勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    米中冷戦を5条件で予測

    韓国の二股は無能の証明

    反日を聖域にし失敗隠す

    ウォン安は危機の前兆へ

    米大教授が唱える危機説

     

     

    文在寅政権は、反日が政権維持の最大バネになっている。進歩派を名乗るが、その実態は民族主義である。中国の習近平政権も同じ民族主義だ。文政権が、「親中朝・反日米」を基調としている背景には、習政権と同じ民族主義の共通項がある。

     

    民族主義は、民族の独立を第一義とするように、合理的思考と距離を置くものである。文政権が、経済政策で失敗しているのは、経済に不可欠な合理的思考と無縁であるからだ。文政権が、元慰安婦問題や旧徴用工賠償問題になると、国際法を無視した行動を取る背景に、国際法を遵守するという合理的思考回路が切断されている結果である。このように見てくると、文政権と与党「共に民主党」が支配する韓国政治に、現在の国際政治と国際経済の急変に対応する能力があるかどうか、極めて怪しく映るのである。

     

    韓国経済には当然、国際政治と国際経済の変化を反映するが、この二つの激変に対応できない状況である。

     

    米中冷戦を5条件で予測

    国際政治の変化とは、米中の「冷戦」である。中国が米国の覇権に挑戦するポーズを取ったことから始まったものだ。米国は、米ソ冷戦を戦い抜いた。第二次世界大戦では、日本とドイツを相手に勝者になった国である。そういう、百戦錬磨の米国と、歴史だけ古い新興国・中国が、あえて対立する構図である。表面的には米国主導の冷戦だが、本当の仕掛け人は中国である。

     

    冷戦の勝負を決めるのは、同盟国の存在、科学力、経済力、軍事力、政治制度など5つの要因が挙げられる。次に、これら5つの要因について米中を比較したい。

     


    1)同盟国の比較:米国は、先進国のすべてと台湾を網羅している。中国は、ロシアや北朝鮮、イランなどである。ロシアは、本質的に中国の下に立つことを快しとせず、状況判断次第で「中立」へ逃げる可能性が大きい。中国の同盟国は結局、北朝鮮とイランだけとなろう。米国が同盟国の数で圧倒的優位である。

     

    2)科学力の比較:米国のノーベル科学賞受賞者数は世界一である。中国は、技術窃取とスパイ網で世界最先端技術を狙っている国である。米国が、中国への技術窃取やスパイ防止に全力を挙げれば、手も足も出ない状況である。

     

    3)経済力(GDP)の比較:中国が米国の6割の水準にまで追っている。だが、中国は生産年齢人口比率という人口動態の「人口ボーナス」に負う急成長である。現状は、この逆転によって生産年齢人口比率の低下である「人口オーナス」で、経済成長率は右肩下がりである。多くの人々は、この現実が理解できず、「中国万歳」を叫んだ。そのピークは、2010年で終わった。人口動態では、米国が移民流入という「人口ダム」を抱えて優位である。米国は基軸通貨国である。米国は、中国の真似もできない金融面での潜在的成長力を持っている。

     

    4)軍事力の比較:軍事力は、科学力と経済力を掛け合せたものだ。米国には、同盟国の軍事力を動員できる「プラス・アルファ」がある。米中対立の最前線は、南シナ海と東シナ海が舞台になる。米国は、日本の提唱した「インド太平洋戦略」に相乗りした。参加国は、日本、米国、豪州、印度がメインになって、中国と対峙する戦略構想である。いずれ将来は、NATO(北大西洋条約機構)が加わり、共産主義から民主主義を防衛する大構想に発展するだろう。

     

