勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    8日に訪中したポンペオ米国務長官と中国の王毅外相の会談は、互いへの不信感をむき出しにする異例の展開となった。貿易面での摩擦に端を発した米中のいがみ合いは、外交や安全保障にも広がる「新冷戦」の瀬戸際まできている。『日本経済新聞 電子版』(10月9日付)は、こう緊迫化した米中の空気を伝えた。

     

    10月4日の米副大統領ペンス氏の発言が、中国に向けた「宣戦布告状」のような厳しい内容であった。中国が反発するのは予想されたこと。もし、反発しなかったならば、中国国民が騒ぎ出すだろう。そういう意味では、中国の怒りは想定内と言える。私にはそう見えるのだ。

     

    米国は、すでに中国との「冷戦」を決意している。中国は公然と、米国の覇権を狙うと宣言した。これに対して、ペンス氏が「お返し」をした程度の話であろう。中国が青筋立てて怒るほどのことはない。最初に石を投げたのは中国である。中国という国は、いつもこのように被害者ぶって見せるのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月9日付)は、「米中、新冷戦の瀬戸際、ペンス氏発言が亀裂深める」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「8日のポンペオ氏と王氏の会談は、のっけから緊張した空気に包まれた。「米国に誤った言動をただちにやめるよう要求する」。中国外務省によると、王氏は東京、ソウル、平壌を駆け足で回ったポンペオ氏へのねぎらいもそこそこに、米側への抗議から切り出した。『誤った言動』がペンス米副大統領の発言を指すのは明らかだ。『中国は米国に内政干渉しようとし、これまでになく力を誇示している』。ペンス氏は4日、ワシントンでの講演で『内政干渉』という言葉を使って中国を批判した。中国が11月の米中間選挙に介入し、トランプ米大統領を不利な状況に追い込もうとしている――。他国の内政干渉を厳しく非難してきた中国には絶対に受け入れられない内容だ。王氏の抗議は、ペンス氏の発言が『一線を越えた』という警告でもある」

     

    中国は、「シャープパワー」という形で他国へ政治的な影響を与える動きをしている。英誌『エコノミスト』が、鋭く批判した点であり、これは内政干渉の一種である。影響力のある人物に接近して、中国を褒めさせる。あるいは、中国批判をさせない。最も露骨にそれを行なったのが豪州である。政治資金を提供して、中国側の意向を政治に反映させ問題になっている。豪州が、日本の潜水艦技術を導入しようとしたところ、中国が政治資金をばらまいて、フランスに受注させる工作を行なったとされる。中国は、「内政干渉したことはない」と綺麗事を言っているが事実に反する。「一帯一路」で借金漬けにしたのが「内政干渉」の最たるケースである。

     

    ペンス副大統領発言は、米中関係がもはや「ウイン・ウイン」関係でなくなっていることを確認したものだ。米中冷戦を覚悟したのだ。経済関係もできるだけ疎遠になりたい。その表れが、米中貿易戦争である。米国の狙いは、中国が米国に反発して貿易戦争を激化させることだ。米中が話合いできない状態をつくり出し、中国に進出している外国企業へ米国の高関税回避のため、中国を脱出させる圧力をかける。その意味で、中国が反発することは米国の思う壺なのだ。

     

    戦前、日米が対立して日本が外交的に孤立感を深め開戦にいたった。その状況を振り返るべきである。戦後、日本は開戦を決意するように米国から誘導されていたと繰り言が出た。米国は、1911~12年の「オレンジ作戦」で日米開戦を決意した。その線で、日本包囲網(ABCDライン)をつくり、日本の反発を待っていたのだ。日本は短絡思考でまんまと米国の戦術に乗せられて開戦=敗戦の憂き目にあった。米国に挑戦しそうな国を早めに挑発し自滅させる。実に巧妙な戦術に長けている。これが、海洋国家・米国の基本的な国家戦略であることを記憶すべきだろう。中国は、日本の二の舞になる。

