勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    トランプ・ツイッターが、合意間近と思われていた米中通商協議を白紙にする一撃を放った。交渉当事者であるUSTR(米通商代表部)代表、ライトハイザー氏の意向が明らかになり、トランプ大統領のツイッターを追認した。

     

    『ブルームバーグ』(5月7日付け)は、「米国は対中関税引き上げへ、中国が約束を撤回」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米政権の貿易交渉を率いるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は6日、中国が貿易協議でコミットメントを撤回したと非難し、中国製品に対する関税を引き上げる計画だと述べた。同代表がワシントンで記者団に語ったところによると、中国代表団は予定通り今週米国を訪問し、9、10両日に協議が行われる。

     

    (1)「トランプ政権はワシントン時間10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に中国からの輸入品への関税を引き上げる計画。ライトハイザー代表は、『われわれは何らかの合意に向かっているとの感触を持っていた。しかし先週の間に中国が約束を反故(ほご)にした。これはわれわれにとって受け入れられない』と説明。関税を存続させるかどうかなど、重要な問題が未解決だとした」

     

    中国が、米国との間で合意したはずの項目を反古にしたことが原因である。契約社会の先進国では考えられない話だけに、米国の不満が爆発したもの。

     


    (2)「ライトハイザー代表とムニューシン米財務長官が6日、記者団に語ったところでは、先週の北京訪問中に中国側の後退姿勢が見られたが、交渉相手から全てうまく行くと言われていた。しかし、ムニューシン長官によると、先週末、中国が送ってきた新たな合意草案は幾つかの問題で文言が後退しており、『合意内容が非常に劇的に変わる可能性があった』。新たな草案が送られてくる前の段階では合意内容の約90%がまとまっていたが、中国は交渉済みの分野の再協議を望んだという。ムニューシン長官は、『われわれは交渉済みの文書に立ち返るつもりはない』と語った」

     

    中国は、米国の態度豹変の原因が自国側にあることを認識しているので、協議続行姿勢を取っているのであろう。それに、上海株式の急落も痛手である。中国が土壇場に来て、米国を揺さぶり、逆に大きく放り投げられたという構図だ。

     

    (3)「トランプ大統領は5日、米中協議の進展が遅過ぎるため、中国からの輸入品2000億ドル(約222000億円)相当への関税率を現行の10%から25%に引き上げる計画だとツイッターで表明した。さらに、現在は関税の対象外となっている3250億ドルの中国製品についても『近く』関税を賦課する可能性があるとした。これが実施されれば、中国からのほとんど全ての輸入品に追加関税が課されることになる」

     

    中国は、米国をだまし討ちにしようとした。米国の怒りはここにある。「ヤンキー魂」が爆発したのだ。米国が一度怒った時の凄まじさを、中国は知らないのだろう。今回が、いい勉強の機会になろう。約束したことは、守らなければならない。米国が、日本の真珠湾攻撃を今も怒っている理由は、「だまし討ち」にある。

     

    (4)「近く妥結に至る可能性は遠のいたとみられるが、専門家らは米中いずれにも協議を続けあるる理由があると指摘する。最近まで米政権当局者として対中協議に関わり、現在は法律事務所アキン・ガンプのパートナーであるクリート・ウィレムス氏は、『双方がこれに関与し続けることが重要だ。米中は世界の2大経済大国であり、両国間の貿易問題に最後まで取り組む必要がある』とした上で、関税引き上げの動きは誰もが予想していたはずだと語った」

     

    中国は、約束を反故にしただけに今後の交渉はより不利になる。愚かなことをしたものだ。自分で自分の首を締めている。


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    文在寅(ムン・ジェイン)大統領が5月1日、即位した徳仁天皇に祝電を送り、退位した明仁天皇にも謝意を込めた書簡を送った。日韓関係は最悪事態だが、こういう祝賀の辞を送るのは儀礼という外交慣例に基づくものだ。

     

    韓国大統領府では当初、日本へ祝辞を送ることに否定的であったという事実が判明した。韓国大統領府では、事実上「日韓断交」の心構えであることを窺わせている。日中関係が最悪であった2012年、習近平氏の国家主席就任の際、日本は祝辞を送っている。中国の扱いはきわめて非礼で、祝電を送った国家一覧から日本名を削除するという侮辱的な行為をした。

     

    韓国大統領府は、逆の立場だが日本を無視して、祝辞を送らない方針であったという。

     

