勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国経済は、労働組合による強烈な労働攻勢で、労働生産性が低下し、賃金コストが急増するという危機的な状況に立ち至っている。この認識は、広く韓国で定着しているが、データで確認できたのは今回が初めてである。

     

    韓国の労組が、なぜ「労働貴族」と揶揄されるほど強硬なのか。労働者は、かつて弱い立場で企業に利益を搾取された。現在は、労組の団結によって企業搾取を許さない。これが、「正義」の実現と考えている。こうして韓国労組は、企業の支払い能力と無関係に、自らの要求を押し通すことが「正義」そのものである。労組は、賃上げを正義の実現と捉えている以上、この正義論の誤りを諭す方法が、韓国に存在しないのだ。企業が倒産するまで高賃金要求が続くはずだ。重ねて言えば、韓国労組は賃上げ=正義の実現と捉えている。

     

    日韓関係も同じだ。日韓基本条約(1965年)当時は、韓国の経済力が弱くて日本の主張通りに仕切られた。現在の韓国は、日本との経済力格差が縮小したので昔、要求できなかったことは、これから要求可能になる。これが、「正義」の実現であると見ている。だから、日本は韓国の要求を飲め、という言い分である。こうして、韓国独特の「正義論」が絡むので、日韓の妥協はあり得ない。つまり、韓国は正義であると言い張る。日本は、それが「国際法違反」と見ている。平行線である。

     

    ここから本論に入る。

     

    労組の賃金所得は上位所得階層20%に入る「富裕層」である。労働者が、高い賃金を得ることは悪いことでない。問題は、生産性との関連である。高い生産性を上げて高い賃金を得ることが理想である。韓国は、そうなっていないのだ。少ない労働で高い賃金という、はなはだ身勝手な要求を出している。

     

    『韓国経済新聞』(2月25日付)は、「労働生産性急落、金融危機後に韓国の製造業競争力急落」と題する記事を掲載した。韓国経済研究院が24日、「製造業生産性と単位労働費用国際比較」と題する報告書を発表した。41ヶ国を分析したもの。

     

    この報告書によると、韓国の労働事情は2008年の金融危機を前後として大きく変った。金融危機以前は企業に協力的であった。だが、金融危機による企業倒産で、労働者にしわ寄せされたという認識を持つようになった。労組は、金融危機の被害者である。ここから、「少ない労働で高い賃金獲得」へ戦略を変えたと見られる。

     

    低い労働生産性と高い賃金獲得が組み合わさると、賃金コストの上昇が起るのだ。その結果、企業利益率が低下し、国際競争力が低下する。韓国労働組合の行動が、2009年前後に大転換した。それ以降、韓国経済の危機が深まっている。韓国独特の正義論から言えば、韓国労組の「暴走」は食い止められないのだ。進歩派政権の登場と、韓国労組の「アベック闘争」によって、韓国経済は大混乱に陥らざるを得ないメカニズムができあがった。詳細は、以下のデータに示した。

     

    韓国の1人当たり労働生産性

    2002~2009年に年7.0%増加した。中国、ポーランド、スロバキア、ルーマニアに次いで5番目に高い水準だ。

    2010~2017年は年2.8%増加にとどまり順位が28位に大きく落ち込んだ。日本の4.1%、ドイツの4.0%、フランスの2.9%など主要先進国より増加率が低かった。

     

    韓国の1人当たり単位労働費用(賃金コスト=賃金÷労働生産性)

    2002~2009年に年0.8%だった単位労働費用増加率順位は37位

    2010~2017年に年2.2%に高まった。単位労働費用増加率順位は3位

     

    2010~2017は、韓国の賃金コスト上昇速度が上がっている。現状から見て、今後さらに上がるだろう。韓国に進歩派政権が続く限り、韓国経済破綻の可能性は一段と高まるであろう。こういう状況で、いつまで「反日」を叫ぶだろうか。

     


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    米時事週刊誌「USニューズ&ワールド・レポート」が、「2019年世界最高の国ランキング」を発表した。いわゆる、国家ブランド力ランキングである。日本は、スイスに次いで世界2位になった。韓国から喧嘩を売られ、日本は切歯扼腕(せっしやくわん)しているであろうが、外国はその日本を正当に評価している。日本に喧嘩を売る韓国は22位である。