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    中国の企業倫理感は、どうなってしまったのか。孔子の国が、世界中から警戒される国になっている。今度は、EU(欧州連合)の企業が中国のサイバー攻撃で技術窃取されていると訴えている。同じアジアの中国が、欧州でも警戒されている。恥ずかしい限りだ。そこまで背伸びして先進技術を盗み取る。その心根の卑しさに心も凍る思いだ。

     

    『大紀元』(10月9日付)は、「EU、中国サイバー攻撃への対抗策を検討、来年5月までに導入」と題する記事を掲載した。

     

    欧州連合(EU)は、中国からのサイバースパイの脅威に対して、対抗策の準備を進めている。2人の情報筋は米ニュースサイト『ポリティコ』に対して、企業秘密の保護に関するEU指令案に新たな措置を盛り込むと話した。今期の欧州議会が任期満了を迎える来年5月までに完成させるという。

     

    (1)「同紙によると、欧州委員会は104日、EU加盟国の専門家、外交関係者、産業界のロビイストたちと会談した。委員会は、世界四大会計事務所・コンサルタントファームの一角を占めるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)がまとめた調査報告について議論を行った。この調査は、『ヨーロッパの公的機関および民間企業が企業秘密のサイバー盗難に伴うリスクの増加について懸念を抱いている』と指摘した。調査によると、欧州の製造部門のなかで、企業秘密を狙う産業スパイの手法は、サイバー攻撃が94%を占める。また、この調査によれば、サイバースパイによる欧州産業への影響は、600億ユーロ(約8兆円)に及ぶと推計している」

     

    企業秘密を狙う産業スパイの手法は、サイバー攻撃が94%を占める。また、サイバースパイによる欧州産業への影響は、600億ユーロ(約8兆円)に及ぶと推計している。サイバー攻撃で、労せずして知的財産権を窃取する。人間として国家として、最低行為である。倫理感のない国家の犯罪である。

     

    (2)「過去の欧州委員会での報告は、サイバースパイ活動の活発な国として、中国政府を指摘してきた。PwCは、10月下旬をめどにこの調査報告を完了させる。委員会が公表後、その後の行動に移ると述べた。PwCはまた、EUと加盟国が中国と、米中会談のような通商会談を開催するよう提案している。PwCの調査によると、欧州内ではイタリア、フランス、ドイツ、オランダの産業部門で働く人々が、サイバースパイに最も懸念を示している。同社によると、なかでも、ドイツは最もこの影響を受けているという。2015年から2017年まで、17%のドイツ企業がサイバースパイの被害を報告している。PwCは、主要セクター外にある企業にも、サイバー攻撃事案について情報を通知するよう求めた。調査によると、EU全体では60%の企業が同攻撃による危険情報の共有を望んでいるという」

     

    ドイツ企業は、2015年から2017年までに全体の17%が、サイバースパイの被害を受けている。メルケル首相は頻繁に訪中している。この件についてなぜ、沈黙していたのか。習近平氏に談じ込むべき事件である。ドイツは、この中国に対してM&Aで安易な姿勢を取っていた。警戒しなかったことが疑問である。

     

    (3)「欧州最大のビジネスロビーであるビジネス・ヨーロッパは104日の声明で、EUに対して『中国のような敵対的勢力を抑止する戦略』を提示するよう求めた。そのなかで、『外交的な行動や経済的報復が検討に値する』とし、『EUは米国、日本、その他のOECD諸国と協力して、政治的圧力をかけるよう求めることも可能だ』と付け加えた」

     

    中国が、これだけ広範囲にサイバースパイをやってきた以上、日米欧の3極が核となって中国を封じ込めるべきだ。有効な制裁措置とはなにか。米国が高い関税をかけて中国製品を追い払う。こういうトランプ米大統領の怒りも、分るような気持ちもするのだ。


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    米国経済は、現状において死角が見られない。逆に、それが死角であるとも言える。あえて言えば、株価の高騰が続いていることだろう。景気の過熱がもたらす反動を警戒しなければならいが、その時期は2020年以降とも見られる。FRB(米連邦準備制度)の継続した金利引上げが、景気過熱予防に不可欠となっている。

     

