勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。


    このところ、韓国にやられっぱなしの日本が、ミカン特許侵害で韓国済州島でのミカン出荷を中止させた。韓国と言えば、九州で開発したイチゴの苗を無断で持出し、しかも、別の日本産イチゴと掛け合わせて、「韓国産イチゴ」として売り出す厚かましさだ。日本が抗議したがのれんに腕押しで、さじを投げてしまった。これに懲りた日本が、ミカンは特許でガードして「権利」を守った形だ。

     

    『レコードチャイナ』(12月26日付)は、「済州島のみかん、日本が特許問題提起で大量廃棄の危機」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「朝鮮日報』(12月22日付)などによると、日本産のカンキツ新品種「みはや」と「あすみ」を栽培している済州島の農家らが、収穫目前のみかん920トンを出荷できない状況に直面している。その理由は、韓国農協らがこのほど、同2品種に対する日本からのロイヤルティー支払い要求を受け、出荷の全面禁止を決定したためだという。済州島農業技術院などによると、日本の国立研究開発法人は1月、晩柑類の「みはや」と「あすみ」の品種登録を出願した。また、2039年まで同2品種を保護品種に登録し、ロイヤルティーを農協中央会などに要求した」

     

    ロイヤルティーはどのくらいの金額なのか。廃棄するのは、過去の労働力を考えればもったいない話だ。何か、良い方法はないのか。日本が買い取って缶詰にするとか、方法はあると思うが。

     

    (2)「済州島の農家らは、2014年に発売された同2品種の苗木を日本現地の農家から購入し、技術移転や分譲について正式に契約を締結せずに普及させた。現在は208の農家が920トンを栽培している。金額にすると50億ウォン(約5億円)に上るという。韓国農協は「今後、国際紛争や訴訟問題になる懸念がある」との理由で、同2品種について韓国内のスーパーや市場での販売を禁止した」

     

    違法栽培とはいえ、5億円ものミカンを廃棄するならば、ロイヤリティーを払って、今後も栽培を継続するという知恵も出ないのか。最賃で大幅引上げをやるくらいなら、政府が一時立て替えて、栽培を継続するほうが農家も助かるはずだが。

     

    (3)「済州島農業技術院の関係者は、『1970年代には在日韓国人が日本産みかんの苗木を韓国に持ち込むと称賛を受けた。しかし2012年に植物新品種保護国際同盟に加入し、外国で登録された新品種に対しロイヤルティーを払うことになったため、新品種の導入には注意が必要だ』と説明したという」

    日本のイチゴの新品種が、盗まれたままに終わったのは、韓国が植物新品種保護国際同盟に加入していなかった結果である。ところが、2012年に韓国も加入したので、ミカンは救われた。韓国のイチゴは、日本産よりも「旨い」などと宣伝したので、日本のイチゴ農家を悔しがらせたものだ。

     

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    中国は、韓国と並んで「出生率最低国」へ落込んでいる。中国政府は、余りの出生率低下に驚き、「合計特殊出生率」の関連データを発表しないという危機感に襲われている。

     

    中国も高学歴が進んでいるので、子どもを生みたがらない女性が増えている。合計特殊出生率の低下は、データが発表さてないので推測の域を出ないが、2015年は確実に1.05であった。多分、現在は1を割り込んでいるはずだ。韓国は、今年7~9月で0.95と絶望的なレベルに落込んでいる。中国もこの前後であろう。日本は、1.40台である。

     

    『レコードチャイナ』(12月26日付)は、「出生数の減少が止まらぬ中国、産児制限の緩和3年目の今年も前年比100万人以上減少の見通」と題する記事を掲載した。

     

    (1)『華夏時報網』(12月25日付)によると、15年に産児制限の大幅緩和が定められた時には、専門家は「ベビーブーム到来」を予測した。しかし、制限緩和の都市の16年には新生児が前年比79%の1786万人に達したものの、17年には前年よりも約60万人少ない1723万人だった。当局は2023万人前後と予想していただけに、意外な結果と多くの人が驚いた」

     

    1夫婦が2人までの子どもを持てるようになったが、出生率は減っている。これは、背後に経済問題が影響を与えている。住宅高騰が、住宅ローンを増やして家計を圧迫しているからだ。16年は出生率が増えたあと、17年、18年が減少している。住宅バブルを放置した習近平氏の政策的失敗が原因である。