    『中央日報』(5月6日付け)は、「文政権、韓日関係破綻すれば李明博元大統領のせいにするのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の李夏慶(イ・ハギョン)主筆である。

     

    (1)「友好国の新旧国王に祝電と書簡を送るのは基本的な礼儀だ。ところが、(今回の日本での天皇交代に対しては)すんなりと出てきた決定ではなかった。外交部の建議を受けた青瓦台(チョンワデ、大統領府)は決定できずにいた。慰安婦合意不履行や徴用工賠償判決など過去の問題で最悪の状況を迎えている韓日関係を表す場面だ。この時、共に民主党の重鎮、金振杓(キム・ジンピョ)議員が動いた。盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長、鄭義溶(チョン・ウィヨン)安保室長、姜キ正(カン・キジョン)政務首席秘書官を説得し、大統領の決心を引き出した」

    この裏事情を聞かされただけで、韓国大統領府の日本に対する姿勢は、すでに「断交」も同然の事態にある。日本とより良い関係を築こうという意思がゼロである以上、日本側の譲歩は一切必要ない。あくまでも「他人行儀」で当るべきである。そうなった場合、困るのは韓国である。一度、韓国を厳しい局面に追い込み、目を覚めさせる必要がある。そうでなければ、日韓の不条理な事態は今後とも引き起こされるに違いない。再発防止のためにも厳然と対応すべきだ。

      

    韓国大統領府が、このような非友好的な姿勢であるのは、「86世代」という学生運動家上がりで筋金入りの「親中朝・反日米」派であるからだ。30年以上も昔の学生運度意識から抜け出せない「輩」に、日韓関係の基本を説明するのも無駄であろう。

     


    (2) 「昨年10月の韓国最高裁の賠償判決で力を得た強制徴用被害者は令和時代が開かれた初日の5月1日、日本戦犯企業の国内資産の現金化手続きに着手した。日本はすでに現金化に対する全方向からの報復を予告した状態だった。こうした状況で、韓国大統領が日本国民に絶対的な存在である天皇に祝電を送らなければどうなっていただろうか。日本としては祝うべき日に屈辱を受けたと見なしたはずだ。 文大統領の祝電と書簡は安倍晋三首相にも事前に伝えられた。金議員は別の重鎮議員と日本に訪問し、安倍首相の最側近議員らと両国関係回復に向けた議論をする予定だ」

    (3)「金議員は経済副首相と教育副首相を務め、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、文在寅両大統領の政権移行チームの実質的な主役だった。民主党の主流の親盧・親文や586運動圏とは違う。保守的な見方が党のアイデンティティーと合わないと攻撃を受け、代表選挙でも敗れた。しかし力を発揮しながら文政権に不足する現実感覚と経済、外交・安全保障の実質的解決法を提示してきた」

    渋る韓国大統領府を説得した金議員は、経済副首相を務めた経験もある経済派である。「86世代」とは肌合いが異なるという。この金議員が、橋渡し役になって訪日するという。妥協案を持ってくるのか。それは、不明である。

     

     


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    「論より証拠」とか、「百聞は一見にしかず」とか言われる。自分の目と手で確かめた認識が一番、確かなものだろう。

     

    長かった10日間の連休が終わった。皆さん、旅先での楽しかった思い出を胸に、通勤電車に揺られていることだろう。カバンには、小さなお土産を用意して、職場の同僚に楽しかった話のお裾分けである。

     

    中国からの旅行者も、日本でさわやかな経験をされたという。この方も帰国して日本の良かった点を沢山披露してくれるに違いない。内外で楽しい旅行の思い出で盛り上がっていると思うと、こちらまで楽しくなる。

     

    『サーチナ』(5月6日付け)は、「日本に行ったら幼い頃の悪い日本イメージ崩れたどころか心まで動かされた」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『東方網』(5月2日付け)は、日本旅行に来てみたら、小さい頃に植え付けられた日本に対する嫌悪感が増幅するどころか、かえって気遣いの細やかさに心を動かされて帰ってきたとする記事を掲載した。

    (1)「記事は、『小さい頃、自分の世界では日本は悪い民族だった。日本が嫌いだったし、日本人も自分たちのことが嫌いだろうと思っていた。一番嫌いで一番行きたくない国が日本だった。“日本人はいいぞ”などという子どもがいようものなら、みんなから“逆賊”と批判された。これが幼い記憶の中の日本だ』と紹介した」

