ロシアは、理由もなく隣国ウクライナを侵略。戦況が不利になると、ウクライナの発電所をミサイル攻撃し「エネルギー攻め」にしている。すでに零度以下になっているウクライナ国民は、電気も水もない中で寒さに震え苦痛を強いられている。ロシアは、残酷な仕打ちをしているのだ。
『ロイター』(11月25日付)は、「ウクライナ政府、市民の苦痛終わらせること可能ーロシア大統領府」と題する記事を掲載した。
ロシア大統領府(クレムリン)は24日、ウクライナのエネルギー関連施設に対する攻撃が民間人を標的としたものであるという見方を否定した。同時に、ウクライナ政府が紛争終結に向けロシアの要求に応じれば、市民の「苦痛を終わらせる」ことができるという認識を示した。
(1)「ロシア軍によるウクライナ全土の主要インフラに対するミサイル攻撃によって、各地では停電や断水が発生。気温が氷点下となる中、数百万人の市民が数時間もしくは数日間にわたり、暖房や水のない生活を強いられる状況となっている。クレムリンのぺスコフ報道官は「『社会的』な標的に対する攻撃は行われておらず、細心の注意が払われている」と強調。ウクライナ市民の苦しみとプーチン大統領の立場についてどのように折り合いをつけるのかという質問に対しては、「ウクライナ指導部には、ロシア側の要求を満たす形で状況を解決し、ウクライナ市民の苦しみを終わらせるあらゆる機会がある」と応じた」
ウクライナは、ロシア側の要求通りに応じれば発電所攻撃を止める、としている。ロシアが、一方的に始めた侵略戦争である。要求に応じなければ、真冬に向かう中で「エネルギー攻め」にすると豪語している。21世紀の現在、こういう侵略国が存在するのだ。
『BBC』(11月25日付)は、「ウクライナ、インフラ一部復旧も電力需要の50%しか満たせず ロシア軍の攻撃で」と題する記事を掲載した。
ウクライナの国営電力会社ウクルエネルゴは、主要インフラの修復が最優先だが、修復にはより多くの時間がかかるとした。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、首都キーウを含む15州で、電力だけでなく水の供給も「最も困難な状況」にあると述べた。冬の到来を迎えたウクライナ全土では降雪が観測され、気温は氷点下にまで低下。低体温症による死者が出ることが懸念されている。
(2)「キーウでは24日朝、市民の7割が電力を喪失していた。同市のヴィタリ・クリチコ市長はBBCウクライナ語に対し、電気、暖房、水が使えなくなる「最悪のシナリオ」を排除できないと述べた。しかしその後、ウクライナ当局はすべての地域で電気と水の供給が徐々に回復しているとした。ウクライナ大統領府のキリロ・ティモシェンコ副長官は、まず重要インフラの電力が復旧したと述べた。そして、「現時点で、一般家庭向けネットワークの接続が徐々に進んでいる」と付け加えた」
キーウでは24日朝、市民の7割が電力を喪失した状態という。ロシアは、苦しければ「降伏せよ」とせせら笑うような姿勢だ。戦争が終わった後、ロシアは世界中から糾弾されて、二度と立直れない程の罰を受けなければならない。
(3)「ウクライナ当局によると、携帯電話を充電したり、お茶やコーヒーを飲んだりできる仮設の暖房テントが全国に4000以上設置されている。ゼレンスキー大統領は24日遅く、毎晩定例の演説で、ロシア軍は「戦い方を知らない」と述べた。「彼らにできるのは、恐怖を与えることだけだ。エネルギーテロか、砲撃テロか、ミサイルテロか。それが現在の指導者のもとで堕落したロシアのすべてだ」と憤る」
ウクライナ国民の団結は、さらに固くなろう。ロシアが期待するような、和平交渉への声が出てくるか疑問だ。ロシアは、ここでも道を間違えている。
(4)「こうした中、ウクライナのイリナ・ヴェレシュチュク副首相はBBCの番組ワールド・トゥナイトで、「テロリストのロシアは我々に対してエネルギー戦争を始めた。その目的は大規模な人道的危機を作り出すことだ。私たちにとって最大の課題は、高齢者や子供連れの女性、入院中の病人など最も弱い立場にある人達を守ることだ」と述べた。「(ウクライナ)国民は120日間持ちこたえなければならない。この日数が冬の期間にあたり、それこそがロシアの狙いだからだ。ロシアは冬の間、(ウクライナ)国民に最大級の苦痛を与えようとしている」。ヴェレシュチュク副首相によると、南部ヘルソン市など一部地域はいまも砲撃を受けており、ウクライナ政府はすでに自主避難の指示を開始しているという」
ロシアの目的は、ウクライナで人道危機をもたらすことだ。これによって、和平論の出てくるのを待っている。拷問と同じ手法である。ウクライナには、西側諸国が支援していることを忘れたような振る舞いである。
(5)「多くのキーウ市民は自分たちが直面している困難な状況を冷静にとらえ、それを乗り越える方法を見出しているように見える。実際、発電機を設置する人が増えている。ウクライナでは23日にミサイル攻撃を受ける以前から、水道水の確保もままならなくなっている」
こういう事態に、ウクライナ軍の前線部隊は、一段と士気を高めて領土奪回に向け奮闘するであろう。ウクライナ国民は、この試練を乗り越えれば、ロシア上回る強靱な国民性を身に付けるであろう。