勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。


    今朝、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    GDPで見た内需はマイナス

    経済音痴の大統領府秘書官達

    不況がもたらす支持率の低下

    支持離れ「イ・ヨンジャ現象」

    自営業者が悲鳴上げるも見殺

    金正恩訪韓で支持率上げ狙う

     

    韓国経済は奈落の底に向かっています。唯一、それを知らないのは文政権だけという悲劇が起っています。文政権と言っても、厳密に言えば韓国大統領府です。文在寅大統領の任命した秘書官の6割は、「86世代」と言われる特殊グループ出身です。1980年代に学生運動を行い、北朝鮮の「主体思想」(チュチェ思想)に染まった人達です。

     

    文政権による北朝鮮への肩入れは、尋常ではありません。米国トランプ政権から、米韓の対北朝鮮への足並みを乱せば、核放棄が実現しないと警告を受けているほどです。文政権にとって、南北融和は千載一遇のチャンスと捉えています。文政権が変っても、その後の政権に北朝鮮との融和を継続させる。こういう狙いが明白です。文政権は、先の南北による「平壌宣言」を国会で批准させる動きを見せています。

     

    一方、この「86世代」が目指す経済政策は、「反企業主義」と「所得主導成長論」という極めて硬直的な考え方です。チュチェ思想の信奉者ですから、市場経済による競争を否定します。労働者の天国を目指し、大幅な最低賃金引き上げを実行しています。それによって、国家としての経済循環の輪が崩れようと気にしません。その部分は、財政支出を拡大して補強する考え方です。チュチェ思想によれば、労働者は国家の「主人公」という位置づけです。この結果、国家経済のバランスが崩壊する点に関する配慮はありません。

     

    文政権は、今年1月から最低賃金を16.4%引き上げました。さらに、労働時間の大幅短縮を行い週52時間(従来68時間)が上限に決めて7月から実施に移しています。もちろん、最低賃金引き上げや労働時間の短縮は、労働環境の整備であり歓迎すべきことです。問題は、肝心の企業がスムースに対応できるかいなかです。韓国では、罰則を伴い法的な強制力を持っています。企業が対応できなければ、罰則が科されます。こうなると、対応できない中小零細企業では、従業員を解雇する手しか残っていません。労働時間短縮は目下、罰則が猶予(6ヶ月)されています。その猶予も12月で切れますが、延長を議論しています。

     

    GDPで見た内需はマイナス

    文政権は、こうした最低賃金引き上げや労働時間短縮が、「労働者天国」に通じる道と信じています。現実は、全くの逆であり零細規模の労働者を「地獄」へ突き落とす結果となりました。それが失業率の上昇に現れています。この経済的な損失は、GDP統計にはっきりと表れています。

     

    韓国銀行(中央銀行)が12月4日に発表した7~9月期の実質GDP成長率は、前期比0.6%(年率換算2.42%)成長です。だが、中味を見て愕然としたのです。7~9月期の純輸出(輸出-輸入)が、1.9%ポイントも寄与したのに、内需の成長率がなんとマイナス1.3ポイントで足を引っ張っているのです。内需とは、個人消費・設備投資・公共投資などです。要約すれば次のようになります。

     

    7~9月期は、純輸出が韓国経済を押上げ、内需が逆に足を引っ張るという最悪事態に陥っているのです。その原因は、最低賃金の大幅引き上げによる失業率上昇だったのです。(つづく)

     

     

    メルマガ10号 「混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?」が、『マネーボイス』で紹介

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。お読みくださるようお願い申し上げます。

    https://www.mag2.com/p/money/596639
    ここをクリックしていただければアクセスできます。

     


     



    物価は景気の体温計である。物価が上がるときは需要過多。下がるときは供給過多という単純なシグナルである。もっとも、商品投機が起るケースもあるから、ケースバイケースで判定するほかない。

     

    中国経済は、不動産バブルに伴う金融過程が崩壊に向かって動き出している。信用収縮がそれである。これが、商品相場にも反映しているはずで、在庫整理で投げ売りに出ている可能性も否定できない。肝心の経済情報が、中国政府によって遮断されているので詳細を掴みぬくい。しかし、卸物価だけは隠す訳にいかず、ここから中国経済の崩れつつある姿を見るしかない。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月9日付)は、「中国の卸売物価、112.7%上昇」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国国家統計局が9日発表した2018年11月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比2.%上昇した。上昇幅は前月(3.%)より0.6ポイント縮小し、16年10月以来21カ月ぶり低水準になった。前月比でも0.%下落と7カ月ぶりに下落に転じた。国際的な商品相場の下落が波及したほか、販売不振の自動車なども下落した」

     

    中国のPPIが、昨年はかなりに上昇を見た。投機資金が跋扈した結果であろう。今や、投機資金は影を潜めている。実需低下が、PPIを引下げてと見られる。

     

