勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    歴史を見る上で、欠かせない視点の一つは経済であろう。だが、政治学だけしか専攻しなかった人の見解は、著しい偏りが見られる。韓国の反日論においても、日韓併合時代の経済発展のすべてを無視し、ただ日本に搾取されたと主張している。日本によって、近代化が進んだという視点をすべて無視した議論を行なっている。およそ、実証科学でなく想像の世界である。

     

    朝鮮の近代化の基盤が、日本の財政負担で作られたという事実すら抹殺している。こういう歴史に向き合う態度が、公平であるはずがない。良い面も悪い面もすべて飲み込んで理解する。その時はじめて、朝鮮の発展史が身近ものとして理解できるであろう。

     

    日本人学者が、中韓経済が危機に瀕している事実を忘れ、とんでもない見解を韓国紙『ハンギョレ新聞』のインタビューに答えている。日本の政治学者が、中韓経済についてその構造的な脆弱性も知らずに評価しているのだ。その姿は、気の毒にすら見える。日本では、中韓のGDP成長率が高いから、中韓を羨んで反感を持っていると主張している。この日本人学者に、経済の素養が少しでもあれば、こうした恥をかかずに済んだと思う。

     

    中韓の読者でも、日本と中韓の経済発展の段階が異なっているぐらいのことは知っている。人間に喩えれば、初老の人間(中韓)は高齢者(日本)よりも身のこなしが早いもの。その中韓の体力が急に衰え、日本の後を追っているのだ。現実には、年齢差を超えて日本の方が健康体である。失業率は、日本の方がはるかに低いことで立証済みである。日中韓の体力比べでは、中韓の衰えが目立つ。

     

    『ハンギョレ新聞』(10月17日付)は、「日本社会に横たわる韓中への嫉妬、韓日関係を難しくする」と題する記事を掲載した。

     

    筑波大学の進藤榮一名誉教授は、アジア未来フォーラム初日の今月23日午後「東アジアの新たな秩序と平和」と題して中国・清華大学人文学部の汪暉教授と特別対談を行う。進藤教授は米国外交、アジア地域統合、国際政治経済学の専門家で、現在は国際アジア共同体学会代表、『一帯一路』日本研究センターのセンター長も務める。フォーラムでは、アジアの持続可能な未来のためにどのように協力すべきかに焦点を当てる予定だ、という。

     

    (1)「進藤教授は最近のハンギョレとの電子メールでのインタビューで、安倍晋三首相をはじめとする保守政権だけでなく、日本社会全般に広がっている「潜在的嫉妬」感情が韓日関係を悪化させると説明した。進藤教授は「日本のバブル崩壊後、急速な経済発展に成功した中国と韓国に対する『潜在的嫉妬』が日本社会にある」と指摘する。同氏は「韓国、中国の経済発展と日本の長期低迷期間が重なる。『ジャパン・アズ・ナンバーワン(世界一の日本)』が終わりをむかえたことで、政府、財界、メディア、一般国民の間で中国、韓国に反発する感情が高まり始めた」という」

     

    日本人が、中韓に経済面で嫉妬しているという「進藤説」は、初めて聞く話である。韓国を喜ばせるという意図によるのでないかと疑うほどである。国民1人当りのGDPを持出すまでもなく、日本と中韓の差はある。この差は今後、逆転するだろうか。潜在的な経済発展性は、合計特殊出生率で大方の見当がつくもの。この値が、日本は「1.4台」であるが2025年までに「1.8」へ引上げる総合的な施策が行なわれている。幼稚園から大学まで、教育費の無料化がその推進役である。

     

    中韓の合計特殊出生率はどうか。中国は、低下しすぎて公表を取り止めてしまったほどだ。推計では、「1近辺」とされる。韓国は昨年で「0.98」で世界最低である。今年はさらに悪化して「0.89」と見られる。合計特殊出生率一つ見ても、中韓は日本よりも低く、経済発展力は息切れ状態である。学者であるならば、この程度の基本データを抑えて発言すべきだ。

     

    (2)「日本社会の世代変化も影響したと分析する。日本の植民地支配など「戦争を知らない世代」が日本社会の主流となり、「日本が犯した歴史の過ちを忘れて狭い意味での『愛国主義』に閉じ込もっている。従軍慰安婦(性奴隷)、強制徴用問題などを解決しない日本を見る時、アウシュビッツの歴史的誤りをいまも謝罪し続けているドイツとは対照的」と指摘する。そして、進藤教授は「本当に心配だ。日本がアジアと世界の信頼を失うことになるだろう。困難であっても韓日の知識人、報道関係者、政治家、経済人が活発に交流し、連帯できる仕組みを作らなければならない」と強調した」

