勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    米国が、「中国製造2025」の中核企業であるファーウェイ(華為技術)へソフトと技術の輸出禁止措置を取った。中国が、その報復策としてレアアース(希土類)輸出禁止に踏み切るのでないかと注目されている。

     

    習近平氏は5月中旬、レアアース工場を視察して「思わせぶり」を演じた。これは、単なるポーズなのか。それとも、本気でレアアースの輸出規制に踏み切る前兆か。議論を呼んでいる。レアアースは、ハイテク製品製造に不可欠である。だが、中国は2010年に尖閣諸島沖での漁船衝突に抗議して、レアアース輸出禁止を行なった。後に、WTO(世界貿易機関)で違法とされ撤回した「負け戦」の経験がある。

     

    もともと、資源独占は成功しないというのが、経済学の教えである。価格を釣り上げれば、必ずライバルが現れて新規供給に乗り出す一方で、その資源消費を減らすべく原単位消費を引下げる技術革新が始まるもの。よって、2010年の対日レアアース輸出規制は、新規供給増と消費の原単位を引下げによって、長い不況を余儀なくされた。中国は、この苦々し経験を思い出せば、忌々しいものの米国への「レアアース報復」は、経済的な合理性に欠ける行為である。

     

    それでも、中国政府が怒りのままに「レアアース銃」の引き金を引けば、一時的市場を混乱させて「快哉」を叫ぶとしても、その喜びはすぐに終わる。ほろ苦さから悲しみへ。そして後悔に陥るであろう。

     


    『ロイター』(5月25日付け)は、「中国は『レアアース銃』の引き金を引くか」と題するコラムを掲載した。

     

    米中通商紛争の激化で、中国が再びレアアース(希土類)という「銃」を使うつもりかどうかが議論の的になっている。

     

    中国の習近平国家主席は最近、江西省カン州を訪れ、共産党革命で歴史に名を刻んでいる都市とレアアース関連企業を視察したが、これには2重のメッセージを送る意図がありそうだ。カン州の于都は、国民党軍に敗北した共産党軍が1934年から始めた「長征」の起点。習氏の視察は「厳しい戦いになるが、最後にはわれわれが勝つ」という国内向けのメッセージだ。一方、レアアース関連の江西金力永磁科技の視察は米国に向けたもので、「華為技術(ファーウェイ)に制裁を科し、中国製品に追加関税をかけるなら、米国のハイテク技術を支えるレアアースを誰が供給しているか考えた方がよいのでは」という脅しだ。

     

    (1)「問題は習氏に引き金を引く勇気があるかどうかだ。中国は2010年にレアアースの輸出を禁止で墓穴を掘った。2010年のレアアース禁輸は3つの点で逆効果となった。

    1)世界貿易機関(WTO)が中国の禁輸をルール違反と判断した。

    2)禁輸はレアアース価格の急騰を引き起こした。値上がりで違法生産を主体とする生産が急増し、その後、レアアースの価格は急落した

    3)中国が強硬な手段に訴えたことで中国産レアアースの需要が落ち込んだ]

     

    前記の3つの理由を考えれば、レアアースの禁輸措置は行なわない方が賢明という結論になるはずだ。

     

    (2)「こうした理由から、中国政府はレアアース銃でトランプ大統領を脅しても、実際に撃つことはないだろう。前回の禁輸措置から状況が変わった面もある。トランプ政権は中国産レアアースを一切購入しないのが理想だという姿勢を明確にしつつある。レアアースは国内か少なくとも友好国のサプライチェーンへの投資が不可欠な「重要金属」のリストに真っ先に挙げられている。2019年度は国防総省が敵対的と見なす中国、ロシア、イラン、北朝鮮から一部のレアアースを購入するのを禁止し、その一方で国防兵站局がレアアースの在庫を積み増している

     

    2010年、中国がレアアースの輸出禁止措置を取ったとき、米国防省は次のような見解を発表していた。研究報告の内容に詳しい関係者が明らかにした。「研究報告は、価格の上昇や供給の不確実性が中国以外の新たな鉱山への民間投資を促進していると指摘した上で、これが米国の消費量の5%弱に相当する米軍のニーズを満たすのに役立つと分析した」(『ブルームバーグ』2010年11月2日付け)

     

    米国は、2010年以降、軍需物資のレアアースについては、万全の準備をしていることが分る。これは、他の企業にも同様の動きを予想させる。結局、中国は「レアアース銃」は引き金を引かない方が、賢明という結論になるのだ。習氏はどう判断するか。


