勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    米国民は、かつてないほど中国への印象を悪化させた。米調査機関ピュー・リサーチ・センターが3月4日公表した調査では、米国民の9割が中国についてライバルか敵だと回答した。また、米政府は中国の影響力を抑制すべきだとの答えが半分近くを占めたのである。

     

    今週公表のギャラップ調査では、中国に対して否定的な見解を持つ米国民の割合が79%に上り、調査を開始した1979年以来で最悪の水準となった。中国よりも悪かったのはイランと北朝鮮だけだった。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月5日付)が報じた。

     

    米国で中国への意識が悪化していることは、今後の対中国政策がより厳しくなることを示唆している。習近平氏が、さらなる人権弾圧や近隣国への侵略行為を行なえば、米国で一挙に「反中運動」に火が燃え移る危険性を示しているのだ。

     


    このような中国の「好戦性」をどのようにして食い止めるか。インド太平洋戦略を担う「クアッド」(日米豪印)は、互いに非軍事面での協力によって、中国の海洋進出を防げるというシンクタンク提案が出てきた。

     

    『大紀元』(3月5日付)は、米専門家、「『中共に包括的対抗案を』クアッド各国の強み統合を提言」と題する記事を掲載した。

     

    米シンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)の専門家はこのほど、インド太平洋地域における中国当局の膨張主義に対抗するため、日米豪印の4カ国は各自の強みと役割を統合する必要があるとの見解を示した。

     


    (1)「同財団のシニアフェロー、クレオ・パスカル氏は、今月初めに開催された米保守政治行動会議(CPAC)で、大紀元英語版の取材を受けた。同氏は、中国当局はインド太平洋地域で挑発を繰り返していると批判した。パスカル氏は、昨年6月に中印両軍が国境地帯で衝突した後、インド政府は多くの方法で中国当局に対抗したと話した。「インド政府は、微信(ウィーチャット)やティックトック(TikTok)など、中国企業が開発した多くのアプリを禁止した。インドは、中国側が膨大な量のデータを吸い上げ、人工知能(AI)技術を改良して、軍事利用するとわかっているからだ」

     

    米中対立の長期化は、グローバル経済の終焉を意味する。安全保障において、グローバル経済が支障をもたらすという、これまでになかった事態が持ち上がってきた。今や、経済制裁は安全保障にとって不可欠な手段という「危険な時代」に移行している。これも、中国の好戦性がもたらした結果である。

     

    (2)「パスカル氏によると、インドがTikTokの利用を禁止した際、TikTokの運営会社であるバイトダンスの時価総額は60億ドル減少し、「中国当局に経済的な打撃を与えた」。トランプ前政権は、中国大手企業の多くは共産党政権の支配下にあると警告していた」

     

    インドが、中国への経済制裁として中国のTikTokの利用を禁止した。これが、中国へ経済的不利益を与え、軍事費の拡大阻止へなにがしかの貢献をしていると判断されている。

     

    (3)「オーストラリア政府は、世界各国の中で、中共ウイルス(新型コロナ)への中国当局の対応について独立調査の必要性を求めた最初の国である。「このため、オーストラリアは中国当局から激しい報復措置を受けた。しかし、オーストラリアは怯まなかった。さらにインド太平洋地域の他の国にも支援を続けている」とパスカル氏は述べた」

     

    豪州政府は、中国の報復に怯まない強い姿勢を見せ、日豪の軍事関係強化に努めている。モリス首相は、菅首相が就任直後に訪日して、日豪関係の強化を打ち合わせた。これは、中国への牽制であり、日米豪印が結束する姿勢の一端を見せた。

     

    (4)「パスカル氏は、日本の役割について「まず、エネルギー分野において、同地域の他の国に経済的協力を提供することだ。そして、中国の軍事的存在感を低下させるために、日本は太平洋の島国との友好関係をより強化する必要がある」と提案した。山上信吾・駐オーストラリア大使は2月末、豪紙『オーストラリアン』への寄稿で、北朝鮮の核問題で日豪両国が東シナ海で連携していることを強調した。また経済分野では、宇宙開発のほかに低排出エネルギー技術においても、両国の協力の機会は「無限大である」との見解を示した」

     

    シンガポールのシンクタンク「東南アジア研究所」のASEAN研究センター(ASC)が2月に発表した報告書によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)のなかで、最も信頼できるパートナーは日本だと回答した国が多かった。米国に対する期待も上昇している。逆に、中国への期待は低下したのだ。中国からワクチン供与を受けながら、「軽蔑されている中国」の姿が垣間見える。