    (2)「PPIを業種別にみると、石油・天然ガス採掘や石油加工で上昇幅が大きく鈍った。原油の国際相場の下落を映した。自動車、製紙や非鉄金属は前年比で下落した。個人消費の低迷が物価にも及び始めた公算がある。中国のPPIは過剰生産能力が原因で12~16年まで前年比で下落しつづけた。中国政府が16年初めから、鉄鋼や石炭を中心に生産設備を強制的に廃棄したことで169月に前年比で上昇に転じ、それ以降はプラスを維持している」

     
    PPIの値下がりは、企業の売上に反映してくる。輸出需要の低下が、PPIを押し下げている面もあろう。したがって、米中貿易戦争の激化が、与えている影響は広範囲にわたっている。ファーウェイ副会長逮捕で、中国が激昂して対抗する余力はないと見るべきだろう。

     


     

    メルマガ10号 「混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?」が、『マネーボイス』で紹介

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。お読みくださるようお願い申し上げます。

    https://www.mag2.com/p/money/596639
    ここをクリックしていただければアクセスできます。

     



    韓国では、最低賃金の大幅引上で苦境に立たされているのがコンビニ店主である。今年からの最賃16.4%引上で、店主の所得はアルバイト以下になると抗議してきた。政府は、クレジットカードの手数料引下げなどの対策で譲歩している。

     

    だが、本質的な問題は最賃の大幅引き上げの是正にある。政府は、この点に手を付けずにコンビニの新規出店条件として、既存店から50~100メートルの距離を必要とするなど「既存店保護」に動いている。

     

    『ハンギョレ』(12月5日付)は、「コンビニ業界、50~100メートル以内に新たな出店はしない、自律規約」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「コンビニ過密化解消のために競争業者間で出店距離を地域により50~100メートルに制限するコンビニ業界の自律規約が設けられた。加盟店主たちは、自律規約の趣旨は歓迎しつつも、最低収益保証制などの追加対策が必要だと主張した。公正取引委員会は4日、コンビニ過密化の解消と経営条件の改善に焦点を合わせ、出店・運営・閉店のすべての段階で本社の自律的な遵守事項を盛り込んだ自律規約の制定案を先月30日の小会議で承認したと発表した。韓国コンビニ産業協会はこの日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の中小企業中央会で、キム・サンジョ公取委員長が参加した中で自律規約制定宣言式を開いた。公取委は、コンビニ業界の自律規約はフランチャイズ分野での最初の事例だと強調した」

     

    韓国の自営業者が、就業者に占める比率は21%と高い。OECDの中で5位である。これだけで、コンビニ濫立が十分想像できる。そこへ、最低賃金の大幅引上である。コンビニ共倒れの危険性は大である。公取委が、中に入って自主規制の形で新規進出に規制を掛ける苦肉の策である。

     

    (2)「自律協約の審査を要請したコンビニ産業協会には、GS25CU、セブンイレブン、ミニストップ、C-Space5社が属しており、加盟会社でないイーマート24も自律規約に参加することを決め、全国コンビニの96%に達する38千店舗が自律規約の影響を受けると見られる。コンビニ産業協会は、早ければ今月中にも自律規約の施行に入る予定なので、飽和状態のコンビニ市場に改善の動きがみられる展望だ」

     

    深夜の12時から午前6時までの営業は、コンビニ店主の自由裁量に任されるという。ともかく赤字経営では、コンビニの顧客にも不便をかける。最賃大幅引上に反対してきたコンビニ店主は、公取に介入して貰い立場の強化に努めている。

     

    メルマガ10号 「混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?」が、『マネーボイス』で紹介

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。お読みくださるようお願い申し上げます。

    https://www.mag2.com/p/money/596639
    ここをクリックしていただければアクセスできます。

     


     

     



    中国で、「後払い」ツアーの扱いを始めたオンライン旅行会社が登場した。最近の中国では、アイデア・ビジネスが次々に登場して消えている。このローンの旅行商品を考え出した背景に注目すべきであろう。いつまで保つか。

     

    先ず考えられる理由は、国内景気の悪化が旅行需要の落ち込みを招き始めた懸念だ。すでに白物家電は売上が頭打ちの時代に入っている。乗用車もマイナス成長時代になった。映画館の興業収入が、10月の連休という最大の書き入れ時に、前年比2割以上の落込みである。さらに、都市の農民工(出稼ぎ)は職場を失い、740万もの人が故郷へ帰らざるを得ない状況である。暗い材料が、いくらでも上げられるのだ。

     

    こういう客観的な事情を考えると、旅行商品の販売に影が差しても不思議はない。旅行だけは別、という話にならないからだ。映画館への支出も節約する環境で、旅行に繰り出す人がどれだけいるのか。中国人の日本旅行にブレーキはかからないか。そろそろ、先行きを慎重に見る必要があろう。

     

    『人民網』(12月6日付)は、「オンライン旅行会社が、初の『後払いツアー』発売」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「オンライン旅行予約サイト『Lvmama.com』はこのほど、他社に先駆け、数百種類の「後払い」ツアー商品を発表した。『後払い』ツアーはすでにネット上で試験的に運営されており、中国国内と海外の団体ツアーが主な対象となっている。海外ツアーの主な目的地は、東南アジア、日本、欧米、オーストラリアなどで、中国国内ツアーは、厦門(アモイ)、三亜、麗江、東北氷雪ツアーなどが対象となっており、新ツアーも今後、随時発表されるという。

