勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    米中通商協議は、大詰めを迎えている。米トランプ大統領は、米国と中国が今後4週間以内に貿易協議で合意することを目指していると述べた。ただ、米国が妥結したがっているという誤ったイメージを与えることを嫌っている。中国から最後の譲歩を引き出すべく、「峠が近いから、後一踏ん張り」という激励にも取れる発言であろう。米国が、それだけ「勝者」としてのゆとりを持っていることを言外に表してもいるようだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月5日付け)は、「米中貿易協議 4週間以内の合意目指す=トランプ氏」と題する記事を掲載した。

     

    ドナルド・トランプ米大統領は4日、米国と中国が今後4週間以内に貿易協議で合意することを目指していると述べた。一方で期待された中国の習近平国家主席との米中首脳会談の実施は発表されなかった。

     

    (1)「トランプ氏は大統領執務室で中国側の交渉を担当している劉鶴副首相と会談した際、『話は進んでいるところだ』と発言。両国が合意を結べれば『非常に大きな』ものになるとも言及した。ただし関税や知的財産権の保護など、双方の話し合いでまだ解決していない点が複数あるとも指摘。米中貿易協議でトランプ政権の責任者を務めるロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表も、『極めて大きな課題も残っている』としている」

     


    米中間で最後まで残っている課題は、関税や知的財産権の保護である。関税とは、米中が合意した後、中国が確実に履行するのを見届けるために、米国が科す関税を一部残すというもの。中国は、全廃を要求しているが、過去の例からも中国が約束を履行するか保証がない。それほど、中国という国は信頼が置けない国であるのだ。

     

    南シナ海問題でも、米国は習近平氏に騙されている。南シナ海に、軍事基地をつくらないと約束しながら真っ赤な噓だった。また、米国と貿易自由化を約束した覚書を交わしても実行しない。こういう噓で塗り固められた中国に対して、有無を言わせず実行させるには見張り役の関税を維持するほかない。中国の身から出たサビゆえ、米国へ抗弁はできないのだ。

     

    (2)「米中両国の交渉担当者は4月末までに合意にこぎ着け、トランプ氏と中国の習近平国家主席が5月の首脳会談で署名することを目指している。トランプ氏は4週間以内に首脳会談を開くかどうかわかると述べた。同氏によると開催するなら米国になるという。同氏の発言からは想定している具体的な開催場所は分からなかった。米当局者はフロリダ州にある同氏の別荘『マールアラーゴ』を強く推してきたが、最近になってニュージャージー州ベッドミンスターにある同氏のゴルフリゾート施設や、ワシントンも候補に挙がっているもようだ

     

    米国では、米中首脳会談の場所探しが始まっている。このことからも、米中協議は最終局面にあることを窺わせている。会談場所は、中国でなく米国であることが、今回の米中交渉の勝者が米国であることを示している。

     


    (3)「首脳会談への期待が高まったのは3日夜。政府当局者が『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)に対し、トランプ氏は首脳会談の日程と場所を発表する用意があると語った。ただ、この当局者はトランプ氏がまだ考えを変える可能性はあると警告した。だが首脳会談に関する発表の可能性が報じられると、ライトハイザー氏はじめ大統領側近の一部からの反発を招いたと、協議の行方を注視している業界関係者は述べた。国家経済会議(NEC)のローレンス・クドロー委員長も期限を決めることにはおおむね反対してきた。彼らの懸念は、期日を設ければトランプ氏が合意を結びたがっているとのメッセージになり、大詰めの場面で米国の交渉力を弱めてしまうことだと関係者らは話す

     

    米国は、米中通商協議の期日を設ければ、それによって中国から最後の譲歩を引き出せない。米国側は、それを危惧している。この際、徹底的に中国を叩き、貿易ルールを正常化させる。また、米国が中国に対して、知的財産権の窃取を許さない。それを痛烈に知らせる手段を構築しようとしている。米国にとっては、経済面での中国戦略を完成させる意図であろう。

     

     

     


