勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    当たり前の結果が出て、韓国大法院(最高裁)は大騒ぎになったという。OECD(経済協力開発機構)が、2年ごとにアンケートで調べる「国民の信頼度」が、加盟国中で最下位になったからだ。文政権の「言うがまま」になっている大法院が、信頼されるはずがない。間違えた徴用工判決を出した大法院である。

     

    司法は、条約に介入しない「司法自制論」という国際的な慣例を破って、文大統領の意思を「忖度」した判決を出した。反対した判事は2人だけ。こういう、時の政権の意のままになる韓国司法が、国民から信頼されていたらおかしい。茶番劇である。

     

    『朝鮮日報』(11月10日付)は、「司法機関への信頼度OECD最下位、韓国大法院で大騒動に」と題する記事を掲載した。

     

    韓国大法院に今年9月、一通の公文書が届いた。標題は「一目で見る政府2019」。経済協力開発機構(OECD)が加盟37カ国を対象に各国の司法機関に対する信頼度を調べ、ランキングを付けた調査結果の草案だった。韓国は最下位だった。OECDが加盟国ごとに国民1000人に「裁判所を信頼するか」を尋ねた設問で、「信頼する」との回答は韓国が最も少なかった。

     

    (1)「大法院は大騒ぎになった。裁判所関係者は「(大法院の)幹部の間で韓国の順位をどうにかして削除すべきだ」という話が出た。大法院は9月中旬、外交部を通じ、OECD本部に異議を申し立てた。異議は質問事項が正確ではないという趣旨だった。OECDは司法機関への信頼度を調べる際、「韓国の司法システムと裁判所を信頼するか」と尋ねたが、「司法システム」には裁判所だけでなく、検察や刑務当局も含まれるため、裁判所だけに限った信頼度調査とは言えないというものだった。大法院関係者は「裁判所と検察でどちらの信頼度が低いのかあいまいだ」と話した。大法院の問題提起を受け、OECDは近く発行予定の最終報告書の司法機関信頼度ランキングから韓国を除外する方針とされる

     

    下線を引いた部分は、笑ってしまう内容だ。大法院は司法の最高峰である。仮に、検察が間違った内容で起訴した事件でも、大法院がそれを糺す判決を出せば、自然に検察も捜査方法を変えるはずだ。大法院は、それだけの権威と公正のシンボルである。それが、どうであろうか。文大統領の意向を忖度した判決を出している。そして、日韓関係が大揉めになっている。大法院は、今回のOECDアンケートを素直に聞いて反省すべきなのだ。

     

    (2)「論争を受け、2年前にもOECDの司法信頼度調査から韓国が除外された。大法院関係者によると、梁承泰(ヤン・スンテ)元大法院長の時代の17年にも大法院がOECDに同様の異議を申し立て、結局最終報告書から韓国が除外されたと説明した。当時韓国の裁判所に対する信頼度は最下位ではなかったが、下位圏だったとされる。ただ、今年の調査が示唆する点は大きいとの指摘も多く聞かれる。金命洙(キム・ミョンス)大法院長は179月の就任以降、司法改革を目指した。司法行政権乱用疑惑を調べるとして、前任大法院長の時代に要職に就いていた判事に大規模な「積弊清算」作業を展開した。その過程で100人を超える判事が検察の取り調べを受け、判事数十人が懲戒された。名分は「司法の信頼回復」だった。しかし、その2年間の人的な清算が裁判所の信頼回復ではなく、信頼低下につながった格好だ

     

    下線部分は、文大統領が自分の意向に沿った判決を出させるために、判事の色分けをした。その結果、100人を超える判事が検察の取り調べを受けた。数十人が懲戒されたという。

     

    日本では考えられないことを行なった。裁判官の身分は保証されているはず。その裁判官を罷免するには、国会で特別の手続きが必要だ。こういう裁判官を辱める行為を公然と行なう文政権は、まさに軍事革命政権とどこが違うだろうか。暴力的である。国民から見れば、最悪・最低の司法機関である。

     

