勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    逆走する韓国の働き方改革

    失業者増加は不可避の時代

    反日煽動で失う潜在成長力

    日本へ来る韓国余剰労働力

     

    韓国は、文在寅政権が発足以来、就業構造が崩壊した。自営業が、韓国経済の末端を支え、雇用の場を提供してきた。サラリーマンは、定年や中途の退職後に「自分の店を持つ」のが夢だった。その理想郷が、最低賃金の大幅引上げと週52時間労働制で存在不可能になった。

     

    自営業には、過去2年間で約29%もの最低賃金大幅引上げに耐えられる収益力がなかった。また、週52時間労働制は、残業時間も含むもので、支払い賃金総額は大きく膨れあがった。こうして、先ず自営業から労働者の解雇が始まり、この波は中小企業にまで広がっている。韓国は、「失業半島」に変わったのだ。

     

    逆走する韓国の働き方改革

    もちろん、最低賃金引上げ、労働時間短縮は「働き改革」で実現すべきテーマである。だが、短兵急な実現は弊害を伴うもの。賃金支払い側が、それに見合う体制を整えられない段階で、罰則を伴う実現を迫ったからである。最低賃金引上げと労働時間短縮には、企業の諸規制を撤廃し、労働市場の流動化という環境整備が前提になる。

     

    文政権は、反企業主義の立場である。資本家は労働者を搾取するという、「マルクス主義」の見方である。労働者の敵である資本家が苦しむのは、当然の報いという認識である。これでは、生産性引上げなど不可能であり、文政権になって失業者が増える結果となった。だが、これを隠すために、公費による短時間アルバイトを大量に雇って、失業者増加をカムフラージュしてきた。やることが全て、正統派経済政策からかけ離れていたのである。

     

    過去、3年に及ぶ文政権の経済政策は、企業を圧迫するものばかりだ。これが、大企業を中心に海外転出へ拍車をかける結果となり、産業空洞化を引き起こしている。ここへ降って湧いたのが、新型コロナウイルス禍である。文政権が当初、感染終息に向けた楽観論を流したことが仇となり、爆発的な感染者急増をもたらした。感染者累積数は、1万人を超えている。文政権は、意図せざる結果とは言え、韓国経済を徹底的に脆弱化させる方向へリードしてしまった。

     


    この損失のリカバリーは、もはや不可能であろう。もともと、国民の半分は改革に反対の層である。労働者の利益だけに固執する進歩派政党支持の党派性が、国民全体の利益増進理念を排除する欠陥をもたらした。その根底には、「資本家は敵」という前世紀の遺物が牢固として根付いている。ここからの脱却は、不可能と言えるほど強固だ。仮に、保守派が政権へ復帰しても、改革は不徹底にならざるを得まい。韓国経済は、衰退局面から脱し得ないままに、後退過程を辿るほかないと見る。

     

    安定的な雇用の受け皿は、製造業の発展に依存する。その製造業の好不況を端的に示す指標として、PMI(購買担当者景気指数)がある。これは、50以上であれば「好況」、50以下であれば「不況」と解釈されている。韓国製造業PMIの推移を見たい。

     

    2020年3月 44.

         2月 48.

         1月 49.

     19年12月 50.1★

        11月 49.

        10月 48.

         9月 48.

         8月 49.

         7月 47.

         6月 47.

         5月 48.

         4月 50.2★

         3月 48.

         2月 47.

         1月 48.

     18年12月 49.

        11月 48.

        10月 51.0★

         9月 51.3★

         8月 49.

         7月 48.

         6月 49.

         5月 48.

         4月 48.

         3月 49.

         2月 50.3★

         1月 50.7★

    (出所:韓国 日経製造業購買担当者景気指数、★は50以上を示す)

     

    前記の数値で★は、50以上を示すが数えるほどしかない。それだけ、韓国製造業の景況が悪化している証拠である。雇用削減が、進んでいることを示唆するのだ。OECD(経済開発協力機構)において2008~18年の間に、韓国の青年(15~29歳)失業者は28.3%増加したが、OECD平均では13.9%減少したという結果が出ている。これは、韓国製造業の景況感が悪化している結果である。(つづく)

     

     

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    世界は、新型コロナウイルスに直撃されて大混乱の極にある。だが、その中で少しずつ欧米の混乱が落ち着きそうな気配である。「ポスト・コロナ」を手探りで知ろうという動きが出て来た。新型コロナウイルスが終息するには、ワクチンと画期的な治療薬の開発が不可欠である。それに成功した国が、世界で大きな権力を握るだろうという展望が見え始めてきた。

