勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    7月31日、中国政府は米中貿易戦争による悪影響を防ぐべく、総合経済対策を決定した。皮肉にも、上海総合株価指数は翌8月1日から4営業日(8月6まで日)にわたり連続安となった。6日の終値は2705ポイント。首の皮一枚で2700ポイントを維持した形だ。株式市場での反応は、米中貿易戦争の影響が深刻なものになると予測しているのであろう。現在の中国株式市場は、機関投資家が株式市場をリードしている。2015年の株価熱狂時は、個人投資家が国営メディアに踊らされて市場へ殺到した。当時の面影はなく、機関投資家の跋扈する市場へと変貌している。

     

    国営メディアは、こうした株価連続下落に業を煮やしたのか、とうとうこれまでタブーであった「個人批判」を始めている。ここまで来ると、中国の本音丸出しで「下品」そのものだ。

     

    『ロイター』(8月6日付)は、「トランプ米大統領の通商巡る 脅迫は通用せず」と題する人民日報記事を伝えた。

     

    (1)「中国共産党機関紙『人民日報』は6日の論説で、米国は中国との貿易摩擦をエスカレートさせ、国際貿易を『ゼロサムゲーム』にしたと指摘し、トランプ大統領の通商政策を激しく批判した。トランプ氏が脅迫や威嚇のドラマを演じているとし、他の人が自分のドラマと調子を合わせてくれると期待することは『希望的観測』に過ぎないと指摘。『国を統治するということは、ビジネスを行うようなことではない』とし、トランプ氏の行動が米国の信頼性を危険にさらしているとの見方を示した。貿易摩擦が激化する中、中国の報道機関は米国とトランプ政権を頻繁に非難してきたが、これまではトランプ大統領個人への攻撃は概ね避けてきた」

     

    中国も北朝鮮も同じだが、個人攻撃を始めるところが「民度」の低さを表している。トランプ氏は、本心はともかくかくとして「習氏は友人である」と付け加えている。もはや中国にはその精神的なゆとりもなくなったのだろう。追い詰められているのだ。

     

    『ロイター』(7月27日付)は、「中国、民間企業の調達支援向け金融緩和実を結ばず」と題する記事を掲載した。

     

    この記事は、やや専門的であるので、コメントだけでも読んでいただきたい。

     

    (1)「中国当局は与信環境の引き締まりに苦しむ民間企業の起債を支えようと、銀行の預金準備率引き下げなど金融緩和策を次々と繰り出している。しかし投資家は暗黙の政府保証があると信じる融資平台(地方政府傘下の資金調達会社、LGFV)や国有企業の債券に引き続き資金を注ぎ込んでおり、当局の取り組みは成果が上がっていない。浙商銀行の資産運用部門の幹部、サミュエル・ワン氏は、同行のポートフォリオに占める民間企業の社債の割合は『ほんの一部だ』と述べた。浙商銀行の開示情報によると金融商品への投資規模は5627億ドルで、このうち社債の比率は1.4%にすぎない」

     

    中国人民銀行は、金融逼迫化の緩和を行なうべく預金準備率を引下げ、銀行貸出の量的な増加をはかっている。だが、政府の債務保証がついていると錯覚し、民間債券を敬遠している。その代わり資金が、国有企業債や地方政府の資金調達機関である「融資平台」債へ集中しているのだ。政府の債務保証はすでに廃止されている。それでも資金は、「一縷の望み」で公的な機関の発行する債券へ向かっている。こうなると、民間債の資金調達は絶望的な事態となる。

     

    民間企業と国有企業の利益率では、民間が国有を上回っている。本来ならば、利益率の高い民間債へ資金は流れるべきもの。だが、中国経済の置かれている状況は、そうした常識論を吹き飛ばすほど混乱しているのだ。ここまで「信用不安」が広まっている証拠である。貸した資金や買った債券が、確実に回収できるか不安を覚えるほどお先真っ暗になっている。中国政府は、不都合な情報を全て遮断している。だが、金融現場が陥っている混乱は、中国経済がかつてない危険ゾーンへ入り込んでいることを窺わせている。

     

