勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国の習近平国家主席は、3月20~21日の日程でロシアへ国賓として招待された。習氏は、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題する12項目をロシアへ説明した。この提案は、ロシアのウクライナ占領や併合には目をつぶり、戦争の早期終結を求めるというロシア寄りの内容である。米国は、ロシアのウクライナ撤退項目がないので、強い警戒観を見せている。ロシアの侵略を認めて休戦するのは、ロシアの利益擁護が明白であるからだ。

     

    米国は、中国提案を認めないという立場から、ウクライナへのさらなる武器支援策を発表した。3億5000万ドル規模の追加軍事支援計画だ。ハイマースなどの追加である。

     

    『中央日報』(3月21日付)は、「米『中国、ロシアに休戦要求してはならない』 ハイマース用ロケットなど追加支援」と題する記事を掲載した。

     

    習近平中国国家主席が20日から3日間の日程でロシアを訪問する中、米国がウクライナ戦争と関連して中国を強く圧迫し始めた。「中国がロシアに撤退ではなく休戦を要求してはならない」というのが米国の立場だ。その上で、米国はこの日ウクライナに対する3億5000万ドル規模の追加武器支援計画を発表し、バイデン米大統領が新型コロナウイルスの「武漢起源説」関連情報を公開する法案に署名するなど、密着する中ロに牽制球を投げた。

    (1)「米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、この日の定例会見で「われわれは習主席がロシアのプーチン大統領にウクライナの主権と領土を尊重すべき必要性に対して直接圧迫することを勧める。ここには国連憲章に基づきロシア軍をウクライナ領土から撤収することが含まれる」と明らかにした。続けて「ロシア軍の(撤収ではなく)ウクライナ領土に残しておく休戦要求を懸念している」と強調した」

     

    習氏は、中国による仲介休戦交渉が極めて困難であることを認めている。実現しないことを承知しながら、休戦提案する目的は何か。習氏が、世界のリーダーであることを「お披露目」したいのであろう。特に、中国国内向けのアピールである。

     

    (2)「こうした中国の休戦主張に対し、米国はロシア軍が現在の占領地に残る場合、「自分たちに有利なタイミングで戦争を再開できる」として反対している。カービー調整官は「戦争を凍結するために中国の助けを受けようとするロシアのどんな戦術的措置にもだまされてはならない」とも話した。その上で中国の武器支援の可能性に対し「われわれはまだ中国がそのような方向に動いたり何らかの決定を下したという兆候は見ることができていない」としながらも、「中国がそれ(武器支援)をテーブルから片付けたとは信じない」と既存の主張を繰り返した」

     

    ロシアは、休戦交渉の提案よりも中国からの軍事支援を得ることを望んでいる。その軍事支援は、米国の目が光っているので安易にできないジレンマに立たされている。

     

    (3)「こうした中、米国防総省はこの日ウクライナに対する3億5000万ドル規模の追加軍事支援計画を明らかにした。ここには多連装ロケットである高速機動砲兵ロケットシステムのハイマース用精密誘導ロケットと155ミリ砲弾、敵のレーダーなどを無力化させる高速大放射線ミサイル(HARM)、携帯用対戦車ロケットであるAT4などが含まれた。米国務省はこれに先立ち、欧州連合(EU)がウクライナに今後1年間に155ミリ砲弾100万発を追加支援することを決めたことに対し別に声明まで出して歓迎した。ブリンケン長官は声明で「主権と領土を防衛するウクライナに支援を提供するためともにする50カ国以上の国に拍手を送る」として米国を中心とした西側陣営の団結を強調した」

     

    米国は、中ロ首脳会談に合わせる形で、ウクライナへ3億5000万ドル規模の追加軍事支援計画を明らかにした。EUもウクライナへ今後1年間に155ミリ砲弾100万発を追加支援する。これらは、中国の休戦提案を一蹴する形で、ウクライナへの軍事支援を続行する。こうした支援強化によって、ロシアにウクライナからの撤退を迫る目的だ。

     

    (4)「バイデン大統領はこの日、新型コロナウイルスの起源と関連した情報公開を盛り込んだ「新型コロナウイルス起源法」に署名して中国を圧迫した。先月末に米エネルギー省は連邦捜査局(FBI)などに続き中国科学院傘下の武漢ウイルス研究所が新型コロナウイルスの発源地である可能性が大きいという立場を出した。その後この法案に弾みが付き、10日に米上院を満場一致で通過した。ただ習主席のロシア訪問に合わせてバイデン大統領がこの法案に署名したことをめぐっては「新型コロナウイルスを強調することで国際社会での中国の地位を弱めて中ロ蜜月を牽制するための措置」という見方が出ている」

