勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国の自動車産業が危機に立たされている。韓国車生産が、年間400万台割れ目前に迫ってきたためだ。部品業界は、すでに最低賃金の大幅引上げで四苦八苦している上に、生産量が減れば完全な経営危機になる。部品業界の淘汰は、完成車メーカーにとって手足をもがれたのも同然になる。

     

    自動車業界の危機は、無軌道なストライキの連発にある。現代自は今年、8年振りにストなしで賃上げが決まった。日韓関係の悪化で、日本から自動車部品に輸出規制のかかることを恐れたもの。今年は、何らの影響もなかった。来年の賃上げでは、再び旧来路線の過激闘争が始まるかもしれない状況である。

     

    『日本経済新聞』(10月1日付)は、「韓国車生産400万台割れも、ルノー・GM系が減産 」と題する記事を掲載した。

     

    韓国自動車産業の地盤沈下が鮮明になってきた。国内生産台数は5年で1割以上減って部品産業などの維持に必要な400万台割れが目前に迫り、世界順位は5位から7位に転落した。内需の伸び悩みに加え、外資系が世界戦略の見直しに伴って生産を減らしたためだ。1強の現代自動車グループもストを辞さない強硬な労働組合の存在が重荷になって、初の単体営業赤字に陥った。

     

    (1)「8月末、フランスのルノー本社を釜山市の呉巨敦(オ・ゴドン)市長が訪れ訴えた。「来年出す新車の欧州向けを釜山で造ってもらえませんか」。同市には韓国の中堅、ルノーサムスン自動車唯一の工場がある。市長が親会社にまで働きかけをしたのは、地元の雇用への危機感からだ。ルノーサムスンは日産自動車の世界生産の再編を受け、2019年中にスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」の生産受託が打ち切られる。全体の半分近くを占めた車種を失い工場の存続は危うい。親会社に新たな割り当てを求めてきたが、決まっていない。ローグの台数が減り始めてきたため、10月から生産ラインのスピードを25%落とす。9月に希望退職を募ったが、1800人の生産職のうち数十人が応じただけだった」

     

    (2)「米ゼネラル・モーターズ(GM)子会社の韓国GMも縮小に動く。国内販売不振に加え輸出も伸び悩み、18年に3工場のうち1つを閉鎖した。GM1811月に北米5工場の閉鎖も決め世界全体で生産体制を再編中。韓国が次の縮小の対象になり得ると見られている。「最大手の現代自も国内生産は縮小傾向だ。グループの国内シェアは約7割を誇るが、韓国での販売は伸び悩む。成長を支える海外向けは北米や中国、インドなど現地での生産にシフトしている。このため1812月期の現代自決算は、単体の営業損益が593億ウォン(約55億円)の赤字となった」

     

    現代自も、中国生産が不振を極めている。すでに、北京の工場を売却するなど戦線整理を迫られている。かつては、斬新なデザインで人気を得てきたが、現在はその面影もなくなっている。韓国の自動車産業は、半導体産業と双璧であるが、自動車の力は確実に低下している。韓国経済の暗い将来を暗示する要因の一つは、自動車産業の地盤沈下にもある。

     

     

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    韓国は、日本と聞けばすべてが憎々しく感じるらしい。シンクタンクまでが、感情論に溺れていると思われる調査レポートを発表した。それによると、5年後の中国自動車技術が、こともあろうに日本を抜くというから驚く。満足なガソリンエンジンも作れない中国が、どうやって日本を抜くのか。トヨタはエネルギー車開発でも、HV(ハイブリッド車)特許をEV(電気自動車)用へ転用できるよう、中国企業へ無料公開すると発表した。中国が、日本を抜くという前兆現象は、どこにも見当たらないのだ。

     

    『朝鮮日報』(9月30日付)は、「中国、5年後には日本車も追い越すー韓国経済研究院」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国経済研究院は9月29日、半導体、機械、石油化学、ディスプレー、繊維など韓国の9大輸出主力品目の韓中日のシェア見通しを示し、2024年には中国が8品目でトップに立つと予想した。現在、中国は韓国がシェア首位のメモリー半導体、日本がトップの自動車を除く7品目でトップシェアだが、5年後には自動車でもトップに立つとの予想だ。 同院は、「鉄鋼、造船、自動車、情報通信など韓国の主力産業は20年余り前に日本の主力産業だったが、現在だけでなく、将来にも中国が圧倒的な優位を占めると予想される」とした」