    (2)「民間企業の社債を敬遠する風潮は、経営効率の低い国有企業に資金が流入し続け、成長の6割、雇用の8割を担う民間セクターが割を食うことを意味する。実際にLGFV(融資平台)債や国債の利回りは最近急低下した。レイショナルストーン・インベストメントのZhou Li社長は『ジレンマだ。政府は自ら進める借り入れ圧縮策で打撃を受けた民間企業を救済しようとしているが、市場参加者にとっては他の投資先を選ぶ方が理に適っている』と指摘」

     

    民間部門は、産業部門の上げる利益の6割、雇用の8割を占めている。正常であれば、資金は民間部門へ向かうはずだ。現実は逆である。資金回収のリスクを考えれば、債務保証がついていると錯覚している国有企業や地方政府の融資平台へ流れている。こういう資金配分の誤りが、中国経済の発展に大きなマイナス要因になる。ここまで国有企業信仰を押上げたのは、習氏の国有企業重視論によるもの。胡錦濤政権までは、民間部門重視の経済政策であった。それをひっくり返したのが習氏だ。


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    2018年は、明治維新(1868年)から150年に当る。中国の南開大学で「明治維新と近代世界」に関するシンポジュームが開かれた。中国メディアの『快資訊』(8月2日付)が、その内容を伝えた。東アジアの歴史を書き換え、世界の構造を変えるほどの影響を与えたとしている。注意すべきは、日本が明治維新で世界の強国になった事情を利用して、中国が軍拡の企みを正当化することだ。大きな軍隊を持てば、世界のリーダーになれる。そういう妄信に付きまとわれている。これが、現在の中国である。

    南開大学と聞けば、周恩来首相を思い出す人も多いだろう。周氏にとって南開大学が、生涯の伴侶となる夫人との出会いの場でもあった。周氏は、毛沢東から言われなき嫌疑を受け、ガン手術を許可されず死期を早めた悲劇の政治家である。米中復交の立て役者であり、「冷静沈着」を絵で描いたような哲人政治家であった。周氏が存命であれば、現在の米中貿易戦争について、どのように語るだろうか。

     

    『サーチナー』(8月6日付)は、「日本は明治維新で突如として世界の強国になり東アジアの歴史を書き換えた」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「記事はまず、日本が幕末の激動の中で明治維新を実現できたのは『幸運』だったと紹介した。ある専門家は、明治維新には問題もあったものの、方向性としては正しかったと分析している。では、東アジアをはじめ、世界にどのような影響を与えたのだろうか。専門家の1人は、『世界の構図を変えた』と指摘」。

     

    日本が開国に踏み切ったのは、清国が列強の支配下に組み入れられて行く姿に危機感を持ったことにある。開国では西洋化を前面に立て、「日本が異質の国でない」ことを示す必要があった。これが不必要なまでに欧風化を実現させた理由である。ただ、鎖国中も長崎・出島を窓口に海外の情報を入手しており、これが開国促進の原動力になった。

     

    明治維新が、「世界の構図を変えた」と中国で評価する裏には、日本が一気に欧風化を実現し、教育・法律・政治・経済など従来の「アジア」の停滞的なイメージを塗り替えたことにあると思う。浮世絵が、欧州の印象派に大きな影響を与えて、「島国日本」が一躍芸術面で脚光を浴びるという華々しい登場も「日本評価」に結びついたのであろう。

     

    (2)「国際的にみて東アジアの今の立ち位置があるのは明治維新があったからだという。世界の構図の中心が欧州だけでなく、米国とアジアの日本が含まれるようになり、これは大きな変化だったとしている。また、日本は明治維新での富国強兵政策により、20世紀に入って『突如として世界の強国になった』と言えると別の専門家は論じた」

     

    日本は開国以来、安全保障に最大の関心を持ってきた。清国・ロシアという大国が控えており、朝鮮半島がその勢力分野に入っていた。日本は、この朝鮮半島を緩衝地帯にして安全保障を図る基本方針であった。19世紀後半は、帝国主議の最盛期である。領土拡張のためには、他国を侵略することは日常茶飯事であった。その中で、日本の安全をいかに守るか。為政者にとっては日夜、頭を痛めた問題であったはずだ。

     

