勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    117
       

    文大統領は、北朝鮮の核放棄が「すぐにでも合意か」と言った楽観論を唱えてきた。これは、国内向けで支持率を引上げる目的であった。ところが、その楽観論が米朝のトップにも伝わっており、現在は「文を信用できない」と警戒されているのだ。

     

    『朝鮮日報』(12月11日付)は、「米朝双方から『透明人間』扱いされる文大統領」と題する社説を掲載した。

     

    米国が、北朝鮮の挑発拡大の兆しと関連して国連安保理の召集を要求した。米国の召集要求は2017年北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射して以来、2年ぶりだ。このところ米朝は「金正恩(キム・ジョンウン)が敵対行動をしたら全てを失うだろう」(トランプ大統領)、「われわれは失うものはない」(金英哲〈キム・ヨンチョル〉)など、既に「舌戦」を始めている。

     

    (1)「トランプ大統領はツイッター上で「北が非核化の約束を守るべき」と強調しつつ、意見の一致を見たところとしてNATO(北大西洋条約機構)・中国・ロシア・日本・世界」とだけ列挙した。「韓国」は言及しなかった。非核化を語りながらも、北朝鮮の最大の被害国にして直接の当事者である韓国を省いたのだ。しかも韓国は同盟国だ。北朝鮮も、韓国と文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「目に見えない」存在として扱っている。今年9月の北朝鮮政権樹立日の動画を見ると、金正恩委員長がトランプ大統領、習近平国家主席、プーチン大統領と会っている姿しか出てこない。文大統領と3度会談した場面は一つもない。「全部削除」して無視したのだ。北は「おびえた犬」「ゆでた牛の頭」といった悪口を言うときを除くと、韓国政府の方を見もしない。米朝双方が、文大統領を「透明人間」扱いしている」

     

    下線をつけた部分は、韓国メディアとしても残念であろう。普段は批判している文氏でも、海外からあからさまに軽視されると腹立たしく思うもの。その無念の気持ちはよく分かる。文氏が、トランプ氏から軽んじられたのはもっともな理由がある。GSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)で、あれだけ米国を手こずらせたのだから当然のこと。身から出たサビである。

     

    (2)「これは文大統領が自ら招いたことだ。米国は、韓国が金正恩委員長の非核化の約束を誇張して伝えたと疑っている。トランプ大統領は「文大統領から伝え聞いたことと北の態度がなぜ違うのか」と不満だったという。金正恩は金正恩で、ハノイ米朝首脳会談が壊れた後、文大統領の話を聞いて物事がおかしくなったかのように言い訳をしているという」

     

    ベトナムの米朝会談では、金正恩氏はすっかり話がまとまると思い込み出かけた。事前の文氏の甘い情報に騙されたのだ。トランプ氏は、最初から話をまとめる積もりはなく「決裂」を決めていた。この事前情報は、日本だけに伝えられ、韓国は除外した。多分、文を甘いと見限って、相手にしなかったのだろう。

     

    文氏は、米朝双方から無視されて、「透明人間」扱いだ。気の毒に思うが、文氏の最大の欠陥は「思い込み」が強烈に強いこと。反日もこれである。学生時代から、筋金入りの「反日主義」であったに違いない。今さら、方向転換できないだ。

     

    (3)「金正恩がこういう形の交渉を通して核を放棄するはずがないという現実から目を背け、希望的な思考と国内政治上の欲から、全く考えが違う米朝双方をあえて対面させたものの、結局は面倒なことが起きた。トランプと金正恩は、韓国の大統領を最初から抜きにして、二者の間で韓半島の運命を決定しようという構えだ。無謀な衝突が起こりかねず、見せかけの合意で北朝鮮を核保有国にしてしまうこともあり得る。それなのに、青瓦台(韓国大統領府)は、政権が発足してから一番うまくいったことは何かという質問に「韓半島に平和を定着させた」と答えている。大変なことだ」

     

    韓国大統領府の秘書官は、元学生運動家である。文大統領と同じような経歴の持ち主が集まってきた。各省庁には優秀な官僚がいても、彼らを排除して意見を聞こうとしないのだ。こういう偏屈な集団が、生兵法で施策を決めて韓国政治を動かしている。成功するはずがない。

     

