勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    新型コロナウイルスの世界的感染で、中国はきわめて不利な立場に置かれている。WHO(世界保健機関)の特別調査団から米国を排除するなど、感染症の原因隠蔽に奔走している。欧米諸国によって、中国は「異質の国」という烙印を押されても致し方ない。

     

    中国が、四面楚歌の中で頼りにしているのが日本である。今回の新型コロナウイルス感染で、中国にサプライチェーンを置くリスクが明白になってきた。米国は、こうして従来路線でもある米中デカップリング(分離)を、現実問題として推進する動機が一層、高まってきた。こういう国際情勢で、中国が親密にしなければならぬ国は、ほかならない日本となる。中国は、日本との親密度を内外にアッピールし始めている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月21日付)は、「日本の中国離れ警戒、習指導部が親日宣伝」と題する記事を掲載した。

     

    中国内で「親日ムード」を盛り上げる宣伝活動が続く。中国共産党が新型コロナウイルスによる肺炎を巡る日本の支援活動を取りあげるように指導している。新型肺炎のまん延で欧米の中国離れが深刻になり、日本との関係のつなぎとめに躍起になっているとの見方は多い。安全保障の課題は山積みで、官製の「親日」機運は危うさもはらむ。

     

    (1)「中国外務省の華春瑩報道局長は17日、「一衣帯水の隣国として、何かあればお互いに助け合いましょう」と、2月に始めたばかりのツイッターに日本語でこう投稿した。耿爽副報道局長も同日の記者会見で「日本がくれた真心と善意のこもった援助を心に深く刻み、深く感謝している」と述べた。中国国営の新華社は日本から送られてきた支援物資を入れた段ボール箱を紹介した。そこには「山川異域 風月同天(住む場所は違っても同じ空の下でつながっている)」との漢詩が書かれていたと伝え「無数の人々の琴線に触れた」と論評した。段ボール箱の写真は1月下旬から中国版ツイッター微博(ウェイボ)で拡散していた」

     

    中国は、疑いなく世界覇権を狙っている国である。日本との「友好ごっこ」は、戯れ言であろう。心から、日本と協力しようという気持ちがあるはずがない。尖閣諸島での常習的な領海侵犯が、それを示している。中国国内のウルトラ保守派は、コチコチの民族主義グループである。領土への執着はきわめて強いのだ。

     


    (2)「中国政府は湖北省武漢市からの外国人退避を巡り、日本からのチャーター機を真っ先に受け入れた。日本政府関係者は「中国は非常に協力的だった。友好関係を強調したいとの意思を感じる」と話す。日本をつなぎとめようとの動きは、世界で中国離れが広がっているとの中国側の危機感が背景にある。習氏は18日、英国のジョンソン首相やフランスのマクロン大統領と相次ぎ電話で協議した。ジョンソン氏には新型肺炎の感染封じ込めについて「明らかに効果が出ている」と強調した。習氏は数日おきのペースで欧州や東南アジア、中東の首脳に電話をかけ続け、中国の国営メディアもそれを次々と伝えている」

     

    中国とあえて事を構える必要はない。ただ、絶えず警戒すべき相手である。今時、独裁主義を守っている歴史感覚は、何かを狙っている証拠と見るべきだ。自らの領分を広げて自慢したい。そういう子どもじみた中国を、真の仲間として迎え入れるのは不可能である。思想信条の異なる国と共存共栄を図るには、「警戒心」を持ち続けることが前提である。

     

    (3)「米中は貿易戦争の休戦協定となる「第1段階合意」を結んだが、11月の米大統領選を前に不安定な状況が続く。長期化する対立に備え、日本とは良好な関係を保っておく狙いもある。安全保障面では中国は強硬な態度を変えていない。2月は513両日には沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に中国公船が延べ8隻侵入した。接続水域には16日まで15日間連続で入り、1920日にも進入した。河野太郎防衛相は「日中新時代と首脳が認識し、日中の間の懸案に適切に対処していくことが必要だ」と指摘する」

     

    中国が建国当時、尖閣諸島を日本領と認めながら後に「中国領」と言い出したのは、飽くなき領土拡張という「中華帝国」本来の領土欲に目覚めたものである。民族特性は、主義主張によって変わるものでない。政治的な遺伝子として組み込まれているのだ。こういう中国の本質を前にして、日本は警戒を怠ることなく守りを固めるしか方法はない。