    日本にとっては、軍備増強は不可欠であった。それは、弱肉強食という帝国主義の中に組み込まれた日本の悲劇でもある。ここで注意していただきたいのは、最近中国が「軍拡は国家発展に必要」というテーゼを打ち出していることだ。その例として、日本、米国を上げている。日本は軍拡をやり過ぎて自滅した悪例である。中国も、世界に同盟国を持たない点では過去の日本と同じ境遇である。

     

    中国が、明治維新を高く評価する裏に、軍備拡張によって「強国」になったという表面だけを見ている。中国は日本の悪例を学んではならない。仮に、日本が「強国」になったとしても、軍備のバックアップがあったからではない。明治維新で、あらゆる改革を行なう制度的イノベーションに取り組んだことだ。現在の中国は、このイノベーションを怠り、専制主義による共産党員の利益増進を第一にしている。これは、近代化への逆行であり、衰退への道だ。

     

    (3)「もっとも、明治維新には負の側面があるのも事実だ。記事は専門家たちの間で、この点も研究されるようになってきたと紹介。とりわけ、明治維新により日本が自衛のためではなく『必然性がないのに進んで戦争を始めた』ことは、アジアのみならず世界を震撼させているという。これは関係国だけでなく、国際関係や社会秩序にも負の遺産となったと専門家の1人は主張している」

     

    中国は、自衛を理由に軍拡を進める意思を示している。南シナ海の窃取が、自衛とは真逆であって、これは「侵略」と呼ばれるもの。中国の振る舞いは、領土拡張が目的である帝国主義の再来である。

     


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    戦時中の日本では、竹槍でも米軍を倒せるという精神論が流行っていた。8月15日が近づくとともに、あの虚しさが蘇ってくる。夜は灯火管制のため暗い電球の下で、米空軍のB29の飛来に怯えていた。だが、誰も「敗戦」を口にしなかった。

     

    現在の中国に、敗戦直前の日本に見られた「精神論」が登場している。具体策を論じることなく、貿易戦争に勝てるという議論が中国メディアに登場した。これは、「中国敗戦」の近さを教えているように思える。

     

    『ブルームバーグ』(8月6日付)は、「米国との持久戦に備え十分 貿易戦争生き残れる」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国は貿易摩擦を早急に解決しようとしているが、中国は『持久戦』に備えており、短期的な経済的利益を犠牲にすることも恐れていないと、中国メディアが論説で主張した。共産党機関紙、人民日報系の新聞、『環球時報』の英語版『グローバル・タイムズ』は5日夜の論説で、中国は発展する権利を守らなければならないものの、中国国民は『貿易戦争を避けたいと強く願っている』とした上で、『米国の不合理な要求から判断すると、貿易戦争は中国の経済主権を失わせることが目的であり、日本がプラザ合意を受け入れたように中国を米国の経済的従属国にしようとする行為だ』と断じた」

     

    中国のGDPは世界2位である以上、WTOの原則を守って行動せよ。これが米国の主張である。技術窃取するな。政府が企業に補助金を出すな。たったこれだけの要求である。先進国は、これを守っているのだから中国も従え、ということである。

     

    日本がプラザ合意を飲んだのは、円レートが日本の輸出競争力から見て割安であったことの修正である。その後の日米経済摩擦で日本の経済構造が俎上に上がった。近代化を迫られたのだ。現在の中国には、そういう要求は一切なしである。中国に米国の経済的な属国になれと言っているとするのは、中国得意の虚言である。

     

    (2)「『米政府は貿易に関して常軌を逸している』とし、中国は『多くの米大企業と米農家が生き残るための鍵」』だと論じた。中国英字紙『チャイナ・デーリー』の論説は、『トランプ政権のいじめに直面し、中国政府は冷静さを保ち、対応策を決める際に感情に溺れて理性を失わないようにしなければならない。中国の巨大な市場や、資源を大型プロジェクトに集中させられる制度上の優位性、苦難を耐える粘り強い国民性、改革開放政策の確実な実行を考慮に入れると、中国は貿易戦争を生き残ることができる』と説明した」

     