    (2)「北京市に本拠を置くシンクタンクの全球化智庫(グローバル化シンクタンク)の特約高等研究員である黄文政(ホアン・ウェンジョン)氏は、今年の出生数について『現在のデータを見る限り、われわれは数カ月前と比べて悲観的にならざるをえない』と述べた。18年の出生人口は1500万人を割り込んで1400万人前後の水準におちこむと考えられるという。前年比で100万~200万人の減少だ」

    今年の出生数は、1400万人前後という。16年の1786万人の出生から見れば、大変な落込みである。前年比で100万~200万人の減少という。

     

    (3)「17年に全国で最も出生数が多かった山東省でも、18年には出生数の低下が著しいと指摘。各地当局発表によれば、同省の代表的都市である煙台市では18年1~6月の出生児は前年同期比約16%減の2万6902人、同じく代表的都市の青島市では1~11月の出生時が前年同期比21.1%減の8万1112人だったという。さらに、他の地域を含めて全国で発表された数字を見れば、出生数の『ジェットコースター式下落』は避けがたいと指摘。前出の黄氏は、少子化に伴う高齢化の経済に対する影響は限定的だが、人口規模そのものが減退する影響は極めて大きく、逆転させるのも困難と説明した」

     

    17年に全国で最も出生数が多かった山東省でも異変が起っている。煙台市では18年1~6月の出生児は前年同期比約16%減。青島市では1~11月の出生時が前年同期比21.1%減である。これは、家計が住宅ローン負担で圧迫されている動かせぬ証拠だ。

     

    中国は、不動産バブルでGDPを押上げたが、将来の人口減の出生率低下を招いている。典型的な経済政策失敗による人口政策の破綻である。蛸が自分の足を食っているような愚策なのだ。バブル経済で、良いことは一つもないという教訓がここにある。私が、長年言い続けてきたことはここに現れている。複雑な気持ちだ。

     

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    当たり前と言えばごく当たり前の結論が、中国の最高権威とされる中国社会科学院から「経済青書」として発表された。この「経済青書」は、日本で言えば政府の「経済財政白書」に相当するもの。この中で、米中貿易戦争は双方に被害を与えるが、より影響の大きいのは中国であるとしている。

     

    この「経済青書」によって、米中貿易戦争の帰趨は決まったも同然であろう。合意の成立する可能性がさらに一歩、高まったと言える。中国社会科学院の存在の大きさを考えれば、中国政府の意向を表わしていると見られる。

     

    『レコードチャイナ』(12月26日付)は、「米中貿易戦争による経済への影響は米国よりも中国のほうが大きい、中国シンクタンクが予測」と題する記事を掲載した。

     

    米国際放送局『VOA』の中国語版サイト(12月24日付)は、中国社会科学院が『経済青書』の中で、米中貿易戦争による中国への悪影響が、より大きくなっているとの見解を示したと報じた。

     

    (1)「記事は、『中国最高の学術研究機関と呼ばれる中国社会科学院が24日に2019年の『経済青書』を発表した。その中で、来年の中国の経済状況についてやや悲観的な見方をしており、GDP成長率を前年より0.2ポイント低い6.4%前後と予測した。また、来年中国経済に影響を与える最大の外的要因は米中貿易摩擦だと指摘している」と伝えた。

    来年のGDP成長率が6.4%予測になっている点がミソである。中国が、米国の要求をすべて受入れるという前提である。これまでは、6.0~6.5%を政府に示していた。これから見ると、「底上げ」されている。


    (2)「中国社会科学院数量経済・技術経済研究所経済模型室の娄峰(ロウ・フォン)主任は、「シミュレーション分析の結果、中国と米国いずれのGDP成長率も低下するものの、貿易摩擦の激化による悪影響は米国経済よりも中国経済の方が大きく、貿易摩擦は中国の経済発展にとって不利であることが明らかになった」とコメントしているという」

    中国は、ここで米国と本格的な争いになれば、不利であると指摘している。習氏の「徹底抗戦論」が否定されている。経済改革派に勇気を与える分析であろう。


    (3)「同青書が、『協議と交渉を強化し、貿易戦争のエスカレートを極力避けるべきだ』という政策的な提言を打ち出したと紹介。『近頃、中国は米国からの大豆輸入再開や米国からの輸入車の関税引き下げといった譲歩に出ている。また、重要な技術移転についても全国人民代表大会(全人代)で23日、行政手段を用いて外資に技術移転を強制することを禁止する法案のドラフトが出された』とし、貿易戦争を食い止める方向へとシフトする動きが中国国内で見られると伝えた」。