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    韓国メディアは、これまで日本の新型コロナウイルスの感染者増加を冷ややかな目で報道してきた。「衛生先進国日本」の失態という調子の報道であった。ところが、2月20日に韓国南東部の大邱(テグ)市にある新興宗教団体の教会で起きた集団感染発生で、一挙に104人の感染者数に上った。中国に次いで、2番目の感染者数になった。

     

    為替相場は、これを敏感に反映し20日のドル=ウォン相場が、9.4ウォン安の1198.(終値)で引けた。だが、夜間取引でも「ウォン安」基調を引き継いでいる。20日22時現在、1ドル=1206.20ウォンである。前日比13.70ウォン安である。ウォン相場の「マジノ線」とされる1ドル=1200ウォンは、あっさりと割り込んでいる。ここに不気味さを感じるのだ。

     

    ウォン相場が、1200ウォンを割り込んでいる背景は、韓国経済が「新型コロナウイルス」感染で大きな影響を受けるという予測が高まっている結果だろう。韓国の貿易構造を見ると、中国とは輸出・輸入の両面で深い関係を持っている。この関係が、「新型コロナウイルス」感染で、すべて逆転して韓国経済にマイナスをもたらすのだ。

     


    韓国の貿易構造(2018年 JETRO調査)の国別構成比は、次のようになっている。

        輸 出   輸 入

    中国 26.8%  19.9%

    米国 12.0%  11.0%

    日本  5.0%  10.2%

     

    これを見ると、韓国は輸出入において中国と密接不可分の関係にある。韓国は、対外投資の3分の1が中国である。地理的に近いというほかに、韓国国内で労組による猛烈な賃金攻勢に遭遇して、中国へシフトする形となっている。本来であれば、韓国で設備投資する企業が、韓国労組の賃上げ攻勢を恐れて中国へ工場を移転した形だ。中国が、新型コロナウイルス発症で身動きできない事態になると、韓国がその影響を最も強く受けるのである。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月20日付)は、「中国湖北省、企業休業を再延長 新型肺炎で310日まで」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の湖北省政府は20日、企業の休業措置を310日まで再延長すると発表した。従来は220日までとしていた。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が続いており、職場や交通機関での感染拡大を防ぐ狙いだ。124日に始まった春節(旧正月)休暇を含めると1カ月半以上企業活動が止まることになり、経済への打撃が広がりそうだ。省政府の発表によると、水道や電気などのインフラや、医療や食品関連を除く企業に休業の延長を求める。省政府が休業延長を指示するのは3度目になる」

     

    湖北省は、3月10日まで休業措置にしたことで1ヶ月半以上も生産活動がストップする。中国が、世界のサプライチェーンになっている以上、韓国の受ける影響は最大という推測がつくはずだ。韓国は、中国に原料等を輸出し、それを加工した製品を輸入する関係を構築している。この韓国と中国のリンケージが、中国の長期休業で切断されるのだ。韓国が、対中の輸出入で多大の損失を被る背景である。

     

    (2)「中国国家衛生健康委員会によると、20日午前0時(日本時間同1時)時点の湖北省の感染者数は累計で約62千人と中国本土の8割超を占める。湖北省政府は16日に肺炎対策を一段と強める通告を出し、住民の外出を原則禁じた。住民の中には「家から出られないのに企業の操業再開などできるはずがない」との声が出ていた」

     

    震源地の湖北省は、感染源を絶つために住民の外出を原則禁止している。湖北省の企業は、従業員が集らぬ以上、休業を余儀なくされる。

     

    (3)「湖北省には自動車産業が集積し、ホンダや日産自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)などが工場を構える。鉄鋼や半導体、パネルなど素材や電子部品の生産拠点も多い。中国本土の大部分では10日から企業が操業を再開しているが、湖北省の企業再開が遅れれば、製品や部品のサプライチェーン(供給網)が目詰まりして企業活動の停滞が長引く恐れがある」

     