    米国が、1ヶ月以内にEUと貿易協定を結ぶこと。NAFTA(北米自由貿易協定)との改定交渉にメドが突きかかってきたこと。この懸案事項が解決すれば、これに附随して新たな展開が始まる。日欧EPAとTPP11(米抜き)が来年に発効見込みである。こうなると、世界はぐるりと中国市場を取り巻く形になる。中国市場への依存度が減る可能性が高まるのだ。こういう形で、中国は米国と貿易戦争する勝ち目があるだろうか。

     

    中国は、ここで冷静に考えるべきだ。他国の技術窃取はしない。WTO規則を守って企業に補助金を与えない。これを実行すれば大袈裟に、「中国は米国の経済的属国にならない」などと言う必要もなくなる。

     

    中国の経済改革では、肥大化する国有企業をどう扱うのか。金融逼迫化の中で、資金は優先的に国有企業へ流れている。民間企業はこの煽りを食って逼塞状態に追い込まれている。これは、中国政府の経済政策の失敗が招いたものだ。すでに、持久戦に備える力は消えつつある。すでに、バブル経済の崩壊がもたらした負の遺産に苦しんでいる。中国は、米国という「敵」と不動産バブル後遺症のもたら「敵」の二つに対峙しなければならない。これでは、中国経済が自滅以外にないと思われる。さて、どうか。

     


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    韓国の失業は、文政権登場後、厳しい状況が続いている。特に若年層(15~29歳)の失業率は5月末で10.5%。1999年の統計開始以来という最悪状態に陥っている。文在寅大統領は、雇用問題解決を最大の旗印にして登場したが、逆に悪化させている。

     

    KOTRA(韓国貿易振興公社)は、韓国物産の輸出だけでなく、「人材輸出」=韓国人就職斡旋にまで乗り出すほど。KOTRAは政府準機関である。そこが、韓国人就職斡旋に取り組むとは、気の毒にさえ思う。文政権の経済政策の失敗が、韓国の若者を路頭に迷わせている。日本でこのような状況になれば、政権交代問題になろう。

     

    『中央日報』(8月6日付)は、「KOTRA、働き口があふれる日本で就職を助けます」

    と題する記事を掲載した。

     

    (1)「KOTRAが東京で就職説明会を開き、韓国人求職者の日本の就職を助けている。KOTRAは雇用労働部、科学技術情報通信部、韓国産業人材公団と共に6日から7日まで東京で『韓国人材採用相談会』を開くと5日、発表した」

     

    KOTRAは、東京、大阪、名古屋、福岡に貿易館を開いており、韓国人の日本での就職斡旋にも取り組んでいる。韓国政府の雇用労働部(日本の厚生労働省)、科学技術情報通信部

    (同文部科学省)の官僚も出席して日本での就職促進を後押しする。この状態がもし、日本政府肝いりで、他国で行なわれたらと思うとゾッとさせられよう。国家としてのプライドなど吹き飛ぶ事態だ。

     

    (2)「行事には日本の企業27社が参加し、韓国人求職者100人余りと採用面接を行う。情報通信技術(ICT)専門企業「NTTデータジェトロニクス」、日本のコンビニ売り上げ2位の『ローソン』、100年伝統の高級リゾートチェーン『星野リゾート』、日本1位の半導体装備会社『東京エレクトロン』などが参加する。この企業らは現場で韓国人60人余りを採用する予定だ。KOTRA関係者は『日本には多国籍人材採用を好む企業が多い』とし『専攻よりは性格と潜在力を重視するので韓国人求職者にも機会が多い』と話した」

     

    韓国人の能力は極めて高いことは立証済みである。儒教国であるから、教育熱心は日本以上である。大学進学率は70%を上回る。この若者に就職口がないのは悲劇だ。日本の職場は、個人の能力もさることながら、チームワークを重視する。この雰囲気に合えば問題ない。

     

    韓国では、日本での本格的な就職促進を検討している。韓国で大学3年まで学び、4年から日本へ留学して「日本の学士」として卒業する構想だという。多分、韓国3年間で必要単位を修得させて、韓国の「学士」資格も得られるように便宜を図るのでないか。最近は、同時に「二ヶ国学士」も修得可能な制度があると記憶している。韓国での修得単位を日本側が認めて1年間の留学で卒業可能になる制度設計と思われる。確かなことは不明だが。


