勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国国防相が、国会で北朝鮮へ「物わかり」のいい発言をして話題を呼んでいる。この国防相は1月下旬、海上自衛隊哨戒機に対して追撃命令を出すと発言している。敵味方を混同した韓国国防相の発言の裏に、文在寅大統領の「親中朝・反日」の明白な意図が読み取れる。

     

    『朝鮮日報』(3月25日付け)は、鄭景斗国防相に軍人の血は流れているのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の政治部=梁昇植(ヤン・スンシク)記者である。

     

    (1)「韓国国防部(省に相当)の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)長官は20日、国会対政府質問の答弁中に、韓国海軍哨戒艦「天安」爆破・沈没事件と延坪島砲撃事件を「芳しくない南北間の衝突」と言った。最大野党・自由韓国党の白承周(ペク・スンジュ)議員が「国民が見守っている。表現を改めよ」と言うと、3秒ほど考え込んだ後、「これまでにあった複数の衝突事例について…」と言った。北朝鮮による挑発で発生した事件を、まるで南北双方の責任で起こったことであるかのように表現したのだ。白承周議員が「挑発なのか、衝突なのか」とさらに問い詰めると、鄭景斗長官はやっと「北朝鮮の挑発による衝突」と言った。これには韓国軍内部からも「軍の一般的な認識とは異なる非常識な発言だ」という声が上がっている」

     

    韓国は、朝鮮戦争で北朝鮮に侵略され、その後も数々の破壊活動によって人命を伴う多大の損害を被ってきた。その北朝鮮軍に対して韓国国防相は、想像もできないほどの融和姿勢を見せた。韓国海軍哨戒艦「天安」爆破・沈没事件と延坪島砲撃事件を、なんと「芳しくない南北間の衝突」と言ったのだ。野党議員に追及されてやっと、「北朝鮮の挑発による衝突」と改めたのだ。

     

    こういう発言の裏には、文在寅大統領の南北交流という最大の政治目的が隠されている。すでに北朝鮮に対しては「主敵」という言葉も消えている。法的に見た南北関係は、「休戦状態」に過ぎない。平和条約を結んで恒久的な敵対関係が消滅したものではないのだ。国防軍は、最後の最後まで国土と国民を守る義務がある。たとえ大統領の意向とはいえ、国防軍の義務を忘れた言動は許されない。最後まで、毅然と対応すべきである。

     


    (2)「鄭景斗長官の発言は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の基本姿勢に沿っている。政府関係者は「現政権になってからは北朝鮮を刺激するのではないかと、『天安』爆破・沈没事件や延坪島砲撃事件という表現もあまり使わない雰囲気になっている」と言った。軍関係者は「鄭景斗長官は第一線の指揮官時代、典型的な軍人だった。『天安』爆破・沈没事件や延坪島砲撃事件という(北朝鮮の)挑発に対して一般的な軍人と同じく『北朝鮮の仕業』と言い、強硬に対応すべきだという考えが強かったと記憶している」と語った」

     

    同氏の姿勢は、文政権に変わり自ら軍部の高官になってから、少しずつ変わっていったという。「上層部の顔色をうかがうような行動が軍人らしくない」と批判されるようになったのだ。自らの出世のために、信念を曲げてでも迎合するタイプである。

     

    鄭景斗長官は、海軍パイロット出身である。二度にわたって日本の航空自衛隊幹部学校へ留学している。その鄭長官が、日本を敵視する発言を繰り返したのだ。自らの栄達のために、日本の友人・知人を裏切るような発言をあえてする。やはり、軍人らしい「無骨さ」はない、一介のビジネスマン風の軍人である。

     


    『聯合ニュース』(1月26日付け)は、「韓国国防相が海軍司令部を電撃訪問、威嚇飛行には『厳しい対応を』」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「韓国の鄭景斗国防部長官が26日、南部・釜山にある海軍の作戦司令部を電撃訪問した。同部が伝えた。国防部によると、鄭長官は同作戦司令部で、日本の哨戒機が先月20日に北朝鮮の船舶を救助していた韓国の艦艇を威嚇するように低空飛行で接近したのを含め、4度にわたり韓国海軍の艦艇に威嚇飛行をしていることについて「友好国に対する深刻な挑発行為」とした上で、これを認めずに哨戒機が先月20日に火器管制レーダーを照射されたと主張し、韓国に謝罪を求め続ける日本の姿勢を批判。韓国軍の安全を脅かす威嚇飛行が今後も繰り返された場合、強力な対応を取るよう兵士らに求めた」