    武漢は、交通上で重要な結節点になっている。海外の大企業が競って進出した理由だ。それが、新型コロナウイルス感染で長期休業を余儀なくされる。韓国の受ける損害も「半端」でないのだ。1ドル=1200ウォン割れの背景であろう。

     

     

     

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    中国は、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(2月5日付)で報道した記事に激怒し、執筆した記者と無関係の北京駐在の記者3名の出国を命じた。記事のタイトルは、「中国は『アジアの病人』」である。現在の、「新型コロナウイルス」感染症を世界にばらまいた当事国として見れば、間違いなく「アジアの病人」である。

     

    中国は、記事の取消しと謝罪を求めた。WSJが噓を書いている訳でないから、取消しに応じるはずもない。こうして、無関係な3名の「記者証」を取り上げ、出国を命じる騒ぎとなった。かつて、産経新聞記者が同様な件で出国を命じられたケースがある。ジャーナリズムに課せられた「報道の自由」を守るべく、WSJも中国の不条理な要求を撥ね付けている。

     

    問題の記事は、何を書いたのか。私も読んだ時、思い切った記事であるという印象を受けた。長年、本欄の主張している内容と同じトーンであり、「その通り」と賛意を表わしたほどである。中国経済が危機に向かっている状況を鋭く指摘しているからだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月5日付)は、中国は『アジアの病人』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「危機に対する中国の初期対応は褒められたものではなかった。武漢市政府は事実を全て明らかにしようとせず、利己的だった。国家当局は精力的に対応したが、現在はあまり効果を上げていないように見える。都市や工場が閉鎖され、ウイルス感染は拡大を続けている。当局が流行の封じ込めと犠牲者の治療に成功することを願うが、現在までの成果は中国共産党への信認を国内外で揺るがしている

     

    SARS(2003年)に続き、今度は新型コロナウイルスの感染である。二度も世界中に大損害を与えた中国共産党が、内外で信認が揺れるのは当然のである。

     

    (2)「新型コロナウイルス流行による経済的な影響について、アナリストらは中国の1-3月期(第1四半期)経済成長率が一時的に急低下し、事態の沈静化とともに回復すると予想している。最も重要な長期的影響は、世界中の企業でサプライチェーン(供給網)の「脱中国化」傾向が強まるとみられることだ。新たな貿易戦争のリスクに加えて、公衆衛生に対する継続的な懸念が生じているため、サプライチェーンの多様化が賢明な措置に見え始めている

     

    世界的な感染症を二度も引き起こす中国が、サプライチェーンとして、その座を維持することは困難になろう、と指摘している。その通りであって、先ず中国政府が謝罪と抜本的な解決策を出すべき立場だ。それにも関わらず、WHO(世界保健機関)の事務局長を手なずけて、中国の「代理人」役をさせて責任を回避している。また、WHOの現地調査団から米国専門家を排除するなど、隠蔽体質丸出しである。この調子では、三回目の感染症を引き起こすに違いない。サプライチェーンの資格はないのだ。

     

    (3)「感染症の流行は、地政学上や経済上の仮説についても、われわれに考えさせる。中国の経済成長の低迷は短期に終わることが期待されているが、金融市場は動揺し、コモディティー価格は下落している。もし、流行やその後に起こり得る大規模な金融市場の崩壊によって、中国の経済成長が長期にわたり一段と減速した場合、どうなるのかそのような展開は中国の政治的安定や他国に対する姿勢、世界の勢力均衡にどのような影響を及ぼすのか

     

    ここは、中国の最も嫌がる箇所であろう。金融市場の動揺=信用崩壊が起これば、過剰債務にあえぐ中国経済は、もんどり打ってひっくり返る。その先例は、日本の不動産バブル崩壊で経験済みだ。中国は、「第二の日本」となろう。こうして中国経済は、過剰債務処理優先で経済成長よりも経済安定を取り戻すことに腐心するはず。世界の勢力均衡から後退せざるを得まい。習近平氏の「終身国家主席」の夢は潰える。

     