     

    米国は、中国を追込む二正面作戦を取っている。武漢ウイルス研究所が、新型コロナウイルスの発源地であることを強く打出す法案にバイデン大統領が署名したもの。ウクライナ侵攻のロシアと、新型コロナ発源地の中国を浮き出させて、中ロ蜜月をけん制しようとしている。

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    韓国左派は、ユン政権の旧徴用工賠償問題を巡る国内解決策に猛反発している。反日を煽って、文政権時代の「ノージャパン」を再現させる勢いだ。この一方で、日本アニメが韓国で受入れられている。この背景は、韓国ドラマが復しゅうや暴力、不平等など刺激的な素材一辺倒であるのに対して、日本アニメで精神的な癒しが感じられるという。

     

    『中央日報』(3月21日付)は、「日本大衆文化の帰還…『スラムダンク』から『すずめの戸締まり』まで韓国はJカルチャーブーム」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「3月8日に公開された新海誠監督のアニメ『すずめの戸締まり』が公開6日で観客動員100万人を突破して今年最短期間100万記録を打ち立てた(17日現在124万)。同作は東日本大震災以降、喪失感と不安を抱いて毎日を暮してきた人々に、生きることへの意志と希望を思い出させる感動と癒やしの映画だ。日本でも昨年11月に公開されて観客動員1000万人を軽く突破した。『君の名は。』(2017)、『天気の子』(2019)に続く新海監督の災害を巡る3部作の「連続観客動員1000万突破」という大記録だ。2019年から続いた「ノージャパン」感情はどこへ行ったのだろうか」

    日本アニメは、生きることへの意志と希望を持たせる。そういう感動と癒やしのドラマである日本アニメ人気が高まっているという。日本アニメが人気を呼んでいるのは、韓国社会が変わろうとしている前兆かもしれない。

    (2)「光云(クァンウン)大学北東アジア文化産業学部のカン・テウン教授は、「もともと日本アニメを楽しむファンたちの動きがある。大衆文化開放以降、日本でジブリ(スタジオ)アニメが公開されて1位にランクインすれば韓国でもすぐに1位になるのがパターンだったが、『ノージャパン』を経験してみたところ新しく見える」としながら「日本でも今、アニメは乗りに乗っていて『すずめの戸締まり』や『鬼滅の刃』が最高の成績を上げたので韓国ファンたちも当然見ている」と説明した」

     

    韓国には、これまで一定数の日本アニメのフアンがいた。そのフアンが現在は、さらに増えているという見方である。

     

    (3)「もともと日本は、漫画とアニメーションで独歩的な国だ。1950年代にはすでに人間の心を持ったロボットを想像していた手塚治虫の漫画『鉄腕アトム』は1963年に日本で初めてテレビアニメとして製作されて英米圏に輸出された。宮崎駿の代表作『となりのトトロ』(1988)は昨年、英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが演劇として制作するほど世界の人々に馴染みのあるグローバルコンテンツとなった」

    日本アニメ『鉄腕アトム』は、米英圏へ輸出されている。『となりのトトロ』も昨年、英国で演劇として制作されている。

     

    (4)「日本では、是枝裕和監督のNetflix(ネットフリックス)シリーズ『舞妓さんちのまかないさん』のように、過去に憧れ素朴な日常の価値を追求するヒーリングを感じられる作品が人気だ。『すずめの戸締まり』も郷ひろみや松田聖子、中島みゆき、井上陽水など1970~80年代国民歌手のメドレーが郷愁を誘う。このような流れは、復しゅうや暴力、不平等など刺激的な素材一辺倒の韓国でニッチ市場といえる」

     

    日本映画もそうだ。淡々とした日常を描いた小津安二郎の「東京物語」(1953年)は、今なお世界映画名作10選の上位に入っている。70年を経ても、人間の心を描いた作品には普遍性があるのだ。

     

    (5)「日本大衆文化は、幅広いジャンルを絶えず発展させてきており、このうち韓国に不足したジャンルでマニア層が形成される。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が15日、読売新聞とのインタビューで必ず視聴すると紹介した『孤独のグルメ』をはじめ、『深夜食堂』など韓国で人気を呼んだ日本ドラマは食事や穏やかな日常をモチーフにしたヒーリング系が多い