    この米国に比べて、中国経済は風前の灯火である。過剰債務の上に、さらなる債務増加でインフラ投資をしなければ保たない状態である。1994年以降の日本経済と同じ状況に追い込まれている。

     

    日本もバブル崩壊後に同じ経験をしている。政府がバブル崩壊という認識を欠いていたからだ。米国は、この絶妙な時期を狙って日米経済調整を持ちかけてきた。この時の米国側が、現在のUSTR代表のライトハイザー氏である。今度は、相手が中国に代っただけである。中国はその認識が欠如して、「強気一点張り」で墓穴を掘っている。

     

    『大紀元』(10月9日付)は、「中国とのビジネスを再考すべきだー米政府経済アドバイザー」と題する記事を掲載した。

     

    (6)「米中貿易戦による緊張が高まる中、米国政府の経済政策アドバイザーは最近、米国企業に対して、共産党政権下の中国でビジネスを展開することに対して、再考を促すメッセージを送った。『私がもし経営者なら、まず中国は避ける。彼らの不正行為はもうむちゃくちゃだ』米政府経済諮問委員会委員長で経済学者のケビン・ハセット氏は106日、米ヤフー・ファイナンスの取材に対してこう述べた。また、ハセット氏は、トランプ政権の対中強硬姿勢は、このルール違反に対する懲罰的措置を意味しているとし、中国が世界経済の一員になりたければ『行動を変えるべきだ』と述べた」

     

    米経済諮問委員会委員長のケビン・ハセット氏は、トランプ氏の側近と言われる。トランプ氏の考え方を最も理解する立場だ。そのハセット氏が、「中国が世界経済の一員になりたければ『行動を変えるべきだ』」と発言している。中国は、この言葉の重みを知るべきだろう。

     

    (7)「米国と中国の貿易戦のなかで、米国は中国共産党政府に対して、自由貿易と公正取引に合致しない政策を取っていると非難している。たとえば、関税、為替操作、強制的技術移転、知的財産窃盗、政府の国有企業に対する補助など。最近、ブルームバーグ・ビジネスウィークは、中国人民解放軍がスパイチップをアマゾンやアップルなど、米国の大手技術系企業に無断挿入していたと報じた。両社は記事内容を否定しているが、ハセット氏はこのニュースに触れ、世界の電子技術企業には深刻な懸念を引き起こしたと述べた」

     

    中国は、関税、為替操作、強制的技術移転、知的財産窃盗、政府の国有企業に対する補助など、WTOの禁じ手をすべて使っていると非難されている。米国からこの点を難詰されると、「中国は社会主義市場経済であり他国と違う」とかわす。弁解にもなっていないが、ともかく、前記の違法を改める気持ちはなさそうだ。

     

    (8)「激化する米中貿易戦の中で、中国進出を計画している米国企業にとって、不確実な要素が明らかに増えている。70年代末以来、米国企業は中国に数千億ドルを投資してきた。トランプ大統領は先週、『この25年間、米国が中国経済を立て直した』と発言。トランプ政権は今、米企業に国内移転するよう促している。大統領は98日、『アップルは米国で工場を建設すれば、価格の上昇を避けることができる』とツイッターで述べた」

     

    中国が、WTO違反を改める積もりがなければ、どうするのかが次の課題である。外国企業は、中国から移転することでWTO原則に従ったビジネスをすることである。これによって、WTO違反の実害を防ごうという狙いである。

     

    (8)「トランプ氏は101日、北米貿易協定(NAFTA)関係記者会見で、米国は世界を支えるサプライチェーンを再建すると述べた。トランプ政権の元戦略アドバイザー、スティーブ・バノン氏は、大統領は最初から対中投資を撤退させ、グローバル・サプライチェーンのリセットを計画していたと分析した。ネットメディアの『リアルクリアポリティクス』は、トランプ政権の北米関係強化政策は、経済成長をアジアから北米にシフトさせるものと指摘した」

     

