勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    米中貿易協議は、奇っ怪な動きになってきた。中国が、米国との約束を反故にしたことから始まったもの。そこで米国が、それを咎める「2000億ドル25%関税」を発動すると予告したら、約束を破った中国が報復するというのである。西部劇を見ているような話だ。

     

    『ブルームバーグ』(5月8日付け)は、「中国は反撃準備か、米国が関税引き上げなら-劉副首相は交渉へ」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府の貿易交渉を率いる劉鶴副首相は今週訪米し、米側との交渉に臨む。トランプ米大統領が関税引き上げという脅しで圧力を強める中、貿易戦争の停戦維持は危ぶまれている。

     

    (1)「中国商務省が7日にウェブサイトに掲載した声明によると、劉副首相は9、10両日にライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、およびムニューシン米財務長官と会談する。同時に中国はトランプ大統領が警告を実行に移した場合に備えて報復関税を準備していると、事情に詳しい関係者が述べた」

     

    中国が、報復説をちらつかせてきた。米国の動きをけん制する動きかも知れない。一種の陽動作戦だが、その場合の被害は、米中どちらが大きいか。むろん中国だ。「自爆」によって聖戦完遂か。意図は不明である。合理的に考えれば無益に見える。習氏の政治責任にも発展する。

     


    (2)「
    最新の展開で、長引く米中貿易戦争は9日に正念場を迎えることになった。両国の企業や市場、消費者、政治家に与える影響は計り知れない。米国に最後通告を突き付けられた劉副首相が、関税引き上げを阻止するのに十分な譲歩を示すのか、あるいは中国も強硬姿勢で報復に出るのかが焦点になる。中国製品2000億ドル相当に対する米関税率が10%から25%に引き上げられれば、その1分後に中国は報復関税を発動すると、関係者が匿名を条件に述べた。中国国務院と商務省に関税計画についてコメントを求めたが応答はない」

     

    中国が、米国の関税率引上を阻止したいならば、事前に報復案を提示して思いとどまるようにするはず。報復案を隠していては、単なる嫌がらせの「自爆テロ」になろう。何ら、問題解決に寄与しないのだ。

     

    (3)「トランプ政権はワシントン時間10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に関税を引き上げる計画だと、ライトハイザー代表が6日発表。同代表は中国側が従来の姿勢を後退させたとして、「受け入れられない」と述べた。中国紙の環球時報は7日の社説で、中国は「協議の一時的な中断を含めて」、米国との貿易協議の「他に想定される結果に十分に備えている」と論じた。たとえ米国が関税を引き上げたとしても、交渉の扉は閉ざされないとも論述した」

     

    原因をつくった中国が、米国へ報復するというのは、今後の米中関係を決定的に悪化させるだろう。米国という国は、絶えず正義はどこにあるかを考える。その米国に、暴力団風に「やり返す」ことがいかほどの抵抗になるのか。中国は、墓穴を掘ることになろう。

     

    (4)「中国側の姿勢後退が明白になったのは先週の北京訪問中だったと、ライトハイザー代表とムニューシン長官は6日に記者団に述べた。米国の立場について知る関係者2人によると、中国が撤回した法改正の約束は、どの米政権も成し遂げられなかった譲歩を中国から引き出したとして、米側が国内向けにアピールするつもりだった」

     

    中国は、最初から譲歩する積もりがなかったら、しなければよかったのだ。いったん、その決断をしながら、後になって取り消す。交渉ごとでは許されることではない。ただ、韓国のように、50年以上昔の日韓基本条約を反古にする国もある。儒教国家とは、そもそも契約概念が希薄な国である。


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    韓国は、大統領府に外交・安保などで政策権限を集中させている。大統領府と言っても、その道の専門家がいる訳でない。文在寅大統領が、外部から適当に選んで連れてきた素人の秘書官が、勝手に口出しする危険な状態にある。

     

    南北の軍事的な緩和措置では、韓国が一方的に進めている。今回の北朝鮮による突然のミサイル発射で、改めて韓国の無防備さが指摘されている。これまで韓国国防省は、北朝鮮軍に対して「主敵」なる言葉を使ってきた。現在は、この主敵なる言葉を外しており、韓国軍の存在意義すら問われかねない事態だ。すべて、大統領府の指示によるもの。

     

    問題は、これだけでない。兵器体系が穴だらけという由々しき事態に陥っている。日本の自衛隊装備を例に出せば信じがたい話がゴロゴロ転がっているのだ。これで、軍隊と言えるのか。海上自衛隊哨戒機に対して、問答無用でレーダー照射するなど嫌がらせはする。だが、肝心の所が抜けているのだ。

