韓国は、「K防疫モデル」の名前でコロナ検査キットの輸出が急増した。今は、世界の供給過剰が鮮明になり、企業の採算が悪化している。日本では、厚生労働省が感染を調べるPCR検査の検体に唾液を使えるように決めた。鼻の粘液を採る従来の方法よりも医療従事者の感染リスクが低く、効率的な検査が可能になる。韓国は、鼻の粘液を採る方法だ。検体に唾液を使えるようになれば、一段と韓国企業は苦境に立たされる。
『中央日報』(6月2日付)は、「輸出疾走していた韓国製コロナ検査キッ『3大悪材料』で急ブレーキ」と題する記事を掲載した。
新型コロナウイルス大流行以降に世界の「ラブコール」を受けた韓国の検査キット企業が「3大悪材料」に足踏みしている。検査キットの生産量増加で販売価格は下がり、主原料である抽出試薬価格は急上昇しているためだ。業界では予想より早く売り上げピークに達し下落傾向が始まるかもしれないとの悲観的な見通しが出ている。
(1)「6月1日に産業通商資源部が発表した「5月の輸出入動向」によると、韓国の検査キット企業の輸出代金は1億3128万ドルで前月の2億65万ドルより34.5%減った。輸出金額は新型コロナウイルスが本格的に流行した2月に64万3000ドルで3月2410万ドル、4月に2億65万ドルに急増していたが上昇傾向が鈍化したのだ。マッコーリー投信運用ファンドマネジャーのノ・スンウォン氏は、「恐怖に包まれひとまず検査キットの在庫を積み上げていた時期は終わった。各国が許可を受けた会社の製品だけ輸入するなど障壁が高まっている」と指摘した」
韓国の検査キット輸出代金
2月 64万3000ドル
3月 2410万ドル
4月 2億65万ドル
5月 1億3128万ドル
この推移を見ると、コロナ第1波は終わった感じである。
(2)「過剰供給による価格下落も本格化している。4月に1個当たり12~14ドルを上回った検査キット供給価格は最近半分以下に落ち込んだ。食品医薬品安全処から検査キット輸出許可を受けた韓国企業は84社だ。ここに米国と欧州の企業を中心に検査キット生産も増加している。業界関係者は「受注競争が激しくなり一部の国は1個当たり5ドル前後を要求したりもする」と話した」
検査キット供給価格は、4月に1個当たり12~14ドルを上回った。現在は、5ドル前後と急落している。韓国だけでメーカーは84社もある。当然、過当競争に陥る。新型コロナウイルスの感染が下火になった証拠で結構なことだ。
(3)「生産設備を100%稼動していた雰囲気も変わっている。先月から工場稼動率が大きく落ち込んだ。コジェンバイオテクは先月最後の週に在庫負担のため生産を中断した。同社関係者は「今月は在庫減少など推移を見守った後で生産量を決めるだろう」と話した。ある企業は先月、生産量の3分の1しか輸出できなかった」
コロナ特需は終わった。設備稼働率が急減している。製品在庫増で、操業中止の企業も出ている。あっけない特需であった。
(4)「検査キットの核心材料である試薬と容器(チューブ)をほとんど外部から調達しているのも不安要因だ。ソルジェントのユ・ジェヒョン代表は、「試薬供給価格は新型コロナウイルス以前より2~5倍上がった。外部依存度が高い企業は収益下落につながるだろう」と話した。韓国企業は主に分子診断方式の新型コロナウイルス検査キットを輸出した。人のたんなど呼吸器検体を採取した後に核酸抽出試薬を混ぜ遺伝子増幅(PCR)を通じて陽性かどうかを判定する」
韓国企業は、商売上手である。検査キットの核心部分の試薬と容器(チューブ)は、ほとんど外部から調達という。これでは、利益率は低い。輸出金額は増えても、手取りが少ないのだ。
(5)「この検査キットには5種類の試薬が容器に入っている。このうち3種類の試薬は生体で各種の化学反応を起こす蛋白質である「エンザイム」だ。患者からリボ核酸(RNA)を抽出してDNAに変えこれを数万倍に増幅させてRNA情報が損傷しないように化学反応を抑制する役割をする。これを独自に生産できる韓国企業はバイオニア、ソルジェントなど一部企業にすぎない」
韓国で検査キットの試薬を生産できるのは、バイオニア、ソルジェントなど一部企業にすぎないという。文大統領は、「わが国バイオ技術の勝利」と宣伝しているが、実態はかくのごとしである。韓国の自画自賛は、度を過ぎている。