     

    このパラグラフには、根拠になる事実が一切明らかにされていない。失礼だが、「目の子算」で推測しているとしか思えない記事である。とりわけ、5年後の自動車技術で中国が日本を抜くとは逆立ちしてもあり得ないこと。現に、中国の自動車市場は、中国メーカーのシェア後退と日系車の上昇という対照的な動きである。中国車は、技術的に韓国車を追っているが、日本車となれば全くの別次元である。

     

    鉄鋼でも自動車用の高張力鋼は、日本の独壇場である。「薄くて丈夫」という自動車用鋼板の特性は、日本でしか製造できない特許技術で守られている。技術のない中国が、この高張力鋼を生産できるわけがない。また、満足なガソリンエンジンもつくれない中国は、日本のエンジンに頼っている状態だ。EV、HV、さらにはFCV(水素自動車:燃料電池自動車)など、すべての新エネルギー車の技術は「日本発」である。

     

    韓国経済研究院は、日本憎しでデタラメなレポートを発表して意趣返しに出ている。そう思わざるを得ないお粗末極まりない内容だ。

     

    (3)「2000年時点で一般機械、エチレン、粗鋼、船舶受注、通信機器では日本。液晶ディスプレー(LCD)では韓国が首位だった。現在はこれら全てで中国が首位の座を占めている。24年にはメモリー半導体を除く全品目で中国が首位に立つとの見方だ」

     

    中国での生産は、純粋の中国技術が珍しく、ほぼ外資系企業の技術に依存している。通信機器生産でも、過半は外資系企業が担っている。中国の経常収支で、資本収支が大幅赤字である理由は、外資への支払いが多い結果だ。先進国企業は、中国へ進出して事業をしているので、生産物は中国にカウントされるが、資本収支では中国の大赤字という底の浅さを露呈している。実態をよく掴むことだ。

     

    (4)「中国はシェアだけでなく、技術競争力でも韓国と日本を猛追している。韓国を100とした場合の3カ国の技術競争力は、2000年時点では日本(113.8)、韓国(100)、中国(59.6)だったが、6月末現在では日本(102.8)、韓国(100)、中国(79.8)の順で技術力の格差は縮まった。24年には中国(89.1)、韓国(100)、日本(97.4)に迫るとみられる

     

    この記事のカラクリは、下線部分にある。なんと、24年の技術力は次のようなるという

    韓国 100

    日本 97.

    中国 89.

     

    韓国が、日本を抜くというがあり得ないこと。基礎技術力の脆弱な韓国が、応用技術力で日本を抜けるはずがない。また、24年に中国は日本の技術を抜くと言っているが、技術力では日本を下回っている。この研究レポートは、国辱ものの恥ずかしいレベルの研究のようだ。

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    韓国通貨当局は、ウォン防衛で多忙である。文政権の経済政策が、ウォン売りを誘導するような「逆さま政策」を行っているからだ。この政策的な暴走からウォン相場をどう守るのか、通貨当局にとっては、頭痛の種であろう。1ドル=1200ウォン割れは、通貨危機への第一歩と警戒されている。この危険ラインから、ウォンをどう守るのかが当局の課題だ。

     

    『中央日報』(10月1日付)は、「1200ウォン崩壊防げ、韓国外為当局は上半期に38億ドル放出」と題する記事を掲載した。

     

    外為当局が上半期に外国為替市場で38億ドルを売り越したことがわかった。5月に対ドルでウォンの価値が急落すると外為当局が保有するドルを売って防衛に出たのだ。

    (1)「韓国銀行が、9月30日にホームページで公開した「外為市場安定措置内訳」によると、企画財政部と韓国銀行は1~6月にソウル外為市場で38億ドルを売り越した。この内訳はドル売り総額からドル買い総額を差し引いた純取引金額で、実際のドル買い・ドル売りの金額は公開しなかった。韓国銀行は具体的な介入時期は明らかにしなかった。韓国銀行関係者は「外為市場の急激な変動がある時に市場安定化措置を取るというのが外為当局の大前提。為替相場が急に動く時に介入が実施されたとみれば良い」とだけ説明した」

