勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    ドイツ企業は、米中貿易戦争が本格化の気配により、中国からの撤退を急いでいる。これまで中国のメリットとされた人件費安の条件が消えたほか、企業内に共産党委員会設置を求められるなど、環境激変が原因である。独中蜜月に陰りが見られる。

     

    『レコードチャイナ』(10月9日付)は、「ドイツ企業が中国から大挙撤退、ロボットは中国人より低コスト」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「仏『RFI 中国語版サイト』(10月7日付)は、『ドイツ企業が中国から大挙撤退している』とする記事を掲載した。ドイツのニュース週刊誌『フォークス』の記事を引用して伝えたもので、大挙撤退の原因の一つにロボット革命によるドイツ企業の『中国崇拝』の減少があるという。記事は『中国は長い間、大規模なコンツェルンにとって理想的な国であり、その巨大な市場と廉価な労働力は特に魅力的だった。だが政治的な束縛や米中貿易戦争が、中国から光を失わせている。中国の民間企業の多額の負債は、中国経済に潜在的なリスクをもたらしている』とした」

     

    この記事では、重要な点を指摘している。構造問題が表面化したことだ。

       巨大市場の魅力低下

       廉価な労働力の魅力低下

       政治的な束縛

       米中貿易戦争

    これらが、中国から光を失わせたという。とりわけ、注目すべきは、①巨大市場の魅力低下である。購買力低下が起こっている証拠である。住宅ローンの激増が個人消費へ食込んでいる。③政治的な束縛は、企業内に共産党委員会を設置させて監視していること。

     

    (2)「その上で『もう一つのトレンドが、人々の考えを改めさせている』とし、『ロボットは中国人より低コストであり、しかもロボットはドイツ国内にとどまることができる。その結果、海外生産にシフトするドイツ企業は明らかに減少し、ますます多くのドイツ企業がアジアや東ヨーロッパから撤退し始めている。その代表例が、玩具・模型メーカーのメルクリンやスポーツ用品メーカーのアディダス、自動車部品・電動工具メーカーのロバート・ボッシュ、通信機器メーカーのGigasetだ』とした。記事は、『ドイツのロボット密度は世界で3番目に高く、労働者1000人に対し31台だ。先進工業国で使用されるロボットの数が増えるほど、工場が海外に移動する機会は少なくなり、生産を本国に戻す可能性が高いことが、経済学者の研究で明らかになっている』とした」

     

    ロボットの活用が、人間の労働力の代替化を促進している。これが、中国へ進出する意味を失わせていると指摘している。その意味でドイツは、ロボットメーカーのクーカ(世界シェア4位)を中国企業へM&Aさせたことは大失敗だ。先見の明を誇るドイツ人の珍しい失策である。中国が、これまで持っていたメリットは消え、新たに政治的なデメリットが増えれば、中国からの企業撤退は加速する。実は、米国が仕掛けた貿易戦争の狙いがここにあるのだ。


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    10月4~6日、北朝鮮を訪問した韓国与党・「共に民主党」の李海チャン(イ・ヘチャン)代表が、平壌(ピョンヤン)で口にした発言が議論を呼んでいる。野党に権力を渡さず、北朝鮮との関係強化に努めるといった主旨の発言をしたからだ。韓国与党は、政権独占の大胆な戦略を立てているようだ。

     

    韓国与党が、長期政権を樹立したいという願望だけならば聞き流す。最近、立て続けに起こっている問題を並べてみると、すべて一本の線上につながっていることに気付く。つまり、北朝鮮との統一とまでは行かないまでも、南北連携強化の動きが始っている解釈可能な問題が多いからだ。

     

    このように判断する理由は、韓国大統領府の秘書官の6割が「86世代」で占められたことだ。86世代とは、1960年代うまれ。80年代に大学生活を送った、学生運動家上がりの集団である。彼らは、「親中朝・反米日」が共通認識だ。文政権になって、慰安婦問題は解決どころか振り出しに戻っている。今回の「旭日旗問題」もこの一環として引き起こされたと見るべきだ。北朝鮮の意向も受けているのでなかろうか。「旭日旗問題」は、単純な問題でなく、南北が日本へ突き付けてきた「闘争の始り」かも知れない。