    トランプ氏は、外国企業に中国から撤退させたい。それによって、現在のグローバル・サプライチェーンをリセットする計画である。その先に、経済成長の軸をアジアから北米へシフトさせる壮大なアイデアを持っているようだ。今回、米・カナダ・メキシコの3ヶ国を結ぶUSMCA(旧NAFTA)に衣替えさせた究極の狙いはここにある。これによって、①中国に進出する米国企業は、スパイ活動のリスクを回避し、②サイバー攻撃と知的財産盗用の対策コスト減らせると判断している。トランプ氏は、企業に対し「中国の害毒」から逃れる手段を提供しようとしている。それが同時に、米国経済を強くする方法と心得ているようだ。

     

     

     

     


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    中国は、米国の決意を甘く見ていないだろうか。11月の米中間選挙で共和党が敗れれば、対中強硬政策を緩和させるという期待を抱いているかもしれない。そのために、選挙干渉をしてでも民主党を勝たせねばならない。このように考えているとしたら、それは期待外れに終わるであろう。与野党を問わず、中国の不公正貿易慣行是正への要求が極めて強い。

     

    欧州も、不公正貿易慣行への危惧の念が高まっている。

     

    ドイツ連銀(中央銀行)のワイトマン総裁は、IMF・世界銀行会合を前にロイターとのインタビューに応じ、「世界の貿易秩序を改革して、知的財産の保護を強化するとともに、補助金による歪みを是正すべきだ」との認識を示した(『ロイター』10月9日付)。

     

    ここでは、国名を上げていないが、中国の不公正貿易慣行の是正がヤリ玉に上がっている。これに反対する論拠は見つからない以上、中国はこれに従わざるを得ない。その場合、中国は素直に応じるだろうか。「中国製造2025」は、先進国の技術窃取を前提に組み立てられたプロジェクトである。こういう裏事情から見れば、まず応じないであろう。あらゆる理屈をつけて時間稼ぎし、その間に技術窃取のスピードを上げるのであろう。

     

    このような見方に立って、米国では長期戦の構えである。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月9日付)は、「米国の対中関税、長期戦へのパラダイムシフト」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「トランプ氏の主張によると、中国は米企業に技術移転を強要し、中国企業が世界に進出するための補助金を出している。関税発動の結果、企業が中国から製品を輸出するコストが高くなれば、外国企業は自社技術を中国国外に持ち出すようになるだろう。トランプ氏の通商チームはこう判断した。これは決して短期的な戦略ではない。米国通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は先月、『パラダイムシフトが起きている』と語った。貿易紛争で強硬路線を取っているライトハイザー氏の立場が強まった」

     

    「パラダイムシフト」とは、従来の考え方の仕組みが、革命的・非連続的に変わることを意味する。米中間の貿易不均衡問題の解決では、中国が対米輸入を増やして貿易黒字を減らす段階を超えて、中国の不公正貿易慣行是正に焦点が移っている。これを、ライトハイザー氏が「パラダイムシフト」と呼んでいる。中国が、これに対応できるか否かが問われている。米ホワイトハウス内は、数年かけても実現させるという基本的立場で統一した。

     

    (2)「現在、米側のチームは以前より団結している。それはライトハイザー氏が目指すような変化を要求していく方針になったからだ。そこには、中国経済における国有企業の役割低減や、米企業が中国で現地企業の過半数株式を保有できるようにすること、米企業に機密情報を明かすよう圧力をかけないことなどが含まれる。だがこの種の変化は、中国にとって最も受け入れがたいものだ。世界貿易機関(WTO)の中国代表である張向晨大使は7月、中国は『社会主義市場経済』であると述べた。そして、『中国が変化し、別の道を歩み始めるとの臆測もあったが、それは全くの希望的観測だった』と」

     

    米国は、次の要求を出している。

       中国経済における国有企業の役割低減。

       米企業が中国で現地企業の過半数株式を保有できるようにする。

       米企業に機密情報を明かすよう圧力をかけないこと。

     

    中国は、7月のWTO会合で次のように答えた。

       中国は「社会主義市場経済」である。

       中国が変化し、別の道を歩み始めるとの臆測もあったが、それは希望的観測である。

     

