に悪影響を及ぼすとともに、米テキサス州オースティンにあるサムスン電子の半導体工場の操業に打撃を与えると述べた。同政府筋は「アップル、アマゾン、デル、ソニーなどの企業と世界中の数十億人の消費者に悪影響を及ぼすだろう」とした。サムスン電子は政府筋の発言を受け、「オースティン工場に影響がないとは言えないが、将来の生産が阻害されないよう最大限努力する」とのコメントを発表した」

     

    韓国は、日本が半導体製造の3素材の「全面的は輸出禁止」のような騒ぎ方だがそうではない。「韓国企業は引き続き日本から半導体材料を輸入することができるが、その都度、許可を申請しなければならず、最大90日の遅れが生じる可能性がある。日本が承認プロセスをどれほど引き延ばすかは不明」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』7月14日付)としている。韓国は、THAAD問題で中国に対してこういう騒ぎ方をしたか。日本が相手だとみると「やりたい放題の騒ぎ方」で度を超している。

     


    (2)「韓国政府筋は、日本の措置は世界貿易機関(WTO)の原則から逸脱しているが、韓国としては対話による問題解決を望んでいると語った。そのうえで、日本が、安全保障上の友好国とみなし、貿易上の規制を最低限に抑える「ホワイト国」から韓国を除外した場合、「甚大な問題」をもたらすことになると指摘した。さらに、韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は17日、日本政府に対し、韓国への輸出規制を解除するよう繰り返し求めるとともに、韓国政府が日本の産業への依存度を減らす計画を間もなく発表することを明らかにした。同相は経済閣僚による定例会議の冒頭、「韓国政府は日本の素材・部品・機器産業への韓国の依存度を減らすための包括的な計画を策定中で、間もなく発表する」と述べた」

     

    下線をつけた部分は、基礎科学の力がなければすぐに実現できない分野である。韓国が、これまで日本に依存してきた背景には、基礎科学力の不足が大きな要因となっている。化学分野に限れば、日韓には100年の遅れがあるという。こういう厳しい現実を認識するならば、対日外交はいかにあるべき。考え直すべきである。自国の立場だけを主張する韓国には愛想が尽きるのだ。


    このページのトップヘ