     


    ASEANにおける信頼度(2021年)

    日本 67.1%

    EU 51.0%

    米国 48.3%

    中国 15.6%

     

    日本の信頼度が抜群である。これは、ODA(政府開発援助)で相手国の立場に立つ低利・長期の融資が日本への信頼度を高める上で貢献している。また、いち早く日本企業が進出して、雇用増をもたらしたこともプラス要因だ。こういうバックグランドを生かし、日本の得意技である「水素エネルギー技術」(水素発電)を供与することも一案である。

     


    (5)「パスカル氏は、中国当局は総合的な国力で世界覇権を目指していると警告した。「そのため、中国当局に対抗するには、銃や軍艦、中国系アプリの禁止だけでは不十分だ。中国当局の資金が株式市場に流入するのをブロックし、各国の市場に進出するのも阻止すべきだ。対抗は包括的なものでなければならない」としてきする」。

     

    中国経済は、今やあちこちで欠陥を見せている。過去の無理した経済運営(不動産バブル利用)が限界に達したからだ。今後、その欠陥は一層大きくなる。中国のこうした脆弱性を突く戦略も必要である。「一帯一路」は、撤退するはずである。生産年齢人口の急減に伴う潜在成長率急低下は、「第二のソ連」に転落する危険性を内包している。

     

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    テイカカズラ
       

    韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長は4日、「常識と正義が崩壊している」として辞任した。与党「共に民主党」が、重大犯罪捜査庁の新設を推進していることに対し、「職を懸けて阻止する」と表明してから2日後のことである。ユン総長の任期は、今年7月までだったが、任期を4カ月残して辞任した。

     

    政府・与党はこれまで、ユン検察総長を辞任に追込むべく、業務停止や解任手続きによる停職処分などを連発してきた。ユン検察総長はその都度、行政裁判所へ提訴して「執行停止」処分を勝ち取り職務へ復帰する多難な道を歩んできた。与党は、これを不服として検察から主要業務の捜査権を奪うという法案を準備し始めた。ユン検察総長は、この動きに対して辞任によってその不法性を国民へ訴える強硬手段に出た。

    韓国与党は、韓国憲政史上かつてない「多数決横暴」を繰返している。検察による政権犯罪捜査を中止させ、事件を葬り去るという進歩派政権ではあり得ないことを行なっている。まさに、韓国政治の未成熟を絵に描いたような事件である。ユン検察総長が、自らの辞任によって、文政権と与党の横暴に抵抗した構図である。

     

    ユン氏は、検察総長を辞任後にいかなる道を選ぶのか関心を集めている。大方の見方では、次期大統領選への立候補が取沙汰されている。与党や政権支持メディアは、有力な対抗馬の登場に緊張せざるを得なくなってきた。

     


    『ハンギョレ新聞』(3月5日付)は、「辞任したユン・ソクヨル検察総長、政界進出は『検察の中立』の否定だ」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「ユン総長は、「検事が政治的に偏向するのは、腐敗するのと同じだ」とし、検察の政治的中立を強調してきた。そのような彼が任期途中で辞任し、政治に飛び込むのであれば、二律背反に異ならない。現職時の権限行使が政治的な意味合いでなされたという疑いから逃れることはできず、今後の検察の行方にも政治的な不信感を持たれざるを得ない。検察の信頼性には致命的だ。捜査と起訴の分離以上に、検察の政治的中立を確保するための大々的な手術が不可避だと思われる」

     

    この社説は、文政権を支持する「御用メディア」の言い分である。韓国では、司法出身者が多数、政界へ進出している。これ自体、決して褒められたことでないが、日常的に政界と関係を持ってきた事実を裏付けている。ユン検察総長は、朴槿惠(パク・クネ)政権時に、政権の犯罪を暴いたとして左遷された経験を持つ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、これを評価して検察総長に栄転させたが、今度は文政権の犯罪捜査を行なうという、「不偏不党」の立場を貫いている。その意味では、「検察の政治的中立」を守ったのである。

     

    進歩派のご意見番を任じる『ハンギョレ新聞』が、このような社説を掲げてユン検察総長を批判するのは醜い限りだ。韓国進歩派特有の「身内理論」が露骨に出ている。「敵・味方」に分断して、味方陣営を守り敵方を猛批判する浅ましい論法だ。ジャーナリズムとしての矜恃の一片もない酷い社説である。