    (3)「過去2年間の「司法積弊清算」を主導した勢力が進歩傾向の判事サークルであるウリ法(我々の法)研究会と国際人権法研究会である点も信頼低下に少なからず影響を与えたとみられている。両組織に所属する判事は、「梁承泰行政処」の判事に対する3回の独自調査、弾劾の働き掛けで先頭に立った。金命洙大法院長は両研究会の会長を歴任した人物だ」

     

    司法における「判事選別」を強行した判事が、文グループである。私は、次期政権が保守派に代われば、文政権の行なった「邪(よこしま)な行為」を全て法の下で裁くべきであると思う。「進歩派」のお面をつけて、国民の権利を奪い一部グループ(労組・市民団体)に奉仕した政権の実態を明かすべきであろう。この過程なしに、韓国は近代化されないと見る。

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    習近平氏は、なぜか鄧小平に対抗意識を持っている。習氏の実父が、鄧に受け入れられなかったという「私怨」があるとの見方もある。だが、公平に見て習近平と鄧小平では人物の格が違う。さらに、毛沢東の我が儘に振り回され3度も左遷された鄧小平である。中国経済の根本的な弱点を見抜いており、市場経済化を推進した。同時に権力の集中化を防ぐ手立ても講じていた。

     

    習近平氏は、江沢民氏の依怙贔屓で拾った国家主席の椅子である。習氏は、毛沢東崇拝の民族主義者である。それゆえ、毛沢東の間違った路線に迷い込む危険性はきわめて強い。彼が、鄧小平を嫌う理由は、実父の恨みを晴らすという私怨のほかに、体質的に毛沢東張りなのであろう。

     

    『日本経済新聞』(11月9日付)は、「中国安定成長へ民間に活力を」という寄稿を掲載した。筆者は、英『エノド・エコノミクスチーフ』エコノミストの ダイアナ・チョイレバ氏である。

     

    (1)「中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が1031日に閉幕した。(20182月の3中全会から)18カ月ぶりの開催だったが、中国は米国との対立や国内経済の減速などの対応に追われている。今の中国の状況を考えると、過去数十年にわたる中国経済の発展に、民間企業の活力や試行錯誤を重ねて実行された政策改革がどれほど寄与したかを政府高官が認識することが極めて重要だ」

     

    習氏は、「中華の未来」に夢を託すあまり、過去の中国経済がどのような過程を経て成長してきたか、そのプロセスを知ろうとしない欠点がある。鄧小平の改革開放路線があったことと、「人口ボーナス期」という人口動態がもたらすボーナスによって発展できたのだ。それは、市場経済を目指し民間企業を先兵にしてきたからだ。習氏は、この改革開放路線に背を向け、国有企業中心の産業構造再編を狙っている。習氏と同じ「紅二代」(太子党)の利権を守り、自らの政権基盤の安泰を図るという「邪念」の結果だ。

     

    (2)「世界に保護主義が広がり、グローバリゼーションが揺らぐ中で、中国が前進するには、民間企業の活力や政策改革は不可欠な原動力だ。米中対立の影響で貿易は縮小し、製造業は東南アジアなどに生産拠点を移転している。企業によるサプライチェーン(供給網)の再構築が加速している。共産党による事実上の一党独裁体制が続く中国で、「国進民退」と呼ばれる国有企業の優遇と、民間企業の厳しさは外国投資家の懸念材料になっている。民間企業はイノベーション(技術革新)の最前線にあり、多くの中国人を雇用している。にもかかわらず、習近平(シー・ジンピン)政権は国有企業の改革を進めるどころか、民間企業の社内に共産党組織の設置を促している

     

    習氏は、自己の政権基盤を強化する狙いと、そのためには国有企業が中国経済の核になるべきという間違った考えに囚われている。民間企業にまで共産党組織を作らせているのは、共産党が中国経済の全てを掌握するという意思表示である。

     

