勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国のコンビニ店主は、文政権の最低賃金大幅引き上げで苦境に立たされている。来年の最低賃金が10.9%増に決まったことから、さらに経営を圧迫されそうだという。コンビニと言えば、日本と同様に国民生活に欠かせないインフラだ。その経営が、最低賃金引き上げで大揺れである。

     

    韓国の最賃制度は、違犯者は罰則を伴う。違反したくなければ、従業員を解雇しなければならないのだ。それ故、606万人が働く小商工業者が、最賃法違反を恐れて雇用を減らすことが懸念されている。実際、最低賃金が大幅に上がった今年、雇用は直撃弾を受けた。最低賃金の影響が大きい臨時・日雇い勤労者は過去1年間に24万7000人減少したという。この人たちは、どこで生計の資を得ているのだろか。文政権が職を奪ったとも言える。

     

    コンビニ店主は、最賃大幅引き上げから身を守る闘いを始める。消費者に最賃に伴うコストアップ分を負担して貰う戦術に出るのだ。

     

    『中央日報』(7月15日付)は、「コンビニ店主ら、来年から深夜割り増しやカード決済拒否を推進」と題する記事を掲載した。


    (1)「国コンビニエンスストア店主団体協議会は14日、月1回の共同休業、来年1月1日から深夜0時から午前6時までたばこを除いた品目の深夜割り増し料金適用、電子マネーへのチャージ拒否、従量制ごみ袋など一部品目のカード決済拒否推進などを検討すると明らかにした。協議会はこうした案に対し議論を経た上で16日に正式な立場を出す方針だ」

    コンビニと言えば、年中無休、場所によっては24時間営業である。この便利さが急速な普及をもたらした理由である。韓国では、来年1月から深夜0時から午前6時まで、たばこを除いた品目の深夜割り増し料金にするほか、月に1回の共同休業を実施する方針を検討している。消費者から不便の声を出して貰い、政府に反省を迫ろうという作戦でもあろう。

     

    (2)「協議会のケ・サンヒョク会長は、『最低賃金は8350ウォンに決定されたが、ここに週休手当てを考慮して20%をかけなければならない。ここに4大保険料まで出さなくてはならないので事実上25%程度上がることになり、来年の時給は1万ウォンを超える』と主張した。その上で、『コンビニ店主の今年の月間収益は昨年より70万ウォンほど減っており、来年はさらに50万~60万ウォン減少し、2年間で120万~130万ウォン減少することになる』と強調した」

    韓国の最賃制度では、週1回の休日手当も含めている。これを総合すれば、現状ですら日本の最低賃金と肩を並べるという。日韓の所得水準の違いを考慮に入れると、韓国の最賃はかなり高い水準である。韓国の零細業者が、この最賃ではコストアップになるとして、解雇者を出しているのは致し方ない。韓国の最賃は高すぎるのだ。韓国コンビニ店主の利益は、2年間で月間120万~130万ウォン(12~13万円)の減益になるという。韓国最賃が、高すぎる結果であろう。


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    中国が、米国の2000億ドル追加関税を回避すべく、対話路線を模索している。ふらついている中国経済の現状を考えれば、「徹底抗戦」などと威勢の良いことを言っていられるゆとりはない。ここは対話路線によって、「関税爆弾」を避けなければ一大事。こういう認識に立ったと見られる。

     

    中国外交担当トップの楊(よう)共産党政治局員(中央外事工作委員会弁公室主任)は7月14日、北京で開幕した「世界平和フォーラム」で演説し、「中国市場は今後15年間で24兆ドル(約2700兆円)の商品を輸入する見通しだ」と述べた。これは、米国を対話路線に引き込むシグナルになりそうだ。

     

    このような判断をくだす根拠は、次の報道がそのヒントを与えてくれる。

     

    中国は、今回の米国から加えられた圧力を国内の改革エネルギーに変えようという動きを見せている。数年後には、「トランプ氏に感謝しようという気持ちになろう」、とまで言い始めていることは、米中貿易戦争が対話路線に転換する前兆と見られる。この視点から、前述の楊共産党政治局員の「15年間で24兆ドル輸入計画」は、アドバルーンでなく、現実味を帯びてくる。

     