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    韓国は、先の国会議員補選で与党候補がすべて敗退した。政権党が、国民の支持を得られなかったのは深刻である。この人気低迷は、文大統領の支持率が過去最低の41%になったことで証明された形だ。

     

    『中央日報』(4月5日付け)は、「文大統領、就任後最低の支持率大統領選の得票率レベルに」と題する記事を掲載した。

     

    文在寅大統領の国政支持率が2年前の大統領選挙当時の得票率(41.1%)と同じ水準になった。

    (1)「韓国ギャラップが5日に発表した週間定例調査で、文大統領の職務遂行に対する肯定的な評価は41%だった。大統領の支持率が大統領選挙当時の得票率とほぼ同じになったということは、政権発足後に支持勢力に引き込んだ中道層がほとんど離脱したという意味と解釈される。一方、否定的な評価は49%だった。ギャラップの調査で文大統領の支持率41%は就任後の最低値であり、否定的な評価は最高値。先週と比べて肯定的な評価は2ポイント落ち、否定的な評価は3ポイント増えた」

     

    文氏の大統領選得票率は41%である。今回の支持率はこれと並んだもので、政権発足後に支持に回った人たちがすべて離脱した形である。不支持は49%とほぼ半分にも及んでおり、文政権は正念場に立たされた。

     

    これまで、大統領府は傍若無人な振る舞いが多く、「進歩派」のイメージから著しく逸脱したものであった。メディアから痛いところを突かれると、「それがなぜ問題か」、「前政権に戻っても良いのか」という傲慢な態度が批判されてきた。その批判が、ついに国民の声にまでなってきたわけだ。

     


    (2)「否定的-肯定的な評価の差が8%ポイントまで広がり、誤差範囲(
    ±3.1%ポイント)を超えた。ギャラップの調査で否定的な評価が肯定的な評価を上回る『デスクロス』は今回が4回目だが、誤差範囲から外れたのは初めて。地域別には湖南(ホナム)を除いた全地域で否定的な評価が肯定的な評価より多かった。政界では、文大統領支持率が30%台に下落すれば『レームダック』が始まるという見方が出ている」

     

    文大統領の国政支持率が下落している理由には、長官候補の人事聴聞会での道徳性問題、青瓦台(チョンワデ、大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官の不動産投機疑惑が影響を及ぼしたと、ギャラップは分析した。

     

    不支持という否定的な評価が、支持という肯定的な評価を上回る「デスクロス」は今回で4回目だ。ただ、誤差範囲から外れたのは初めて。支持率回復の可能性が低くなったことだ。このまま、支持率が30%台に落ちれば、「レームダック」となって政策遂行能力が低下する。

     


    もっとも、現在ですら経済政策と外交政策が望ましい形から逸脱しているので、韓国政治は破滅的な動きをするのではと危惧される。正常化への期待は、きわめて薄いと言うほかない。

     

    否定的な評価の理由は

    「経済・民生問題の解決不足」(38%)

    「北朝鮮関係重視・親北性向」(14%)

    「雇用問題・雇用不足」(6%)

    「人事問題」(5%)

     

    肯定的な評価の理由は

    「北朝鮮との関係改善」(16%)

    「外交」(11%)

    「最善を尽くす」(8%)

    「福祉の拡大」(6%)

    否定的な評価の拡大にはさまざまな要因が作動した。年齢別では20代(19-29歳)の肯定的-否定的な評価が41%-44%となり、先週(3月第4週、49%-37%)に比べて逆転幅が大きかった。

     

    地域別にはソウルの不支持率が高かった。先週まで肯定的-否定的な評価が46%でほぼ同じだったが、今週は38%(肯定的)-52%(否定的)と、否定的な世論が明確に増えた。

    以上の二つの点は、大きな意味を持っている。「進歩派」政権のイメージであれば、若者、特に首都ソウルでの支持率が最も高くて当然であろう。それが、不支持率が多く逆転現象になった。文政権にとって深刻な事態だ。


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    米軍は、中国のアジアでの「野心」封じに全力をあげる方針を決めた。台湾防衛はその一環だが、ミクロネシアに基地を設けて中国軍に対峙する計画である。