     

    鄭氏は、航空自衛隊幹部学校へ二度も留学している。海上自衛隊が、国際法を守って飛行するように教育している実態を最も知っている立場だ。それにも関わらず、文大統領のご機嫌伺いで、わざわざ日本を悪者にする発言をしている。悪化した日本との関係も放置して、自らの地位安泰を優先した人物である。およそ、「武人」と呼ぶにはふさわしくない振る舞いをしている。

     

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    韓国は、日本に対してだけ不遜な態度を取るのでなく、米国に対しても同様な振る舞いをしているという。ワシントンでは、文政権への不満が渦巻いている。それが、表面化しないのは、韓国の「反米運動」を起こさせないためだという。

     

    米国務省のある関係者は、ワシントン内の日韓外交の違いを次のように説明する。


    「韓国の外交官は会うとすぐにわれわれを教化しようとする。それから何々してほしいとお願いする。要請を聞き入れるとその後しばらく連絡が途切れる。少しするとまた連絡が来るが、会うとまた要請だ。日本の外交官は会うと先に、『私はあなたのために何ができるか』と聞く。助けようとしてくれる。だからこちらも、『われわれのほうでは、何を助られるだろうか』ということになる」(『中央日報』3月25日付け「韓国外交官は米国を教化しようとし、日本は自分たちにできることはないかと聞く」)

     
    このパラグラフには、韓国人特有な「自分の利益」だけを追求している姿が良く表れている。相手への思いやりがないのだ。日本の外交官は、「メイ・アイ・ヘルプ・ユウ」である。これが、「大人の外交」というもの。韓国外交は、子どものおねだりと同じなのだ。これでは、米韓関係で軋みが生じて当然であろう。日本でも韓国に対しては辟易しているのだ。

     


    韓国外交は、文政権になって一段と得体の知れない存在になっている。韓国大統領府に「86世代」という学生運動家上がりが集まって以来、「親中朝・反日米」を鮮明にし始めている。ワシントンでは、韓国のこうした路線変化を肌身で感じているという。

     

    『中央日報』(3月25日付)は、「文大統領の仲裁論に米国務長官が不快感、韓米外相会談はない」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ワイトハウスの首席戦略官でトランプ大統領の最側近だったスティーブン・バノン氏は最近、知人にホワイトハウスの雰囲気をこのように伝えたという。『韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する不満は昨日今日のことではない。“自暴自棄”の雰囲気もある。ただ、これを表に表さない。その瞬間、韓国内の反米気運が強まると見ているからだ。我々はそれを決して望まない。米国が望む韓国政界の構図とも関連する問題だ。ただトランプ政権はグツグツ沸き立っているだけだ」

     

    米国が、韓国に怒っているのは本当である。米国の本音は、「勝手にしやがれ」とうところなのだ。日本の韓国に対する思いと一緒。どうにもならない相手である。

     

    (2)「ハノイ会談が決裂した直後、青瓦台は文在寅大統領とトランプ大統領の電話会談の内容を発表しながら「トランプ大統領は文在寅大統領が(中略)積極的な仲裁役割をするよう求めた」と発表した。しかしホワイトハウスの事情に詳しい情報筋は、『トランプ大統領が文大統領に述べたことは米国の『ビッグディール』方針を北朝鮮にきちんと説得すべきということだった』とし、ところが青瓦台はあたかも『北側の意見を米国に伝えるメッセンジャー』のように振る舞ったために怒ったと伝えた」

    韓国は、トランプ発言を曲解して公表した。「仲裁者になってくれと依頼された」と、あたかも米国が困って韓国に依頼したというニュアンスであった。あの発表は、「おかしなことだ」というのが私の第一印象である。米国は、北に腹を立てて席を立ってきた。その米国が、韓国に「仲裁者」になってくれと言うはずがない。私は、直感的にそう思った。韓国が、話を変えて公表したのだから、米国が怒って当然だ。

     