     

    ドイツは、ユダヤ人を抹殺しようとした人類への犯罪である。日本の太平洋戦争が、他国領土を侵害した意味では深い反省が必要である。だが、その冒した罪を、ナチスと同列に扱う進藤氏の意図を疑うほかない。それは、日本の天皇の罪を問うという思想上の動機でないだろうか。日本が、再び軍事国家になるという認識は、世界情勢を見誤っている。集団安全保障時代に、日本一国が軍事国家になれば周辺から浮き上がり、集団安全保障体制は成り立たないのだ。

     

    (3)「進藤教授は、米国が主導した世界秩序「パックスアメリカーナ」が終わり、世界の軸がアジアに移りつつあると主張する。これは中国の「一帯一路」を念頭に置いたものだ。一帯一路とは、2013年に習近平主席がカザフスタンを訪問して初めて提起した構想で、古代シルクロードのように内陸と海洋に多様な道を作ってユーラシアとアフリカ大陸を一つに繋げようというものだ。進藤教授は「一帯一路は軍事的同盟ではなく、社会的・経済的関係をもとに信頼を築いて、貧困を解消し、テロの可能性を縮小し、地球環境の持続可能性を高める方向に進もうというもの。中国だけでなく日本、韓国が参加してシンクタンクの設立など積極的に取り組むべき」と述べた」

     

    下線をつけた部分は、中国共産党の代弁にすぎない。「一帯一路」が、中国による「債務漬け」を引き起こしている事実に何の疑問も持たないのは、学者としての公平性に欠けると見る。私も研究を志す一人として、余りにも研究スタンスの違いに驚くのだ。

     

     

     

     

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    韓国は、背伸びして反日だとか克日とか、小うるさいことを喚いている。日本にとっては迷惑な話である。韓国から常に敵視されているからだ。中国も日本に興味を持って見ているが、韓国より大らかなところがあってありがたい。

     

    『レコードチャイナ』(10月19日付)は、「日本の長所と短所を客観的に見ようー中国人研究者」と題する記事を掲載した。『環球時報』(10月17日付)の転載である。

     

    日本の長所と短所を客観的に理解するために中国人が持つべき心構えについて論じた文章を掲載した。筆者は黒竜江省社会科学院東北アジア研究所所長の笪志剛(ダー・ジーガン)氏。

    (1)「笪氏はまず、日本をめぐる最近の状況について、「19年連続でノーベル賞受賞者を輩出し、その基礎研究のレベルの高さは中国人に再び羨望と崇拝の念を抱かせている」と紹介。一方で、台風19号が甚大な被害をもたらしたことについては、「ネット上に『日本の防災システムは明らかに疲弊している』といった意見が氾濫している」と指摘した」

     

    防災システムは、世界一でも短時間に大量の降雨があったからだ。地球温暖化の被害である。

    (2)「そして、「中国人の日本に対する評価には極端な浮き沈みがある。これは、日中関係の起伏を反映していると同時に、中国の重要な隣国として、日本が中国人の心理に影響を与えていることの表れでもある。そして、それ以上にわれわれが、時に客観的、ひいては理性的に日本の長所と短所を理解できなくなっていることを象徴している」と論じた」

     

    中国の日本評価が極端に振れるのは、日本が中国人の心理に影響を与えている結果だという。つまり、感情的に日本を眺める結果が大きく上下にぶれる理由としている。真実の日本は変っていないというのであろう。この件は、韓国に読ませたいものだ。韓国は、今日もまた「反日だ」、「克日だ」と騒ぎ回っている。

     

    (3)「同氏は続いて、「アジア経済のリーダーだった日本は、東アジア経済に奇跡をもたらしただけでなく、アジア唯一の発展した経済体に成長した。アジアの科学技術を切り開き、欧米諸国を凌駕する先例を数多く生み出した。80年代以降、日本は先進教育の優位性やグローバル人材の蓄積、さらには多元的な奨励措置ならびに投資の増大といった総合的な施策によって科学技術国としての方向性を打ち立てた。日本では政府と生産部門、学術部門、研究部門、運用部門が力を合わせてテクノロジーの難関を乗り越え、アジアならびに世界における主導的な地位を確立した」とした」

     

    韓国は、この日本と対抗すると大真面目になって息巻いている。中国人に、こういう韓国人の行動を評価してもらいたいものである。

    (4)「その上で、「日本が勝ち取った成功に対し、東アジアの隣国として、われわれはまず祝福し尊敬すべきだろう。その次にそれを教訓として学び、続いて両国のテクノロジー協力を拡大していく。そして最後に新しいものを生み出すのだ。日本の長所は取り入れて参考にしなければならないが、過剰に崇めたりむやみに自らを卑下したりする必要はない。日本の科学刷新と技術の進歩は、確かに日本の知恵の結晶ではあるが、アジアにとっての誇りであり、人類にとっての誇りでもあるのだ」とした」