    (3)「習政権が発足して以来、中国で40年以上にわたって機能してきた政策改革の動きが鈍化した。「改革開放」政策を掲げた鄧小平時代は、中央政府が決定した政策であっても、地方政府がそれぞれの地元の状況に応じて調整しながら実行する余地があった。だが今は習氏への権力集中が進み、管理も強まった。地方政府の高官は自らの責任で行動することをためらうようになった。目立った行動をすれば、「反腐敗運動」の名の下に(あらぬ腐敗を追及されかねないと)萎縮し、リスクを冒さない方が得策と考えるようになってしまった」

     

    中国文化は、汚職である。これが、市場経済のインセンティブになって中国経済を成長させてきた。現在は、反腐敗で取締っている結果、このインセンティブが抑圧されている。一方では、国有企業による民間企業への圧迫が進んでいる。こうなると、中国経済を動かす市場経済機構が、完全に押し潰されてしまうリスクを抱える。

     

    「水清ければ魚棲まず」という言葉がある。中国に合理的な市場機構が育つ社会基盤はないのだ。人縁社会の中国では、賄賂が市場機構の役割を果たしてきた。「中国文化は汚職である」というのは、決して詭弁でなく現実である。汚職を取りしまうのであれば、徹底的な民営企業中心の経済に転換すべきである。国有企業中心では、汚職取締と両立できず、中国経済は必ず、衰退する運命だ。

     

    (4)「習政権は金融危機で債務が急増して経済が不安定化した場合、それを抑制しなければ、共産党の存亡の機になりかねないと考えているようだ。過剰債務の圧縮に取り組む中央政府は、不動産売買に伴う規制を緩めていない。買い手に対し、銀行を通さず資金を融通する「影の銀行」の取り締まりを続けている。ほかにも、習氏は最貧困層をなくす生活改善プロジェクトや大気汚染などにも取り組んでいる。大気汚染は依然として深刻だが、官製イノベーションは急ピッチで続いている」

     

    習氏は、それなりに合理的な政策を実行しようとしている。それは正しいが、経済政策の根本である市場機構を弱める国有企業再編では、実効を上げられないで壁に突き当たる。習氏が、ここまで国有企業=共産党支配にこだわるのは、習近平支持派の「太子党」の利権確保が目的だ。これによって、習永久政権を目論んでいるはず。ここまでくると、豊臣秀吉の姿と二重写しになろう。

     

    (5)「しかしながら、国進民退路線が貫かれたままだ。中国共産党の中央委員会は40年以上にわたってなし遂げられた経済成長という金の卵を産んできたガチョウを殺しかねないリスクがあることを認識しなければならない。先行きが見通しにくい中で、中国が世界で成功するには、自国経済をけん引してきた民間企業の活力や起業家精神を押しつぶさないように慎重に行動することが重要だ。地方政府にも政策を実践することを容認する必要がある」

     

    国進民退路線(国有企業優先・民営企業後退)は、中国経済における過去の発展を逆さまにすることである。この分りきったことが、習氏には分らないのだ。それは、自分の永久政権に目が眩み、真の発展策を見失っている証拠であろう。鄧小平思想否定は、習氏の個人的な欲望がそうさせているに過ぎない。

     

     

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    文政権は、「積弊一掃」を合い言葉として強引に司法・検察・放送の人事を与党系に入替えた。大統領就任の際、公平・平等を高らかに宣言したが、それは表面的なこと。実質的には、保守派を追い込み、簡単に復活できないようにする戦術であった。ここまで、「悪辣」なことを行い大衆迎合を図ったが、2年半の実績は無残に終わった。何一つ、成功したものはないのだ。

     

    朴槿惠政権が、弾劾で追放されるという珍しいケースであったので、文政権は何を行なっても許されると錯覚した。それが、墓穴を掘るきっかけになった。これまでの実績はゼロどころか、悪化している。今後に残された任期2年半でも、実際は1年しかない。任期5年目は、大統領選挙で浮き足たつもの。こうなると、文政権のプラスはゼロ。マイナスだけという、歴代でワースト1位の大統領は確実だ。

     