     

    同誌は23日(現地時間)、米ペンシルベニア大ウォートンスクールと共同で主要80カ国の影響力、企業環境、社会安全網、生活の質、自然環境など75項目を総合的に評価し、最高の国ランキングを発表した。日本は、前年5位であったが一挙に2位へ浮上。日本の国会では毎日、自虐的な質疑が行なわれている。野党の発言を聞いていると、日本という国は「とんでもない国」という印象だが、世界はそう見ていないことにホットさせられる 。

    NewSphere』(2月24日付)は、「米誌、最高の国ランキングで日本が2位浮上、日本人特有の自虐性も浮き彫りに」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「今年のUSニューズ&ワールド・レポート誌の国家ランキング『ベスト・カントリー・ランキング』で、日本が過去最高の2位に浮上した。さまざまな基準をもとに算出する同ランキングが重視している『企業家精神の高さ』でトップに立ち、世界で最も「前向きな国」であることや、経済が上向きなこと、国民に健康的な環境を提供していること、文化的影響力の高さなどで高評価を得た。一方、海外からの評価が高いにもかかわらず、日本人は世界で最も自国を低く評価しているという分析結果も出た。この日本人のいわゆる自虐的な感覚は、観光や海外投資に長期的な悪影響を及ぼすと同誌は懸念している」

     

    2019年版の総合1位は前年と同じスイス。2位日本は、前年5位から順位を大きく上げた。3位は前年2位のカナダ、4位ドイツ、5位イギリスとなった。アメリカは8位、中国は16位、韓国は22位だった。

     

    韓国は日本から大きく引き離されているが、昨年も同じ22位である。過去の序列はつぎの通りである。2016年は19位、2017年は23位、2018年に22位となった。国際評価では、日韓にこれだけの差があるのだから、少しは日本に対する言動で控え目になって貰いたい。

     

    日本の項目別ランキングは以下の通り。
    ・企業家精神=1位
    ・冒険的要素=39位
    ・市民の権利=17位
    ・文化的影響力=6位
    ・文化・自然遺産=10位
    ・原動力=5位
    ・ビジネスの開放度=22位
    ・パワー=7位
    ・生活水準=13位

     

    (2)「日本の5位から2位へのランクアップは異例。USニューズ&ワールド・レポートは『2019年のベスト・カントリー・ランキングの勝者を1つだけ決めるのなら、多くの人は日本だと言うだろう』とまとめている。同ランキングは、『その国を他国の人がどう見ているか』ということを数値化したものであり、2位へのステップアップは、日本が対外的に高いブランド力を作り上げた結果だと言える」

     

    このランキングは、「その国を他国の人がどう見ているか」ということを数値化したものであり、客観化されたものだ。日本が5位から2位へ浮上したのは、日本をそれだけ高く評価した結果だ。韓国が、日本を「小馬鹿」にして暴言を吐いていることに、強い違和感を覚える。

     

    (3)「一方で、USニューズ&ワールド・レポートは、日本人自身は自国を低く評価しており、『国内的なブランド力は非常に弱い』としている。『我々のデータでは、日本国民は、その他の世界の人々よりもずっとネガティブに、悲観的に自国を捉えている。さまざまな面で、日本国民は自国を世界が思っているよりも生産性が低く、不安定で、文化的に重要ではないと見ている』と同誌は書く。反対に、日本以外のほとんどの国は、他国民よりも自分たちをポジティブに見ているという」

     

    当の日本人は、国会の野党質問に影響されているのか、自分の国を「ダメな国」と見ていることは残念である。日本人が、日本を褒めると「保守」とか「右翼」とか散々な評価が下される。中国のように「大言壮語」するのは困るが、客観的に日本を評価することは必要である。外国人旅行客が増えることは、日本評価のバロメーターである。


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    中国の習近平氏は、自らの政治生命がかかっている事態に直面している。金融リスクの発生をいかに回避するか。それには、現在の米中貿易協議を是非とも成功させなければならない局面に追い込まれている。その意味で、米国のトランプ氏は有利に「ディール」を行える立場だ。