     

    下線をつけたような発言を聞くと、日本は謙虚にならざるを得ない。これが、礼儀というものの本質であろう。韓国のように面と向かい「反日」とか「克日」という言葉を聞かされると「ムカッ」とくる。だが、ここまでへりくだって言われると、襟を正さざるを得ないから不思議だ。

     

    (5)「また、「同様に、日本では台風や地震、津波、火山の爆発といった自然災害がしばしば起こっており、日本はそれらが引き起こす多くの困難を克服しなければならない状況にある。戦後の日本を襲った東日本大震災などの大災害は日本に忘れられない教訓を残したが、日本は伝え広めていくべき防災や減災、復興のプロセスを経験した。今回の台風19号で政府は民間と連携したものの、あれこれと思い通りにいかない部分もあった。しかし、今回の台風が60年に1度の規模とされたことを加味すれば、日本政府や社会、企業の対応にも取るべきところがあったと言えるだろう」とした」。

     

    今後は、60年に一度の災害が恒常化するリスクが指摘されている。日本が得た教訓は、世界の共通認識として共有すべきであろう。

    (6)「同氏は最後に、「日本と中国という二つの大国の関係が絶えず形を変えて発展していく中で、国民は理性的に(相手を)認め、理解を深めていく。新たな時代を切り開き、次のステップに進んでいくにあたって、われわれが持つべき心構えはそういったものだろう」と結んだ」

     

    異議はないし、相互互恵の精神で臨むべきだ。

     

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    韓国の裁判所が、日韓関係のカギを握っている。徴用工賠償で差し押さえている日本企業の株式を売却すれば、日韓関係は断絶状態に陥るだろう。その「魔の時間」は次第に接近してきた。韓国裁判所は法律通りに執行するのか。日韓関係の危機を救うために「知恵」を働かすのか。

     

    『聯合ニュース』(10月19日付)は、「強制徴用、外交関係者『日本企業の株式売却』韓日関係を破綻させる爆弾」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「徴用被害者への賠償を命じる大法院(最高裁に相当)判決が昨年秋に出たにもかかわらず、日本企業は慰謝料の支払いを今も拒否している。そのため原告側は、被告の企業が韓国国内に保有する株式を強制的に売却できるよう裁判所に申請した。外交関係者の間からは「原告に慰謝料を支払うために株式の売却が命じられた場合、これは韓日関係を破綻させる『爆弾』になる」との見方が出ている。法律に詳しい専門家などはその時期を「早ければ年末」とみている」

     

    韓国が差し押さえた株券の売却時期が、早ければ年内にも来るという。こういう、物理的な条件が迫っていることを認識しながら、韓国政府はギリギリまで日本との交渉を避けてきた。金額的には、わずか9000万円の差押えだという。これが、日韓関係のカギを握ると言うのだから不思議な感じもする。

     

    韓国は一度、GSOMIAも破棄した国である。土壇場で差押えの株券を売却させ、日韓断絶に持ち込み、極度の混乱状態で総選挙を戦う捨て身の戦法に出るかも知れない。文氏は、そういう「チキンレース」を好むタイプのようだ。

     

    (2)「複数の日本企業に対する株式売却申請のうち、今年5月に大邱地裁浦項支院に提出された日本製鉄に関する案件が最も早く手続きが行われている。浦項支院は今年78日、日本製鉄がポスコと合弁で設立したPNR株式会社の194794株の売却に向けた尋問書を日本に発送した。時価で約97300万ウォン(約9000万円)に相当するという。尋問書は714日に日本の外務省に到着した」

     

    時価9000万円で日韓関係を破綻させる。韓国政府も差し迫った判断を求められている。万一、売却に踏み切れば、そればすべての終わりの始りになろう。

     

    (3)「民法によると、日本製鉄が尋問書を受け取った日から60日以内に回答しない場合、裁判所は強制売却するかどうかを決定できる。裁判所は問題の重大性を考慮して決定を先送りしているが、裁判所の関係者は「34カ月程度なら十分な時間を与えたと言えるだろう」とコメントした。来月中旬ごろから株式売却許可の決定手続きに入るという意味だ裁判所側は「早ければ年内には売却の決定が下されるのではないか」と予想している。韓国の裁判所が行っている日帝強占期における被害の賠償を求める訴訟は少なくとも12件に達する。ある外交筋は「売却の決定が下されれば、日本は輸出規制をより強化し、実際に韓国企業に対する戦略物資の輸出不許可の決定が下されるかも知れない」とした上で「それ以前に徴用問題をめぐる協議を軌道に乗せなければならない」と指摘した」