    (4)「中国の金融市場は長期的に見て、恐らく野生動物市場よりも危険だろう。国家主導の融資や地方当局者の地銀と共謀した数々の不正行為、膨張した不動産バブル、巨大な過剰生産能力――これらのコストが数十年にわたり積み上がっていることを踏まえれば、中国は国として大規模な経済調整が最も起こりやすい時期にさしかかっている。最初のちょっとした衝撃でさえも、偽りの価値や膨れ上がった期待、不適切な分配資産を全てはじけさせ、巨大な虚栄のかがり火を燃え上がらせることになりかねない。そうなった場合、中国の規制当局者や意思決定者にダメージを最小化する技術的能力や政治的権力があるのか全く分からない。それによって政界とつながる関係者の膨大な富が失われることになるとすれば、なおさらだ」

     

    下線部分の認識は、きわめて重要である。私は、この点について完全に同意する。経済は合理性を欠いて、長期にわたり安定軌道を走れるものでない。市場機構の必要性は、市場が経済の矛楯を価格信号で解決するからである。その価格信号を働かないようにする強権政治は、必ず時間が経てば綻ぶものである。

     

    (5)「このスケールの大惨事が起こるのか、起こるとすればいつになるのかは分からない。しかし、企業経営者や投資家はもちろんのこと、地政学や国際関係を専攻する学生は、中国ほどの驚異的なパワーであっても依然、もろいということを覚えておく必要がある。致命的なウイルスの伝染または金融危機の波及は、中国の経済的・政治的見通しをいつでも一変させる可能性がある

     

    市場機構を無視して来た中国経済の抱える矛楯は、通り一遍のもではない。土台が腐食している以上、ウイルスの伝染や信用崩壊によって、あっけなく倒れる巨大リスクを抱えている。ローマ帝国もロシア帝国も、崩れる時は一瞬である。長年の不健康な生活を送ってきた人間が、あっけなく倒れるのと同じ理屈なのだ。

     

    (6)「多くの人たちは今、新型コロナウイルスが世界的に大流行することを恐れている。中国の経済的メルトダウンは、同様の無情さで広範に波及することになる。コモディティー価格が世界中で落ち込み、サプライチェーンは崩壊。その連鎖反応から逃れられる金融機関はほとんどないかもしれない。中国やそれ以外の地域の回復は遅く、社会的・政治的に劇的な影響がもたらされる可能性がある

     

    下線部分は、多くの人たちに記憶されて欲しい点である。中国政府が、自らの辿る運命をここまで明示的にされると「怒り」よりも「恐怖」を感じる点であろう。あのソ連がなぜ、崩壊したか。中国共産党は、その二の舞を演じることのないように、習近平氏を国家主席に選んだ。江沢民・元国家主席は、李克強氏を国家主席にせず首相に任命した。これが、大きな間違いであった。中国を衰退の道へ引入れたのである。独裁が、辿る道である。


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    下記の目次でけさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    現代自は部品不足で操業中止

    中国は信用不安が一気に襲う

    韓国は慢性的な「低圧経済」

    韓国GDPは今年0.5%増も

     

    中国武漢市を発症地とする「新型コロナウイルス」は、死者2000人(2月18日)を越す大惨事である。ウイルス発症を隠蔽する、という初動ミスがもたらしたものだ。日本にも飛び火しており改めて、「情報隠蔽」による被害の大きさを示している。現時点で、韓国の感染者は少ないが、経済面で深刻な影響を受けるのは不可避である。

     

    現代自は部品不足で操業中止

    韓国の被害は、次のような面から受けている。詳細は、後で触れる。

    (1)中国向け輸出の減少。中国企業が操業中止で韓国の供給する中間財輸出が停滞。

    (2)中国からの部品輸入杜絶。中国の部品供給に依存しており、国内企業は操業休止。

    (3)国内消費の減退。市民は、コロナウイルス感染を恐れて外出を控え、消費が低迷。

     

    韓国の貿易構造(2018年 JETRO調査)の国別構成比は、次のようになっている。

        輸 出   輸 入

    中国 26.8%  19.9%

    米国 12.0%  11.0%

    日本  5.0%  10.2%

     

    これを見ると、韓国は輸出入において中国と密接不可分の関係にある。韓国は、対外投資の3分の1は中国である。地理的に近いというほかに、韓国国内で労組による猛烈な賃金攻勢に遭遇して、中国へシフトする形となってきた。本来であれば、韓国で設備投資する企業が、韓国労組の賃上げ攻勢を恐れて中国へ工場を移転した形だ。中国が、新型コロナウイルス発症で身動きできない事態になると、韓国がその影響を最も強く受けるのは致し方ない。