     

    『朝鮮日報』(3月5日付)は、「尹錫悦検察総長が辞任、政権批判で政治参加の第一歩」と題する記事を掲載した。

     

    尹錫悦検察総長は4日、(韓国政治で)「常識と正義が崩壊している」として、辞任を表明した。(与党)「共に民主党」が重大犯罪捜査庁の新設を推進していることに対し、「職を懸けて阻止する」と表明してから2日後のことだった。

     

    (2)「ユン総長は、「自分がこれまでやってきたように、これから自分がどんな位置にいても、自由民主主義と国民を守るために全力を尽くす」と述べた。政界はこれを政治参加発言と受け止めた。尹総長周辺の人物は、「状況によっては、尹総長がソウル市長補選で野党統一候補を支援することもあり得る」と語った。野党からは、「ユン総長の政治参加は4月の補選はもちろん、野党再編と来年の大統領選にも影響を与えることになる」との分析が聞かれる」

     

    下線部は、ユン検察総長が今後、政治に参加する意思のあることを示唆しているという見方を裏付けている。その場合、大統領選で野党統一候補として戦うとの予想に繋がっている。その序盤戦でまず、4月のソウル市と釜山市の市長選において、野党候補を応援するというのである。ユン氏の応援が奏功して、野党候補が当選すれば、来年3月の大統領選で有力な位置に立てるとしている。

     

    韓国ギャラップの世論調査で、与党「共に民主党」の支持率が文在寅政権発足以降の最低値となった。

     

    韓国ギャラップは3月2~4日、全国18歳以上の成人1002人に調査した結果である。「共に民主党」の支持率は32%と、先週(36%)より4ポイント下落した。同じ期間、野党第1党「国民の力」は23%から24%に上昇した。文在寅政権の発足以降、両党の支持率の差が1けたに狭まったのは2019年10月第3週(9ポイント)、2020年8月第2週(6ポイント)に続いて3回目である。与党支持率の低下基調が定着すれば、与党の横暴への反発の現れであろう。文政権・与党は、大きなブーメランに遭遇しそうである。

     

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    2021-01-14

    メルマガ223号 文在寅、「紅衛兵」使いオカルト広め 日韓問題は修復されないまま時間

     



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    中国で年に1度の重要会議、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が3月5日に開幕した。注目点は2つある。21年のGDP成長率目標と第14次5カ年計画(2021~25年)の成長率目標である。事前の予測では、21年のGDP成長率目標は「8%以上」が大半を占めていた。蓋を開けたら「6%以上」と2%ポイントも低かった。第14次5カ年計画では、成長率目標を掲げなかったのだ。

     

    本欄では、中国経済の基盤が崩れていると繰り返し指摘してきたので、こういう事態でも格別の驚きはない。中国指導部が、経済の実勢悪を認めて「スロースタート」になったものと受け止めるべきだろう。

     

    問題の実勢悪の中身は何かだ。不動産企業の借金過多症が、限界を超えていることである。住宅ローンと不動産向け融資は、今年1月1日から制限を加えている。だが、市民の住宅バブル信仰は一段と拍車がかかっている。不動産バブル最後の炎が燃えている感じである。この危険ラインスレスレの中で、不動産大手の中国恒大の過剰負債問題が注目されている。

     


    『フィナンシャル・タイムズ』(3月4日付)は、「中国恒大のEV、資金調達も追いつかぬ不動産負債」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「巨額の負債を抱える中国不動産大手、中国恒大集団は電気自動車(EV)業界への野心を抱いて子会社を設立したが、いまだに1台のEVも販売していない。香港株式市場に上場しているEV子会社、中国恒大新能源汽車集団の株価は今年に入って81%上昇し、時価総額は630億ドル(約6兆7000億円)を超えた。新製品の発売に四苦八苦しているにもかかわらず、米フォード・モーターなど実績あるライバルの時価総額を上回った。

     

    倒産寸前とも言える中国恒大集団は、EVへの進出をネタに資金調達するという詐欺まがいのことを行なって倒産を免れている。「EV」と言えば、時代の寵児である。株価が、車を発売する前から急騰するという狂った時代だ。いずれ馬脚を表わして、傷をさらに大きくするであろう。

     