     

    『ロイター』(2月23日付)は、「中国主席、金融リスク防止と安定成長の追求訴える」と題する記事を掲載した。

     

    中国の習近平国家主席は、中国経済の安定的発展を追求する一方で金融システムリスクの回避に留意するよう共産党幹部らに訴えた。新華社通信が23日に報じた。

     

    (1)「中国経済の成長率はほぼ30年ぶりの低水準まで鈍化しており、政府は金融緩和措置や減税などの刺激策を打ち出している。新華社によると、習主席は22日に開かれた共産党幹部らの勉強会で、『安定成長に基づきリスク防止に注力する一方で、財政政策と金融政策のカウンターシクリカル(反循環的)な調整を強化し、経済が妥当な範囲で推移するのを確実にする必要がある』と述べた。また、金融リスク、とりわけシステミックリスクを防止・解消することは基本的な課題だと強調した。

     

    習近平氏が、金融リスクの発生を極度に警戒していることは、中国経済が不動産バブル破綻という重大局面にあることを認めたことである。とりわけ、「システミックリスク」を防止・解消することは基本的な課題だと強調した点が重要である。システミックリスクとは、金融の連鎖倒産である。いわゆる金融恐慌の発生だ。中国経済もここまで追い込まれている点に最大の注意をすべきであろう。

     

    (2)「李克強首相は20日、過去の景気悪化時に採用した『洪水のような』景気刺激策に頼らない方針をあらためて示している。 ただ、このところ弱い経済指標が相次いでいるため、景気が一段と鈍化するリスクを低減するために政府が支援策の実施を加速あるいは強化する必要があるかどうかが市場の関心事となっている。習主席は、中国の金融部門は実体経済に資金を供給すべきだとした上で、安定成長とリスク防止のバランスを取る必要があるとの見方を示した」

     

    システミックリスクを防止するには、倒産リスクの高い銀行の資本を増強する以外に道はない。現在、中国人民銀行引き受けで危ない銀行に永久債を発行させている。社債市場で、永久債のリスクが高いとして購入を見送っているので、人民銀行が引き受けているもの。日本の平成バブル崩壊後に「日銀特融」が行なわれた。その中国版と見ればよい。

     

    中国では、スマホの普及ですべての決済が行なわれている。これが、銀行預金からMMF(マネー・マネジメント・ファンド)へ資金を移動させた。要するに、銀行預金の伸びが急速に鈍化するという予想もしなかった状況になっている。これが、銀行の信用創造能力を著しく低下させ、中国経済全体の不況抵抗力を引下げている。スマホが、皮肉にも中国経済の寿命を縮めているのだ。

     

    李克強首相は20日、過去の景気悪化時に採用した「洪水のような」景気刺激策に頼らない方針をあらためて示した。銀行の貸付け能力(信用創造能力)低下が起こっている現在、金融緩和を行なっても、必要な所へ資金が流れる保証がないことを意味している。

     

    ここで援軍となるのが、米中貿易戦争が「平和協定」になることだ。先の米大統領と中国副首相の会談の際、中国側が習近平氏の親書を記者団の前で発表した。親書は、こっそりと手渡すのが常識である。それが、記者団の前で公表しているのは、中国国内向けの演出であろう。

     

    『ロイター』(2月24日付)は、「トランプ米大統領、対中関税引き上げを延期、協議進展受け」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「トランプ米大統領は24日、週末の米中通商協議で「大きな進展」があったとし、3月1日に予定されていた中国製品に対する関税の引き上げを延期すると表明した。また、協議がさらに進展すれば中国の習近平国家主席と直接会談して最終合意を締結する考えも示した。大統領はツイッターで、知的財産権の保護や技術移転、農業、サービス、通貨など両国の意見対立があった分野で協議が進展したと明らかにした」

     

    (4)「進展を受けて、『3月1日に予定されていた米関税引き上げを延期する。双方がさらに進展するという前提で、最終合意の締結に向けた習主席との首脳会談をマールアラーゴで開催するため準備を進める見通しだ」と表明した。