     

    中国は、同盟国が存在しないゆえに単独で世界中に網を張るというきわめてコストのかかる布陣を構えようとしている。そこまでやって、世界覇権を狙いたいというのだろう。だが、肝心の中国経済は、そういう伸びきった補給線を維持できるのか。かつての日本軍が、アジア全域に進出して、最後は米軍に補給路を断たれて無残な敗退となった。米軍や同盟国の力を無視し背伸びした海洋進出は、中国の国力を消耗するだけであろう。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月4日付け)は、「米軍、太平洋を再び重視、中国の『野心』に対抗」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「小さいが戦略上重要な太平洋の島々で、米軍が存在感を高めようとしている。中国の進出を阻み、なおざりになっていた同地域との関係を深める戦略の一環だ。米軍が新たに資源を集中させているのは、ハワイ-フィリピン間の約8000キロの海域の中ほどにあるミクロネシアだ。米軍は新たな海軍施設の建設と空港滑走路の拡張についてミクロネシア連邦と協議している。ミクロネシア連邦政府の関係者の話と、両国が2018124日に開いた防衛会議の公式議事録で明らかになった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこの議事録を確認した」

     

    米軍は、海洋国家として100年以上の軍事戦略を練ってきた経験がある、1911~12年にかけて、対日本攻略作戦を立てた国だ。その際、ハワイを起点に、フィリピンと東京を結ぶ三角点で攻撃体制を組んでいた。日本はそれとも知らず、まんまと米軍のワナにはまって宣戦布告し敗戦の憂き目にあった。

     

    今度は、ハワイ・フィリピンの中間点のミクロネシアに基地を置くという。日本と台湾が補強する形で対中国布陣を構えるのだろう。中国は、こういう米軍の水も漏らさぬ作戦に対して孤軍奮闘して勝ち目があるだろうか。無駄な軍備にカネをかけるより、内政に力を入れた方がはるかに効率的政治を実現できると思う。独裁者は、それで満足できないのだろう。

     


    (2)「議事録と軍関係者によれば、米軍はミクロネシアとの共同軍事演習の立ち上げについても話し合っている。
    米軍の戦略担当者はほとんど忘れられていた太平洋の島々に再び注目するようになっている。海軍はアリューシャン列島を構成するアダック島(米アラスカ州)の閉鎖した海軍基地を再開し、北極圏における中国とロシアの海洋進出への対抗などを目的とする『航行の自由』作戦を実施する計画だ。WSJ1月に報じた」

     

    中国は、このミクロネシアを狙っている。島嶼国を「債務漬け」にし、見返りの担保に港湾を抑える動きをしている。これに気付いた豪州やニュージーランドは、島嶼国への援助を増やし、中国の影響を事前に断ち切る動きを見せている。

     

    (3)「米軍は太平洋の幅広い地域で活動し、中国ではなく自国との提携を呼びかけ、既存の関係を強化しつつ投資や支援を通じて新たな協力国を呼び込みたい考え。ミクロネシア連邦コロニアの米国大使館が130日に同連邦外務省に宛てた外交電報は『米国防総省はミクロネシア連邦におけるプレゼンスと活動を増やす』としている。WSJが確認したこの電報によれば、米軍の具体的な活動内容や日程が決定次第、外交当局者がミクロネシア当局に通知する。国防総省は詳細の提供を控えたものの、提携拡大は戦略目標だと述べた」

     

    国防総省のデーブ・イーストバーン報道官は、「太平洋諸島との関係を刷新し、インド太平洋地域の自由と開放性を保ち、アクセスを維持し、安全保障面で選ばれるパートナーとしての地位を促進したい」と話したという。米国のアジア回帰作戦は、中国を封じる目的であり、いよいよ具体的に動き出す。

     


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    中国は、電気自動車で世界一になる夢を描いてきた。だが、多額の補助金を支給して、EV産業の育成に努めてきたが成果を上げられず、方向転換するという報道が表れた。今後は、水素自動車へ焦点を合わせるというのだ。