    下線部が、日本社会のありのままの姿を示している。韓国でも、反日という問題を棚上げしてみれば、日本を受入れられるであろう。

     

    (6)「興味深いのは、敏感な韓日情勢が大衆の文化受け入れに特別な影響を与えなくなった現実だ。国の品格が向上し、韓国の情緒がトラウマを克服したのか。延世(ヨンセ)大学心理学科のチョ・ジソン客員教授は、「若者世代は日本との関係で感じるソーシャルアイデンティティが違う」と指摘。「集団的被害者マインドを持っている既成世代が、集団と個人を同一視して嗜好を明らかにすることに消極的だとすると、心の傷をある程度克服した現在は集団の記憶より個人の選択と好みのほうを重要視するようになった。日本文化を他の人々以上に楽しんでいることもヒップな趣味として誇らしく思うのが最近の世代」と解釈した」

     

    このパラグラフは、極めて重要な点を指摘している。韓国の既成世代は、集団的被害者マインドに支配されている。だから、二言目には日本へ「謝罪せよ」と要求する。ここでは、「集団」と「個人」を一緒に捉えている。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という心境なのだ。だが、若者は日本に対して集団的被害者マインドを持っていない。日本が、興味の対象にすらなっている。精神的に自由になっているのだ。この傾向は、これから一段と深まるであろう。

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    日本政府が、これまで韓国へ謝罪した回数は50回以上とされる。韓国外交部は20回超と控えめな数字を発表した。国家間でこれだけの謝罪がされても、未だ足りからもう一度言えと韓国が迫っている。旧徴用工賠償問題で、韓国が賠償金を支払うのでその「お礼を言え」ということだ。国家間の問題が、個人レベルの問題に置換えられているので、こういう前代未聞の要求になるのだろう。

     

    『中央日報』(3月20日付)は、「日本の良心と知性を期待する」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の李夏慶(イ・ハギョン)論説委員である。

     

    (1)「日本は韓国人がなぜ憤怒するのかを知っているのだろうか。韓国はカイロ宣言にある通り「奴隷状態」で36年を過ごした。それで敗戦国の日本を相手にした連合国講和会議の正式メンバーとして参加しようとした。臨時政府が第2次世界大戦以前から日本と戦争状態にあり、中国に日本と戦った韓国人師団があり、上海臨時政府が宣戦布告した事実を米国に伝えた。至誠天に通ず。張勉(チャン・ミョン)駐米大使は1951年1月26日、米国務長官顧問ダレスから「韓国の参加を支持する」という返答を受けた。しかし英国と日本の反対で参加48カ国から除外された。不当で悔しいことだった」

     

    韓国は、日本と戦争をしていたわけでない。法的には、講和条約締結に出席する資格がないのだ。米国国務省からから正式に二度、出席を拒否されたはずだ。

     

    韓国は、「奴隷状態」で36年過ごしたとしている。これが事実とすれば、日本が朝鮮で近代教育制度を確立して、京城帝国大学まで設置するはずがない。「奴隷状態」という言葉を安易に使って、実証分析もせずに日本を非難すべきでない。現に、同じ植民地であった台湾は、日本へ感謝している。この違いは、どこにあるのか。韓国は歴史に対する整理ができず、混迷している結果と見るほかない。

     

    (2)「1951年9月にサンフランシスコで調印された講和条約は、韓国を台湾と共に「日本の支配から抜け出した地域」に分類した。過去の植民地ということだ。植民地支配の不法性が認められ、謝罪と法的賠償を受けようとしていた期待は水の泡となった(注:講和条約に出席できなかったので)。さらにあきれたのは、韓国が日本の一部だったため朝鮮人の強制動員が「合法」になってしまった事実だ。深刻な傷と侮辱だった。実際、米国は日本と戦争中だった1942年から国務省極東班を運営し、敗戦国の日本を国際社会に復帰させる「寛大な平和」を準備していた。日本に負担となる韓国の要求を聞き入れる余地は最初からなかったはずだ」

     