    『中央日報』(11月9日付)は、「過去に埋没した2年半、今からは未来に進もう」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「韓国の出生率を見た国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「集団自殺社会のようだ」と述べた。3年前この時期、青年がこの国を「ヘル朝鮮」と表現して広場に出てきた。我々の社会は青年を就職・結婚・出産・マイホームを放棄した「N放世代」と呼んだ。絶望の煉獄に閉じ込められた世代、いま彼らの生活は変わったのか。希望の新しい国になったのか。文在寅(ムン・ジェイン)政権は胸に手をあてて答えるべきだ。その間、政権が何をしたかを見てみよう。いわゆる「積弊清算」にまい進した。前政権とその前の政権を清掃した。過去を調査する委員会があちこちにできた。検察が捜査し、拘束した。政権交代によって裁判所でも主流が入れ代わった。司法府の過去を検察が長期間暴いた。その間、特定研究会の構成員が裁判所の要職を次々と占めた」

     

    文大統領は、権力を恣(ほしいまま)に行使した。下線を引いた部分のように、保守派を一掃するという邪念を持っていた。進歩派の政権を超長期間継続させるという前提で、司法(検察・裁判所)人事を全て入替えるという「あこぎな」ことをやったのだ。徴用工判決も日本を敗訴にさせる目的で誘導した。軍事政権とどこが違うだろうか。なまじ、「進歩派」の看板を掲げて行なった「暴政」ゆえに、許しがたいものを感じるのだ。

    (2)「過去を現在に召喚しただけでなく、歴史を戻そうという動きもあった。法務部は記者と検事の接触を防ぎ、いつでも「誤報」のレッテルを貼って記者を現場から追い出せる訓令を作った。権力の言論統制は軍事独裁時代にあったことだ。主要放送局の経営陣と番組進行者も政府側の人たちに交代した。そのようにして地上波が掌握された。政権の時計は反対方向に回っている。社会を支える核心の価値である「公正と正義」は瀕死状態になった。「チョ・グク事態」が決定打だった。公正な競争や社会正義という言葉は虚しくなった。政権は自分側か相手側かを正しいかどうかの基準とする「暴力団式」正義観で社会をさらに病ませた。放送公開オーディション番組制作者が勝敗を操作したことが明らかになっても驚く人が多くない社会、我々は今このような状況を迎えている」

    文氏が唱えた検察改革では、先ず記者の報道を大幅に制限させる手を打った。「チョ・グク」(前法相)事件が派手に報道されないように、記者の自己検閲を強化させる仕組みを発表した。「人権派弁護士」を名乗ってきた文氏が、権力の頂点に立ったとき、真逆のことを行なって社会を驚かせている。政権与党は、放送メディアの人事も握っている。保守派が顔負けするほど権力に酔った進歩派政権が存在するだろうか。進歩派なら進歩派らしく、身を糺すべきである。

     

    (3)「運転する時にバックミラーを見るのは安全かつ効率的に前に進むためだ。長く後ろを見る運転者は危険であるうえ、時間内に目的地に到達するのも難しい。過去の善悪を確かめるのは重要だ。歴史の教訓も必要だ。しかしそれがすべてではない。未来に進まなければいけない。前を行かなければ引きずられる」


    文政権が、これほど過去にこだわったのは、この先何十年も進歩派政権が続く前提で過去をひっくり返したに違いない。日韓関係の悪化もその一つであり、計算通りにやってきた。その最後は、GSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)廃棄で自爆した。完全な失敗である。米国を取り込み、日本に「ホワイト国除外」をさせる戦略は空中分解した。韓国が、著しく不利な状態に追い込まれて、米国の救済(GSOMIA執行期日の延期)を待つという、お粗末さである。

     

     

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    11月9日は、文政権発足後ちょうど2年半の折返し点になった。来年4月は総選挙である。文政権2年半の実績が、有権者から評価されることになる。文政権は、客観的に見て外交・内政の全てにおいて落第点がつく。文政権支持を鮮明にしてきた『ハンギョレ新聞』は、どういう評価をしているのか見ておきたい。

     

    『ハンギョレ新聞』(11月9日付)は、「『折り返し点』文在寅政権、深い省察で成功の足場を用意せねば」と題する社説を掲載した。

     