     

    米国が、科学力を総動員して治療薬とワクチン開発に取り組んでいる。これは、世界覇権をより強固にする狙いも込められている。本欄は、新型コロナウイルスを多角的に取り上げてきた。ワクチン問題も報じた。その意味で、これまでの掲載記事と合せて読んで頂ければ、理解がより深まると思われる。

     

    『日本経済新聞 電子版』(4月8日付)は、「テクノロジーが権力に、仏経済学者ジャック・アタリ氏」と題する記事を掲載した。

    ジャック・アタリ氏は1943年生まれ。仏国立行政学院卒。81~91年、ミッテラン大統領の特別顧問を務めた。91~93年、欧州復興開発銀行の初代総裁。著書に『21世紀の歴史』などがある著名教授である。

     

    (1)「(質問)世界経済を立て直すのに必要なことは。

    (答え)誰も第1の優先事項とは考えていないようだが、ワクチンと治療薬に極めて多額の資金を充てることだ。いくつか支援策は発表されているが、ばかげていると言わざるを得ないほど少額だ。この問題はワクチンや治療薬があれば解決し、なければ解決しない。それにより危機は3カ月で終わるかもしれないし、3年続くかもしれない」

     

    ワクチンと治療薬開発が、現在の世界危機の突破で不可欠な条件である。それは、総合的科学力=総合的国力の勝負である。現状では、米国がその最右翼を走っている。頼もしい限りである。米国は、マスクや防護服が足りずてんてこ舞いしているが、ノーベル科学賞受賞者世界一という実績は燦然と輝いている。総合的科学力は世界一である。

     


    (2)「(質問)人類史的にみて新型コロナはどんな意味を持つのでしょう。

    (答え)権力の変容が起こるとみている。歴史上、大きな感染症は権力の変容を生んできた。例えば15世紀ごろにはペストの発生を機に教会から治安当局に権力が移った。感染者を隔離するなどの力を持ったからだ。その後の感染症で、人々は科学が問題を解決すると考えるようになった。治安当局から医学への権力の移転だ。これまで我々はこの段階にいた。新型コロナの対策ではテクノロジーが力を持っている問題は、テクノロジーを全体主義の道具とするか、利他的かつ他者と共感する手段とすべきか、だ。私が答える『明日の民主主義』は後者だ

     

    ここでは、パンデミックと世界史という大きな視点で歴史を捉えている。現在は、医学からテクノロジーへと権力が移転しているとみている。むろん、医学の力は大きいが、既存の医薬品では新型コロナウイルスに対処できないからだ。テクノロジーによって、ワクチンか特効薬の開発が実らなければ、短期解決が困難となる。後は、「自然治癒」という最悪ケースに落込む。

     

    それゆえテクノロジー国家が、コロナ解決の勝利国になる。そのテクノロジーは、民主主義国が担うことが理想的である。全体主義国が担ったならば、世界は悲劇になる。現在は、その危険な岐路にある。

     

    (3)「(質問)中国では経済活動が再開しつつあります。危機を乗り越えた勝者となるのでしょうか。

    (答え)そうは思わない。技術を持った国としての存在感は高まるが、内政で大きな問題を抱える。米国内が分断を続け、欧州が中国によるアフリカなどへのコロナ支援を黙認する。この2つの"失敗"が起こらない限り、中国が世界の中心にのし上がることはない。中国という国の透明性のなさに、世界からはますます不信の目が向けられる

     

    中国が、生産活動を急ぐのは、2つの理由があろう。一つは、これ以上生産活動を遅らせたならば、中国経済が持たないという危機感である。もう一つは、見栄であろう。中国は新型コロナウイルスを克服したというジェスチャーを見せている。

     

    中国は、今回のコロナウイルス感染の発症地になった、SARS(2003年)に次いで、二度目の震源地である。そういう不透明性が、中国の評価を下げている。その不評をはね返すために、武漢市の封鎖解除を行なうなど安心感を世界に与えようと画策している。しかし、中国の足元はすでに見透かされている。世界覇権に挑戦するという大言壮語は、相当に「割引」される状況である。2度の世界的感染症の震源地という汚名は消えないのだ。政治体制の不透明性に加えて、今回の不祥事は決定的なハンディキャップになった。

     