    テイカカズラ
       

    中国は、大法螺を吹くことが特技である。2016年10月、SDR(特別引出権)への昇格時には、IMF(国際通貨基金)を抱き込んで、おいおい資本勘定の規制撤廃と自由変動相場制にすると約束した。今になっても実現せず、空手形のままだ。IMFも「共同正犯」である。当欄は、人民元のSDR化は時期尚早と反対論を打った。当然だが、誰も聞く人はいなかった。

     

    GDP世界2位の国家が、資本勘定自由化も自由変動相場制にも移行できないのは、本質的に経済構造が脆弱な結果だ。中国は実体的に、GDP2位の力量を伴っていないことを示している。無理に無理を重ね、延びきった経済である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月11日付)は、「人民元の国際化 データから見る厳しい現実 」と題する記事を掲載した。 

     

    中国人民元の影響力は拡大していると言われてきた。人民元はいずれ、世界の基軸通貨としてドルの地位を脅かす存在になるか、最低でも、複数の基軸通貨が存在する新たなシステムの到来を告げると言われてきた。しかし、実際の国際的取引での人民元の利用に関するデータや、過去10年の極めて遅々とした進展状況からは、厳しい現実が見えてくる。

     

    (1)「国際決済銀行銀行(BIS)が今週公表したデータは、人民元の国際的役割について悲観的な印象を与える新たな一例となった。世界最大の貿易国としての中国の規模に比して、人民元の影響力は極めて期待外れの状況にある。人民元の外為取引の総額は、中国の貿易総額の約14倍になっている。この倍率はユーロ、円、ドルに比べて小さい。ユーロの同倍率は約40倍となっている。ユーロ圏の貿易の多くがユーロ圏内で行われているにもかかわらずだ。円は160倍、ドルは273倍だ」

     

    世界最大貿易国の中国は、人民元の外為取引が貿易総額の14倍と少なく驚きである。これは、中国輸出の半分が外資系企業によるので、外資系企業の通貨で決済していると見られる。円は貿易総額の160倍。ドルは273倍と人民元と格が違うことを見せつけている。これが、国際社会における「実力番付」であろう。

     

    (2)「国際通貨基金(IMF)が今年作成したデータによると、ドル建てで行われた貿易の比率で見ると、中国は他の全ての調査対象国を上回った。ブラジルやインドネシアといった新興国でさえ、より多様な通貨が貿易決済に使われている」

     

     

    中国では、圧倒的にドル決済が多い。中国は、対米輸出が首位であるから当然の結果であろう。中国は、米国と経済的な結びつきがもっとも強いことを示している。米中貿易戦争が、中国にとって大きな負担であることを物語る。

     

    (3)「人民元の熱狂的な信者たちは、まだ影響力は小さいものの、大きくなりつつあると主張するかもしれない。しかし、データはそれについても裏付けをほとんど示していない。人民元のオフショア取引は20164月から20194月の間に25.3%増加した。金額は大きいものの、伸び律はインドルピー、ブラジルレアル、韓国ウォン、ロシアルーブルを下回っている

     

    人民元のオフショア取引(外―外)は、2016年4月~19年4月の間で25.3%増に過ぎなかった。この増加率は、ルピー・レアル・ウォン・ルーブルなどを下回った。中国政府が、オフショア取引を抑制してオンショア取引(内―内)への影響を防ぐという意図に他ならない。こうやって人民元相場の投機による急落を回避しているのだ。毎日、薄氷を踏む思いで日々を過ごしているに違いない。

     

    (4)「人民元の国際化に関する話は当初こそ熱狂的に報じられたが、その後の続報が少ないため、順調に前進しているかのような印象を受ける。しかし、現実には、多くの取り組みが縮小したり、計画倒れになったりしている。国際的に利用される通貨の強さは、保有者がその通貨で何をできるかにかかっている。人民元の場合、資本勘定は総じて閉鎖的で、資産市場は「超」がつくほど投機的であり、他の通貨と比べて魅力的とは言えない。 そうした状況に変化がないのであれば、人民元の国際的役割をめぐる論議は、絵空事ばかりで実際の進展を伴わない内容と心得ておくべきだ。国際金融での新たな役割に関する人民元の発表があるとしても、話半分で聞いておくべきだろう」

     