     

    与党「共に民主党」は、朴槿惠政権を打倒した原動力である、「ローソク・デモ」主催の労組と民主団体の意向を最大限受入れる姿勢を見せている。その例の一つが、「最低賃金大幅引き上げ」である。経済的破綻は不可避だが、見直しの動きを全く見せずにいる。見直しが、労組への裏切りになるからだ。「教科書書換え」も南北連携への準備である。韓国の国是と言うべき「自由と民主主義」から「自由」を削除した。「民主主義」だけなら、北も「人民民主主義」である。これならば、南北連携の壁がなくなる。

     

    『中央日報』(10月8日付)は、「北朝鮮で行った韓国与党代表の不適切な発言」とだいする社説を掲載した。

     

    (1)「10・4南北共同宣言11周年を記念して4~6日、北朝鮮を訪問した与党・共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表が平壌(ピョンヤン)で口にした発言が論議をかもしている。李代表は5日、安東春(アン・ドンチュン)最高人民会議副議長と会った席で『われわれが政権を奪われれば(交流を)できなくなるため、私が生きている限り絶対に奪われないように固く決心している』と述べた。引き続き、記者に『平和体制になるためには国家保安法などをどのようにするかを協議しなければならない』と話した」

     

    韓国与党代表は、次のような問題発言をした。

        「われわれが政権を奪われれば(交流を)できなくなるため、私が生きている限り絶対に奪われないように固く決心している」

     

    与党「共に民主党」が、政権を維持し続けるには、「積弊一掃」で歴代保守党大統領を獄窓に送る。その政策執行者も追放する。そのためには司法を徹底的に利用する。すでにこの戦術を実行している。同時に、支持団体の利益を擁護して支持をつなぎ止める。最賃大幅引上げと原発廃止政策がそれだ。その結果、韓国経済が混乱してもやむを得ない。

     

        「平和体制になるためには国家保安法などをどのようにするかを協議しなければならない」

     

    国家保安法は、反国家活動を規制するもの。国家の安全と国民の生存・自由を確保することを目的としている。1948年に李承晩政権によって制定されてから、反共イデオロギーを実現するための装置として、長年韓国における治安立法の中核をなしてきた。具体的には国内で北朝鮮・共産主義を賛美する行為及びその兆候(軍政当時は南北統一の主張まで)が取締の対象となる。日本の治安維持法をモデルにしたともいわれる。

     

    このように問題のある法律だが、この扱いを北朝鮮で発言すべきではない。北朝鮮こそ、国家保安法の対象であるからだ。韓国与党は、すっかり精神的に南北協調ムードに入っていることに注目すべきである。

     

    (2)「また、『生きている限り、政権を守る』という発言も同じだ。民主党は「政党人が政権の再創出への意志を明らかにしたもの」と主張する。だが、北朝鮮首脳部〔金永南(キム・ヨンナム)氏〕が李代表に、『韓国側の同胞が保守打破の運動に…(出なければならない)』のような内政干渉の発言をしたというが、李代表がそのようなことを口にしたのは、『北朝鮮労働党と手を握って野党を壊滅させ、長期執権するということか』という誤解を招くのではないか懸念される」

     

    韓国与党は、「北朝鮮労働党と手を握って野党を壊滅させ、長期執権するということか」と疑われているが、これこそズバリ核心を突いている。すでに革新政権を10~20年継続させるマル秘戦術が取り沙汰されている。この戦術を実現する上で、司法機関(検察と裁判所)を抱き込む動きを見せている。韓国司法機関は、実質的に政治権力に弱く、言いなりになる。あるいは、自ら立身栄達のために権力へすり寄る人物が現れている。ここが、朝鮮民族の悲しいまでの性である。強いと見える側にすり寄るからだ。