    政権支持メディアとして苦しい「政権通信簿」である。タイトルからも分るように「深い省察」で成功の足場を築けと注文を出している。深い省察をしなかったと、判断されているのだ。

     

    (1)「『ろうそく政権』を自任した文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期が9日で折り返し点を回った。成果がなかったわけではないが、国内外の容易ならざる状況と政府の失策がかみ合い、国民の期待に及ばなかったと評価するしかない。最も痛いのは経済・民生分野だろう。所得主導成長と公正経済、革新成長を基調とした文在寅政権の経済政策は、少数の大企業を中心とする過去の成長方式の限界を乗り越えるための代案の性質のものだった。最低賃金引上げや基礎年金、児童手当の拡大で、社会のセーフティーネット拡充し、無償教育拡大と「文在寅ケア」で家計の可処分所得を高める政策は、一定の成果も収めた

     

    下線をつけた部分では、「身内」に甘い評価をしているが、事実に反している。GDPに占める家計債務残高は急増しており、最も危険な経済にマークされている。最近の個人消費低調→消費者物価指数の低迷は、家計債務急増の結果である。

     

    (2)「しかし、最低賃金の引上げ幅と速度について、小商工人の反発が大きくなり、自営業の萎縮の勢いとかみ合って色あせた。国会機能の麻痺のためではあるが、公正経済に直結する財閥改革関連法案が足踏み状態である点も惜しい。ソウル地域を中心に住宅価格が大きく上昇して住居の安定性が下がり、庶民層と若者が挫折感を感じている現実は、特に大きな課題だ」

     

    最低賃金の大幅引上げについては、反省している。これにより自営業者の廃業を余儀なくさせた点について、婉曲に批判している。政権支持メディアとして、なぜ失業者が急増したか、はっきりと原因を指摘すべきだが回避している。これでは、読者の反発を受けるだろう。

     

    (3)「米中貿易紛争を始めとする対外条件悪化と景気萎縮の勢いの中でも、緊縮財政で一貫して景気後退に適切に対応することができなかった点には、非常に強い自己反省が必要である。 政府は不十分だった点を補完しても、政策の一貫性を守り成果を出すことに力を注がなければならない。政治攻撃に近い無差別な批判に揺れて初心を失えば、改革と成長のどちらも逃がしかねないことを警戒しなければならない。古い方式の成長モデルに戻ってはならない」

     

    『ハンギョレ新聞』は与党系メディアである以上、文政権の誤りを率直に指摘しなければならない。残念ながら、身内を庇うという「宗族社会」特有の欠陥が鮮明になっている。これでは、真のメディアとして失格である。太鼓持ちに堕するからだ。文政権が経済政策の失敗を糊塗するために、政権発足後4回も補正予算を組むという異常な財政運営をしながら、社説では、「緊縮財政で一貫して景気後退に適切に対応することができなかった」と事実に反することを書いている。これも、読者の反発を受けて当然である。

     

    (4)「外交・安保分野は、残念で惜しい点である。任期の初年度に最悪へと駆け上がった朝鮮半島の緊張は、平昌冬季オリンピックに北朝鮮が参加することで劇的な反転を果たし、3回の南北首脳会談と2回の朝米首脳会談により、朝鮮半島平和の大きな転換点を作り上げた。しかし、ハノイ首脳会談の決裂以後、朝米の非核化交渉が遅々として進まない膠着局面が続き、手に余った感動は色あせた。南北関係も朝米関係に連動して足を縛られたうえに、「金剛山南側施設撤去」の議論など、最近は後退するような様子さえ見られる。政府は政権発足初期に強く推し進めた朝米交渉の促進者・仲裁者の役割に、より一層力を入れると共に、南北関係も果敢な発想と新しい想像力を発動させて突破しなければならない」

     

    ここでは、南北問題だけが韓国外交の焦点のように扱っている。日韓外交の失敗や米韓関係の悪化などの緊急問題についてすべてパスしている。文政権が、外交と言えば南北関係だけに全力投球している実情を垣間見せている点では興味深いのだ。文政権は、これほど偏った外交を行なっていると言える。国民にとって不幸な政権が登場したものだ。