     


    以上によって、韓国と中国との経済的な結びつきを見てきた。今後の動向において、カギを握るのは中国のコロナウイルス感染症の沈静時期がいつかにかかってくる。

     

    中国国家衛生健康委員会は、中国本土のコロナウイルス感染者が18日に1749人増えたと発表した。新たな感染者は17日の1886人から減少、1月29日以来の低水準となった。中国本土での感染者は累計で7万4185人、死者は計2004人に達した。死者の約4分の3は武漢市で確認された。

     

    震源地の湖北省で18日に確認された新たな感染者数は、2月11日以来の低水準となった。この沈静化状態が今後も続くかどうかである。仮に、2月中にピークを確認できれば、若干の希望も持てるだろう。それでも「終息宣言」が出るのは、はるか先のことだ。世界中で新規感染者が出なくなった2ヶ月後である。それまでは、警戒体制が続く。韓国経済が「一陽来復」となるまでには夏場に入るであろう。

     

    韓国企業の中で、中国からの部品輸入に最も依存しているのは自動車産業である。現代自動車は、部品供給の中国依存度が8割ときわめて高い。その高依存度による欠陥が、今回の新型コロナウイルス感染で全面的に出ている。

     

    現代自動車グループが19日、新型コロナウイルスの余波で休業を延長した。原因は、自動車の神経網の役割をする中国製ワイヤーハーネス供給が不安定なためだ。休業期間延長により現代自動車グループは、生産面で2兆ウォン(約1900億円)近い支障が出ると予測されている。

     

    韓国経済への影響は、このように中国の動向にかかっている。習近平国家主席は最近、国営テレビで今年の経済成長率は目標を達成すると強気発言をした。つまり、「6%前後」の成長率を達成するというのだが、誰もこういう超楽観論に耳を傾ける者はいない。達成できるような客観情勢にないからだ。



    中国は信用不安が一気に襲う

    『ブルームバーグ』(2月18日付)は、次のよう報じている。

     

    エコノミストらは今年1~3月(第1四半期)の中国GDP伸び率予想を引き下げている。

    1月31日発表からこれまでにエコノミストらが示した予想の中央値は4%と、1月22日調査の5.9%を下回った。4%のGDP伸び率になれば、1990年以来最低水準になる。2020年の伸び率見通しも5.5%前後と、1月の5.9%から引き下げられている。

     

    1~3月期の中国GDPについて、世界の著名機関が発表している予測値(中央値)は、4%である。中央値とは、数値を大きい順に並べてその中央の値である。平均値とは異なる。中立的な数値という意味で、1~3月期のGDP成長率が4%となれば、経済環境は激変と呼ぶ状況だ。いわゆる、ショックと言えるほどの急減速である。中国経済は、この衝撃に耐えられるかが問題になる。(つづく)

     

     

     

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    韓国進歩派はこれまで、ナチスの全体主義に通じる「敵―味方論」に立っていると指摘されてきた。その生きた見本が表れて騒然としている。商店主が、文大統領の質問に「景気は悪い」と答えたばかりに、文支持者からネット上で非難攻撃される思わざる事態に巻き込まれている。「景気が悪い」と言ったことが「不敬罪」に当るというメチャクチャな理屈である。

     

    ことの顛末は次のようなものである。『朝鮮日報』(2月18日付)が、以下のように報じた。

     

    「今月9日、忠清南道牙山の伝統市場に立ち寄った文大統領は、市場の商人たちに会った。このとき文大統領は、ある総菜店を訪れ、商人に挨拶したあと「(景気は)どうですか」と尋ねた。商人のAさんは「ろくでもないですよ。全く商売にならない」「どうなってるんですか。だんだん…。景気があまりにも悪い」と答えた。この言葉づかいが、大統領に対して敬意を示さない「不敬罪」というのである。このやり取りが、SNS上で取り挙げられた」

     

    「店主のAさんに対する人格攻撃性のコメントも寄せられ始めた。事実上の「不買運動」をけしかける内容である。店主の個人情報も暴露された。営む惣菜店の商号名や住所、携帯電話の番号もコメントを通じて一気に公開された。「この店には一生行かない」というコメントと共に投稿された動画のスクリーンショットには631人から「いいね」がついたほど」