     

    昨年5月、李首相が訪日してトヨタの苫小牧工場を視察した。その際、水素自動車の生産現場を訪れたニュースがNHKで報じられた、李首相は、自動車が水素が燃料で走ることに強い興味を覚えた様子で、それが見る側に伝わってきた。その感激が、中国の自動車政策を大きく変えるというのだろうか。

     

    『大紀元』(4月4日付)は、「中国新エネ車の補助金削減、水素自動車にシフト、李首相の昨年トヨタ視察がきっかけか」と題する記事を掲載した。

     

    中国財政部(財務省に相当)、科学技術部(文部科学省に相当)などは326日、新エネルギー車の補助金政策に関する通知を公表した。当局の支援対象がこれまでのリチウムイオン電池を使った電気自動車(EV)から水素自動車へ方針転換したことが明らかになった。

     

    EV企業は厳しい局面にさらされている。補助金を50%以上削減したほか、中国当局は補助金の基準を一段と厳しくした。補助金支給対象となる電動自動車(EV)の1回のフル充電の走行距離を昨年の150キロから250キロに引き上げた。そして、2021年には補助金制度を完全に廃止するという。

     


    (1)「中国当局は、水素自動車に関する補助金政策を新たに発表するとしている。昨年5月中国の李克強首相が日本を訪問した際、北海道苫小牧市のトヨタ自動車北海道の工場を視察したことが、今回の方針転換に関係があるとみられる。李首相は、トヨタ自動車の水素自動車『MIRAI』に興味を示した。『MIRAI』は、3分間水素充填をすれば、650キロの走行が可能だ。今年3月の両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)期間中、中国当局が公表した「政府活動報告書」の中で、初めて『(EV)充電ステーションと水素ステーションなどのインフラ建設を推進する』ことに言及した。補助金の削減で、リチウムイオン電池を使った新エネルギー車の国内メーカーは、収益が一段と悪化するとの見方が広がっている」

     

    中国政府が、なぜEVから水素自動車へ乗り換えるのか。理由が、今ひとつ不明である。中国政府は、EVで世界最先端を行く計画を立てていた。それが方向転換するのは、EVのエネルギーは電力であり、火力発電による電気では大気汚染の源を絶てないという根本的な理由に立ち戻ったのかも知れない。そこで、水素自動車であれば究極のエコカーと判断したとも思える。

     

    ただ、水素自動車の技術は日本(トヨタ・ホンダ)と韓国(現代自)しか確立していないので、日韓から導入する方針を立てたのか。この問題は、中国の外交政策とも絡んでおり、日韓を中国へ取り込みたいという兆しとも見える。

     


    (2)「中国自動車メーカーの比亜迪汽車(BYD)は10年前にNEV市場に進出し、業界大手にまで成長した。中国メディア・捜狐網(329日付)によれば、20092017年までに同社が中国当局から支給された補助金は、563800万元(約936億円)に達し、20112015年までの純利益の合計額を上回った。2014年には、中国当局からの補助金は比亜迪汽車の収益の9割以上を占めたという」

     

    中国のEVは、補助金目当てに新興企業が名乗り出たが、それだけで終わってしまった。この裏には、中国のカー・ユーザーがEVよりもガソリン自動車を好むという趣向の問題もある。見栄っ張りの中国ユーザーは、音を出すガソリン自動車がステータスとしての満足感を満たす面も無視できないのだ。EVは、政府が強引に売りつけてきた面が大きい。水素自動車の方が、中国人に好まれるのであろうか。

     


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     韓国経済の二枚看板の一つの現代自動車が、1~3月期に赤字に落込んだという報道がでてきた。予想されていたことだ。すでに売上高営業利益率が2%台に落ちていたから別段、驚くには当らない。だが、韓国経済の屋台骨である以上、このまま朽ち果てる訳にはいかないだろう。

     