     

    中国が、米中協議受入れへ大きく舵を切っていることを窺わせている。この問題については、あす発行(有料)の「メルマガ17号」で詳細に取り上げる。

     

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    文政権の大統領府は、徹底的な日本排除を行なっている。口には出さないが、外務省の人事がそれを証明している。朴槿惠政権時に日韓外交に携わったスタッフは、全員が「戦犯扱い」にされ閑職へ飛ばされている。こうして、在日本大使館に勤務希望する外務省職員は、第一次募集ではゼロ。ようやく、第二次募集で定員を埋めたという。日韓外交の経験者がいない韓国外務省は、全員が素人外交になる。

     

    これまでは、在米国大使館と並んで在日本大使館勤務が花形だった。今では、それも昔のこと。日韓の間には、冷たい風が吹いている。文大統領の頭には、「日本」が消えたようだ。

     

    『朝鮮日報』(12月24日付)は、「完全に干された韓国の『ジャパンスクール』、対日調整はますます困難に」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国政府が最近、在日韓国大使館に勤務する幹部職員に対し、朴槿恵政権下での韓日『慰安婦合意』に関与したことを理由に人事異動を実施したことが分かった。韓日関係が悪化の一路をたどっているにもかかわらず、外交の現場で対日外交を担当する職員を前政権当時の業務を理由に韓国に呼び戻した格好だ。大使館によれば、国家情報院から派遣された政務第2公使のA氏は、問責の性格を帯びた人事異動で帰国したことが22日までに分かった。A公使は朴槿恵政権が韓日慰安婦合意を結んだ際、国家情報院で日本担当だった」

     

    朝鮮李朝の宮廷ドラマを見ているような人事である。この宮廷ドラマでは、政権が変るとこれまでライバルの下で働いていた役人は理由もなく左遷される。まさに、これと同じシーンが現在、見られるから驚くのだ。官僚は、時の政権の命令で働くもの。それが、文政権になった途端に首を切られる。不合理この上ない話だ。

     

    この前例に従えば、次期大統領選で保守派が政権に復帰すれば、文政権の下で働いた官僚は全員、更迭の憂き目に遭う。特に、最低賃金の大幅引き上げ政策にタッチした官僚は「反逆罪」に該当することになろう。何と、虚しい報復人事をやっているのだろうか。韓国政治は、全く進歩していないのだ。

     

    (2)「文在寅政権に入り、対日外交担当者は受難続きだ。前政権で対日外交を担当してきた関係者が韓日慰安婦合意の後遺症で一人また一人と現場を追われている。一時は「ワシントンスクール」と並ぶ派閥とされた「ジャパンスクール」は完全に干されたとまで言われている。韓国の状況に詳しい日本の外交筋は『日韓関係のために懸命に働いたという理由で積弊扱いされ左遷されるだけでなく、捜査対象になるとすれば、懸命に務める人などいない。両国間で懸案の調整を行うルートが消滅しかねない』と懸念した」

     

    韓国の「進歩派」は、やたらに道徳という言葉を好んで使っている。「われわれは、高い道徳を備えているから、保守派を追放して粛清する必要がある。これによって、進歩派政権を末永く継続せしめることが韓国のためになる」という独善ぶりである。この考え方は、北朝鮮の金日成による「チュチェ思想」に沿ったものだ。次期大統領選で保守派が勝利を収めれば、再び「進歩派」追放になるのだろうか。無益な韓国政治である。韓国経済に残された時間はない。文政権が存続中に「沈没」不可避のシグナルが出るはずだ。私は、そのような見立てである。

     

    (3)「対日外交担当者の不可解な人事異動は年初から続いた。韓日慰安婦合意の実務交渉を担当していた李相徳(イ・サンドク)元外交部北東アジア局長は、前政権で駐シンガポール大使に任命されたが、今年1月に帰任した。外交部は『個人的理由』としているが、外交関係者の間では『慰安婦合意に対する事実上の問責異動だ』と言われている。李丙琪(イ・ビョンギ)元大統領府(青瓦台)秘書室長と日本の谷内正太郎国家安全保障局長との協議を実務レベルで支援していた金玉彩(キム・オクチェ)駐日公使も駐福岡総領事に異動後、今年交代した。約4年間にわたり駐日政務公使を務め、韓日慰安婦合意などの実務を統括し、今年10月に帰国した外交官L氏はその後の発令をまだ受けておらず、このまま越年するとみられている」