    米国は、戦後処理政策として日本を米国側に引入れ、韓国を除外していた。工業力が脆弱であったからだ。これが、朝鮮戦争を誘引した理由でもある。米国は当時から、日本と韓国を別のものとして扱っていたのである。この韓国が現在、GDP世界10位にまでなれたのは、日本の技術と資本のお陰である。こういう事実をなぜ認めないのか。韓国の努力を支援した日本があったからこそ、現在の韓国が存在しているのだ。もっと冷静に考えるべきだ。この日本が、50回以上も謝罪させられている。これ以上、謝罪要求されても無理である。

    (3)「サンフランシスコ条約調印1カ月後の1951年10月、両国は韓日協定締結のための交渉に入った。初期に日本は自国民50万人が韓国に置いて行った財産に関する権利、逆請求権を提起した。朝鮮内の日本の財産は85%だった。日本側の久保田全権代表が「植民地時代に有益なことをしただけに日本にも請求権がある」と述べると、韓国側の洪ジン基代表は「伝統の国際法に植民地から解放された国の権利が追加されるべきだ」という「解放の論理」で反論した。日本は久保田の妄言を取り消し、逆請求権の主張も撤回した」

     

    日本側の久保田全権代表の発言は、韓国側の「無礼な発言」へのお返しである。記録を読めば、それが明らかである。現在の韓国左派が、日本に向けて非難しているのと同じ雰囲気であった。売り言葉に買い言葉と言える。韓国は、日本から一銭でも多く取ろうとして、交渉を長引かせ紛糾させた。

    (4)「13年8カ月後の1965年6月22日に交渉は妥結した。日本は韓国に無償で3億ドル、有償で2億ドルを援助することにした。この資金は韓国経済の発展に大きく寄与した。しかし植民地支配に対しては「すでに無効」と整理した。韓国は「最初から無効」と解釈した。日本は「今は無効だが、当時は有効で合法的だった」と国会に報告した。植民地支配に対する反省と省察はなく、韓国人には傷がもう一つ追加された。それだけに「植民地支配は不法であり、日本は徴用被害者に賠償すべき」という2018年の大法院(最高裁)判決は、日本にとって「65年体制」を揺るがすショックだったのだ。日本が徴用問題を避ける理由だ

     

    下線部は、1965年の日韓基本条約を根本から否定するものだ。「司法自制の原則」という国際ルールに反する判決に、日本はショックを受けたのだ。国際法を否定する判決が出て、韓国司法は健全かと疑うほどだった。そういう異例の判決である。

     

    (5)「韓日は、文明史的な対話を始めることが求められる。前世紀に欧州は2度の世界大戦で衝突したが、和解して経済・安全保障共同体を作った。両国も和解と共存のアジア時代を開かなければいけない」

    韓国自身が、国際法に従って問題整理することが前提になる。日本のさらなる謝罪は、問題解決にはならないのだ。

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    韓国は、時代遅れの「年功賃金・終身雇用」に縛られており、労働市場は極端な閉塞状態にある。2月に、就職難から求職も就職準備もせず「休んでいた」と答えた15~29歳の青年層が、なんと50万人に迫る緊急事態だ。過去最大の規模である。韓国が、日常的に比較したがる日本は、「引く手あまた」という好調さだ。

     

    日本は、減っていく若い働き手の獲得競争が一段と強まっている。日本経済新聞社が3月19日まとめた2024年春入社の新卒採用計画調査(1次集計)で、大卒の採用計画は23年春の実績見込みと比べて21.%増。伸び率は、2000年以降では景気拡大期だった06年(23.%)に次いで高いという、日韓があべこべな状況になっている。

    韓国では、国籍放棄者が年間2万人にも達している。移住先の5割は米国。二番手が日本で14%である。左派からは「反日」で目の敵にされているが、韓国社会では安全な「逃避先」になっている。

    『中央日報』(3月20日付)は、「韓国の青年50万人『求職・就活せずただ 休んでいた』、過去最大」と題する記事を掲載した。

     

    韓国統計庁国家統計ポータル(KOSIS)によると、2月の非経済活動人口(就業者や失業者でない人口)のうち活動状態を「休んでいた」と答えた青年層は49万7000人だった。これは2月だけでなくすべての月を合わせて2003年1月の統計作成以降で最も大きい規模だ。

    (1)「青年層の「休んでいた」人口は2019年2月の38万6000人から2020年2月が43万8000人、2021年2月が44万9000人、昨年2月が45万3000人と増え、今年2月は49万7000人を記録した。1年間に4万5000人(9.9%)増えた」