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    ファーウェイがこっそり開発してきた独自のOSが、早くも商標登録を済ませた。開発済みであったものが、今回の騒動でベールを外したもの。既定路線である。

     

    自社OSの商標名は、「Hongmeng」だという。日本人には、この語感が良いのかどうかわからないが、何か中国語ぽい感じがする。実際の商標に使われるかどうか不明だ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月25日付け)は、「ファーウェイ独自OS商標取得、『アンドロイド』不要?」と題する記事を掲載した。

     

    中国の華為技術(ファーウェイ)は、トランプ米政権が同社への米国製品の輸出を事実上、禁止したことを受け、自社開発の基本ソフト(OS)がグーグルのモバイル端末向けOS「アンドロイド」に取って代わることに望みをかけている。問題は、これまで他社が失敗していることを、ファーウェイは成功できるかという点だ。ファーウェイは先週、中国国家知識産権局(特許庁)から自社OSHongmeng」の商標を取得した。

     

    (1)「ユーザーにOSを変更させることは、極めて難しいことが分かっている。サムスン電子やマイクロソフトなど、複数のハイテク企業はこれまで、アンドロイドに対抗して自社OSを開発したものの、スマートフォンユーザーに全く受け入れられなかった。市場調査会社カナリスによると、13月期(第1四半期)に販売されたスマホの87%がアンドロイドで、残りほぼすべてがアップルの「iOS」となっており、OS市場は実質的に複占状況にある。カナリスのアナリスト、モ・ジア氏は「基本的なアプリがすべて刷新された、全く新しいエコシステムを消費者に提供し、試すよう説得する必要がある」とし、「これはファーウェイにとって極めて難しいだろう」と述べる」

     

    消費者の使い慣れとは恐ろしいもので、スマホ=アンドロイドと頭にインプットされてしまっている。先行ブランドが圧倒的に強い理由はこれだ。日本のマヨネーズ市場でもキューピーが強く、後発企業はいくら著名でも敵わないという。ファーウェイは、トランプ大統領から、繰り返し「スパイ」と名指しされている。ブランド・イメージは最悪である。

     

    (2)「ファーウェイは近年、米国依存を減らすため、部品やソフトウエアの自社開発に巨額の投資を行ってきたが、米国の禁輸措置により、事業は打撃に直面している。中国の他のハイテクメーカーは米国のサプライヤーに一段と依存しており、米国は半導体やOSへのアクセスを遮断することで、米中貿易摩擦における武器に使っている。ファーウェイ社内では、広く使用されているアプリをOSに対応させた新たなエコシステムを生み出すことが最大の難題となっており、少なくとも23年は要する可能性があるという。前出のジア氏は、グーグルの一連のアプリに使い慣れている中国国外のユーザーは、中国国内のユーザーに比べて、OSを切り替える可能性が低いとの見方を示す」

     

    ファーウェイの新ブランドが、2~3年で浸透するはずがない。グーグルへのアクセスができない以上、アプリの利用は不可能であり、スマホの魅力は減殺される。

     


    (3)「アンドロイドはオープンソースソフトウエア(OSS)であり、ファーウェイはパブリックバージョンについては使い続けることができる。だが、今後発売される新型スマホでは、「Gメール」や「グーグル・マップ」といった人気アプリの使用は認められなくなる。またグーグルは、商務省が今週発表した90日間の猶予期間を過ぎると、ユーザーに対し、セキュリティーやソフトウエアの更新を提供できなくなる」。

     

    日本でも、ファーウェイ・スマホ所持者は、セキュリティーやソフトウエアの更新がないので、特にセキュリティー面が懸念される。

     

    (4)「インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)によると、13月期の世界スマホ出荷台数で、ファーウェイは低迷する市場全体の流れに逆行して50%増となった。ファーウェイを上回るのはサムスン電子だけで、アップルを抜いた。ラップトップやスマートウオッチなどを販売するファーウェイの消費者向け端末事業は昨年、45%の増収となり、今では社内最大の稼ぎ頭となっている。欧州と中国がファーウェイにとって最大の市場だ」

     

    ファーウェイは、スマホが好調以外にラップトップやスマートウオッチなども絶好調であった。その流れが断ち切られるのだ。「5G」も基幹部分は、米国企業に依存している。ファーウェイが再起できるか、危ぶむ声が大きい。

     

     