     

    朴大統領の下で、日韓慰安婦交渉にあたった外交官は全員が左遷である。「憎い朴槿惠政権に仕えた幕閣は許さない」という心情なのだろう。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という、まさに極端な仇討ち精神である。こんな国が発展するはずがない。合理的な判断ができず、感情論に生きている政権は、国運を誤らせるに違いない。

     

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    中国は、ハイテク技術の窃取に全力を挙げている。基礎技術のない中国が、「中国製造2025」プロジェクトを立ち上げているが、米国を中心とした先進国技術の「泥棒」で達成しようというとんでもない計画である。この計画実現には、米国へ留学生で潜り込むか、研究者となって米企業へ就職するかである。米国政府は、この抜け穴を塞ぐべく中国人へのビザ発給を厳しくしている。

     

    『大紀元』(12月25日付)は、「米国大使館、中国人の入国ビザ拒否が増加、10年ビザの却下も」と題する記事を掲載した。

     

    在中国米大使館では、米入国ビザ申請の却下件数が増えている。製造大国への政策である「中国製造2025」に対して警戒を強めている結果だ。特に、技術系技能取得のための留学生および研究者のビザ審査を厳格化している。6月11日から執行されている。

     

    (1)「ある中国人の知識人は8月、英文『サウスチャイナ・モーニン・グポスト』(SCMP)の取材に応じて、米大使館は10年間の複数回入国ビザ申請を拒否したと述べた。却下理由は説明されていないという。北カリフォルニア拠点の万通中国コンサルティング・ネットワークによると、最近、旅行ビザを含め中国人に対するアメリカ入国ビザの拒否率が急上昇している。また、米国税関も中国人の審査を強化しているという。仏『ラジオ・フランス・アンテナショナル』によると、一人の中国人の米中関係研究者は、米国領事館では面接があり、さらに長い審査過程が設けれ、複数の情報を提供する必要があるという。また、数人の研究者も米国渡航ビザが下りなかったと述べた」

     

    中国人は、米国への旅行ビザも拒否率が高まっている。これは、スパイほう助を警戒しているに違いない。米企業から盗み出した資料を手渡されることを阻止する目的だろう。ここまで、中国は警戒されている。「準戦時下」態勢である。米国の中国への厳しい姿勢が伝わってくる。

     

    (2)「米諜報当局は、中国共産党政府が、中国人留学生や科学者を通じて、米国の科学研究の機密や知的財産の窃盗を行っていると非難している。ビザ抑制は、米国の安全保障上に関わる技術分野のリスクを抑えることを目的としているという。トランプ大統領は今年、中国政府は世界的製造強国を掲げる政策「中国製造2025」を達成するために、外国から技術を盗んでいると発言し、さらに、中国人留学生はほぼ全員スパイと公言している。『中国製造2025』はハイテクや宇宙など10の分野で中国の製造能力を向上させる産業振興計画している」

     

    中国人学生は、スパイ要員であるという疑惑が深まるともに、「孔子学院」の扱いがクローズアップされにちがいない。すでにいくつかの「孔子学院」が、設置されている米大学で自主的に廃止されている。いずれは、米政府から強制的な廃止措置が取られる可能性もあろう。すでに、FBIの監視下に入っているほど警戒されている。

     

    (3)「ロイター通信は11月、複数の米高官や議会関係者の話として、トランプ政権は米国留学の審査を厳格化のために、ビザ申請者の電話の通話記録やSNSのIDの調査が検討されていると報じた。また、米大学教員に対するスパイ審査トレーニングも考えられている。入国ビザ制限措置は2017年12月、トランプ政権の国家安全保障戦略白書のなかでも示されている。『これまでと異なる方法で経済的な情報を収集される被害を減らす』目的で、科学、技術、工学、数学を学ぶ外国人留学生のビザを制限すると記している」

     

    ビザ申請者の電話の通話記録やSNSのIDの調査が検討されていると報じている。また、米大学教員に対するスパイ審査トレーニングも考えられている。事態が、ここまで進んできたことは、かつての米ソ対立時に、米国で行なわれた不幸な「赤狩り」の再現になる。中国は、米国の国益をどれだけ侵害したのか分らないほど、「悪事」を働いた証拠であろうか。目下、行なわれている米中貿易交渉では、米国が高姿勢で臨んでいることが分る。

     

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