     

    「休んでいた」のは、就職難で求職活動を諦めた人達である。中国で一般化している「寝そべり族」であろう。習近平氏は、この「寝そべり族」という言葉が最も嫌っているが、韓国でも同じ現象が始まっている。政治体制の異なる中韓で、こういう現象が起こっているのは、「市場経済化」が進んでいない証拠である。韓国の労働市場は事実上、「貴族労組」の管理下にある。この弊害を打破して、雇用を流動化させれば雇用は増えるのだが、企業が労組の反発を恐れているのだ。

     

    (2)「統計庁は、年に一度「休んでいた」主な理由を調査する。昨年8月の結果では、「体調不良」が39.4%で最も多く、「希望する働き口・仕事が見つからない」が18.1%、「退社(定年退職)後休み続けている」が17.3%、「働き口がない」が7.8%、「次の仕事の準備に向け休んでいる」が7.1%、「仕事の完了・雇用契約満了」が3.4%、「職場の休廃業で休んでいる」が3.0%などの順だった。しかし、これは全年齢を包括した調査結果で、青年層の場合「体調不良」の割合はこれより低く、「希望の仕事が見つからない」の割合はこれより高いと予想される。2月の全年齢層の「休んでいた」人口は263万5000人で、1年前より16万5000人増えた」

    韓国は、大卒後に就職するまで2~3年の「就職浪人」が普通である。これだけ、就職難が進んでいることの証明だ。「年功序列・終身雇用」が、大きな壁になっている。企業が、解雇時の抵抗を恐れて、新規雇用に慎重になっている結果だ。これは、結婚時期を遅らせており、韓国の合計特殊出生率が史上最低に落込んでいる大きな理由になっている。諸悪の根源は、「年功序列・終身雇用」にある。ユン政権は、これを打破すべく「年功序列・終身雇用」打破に取り組んでいる。

     

    就職もできない韓国に、国民は愛想をつかしている。自ら「韓国人」であることを放棄して第2の「自国」で暮らす「国籍放棄」者が増えているのだ。事態は深刻だ。

     

    『中央日報』(3月20日付)は、「年間2万人が国籍を放棄、『韓国社会はこれ以上希望ない』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国法務部によると、最近11年間(2012年-2022年)に26万2305人の韓国人が国籍を喪失または離脱した。年平均およそ、2万人が韓国国籍を放棄しているのだ。この5年間(2018年-22年)の韓国国籍喪失・離脱者の新たな国籍は、米国(56.2%)、日本(14.8%)、カナダ(13.6%)の順になっている。

    (3)「なぜ、「脱朝鮮(韓国を離れて他国へ移住)」を夢見るようになったのか。移民を準備中または実行した人たちは「韓国社会はもう希望がない」と口をそろえる。こうした発言は韓国社会の矛盾から派生したものと考えられる。この数十年間、韓国社会は量的には成長したが、成長の過程で依然として改善しない弊害があるということだ。「親の世代までは『今は厳しくても、より良い明日がある』という希望があったが、今は自分の能力、努力に適切な見返りを受けるのが難しい時代」としている。「それで、『ヘル朝鮮』という言葉が誕生し、言語と能力を備えている人たちを中心に努力が認められる海外に出かけようという雰囲気が広まったようだ」と話した」

    このパラグラフは、韓国で未来の夢を持てない現実を示している。下線部は、韓国社会の閉塞性を告発している。「年功序列・終身雇用」という社会では、自己の持てる能力を発揮できる機会さえ与えられないのだ。この裏には、韓国左派の既得権益への強い固執が存在する。左派は、韓国を衰亡に導くテコになろう。

     

     

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    米国は昨年6月、制裁によりロシアの半導体輸入は90%減少したと発表した。だが、米業界団体は今年1月、米国製半導体の「不正取得や偽造を防止するための広範な課題」について警鐘を鳴らした。ロシアへ半導体が流れているという指摘である。一方、貿易を抑制しようとする米国の取り組みにいら立つロシアは、技術水準が低めの調達しやすい民生用部品の取得に軸足を移していると、「不正入手」を否定している。

     