    5)政治制度の比較:米国の民主主義と中国の専制主義の優劣である。それぞれの国民は、どちらの政治制度に魅力を感じるかが問われる。中国専制主義下の国民は、基本的人権を奪われ監視下にある。第一次世界大戦では、参戦した三つの皇帝が国民の不満で倒された。ドイツ皇帝、オーストリア皇帝、ロシア皇帝である。戦争に伴う民衆の不満が、自国の皇帝制度を倒したのである。この前例から見て、中国共産党は米中の軍事的衝突で倒れる可能性があるのだ。民衆の置かれた政治状況で、戦争への耐久度が左右される。

     

    以上の5つの視点で見れば、米国は圧倒的な優位にあり、中国の敗色濃厚である。韓国で、こういう冷静な比較論を聞いたことがない。せいぜい、次のような議論に止まっている。韓国の対中輸出比率は25%で1位である。米中が冷戦下に入った場合、米国につくと対中輸出に大きな影響が出るから、できるだけ旗幟を鮮明にせず「洞が峠」を決め込む、という戦術である。(つづく)

     

     

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    中国、「人民元相場」28日午前2時、1ドル=7.1696元である。夜間に入って、一段と人民元売りが進んでいる。香港や新型コロナの問題で対中圧力を強めるトランプ政権に対し、中国人民銀行(中央銀行)は25日と26日の2日連続で、人民元の対ドル相場の基準値を約12年ぶりの安値に設定。ドル高に批判的なトランプ氏に対し、あえて元安カードをちらつかせた。日経新聞(28日付)は、こういう見方を打ち出し打している。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月27日付)は、「中国、一段の元安容認か、対米緊張と景気減速で」と題する記事を掲載した。

     

    中国は人民元の基準値を12年ぶりの低水準に引き下げた。中国政府は景気低迷や高まる米国との摩擦に対応するうえで元安がメリットになると考えているようだ。

     

    (1)「中国人民銀行(中央銀行)は26日、元の中心レートを1ドル当たり7.1293元と、2008年2月以来の最低に引き下げた。中心レートはそれまでの相場の動きなどで決められ、人民銀はこれを中心にした価格帯でのオンショア元取引を認めている。香港など、管理が緩めのオフショア市場でも元は取引される。元は米中貿易摩擦が形成された2018年と19年の多くを通じて下落した。8月には1ドル7元を下回り、中国政府は為替操作をしているとしてドナルド・トランプ大統領が非難した。だがその後、2020年1月にかけて上昇した。同月、米中は部分的な貿易協定に署名した」

     

    過去の人民元相場では、1ドル=7元を割り込むとその後の下落が早かったという記録がある。中国当局が、米国対抗という感情論で人民元安を誘導すると、売りの勢いが増して止まらなくなる危険性がある。過去の中国経済と勢いが全く違うことに留意すべきだ。「策士、策に溺れる」ということがある。経常収支赤字経済は目前に来ている

     


    (2)「香港時間26日午後時点で、オンショア人民元相場は1ドル当たり7.1321元、オフショアは7.1448元となっている。中国の指導部は元の安定を支えたいと述べてきた。李克強首相は先週、「われわれは人民元の為替レートを、適応できるバランスの取れたレベルにおおむね安定させる」と述べている。しかし、エコノミストやアナリストらは、基準値が3回連続で下がったことから、米国との摩擦が高まるなか元の現行水準を維持する意向はほとんどないとみている

     

    中国当局は、米国への感情論的対抗で人民元安に誘導してしっぺ返しを狙っているのかも知れないが、危険な火遊びに映る。中国経済は、そんな戯れ言をしているゆとりはないはず。綱渡りを余儀なくされている状況だ。

     

    (3)「ING銀行(香港)の中国担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は、強いドルに対して元が下落していると指摘。投資家は貿易やテクノロジーの優位性を巡る両国の緊張がさらに激化するとみていると述べた。パン氏によると、全面的な貿易・ハイテク戦争があれば元は年内に7.30元まで下落する可能性がある。それがなければ7.05元近辺にとどまるという」

     