    (4)「(質問)日本はどう危機から脱するでしょうか。

    (答え)日本は危機対応に必要な要素、すなわち国の結束、知力、技術力、慎重さを全て持った国だ。島国で出入国を管理しやすく、対応も他国に比べると容易だ。危機が終わったとき日本は国力を高めているだろう

     

    日本の非常事態宣言が遅かったという批判がある。だが、企業や個人の休業補助金をしっかり決めない限り、非常事態宣言を出しても不安を煽るだけの結果になりかねない。総合的な取り組みを明示して、「外出自粛」という日本得意の方法に訴えることになった。これは、日本であるから実現可能な方法かもしれない。東日本大震災に見せた団結力やじっと耐える力が発揮されれば、「日本式防疫対策」が成功するであろう。下線の部分は、それを指摘している。日本人が、コロナと世界各国から試されているのだ


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    米中貿易戦争で、中国のファーウェイ(華為)は、米国からの輸出禁止措置を受けている。だが、1月発売のスマホ新製品は、相変わらず米国製品に依存していることが分かった。中国側は、口では「自主独立」を標榜するが、実態はきわめて困難なことを示している。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(4月1日付)は、「ファーウェイ、禁輸後も米社製部品を使用」と題する記事を掲載した。

     

    米政府から事実上の輸出禁止措置を課されている中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、1月に発表したスマートフォンの最新モデルに米国製品を使用していることが、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の分解調査で明らかになった。

     

    (1)「米政府は20195月にファーウェイに禁輸措置を発動しており、米国企業は商務省から個別に許可を得ない限り同社とは取引できない。126日に公表したスマホの最新シリーズ「P40」は同社が禁輸発動後初めて発売した主力製品となる。ファーウェイはトランプ米大統領から中国政府のスパイと名指しされており、禁輸発動後は米国以外の企業から部品を確保しなければならなかった。特に致命的なのは、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」上で動作するアプリ開発・配信プラットフォームを使用できなくなったことだ」

     

    米政府が禁輸相手としたファーウェイが、新製品で米国部品を組み込んでいることが判明した。FTが、スマホの最新シリーズ「P40」の部品分析を依頼した結果である。そのカラクリは、最後のパラグラフで分かるように、世界中の流通網から仕入れた模様だ。この事実が分かった以上、米国政府はそこまで追及の手を広げて、「ファーウェイ退治」に乗出すのか注目される。

     


    (2)「FTは最新モデルの「P40プロ」だけでなく、制裁の直前にファーウェイが発売した19年モデル「P30」も分解して両モデルを比較した。分解作業は深圳に拠点を置くXYZoneが担当した。同社はスマホを分解して部品の供給元を割り出すサービスを提供している。
    携帯電話は同じモデルでも製造時期によって異なる部品を搭載することがある。FTが分解したのは発売直後に入手したP40だ。最も意外だったのは、ファーウェイが米政府から事実上の禁輸措置を課されているにもかかわらず、最新機種に米国部品を搭載していたことだ

     

    ファーウェイが、米国から禁輸措置を受けている部品を組入れている理由は何か。ビジネス上、不可欠であるので採用しているのだが、米国政府と新たな摩擦になることを予測していないのかどうかである。米国が、新たな制裁を加えれば、「それもやむなし」という捨て身の戦法なのか、だ。

     

    (3)「XYZoneの分解調査によると、P40では米半導体メーカー3社(クアルコム、スカイワークス・ソリューションズ、コルボ)の高周波フロントエンドモジュール(FEM)が搭載されていた。FEMはアンテナに接続し、通話やインターネット接続に欠かせない通信用の基幹部品だ。クアルコムの事情に詳しい消息筋によると、最新機種に搭載されている同社製品は米商務省の輸出許可を受けているという。コルボとスカイワークスはコメントの要請に応じなかった。「ファーウェイは1回の製品開発サイクルで多くの米国部品を代替生産し、米政府の制裁への高い対応力を示した。とはいえ、コルボとスカイワークスの半導体が引き続き搭載されているのを見る限り、米国技術への依存から脱却するのは至難の業のようだ」と、中国の調査会社、龍洲経訊(ガベカル・ドラゴノミクス)のテクノロジーアナリスト、王丹(ダン・ワン)氏は分析する」

     