    (3)「(米韓で)大きな問題は、『本当に韓国は韓米同盟を必要だと考えるのか、米国と共に進んでいく考えがあるのか』という根本的な疑問が生じている点だ。ワシントンで韓米関係を長期間にわたり眺めてきた第3国の研究者は、『韓米間の不信感の根底には中国がある』と指摘した。この研究者は、『韓米関係が北朝鮮問題で歪んだのは事実だが、実際にはそれ以前の2017年11月にトランプ政権が米国の『新アジア戦略』として発表した『インド太平洋構想』に韓国が参加しなかったところから亀裂が生じ始めた』と分析した。米国が中国の『一帯一路』に対抗して野心を持って出した新しいアジア未来戦略に韓国が加勢しなかったため、普段から『トランプスタイル』に批判的だった一般の米官僚さえも『韓国は本当に中国側か』と首をかしげたという

    韓国の「86世代」は、中朝に顔を向けている。こういう政権は、早く退場して貰い「親日米」政権の登場を待つほかない。今時、北朝鮮の「チュチェ思想」を信奉している韓国大統領府スタッフに、何を語っても無駄である。話が通じないからだ。


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    2016年の米大統領選に対するロシア介入疑惑を捜査したモラー特別検察官は、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠はないとする一方、トランプ大統領による司法妨害の可能性に関しては潔白であるかどうか結論を出さなかった。これで、トランプ氏は疑惑のワナから抜け出た感じだが、このニュースに困っているのは中国政府であろう。

     

    米中通商協議の最終合意を引き延ばしてきた理由は、このロシア疑惑で「黒」でなくても「灰色」を期待していた節が窺える。そうなれば、強気のトランプ氏が米中通商協議を急いで合意すると踏んでいたからだ。この「期待」が崩れるとなれば、トランプ氏は一段と強気になって、中国を追い込むという「恐怖」にさらされることになろう。

     

    次期大統領選は、トランプ氏が有利な戦いになると見られる。これまで、「ロシア疑惑」がはっきりせず、ここ2~3月間、トランプ氏は苦しい時期を過ごすと見られてきた。これを乗切れば、大統領選は勝利を飾れるという楽観論も聞かれた。現状は、この楽観論が優勢な情勢になっている。

     

    トランプ氏に関する醜聞は、嫌悪する派と業績第一とする派の二派に分かれている。保守派は、業績第一とする割り切った考えが強く、支持率はこれから増えるという期待感が強い。逆に、民主党は、醜聞だけを取り上げて個人攻撃に終始すれば「大敗」するとの予測もあり、政策論争で勝負すべきとの指摘が聞かれる。

     

     

    『ブルームバーグ』(3月25日付け)は、「モラー特別検察官、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠なし」と題する記事を掲載した。

     

    2016年の米大統領選に対するロシア介入疑惑を捜査したモラー特別検察官は、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠はないとする一方、トランプ大統領による司法妨害の可能性に関しては潔白であるかどうか結論を出さなかった。特別検察官が先に司法省に提出した報告書の内容として、バー司法長官が24日に明らかにした。バー長官自身は、捜査で得られた証拠では司法妨害を立証できないとの判断を示した。

     

    (1)「バー長官は議会への4ページの書簡でモラー氏の報告書について、司法妨害の「問題の双方の側面について証拠を見つけ」ており、「特別検察官が法律上の難題とした部分は未解決となっている」と説明。同報告書でモラー氏が「この報告書はトランプ大統領が罪を犯したと結論付けていないが、大統領の潔白を証明するものでもない」と判断したことを明らかにした。しかしバー長官は、自分とローゼンスタイン司法副長官は「特別検察官の捜査で得られた証拠は、大統領が司法妨害を行ったと立証するには不十分との結論に達した」と同書簡に記した」

     


    (2)「トランプ大統領は同報告書によって共謀と司法妨害という自らの地位を脅かしかねない2つの疑いが晴れたと受け止めた。ただ、議会民主党はこれらの問題に関して有罪か無罪かを決定する権限を主張している。トランプ大統領はバー長官の書簡公表の約1時間後、「共謀はなく、司法妨害もなかった、完全かつ全面的な潔白が証明された」とツイートした。またフロリダ州パームビーチで記者団に、「違法テイクダウン(タックル)は失敗した」と語った」

     

    民主党が、どのような態度で出てくるか。これは、一つの焦点であることは事実だ。

     

    (3)「バー長官は16年のロシアとの共謀の疑いについて、「ロシアに関係した個人がトランプ陣営に複数回、支援を申し出たことはあったものの、特別検察官はトランプ陣営ないし陣営に関係する者がこれらの企てでロシア政府と共謀ないし連携したとの判断に至ることはなかった」と説明した。司法省当局者によると、ホワイトハウスはモラー氏の報告書の検討ないし議論に関与せず、事前にバー長官の書簡を閲覧することもなかった」

