ロシアと中国の両首脳が、思わせぶりなオンライン会談を行なった。ロシア国営メディアによると、プーチン氏は「ロシアと中国の軍隊の交流強化を目指す」と話し、軍事協力の強化を示唆したのだ。習氏が、今春のモスクワへの公式訪問することになった。
こうした動きに、米国は神経を払っている。米国務省の報道官は12月30日、米国はロシアと中国の連携を懸念していると述べた。「中国政府は中立性を主張しているが、その行動からロシアとの緊密な関係になお投資していることは明らかだ」と指摘。米政府は「中国政府の活動を注意深く監視している」としたのである。『ロイター』(12月30日付)が報じた。
中国は2013年にウクライナと友好協力条約を結んでいる。これによると、ウクライナが核によって脅かされれば、中国が支援する取り決めである。中国が現在、行なっているロシアとの親密化は、この友好協力条約に反するもの。中国・ウクライナの友好条約が、今回のウクライナ侵攻でどのような役割を果たすのか、議論されるべきであろう。
『大紀元』(12月27日付)は、「中国、『友好』に限界があることをまたもや証明」と題する記事を掲載した。
中国はかつて、ウクライナと国際連合に対し、ウクライナに対して核兵器を使用したり、使用する恐れがある国に対して行動を取ることを約束した。
しかし、中国とロシアの協力はその約束に反しており、中国共産党が行った他の国際公約にも疑問を投げかけるものである。
(1)「ウクライナは旧ソ連邦の共和国で、1991年のソ連邦崩壊後の1994年に核兵器をロシアに譲渡することに同意し、核兵器を保有していない。ウクライナの核軍縮の直後、中国は国連総会での声明でウクライナの安全を保障した。その中で、「紛争や相違は対等な立場で協議して平和的に解決されるべきである」と明記し、ウクライナの主権、独立、領土の保全を認め、2001年と2013年にその約束を改めて確認している」
ウクライナは、ロシアへ核兵器を譲渡する際に、中国は国連でウクライナの安全を保障した。これは、中国がウクライナへ経済的権益を確保したいという目的もある。現に、中国企業がウクライナで広大な農地の耕作権を獲得している。
(2)「2022年2月にロシアの無謀な侵攻に端を発したウクライナ戦争は「人類に警鐘を鳴らした」と、中国共産党総書記の習近平は2022年6月に述べている。 中国の王毅外相は2022年11月中旬、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談し、核兵器を使用しないというロシア政府の誓約を支持した。しかし、ロシアは戦争で核兵器を使うという脅迫を繰り返しているにもかかわらず、中国はウクライナに寄り添うという誓いを破り、あらゆるレベルでロシアとの関係を強化してきた」
中国は、ウクライナからスクラップ名義で空母を購入している。こういう浅からぬ縁から言えば、今回のロシアによるウクライナ侵攻では、友好条約の手前から仲裁に立つべき道義的な義務があろう。それにも関わらず、ロシア側へ傾斜しているのだ。
(3)「条約の翻訳は様々だ。『ザ・ディプロマット誌』によると、「中国は、核のないウクライナに対して核兵器を使用しない、または使用すると脅さないことを無条件に誓約し、さらに中国は、ウクライナが核兵器を含む侵略に遭遇した場合、またはウクライナが核侵略の脅威にさらされた場合、ウクライナに核安全保障を提供することを誓約する」と記されているという。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2022年10月初旬を含め、侵攻以来、複数回、核兵器使用の可能性を提起したと、戦略国際問題研究所は報告している」
プーチン氏が、ウクライナへ核投下を臭わす発言をした際に、中国はウクライナとの友好条約の立場から、これを止める義務があるだろう。
(4)「中国とロシアは、正式な軍事同盟を結んでいないにもかかわらず、侵攻以来、軍事的な協力関係を強めている。 両国が行ってきた合同訓練は、西側諸国との緊張関係に直面する中で、協力関係を示そうとするものだ。9月、中国政府はロシアで1週間にわたって行われた「ボストーク2022」演習に2000人以上の要員、300台の車両、21機の戦闘機、3隻の軍艦を派遣したと米国海軍研究所は報告している。2022年11月下旬には、核搭載可能なロシアのTu-95爆撃機と中国のH-6K爆撃機の4機体制で、日本海と東シナ海を8時間かけて飛行したとAP通信は報じている。 長距離戦略爆撃機は、両国の空軍基地に立ち寄った」
中国は、台湾侵攻に向けた準備に余念がない。ロシアからウクライナ侵攻の軍事情報を得たいという思惑からか、ウクライナ友好条約を忘れたような振る舞いをしている。中国はウクライナ侵攻から多くの教訓が得るべきだ。ロシアが経済制裁を受けていることと、ウクライナが西側諸国から軍事支援を受けていることだ。
(5)「米インド太平洋軍によると、中国はウクライナに対して法的義務を負っているにもかかわらず、国連の対応を妨害し、合同軍事訓練に加えてロシアとの経済関係を進展させてきたという。
こうした行動や不作為は、ウクライナや国連に対する中国の法的約束に違反し、国際法を無視し、国連の権威を弱め、国際ルールに基づく秩序を侵し、ロシアのさらなる侵略を助長するものだ」
このパラグラフの指摘は正しい。中国が、真に西側諸国から信頼される国となるには、法的な義務を果たすことだ。これに、尽きるであろう。