    クアルコムの消息筋によると、最新機種に搭載されている同社製品は米商務省の輸出許可を受けているという。これが事実とすれば、米商務省が「弾力的運用」で認めたのであろう。コルボとスカイワークスは「ノーコメント」だ。これは、ファーウェイが迂回輸入したことを暗に認めたのだろう。いずれにしても、ファーウェイが、次世代ネットワーク「5G」で世界支配を目指していても、技術的には米国依存姿勢を暗示している。米国政府は、新たな「攻め所」が浮上したので、その対策に乗出すに違いない。

     

    (4)「米政府が安全保障上の脅威となる外国企業を列挙した「エンティティー・リスト」にファーウェイを指定したため、米企業は商務省の承認を得ない限り、同社に米国製の技術を輸出できない。一方、ファーウェイ製の無線設備の更新を迫られた米通信事業者の要請に応じ、米政府は米国外でも手に入る汎用部品に限定して輸出を一部認めた。しかし、P40のような最新のハイテク製品に使う部品の輸出は認可していない。米国製品を採用するには商務省に個別に申請する必要があるが、商務省はどの製品を認めたのかまで明らかにしていない。ファーウェイの広報担当者は「米国をはじめ各国の輸出管理規則を常に順守している」としたうえで、「搭載部品はすべて世界中のパートナー企業から合法的に調達している。今後もパートナー企業と連携し、消費者に高品質な製品やサービスを提供していく」と強調した」

     

    ファーウェイは、下線のように答えている。世界中のパートナー企業(提携企業)から合法的に仕入れていると胸を張っている。米司法省は、これまでファーウェイを「イラン禁輸措置違反容疑」で摘発してきた。今回の一件には、どう対応するのか、である。その法的な裁きが注目される。

     

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    予定通りであれば、きょう4月8日に武漢市は封鎖解除される。だが、この封鎖解除は、疫学的見地で決められたものでない。政治的威信回復の目的で決められた「政治ショー」である。武漢市内では、感染者ゼロと認定されていた団地が、すでに70カ所も取り消されているという。感染者が続出しているためだ。

     

    中国指導部は、いかにこの「コロナ事件」を政治的に利用するか、鮮明になっている。国内外の信頼失墜をもたらした新型コロナウイルス問題が、「早期回復」というレッテルに張り替えられれば、それで形勢が逆転するという発想である。韓国の文大統領も同じ手法である。自らの判断ミスが招いた感染者激増を、「手際の良い沈静化」という評価に変えさせているのだ。中韓政府は、国民の目を欺く戦略では、同じ手法である。

     

    『大紀元』(4月7日付)は、「武漢市70カ所の団地の『感染者ゼロ』認定取り消し、無症状感染者の増加で」と題する記事を掲載した。

     

    湖北省武漢市政府はこのほど、新型コロナウイルス感染症の無症状病原体保有者の増加で、「感染者ゼロ団地」と認定された市内70カ所の団地に対して認定を取り消した。武漢市で新型コロナウイルスが依然として猛威を振るっているとみられる。

     

    (1)「中国官製メディア『新華網』46日付によると、武漢市が新たに認定した「感染者ゼロ団地」の数は3日前と比べて45カ所減少した。70カ所の団地は、無症状の感染者が確認されたため、「感染者ゼロ団地」の認定を取り消された。これらの団地は再び封鎖される可能性がある。市政府の規定では、「感染者ゼロ団地」と認定された集合住宅の住民は、各家庭で毎日1人だけが、通行証を持って、生活必需品を購入することができる。毎回の外出時間は2時間内」

     

    中国における都市封鎖の実態が、明らかにされている。「感染者ゼロ団地」に認定されれば、各家庭で毎日1人だけが、生活必需品を購入することができる。毎回の外出時間は2時間内という「牢獄」生活だ。ここまで徹底しても、感染者が根絶できない現状を見ると、新型コロナウイルスの感染力の大きさが改めて浮き彫りになる。一方、検査キットの品質にも問題のあることを指摘できる。

     


    中国のコロナ感染調査キットは、海外に送られたものから判明した検査能力が、きわめて劣っていることを暴露した。通常、80%の検知能力があれば「合格」とされているが、中国製は30%以下である。この結果、海外からは「不良品」として返品されている代物だ。ブラジル政府の閣僚は、「中国企業は金儲け主義」と猛批判して物議を醸している。検査キットの不良品をヤリ玉に上げたものであろう。中国のこういう杜撰な検査キットでは、「陽性者」が巷にウヨウヨしているはずだ。これでは、感染者が続出して当然であろう。

     