    (4)「大和キャピタル・マーケッツの日本を除くアジア担当チーフエコノミスト、ケビン・ライ氏は、中国には元安を求める圧力があると述べ、年内に1ドル=7.60元に達すると予想している。アクサ・インベストメント・マネージャーズ(香港)のアジア新興国担当シニアエコノミスト、アイダン・ヤオ氏は、元は変動が続くだろうと述べた。今年の中国の成長は市場の暗い予想を上回るとみられるが、元を左右する要因はそれだけではない。ヤオ氏は「地政学的な力と基本的な経済の力の主導権争いがある。そしてそれが、為替の予想を非常に難しくしている」と述べた。

     

    ここでは、人民元弱気の見方を紹介している。年内の7.30元と7.60元相場は、中国経済の先行き悲観論が定着したとき実現するのだろう。中国は、間もなく経常収支赤字経済に転落するだけに、弱気説が妥当のように思える。過去の高成長イメージで中国経済を見ると、とんでもない背負い投げを食うはずだ。

     

    (5)「ちょうど今月、トランプ米政権は数十の中国企業・機関をブラックリストに掲載し、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が外国半導体メーカーから製品を調達するのを阻止するため、新たな輸出規制の概要を示した。中国が香港に「国家安全法」を課そうとしていることは米国のさらなる措置を呼んだ。ジュリアス・ベアのアジア担当最高投資責任者バスカー・ラクシュミナラヤン氏は、元は長期的に強含む公算が大きいと述べた。中国は依然として世界成長の主なエンジンだからだ。外国人投資家は中国の債券や株、元の保有を増やしたがるとみられる。同氏は「ポートフォリオに元を持つ必要性は消え去らないだろう」と述べた」

     

    ここでは、強気説の紹介である。コロナ禍と米中デカップリング論で、もっとも傷つくのが中国経済である。コロナ賠償問題も、世界中から提訴される運命だ。それにも関わらず、下線のような見方があるのには驚く。

     

     

     

    ムシトリナデシコ
       

    先の中国全人代で、中国政府が香港へ国家安全法を制定すると発表して以来、台湾の存在が関心を呼んでいる。台湾はこれに応える形で、自由の天地として香港人の受入れ方針を発表した。米国は、すでに台湾について強い防衛方針を表明している。香港では、こういう背景もあり台湾が安住の地として脚光を浴びている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月27日付)は、「台湾蔡総統、香港からの移住支援を表明、中国警戒も」と題する記事を掲載した。

     

    台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は27日、香港人の台湾への移住を支援すると表明した。北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針が採択される見通し。自由の制限を懸念し、台湾への移住希望者が急増するとの見方が出ている。中国は香港と台湾の連帯に警戒を強めそうだ。

     

    (1)「蔡氏は27日午後に台北市内で記者団の取材に答えた。「自由と民主を追求する香港人の決意を支持する」「台湾での居住や労働などで必要な支援を行う」と表明した。蔡氏は行政院(内閣)に具体的な施策の策定を指示したと明かした。香港人が台湾で一般の居留許可を得るには「台湾で600万台湾ドル(約2200万円)以上の投資を行う」などの条件をクリアする必要がある。こうした条件を再考し、受け入れをしやすくする可能性がある。香港では2019年6月から政府への抗議活動が激化し、台湾など海外への移住希望者が増えた。台湾では19年に、香港人への居留許可の件数が前年比41%増の5858件となった。20年14月は2383件と前年同期の2.5倍となった」

     

    台湾で一般の居留許可を得るには、約2200万円以上の投資が前提である。庶民が、こういう条件をクリアするには障壁が高すぎる憾みがある。そこで、これを大幅に引下げるなどして多くの香港人を受入れるのであろう。

     