     

    『朝鮮日報』(5月6日付け)は、「ソナーなし、エンジン不調、問題山積の韓国製兵器システム」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「1970年代レベルの性能不十分なソナー(注:水中音響機器)を積み、韓国の『防衛産業不正』の代表例に挙げられてきた水上救助艦「統営」は、依然としてソナーなしで運用されていることが49日までに分かった。不良ソナーの問題が指摘されてから5年たったにもかかわらず、『目が悪いままで』海を走っているのだ。防衛産業不正で数年にわたりひどい目に遭ったというのに、韓国軍の兵器システム管理は一歩も前進していない、という批判が起こっている。韓国海軍と防事庁は、ソナーを搭載できない理由は、『外国企業との法的問題の解決にかなり時間がかかった』としている」

     

    漁船では、ソナーが「魚群探知機」として不可欠の存在である。軍艦にとっては、魚雷探知などの重要機能が課されている。そのソナーが不良品で使い物にならないままで放置されてきた。一国軍隊としてあり得ない醜態である。緊張感が欠けているのだ。

     

    (2)「新型フリゲート『大邱』(2800トン)は、実戦化からわずか5カ月の今年1月から、推進システムの異常により造船所に係留されている。実戦化の前からエンジンシステムの異常が指摘されていた『大邱』を巡っては、最近艦長自ら艦の問題点を指摘する内容の公文を海軍参謀総長などに送るという事件も起きた。ガスタービンとディーゼル発電モーターを組み合わせたハイブリッド方式の『CODLOG』推進システムを有する『大邱』では、さまざまな問題点が見つかった。艦長は公文に『通常の航海および作戦運用時における主機関の反応が遅く、安全な航海に支障をきたし、電気モーターからガスタービンに機関を転換する際には10分という長い時間を要する。ガスタービンの緊急停止現象が発生することもあった』と記し、さらに2017年以降、電気モーターとガスタービンがそれぞれ10回も故障したと報告した」

     

    新型フリゲート「大邱」は、実戦化からわずか5カ月の今年1月から、推進システムの異常により造船所に係留されたままである。技術的に未完成なフリゲート艦が、造船会社から韓国海軍に引き渡されたものだ。こういう欠陥船が、堂々と商業ベースに乗っていること自体、不可思議はことである。

     

    (3)「韓国大統領府(青瓦台)が「名品ヘリコプター」と呼んでいたスリオン・ヘリと同系列の「マリンオン」は、メインローターと胴体をつなぐ軸の問題で墜落した。この事故で、韓国海兵隊の5人が殉職した。同じく韓国国防部(省に相当)が「名品」に選定していたK11複合小銃は、依然として問題点の改善がなされていない。国防技術品質院は最近「K11を正常に普及させるためには、設計変更など根本的な解決策が必要」という意見を提出した。国防部は昨年、K11関連の予算をこっそり計上しようとして国会で批判され、全額削ったこともあった」

     

    この「マリオン」はフィリピン大統領が訪韓した際、試験飛行して事故を起こす大失態を演じた。フィリピンへの商談も取り消されて、韓国軍は大恥をかいた曰く付きのヘリである。K11複合小銃も問題点を抱えている。こう見ると、韓国の軍需産業は技術的な未熟児という烙印を押される。

     

    それでも、韓国軍が独立軍隊として存在できるのは、在韓米軍が睨みを効かしているからだ。在韓米軍が存在しない場合、北朝鮮軍が再度の侵略をすれば、未熟な軍備で戦えるだろうか、という懸念が生じる。「オモチャの兵隊」に成り下がるからだ。

     

    表面的な軍備だけで見れば、韓国軍は世界ランキング7位になる。

     

    世界各国の総体的な軍事力を分析・評価して毎年発表している」グローバルファイヤーパワー(GFP)」が、2019年の「世界軍事力ランキング」を発表した。ランキングは以下の通り。

    1位 米国

    2位 ロシア

    3位 中国

    4位 インド

    5位 フランス

    6位 日本

    7位 韓国

    8位 英国

    9位 トルコ

    10位ドイツ


    日本は6位で韓国は7位である。表面的に日韓は接近しているが、実態は大きくかけ離れているに違いない。


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    韓国の非常識には呆れる。福島産海産物は輸入禁止措置を取りながら、日本に対して日韓漁業協定の締結をせがむという図図しい振る舞いを見せている。福島産海産物は、WTO(世界貿易機関)でも汚染の懸念はないしながら、韓国は風評で輸入禁止にするという「非科学的」行為を続けている。

     