    『大紀元』(7月14日付)は、「米中貿易戦、低姿勢に転じる中国、米への刺激避ける」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の国務院弁公庁は7月2日、商務部や外交部や財政部など主要の省庁に対して『輸入を拡大し対外貿易の均衡的な発展を促すことに関する意見』を通達した。商務部が7月10日、同ウェブサイトに掲載した同『意見』についての解説で、今後『一部輸入品の関税引き下げの実施』『企業の正当な権利を保護し、国内投資環境の改善』などに言及した」

     

    米中貿易摩擦は、輸入を拡大し対外貿易の均衡的な発展を促すことで解決しよう。こういう基本姿勢が、商務部や外交部や財政部など主要の省庁に伝えられたという。この点が重要だ。

     

    (2)「これに対して、SNS微信のアカウント『牛弾琴』に掲載された記事は、同『意見』はトランプ米大統領に歩み寄る姿勢を見せている、と分析している。同アカウントは国営新華社傘下の『環球雑誌』の劉洪・副編集長が開設したもの。同記事は、『この行動(関税措置)のおかげで』、いわゆる改革開放のまい進が急務になったと示した。また、数年後に今を振り返ってみた時、『トランプ氏に感謝するかもしれない』とした。記事は、各メディアに転載された。一部のメディアは、『中国は、“貿易戦”というプレゼントを贈ってくれたトランプ氏に感謝すべきだ』とタイトルを変えて掲載している。在米中国人学者の李恒青氏は、中国当局の姿勢変化について、「米側との貿易戦を避けたい当局の思惑が明らかだ」と大紀元の取材に応じて答えた」

     

    かつて日本は、外圧を利用して国内改革を進めようという議論が盛んであった。中国は今、日本と同じ立場に立とうとしている。日本が中国へサジェスチョンしたのかも知れない。中国は進退に窮したとき、日本の助言を受け入れるパターンがある。2008年のリーマンショック後、中国は「4兆元投資」を行なった。これは、麻生太郎氏が胡錦涛国家主席(当時)に勧めた結果だ。今回も麻生氏が密かに動いたのでなかろうか。余りにも、過去の日本に似たケースであるからだ。

     

    (3)習近平国家主席は先月末訪中したマティス国防長官と会談した際、『われわれは貿易戦を望んでいない。米側に対抗したくない』と発言していた。また、米中貿易摩擦をめぐって、習主席が出席した重要会議で『米中が貿易問題で対立しているなか、われわれは姿勢を低くするべき』と話したという。この会議には商務部や外交部、中央宣伝部などの高官が出席した。現在、中国政府系メディアは『貿易戦による圧力を、経済発展を推進する力に変えよう』との論調を展開している」

     

    習氏は、貿易戦争を回避する姿勢を折りに触れて見せている。マティス国防長官と会談の際に明言し、国内の重要会議でも同様の発言をしているという。米中貿易戦争は、回避されて話合い路線に移る可能性が出てきた。


     

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    韓国社会は驚くことばかりだ。自己主張だけして相手の立場に配慮しない。賃金交渉はその適例である。労働組合が高い賃上げを要求するのは当然としても、来年の最低賃金引き上げ要求は、何と今年の43%増であった。

     

    最終的には、来年度の最低賃金が1時間あたり8350ウォン(約835円)に決定した。今年(7530ウォン)より10.9%引き上げである。それでも、1割という引き上げは常識を超えている。賃金引き上げは、生産性上昇分でカバーするもの。韓国の経済成長率は3%前後である。これが生産性向上分だ。この経済が最低賃金10.9%を支払えるはずがない。無茶苦茶なことを決めている。政治主導だ。

     

    韓国労働界が要求した「43%賃上げ」という目玉の飛び出るような賃上げ原資は、どこから捻出するのか。そういう配慮は最初からゼロである。誰かが払うのだろう。そういう無責任な要求である。子どもが、地団駄踏んで騒いでいる情景とどこが違うだろうか。

     

    韓国労組は、世界一の戦闘的存在である。経営側がいくら説得しても聞く耳持たぬという

    頑迷さは筋金入りである。ただ、労組だけ責めるのも酷である。大企業が財閥企業であることが大きな影響を与えている。財閥は家族経営である。息子や娘であれば、30代から経営陣入りする。栄耀栄華の生活を送る財閥家族を見れば、一泡吹かしてやりたい。高額の賃上げ要求を吹きかけて困らせてやれ。こういう怨念が働いていると見るのだ。こうなると遺恨試合のようになって来るか。これが、私の韓国労組論である。