    蔡総統は記者団に対し、「香港からの友人に人道援助を提供する行動計画を提案する」と述べ、「われわれは、民主主義と自由を求める香港の人々の決意を支持し続ける」と語った。蔡総統は計画の詳細やタイミングは明らかにしなかったが、対中政策を担当する大陸委員会が計画を主導し、当局の作業部会が宿泊場所や雇用も含め、必要な予算や資源について調整を行うと説明した。台湾には亡命を求める香港の活動家に適用できる難民法はないが、政治的理由で自由と安全が脅かされている香港市民を支援することは法律で約束している。蔡総統は、香港からの移民は過去1年間に急増しており、この傾向は続くと当局がみていると明らかにした。以上は、『ロイター』(5月27日付)が伝えた。

     

    (2)「『香港国家安全法』の制定方針が示されたことで、台湾では中国への警戒感が一段と強まっている。蔡総統が主席を務める対中強硬路線の与党・民主進歩党(民進党)は香港民主派と交流があり、中国側は両者の連帯に神経をとがらせている」

     

    香港民主派は、台湾与党の民進党と交流があるという。台湾としても香港とのパイプを太くすればするほど、台湾人の支持を固められるという政治的な配慮もあるだろう。また、米国との関係強化という副産物も得られるから、台湾と香港民主派の関係は深まるだろう。中国の香港「制圧」目的が、意外にも米国を軸にして香港民主派と台湾を結びつける、予想もしなかった事態に向かう。

     

    蔡総統は25日、フェイスブックへの投稿で、英国からの返還後50年は香港が変わらず、高度な自治を持ちながら香港の人々が香港を統治するという約束は破綻寸前だと訴えた。また、香港を巡る状況が変われば、台湾と香港間の貿易や経済、文化面の関係を促す法規制は停止の可能性があるとも説明。台湾は抑圧されている香港住民への必要な支援を提供すると表明した。以上は『ブルーンバーグ』(5月25日付)で報じられた。

     

    先の中国全人代で、中国政府が香港へ国家安全法を制定すると発表して以来、台湾の存在が関心を呼んでいる。台湾はこれに応える形で、自由の天地として香港人の受入れ方針を発表した。米国は、すでに台湾について強い防衛方針を表明している。香港では、こういう背景もあり台湾が安住の地として脚光を浴びている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月27日付)は、「台湾蔡総統、香港からの移住支援を表明、中国警戒も」と題する記事を掲載した。

     

    台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は27日、香港人の台湾への移住を支援すると表明した。北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針が採択される見通し。自由の制限を懸念し、台湾への移住希望者が急増するとの見方が出ている。中国は香港と台湾の連帯に警戒を強めそうだ。

     

    (3)「蔡氏は27日午後に台北市内で記者団の取材に答えた。「自由と民主を追求する香港人の決意を支持する」「台湾での居住や労働などで必要な支援を行う」と表明した。蔡氏は行政院(内閣)に具体的な施策の策定を指示したと明かした。香港人が台湾で一般の居留許可を得るには「台湾で600万台湾ドル(約2200万円)以上の投資を行う」などの条件をクリアする必要がある。こうした条件を再考し、受け入れをしやすくする可能性がある。香港では2019年6月から政府への抗議活動が激化し、台湾など海外への移住希望者が増えた。台湾では19年に、香港人への居留許可の件数が前年比41%増の5858件となった。20年14月は2383件と前年同期の2.5倍となった」

     

    台湾で一般の居留許可を得るには、約2200万円以上の投資が前提である。庶民が、こういう条件をクリアするには障壁が高すぎる憾みがある。そこで、これを大幅に引下げるなどして多くの香港人を受入れるのであろう。

     

    蔡総統は記者団に対し、「香港からの友人に人道援助を提供する行動計画を提案する」と述べ、「われわれは、民主主義と自由を求める香港の人々の決意を支持し続ける」と語った。蔡総統は計画の詳細やタイミングは明らかにしなかったが、対中政策を担当する大陸委員会が計画を主導し、当局の作業部会が宿泊場所や雇用も含め、必要な予算や資源について調整を行うと説明した。台湾には亡命を求める香港の活動家に適用できる難民法はないが、政治的理由で自由と安全が脅かされている香港市民を支援することは法律で約束している。蔡総統は、香港からの移民は過去1年間に急増しており、この傾向は続くと当局がみていると明らかにした。以上は、『ロイター』(5月27日付)が伝えた。