    中国は、外貨準備高3兆ドル保有に国威をかけている。経済的な意味はゼロだが、発展途上国に対して、「こけおどし」の意味を持たせている。中国が経済的に豊かであるかを見せつける「ショーウインドー」的な役割を担わせているのだ。そのために、資本勘定に規制をかけて自由な移動を抑えている。こう見ると、人民元は「木偶坊」になっていることが分かる。

     

     

     

     

     

    a0001_000268_m
       

    けさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    中国から外交的揺さぶり

    米軍撤退で中国の核の傘

    文政権の本質は全体主義

    英誌が証明する李朝極貧

     

    韓国は、米国の強い圧力によってGSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)の「休止一時撤回」以後、中国からも強い圧力がかかっている。韓国を巡る米中の綱引きが始まったのだ。中国は、韓国が設置したTHAAD(超高高度ミサイル網)の撤去を要求している。THAADについては、レーダー照射範囲は北朝鮮領土に限定している。中国本土に何らの影響もないことは、中国が重々承知のはず。ただ、「ごねている」のだ。

     

    中国から外交的揺さぶり

    中国は、明らかにTHAADを取引材料にして、韓国を外交的に揺さぶっている。このように韓国が、中国から外交的な標的にされているのは、次のような理由が考えられる。

     

    .韓国は、日清戦争(1894~95年)直前まで、中国の支配を受けてきた。中国が、旧宗主国にあたる。中国の言い分には、盲目的に従う「事大主義」がはびこっている。

    .韓国は、儒教国家であり価値観が中国と酷似している。

    .韓国進歩派は南北統一が宿願であり、中国の支援を受けざるを得ないと思い込んでいる。

    .韓国進歩派は、朝鮮戦争を「民族解放戦争」と位置づけており、中朝に寛容である。

     

    中国は、韓国を外交的に揺さぶり続ければ、いずれ米韓同盟の枠から飛び出し、中朝陣営に加わるのでないかという期待を持っていることは疑いない。

     

    中国の王毅外相は12月4日、訪韓して韓国へ「クセ玉」を投げ込んだ。中国の習近平国家主席の訪韓を、THAAD撤去と交換条件にすることを示唆したのだ。在韓中国大使は、はっきりと習近平訪韓=THAAD撤去を要求した。THAADは安全保障問題である。国家主権に関わる重大事だ。THAAD問題が、習近平国家主席の訪韓条件にされることは、韓国の国家主権を踏みにじられること。中国が、韓国に対しこういう越権行為を要求するのは、中韓が対等な外交関係にない証拠である。

     

    韓国は、米国の軍事同盟国である。その韓国に対して、米韓同盟をひび割れさせる前提でTHAAD撤廃を要求するのは異常である。米中貿易戦争で緊張関係を強いられている中国が、韓国へ嫌がらせして米国へ一矢報いていると見るほかない。

     

    中国は、同じ米国の軍事同盟国である日本に対して、このような国家主権を蹂躙する愚かな要求を出すことはない。仮に出したとすれば、日本がたちどころに拒否することを知っているからだろう。とすれば、中国は韓国を「小国扱い」した無礼な態度と言える。

     

    米軍撤退で中国の核の傘

    韓国が、中国から「小国扱い」されるような振る舞いしていることも事実だ。民主主義国の韓国が、独裁政治国の中国へ外交的に依存する。そういう異常な言動が、韓国大統領府高官から飛び出して話題になっている。それは、次のような内容である。

     

    文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は12月4日、国立外交院の外交安保研究所が開催した国際会議で、「もし北朝鮮の非核化が行われていない状態で、在韓米軍が撤退したら、中国が韓国に『核の傘』を提供し、その状態で北朝鮮との交渉をする案はどうだろうか」と述べたのだ『朝鮮日報』(12月5日付)。

     

    文特別補佐官は、この会議で司会を務めている際、このような突発的な質問を中国側の参加者に投げかけた。大統領安保特別補佐官たる者が、在韓米軍の撤退を仮定して、中国に韓国の安保を任せればどうかと尋ねること自体が禁句である。こういう微妙な問題が、ためらいもなく口からさっと飛び出てきたことは、大統領府で日常的に話合われていることを伺わせているのだ。

     

    韓国は、「自由と民主主義」を国是としている。文政権は、この国是から勝手に「自由」を外して、「民主主義」だけにしてしまった。これは、北朝鮮との統一を前提にした結果と見られている。北朝鮮にも「人民民主主義」という言葉がある。韓国も、これに併せて「民主主義」だけにしたと見られている。(つづく)