     

    米韓貿易協定では、外為市場へ介入した場合にその金額を公表することになった。韓国は、これまで秘かに為替相場に介入することで有名である。それだけに、米国が釘を刺したものだ。下線を引いた部分では、ドルの売買純額で38億ドルの売越し(ウォン買い越し)となっている。

     

    (2)「今年に入り1ドル=1100ウォン台初めにとどまっていたウォン相場は、4月中旬以降急落。5月17日には終値基準1195.7ウォンと1200ウォン水準に近づいた。1カ月でウォンの価値が5%以上急落する状況だった。外為当局が保有するドルを売って市場に介入したのもこの時期と推定される。市場専門家らは実際の売り渡し金額は韓国銀行が公開した数値よりはるかに大きかったとみている。ある民間専門家は「5月に外為当局は1ドル=1200ウォン水準を超えることに大きな負担を感じ積極的に介入した。ただ売り越し額があまり大きいと困るのでこれを希釈するための取引をしただろう」と推測した。外為当局が4~5月にドルを大量に売った後、再び6月末になる前にドルを買い入れ純取引額(買い越し額-売り越し額)を適正水準に減らした可能性がある」

     

    韓国は、米通貨当局から「要注意国」とされているので、尻尾を捕まれないように注意している。米国は、対韓貿易でさらなる赤字拡大がないように目を光らせているからだ。

     

    (3)「米財務省が定めた為替操作国指定要件の中には、国内総生産(GDP)の2%を超過する外為を6カ月以上買い越すことが含まれている。韓国の今回の外為市場介入は、ドルを売ってウォンの価値急落を防ぐ取引のためこれとは関係がない。韓国のGDP規模1兆5302億ドルの2%は約306億ドルだ」

     

    韓国のGDPからみれば、2%相当額の306億ドルを、6ヶ月以上買い越すことが問題になる。今年上半期では38億ドルの買い越しであり、上限306億ドルには全く問題とならない金額である。



    (4)「外為当局の市場介入は7~8月も上半期に劣らず続いたというのが外為専門家らの意見だ。別の外為担当アナリストは「洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相ら当局者が急激な為替相場変動時に介入するとの意志を示しており、実際に7~8月にも当局の介入の動きが多く見られた」と話した」

     

    日韓関係の悪化から、ウォン相場は1ドル=1200ウォン割れを起こしている。上半期以上の規模でドル売りが行われたことは間違いない。韓国銀行は、半期に1度発表する市場安定措置内訳を、今年7~9月期からは四半期に1度発表する。韓国銀行関係者は「7-9月期の内訳は12月末、10-12月期は来年3月末に四半期別に公開するだろう」としている。7~9月のウォン相場急落で、どの程度の介入があったか注目される。 



     

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    中国は、10月1日の「国慶節」軍事大パレードで、大陸間弾道ミサイルを登場させた。1発のミサイルに10発の核弾頭を搭載できるという恐怖の武器だ。米国を射程に収めた、この大陸間弾道ミサイルによって、米国に屈しないという意思表示をした。

     

    習近平国家主席は、米中貿易戦争の最中にあえて軍事大パレードを行ったのは、国民の不満を「国威発揚」で消し去る狙を込めている。不動産バブルによって、GDP世界2位の座を勝ち得たものの、内部の所得格差は深刻である。

     

    中国は、バブルによって押上げた経済規模の拡大である。正常な経済活動の結果だけではない。バブルという「仮需要」で膨張した経済が、いかなる結末を迎えるか。歴史が示すように、決してハピーなものでなく、逆に不幸な形で終わっている。

     