    (2)「この株価高騰は、世界の株式市場に広がる投資家のEV熱を反映したわけでない。親会社の中国恒大が中国当局から1200億ドル(約13兆円)を超える負債を削減するよう求められる中で、影響力のある複数の投資家が中国恒大とその子会社の支援を継続するとの情報が市場に流れたからだ」

     

    記事では、EV熱に浮かされて株価が上昇したのでないと断っている。複数の投資家が、中国恒大とその子会社の支援を継続するという情報の結果という。だが、EVという「エサ」があったからこそ、株価が動いたはず。起爆剤はEVであることは間違いない。

     


    (3)「クイディティ・アドバイザーズのアナリスト、デービッド・ブレナーハセット氏は同社の株価急騰について「これがバブルでなかったら何をバブルと呼べばよいのか」と首をかしげた。恒大汽車は1月末、中国恒大および創業者の許家印氏と関わりのある複数の人物を引受先として新株を発行し、34億ドル(約3600億円)を調達すると発表した。これを受けて同社株はその日の取引だけで50%以上急騰した」

     

    EVを生産する恒大汽車は、1月末に1日だけで50%以上も急騰している。EVが買い材料になったことは疑いない。

     

    (4)「専門家によると、中国恒大は中国不動産市場の成長が鈍化する中で、業務を多角化するために恒大汽車を立ち上げたという。中国のビジネススクール、長江商学院で会計財務論教授を務める劉勁氏は次のように語った。「中国不動産価格は高騰しすぎたため経済に甚大なリスクをもたらしている。だからこそ不動産大手は新たな成長の原動力を求めている」と」

     

    下線部の指摘は重要である。中国不動産価格は、高騰しすぎたため経済に甚大なリスクをもたらしているのである。このリスクを逃れるために、中国恒大集団はEVに手を出す形で投資家の目を眩ませているのだろう。日本の高度成長期にも同様な詐欺があった。TV受像器をつくったことのない上場企業の重電機メーカーが、カラーテレビへ進出すると発表して株価を吊り上げた事件があったのだ。これと同じ類いの話だろう。

     


    (5)「香港の調査会社GMTリサーチのアナリスト、ナイジェル・スティーブンソン氏によれば、恒大汽車の主要業務は不動産開発だという。恒大汽車のキャッシュフロー計算書をみると同社は高額の不動産投資を継続しており、EV工場にはわずかな資金しか回っていないからだ。親会社に設定した与信枠からもEV子会社へ資金が流れており、中国恒大が財務健全化に向け資産売却を進めている時に恒大汽車は調達した資金を何に充てるつもりなのかとアナリストらは疑念を深めている」

     

    EV企業の恒大汽車が、高額の不動産投資を継続しているという。詐欺は明白である。中国恒大集団が倒産すれば、中国の不動産市場に激震が走ることは疑いない。

     

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    2021-01-18

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    日米の外務・防衛の両トップが、3月15~17日に東京で「2+2」安全保障会議を開くと報じられた。韓国でもこの報道が流れている。『朝鮮日報』(3月5日付)は、「米国が同盟外交においてそれだけ日本を重視していると解釈できる」と客観的に報じている。米国の外務・防衛の両トップは、訪日後に訪韓も検討している模様だ。

     

    『東亞日報』(3月5日付)は、「『同盟と共に中国を包囲』と迫る米、顔色をうかがって引きずられる外交では駄目だ」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「米ホワイトハウスが3日、中国に対する牽制の強度を引き上げた外交安保政策の方向を提示した。バイデン政権発足後に出された初の外交安保公式文書である24ページの「国家安保戦略中間指針」だ。これに合わせて、ブリンケン国務長官は就任後初の外交方針演説で、中国との関係は「21世紀の地政学上の最大の試練」と指摘した。また、「中国との関係は必要に応じて競争的に、可能な時に協力的に、譲れない時には敵対的となるだろう」と述べた」

     

    バイデン政権発足後、初の外交安保公式文書である24ページの「国家安保戦略中間指針」は、中国への対抗を明確にした。下線部のように、米国は譲れない場合は敵対すると明言している。これは、韓国としても看過できない重要なポイントである。米国が、中国と敵対行為に陥った場合、韓国は米韓同盟の精神に則って行動するのかどうかが問われるのである。その最終決意もなく、二股外交を続けることは不可能になった。

     