    (2)「湖北省政府は324日、武漢市の封鎖措置を48日午前0時に解除すると発表した。しかし、43日、武漢市当局は各区政府に対して、これまでの外出・移動規制をさらに強化するよう要求した。中国当局や武漢市当局はこのほど、武漢市での新規感染者が「ゼロ」になったと発表しているが、SNS上では、武漢市民や医師らは新たな感染者について情報を発信している」

     

    武漢市は4月8日、封鎖解除すると発表した。だが、皮肉なことに4月3日、これまでの外出・移動規制をさらに強化するよう要求した。このチグハグな動きを見ると、武漢市の封鎖解除は政治ショーであることが、ますます明らかになってくる。

     

    (3)「中国メディア『中国新聞週刊』325日の報道は、武漢市にある華中科技大学公共衛生学院の鄔堂春(ウ ドウシュン)教授が率いる研究チームの研究論文を引用した。論文は医学分野の国際プレプリントサービス『medRxiv』に掲載された。これによると、武漢市の感染者の56%の人は、無症状、または軽症であるために「気づかれなかった」という。国内外世論の批判を受けて、中国当局は41日から無症状病原体保有者の人数を公表した」

     

    華中科技大学公共衛生学院の研究論文では、武漢市の感染者56%は、無症状、または軽症であるために「気づかれなかった」という。これは、前述の通り検査キットの精度が著しく落ちる「調査ミス」によるものだろう。「武漢市の感染者56%は、無症状、または軽症」という指摘は、責任逃れの「ウソ発表」と断じるほかない。無症状者が余りにも多すぎるからだ。中国の医療レベルの一端を物語っている。

     

    (4)「武漢市のネットユーザーの間では、最近、上海市医療支援チームから得た情報を相次いで転載している。支援チームの医師は、武漢市の現在の感染状況は都市封鎖措置を実施し始めた当時よりも深刻で、「病院で毎日、新しい感染者が確認されている」「(外出時)地下鉄やバスなどを利用しないで」と警告したという」

     

    武漢市における感染状況は現在、都市封鎖措置を実施し始めた当時よりも深刻とされている。この状態で、中国政府は封鎖解除するというのだ。ため息が出るほど杜撰な防疫体制である。中国が、このまま武漢市の封鎖解除をすれば、中国全土は、「感染第二波」に巻き込まれであろう。

     

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    韓国は、あらゆることで日本との競争に生きがいを見出している。新型コロナウイルス感染では、韓国の検査数の多さを自慢してきた。真の自慢は、コロナの死亡者が少ないことにあるはず。韓国は、そういう認識がゼロである。

     

    日本は、政府の非常事態宣言が7日午後23時30分過ぎに官報に掲載されて発効した。5月6日までに日々の感染者数を劇的に引下げる目的である。都市封鎖という過激な手段によらない、個人個人の良識に依存する対策だ。具体的には、人間がたくさん集る機会を8割方減らせば、ウイルスを自然消滅させられるという防疫対策の基本に沿った政策である。欧米からは、この成果を疑う報道も多い。日本人の真価が問われる「テスト」である。

     

    『中央日報』(4月7日付)は、「日本型防疫モデル」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のユン・ソルヨン東京特派員である。

     

    日曜日だった今月5日、中央日報東京総局がある銀座はまるで真空都市のようだった。三越、ギンザシックスのような大型デパートが休業したのはもちろん、路地に軒を連ねていた小規模商店もほぼシャッターを閉めた。銀座の大通りは人っ子一人いない通りになった。週末の間、東京で261人のコロナウイルス感染症(新型肺炎)感染者が出てきて、人口1350万人の超大型都市・東京は急速に萎縮した。

    (1)「東京の感染者数が突然増えたようにみえるが、事実、他の国ではこれが正常だ。中国、韓国、イタリアなど新型コロナが発生した国々は、グラフは45度に近い傾きで初期感染者数が急増する。全員の洗い出し検査と強力な外出禁止令を実施した後、一定時期に入れば韓国のような沈静局面に入る。ところがこれとは違うように、ゆるやかな増加曲線を示す国が日本だ。検査を選別的に行っている証拠だ」


    (2)「日本は初めから重症患者を防ぐ側に対策の重心を置いた。無症状や軽い症状で終わってしまう場合が8割に達するということで、重症患者だけを選別して治療すれば感染者数も大きく増えずに終わらせることができると判断したのだ。中国武漢では死亡者9人が出てきた時、都市封鎖という強力な措置を取ったが、東京は死亡者が30人出てきた今になってようやく緊急事態宣言を準備している。経済対策とパッケージで発表するのに時期を調整しているのだ」