    『ブルームバーグ』(3月20日付)は、「戦争の行方左右、ロシアに半導体流出かー米ハイテク規制強化でも」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「英王立防衛安全保障研究所(RUSI)が分析し、ブルームバーグが確認した通関データも、アナログ・デバイセズやテキサス・インスツルメンツ(TI)、マイクロチップ・テクノロジーなど大企業が生産した半導体が侵攻開始から数カ月にわたって第三国の企業を通じてロシアの手に渡っていたことを示している。3社は法を順守しており、ロシアには販売せず、同国での自社製品の販売を許可していないとしている。ワシントンの法律事務所ワイリー・レインのパートナー兼国家安全保障関連訴訟手続き責任者で、米商務省の高官を務めた経験を持つナザク・ニカクタル氏は、「わが国の機密技術の多くが悪者の手に渡っていると想定すべきだ。第三者の仲介者という問題はかなり容易で重要な抜け道だ」との見方を示した」

     

    米国の大手半導体製品が、生産3ヶ月後にはロシアの手に入っているという。第三者の仲介者が、ロシアへ半導体を持込んでいると見られる。

     

    (2)「半導体は戦争の行方にとってますます重要になりつつある。ロシアは半導体を入手するための取り組みを強化しており、ここからロシアの在庫が不十分で、政府の対策では供給不足が解消されそうにないことが読み取れると、ロンドンに拠点を置く国際戦略研究所(IISS)のマリア・シャギナ氏は指摘した。同氏は制裁のエキスパートだ。ウクライナ政府は、クアルコムやブロードコムなどのハイテク大手に対し、ロシアの衛星測位システム「GLONASS(グロナス)」を支えているとされる半導体の製造を停止するよう公然と要求している」

     

    ウクライナ政府は、米国大手半導体に対して、製造そのものの中止を要求するほどだ。こういう根本対策を取らない限り、ロシアへ渡るのを阻止できないのであろう。

     

    (3)「アナログ・デバイセズは発表資料で、制裁発動後のロシアとウクライナのロシア占領地域、ベラルーシへの同社製品出荷は、「不当な転売・転用の結果」であり、同社の方針に直接的に反するものだと説明。グレーな市場活動の監視を強化していると明らかにした。マイクロチップも制裁対象地域への販売は行っておらず、顧客の選別に努めていると資料で発表。TIは同社の「製品が意図しない用途に使用されることを支持も容認もしない」と資料で表明し、ロシアやベラルーシには販売していないと付け加えた」

     

    制裁発動後に、ロシアとベラルーシなどへ禁輸対象の半導体が渡っているのは、「不当な転売・転用の結果」という。こうなると、転売ルートの探索探しになる。

     

    (4)「元米財務省高官で対ロシア制裁策に携わり、現在は法律事務所ギブソン・ダンに勤めるアダム・スミス氏によれば、米国の圧力が強まる中、ロシアは常に新たな抜け穴を探している。RUSIの分析によると、最近の通関データで示されるロシアが入手した米国製半導体のほぼ全てが、中国企業によって購入され、最終的にロシアの無人機「オルラン10」の製造元に届いている。事情に詳しい複数の関係者によれば、バイデン政権当局者は中国やアラブ首長国連邦(UAE)などの他国を通じたロシアの半導体調達について懸念を強めている」

     

    RUSIの分析によると、ロシアが入手した米国製半導体のほぼ全てが、中国企業によって購入され、最終的にロシアの無人機「オルラン10」の製造元に届いているという。

     

    (5)「EUや米国とは異なり、中国とUAEは対ロシア制裁を実施していない。あるUAE当局者はブルームバーグへの資料で、「UAEは米国を含む外国のパートナーと結んだ合意に加え、国際法と国連が定める制裁を順守し、厳格に執行している」とし、不正な資金の流れを監視するシステムを導入しており、機密技術を含む製品を監視する高度な税関システムを備えていると説明した」

     

    中国とUAEは、対ロシア制裁を実施していない。これが、米国大手半導体製品のロシア入手ルートになっている可能性がある。

     

    (6)「中国外務省は、半導体の問題を巡る詳細を把握していないとコメント。中国のロシアとの関係について、米国は虚偽の情報を度々流してきたとも主張した。米国とEUの当局者は、ロシアがイランやトルコ、UAE、カザフスタンなどの第三国を経由して外国の半導体や技術を引き続き調達していると認識している」

     

    米国とEUは、ロシアがイラン、トルコ、UAE、カザフスタンなどの第三国を経由し、外国の半導体や技術を引き続き調達していると認識している。となると、米国とEUは、次なる対策を打つのか注目される。

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