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    韓国には、中国のファーウェイとライバルのサムスンが存在する。それにも関わらず、韓国政府は、ファーウェイを重視するような素振りを見せている。文政権が、「親中朝・反日米」路線に立っていることを図らずも示している。

     

    米国トランプ政権は、ファーウェイの安全保障上の危険性について、韓国政府に数度も連絡してきたが、中国政府に気を遣って無言を貫いていると言う。米国は、サムスンをファーウェイに代わる企業として東南アジアで売り込む、とまで言われながら動かない。自国企業は「財閥企業」のレッテルで忌避し、中国のファーウェイをありがたがる。矛楯している行動だ。

     

    この背景には、中国と韓国の経済的な関係もある。韓国にとって対中輸出が1位である。だが、豪州やニュージーランドも事情は同じだが、ファーウェイ排除に動いている。日本も同じである。経済よりも安全保障が第一のはずだ。韓国は、朝鮮戦争でその重要性は最も痛感しているはずである。ましてや、中国は侵略国。米国との同盟国でありながら、肝心の所でスルリと逃げる。韓国人の欠点であろう。

     

    『朝鮮日報』(5月24日付け)は、「米中対立に巻き込まれる韓国、政府はまた無策なのか」と題する社説を掲載した。

     

    米中貿易戦争の波が韓国へも急速に押し寄せつつある。米国政府が最近、韓国政府に対し「ファーウェイ追放」に賛同してほしいと数回にわたって要請していたことが確認された。韓国外交部(省に相当)は23日、「米国側が5G製品のセキュリティー確保の重要性を(韓国側に)強調した」とコメントした。米国が対中攻撃の第一のターゲットにしたファーウェイの通信装置や製品を、ほかの同盟国のように韓国も買うなというのだ。

     


    (1)「日本の看板企業ソフトバンクとパナソニックに続き、世界の半導体設計の70%を引き受けている英国ARMも、ファーウェイとの取引を中止すると決めた。傍観していたドイツのインフィニオンも、米国で生産する半導体にかぎって、ファーウェイに供給しないと決めたといわれている。銃声なき「第3次世界大戦」という表現まで飛び出している。韓国は、日本・豪州・英国などと立場は同じではない。韓国の対中輸出の比重は米国・欧州連合(EU)・日本を合わせたよりも大きい。2017年は1421億ドル(現在のレートで約156000億円。以下同じ)で、輸出全体の4分の1を占めた」

     

     

    ファーウェイは、米国企業の技術とソフトから切り離されれば、一介の企業に過ぎない。中国人民解放軍の「ダミー」であることは明白だ。民営企業を名乗っているが、実態は国有企業である。朝鮮戦争で国土を蹂躙された韓国が、中国を忖度する必要はない。自国企業のサムスンの利益が国益になるという認識が欠如している。

     

    ファーウェイが、生き延びられるか微妙な段階になっている。米韓同盟の原点に戻って考えることだ。事大主義は捨て去るべきである。朝鮮戦争に加担した中国に塩を送る必要はないのだ。

     

    (2)「こうした経済構造の中で韓国がファーウェイ製品を拒否したら、中国の報復対象になりかねない。米・日・欧に報復する適当なカードがない中国が、韓国を標的にする可能性はないとは言えない。米国トランプ政権は、中国の台頭をこれ以上傍観しないという確固たる戦略を立てて実践している。ファーウェイ戦争は、米中覇権競争の一断面だ。米中が露骨な覇権競争に入った以上、「安全保障は米国と、経済は中国と共に」という形の戦略は通じ得なくなりつつある。米国は、経済的利益の問題ではなく「安全保障上の脅威」を理由にファーウェイを制裁した。韓国がファーウェイの「出口」役を果たすとなると、米国は「韓国が米国の安全保障と国家戦略を妨害している」と感じるようになる」

     

    米国の対中国戦略は、覇権戦争の一環である。国際情勢の変化を深く読むべきである。

     

    (3)「米中の間で、韓国の動ける幅が狭くなることは避けられない。しかしその狭い道の中に活路を見いだし、国益を開拓するのが政府の役割にして責任だ。難しいと言って手をこまねいていたら、それは政府ではない。「金正恩(キム・ジョンウン)ショー」に傾ける努力と真心の数分の1でも、この重大な国家懸案に注ぐことを望む」

     