    これから始まる「不幸な結末」は、最終的に家計の債務膨張が消費を圧迫することである。家計における債務膨張は、中国経済を蝕んでゆく。ここから生じる生活への不満。政府はどのように扱うか。昔ながらに、軍事による国威発揚でしか対処する道はない。中国が、これから辿る危険な道は、軍事的な緊張感を生み出す「新冷戦」である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月1日付)は、「消える中国の夢、刺激策で広がる不平等」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の経済改革に着手した鄧小平が、一部の人々が先に豊かになっても構わないと述べていたことは、よく知られている。最終的にだれもが豊かになるのであれば、それは共産党指導者である鄧にとって、払う価値のある代償だったのだ。しかし、まだ豊かになっていない中国人が今後豊かになるのが一層難しくなることを示す兆候は増えている。不平等の度合いは2010年代初めに急激に低下した後、実質所得の伸びが横ばいに推移するなか、再び上昇している。この不平等の広がりによって、中国政府が現在の景気減速に対応することがさらに困難になるだけでなく、アジア地域や世界全体にまで問題をきたす可能性がある」

     

    米中貿易戦争は、中国に大きなプレッシャーをかけている。経済活動を制約しているからだ。米国の要求は、冷静になって考えれば、中国の経済活性化に資するところ大である。イデオロギーの違いが、その受入を拒ませている。惜しいことである。結局、中国は袋小路を選択するに違いない。

     

     (2)「中国経済の2つの小さな変化がそれを物語る。所得の不平等さの指標となるジニ係数は中国で2008年から15年にかけて低下した後、再び急上昇し始めた。2つ目に、2016年以降、住宅価格の上昇はおおむね所得の伸びを上回っており、2011年から15年までと逆の状況になっている。中国の若い住宅取得者には、米国人にはない支援源がある。しばしば両親が支援するという点だ。それでも、彼らの住宅購入は急勾配の道を上るような厳しい状況だ。これが所得を侵食する。調査会社ガベカル・ドラゴノミクスは2018年の家計所得のうち債務返済の占める比率が8.1%に達し、2010年時点の5%未満から上がって、米国に匹敵する水準になったと推測している

     

    所得の不平等さ、住宅価格の値上がりが所得の伸びを上回る矛楯。この二つが、中国経済に構造的な問題を引き起こしている。鄧小平の言うところの「遅れてきて豊かになろうとする人々」に、高いハードルを突付けている。これが、社会的な不満をかき立てるであろう。

     

    (3)「米国で金融危機前のバブル経済が住宅価格を高騰させ、負債と不公平さを拡大したように、政府の政策が一部の責めを負うべきだ。中国の政策立案者らは2012年以降、とりわけ機能不全に陥った銀行システムなどの厳しい改革を何度も回避してきた。中国の銀行システムは資金を起業家たちではなく不動産や国営企業の金庫に流す傾向がある2015年と2018年の景気刺激策は住宅価格を押し上げ、既に住宅を保有している人々を助けることになったが、負債を拡大することになり、中国の経済成長の長期的な鈍化傾向を食い止めることはほとんどできなかった

     

    これまでの金融緩和が実物投資を刺激せず、住宅価格引上げに寄与するだけであった。これは、「金利の罠」という現象である。資産価格高騰のテコとして働き、一時的に景気を潤わしただけであった。長期的な投資資金として流れるパイプが詰まっている。

     

    (4)「中国政府は、住宅価格の急速な上昇を絶え間なく維持していくことは無理だと分かっている。だが、金融システムの不安定化を招く不動産市場の下落も容認できない。思い切った市場自由化に向けた改革や、予想外の生産性向上といった事態が起きなければ、今後10年間の中国では、所得増加のペースが鈍り続け、既に豊かになった階層と、その他の人々の格差は一段と開いていくことになる可能性が高い」

     

    理想論を言えば、中国は貿易戦争を即刻止めて、経済正常化に動き出すべき段階だ。それには、金融システムの強化を図ることだ。その肝心な対策が抜け落ちている。中国経済のテコ入れは困難なのだ。現状は、バブル経済崩壊後という認識を持つべきだ。政策は、ここから出直すべきである。

     

    (5)「長期的には、中国政府は成長鈍化と格差社会の問題を取り繕うために、一層のナショナリズムによる国威発揚に向かうかもしれない。このことはアジアや世界の成長、安定にとって深刻な影響を与えるだろう」

     