     

    米中間の合意事項は、トランプ氏の意向で「覚書」でなく、「協定」に格上げされた。米国が中国に食い逃げされない予防線である。中国は、ここまで譲歩して金融危機発生圧力を減らし、習近平氏の政治生命を助ける挙に出てきたと読める。


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    けさ、発行(有料)しました。よろしくお願いいたします。

     

    中国景気反映の原油相場

    二つの循環波で中国不況

    韓国輸出の2割が半導体

    米国より高い韓国の最賃

     

    世界経済に黒点が現れてきました。各国の長期金利が下がり始めています。株式を売った資金が、安全資産とされる国債へシフトしているのです。これは、投資家が企業収益の増加に限界を察知し、株式を売って国債へ乗り換え始めたことを意味します。

     

    この現象の背後には、いくつかの理由があります。

     

    .リーマンショック後10年経ち、世界経済の成長に限界が見えてきました。その最大の牽引力となった中国経済が、はっきりと息切れしている現実です。債務というテコを使って急成長しましましたが、債務に見合った投資利益が上がらず、債務がGDPの300%と空前絶後の状態です。中国発の不況ドミノが世界を覆うという危機感が強まっています。

     

    .リーマンショックの震源地である米国は、景気回復と信用秩序の維持のために超金融緩和を続け、世界中に流動性を供給しました。この異常な金融緩和もすでに終わっており、正常化に向け金利を引き上げてきました。その影響が、世界経済全体に現れてきたのです。米国経済自体も、そのエコーに影響を受けるという相互連関性が強まっています。

     

    .米中貿易戦争が、前記の2つの要因を背後からプッシュした形になっています。「世界の工場」とされる中国が、対米輸出にブレーキがかかっているほかに、中国の人件費上昇の重圧が一挙に表面化しています。この結果、中国企業自身が「脱中国」という動きを見せているのです。例えば、中国の玩具工場は世界生産の首位ですが、ベトナムへの移転を模索しています。これまで落勢を強めてきた中国経済は、米中貿易戦争で一挙に傾斜リスクが高まっています。

     

    中国景気反映の原油相場

    世界経済の動きは、長期金利の動向だけが尺度ではありません。原油や資源価格の動向も重要です。ここでは、原油価格の動きを見ておきます。

     

    2014年に1バレル100ドル台をつけた原油価格は、15~16年にかけ30ドル割れ事態になりました。昨年秋から今年初めにかけては、80ドル近くから40ドル台前半まで低下しました。現在は50ドル台ですが、さらに低下するとの専門家の予測が出ています。原油価格には、中国経済の動きを反映する「写真相場」の趣があります。

     

    中国は、15年初めから16年半ばにかけて、景気が落込みました。それは、IHSマークイット調べの中国製造業の購買担当者指数(PMI)が、好不況の分岐点の50を割ったことで明です。この間、原油価格は大きく下落しました。このように、PMIは注目すべき指標となっています。15年初めから16年半ばにかけて起った景気の落ち込みは、後述の在庫循環現象でした。約4年に1度起る循環現象で、市場経済に不可避です。

     

    今年1月、マークイット調べの中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.3と、節目の50を2カ月連続で下回りました。約3年ぶりの低水準です。原因は、新規受注がさらに減少したほか生産も落ち込みました。中国経済が、ますます減速しているという懸念を強めています。

     

    新規受注の低下から見て、今後も製造業PMIは低下する公算が強いのです。中国の製造業PMIと原油価格は、密接な関係を持っています。このことから、世界経済は減速カーブを回ったと見て間違いありません。

     

    二つの循環波で中国不況

    新規受注減と生産の落込みについて、もう少し説明を加えます。中国経済が在庫調整に入ったことを意味するからです。1月の生産者物価指数が前月から急速に鈍化し、前年比+0.1%とほぼ横ばいに止まりました。2月以降は、前年比マイナスに落込むでしょう。経済は、在庫調整(在庫循環)に入ると「玉突き」と同じ現象で、多方面に悪影響を及ぼし、生産活動を抑制します。一段の景況観の悪化が見られます。(つづく)