     

    この「後払い」ツアーは、次のパラグラフにあるように、資格審査がある。

     

    (2)「Lvmama.comは、どのユーザーも『後払い』ツアーに申し込むことができ、銀行による資格審査を経て、信用情報に問題がなければ、『後払い』でのツアー参加が可能、と説明している。さらに、当社のプラットフォームは、中旅銀行と提携しており、申込者が予約時に『後払い』を選択して、基本的な個人情報を入力すれば、銀行システムが信用判定を行う」

     

    銀行システムで信用判定が行なわれる。月々の収入と貯蓄残高が判定のメドになるのだろう。こうやって、毎月のわずかな支払いで旅行を楽しもうという狙いだ。ただ、住宅ローンの負担が家計を圧迫しているので、旅の夢よりも現実生活が優先されるかも知れない。

     

    メルマガ8号 「日本に背を向ける韓国、来たるべき経済危機をどう克服するのか?」が、『マネーボイス』で紹介

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

    https://www.mag2.com/p/money/590125

    ここをクリックしていただければアクセスできます。

     


       

    韓国では大統領支持率を毎週、2社の世論調査会社が実施している。2社ともに、文大統領支持率は下落している。韓国ギャラップが12月7日に発表した調査では、支持率は49%と2週連続で50%を割った。もう一方の調査では、支持率は48.4%と就任後、最低記録を更新している。原因は不況・失業問題にある。

     

    韓国ギャラップでは、男性の不支持率が支持率を上回った。この結果をどう見るかだ。男性の不支持率が支持を上回るのは、経済政策が落第という烙印だ。男性は、家計での稼ぎ手であるから、文大統領の経済政策に「ノー」を突付けたのも同然。だが、大統領府では、この結果が痛くも痒くもないらしい。経済政策を変える意図はゼロである。

     

    「大統領府の金顕哲(キム・ヒョンチョル)経済補佐官が最近、『新聞を見ていると、何が何でも企業活性化を求めるというのが嘆かわしい』と発言した」(『朝鮮日報』12月8日付コラム「文在寅政権の経済『自害劇』は来年も続くのか」)。要するに、韓国政府は、経済実態が悪化しても最低賃金大幅引き上げ路線の変更意思がない。こういう硬直的な政府の姿勢を見れば、男性ならば「不支持」に傾向くのは致し方ない。

     

    『中央日報』(12月8日付)は、「文大統領への評価、男性が『否定的』48%、『肯定的』44%」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国ギャラップが7日に発表した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持度定例調査は、次のような結果が出た。

        全体として肯定的な評価は49%(否定的評価41%)となり、性別で支持率に差が表れた。

        男性の場合、否定的な評価が48%と、肯定的な評価(44%)より4ポイント高かった。男性だけをみると、否定的な評価が肯定的な評価を上回る「デッドクロス」現象が初めて表れた。これは 、危険な兆候が現れたことで、要注意である。

        女性は肯定的な評価が53%と、否定的な評価(34%)を大きく上回った。文在寅政権の初期から各種世論調査で女性の大統領支持率は男性より高かった。

        男女別で支持率が分かれたのは、文氏が大統領就任後、初めてである」


    (2)「専門家は、『伝統的に地域・理念葛藤があったが、最近は世代・階層葛藤が強まる傾向』とし『新しい様相として男女の差もデータ上で確認されている。韓国社会でもアイデンティティー政治が本格化する信号とみられる』と述べた」

     

    ここでは、極めて示唆的なことを言っている。従来の選挙結果と違うものが出てきたことだ。最近は「世代・階層」間の特色が出始めていると指摘している。文政権は、市民団体と労組が支持母体だが、有権者はこのグループの他に、年代別・職業別に意識の差を鮮明にしている。

     

    これまで、市民団体と労組が革新派(文政権)の受け皿であった。ここから離脱したのが若者と自営業者である。これは、経済問題(最賃大幅引き上げ)によって、受益者(労組・市民団体)と被害者(失業のしわ寄せを受けている若者・自営業者)に分かれた結果だ。

     

    現在、文政権と与党は意識していないものの、次回大統領選で最賃大幅引上げ被害者の若者と自営業者が、革新系候補に投票せず、中立候補を支持するだろうという重大な示唆が得られる。この兆候は、今後の世論調査結果でより鮮明に現れるであろう。保守系と革新系の候補には投票せず、中立系候補を支持するのだ。これは、韓国政治における左右対立の歴史から、新たな動きが始るのかも知れない。私にはそういう感じがする。


    メルマガ8号 「日本に背を向ける韓国、来たるべき経済危機をどう克服するのか?」が、『マネーボイス』で紹介

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

    https://www.mag2.com/p/money/590125

    ここをクリックしていただければアクセスできます。

     

     


    このページのトップヘ