     

    テイカカズラ
       


    韓国経済が揺らいでいる。今年のGDP成長率は、「2%割れ」が定説になってきた。潜在成長率は2.5%とされているから、大幅なマイナス・ギャップに落込んでいる。来年の企業格付けは、全面的な引下が予告された。実質的な失業率は上昇の一途である。

     

    それでも、「反日」となれば結束する。文政権の中身のない「平等・公平」なるお題目を無批判に受入れている大衆。この呪文に酔って、国民が「心中」しかねないリスクの中で生活している異常な事態だ。外国人投資家から見れば、「クレージー」に映るはず。韓国株を売る理由には事欠かないのだ。

     

    麻生副首相は9日発売の『文藝春秋』2020年1月号で、「万が一、韓国側が徴用工判決で差押えしている民間企業の資産の現金化などを実行したら」「厳しい例をあえて言えば」と前提を付けて次のように話した。「韓国との貿易を見直したり、金融制裁に踏み切ったり、やり方は色々ある」と。その上で「いずれにしても、日本より経済規模の小さい韓国が先に疲弊するのは間違いない。その上で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がどういう判断をするのか、ということ」。以上は、『中央日報』(12月11日付)が報じた。

     

    韓国は薄氷を踏んでいるのだが、その自覚がゼロである。外国人投資家から見れば、危ない投資先に映って当然であろう。連日、韓国株を売り払って逃げ出している。

     

    『韓国経済新聞』(12月11日付)は、「尋常でない外国人資金流出、株式・債券39億ドル売り払う」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「11月、韓国の株式市場と債券市場で39億6000万ドルの外国人資金が流出した。13カ月来の最大規模だ。韓国経済のファンダメンタルズ(基礎体力)に対する懸念が広がる中で米中貿易対立、北朝鮮の核リスクなどが再浮上すると外国人投資家が韓国金融市場から手を引いているのではないかとの分析が出ている」

     

    下線をつけた部分が重要である。「ファンダメンタルズ」とは、懐かしい言葉だ。日本もバブル経済崩壊後、新聞に頻繁に出た文字である。韓国が、そのファンダメンタルズが問われている。もはや、腐りかかった土台になってきた。生産年齢人口の急減こそ、韓国経済がもはや立て直し不可能な未来を暗示している。外国人投資家が、「ヤバイ」と思うのは致し方ない。

     

    (2)「韓国銀行が10日に発表した「国際金融・外国為替市場動向」を見ると、先月の外国人の韓国株式・債券投資資金は39億6000万ドルの純流出となった。昨年10月に42億7000万ドルが抜け出てからの1年1カ月で最も多い規模だ。株式市場で24億4000万ドル、債券市場では15億2000万ドルを売り越した。株式市場では8月から4カ月連続外国人投資家の売り越しが続いた」

     

    これだけの大量の売越しになった裏には、日韓対立も響いているはずだ。日本の対外的な信用は抜群である。その日本に対して不条理な喧嘩を売り、「反日不買」を仕掛けてくる。冷静に見れば、日韓どちらに勝ち目があるか、判断するはずだ。

    (3)「外国人投資家が韓国の金融市場で資金を引き上げウォン安も進んでいる。ブルームバーグによると10月末から今月6日まで対ドルでウォンは2.2%下がった。同じ期間に世界の主要13通貨のうちウォンより下落幅が大きかったのはブラジルのレアルの3.0%だけだった

    ウォン相場が、下げ基調である、「マジノ線」と言われる1ドル=1200ウォン割れ寸前である。皮一枚で首が繋がっている状態だ。経済の混乱するブラジル・レアル相場並の低評価である。実力もないのに、世界一の「安全通貨」日本へ喧嘩を売っている咎めであろう。

     

    (4)「外国人投資家は8月から先月まで4カ月連続で株式市場で「売り」の動きを見せた。この期間に有価証券市場・KOSDAQ市場で51億6000万ドル相当の株式を売り越した。外国人投資家の売り攻勢は時間が過ぎるほど強まっている。先月7日から今月5日まで21日連続で売り優位を見せ4年ぶりに最長売り越し記録を塗り替えた」

     

    下線をつけた部分は、外国人投資家の売り姿勢が時間の経過とともに強くなっている。その背景は、韓国経済の実勢悪がよりハッキリ浮かび上がっているからだ。

     