    現代自動車が、ここまで経営不振になった理由は、労働攻勢にある。かつて世界の自動車産業でトップであった米国GMが、倒産の憂き目に遭ったのは労組の高賃金攻勢にあった。こうした教訓を生かさずに、現代自動車労組は高い賃金要求を捨てずにいる。

     

    労組結成の目的は、高い賃金など労働条件の改善要求にある。だが、自ら生産性を上げる協力をせずに、一方的に賃金引き上げ要求をすることは自殺行為である。それは、米国GMの倒産で立証済みだ。

     

    現代自労組は、「働かず、高賃金、長期勤務」という3つの方針があるとされている。こういう天国のような勤労条件が、この世の中で存在できるはずがない。文政権が、それを後押ししているとすれば、韓国経済は破滅するほかない。

     

    『韓国経済新聞』(4月4日付け)は、「岐路に立つ韓国の自動車産業、労使の大決断が切実だ」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「1~3月期の韓国の自動車生産台数が、金融危機当時の2009年1~3月期以降で最低水準の95万4908台に落ちたという。韓国の自動車産業危機論はきのうやきょう出てきた話ではない。だが最近現れたいくつかの兆候はその危機がすでにあごの下まで近づいたのではないかと考えさせられる。韓国の生産台数急減に続き現代自動車の国内工場が昨年44年ぶりに赤字を出したという事実は衝撃的だ。現代自動車は海外部門と関連会社などを除いた韓国工場基盤事業で600億ウォン近い営業損失を記録した。1974年の証券市場上場後初めてだ」

     

    現代自が、1~3月期に赤字を出したとすれば、労組のストライキ攻勢が大きな要因であろう。この点については、つぎのような指摘がある。

     

    「現代自動車労働組合が過去10年間に実施したストライキは430回を超える。現代自動車チェコ工場が2008年の設立以来10年以上、一度もストをしたことがないのとは対照的だ。労働者の給与も韓国にある工場の方がはるかに高いが、車1台の生産に投入される時間(26.8時間)はチェコ工場(21.2時間)より長く、生産性が大幅に低い。『10年間でストライキ0(ゼロ)』の現代自チェコ工場は寂れていた1都市をよみがえらせたが、韓国国内ではこの23年間、現代・起亜自動車の工場が1つも新設されていない。強力な労働組合に振り回されているのだから、新工場を国内に建てるわけもない」(『朝鮮日報』4月3日社説)

     

    この記事が指摘しているように、生産性を上げない企業が存続できるはずがない。米GMが倒産したように、現代自動車もその轍を踏む危険性はきわめて高い。



    (2)「現代自動車は毎年国内工場で2兆~4兆ウォンほどを稼いだ。通貨危機と金融危機の時さえ国内工場では1兆ウォン前後の利益を上げた。そんな韓国工場すら損失に転じたというのは韓国の自動車業界トップの『ベースキャンプ』が揺らいでいるという話だ。『労組リスク』にともなう慢性的な高コスト低効率構造に輸入車攻勢などで国内販売が大きく揺らいだ結果だ」

     

    自動車産業は、裾野の広い産業である。部品点数が多いいことから雇用吸収力がきわめて高い特色を持っている。この自動車産業が韓国で存在できない事態が起るとすれば、韓国経済はパニックになる。労組は、そういう認識を持つべきである。

     
    (3)「他の自動車メーカーの状況ははるかに深刻だ。長期スト中であるルノーサムスンの今年の日産からの委託生産台数は当初予定された10万台から6万台に縮小する。昨年群山(クンサン)工場を閉鎖した韓国GMは『撤退説』の余波で内需不振から抜け出す兆しが見られない。関連業界ではこのまま行けば今年の韓国の生産台数は400万台以下に急落するという暗い見通しが出ている」

     

    現代自動車だけではない。ルノーサムスンや韓国GMもストライキが原因で経営が傾き始めている。なぜ、ここまで激しい賃金闘争をするのか。生産性を上げて初めて賃金が上がるという、この初歩的な事実を受け入れられないとすれば、後は倒産しかない。そこまで企業を追い込むメリットがあるはずもない。労組も自重して職場を守る努力をすべきだ。

     


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