     

     

     


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    中国ファーウェイ(華為技術)は、世界中に網を張って「世界一」と見られる技術や経営ノウハウを吸収してきた。その結果、30年余という比較的短期間で世界一の通信機企業に発展した。反面、企業倫理では多くの問題を抱えている。世界21ヶ国で汚職捜査を受けるという汚名を着た企業でもある。

     

    中国は、清国末期に「中体西用論」という思想が流行った。西洋の用(火砲・軍艦)は優れているが、中国の体(制度・文化)は遠く西洋に勝るというもの。ファーウェイの発展の跡を見ていると、この「中体西用論」と酷似していることに気付く。習近平氏の「中国式社会主義論」もこの類いである。つまり、先進国から小手先の技術などを学ぶが、中国の専制的な制度を絶対に守るという頑なさが、ファーウェイの反倫理的側面を一掃できない理由である。中国も同じ運命を担っている。攻めは強いが、守りに弱いのは「中体西用論」の特色である。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月24日付)は、「苦境ファーウェイ、米が育ての親、黒い白鳥に備えを」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ペンス米副大統領が、今月中旬の独ミュンヘン安全保障会議で名指しで警戒感をあらわにした中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)。トランプ米政権は世界規模での包囲網構築を模索するが、実はもともと米国企業が育ててきた世界企業という側面を持つ。米半導体大手のクアルコムやインテルが部品供給で協力し、米IBMなどが経営面から支えてきた。『米国企業なしで成長はなかった』。ファーウェイ幹部は打ち明ける。

     

    ファーウェイは、米国と対立しては成り立たない企業である。ハードやソフトの両面で、深いつながりがあるからだ。同社の創業者任氏は最近、強気の発言に転じている。米国市場がなくてもファーウェイは発展できると見当違いのことを喋っているのだ。米国がファーウェイを起訴した以上、ファーウェイに対していかなる行政的な処罰もできる。これを忘れていると、第二のZTE(中興通訊)になって米国からの輸出禁止命令を受けよう。

     

    (2)「同社の経営コンサルティングパートナーの名簿を昨年秋に入手した。そこにはIBM、ボストン・コンサルティング・グループ、アクセンチュアといった米国を拠点とする大手企業の名前がずらりと並んでいた。通信機器やサービスの開発、サプライチェーンの構築に加え、ビジネスモデルの変革、人事、財務に関してもファーウェイは欧米企業を手本としてきた。それらの取り組みが優れた新製品やサービスを続々と生み出し、創業から30年余りの民営企業が中国国有大手だけでなく欧米大手を追い抜く原動力となった」

     

    ファーウェイは、米国のIBM、ボストン・コンサルティング・グループ、アクセンチュアなどから技術などの支援を受けている。「5G」も米国技術がなければ営業開始できない脆弱性を抱えているのだ。日本企業のように独自技術から出発したものでなく、必要な技術は外から買うシステムである。このグローバル化した企業が、米国政府から「切開メス」を入れられたら、一巻の終わりである。ファーウェイは、謙虚に振る舞うべきである。

     

    (3)「ファーウェイ問題の本質は、人民解放軍を含めた共産党が企業への指導を強める現状に対して、米政府などが恐怖を感じていることにある。『ソ連崩壊に続く、ブラックスワン(黒い白鳥)が飛来したのではないか』。中国の外資系金融機関の幹部は、米中対立の激化をこう評する。ブラックスワンとは米国の金融業界で使われる言葉で、めったに起こらない重大事を意味する。ファーウェイは緊急事態への備えを怠らないようにと本社の人工池にブラックスワンを飼育している。同社だけでなく世界中の企業経営者がブラックスワンへの対応を迫られている」

     

    ファーウェイの技術基盤が多国間連携型である以上、中国式の腐敗構造に基づく「反倫理性」を改めなければ立ち枯れの運命であろう。だから、「ブラックスワン」を恐れているのであろう。米国政府が、ファーウェイに対して、ハードとソフトの輸出禁止命令を出せば、業務の継続は著しく困難となろう。ファーウェイは弱い立場なのだ。


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