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    10月1日からの国慶節連休が開け、8日の株価と人民元相場は大きく売り込まれた。連休中、米国ペンス副大統領の中国向け過激演説もあって、市場参加者は萎縮ムードになった。現状の米中経済を比較すれば、米国が圧倒的に有利な位置にある。人民元と上海株式が売られても不思議はない環境だ。

     

    『ブルームバーグ』(10月8日付)は、「中国本土株を外国人が大量売却-休場明けの8日、約1600億円の売り」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国本土株式市場が1週間の休場から明けた8日、外国人投資家は香港との株式相互接続を通して中国A株を97億元(約1600億円)売却した。この売却額は8カ月前に付けた過去最高をわずかに下回る水準。外国人投資家が好む大型株などで構成するFTSE中国A50指数は5%近く下落し、2016年1月以来の大幅安。一部のトレーダーは、国が後ろ盾となっているファンドなど『ナショナルチーム』の明確な買い支えがなかったことで、午後に下げが加速したと指摘した。低調な製造業購買担当者指数(PMI)や米選挙への介入を試みているとの非難など悪材料が最近相次ぎ、中国人民銀行(中央銀行)の支援策も売りを軽減することはなかった」

     

    中国経済に明るい材料は一つもない。唯一の手がかりはPERが10倍程度と低いだけ。PERが低いのは、低い理由があるわけで、相場観だけで買ってきた金融大手も総退却だ。素人の私さえ首をひねっていたほど。日々のニュースを丹念に読み込めば、こういう結果にはならなかったであろう。

     

    (2)「金融大手も中国株に対する強気の見方を断念しつつある。モルガン・スタンレー、野村ホールディングス、ジェフリーズ・グループに続き、JPモルガン・チェースも先週、慎重な見方に転じた。HSBCホールディングスのストラテジストは今年末まで中国を『オーバーウエート』とする投資判断を維持するとしているが、8日のリポートでこの判断は『痛みを伴っている』と認めた」

     

    時折、「中国株は買いだ」という金融大手の記事が登場していた。そのたびに、驚かされたが、日本のバブル崩壊後の株価を見てきた私には、こういう中国株強気論に拒否感が強かった。中国の株価動向を知る手がかりは、バブル崩壊後の日本株にヒントがあるはず。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月8日付)は、「人民元、17カ月ぶり安値、上海株も3.7%下落 」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国で国慶節(建国記念日)の休暇明けとなった8日、人民元はドルに対し大幅に下落した。午後430分(日本時間午後530分)時点は1ドル=6.9135元と20173月以来、17カ月ぶりの安値をつけた。7日に中国人民銀行(中央銀行)が金融緩和に動いたことを受け、当局が元安を容認しているとの見方が強まりつつある。米国との貿易戦争が長期化するなか、市場では「景気下支えのため1ドル=7元の大台を中国当局が許容するかが焦点」(大手銀行)との声が出始めている」

     

    10月8日午後4時半、1ドル=6.9135元と20173月以来、17カ月ぶりの安値をつけた。人民銀行が預金準備率を1%ポイント引き下げたことで、人民元安予想の声が強まっている。景気下支えのため1ドル=7元の大台を認めるのでないか、という声もあるという。この場合、人民元は一挙に売り込まれる危険が高まる。それを、覚悟するかは政治的な判断であろう。それほど、1ドル=7元はマジノ線の意味を持つはずだ。

     

    (4)「人民銀は7日、2018年に入り3度目となる預金準備率の引き下げを発表。景気重視の姿勢を鮮明にしており、金融緩和に伴い進行しやすくなる元安を放置するのではないかとの見方につながっている。人民銀は8月の元の下落局面では元安進行を緩和しようと相次ぎ手を打ってきた。ただ米国との貿易交渉に目立った進展が見られず、一段の元安容認を模索し始めた可能性がある。『現時点では資本流出は抑制できている』(投資銀行)との判断もある」

     

    9月の外貨準備高は、前月末より226億ドル少ない3870億ドル(約350兆円)だった。2カ月連続の減少で、177月末以来12カ月ぶりの低水準。人民元の対ドルでの急落を防ぐため、中国通貨当局が外貨準備を取り崩して元買い・ドル売りの為替介入を実施した可能性があると指摘されている。この状態で3兆ドル台を割ったら、世界の投機筋が殺到するだろう。人民元を取り巻く環境は最悪である。予断を許さないと見る。

