韓国は今、日韓関係修復がいかに重要であるかを肌身で知ったようである。米中対立が激しくなると共に、米国は日本を最重要同盟国として遇せざるを得ない立場だ。それは、日韓関係において、韓国側よりも日本側の意向を重視することである。文政権時代、南北交渉が上手く行かなかった裏に、日本側の協力がなかったという厳然たる事実に直面した。
韓国はこれまで、外交面で日本を軽く扱ってきた。旧慰安婦問題では、米国を通して日本へ圧力を掛ければ解決できると思い込んできた。だが、韓国は解決済みの慰安婦問題を自ら踏みにじり、無効にしてしまい米国から不信を買い立場が逆転している。もはや米国頼みで、日本へ圧力を掛けることが不可能になったのだ。
『韓国経済新聞』(2月11日付)は、「強制徴用賠償、戦犯企業の参加がカギ岸田首相の決断が必要」と題する記事を掲載した。国民大の李元徳(イ・ウォンドク)日本学科教授へのインタビューである。
韓日関係の正常化は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が掲げた主要外交政策の一つだ。特に上半期の訪米を控え、この問題を終えて韓日米の連携をより一層強め、韓日首脳間のシャトル外交を復元するというのが尹大統領の期待だ。5月に広島で開催される主要7カ国(G7)首脳会議にも招待国として出席することが検討されている。しかし現在、強制動員交渉は基金に日本企業が参加するかどうかをめぐり両国間で隔たりがある。
(1)「(質問)尹錫悦政権での対日政策は文在寅(ムン・ジェイン)政権当時とは大きく変わった。尹政権が韓日関係の改善に取り組む理由は。(答え)尹錫悦政権は韓日関係の不必要な悪化によりグローバル外交戦略に支障が生じていると考えているようだ。特に対米外交をより一層活性化するために、日本との関係正常化が必要だと判断したとみられる。韓日関係は単純な2国間関係で見るよりも、韓米関係の中に隠れたヒドゥンコードと見ることができる。韓日関係が悪い時、韓米関係は円滑に進まないからだ。米国も韓日を一つのセットとして見る傾向が強い」
冷静に考えれば、GDP世界3位の日本外交が、GDP世界10位の韓国外交に左右されることはあり得ない。逆はあっても、小が大に影響を与えられるはずがない。それが、国際外交の現実である。韓国もようやく、これに気づいたのであろう。
(2)「(質問)なら、日本を外交的に活用する必要がありそうだが。(答え)実際、日本は韓国にとって大きな外交的資源であり空間だ。うまく活用すれば東京はワシントンに緊密に接近できる通路となり、北京に行く重要な経路となり得る。さらに北との関係でも日本を外交的に活用することができる。また、米国や中国に比べて韓国の外交が動ける空間が相対的に大きい。こうした認識は現政権内にもあると聞いている」
韓国は、隣国・日本を飛び越えて対米・対中の外交を行えないという現実に直面しているのだろう。文政権時代は、全く逆の発想であった。「反日」を叫べば、日本がビクビクするという前提であった。こういう小児的な外交術は、もはや通用しない現実が、韓国外交を襲っているのだ。
(3)「(質問)国内では依然として日本を親日と反日の構図で見る傾向がある。(答え)19世紀のパラダイムだ。例えば、我々が反日に固執しながら戦略的利益を追求できるのなら反日も悪い選択ではないだろう。しかし現実はそうでない」
反日を叫べば、日本との関係悪化はもとより、対米・対中の外交も上手く行かないという現実を指摘している。
(4)「(質問)日本の韓国に対する態度も大きく変わった。日本政府が見る韓国の戦略的価値は。(答え)安倍政権当時に、日本が韓国に対する戦略的比率を大きく低めたのは事実だ。日本は、韓国の過去の政権が強硬態度を見せて協力の空間が狭まったという。そして、米国とは緊密な関係を維持しながら韓国を排除する動きを見せた。米国と日本が主導するインド太平洋戦略の枠組みでみると、韓国の位置づけは非常にあいまいだ」
韓国が、「クアッド」(日米豪印)に参加できないのは、文政権が拒否したことが大きな理由だ。同時に、反日を叫ぶ韓国をクアッドへ入れないという日本の意向も強く働いている。日本は、旭日旗を拒否する韓国軍と合同演習できるはずがないからだ。踏み絵は、韓国が旭日旗を認めるかどうかだろう。