    (5)「金融市場専門家らは最大の理由として韓国の景気鈍化と企業の業績不振への懸念を挙げている。今年の経済成長率が1%台に落ちると予想されているところに輸出が昨年12月から今年10月まで11カ月連続で減少を記録するなど韓国に対する投資リスクが大きくなっているという判断だ」

    韓国経済は輸出依存であることが、景気を不安定にさせている。理由はこれだけでない。安定しているべき内需が、最低賃金の大幅引上げで構造的に萎縮してしまった点が大きい。文在寅氏が、「福の神」でなく「貧乏神」である結果である。

    a0960_008564_m
       

    デフォルトの波は国有企業まで及んできた。地方政府の財政逼迫が原因である。国有企業を救済する余力を失ったのだ。まさに、「中国経済の敗戦前夜」である。ここまで追い込まれる前に、打つ手はあったはず。債務で事業拡張する。そういうリスクをなんら計算に入れなかった経営ミスが生んだものである。

     

    『ロイター』(12月10日付)は、「中国国有企業がまたデフォルト、財務状態に懸念広がる」と題する記事を掲載した。

     

    中国の内モンゴル自治区の国有企業が私募方式で発行した約10億元(約1億4210万ドル)の債券の一部が先週末、デフォルト(債務不履行)に陥った。中国地方政府では国有企業のデフォルトが相次いでおり、景気が減速する中で連鎖リスクが懸念されている。

    フフホト市政府が所有するフフホト経済技術開発区の投資会社は9日、返済期限が6日に過ぎた債務の返済手続きを進めていると発表した。

     

    (1)「格付け会社ムーディーズによると、中国の地方政府は2018年時点で7兆6000億元の財政赤字を抱えている。米中貿易戦争で痛んだ経済をてこ入れするために中央政府は減税と財政支出の拡大に取り組んでおり、財政負担はさらに高まる可能性がある。インダストリアル・セキュリティーズのアナリスト、フアン・ウェピン氏は週末のリポートで「地方政府は依然、隠れた債務に相当な強い返済圧力を受けている」と指摘し、財政的に脆弱な地方政府が所有する金融特別会社について強く警戒するよう投資家に呼び掛けた」

     

    中国中央政府は、見栄を張って財政赤字を地方政府に背負わせる戦術をとってきた。また、国有企業の債務でインフラ事業を行なうなど、「債務隠し」に懸命だった。今そのウソが、暴き出されているのだろう。国有企業のデフォルトになって過去のウミが表れている。習近平氏のメンツを立てるための無理な経済成長。そういう前近代的な理由が、すべての原因である。

     

    (2)「ロイターが入手した目論見書によると、フフホト経済技術開発区は16年、銀行融資の返済や建設プロジェクトの資金手当て、資本の補充を目的に10億元相当の債券を私募方式で発行していた。この企業のサイトによると、事業内容は不動産から水システム開発、インフラ建設と多岐にわたる。政府系の上海証券報が今月9日報じたところでは、中国の銀行間精算機関は7日、期限の6日までに同開発区から利息を全額は受け取っていないとする通知を出した。最近では北京方正集団と天津物産集団の国営2社も債券のデフォルトを起こしており、国有企業の財務状態に懸念が広がった」

     

    倒産企業の事業内容は、不動産から水システム開発、インフラ建設と多岐にわたる。インフラ投資を手がけながら、副業で不動産事業にも手を出しており、資金繰りがつかなかったのであろう。これまで、国有企業の倒産は希有とされてきた。地方政府の意財政が悪化しており、もはや企業を庇いきれなくなったのだ。

     

    (3)「中国の債券市場ではこれまで、国有企業のデフォルトはかなり異例だった。ロイターの集計では、今年これまでのデフォルト件数は民間企業が42件なのに対し、国有企業は6件だ。一方、格付け会社フィッチによると、中国民間企業のデフォルト件数は今年、過去最多を記録している

     

    ロイター調査では、今年に入ってこれまでの大型デフォルト件数は、民間42件、国有企業6件という。日本の不動産バブル崩壊後の倒産は社会問題になったが、件数的にこれほどの酷い状況ではなかった。空前絶後のバブル経済崩壊のすさまじさが見て取れるのだ。

     

     

    このページのトップヘ