    (2)「米新政権の中国牽制はすでに予告されていたが、最優先の戦略で公式化したことは注目される
    。過去の政権では、大統領選挙中に中国を激しく批判し、実際に政権を獲得した後は態度を変えることが多かったので、バイデン政権の中国政策もトーンが緩和されるという予測が少なくなかった。しかし、新たな外交安保チームの承認過程でも現れたように、先のトランプ政権の攻勢的な基調をそのまま継続することを確認した」

     

    新たな外交安保チームである国務長官と国防長官が、韓国を訪問する場合、「クアッド」参加要請が出るはずである。前記の「国家安保戦略中間指針」にそって、韓国はどのような行動を取るのかを最終的に判断しなければならない。これすら曖昧にしておけば、米韓同盟の意義も低下する。韓国は、米国の数ある同盟国における地位は、「外様」へ転落するに違いない。現在は、「譜代」当たりの認識であろう。

     


    (3)「
    ホワイトハウスの指針と国務長官の演説は、いずれも安保戦略の優先順位に、新型コロナウイルスから気候変動、経済回復まで幅広く取り上げたが、その全てを貫く主題は中国対応戦略だった。民主主義の回復も、同盟復元も、技術主導権の確保も、結局は中国の挑戦を抑制することに焦点が合わされた。ブリンケン氏は、「私たちが抜けた場所を中国が占めた」としてリーダーシップの回復を強調し、ホワイトハウスの指針も「新しい国際規範や合意を形作るのは中国ではなく米国」と明確にした」

     

    米国が、国際規範や合意を形成する主役であると宣言しているのは、普遍的価値観である民主主義と人権の擁護者という誇りである。ここまで突き詰めた話になると、韓国はそれでも「二股外交」を言い出せる雰囲気でないことに気付くはずだ。

     


    (4)「ただし、政策の実行スタイルはトランプ式ワンマンショーの談判や関税爆弾のような一方主義とは異なる。トランプ政権が先に行動して周辺国に従えと要求するやり方だったなら、
    バイデン政権は先にどちら側かをはっきりさせ、スクラムを組んで圧力をかけるやり方だ。米中の間で選択を先送りし、大勢をうかがっていた韓国外交は、もはや試験台の前に立たされた。躊躇していて無理に引きずられてはいけない。韓日関係の修復もインド太平洋戦略の参加も、もはや顔色をうかがっている余裕はない

     

    下線部分は、重要な指摘をしている。韓国が米中の最終的な選択をしなければならない現在、日韓関係修復とインド太平洋戦略への参加はワンセットであることを明確にしている。韓国が、米国側に立つ意思を明確にするならば、日韓関係を曖昧にはできないし、インド太平洋戦略の「クアッド+α」を受入れるべきである。韓国は、その最終決断を求められている。

     

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    韓国与党は、横暴の限りを尽くしている。検察庁と別途に、「重大犯罪捜査庁」を新設し、「検察捜査権の完全な剥奪」をしようとする与党の動きが活発化している。国会議席の6割を占める巨大与党にとって、怖い物なしで検察の無力化を狙っているのだ。これにより、文政権にまつわる疑惑捜査を阻止しようというものである。

     

    これに抗議して3月4日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長が電撃的に辞意を表明した。取材陣に会い、「検察で私がやることはここまで」とし、総長職から退く立場を表明した。これから2時間後、文大統領は辞意を認めた。「待ってました」と言わんばかりの対応である。これで万事、好都合に進めるという判断だ。

     

    今後、韓国政治にどのような波乱が起こるかも分からない状況だ。文大統領は、それも知らずに超楽観的である。

    韓国の民主主義は、死亡宣告を受けたのも同然である。権力を持つ者が、恣意的行動を行なえば社会は紊乱する。それを阻止するには、公正な検察が存在して初めて可能になる。韓国の検察制度は、日本から導入したものである。検察に捜査と起訴の権限を与えるシステムだ。この制度は、明治時代にフランスの検察制度を取り入れた。

     


    田中角栄・元首相は、検察による捜査と起訴を受けたが、与党から検察制度を「改革」しようという動きはなかった。韓国は、「権力者の奢り」である。朝鮮李朝と同じ感覚で法を恐れぬのであろう。帝王的大統領制と途中解散のない議会の矛楯が、相乗的に現れた最悪事態である。日本は、議院内閣制で途中解散もあれば、首相交代も弾力的である。日本は民意を恐れるが、韓国にはそれがないのだ。権力者の奢りを止める手段がない、不思議な民主政治である。