    私は、こういう韓国の身勝手な振る舞いへの対抗手段として、日韓漁業協定を結ばず放置しておけば良い、とこれまで主張してきた。いよいよ、その実行場面が現れてきた。

     

    『聯合ニュース』(5月7日付け)は、「韓国海洋水産相が日本大使と面会へ、漁業交渉の早期妥結を要請」と題する記事を掲載した。

     

    韓国海洋水産部は7日、同部の文成赫(ムン・ソンヒョク)長官が8日午後に長嶺安政・駐韓日本大使と面会すると発表した。

    (1)「このほど入閣した文長官の就任を祝うため、日本側の要請を受けて設けられる席で、初対面となる文長官と長嶺大使は韓日両国の海洋水産分野の主な懸案について意見交換するとみられる。海洋水産部は、3年にわたり難航している韓日漁業交渉が早期に妥結するよう、文長官が日本政府に対し協力を求めると明らかにした。また、福島県産水産物などの輸入規制は韓国国民の生命と健康を保護するための正当な措置である点も強調する計画だ」

     

    このパラグラフを読むと、韓国政府がいかに身勝手な主張をしているかが分る。

        3年にわたり難航している日韓漁業協定の早期妥結要請

        福島県産水産物の輸入規制は、韓国国民の生命と健康を保護するための正当な措置

     

    外交は、相互に譲り合って成り立つものだ。前記2つの項目は、韓国の主張である。日本への配慮はゼロである以上、日韓漁業協定の妥結はあり得ない。もともと、韓国漁船が日本の漁場を荒らし回ってきた。こういう実情から見ても妥結を拒否すべきだ。

     

    日韓両国は日韓漁業協定により毎年、日本海の相手国の排他的経済水域(EEZ)に入って操業をしてきた。だが、2015年漁期終了後は交渉が難航し、それ以降は互いに相手EEZで操業できずにいる。日本には反対する理由があるのだ。

     

    日本のEEZで、韓国漁船による違法操業があとを絶たないことである。日本の水産庁の取り締まりで押収された韓国の違法漁具は、刺し網、かごなど多数に上がっている。それ以外にも海底清掃による回収で、刺し網やかごを回収している。これら日本の取り締まりに対し、韓国漁船は、レーダーマストを高い位置に取り付けて遠方から取締船を発見できるようにしたり、逃亡を容易にするための高速化を図るほか、固定式漁具の位置を示すブイをつけずに漁を行なうこともあるという。

     

    日本海におけるズワイガニの主な漁場は、日本の海域だった。1999年に日韓漁業協定が発効されるまで、日本海では日本が韓国に対して圧倒的な量のズワイガニを漁獲し続けてきた。だが、2000年代から韓国漁船によるズワイガニの漁獲が急速に増え始めた。違法な乱獲の結果である。こうして、2015年以降、日韓漁業協定を結ばずに資源の回復を第一としてきた。

     

    韓国は、こういう日本側の努力を踏み台にしようとしている。韓国に妥協しても、ありがたいと思わない以上、譲歩するのは無駄である。福島産海産物に携わる漁民の怒りと落胆を思えば、日韓漁業協定の復活はあり得ないことだ。


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    中国の習近平国家主席は厳しい立場に追い込まれている。米政権に屈したとの印象を与えることなく、いかに通商交渉を継続しつつ中国景気を下支えしていくかという、難しいかじ取りを迫られることになる。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月7日付け)は、習近平氏がこの難問にどう答えるのか、半ば同情を込めて報じている。

     

    四角四面に考えれば、前記の難問に答える「解」は見つからない。しかし、中国共産党の凄さは、「原則」を一時的に棚上げするところにある。どう見ても、中国に不利な条件下にある以上、米国と妥協して生き延びる策を見つけるはず。革命戦争中、敵である国民党との妥協の国共合作(前後2回)を繰り返した歴史がある。不倶戴天の敵とも手を結ぶのだ。

     

    ここで米国と全面対決しても得るところはない。「2000億ドル25%関税」をかけられることを考えれば、「元の鞘」に戻して協定を立法化する道を選ぶだろう。小手調べで立法化の約束を格下げ(反古)して見たら想像通り、米国は烈火のごとく怒ってきた。習氏は、その程度に受け取っているかも知れない。幸い中国国内では、完全な情報管理を行い国民の知るところではない。妥協の余地はあるのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月7日付け)は、「米、関税カードで補助金潰し、中国に全面譲歩迫る」と題する記事を掲載した。

     

    「中国が約束を破ろうとしている」。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は6日、対中批判を繰り返した。米国は10日に2000億ドル(約22兆円)分の中国製品の関税率を10%から25%に上げると表明。米国時間7日にも正式通知する。