      

    (4)「ホワイトハウスのサンダース報道官は発表資料で、「特別検察官は共謀も司法妨害も見つけなかった」とし、司法妨害を巡る特別検察官の判断部分は事実と異なる形で論評。その上で「バー長官とローゼンスタイン副長官はさらに、司法妨害がなかったとの判断を下した。司法省の結論は大統領の完全かつ全面的な潔白さの証明だ」と論じた」

     

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    けさ、下記の目次で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    経済より南北交流を優先

    50%切る個人消費比率

    老齢化した韓国経済の弱味

     

    韓国の文在寅大統領は、記者会見で「われわれが進む道は正しい。そのため政策を見直すことはできない」と言い切りました。経済面では、最低賃金の大幅引上げにより、2月失業率が4.7%と1月よりもさらに悪化しました。これでは、「所得主導政策」が正しいとは言えません。文氏は経済の実態が悪化しても、政策を見直す意思がないとなれば、「独善主義」と呼ばざるを得ません。なぜ、ここまで政策に自信を持っているのでしょうか。

     

    これは、韓国朱子学の道徳主義によるものでしょう。文氏によれば、社会の底辺で苦しんでいる人々の賃金を引き上げる「道徳行為」を行なっている。その過程で、失業率が高まったに過ぎない。いずれ、失業率は下がるという認識と思われます。しかし、生産性を上回る最賃引上は、フランスの先行事例でも証明されているように、失業者を増やす逆効果しか生まないのです。この事実を理解しないのか。不思議でなりません。

     

    経済より南北交流を優先

    文氏がここまで強硬であるのは、「経済よりも南北」という政治選択をしていると見られています。高失業率は、財政資金を支出して救済すれば良い。それよりも南北問題に取り組み、大統領としての政治実績にするという選択をしているのです。南北交流は、南北朝鮮の悲願です。この面で解決への糸口をつくり、与党の支持基盤をさらに固めて、次期大統領も進歩派が継承できる環境を整えたい。そうい
    う、政治プログラムを組んでいる、という指摘があるのです。


     

    文氏には、次期政権も与党から出さなければならない事情があるのです。前政権の幹部クラスを次々に告発し、投獄させました。その関係者の懲役年数を合計すると、100年にもなると言われます。この間、数人の自殺者が出ました。次期政権が保守党になれば、文大統領は告発されるでしょう。告発理由は、何なりと付けられます。それに該当する「事件」はすでに2~3上がっています。

     

    次期政権も進歩派与党から出す絶対条件は、南北交流の実現にかかっています。現に、文氏の支持率は、「金正恩氏」に関わるテーマが登場するたびに上がっています。これを見れば、文氏にとって「経済よりも南北」という選択が、正しいということになるのでしょう。

     

    このことが、韓国の将来に有益であるかは別問題です。北朝鮮が、核の完全放棄をしない曖昧なままで南北交流を始める。その場合、韓国は「核の人質」になる重大な危機に直面します。韓国は、北朝鮮の無法な要求を飲まされる危険性が高まります。そのリスクを抱えながら、南北交流→南北統一の意義があるのかが問われます。韓国国民は、文政権が掲げる南北政策を吟味する必要があるのです。隣国日本は、北朝鮮が核を持った状態を受入れられません。日本が、文政権の早急な南北交流に危機感を募らせるのは当然でしょう。

     

    韓国経済が、最低賃金の大幅引上げによって危機的な状況に向かっている事実は、IMF(国際通貨基金)が、すでにGDPの0.5%超の財政支出拡大を勧告したことに表れています。韓国政府が、今年の成長目標(2.6~2.7%)を達成するには、約9兆ウォン(約9000億円)台の補正予算が必要と見ています。現状のまま推移すれば、1.8%程度の成長率に止まるという判断なのでしょう。

     


    IMFの勧告には、内需の相当な冷え込みを予想していると思われます。その前提として、韓国の最低賃金層が雇用全体の中でどの程度占めているか。それを見ておきます。

     

    米国の場合、最低賃金対象の就業者比率は全体就職人口の2.3%と言われます。韓国ではこの比率が13.3%にも達しているようです。飲食宿泊業・卸小売業は、かなり高いのです。特に零細自営業は72.3%にのぼると推測されます。ここから言えることは、韓国は、最低賃金労働者によって支えられている経済ともいえます。この労働者が、低賃金で働いているのは、経営者に搾取されているのでなく、生産性が低い結果と言えます。生産性を引き上げる政策が、先ず行なわれなければ、大幅な最賃引き上げ策が破綻して当然でしょう。(つづき)