     

     

     

     

     

     

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    GSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)問題は、韓国がいかに外交感覚のないかを露呈した。独り善がりの理屈をつけて、それが正義のように振る舞っているからだ。韓国大法院が、徴用工裁判で見せた判決自体、独善性を表している。先進国の司法では、国際間の条約についての判断を避けるというルールがある。「司法自制論」と言われるものだ。条約は、国家間で結ぶもので後から無効という司法判断が下されたら、国際関係はメチャクチャになる。条約が、国会で批准される以上、司法があとから介入することを自主規制するものだ。

     

    韓国大法院(最高裁)は、条約締結後50年も経ってからこうしたルールを破り、日韓基本条約に踏み込んで来た。韓国の国際法的な「無知」が招いた今回の混乱は、韓国国内で処理すべき問題である。韓国内の良識派は、こういう認識が多数であった。

     

    米国が、最初から韓国によるGSOMIA破棄に困惑したのは当然である。日本に対して「ホワイト国除外」が、問題の発端である徴用工判決の違法性に絡んでいるだけに、日本へ説得工作する理由がなかった。そこで、韓国の異常性だけが突出して、米国の厳しい批判を招くことになった。

     

    『朝鮮日報』(11月9日付)は、「米国内に2つの気流、『GSOMIAは韓国の失敗』『防衛費はトランプのごり押し』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「今年8月に文在寅政権は日本の輸出規制に対抗するためGSOMIA破棄の決定を下したが、その後ワシントンでは今に至るまでしつこく再考を求める声が相次いでいる。ポンペオ国務長官、エスパー国防長官、スティルウェル国務次官補、シュライバー国防次官補、ナッパー国務副次官補、ハリス駐韓米国大使など、関係するほぼ全ての政府関係者が破棄の撤回を求めている。米国がこれほど大々的に、またしつこく韓国に圧力を加えるのも珍しい」

     

    米国の主要行政機関の高官が、こぞって韓国のGSOMIA廃棄を批判したのは異例のことである。米韓同盟という建前から言っても、米国がここまで踏込んで批判することはかつてないこと。せいぜい、「失望した」が外交上での最大の批判とされている。

     

    米国が、ここまで怒りを顕わにしたのは、対中国への軍事戦略からだ。日米韓三ヶ国の安全保障体制が盤石であることを示さなければ、米中冷戦の遂行上、不利になるという配慮が働いていたもの。韓国には、そういう配慮がゼロである。「日本が憎たらしい」という反日感情100%で立ち向かって来ただけだった。

     

    (2)「その背景についてトランプ政権のある関係者は電話取材に応じ「同盟国の韓国が米国の安全保障を正面から刺激したからだ」と説明する。この関係者は「北朝鮮、中国、ロシアに対抗する韓米日三角協力を文在寅政権がなぜ弱体化させるのか理解できない」とも批判した。米国外交問題評議会(CFR)シニア・フェローのスコット・スナイダー氏も「GSOMIA破棄決定にこだわると、同盟関係をさめたものにする代償を支払うだろう」と警告した。トランプ政権のある幹部は先日の電話取材に「韓国はGSOMIA破棄を撤回したくとも出口が見いだせないようだ」との見方を示した。「外部からの圧力であれ日本の譲歩であれ、面子を失わず考えを見直す大義名分が見当たらない」ということだ。しかし日本の国会議員や政府関係者に先月会ってきたというワシントンのあるシンクタンク関係者は「日本は想像以上に冷めている。最初から気にしないという態度なので、解決は一層難しいとの印象を受けた」と語った」

     

    このパラグラフは、米国の本音部分がはっきりと示されている。韓国が、国際情勢の変化も弁えず、「反日」という感情論で、日米韓三ヶ国の安保体制を壊すならば、その代償を払わせられる立場になったのだ。韓国は、完全な敗北に追い込まれており、「GSOMIA終了日延長論」は、最高の逃げ場を作って貰ったというべきだ。

     

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