     

    韓国で日本企業の株券の売却が実施されれば、日本は合法的に対抗措置を行える。国際法で認められているからだ。韓国がカギを握っている。まさに、文大統領の政治的能力が、最終的に試される瞬間だ。

     

     

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    韓国の李首相は、22~24日の予定で訪日する。天皇即位式出席が目的であるが、安倍首相との会談を実現させることも重要な任務とされている。現在の日程では、24日に15分程度の会談が予定されている。文大統領の親書を携えると伝えられている。

     

    「反日」や「克日」を宣言してきた韓国政府が、一転して日本へ接近している理由は、韓国経済の不透明さにある。反日・克日騒ぎが、国内の経済活動に不確実性を浸透させてしまったからだ。「NOJAPAN」「NO安倍」の幟が、今になって見れば韓国政府に大きなプレッシャーとなってはね返っている。一時の感情が、韓国経済の将来に暗い影を落としているからだ。

     

    『朝鮮日報』(10月19日付)は、「李洛淵首相、文大統領の親書携え安倍首相と面談へ」と題する記事を掲載した。

     

    李洛淵(イ・ナクヨン)首相は24日に日本の安倍晋三首相と会い、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の親書を手渡すことが分かった。李洛淵首相は18日、朝日新聞のインタビューで「今月14日に大統領から『親書はどうだろうか』との質問を受け、私は『書いてください』と答えた」と述べた。

     

    (1)「李洛淵首相は「大統領は当面の問題を今回すべて解決するのが難しくても、任期内に解決されるよう望んでいる。(文大統領は)韓日関係をとても心配している」「今回の訪日が年内首脳会談につながることを願う」と述べた。韓日関係が急速に冷え込む原因となった韓国大法院の徴用被害者賠償問題は中長期的な課題として先送りし、まずは首脳会談を通じて信頼回復との関係改善の「扉」を開こうということだ」

     

    下線部分は、韓国政府のこれまでの戦術となんら変っていない。徴用工問題を棚上げして、他の問題を解決しようという案では、進展を期待できないであろう。

     

    (2)「現在の韓日間には徴用問題と共に、来月22日に終了した韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)復帰や、日本の対韓輸出規制という三つの大きな難題が複雑に絡み合っており、日本が韓国の提案に応えるかどうかは不透明だ。最近まで反日・克日を強調していた政府が対日関係改善模索に方向転換したのは、「懸案解決期限」が差し迫っていることと無関係ではない。期限内に解決できなければ、韓日関係が回復不能な状況に陥るのはもちろん、韓米関係も打撃を受ける可能性があるからだ。李洛淵首相もインタビューで「外交当局の協議は続いており、速度を上げることができればいい」と「時間」を強調した」

     

    GSOMIAは、韓国国防相がその必要性を認める発言をし始めている。軍事情報のネットワークが増えれば増えるほど、安全保障にとって有益であるからだ。こういう当たり前な発言をするようになった背景には、大統領府の認識変化があるはず。この国防相は、大統領府の意向を忠実に反映させた発言をしている点に注目すべきであろう。

     

    (3)「来月22日になるとGSOMIAが終了して効力を失う。外交消息筋は「終了を宣言したGSOMIAを原状回復させろという米国の圧力が繰り返し来ている。これが我々の基本路線の変化に最も大きな影響を与えた」と話す。韓国政府は今年8月にGSOMIA破棄を発表した時からずっと、「日本が輸出規制を緩めれば我々もGSOMIAを維持する」という姿勢を示してきた。李洛淵首相がインタビューで「できるだけ早く両国が(日本が輸出規制を強化した)7月以前の状態に戻れることを望んでいる」と述べたのも、同じ文脈だ。しかし、日本側にはこの2問題を連携させる考えが全くないものと伝えられている。徴用賠償という根本的な問題が解決されて初めて、日本は輸出規制問題にも誠意を見せるものと見られている

     

    下線部分は、絡み合っている。①韓国が最初に徴用工問題を起こしている。それが引き金で、②輸出規制問題を誘発した。韓国は、これに反発して無関係な、③GSOMIA破棄に出たものだ。こういう一連の過程を見ると、発端は①である。この問題を棚上げして、②と③をバーター取引しようという韓国の提案は無理筋である。

     