     

    最低賃金引き上げは、国家の統一的な最低賃金引き上げである。財閥憎しで仕掛ける企業内賃金引き上げと違い、零細企業での最低賃金引き上げだ。街の小規模企業が支払える賃金であるかが問われるのだ。身近な零細企業の支払い能力からみて、43%もの最低賃金引き上げが可能かどうか。常識で分る話だ。そこへの配慮がないから、ドーンと43%もの非常識な賃上げ要求案が飛び出すのだろう。

     

    零細企業経営者の血の叫びを聞いておこう。

     

    『中央日報』(7月13日付)は、「『私を逮捕しろ』という308万人の韓国小商工人の絶叫」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「全国308万人の小商工人が立ち上がった。また最低賃金を大幅に引き上げようとする流れに反発しながらだ。この人たちは来年の最低賃金基準に従わないという『モラトリアム(支払い猶予)』を宣言した。小商工人連合会は昨日午後、ソウル汝矣島(ヨイド)中小企業中央会で記者会見を開き、『今後、小商工人モラトリアム運動を進める』と述べた。また「来年も最低賃金に拘束されず小商工人事業場の使用者と勤労者の間で(最低賃金額を)自律合意する」と明らかにした。最低賃金委員会の決定に従わないという『不服宣言』だ」

     

    国が勝手に決める最低賃金には従わない、という不服宣言を発した。去年の16.4%の引上げでも支払い能力を超えるものとして反対論を繰り広げた。庶民目線を売りにする文政権が、人気取り政治で庶民を苦しめている。

     

    悪法も法なりという。韓国政府は、末端の経営状況を無視した労働界寄りの決定をしている。外面では、最賃引上に理解のある「文政権」を売り込みたいのだろうが、国民を苦しめる「天下の悪法」である。朝鮮李朝と同じようなことをしている。そう思わざるを得ない。


     

     

     



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    中国は、米国から徹底的に嫌われた存在になっている。米中貿易摩擦による対立と、世界26ヶ国の海軍が合同演習(リムパック)する機会から排除された。こうして中国は、世界の孤児という実感がひしひしと伝わってくるのだ。

     

    米海軍が2年に一度、主宰する「環太平洋合同演習」(リムパック)は、6月下旬から8月までハワイ沖で行なわれている。中国海軍も一度は招待されたが取り消された。南シナ海での島嶼窃取による軍事基地化が、米海軍の神経を逆なでしたもの。

     

    今年の軍事演習には26カ国から25000人の兵力、戦艦や潜水艦など52隻、航空機200機ほどが参加している。参加国(〇は初参加国)は、〇ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、〇イスラエル、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ペルー、韓国、フィリピン、シンガポール、〇スリランカ、タイ、トンガ、英国、米国、〇ベトナム。

     

    初参加国は、ブラジル、イスラエル、スリランカ、ベトナムの4ヶ国である。ベトナムが参加して中国を排除したのは、南シナ海での中国海軍の島嶼占領と軍事基地化に関わりのあることを示唆する。南シナ海では、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの7ヶ国が参加している。米海軍が南シナ海を見据えていることは明白である。中国包囲網づくりだ。

     

    『大紀元』(7月14日付)は、「環太平洋合同演習に中国スパイ艦、ハワイ沖公海で」と題する記事を掲載した。

     

    中国海軍は、2016年にリパックへ招待された際も、米海軍艦艇同士の連絡用周波数を窃取すべく、訓練計画にない行動をとって顰蹙(ひんしゅく)を買っていた。最初から米海軍のスパイ目的での参加であったのだ。今回は演習から除外されたので、離れた地点からのスパイ行為をしている。中国は、あらゆるところでスパイ活動をする国だ。お里が知れた振る舞いだが、それだけ民度が低いということか。この程度の知的レベルで、世界覇権を狙うのはおこがましい限りである。

     