     


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    中国の自動車市場は縮小しているが、トヨタ車の販売は好調そのもの。ハイブリッド(HV)技術を中国で公開するなど、イメージ戦略も奏功しているのだろう。このHV技術は、初期のもので、トヨタは公開しても技術的脅威にならいと説明している。

     

    『日本経済新聞』(10月8日付)は、「トヨタ、9月の中国新車販売18%増、レクサス好調続く」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「9月の新車販売台数(小売台数)が前年同月比18%増の14万台だったと発表した。単月の販売台数として3カ月連続で過去最高を更新し、前年実績も7カ月連続で上回った。中国が7月に輸入車への関税を引き下げたことで、日本から輸入販売する高級車「レクサス」の販売好調が続いた。『カローラ』など主力車の売れ行きも良かった。レクサスブランド全体の9月の販売は約16千台で前年同月比36%伸びた」

     

    (2)「トヨタは現在、中国で販売する「LS」などのレクサスブランド車すべてを日本から輸入している。中国が7月に輸入車に対する関税を25%から15%に引き下げたことを受け、広東省広州市のあるレクサス販売店は「8月から1台当たり1万~2万元(約165千~33万円)値下げした」(販売担当者)。レクサスブランド車の中心価格は30万~40万元のため5%前後の値下げとなる」

     

    中国市場全体が落込んでいる中で、7~9月が連続で過去最高を更新するという絶好調である。PHV(プラグインハイブリッド車)の評価が、全車種を押上げている面もあろう。中国市場の好調から、トヨタは全世界の販売台数を上方修正した。

     

    (3)「今年のグループ世界生産台数計画を1059万4000台に引き上げることを明らかにした。昨年12月に公表した従来計画から約20万台増えることになる。中国での販売拡大と小型SUV「C-HR」の好調などが理由としている」(『ブルームバーグ』9月13日)。

     

    上記の『ブルームバーグ』は、トヨタのHV戦略について、次のように報じた。

     

    (4)「トヨタが中国の吉利汽車に対し、ハイブリッド車(HV)の基幹ユニットを販売する方向で検討していることがわかった。現地では燃費規制の達成に頭を悩ませる自動車メーカーが多く、中国事業強化を目指すトヨタは得意のHV技術での貢献を通じて販売拡大を図る。複数の事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、トヨタは吉利に対してHVシステムのユニット販売や技術サポートなどを行う方向で検討している」

     

    (5)「トヨタと吉利は電動化技術の提供などをめぐって協議していた。2人の関係者によると、現地メーカーは燃費規制を懸念しており、そのためにトヨタのHV技術が求められているという。トヨタ幹部は吉利以外にもHV技術を持たない複数の現地メーカーから要請がきており、年内には現地での事業拡大についての計画の詳細を明らかにする予定だと話した」


     

    トヨタは、中国でも「仲間づくり」を始めている。吉利以外にもHV技術を持たない複数の現地メーカーから要請がきており、年内には現地での事業拡大について話合うという。「世界のトヨタ」として、世界一を不動のものにできるだろうか。


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    朴槿惠前大統領が、100万市民の「ローソク・デモ」によって退陣しなければ、文政権は誕生しなかったであろう。朴氏の後継者として、当時の国連事務総長の呼び声が高かったからだ。朴スキャンダルは、文氏と「共に民主党」に僥倖であった。こうして、文政権はローソク・デモを組織した労組と市民団体の意向を100%受入れなければならなくなっている。

     

    これが、韓国経済にとって「不幸」の始りである。現実感覚の少ない、労組や市民団体の要求する経済政策が、韓国経済全体から見て整合性のとれる可能性は低い。彼らは、自らの利益達成が最大目的である。政府の役割は、利害関係の総合調整にある。だが、最初からそれを放棄して、労組や市民団体の要求に全て応じる信じがたい政策を選択している。これでは、韓国経済が回復軌道に乗れるはずがない。予想通りの結末に向かっている。高い失業率と設備投資の落ち込みで、間もなく「不況宣言」が発せられる所まで追い込まれてきた。それでも、路線変更はなさそうだ。支持基盤の了解が得られないからだ。