    韓国は、まずGSOMIAへ復帰することを発表すべきである。ここでひとまず、日韓の話合いムードを起こして、①の徴用工問題解決に乗り出すべきだろう。まず、日本の飲める徴用工問題解決の提案をすることだ。

     

    (4)「政界の一部には、韓国政府の対日基本姿勢の変化を、交渉決裂に備えた「米国に対する名分を増やすため」とする見方もある。野党関係者は「文在寅政権は政権のアイデンティティーと直結する徴用問題やGSOMIA問題を覆そうという意思があまり強くない。米国に対して『このように誠意を見せたが、日本が拒否したのでやむを得ず破棄する」と主張するために、(基本姿勢転換に)乗り出した面もある」と語った」

     

    韓国には、下線部分のような憶測もあるという。もしそうであれば、韓国は自滅する。文政権は、党利党略のための政治を行なっているという非難を浴びて当然だ。もはや、言うべき言葉もない。

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    文大統領は、就任直後に80%もの熱狂的な支持率を得ていた。それが、昨日発表の最新世論調査では30%台へ急落している。原因は、度重なる国政の不手際だ。とりわけ、経済政策の失敗は、致命傷になってきた。最低賃金の大幅引上げが、失業者を増やしているからだ。政府は、国費でアルバイトを雇って就業率を高める、「インチキ」を行なうほど追い詰められている。

     

    そこへ日韓紛争が持ち上がった。韓国政府は、反日不買運動で日本へ対抗し「克日」したと勝利宣言を出した。だが、企業や国民の側では「不確実性の増大」と捉えており、設備投資や消費を手控える反作用が起こっている。民族主義の文政権は、日本と対決することが韓国経済を疲弊させることに気付き始めている。そこで、日本との融和策が全面に登場している理由だ。

     

    『聯合ニュース』(10月18日付)は、「文大統領の支持率39% 就任後初の30%台」と題する記事を掲載した。

     

    世論調査会社の韓国ギャラップが18日に発表した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は39%で、前週に比べ4ポイント下落した。同社の調査で2017年5月の就任後初めて30%台に落ち込んだ。不支持率は2ポイント上昇の53%で、9月第3週と同じ就任後最高値となった。

     

    「支持する理由」は

    検察改革(15%)、

    全般的によくやっている 外交をよくやっている(各11%)など。

     

    「不支持の理由」は

    経済・国民生活問題の解決が不十分(25%)、

    人事問題(17%)など。

     

    不支持の理由では、はっきりと経済問題が25%を占めている。支持する理由を見ると、曖昧な理由を上げている。「全般的によくやっている」とか、「外交をよくやっている」というムード的なものは、いつ「不支持」に鞍替えするか分らない不安定な支持層である。この支持理由の浮動性からみて、文大統領支持率はさらに下落するリスクを抱える。文政権の命運は、経済問題に絞られてきた。

     

    『中央日報』(10月18日付)は、「韓国経済副首相、『韓日葛藤』年内に終わらせるべき水面下で接触中」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官は17日、ニューヨークで開かれた韓国特派員との懇談会で、日本の輸出規制関連の韓国企業の被害に対して「まだ部品・材料調達や生産に支障があると申告した企業はない」とし「ただし、不確実性のために企業が苦しんでいる」と説明したあわせて「韓日葛藤はどのような形であっても年内に解消しなければならない」とし「世界貿易機関(WTO)への提訴で協議中の他にも、他のさまざまなルートを通じて接触している」と明らかにした」

     

    下線を引いた部分には、韓国から「克日」という威勢の良さは伝わってこない。日本との紛争を年内に解消しなければ、韓国経済が立ちゆかぬことになる恐れを伝えている。韓国は、「一人芝居」をしている訳だから、自分で解決するしか方法はない。

     

    (2)「(今月22日)天皇即位式に李洛淵(イ・ナギョン)首相が出席することが良いモメンタムになるかもしれない」と明らかにした洪副首相は「予断はできないが、李首相と安倍晋三首相が会う機会が作られることだけでも進展といえる」と明らかにした。洪副首相は国際通貨基金(IMF)・世界銀行(WB)の年次総会でも、日本だけに限定した鋭い追及はしないつもりだと話した。両国の関係改善を期待した「程度調節」と解釈することができる。洪副首相は「日本を正式に名指しはしない。輸出規制でやりあうつもりはない」としながら「今回の会議の主題の一つであるグローバル・バリューチェーン(サプライチェーン)が損なわれてはいけないという点を取り上げる」と話した」

    韓国側は、李首相が安倍首相と面会できることだけ「ホット」している様子が窺える。日本も、韓国が非を認める形で事態の収拾に乗り出すのならば、それを見ているほかない。日本側の妥協はあり得ない。

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