     

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    中国人経済学者で、国際機関に勤めた経験者は、超強気の経済論を打ち上げるという習性があるようだ。

     

    世界銀行チーフエコノミスト兼副総裁であった林毅夫北京大学教授は、2012年ころ、10%成長があと20年続くと発言。その後はトーンダウンして、8%成長が20年続くと臆面もなく発言した。この発言を聞いて、私は2010年5月から毎日書いているブログで痛烈に批判した。中国経済は不動産バブルに過ぎないと指摘したのだ。

     

    今度は、IMF副専務理事を務めた経験を持つ精華大教授の朱民氏が、林毅夫氏に似たような楽観論を話している。

     

    『日本経済新聞』(3月25日付け)は、「減速する中国経済の行方、米の追加関税上げが焦点」と題するインタビュー記事を掲載した。

     

    (1)「中国は3040年にわたって高成長を続けてきた。それを長期にわたって維持するのは不可能だ。経済規模がこれだけ大きくなったのだから成長の速度が落ちるのは自然だ。日本や韓国も同じ経験をしてきた。この2年、中国政府が過剰な生産力や債務の削減を進めたことも景気減速の原因だ。特に鉄鋼やアルミ、ガラスといった分野で大きな成果が出た。その過程で経済に下押し圧力がかかるのは避けられない」

     

    1978年改革開放後の40年間、平均成長率は9.5%を記録した。ただ、2009年以降は不動産バブルが支えてきた不健全な成長である。過剰債務=過剰生産=過剰輸出という形で世界経済を攪乱してきた。これからは、その総決算が求められる。米中貿易戦争は、その象徴的な姿だ。

     

    (2)「中国政府は2019年のGDP成長率の目標を『6~6.%』に設定したが、私は6.3~6.%程度の成長は実現できるとみている。決して悪い数字ではない。これからの数年間も6.%前後で安定するだろう」

     

    これから数年間、6.3%前後の成長率が続けられるというのは、完全な作為的な話と言わざるを得ない。現在、中国経済に起っている問題は、在庫循環と設備投資循環のボトムが重なり合っており、景気の調整はこれだけでも相当の圧力になっている。

     

    また、習近平氏や人民銀行幹部が相次いで警戒している「信用収縮」問題が起っている。流動性のワナの問題が起るほど、信用創造能力は低下しているのだ。マネーサプライ(M2)が、名目GDP成長率を下回って8%増という異常事態だ。このような危機的な状況で、「これからの数年間も6.%前後で安定するだろう」という金融環境にはない。

     

    不動産バブルは現在、中国政府の管理で無理矢理、下落を封じ込めているだけだ。世界的な不動産の下落が起れば、いくら海外情勢に鈍感な中国の投機家も危機感に煽られて、手持ち不動産の処分売りに出てくるであろう。そうなったら、中国経済はひとたまりもない。5000万戸と言われ投機用のマンションが、一斉に売られてきたら中国の信用機構は破綻するだろう。それほどまでに危険な橋を渡っているのだ。

     


    (3)「いま貿易戦争の核心的な問題は、米国が2千億ドル相当の中国製品に課している10%の追加関税を25%に引き上げるかどうかだ。引き上げた場合、中国の輸出数量は大きく減るだろう。それだけではない。米国にも打撃となる。われわれの計算では2千億ドルのうち、50%以上は中国製品以外での代替ができない」

     

    米中貿易戦争の本質は、貿易の不均衡という表面的な問題ではない。中国は、WTO(世界貿易機関)のルール無視による不公正貿易ルールの遵守を迫られている。これを、矮小化して捉えるべきでない。中国が、公正なルールに従った輸出や産業政策を求められたら、経済規模がどれだけ縮小させられるかという構造的な問題を抱えている。

     

    50%以上は中国製品以外での代替ができない」と胸を張っているが、すでにサプライチェーンは脱中国の動きを見せている。余りにも従来の「世界の工場論」に囚われた議論をしていると、中国は世界から見捨てられる危機と隣り合わせだ。その現実を認識すべきだろう。朱氏が在籍したIMFは、伝統的に中国経済に甘い見通しを持っている。それを捨てる時期に来たのだ。

     

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