     

    (4)「『香港国家安全法』の制定方針が示されたことで、台湾では中国への警戒感が一段と強まっている。蔡総統が主席を務める対中強硬路線の与党・民主進歩党(民進党)は香港民主派と交流があり、中国側は両者の連帯に神経をとがらせている」

     

    香港民主派は、台湾与党の民進党と交流があるという。台湾としても香港とのパイプを太くすればするほど、台湾人の支持を固められるという政治的な配慮もあるだろう。また、米国との関係強化という副産物も得られるから、台湾と香港民主派の関係は深まるだろう。中国の香港「制圧」目的が、意外にも米国を軸にして香港民主派と台湾を結びつける、予想もしなかった事態に向かう。

     

    蔡総統は25日、フェイスブックへの投稿で、英国からの返還後50年は香港が変わらず、高度な自治を持ちながら香港の人々が香港を統治するという約束は破綻寸前だと訴えた。また、香港を巡る状況が変われば、台湾と香港間の貿易や経済、文化面の関係を促す法規制は停止の可能性があるとも説明。台湾は抑圧されている香港住民への必要な支援を提供すると表明した。以上は『ブルーンバーグ』(5月25日付)で報じられた。

     

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    韓国は5月30日から、先の総選挙で選ばれた国会議員による第21代国会が始まる。日本として注目すべきは、韓国第20代国会で廃案になった、旧徴用工補償案のいわゆる「文喜相(ムン・ヒサン)法案」が、可決されるかどうかである。

     

    第21代国会がスタートしなければ、どうなるか状況は掴めない。ただ、次の記事にあるように、日本側から韓国へボールが投げられたわけで、韓国も無視できない動きとなろう。

     

    『朝鮮日報』(5月27日付)は、「文喜相議長の徴用補償案『韓国国会で通過すれば安倍首相はすぐ日韓首脳会談に出る』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日韓議員連盟の河村建夫幹事長は26日、「(韓国第20代国会で廃案になった、いわゆる)文喜相(ムン・ヒサン)法案や、これよりもさらに進展した案が次の韓国国会で通過すれば、安倍晋三首相は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と首脳会談をし、輸出規制が解かれることになるだろう」と述べた。文喜相国会議長が代表発議した「文喜相法案」は韓日の企業と両国国民の寄付で徴用被害者に補償する内容を含むものだ」

     

    このパラグラフは、日本側が日韓関係改善の糸口を明確に示したものだ。旧徴用工賠償問題について韓国が法案を可決すれば、日韓首脳会談を開き輸出手続き規制を解除するだろう、という話である。逆に言えば、韓国国会が補償案を成立させない限り、日韓首脳会談を開かないこと。輸出手続き規制の解除もない、と鮮明にしている。

     


    第21代国会は、与党が177議席(定員300)という圧倒的多数を占めている。極論を言えば、与党案はすべて成立する環境である。その与党からは、反日的行動が一層、強まる兆しを見せている。例えば5月24日、国立ソウル顕忠院で開かれた行事では、「親日派の墓を顕忠院から撤去すべき」とし「(第21代国会で)親日派墓撤去法を作らなければいけない」という発言が飛び出したのだ。

     

    こういう中で、旧徴用工補償案が可決される見通しは、全くつかないと言うべきだろう。となれば、日韓関係は改善される可能性はさらに遠くなる。

     

    (2)「これは、河村氏が同日、国会事務室で本紙のインタビューに応じ、「文喜相法案が座礁したのは遺憾だ。韓国の次期国会でも両国関係を改善する法案を引き続き推進してほしい」として、述べた言葉だ。河村氏は「今月13日にも官邸で安倍首相に会い、韓国の状況について話した。安倍首相は韓国の国会が変わっても日韓関係のため引き続き努力してほしいと言った」と語った」