     

    この韓国がこれから、どういう過程を辿るか。政治の乱れは、経済の乱れを引き起す。「韓国衰亡」は、これによってさらに確実になってきた。私は、そう強く見る。極めて皮肉なことを言えば、「歓迎」である。韓国は、日本が嗤って見ていることに気づき自省すべきなのだ。

     

    『朝鮮日報』(3月3日付)は、「韓国は今、民主主義の仮面をかぶった権力が法治を破壊する国」と題する社説を掲載した。

     

    韓国の政権与党が検察から捜査権を完全に奪い去る法律制定の手続きを進めていることについて、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長は「政治、経済、社会の各分野で力のある勢力に治外法権を提供することにつながる」と指摘した。与党は検察から、腐敗、選挙、経済など6大犯罪の捜査権まで奪い取り、検察を起訴と裁判の管理だけを行う「抜け殻」にしようとしているのだ。

     

    (1)「捜査権は、法務部(省に相当、以下同じ)の捜査庁に移すという。法務部は大統領の手先だ。そのため今後韓国では権力による不正や違法行為に対する捜査は完全に封鎖される。もし検察が現政権ではなく前政権の捜査だけを続けていれば、捜査権の剥奪どころか検察による捜査の権限は一層強くなっていただろう。ところが青瓦台(韓国大統領府)による蔚山市長選挙への介入、月城1号機の経済性捏造、チョ・グク元法務部長官一家による破廉恥犯罪、環境部ブラックリスト、ライム・オプティマス・ファンド詐欺など、政権が関与する違法行為を検察が捜査しようとしたところ、これに怒って立法権を使い検察に復讐しようとしているのだ。そのため尹総長が「民主主義という仮面をかぶり、法治を抹殺して憲法精神を破壊している」と指摘したのだ」

     

    このパラグラフに上げられているのは、文政権による疑惑事件である。一つの政権でこれだけの疑惑を呼込んだのである。進歩派の看板を上げながら、保守派以上の疑惑を生んでいるのは、韓国進歩派が国際標準である「革新精神」が欠如し、「退廃精神」に侵されている証拠とみるべきだろう。

     


    (2)「いわゆる「民主化政権」といわれる今の文在寅(ムン・ジェイン)政権において、数の力を利用し憲法の精神と法の手続きを根本から無視するような事態はこれまでもあまりに多く、それらを列挙するのも難しいくらいだ。「加徳島新空港特別法」は政権の手先である法務部さえ「違法の可能性がある」との見方を示している。国土交通部は「法案に賛成すれば職務遺棄で処罰される恐れがある」として反対した。それでも与党は国会での採決を強行した。大統領はこの特別法が国会で成立する前に釜山に行き、加徳島空港の宣伝を行った。釜山市長選挙において自分たちが票を得るためだ。選挙への介入を禁じた法律を露骨に踏みにじったのだ」

     

    「加徳島新空港」は、釜山沖の加徳島に空港を建設しようというものだ。4月の釜山市長選を睨んだ「選挙空港」である。法務部や国土交通部すら、「違法」と断定しているプロジェクトである。文大統領自ら現地に足を運び、内閣の反対する建設案に「建設OK」を出すほど。いずれ、裁判沙汰になって文氏が法廷に立たされる事態も予想される。危ない橋を渡っている。

     


    文氏は、与党が市長選に敗北すれば即、自らの政治生命に関わると懸念している。レームダック化を恐れているのである。こういう状況で、韓国政府の責任で旧徴用工や旧慰安婦の問題を解決できるはずがない。日本政府へ「和解」を呼び掛けても、韓国で具体案を提示できる政治的基盤が消えつつあるのだ。文大統領の「統帥力」は、急速に失われている。

     

    文政権が、日韓関係を回復できないまま幕を閉じるのは確実であろう。与党が絶対多数を握っている以上、反日姿勢はさらに盛り上がっていく。間もなく任期を終える文大統領の意向を聞くような雰囲気は、すでに消えているのだ。

     

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    2021-02-25

    メルマガ235号 バイデンから引導渡された韓国、日米へ協力せず同盟国の「外様」へ格下

    2021-03-02

    韓国、「拍子抜け」文大統領、三一節記念演説で日本と話合う用意あると言うだけ「具体策

     

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