    (3)「韓国がじゅうたん爆撃式検査で感染病と戦ったとすれば、日本の頼みの綱はワクチン開発という。安倍首相は「必ずワクチン開発に成功する」という自信をのぞかせたという。だが、早くても来年ごろというのが欠点だ」

     

    (4)「幸いなのは市民の高い協力率だ。強制力のない外出自粛要請にも東京は一気にゴーストタウンになった。来年なれば見れるんだから花見くらいは、ということできっぱりと諦めた。厚生労働省調査では89%が「手の消毒などを徹底している」と答えた。日本型防疫モデルは日本だけで可能だという話が出る理由でもある。日本状況がどちらの方向に流れていくかはまだ分からない。新型コロナとの戦いは、日本では今始まったばかりだ。最終評価は新型コロナが終息した後でこそ下せる」

    このパラグラフでは、日本人の特性が良く説明されている。強制力のない外出自粛要請でも、ほとんどの人が守る点では「一糸乱れず」である。昭和天皇崩御の際に見せた、日本人の自粛ぶりは語り草になっている。今回もそれを再現できれば、日本型防疫モデルとして世界の注目を集めよう。

     

    韓国の市民の自粛外出要請は守られているか。実は最近、守られていないと言われている。その実態を見よう。

     


    『中央日報』(4月6日付)は、「緩んだ危機意識、より大きな危険を呼ぶ」と題する社説を掲載した。


    (5)「韓国内でも毎日100人前後が陽性判定を受け、全体感染者は1万237人(5日基準)になった。まだ安心する時ではないということだ。李在明(イ・ジェミョン)京畿(キョンギ)知事も「今まで防波堤を積んで波を防いでいたが、これから耐えられないような津波が予想される。感染爆発に準備しなければならない」と話した。医療スタッフの献身と市民の成熟した対応で伝播速度を遅らせているが、より大きな危険が待っている状況であることは間違いない」

     

    (6)「防波堤役を果たしていた成熟した市民意識に亀裂が入り始めている。先週末、ソウル汝矣島(ヨイド)では桜祭りが開かれていた国会周辺を閉鎖したのに、汝矣ナル駅一帯には多くの人々が集まった。3月最後の週、ソウル11カ所の漢江(ハンガン)公園利用者(143万人)は昨年(111万人)よりはるかに増えた。三陟市(サムチョクシ)は祭りを中止したのに春の行楽客が集まったため、サッカー場8個分の広さの菜の花畑を掘り返した」

     

    (7)「自宅隔離もきちんと守られていない。3日に感染が確認された京畿道軍浦(キョンギド・クンポ)の50代夫婦は隔離指針を守らないで、美術館・食堂・ガソリンスタンドなどを歩き回った。新型コロナ症状にもかかわらず、多量の解熱剤を飲んで入国した米国留学生は機内だけで20人余りの濃厚接触者を出した。感染が憂慮される状態で歩き回ることは、誰かの命を奪うという大きな間違いにつながるかもしれないことを忘れているようだ」

     

    (8)「政府の一貫性のない対応も問題だ。ミュージカル『オペラ座の怪人』は「社会的距離の確保」の徹底を呼びかけていた最中の先月31日、最初の感染者が出てきてようやく公演を中断した。すでに8578人の観客が立ち寄った後だった。教会礼拝は大統領まで出て強く中断を要請しているが、さらに長時間観客が大勢集まる一部公演は最近さえも盛んに行われている」



    日本では、クラスター(集団)感染予防のために3つの「密」(密閉空間、密集場所、密接場面)の重なりを避けることの徹底を期している。この「3蜜」から言えば、韓国のミュージカル開演など、あり得ない話である。多分、大統領府高官にミュージカル・ファンがいて開演を強行したのでないか、と予想する。すでに、教会の集まりで多くの感染者を出した前例から言えば、ミュージカル開演はあり得ないことだ。

     

    韓国のコロナ対策を見れば、首尾一貫していない点が多々ある。多数の検査キットで調べていることは良いとしても、精神的な協力の輪が広がらない点に、危惧の念を持つのだ。日本が、韓国よりも優れたパフォーマンスを発揮することは疑いないだろう。韓国が協力面での脆弱性から見て、こういう結論になる。


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