     

    安倍首相は、日韓関係改善意欲が強いことを韓国側へアピールしている。ただ、それが無条件でないことを明確にしていることも事実だ。

     

    (3)「河村氏は先月15日に投票が行われた韓国の国会議員総選挙運動時、安倍首相の官邸の雰囲気が深刻だったとも話した。「当時、韓国与党から反日表現が出て、反日を選挙に利用する動きがあったため、首相官邸では非常に敏感に受け止め、注視した」というのだ。また、「安倍首相の周辺に嫌韓・反韓性向の人物たちがいないとは言えない」「首相官邸には、韓国与党が反日を選挙に利用するのを許してはならない、という動きがあった」と言った。それほど韓日関係はきわどい状況だということだ。

     

    韓国の先の総選挙で、韓国与党は「韓日決戦」とあからさまに反日を煽って選挙戦に臨んだ。これは、日本側の心情を痛く刺激した。本欄も、こういう反日で選挙戦を戦うという非常識を強く非難した。選挙に勝つために隣国を罵倒する。異例の話である。こういう与党が、徴用工賠償案を可決するか、疑問符がつくのである。

     


    (4)「河村氏は、日本では最近、「尹美香(ユン・ミヒャン)事件」に注視している、とも語った。河村氏は「特定団体が慰安婦問題を利用して物議を醸しているという話が毎日報道されている。今回の事件が、両国の未来志向的な関係を作っていくきっかけになることを願う」と述べた」

     

    「尹美香事件」とは、元慰安婦支援団体が集めた募金が、支援団体代表者の尹美香氏によって、自分の財産形成に流用したという疑惑事件である。すでに検察捜査のメスが、二度も加えられる大型犯罪の様相を呈している。この団体が、日韓慰安婦合意を破棄させる上で、大きな影響を与えた。この事件が落着して、韓国で日韓問題を冷静に考え直す雰囲気が生まれるか。日本側は、好転を期待している、というのである。


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    韓国のサムスン電子とSKハイニックスは、半導体メモリーの世界メーカである。米中冷戦の中で、中国ファーウェイへの納品を巡り、米中双方から袖を引っ張られるモテぶりだ。その裏で、冷酷な国際政治の力学が働いている。有無を言わせない無言の圧力がかかっているのだ。洞ヶ峠を決め込むことで有名な韓国だが、まかり間違えば米国から「破門」を申し渡される危険性も抱える。企業サイドに任せるばかりでなく、韓国政府が、乗出す事態にまで発展しそうである。

     

    『韓国経済新聞』(5月25日付)は、「半導体掌握しても『米中の切っ先』に立つ韓国『ぎりぎりの綱渡り』」と題する記事を掲載した。

     

    最近会った韓国のある半導体企業幹部は「中国ファーウェイをめぐる米中間の攻防が激しくなるほど韓国の半導体企業に対する両国の圧迫と懐柔も激しくなるだろう」としながらこのように話した。攻撃する米国、防御する中国の双方ともサムスン電子とSKハイニックスは「相手方を座り込ませる武器」になる。両社が2019年基準でDRAM市場の73%のシェアを掌握し、半導体のグローバルサプライチェーンのカギを握っているためだ。サムスン電子とSKハイニックスがDRAM供給を絶つことになればファーウェイは再起不能状態に追いやられる。

    (1)「問題は韓国企業が「刀の柄」ではなく「切っ先」をつかんでいるというところにある。米国と中国が売り上げ割合の1位と2位を争っており、どちらか一方の手を上げることはできない状況だ。米国のファーウェイ制裁はオバマ政権時代の2011年に遡る。当時米国防総省は「ファーウェイは中国人民解放軍と密接な関係がある。民間企業の仮面をかぶったスパイだ」という疑惑を提起した。トランプ大統領就任後の米国の「ファーウェイ叩き」はさらに強硬だった。米高官らは「ファーウェイがスマートフォンとネットワーク装備を通じて軍事機密を盗み出している。米国の技術を違法に持ち出している」と主張した。昨年5月にはファーウェイをブラックリストに上げ「米国内販売」を禁止させた」