    現在、中国からの観光客が年間838万人(2018年)と首位である。これだけの人たちが、1人最低20人に日本の印象を話して貰えれば、ざっと1億7000万人が土産話を聞く計算だ。中国人口の1割以上に達する大変なPR効果がある。口コミ効果は抜群だ。


    (2)「そして、『幼い記憶の中の日本』を裏付けるべく日本を訪れてみたところ『私は、日本に完全に失望させられた。ちっとも嫌悪感を抱かせることもなければ、むしろ私の心を動かしてしまったではないか。この“心を動かされた”という感覚は、日本に行ったことがない人には得られないものだろう』と、いい意味で裏切られたことを伝えている」

    日中戦争の経験談も「日本人怖し」というイメージをつくっている。これは、事実だから謝罪するしか方法がない。



    (3)「特に、象徴的だったエピソードとして、コンビニでお金を支払うシーンを挙げ、『まず、店員が親切にレジに表示された合計金額が2150円だったことを示してくれた。私が財布から1000円札3枚を無造作にテーブルの上に置くと、店員はそれを直ちにレジにしまうことなく、テーブル上の小さなトレーに入れたうえでレジを打ち、お釣りの850円をにこやかに両手でくれたのだ。そして、私がお釣りの金額に間違いないことを確認し終わると、店員はようやく3000円をレジにしまったのである』と説明した」

    コンビニの経験は、この通りである。接客のマニュアルがあるに違いない。日本人でも心温まるものがある。マナーの大切さを認識するのだ。


    (4)「このエピソードの中で、『心を動かされた』点について記事は、客がトレーにお金を出す間、客が『これでいい』という意思を示すまで店員はそのお金に全く触れようとしなかったこと、ちゃんと両手で商品やお釣りを渡し、笑顔で客で送り出すこと、客がどんな態度であろうとも、お会計の金額など店員として客にはっきり伝えるべきことを疎かにしない職業上の素養を挙げている」

    ショッピングにとっては、対面の重要さがよく分かる。無人店舗も意義はあるとしても、人と人が手から手へと渡す光景もいい。ネット決済にはない「ホッ」とさせられる部分であろう。日本人の暖かみを感じるのは、こういう支払時の対応も大きな役割をしていると思う。

     


    テイカカズラ
       


    私がブログを毎日、書き始めたのは2010年5月16日からです。あれから1日も休まず書いてきました。その間、山あり谷ありでした。幸い、多くの方の目にとまって応援して頂きました。ありがたいことです。

     

    この雑記帳を書こうと思い立った理由は、肩の凝るような話ばかりでなく、気楽に市井の話や面白い話をお届けできればと思うだけです。主義主張はありません。

     

    私は学生時代、ワンゲル(ワンダーホーゲル)に2年ほど在籍しました。ちょうど春の連休に北アルプスの上高地にテントを張って合宿しました。閑散とした雰囲気で、我々のほかにテントもなく別天地でした。焼岳や涸沢の雪渓を上り槍ヶ岳にも登りました。5月とは言え、真冬並みの寒さでした。涸沢の雪渓では、リーダーから小声で話すように指示されました。

     


    人間の声で雪崩が起るというのです。そう言われて注意していると、音もなく小規模な表層雪崩が起っていました。この年、北アルプスを縦走して上高地へ下りました。涸沢を通りましたが、春と違い登山道は石だらけで、疲れた身体には難儀しました。雪渓のときは楽に上れた場所が、夏の下り道ではでこぼこで驚きました。

     

    もはや、北アルプスへ行くこともありません。せめて、芹洋子さんの「坊がつる讃歌」を聞いて、若かった頃の自分と山への思いを噛みしめています。芹さんの素晴らしい声が一層、山の魅力を引き出してくれます。この歌には「元歌」があります。広島高師(現・広島大学)山岳部の歌です。これも素朴で、聞いていてつい涙が出るほどです。これから、この歌を聴いて、今日一日を終わりにします。

     


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    米海軍は、駆逐艦2隻が6日、中国が南シナ海で領有権を主張する島付近を航行したと明らかにした。米海軍第7艦隊のドス報道官によると、巡航ミサイル駆逐艦の「プレブル」と「チャンフーン」が南沙諸島のガベン礁とジョンソン南礁から12カイリ以内の海域を航行した。ドス報道官は、駆逐艦の航行は「無害通航」で、「行き過ぎた海洋領有権の主張に対抗し、国際法で定める海域へのアクセスを守るため」と述べた。 『ロイター』(5月6日付け)が伝えた。