    昨日の「建国70年」軍事大パレードは、中国経済の抱える本質的な問題を回避させる役割をするであろう。日本は、昭和恐慌の経済的な痛手を満州進出で糊塗しようとした。中国は、南シナ海の軍事要塞化によって国威発揚を行うのだろう。これからの10年間は、厳しい「新冷戦時代」に突入する危険性が高い。勝敗の帰趨は、言うまでもなく歴史が示唆している。

     

     


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    韓国のサムスン電子は、広東省にある恵州サムスン電子の役員・社員に対し、9月末で工場稼働を停止すると公示したことが分かった。今年6月に恵州工場を対象に希望退職を実施しており、今回の稼働停止は最終措置とみられる。これで、サムスンによる中国でのスマホ生産はすべて終わり、ベトナムとインドが生産を引き継ぐ。

     

    サムスンが、中国生産を打ち切る最大の要因は、賃金コストの上昇である。ベトナムとインドの関連インフラが育成されており、もはや中国に依存する必要がなくなった。中国が、「世界の工場」として発展してきた賃金コスト安の条件消失を意味する。大きな状況変化だ。

     

    代わって中国は、高付加価値品生産に移行したいが、ここにもネックに直面している。高級半導体生産は、米中対立によって「中国製造2025」プロジェクトに暗雲が立ちこめているからだ。中国は、米国によるファーウェイへの輸出禁止で、発展基盤が弱体化している。さらに、サムスンへの半導体技術提携申入れも断られた。こうして、独自開発を宣言せざるを得ない事態へ追い込まれている。

     

    『朝鮮日報』(9月30日付)は、「サムスン電子 脱中国加速化 中国の携帯電話生産ライン完全撤収」と題する記事を掲載した。

     

    サムスン電子が脱・中国の動きを加速化させる。中国にある最後の携帯電話生産ラインを完全に撤収した後、ベトナム、インドを主力生産基地として育成する。

     

    (1)「サムスン電子は今年6月に恵州工場を対象に希望退職を実施しており、今回の稼働停止は最終措置とみられる。恵州工場は韓中が国交を正常化した1992年に稼働を開始し、2017年時点で年間約6300万台の携帯電話を生産している。これはサムスン電子が全世界で生産しているスマートフォンの17%に当たる。中国で生産されていた物量のほとんどはベトナムとインド工場に割り振られる」

     

    ベトナムとインドが、スマホでは中国の代替生産基地になった意味は大きい。中国は、周辺国に比べて、部品製造インフラの強味を強調してきたが、ついに追いつかれた。これは、中国にとって痛手だ。高付加価値化製品への技術がまだ育っていないだけに、この技術的空白がショックであろう。米国と貿易戦争するタイミングが悪かったと言うほかない。

     

    (2)「サムスン電子が中国で携帯電話の生産ラインを撤収するのは、中国で直接生産することがこれ以上プラスに働かないとの判断を下したためと解釈される。サムスン電子はこれに先立ち昨年12月末に天津の携帯電話工場を閉鎖している」

     

    サムスンの天津工場もすでに閉鎖された。

     

    (3)「中国はかつて「世界の工場」と呼ばれ、韓国企業の製造業基地の役割を果たしていた。しかし、今年に入り中国の1人当たりの国内総生産(GDP)が1万ドルに達するなど、人件費の上昇が続いている。実際に恵州工場の場合、2008年には1894元(現在のレートで約28600円)だったが、18年時点では5690元(約86000円)水準になっている。サムスン電子の中国でのスマートフォンのシェアは1%台で、これ以上の上昇は困難との分析だ。サムスン電子は今後、中国では自社生産ではなくODM生産方式(製造する製品の設計から製品開発までを受託者が行う方式)を拡大するとみられる」

     

    下線を引いた部分は、10年間で賃金が3倍にも上昇しているが、生産性がそれに見合って上がらない限り、賃金コストは上昇する。これでは、採算悪化は当然だ。スマホ生産が象徴するように、中国での低付加価値品生産はコスト割れになっているはず。中国企業では、秘かに政府補助金が支給されていると暴露された。このWTO(世界貿易機関)違反の補助金が、中国工業を支える末期的症状を呈している。

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