     

    (1)「なぜ最終局面で暗転したのか。『米中は知財保護など90%超の部分で決着していた。ただ、中国の産業補助金を巡り最後まで折り合えなかった』。米経済団体幹部は明かす。

    トランプ氏が関税上げを表明する1週間ほど前、ライトハイザー氏は『中国とは合意できない』と不満を漏らしていた。米国は協定の案文に、中国が国有企業への補助金制度の改革案を明記することで合意していたと考えていた。しかし中国は協定に明記せず、国内の法改正で対応すると後退したとみられる。ライトハイザー氏が、中国に強硬な姿勢を取るようにトランプ氏を説得したようだ」

     

    中国は、最後の段階でするりと逃げる積もりが、ライトハイザー氏に尻尾を捕まれた。その程度の認識だから、深刻に受け止めず苦笑いし「ばれちゃったか」という思いかも知れない。

     

    (2)「米政権は世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する補助金の全面撤廃を要求。中国側も交渉で削減に応じるなど譲歩をみせてきた。だが交渉の最終局面で『中国は地方政府の補助金の見直しを渋るなど抜け道探しを始めた』(米経済団体幹部)という。補助金は中国の『国家資本主義』の基盤だ。各省が補助金をテコに産業を誘致し、税収や雇用を競い合う仕組みは中国の高成長を支えてきた。さらに補助金がWTOルールに抵触しているとなれば、米国が中国に『相殺関税』を課す余地が広がる懸念もある」

     

    中国は、「補助金」の正統性を残しておきたかった。そのために逃げ道探しをしていたら、敏腕弁護士のライトハイザー氏に見つかったという構図だ。ライトハイザー氏は法律家である。これが引き金で、中国への怒りが爆発した。

     

    (3)「トランプ政権は強硬姿勢に出ることで補助金にとどまらず、市場開放や技術移転の分野でも中国から全面的な譲歩を引き出す狙いがある。『最終局面で交渉を膠着させ、相手に最大限の譲歩を迫るのは我々の常とう手段だ』(USTR元高官)。中国商務省は7日、劉鶴副首相が訪米し、910日に貿易協議にのぞむと発表した。中国外務省の耿爽副報道局長は7日の記者会見で「交渉での意見の食い違いは当たり前で、中国は誠意を持って交渉を続ける」と語った。中国は昨年、「関税のこん棒で脅されながら交渉はできない」と政府文書に記した。米国に追加関税の引き上げを突如通告されたなかで、9日に始まる閣僚級協議への参加方針を示したこと自体が譲歩ともいえる」

     

    「最終局面で交渉を膠着させ、相手に最大限の譲歩を迫るのは我々の常とう手段だ」。これは、日米経済摩擦でも日本が見舞われた手である。円相場を急騰させて、日本から妥協策を引き出した。宮沢蔵相(当時)が、米政権に懇願して円高を止めてもらった例がそれだ。

     

    私は、こういう米国の豪腕ぶりから、中国がUSTRに屈服させられるだろうと、ブログで書いてきた。現状は、まさにその局面である。米国は基軸通貨国である。この重みを忘れて飛び跳ねている中国は、無邪気な存在と言うほかない。


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    第一線を卒業された皆さんは、一日をどんな風に過ごされていますか。

     

    教員をされていた方のケースですが、毎日が「死ぬほど暇」という話を人伝に聞きました。実は、こういう例は一人や二人でなく、かなり多いそうです。

     

    なぜかと考えれば、自宅と研究室の往復で、人生の大半を過ごしてきた結果と思います。定年になると、大好きな研究室を明け渡さなければなりません。いつまでも居座るわけにはいかないのです。

     

    さあ、この後が大変です。研究という生きがいを失うとどうなるか。時間の潰し方が分らないのです。そこで、「死ぬほど暇」ということになりかねません。こうなると、熟睡はできない。第一、健康にも良くないのです。

     


    私の拙い経験を申し上げますと、「今日のニュースは何か」。ここから一日が始ります。世界中からいろんなニュースが飛び込んで来ます。それを、自分の関係するテーマに絞ってゆく。そうなると、自ずと焦点が定まります。あれこれニュースを付合わせて見ると、そこに一筋の流れができていることを気付かせて貰えます。向こうから、ヒントを教えてくれるのです。

     

    どなたでも、お仕事から得た膨大な知識をストックされているはずです。その知識を元にして、眼前に展開しているニュースを整理してみる。「知恵の輪」遊びのように、知らず知らずのうちに、あなただけの情報の世界が広がる。そう思うのですが、いかがでしょうか。


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