     

    この支持基盤は、徹底的な「反企業主義」にこだわっている。韓国経済全体に良いことでも、大企業の利益になるようなことは一切、認めないという「原理主義集団」である。

     

    『朝鮮日報』(10月8日付)は、「銀産分離、なぜ韓国の進歩陣営は一文字も修正させないのか」と題する社説を掲載した。

     

    (4)「韓国公正取引委員会の金尚祚(キム・サンジョ)委員長はメディアの取材に対し『進歩(リベラル)陣営は2002年に制定された今の銀行法が定める銀産分離について、これをなぜ一文字も修正できない金科玉条のように考えるのか理解できない』と発言した。金委員長はさらに『最近はネットバンクをめぐる議論が活発化しているが、これに関してはサムスングループだけの規制を求める声も上がっている』とした上で、『サムスンは220兆ウォン(約22兆円)規模のサムスン生命を保有しているため、10兆ウォン(約1兆円)規模のネットバンクを持つべき理由などない』とも指摘した。金委員長は『かつて資本が足りなかった時代、財閥は銀行を保有しこれを私的な金庫としたい誘惑もあったが、通貨危機やクレジットカード問題、リーマンショックなどを経て(財閥にとっては)金融機関を持つリスクが逆に高まっている』との見方も示した。金委員長によると、韓国の金融機関は規制にがんじがらめとなっているため、アフリカの一部の国よりも競争力が低いという」

     

    「銀産分離」とは、厳密に言えば金融が産業(事業)を支配しないという独禁法上の大原則である。韓国では、これが完全分離していない点で問題になってきた。サムスングループは、グループ内に製造業と金融証券業を抱えており、本来ならば違法である。製造業と金融(保険業)・証券業が同一企業グループに所属すれば、韓国経済への支配権が強まる懸念が持たれるからだ。こういう現実は、早急に改革すべきである。それを理由に、ネットバンクを規制しているのも理屈に合わない話である。江戸の仇を長崎で討つようなことだ。

     

    (5)「左派陣営の『本能的』とも言える反資本主義感情の影響を受け、今なお一歩も進めることができない新産業分野はいくつもある。人工知能(AI)、ドローン、ビッグデータ、フィンテックなどの第4次産業分野はもちろん、韓国で最も多くの人材が集まる医療分野でさえ勢力争いや下方平準化の壁にぶち当たり、数十年にわたり規制緩和が実現しない。これに対してシンガポールや米国などでは医療やヘルスケア産業が発達し、欧州や中東、ロシアなど世界各国から患者が集まり今や経済の成長エンジンとしても機能している」

     

    政治的左派が、資本主義経済=市場機構を受入れないのは過去のこと。反資本主義経済とは本来、市場機構軽視して直接統制経済を志向するものだ。それを、現代に復活させることは不可能である。中国経済の混乱が、それを見事に証明している。韓国左派が、学生時代に学んだ理論を検証もしないで実行して失敗しつつある。現在の「最賃大幅引上げ」だ。この失敗に懲りずに、新たな案を阻止しようとしている。労組と市民団体の支持を失うのが怖いのだ。

     

    (7)「1980年代に広まった運動圏(左翼系学生運動)の思考方式に今なお縛られた与党や過激な貴族労組など既得権を持つ勢力が変わらない限り、第4次産業はもちろん今何とか持ちこたえている半導体や自動車など、従来型の主力産業もこのまま衰退していくのは目に見えている」

     

    1980年代に広まった運動圏(左翼系学生運動)の思考方式は、まさに「86世代」のそれである。韓国経済は、反市場経済システムを信奉する彼らが率いている。上手く機能するとは思えないのだ。彼らの夢は、北朝鮮と連携すること。それには、労組と市民団体の意向を最大限受入れるだろう。かくて、韓国経済は破綻に向かう。

     


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