     

    こういう文支持者(ムンパ)は狂信集団といえるが、文氏はこういう層によって支えられていることが分かる。文大統領への言葉づかいが悪いと言って、このように言論の「集団リンチ」を加える事態は余りにも異常すぎる現象だ。文大統領が、支持者向けの政策しか行なわない背景も、これが影響しているのであろう。「身内政治」の極致と言える。

     


    『朝鮮日報』(2月19日付)は、「文大統領・党指導部の黙認がムンパたちの無差別攻撃を助長」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の熱狂的な支持勢力(親文派)は、同じ進歩系列であっても文大統領や政府に少しでも異論を唱えれば容赦なく成敗してきた。政界では「文大統領と与党指導部がこうした勢力の逸脱行為を正さず黙認してきたせいで、問題がさらに大きくなっている」との指摘が出ている」。

     

    韓国政治の歪みを示している。文支持者の熱狂的行動が、民主主義の原点である言論の自由を破壊していることに気付かないのだ。文氏自身が、それを止めさせない点も異常である。

     

    (2)「共に民主党の幹部関係者は、「ムンパたちを制止する必要があるが、文大統領がそのような振る舞いを容認する一種のガイドラインを与えたことから、誰も簡単には動けない状況」だと話した。過激な支持層の振る舞いは民主主義の主要な原理である多様性を否定し、確実性を強要している。チョ・グク前法務部長官の人事聴聞委員を務めた鄭成湖(チョン・ソンホ)議員(共に民主党)は聴聞会当時、別の与党委員らと同様に野党の攻勢を遮り「防御陣の構築」の役割を果たした。しかし、チョ前長官が辞任した後、フェイスブックに「責任を痛感している者が一人もいない」と書き込んだ。すると親文派の支持層はオンライン上で「ついに本性を現した」として「コメント爆弾」を浴びせた」

     

    「共に民主党」の議員でも政府へ苦言を呈すると、とたんに「コメント爆弾」を浴びせてくるという。これは一切の発言を封じるという危険な動きである。総選挙を前にして、文支持者の異常行動はヤリ玉に挙げられるだろう。文政権は、早くこういう狂信集団を制御しないと「小火」が「大火」になる危険性が高い。

     

    前述の総菜店には、文支持者の非難攻撃に同情して遠方から、わざわざ買い物に訪れる人たちが増えているという。『朝鮮日報』(2月19日付)が、次のよう報じた。

     

    「19日午前、店主のAさんのいない総菜店には遠方からの客が次々と訪れた。牙山に隣接する天安から来たという60代の夫婦は「この店があの店か」と尋ねると、チャプチェや漬物などの総菜4種類を購入した。イさん(61)は「店主が大変だと一言言っていたが、それで不買運動をするというニュースを聞いて、わざわざ来た」「社長が出勤したらまた訪れたい」と話して去っていった。牛肉のしょうゆ煮と煮豆を購入したイさん(40)は「写真を見て同じ商店を探し回った。大統領に対して暮らしが苦しいと言うこともできない国なのか」と話した」

     

    前日はさっぱり売れず、総菜が100点以上余っていたのとは対照的に、この日は午前中に作った総菜が午後23時には売り切れた。温陽温泉市場商人会の事務所にも午前から惣菜店について問い合わせる電話が数十件かかってきたという。惣菜店の店員たちは「大田、平沢、ソウルからわざわざ来たという方々が、それぞれ10万ウォン(約9300円)分の総菜を買っていった」と話した。温陽温泉市場商人会のオ・ウンホ会長は「(Aさんを)応援すると言って連絡先や商号を尋ねる方も多かった」と話した。Aさんはこの日午後、遅い時間に店にやって来た。「(大変な事態になっているが)それでも暮らしていかないとね。誰が何と言おうと」

     

    熱狂的な文支持者の異常行動は、4月15日の総選挙では確実にマイナス材料として働くであろう。進歩派のベールを剥がしてみると、およそ進歩派という名に値しない集団が中核を形成しているようである。韓国は救われない。

     

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