    中国は、社会主義市場経済だから、他国と異なる道を歩むとしている。もし、WTO原則を受入れる意思がないとすれば、WTOを脱退すべきだ。こういう米国の論理で中国を追い込むのであろう。

     

    11月末、ブエノスアイレスで開かれるG20における米中首脳会談で、この問題が不調に終われば泥沼化する。その際、中国は外国企業の脱出に直面するであろう。

     

    貿易戦争が、長期化の見通しになれば、外国企業は世界的な供給体制を見直す。すでに、その動きが始っている。中国から他国への工場移転である。中国にとっては、外国企業による将来の投資機会を失うので、これが「最も重大な貿易戦争の影響」だと指摘されている。高関税率で対米輸出が減ることよりも、外国企業の撤退が最も痛手である。これこそ米国が狙っている点である。

     

    関税には、一種の慣性(注:一度動き出すと止まらなくなる)がある。すでに、その慣性が始った。中国が「米国の要求には絶対応じない」と声高に言えば言うほど、外国企業は中国からの撤退を始める。こうなると、中国は「蟻地獄」に陥る。米国の本音は、中国にできるだけ長く抵抗して貰いたい。その間に、外国企業が「脱中国」を図ってもぬけの殻になる。中国は、米国の高等戦術にはまり込む危険性が高い。

     

     


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    パキスタンのカーン新政権が、減り続ける外貨準備を補うべく、IMF(国際通貨基金)へ緊急融資を仰ぐことになった。パキスタンのウマル財務相は8日夜に声明を出し、金融支援を要請するため、国際通貨基金(IMF)と協議すると公表した。

     

    カーン政権は8月に発足した。最初の仕事は緊急資金調達であり、すぐにIMFとの話合いに入る予定であった。それを止めたのが中国である。IMFは、融資条件として「一帯一路」計画の棚上げを迫ると見られたからだ。これに伴い、中国の粗雑な融資条件が俎上に挙がるのを避けたかったのであろう。そこで、代替案として浮かび上がったのは、サウジアラビアへの資金調達申入れだが失敗した模様。万策尽きて、IMFにゲタを預けることになった。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月9日付)は、「パキスタン、財政支援要請 IMFと協議へ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「パキスタンのウマル財務相は今週、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を開くインドネシア・バリを訪問する。同地では1214日の日程でIMF年次総会もあり、そこでIMF側に支援を求めるという。8日の声明では支援要請の金額規模については触れていない。ウマル氏は声明文で、国内総生産(GDP)比で6.%の財政赤字や、1兆パキスタンルピー(約9200億円)を超えるエネルギー部門の損失、月20億ドル(約2260億円)の経常収支赤字を『前政権から引き継いだ』と強調。IMFへの支援要請という『今回の決定までの間、友好国と協力してきたし、今後も協力する』と主張した。友好国には中国やサウジアラビアが含まれる」

     

    (2)「中央銀行によると、パキスタンの外貨準備高は928日時点で84850万ドルとなり、約4年ぶりの低水準に減少した。中国主導のインフラ整備に伴う輸入増や、対外債務の償還額の増加が原因で、2年で半分以下に急減した。外貨準備高は少なくとも月間輸入額の3カ月分は必要とされるが、現状は2カ月分を下回る。デフォルトを回避するには、100億ドル前後の積み上げが急務とされる。対外債務は900億ドルを超え、3年で4割増えている」

     

    IMFのパキスタン融資については、これまでいろいろと話題に上がってきた。米国は、パキスタンがIMFへ融資申請すれば、IMF筆頭出資国として条件を付ける。融資した資金を中国への返済に向ければ反対など、報じられてきた。中パ経済回廊は、「一帯一路」の核に当る事業である。それだけに、パキスタンのIMF融資申請がきっかけで棚上げになれば、中国のメンツは丸つぶれになろう。中国は、この事態を回避できないほど、経済的にゆとりを失っていることを窺わせている。

     

    IMF融資が決まれば、米国として中国の「一帯一路」計画の実態把握にまたとない機会が訪れる。中国は、ますます窮地に追い込まれる気配だ。


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