    (1)「中国は、招待されていない米軍主導の環太平洋合同演習(RIMPAC、リムパック)に情報収集艦を送り、スパイ活動を行っているという。海軍関係者が明らかにした。米太平洋軍報道官チャーリー・ブラウン大佐は13日の記者会見で、11日から、ハワイ周辺の米排他的経済水域(EEZ)周辺の公海で、中国の情報収集艦が活動していると述べた。ブラウン大佐によると、米海軍はこの中国のスパイ艦を監視しているという。『この(中国の)船は米国領海の外にいる』『重要な情報を保護するために必要なすべての予防措置はとっている。船はリムパック実施に影響を与えていない』と大佐は述べた」

     

    「お行儀の悪さ」(南シナ海の窃取)を嫌われた中国海軍が、ハワイ沖へ出張ってきて米海軍の通信用周波数を盗む行為をやっている。軍事にはスパイがつきものとはいえ、ここまで露骨にやるのでは、ますます「嫌われの身」に成り下がるはず。恥も外聞もない行為だ。

     

    (2)「チリ海軍パブロ・ニーマン士官は、『参加するはずのない船の存在が、演習を混乱させる要因になった。とても失望している』『協調の精神に基づく合同演習のなかで、全員が集中して行動することを期待している』と12日、ハワイ紙スター・アドバイザーに語った。オーストラリアのメディアは、中国の情報収集艦が、リムパックに向かうオーストラリア海軍艦艇を追跡していたと報じた」

     

    中国海軍の礼儀を弁えない行動は、潜在的な敵意を相手に抱かせる点で、賢明な行為とは言いがたい。リムパック参加国26ヶ国から軽蔑の念を持たれていることを知らない、哀れさを気の毒に思うだけだ。


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    米中貿易戦争で、中国深圳市のホテルが米国人宿泊客に「25%上乗せ」料金を請求した件は本当だった。当該ホテルは、問題が大きく取り上げられたことから、「否定」したものの従業員はこの事実を認めた。

     

    この件は、中国社会に貯まる「反米感情」を表わしているが、中国では日本に対しても同じような嫌がらせをやっている。尖閣諸島の日本国有化の際、「日本人と犬は入店するな」という看板を出した飲食店があった。さすが、中国社会でも「やり過ぎだ」と批判が高まった。

     

    今回のホテルで「25%の上乗せ料金」を請求したのは、場所が深圳だけにIT企業の集積地ということの影響もあろう。中国のIT製品が、米国から25%関税をかけられることへの不満に触発されていることは疑いない。IT企業は、高収益だけに地元のホテルがいろいろと潤っているのであろう。その上得意のIT企業が、もし米国への輸出で不利になれば、ホテルの経営にも響く。そこで、ホテルが「連帯意識」を表明して、「今後も宜しく」というPRに違いない。それにしても、中国社会らしい「家族主義」の一面が浮かび上がっており興味深い。

     

    『ロイター』(7月13日付)は、「中国深圳市のホテル、米国人に25%の追加料金請求、報道を否定」と題する記事を掲載した。

     

    「中国と米国の貿易戦争が激しさを増す中、米国人宿泊客に対し25%の追加料金を請求すると報じられた中国南部・深圳市のホテルは13日、『われわれは全ての宿泊客を平等にもてなす』として、報道内容を否定した。ただ、3人のスタッフは匿名を条件にロイターに対し、7月12日時点で差別的な料金ポリシーがホテルに掲示されていたが、その後撤去されたと証言した。中国共産党機関紙・人民日報系列の国際版タブロイド紙『環球時報』は12日、『モダン・クラシック・ホテル・グループ』が米国人に追加料金を請求するとの通知を自社ホテルに掲示した、と報じた。同紙がホテルの広報担当者ヤン氏の話として伝えたところによると、掲示されたのは6日だという」

     

    この記事を読むと、米国人に「25%上乗せ料金」を請求していたことは事実である。日本的な謝罪方法では、こういう形の「否定」は最悪・最低である。ウソで固めた話でなく、事実を認めて、その経緯を説明し再発予防策を発表すべきだろう。「25%上乗せ料金」を支払った宿泊客には謝罪の気持ちとして、次回は宿泊費を無料にするぐらいの度量の大きさを見せるべきだ。そうすれば、マイナスがプラスに転換する。このくらいのことは、サービス業としてお分かりと思うが。


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