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    中国政府が8月3日、600億ドル分の米国製品に追加関税をかける対抗措置を発表した。米国は怒り心頭である。中国自らが、技術窃取し企業に補助金を与える。WTO(世界貿易機関)ルールに反する禁じ手を使っているからだ。それにも関わらず「反撃」してきたという捉え方である。カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、「トランプ大統領を過小評価すべきでない」と警告するほど。米国は次なる報復として、すでに「2000億ドル25%関税」案を臭わせている。

     

    米国は、中国の米国覇権に挑戦する姿勢を許しがたい振る舞いと見ている。民主主議を否定する中国が、世界覇権を握りたいとする野望は、世界中を奈落の底へ突き落とすに等しいことだ。米国と利害関係を異にする民主主義国にとっても、聞き捨てならぬ話だ。人権と民主主議を守るには、米国を中心にいかに結束するか。米国は、それを示そうとしている。

     

    米国は、EU(欧州連合)との貿易協定締結に向けて積極的だ。前記のカドロー米国家経済会議(NEC)委員長によれば、「30日程度の間に成案を得る」としている。米欧が一体化した市場になれば、もはや中国の出番は減る。日本は、このEUと来年になれば日欧EPAが発効する。EU市場を核として、日欧米という世界3極経済が水平統合する歴史的な動きである。さらに来年には、日本をコアにする新TPP(環太平洋経済連携協定)が発効の運びだ。

     

    こうした自由貿易協定が全て軌道に乗れば、中国経済は「包囲」される形になる。この拡大市場から、中国が「放逐」されることに何らの危機感もないとすれば、「能天気」国家と呼ばざるを得ない。中国経済の危機は、そこまで迫っている。それにも関わらず、「国民の尊厳と利益」という普段は考えたこともない枕詞を並べ報復措置に出た。自殺行為に見えるのだ。

     

    中国は、この程度の認識ゆえに「世界覇権論」について軽々な発言をしているのかも知れない。どう考えても、中国一国が世界を相手に闘いを挑む構図は漫画そのもの。ただ、専制国家というものは、往々にしてこういう幻想に基づいて行動する。中国は、それだけ危険性が高い国だ。中国による妄想実行を阻止するにはどうするか。中国の経済力を削ぐ一方、安全保障政策確立を急ぐことである。

     

    中国政府に合理的判断をする人々がいれば、自らの非(技術窃取)を棚にあげて、米国へ報復するリスクを考慮する行動に切り替えるだろう。

     

    『日本経済新聞』(8月5日付)は、「中国、貿易戦争で手詰まり感」と題する記事を掲載した。

     

    中国国内の政情は、必ずしも「習一強」体制が固まったとは言えない。習側近は、「習崇拝」運動を起こして、支持基盤を盤石なものにしたい。そういう思惑を覗かせている。だが、「毛沢東崇拝」で大混乱した歴史を考えれば、「習崇拝」は恰好の習批判に結びつく危険性がある。今回の米中貿易戦争は、中国国内での「習批判」に結びついている。折から、8月初めは、恒例の党長老らによる「北戴河会議」が開催される時期だ。「習批判」を事前に封じるべく、今回の中国政府による「制裁600億ドル最大関税25%」案が発表されたと見られている。これが、北戴河会議」でどういう反応を引き出すかは不明である。

     

    「中国政府が3日、600億ドル(約6兆7千億円)分の米国製品に追加関税をかける新たな対抗措置を発表し、米中の貿易戦争は報復の応酬が激しさを増している。中国側には新たな対抗策を打ち出す余力がなくなりつつあり、トランプ米政権をこれ以上、刺激したくないという本音ものぞき始めた」

     

    中国政府による8月3日の報復案は、600億ドルとはいえ米国の激しい反発を招いている、有り体に言えば、「技術泥棒」(中国)が警察官(米国)を襲ったような不祥事である。中国が天に誓って、そのような知財権侵害をやらなかったと言えるはずがない。それを今になって、きれいごとを言い米国へ報復するとはとんでもない振る舞いである。

     

    日本でも、鋳物企業で中国の技能生を受け入れたところ、技術を盗まれて中国からの発注はゼロとなって倒産。そういう例は数え切れないほどある。日本は善意で受け入れ、中国の悪意で倒産させられたのだ。

     

     


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