    ファーウェイは、表面的に民営企業形態である。実際は、社員=労働者を株主としており、その裏で労組=中国政府というトリックが施されている。歴とした、中国人民解放軍の一部門である。スパイ活動の一翼を担っているのだ。



    (2)「強力な制裁でも、ファーウェイがこの1年間にスマートフォンやネットワーク装備などを順調に生産し続けると、米商務省は今月14日に「対ファーウェイ追加制裁案」を出した。ファーウェイが独自開発した通信用半導体を調達できないようファーウェイの設計図を受けて半導体を生産する台湾のファウンドリー(受託生産)企業であるTSMCに米国政府の輸出許可を受けるようにしたのだ」

    米国は、ファーウェイがスパイ機関と位置づけている。米国の技術やソフトを輸出禁止した理由は、スパイ機関であるという認定である。

     

    (3)「最近強化された制裁もファーウェイをへこませられないだろうという見通しが出ている。通信用半導体を独自に生産する代わりに米国を除いた国の企業が開発・生産した半導体を調達することには支障がないためだ。韓国半導体業界は、米国政府がさらに強力な制裁カードを切るならばサムスン電子とSKハイニックスを活用するだろうという予想が出ている」

     

    (4)「サムスン電子とSKハイニックスの悩みは、米国が「ファーウェイのスパイ行為を助けている」と主張し、「メモリー半導体供給中断」を要請するケースだ。両社とも簡単に拒否できない圧力に直面することになる。ファーウェイのスマートフォンとネットワーク装備などにサムスン電子とSKハイニックスが製造した半導体はいまも使われている。米国政府は「ファーウェイがスマートフォンとネットワーク装備を通じて機密を盗んでいる」という疑いを引っ込めていない」

     

    米国は、最終的にサムスンとSKに対して、ファーウェイとの取引中止を迫ると見る向きも出てきた。ファーウェイを屈服させるには、これしか道がないという判断からだ。



    (5)「米国は、サムスン電子が半導体のグローバルサプライチェーンのカギを握っているという点で、ファーウェイを終わらせる「最後の決定打」として活用できる。DRAMとNAND型フラッシュは「産業のコメ」と呼ばれるほど広範囲に活用される。ファーウェイのスマートフォンとネットワーク装備だけでなく、アップルやインテルなど世界のほとんどのIT企業製品に使われるサムスン電子、SKハイニックスが特定企業へのDRAM供給を絶てばその企業はIT製品製造を事実上断念せざるを得なくなる」

    中国の半導体産業は、黎明期にある。製造技術が未発達で製造過程は低い歩留まりのままで、進歩しないとされる。それだけに、サムスン電子とSKハイニックスを発注先として失うことは、死活問題になる。

      

    (6)「サムスン電子は、ファーウェイにメモリー半導体を供給すると同時に世界のスマートフォンとネットワーク装備市場で競争する。複雑な戦いをしなければならない状況だ。ファーウェイはサムスン電子から年間4兆ウォン前後のメモリー半導体を購入する大口顧客であると同時にスマートフォン世界2位の企業で1位のサムスン電子を追いかけている。サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が力を入れている第5世代(5G)ネットワーク装備市場では世界1位の企業だ。韓国半導体業界では、サムスン電子が米国と中国のどちらか一方に偏るよりは中立を守ってぎりぎりの綱渡りに出るだろうという観測が優勢だ

     

    米中対立がさらに激化すれば、米国はサムスンにファーウェイへの供給中止を迫る法律をつくって迫るだろう。米国覇権に挑戦する中国は、米国にとって敵なのだ。下線をつけたような観測は甘い。米国が、韓国半導体企業に最後の決断を迫る時期は近いであろう。


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