     

    米海軍を初め、フランス海軍や英国海軍もこの自由航行作戦に参加している。中国による南シナ海領海説を否定する目的であるが、真の狙いは別にある。中国海軍潜水艦部隊の動静を探るためだ。南シナ海は水深が深く潜水艦が隠密行動をするには最適な場所とされている。不幸にも第三次世界大戦があるとすれば、この南シナ海が主戦場になるとの指摘もあるほどだ。

     

    『ロイター』(5月2日付け)は、「中国が高める核報復力、南シナ海に潜む戦略原潜」と題する記事を掲載した。

     

    南シナ海に浮かぶ中国の海南島。トロピカルリゾートが広がる同島南岸に世界の軍事情報機関の関心が集まっている。風光明媚な三亜地区にある人民解放軍の海軍基地で、米国をにらんだ核抑止力の整備が着々と進んでいるからだ。衛星画像を見ると、同基地には弾道ミサイルを搭載できる原子力潜水艦(戦略原潜)が常駐し、潜水艦を護衛する水上艦艇や戦闘機が沖合に見える。基地内には、弾道ミサイルを保管、積み込む場所とみられる施設もある。

     

    (1)「中国は海中から核攻撃ができるミサイル潜水艦部隊を保有し、米国などに対する核抑止のための哨戒活動を行なっている、と軍事関係者らは指摘する。中国は、核を装備した潜水艦部隊の展開によって、敵の先制核攻撃に核で報復する「第2撃能力」を着々と強化している。そして米国は、かつて冷戦時代に世界の海を潜航するソ連原潜を追いかけ回したように、いま中国の戦略原潜の動向に神経をとがらせつつある」

     

    中国が、途方もないことを承知で南シナ海は、中国領海という「ウソ主張」を繰り広げている。その理由は、米国との覇権戦争に備えているからだ。戦前の日本陸軍が、日本の国力とは関係なく南方(東南アジア)進出をはかったと同じような動機に基づく作戦行動である。

     

    中国海軍は、大真面目になって南シナ海で核装備した潜水艦部隊を動かしている。これに対抗して、米海軍を筆頭にした西側海軍が毎日夜、海中でこれを探索する構図が展開されているのだ。中国潜水艦の真下に自衛隊潜水艦が潜っており、じっと動静を窺っていることもあるという。日本潜水艦の潜航能力は高く静謐であることが、こういう戯画的な構図を出現させているという。

     


    (2)「海南島南岸は、核兵力の増強と展開にとって重要な戦略拠点だ。中国を取り巻く水域の中で、黄海は浅すぎるため、大型の弾道ミサイル搭載型の潜水艦を隠すには適さない。東シナ海は十分な深さがあるものの、朝鮮半島、日本列島、台湾に囲まれている上、米国と日本が最新鋭の対潜水艦兵器を配備して警戒を続けている。一方、南シナ海は広さも深さも潜水艦の隠密行動には適している、と専門家は指摘する。フィリピン東方の太平洋に核装備の潜水艦を展開すれば、米国をミサイルの射程に捉えることができる。それを狙う中国にとって、海南島南部は軍事的な要衝であり、それゆえに、南シナ海の制海権は何としても手放すことはできない

     

    これまでの常識では、中国が尖閣諸島の奪取を狙って上陸作戦を敢行するというものだった。だが、朝鮮半島、日本列島、台湾に囲まれている上、米国と日本が最新鋭の対潜水艦兵器を配備して警戒を続けている。そこで中国は、海域の広い南シナ海に戦略原潜を忍ばせ、米本土への報復攻撃を展開するという想定になっている。

     

    こうなると米海軍は、広大な南シナ海を監視する上で、単独では覚束なくなる。「アジア太平洋戦略」によって多数の同盟国が、この作戦に参加する必要が出てきた。日米豪印という4ヶ国の海軍が、中国の戦略原潜を監視するというもの。

     

    ここまで来ると、米国は中国に対して経済面で妥協する必要性はゼロとなる。中国の経済的な利益は、軍拡費用に回される。それは、米国にとって防衛コストを引き上げるだけである。となると、中国を経済的に封じ込める戦略が、「戦わずして勝つ」という孫子の兵法に適ったものになろう。中国が、専制政治を放棄して世界覇権を狙わなくなるまで、米国は中国の経済的な封じ込め戦略が不可欠になる。

     


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