    下線の部分は、強烈な皮肉である。文政権の本心は、朝鮮戦争を侵略戦争と見ていないのだろう。北朝鮮の「韓国解放戦争」という解釈に立っている節がある。韓国左翼は、明確にこの立場だ。韓国進歩派は、総じてこの線に近い。米国は、獅子身中の虫を抱えている。


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    中国政府は、自ら米中貿易摩擦を「米中貿易戦争」と呼び、国民の愛国心に訴える戦術に転換している。これに応えるように、中国進出の欧米企業への風当たりが強くなっている。要するに、嫌がらせをしているのだ。これは、中国から欧米企業を「追出す」マイナス効果を伴うもので、「天に唾する」行為である。

     

    2012年、日本が尖閣諸島を国有化した際に、中国政府は猛烈な官製反日デモを組織した。 日本企業が、焼き討ちにあうなど大荒れになった事件である。あれをきっかけにして、日本企業は対中投資を抑えて、東南アジアへシフトした。

     

    欧企業への虐めは、前記のような日本企業と同じ投資パターンを辿るはずだ。米中貿易摩擦は、長期化予想が強まっている。今回の企業虐めが引き金になり、対中投資見直し論に進むことは不可避であろう。虐めという愚かなことを始めた結果だ。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(5月22日付け)は、「貿易摩擦、中国で米企業に風当たり強まる」と題する記事を掲載した。

     

    米中貿易摩擦の激化を受け、中国で活動する米企業への風当たりが強まっている。中国での米企業の利害を代表する団体では、会員企業のほぼ半数が報復措置を受けたと報告している。中国米国商会が22日に発表した調査報告書によると、同会議所および上海を拠点とする類似団体の会員企業のおよそ47%が報復措置に直面していると回答した。直近の関税引き上げに加え、税関手続きの遅れ、中国の規制当局による検査の増加、許認可手続きの遅延といった仕返しも受けているという。

     

    (1)「調査対象の米企業239社のうち、3分の1が対中投資を中止または延期していると答えた。また、全体の約4割の企業が生産拠点を中国の外へ移転することを検討していると回答し、移転先には東南アジアとメキシコが多く挙がった。「生産拠点を中国の外に移転するという戦略は関税の悪影響を断ち切り、中国で市場機会を追求する可能性を残すために、多くの企業にとって理にかなった選択だ」と調査報告は説明した。この調査結果は、米国が2000億ドル分(約22兆円)の中国製品に対する制裁関税を引き上げ、中国が600億ドル分の米国製品への関税引き上げで応酬したことで貿易紛争が急激にエスカレートしてから、まだ2週間もたっていないうちに発表された」

     

    中国経済全体の視点から見れば、海外企業による対内直接投資が、中国のドル資金流入上、大きなウエイトを持っている。「虐め」によって、欧米企業に新規投資を抑制させれば、中国が不利益を被るのだ。こうやって、中国経済は衰退の度を増すことになろう。すべてが悪循環する。

     


    (2)「中国に進出した欧州系企業で構成する中国欧州商会が、20日に公表した調査報告によると、「中国での活動が前年に比べて難しくなった」と回答したのは会員企業のうち約53%と、昨年の48%から上昇した。また、全体の約2割は中国での提携企業に技術移転を強制されたと回答。2年前の10%から倍増した。技術移転を巡り、米中貿易交渉は難航している。米企業が中国市場参入と引き換えに微妙な取引機密の引き渡しをしばしば強要されていると米国は主張している。中国政府は、問題に取り組むと表明したが、一方でそのような慣習の存在を否定してもいる。中国の国営メディアは最近、技術移転の強要は米国がでっち上げた嘘だと論説で主張した。それに対し、米国政府は貿易摩擦をさらに激化させると息巻いている」

     

    欧州企業も虐めの対象になっている。欧米企業の中国進出では、自主的な技術移転も行なわれている。その貴重なチャンスが、こういう感情的なことで失うのは惜しいことだ。中国社会が、それに気付かず「愛国的行動」を取っている。冷静になれないのだろうか。


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    滅多なことでは日本を褒めない韓国有力紙が、海外からの訪日観光客を着実に増やしていることを絶賛している。この記事を読むと、しばし、日韓の鬱陶しい対立を忘れさせてくるほどだ。

     

    『中央日報』(5月21日付け)は、「安倍氏の地方創生挑戦観光収入が半導体輸出超える」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「安倍首相が地方問題を前面に掲げた契機は、2014年5月の『地方消滅報告書』のためだ。増田寛也・前総務相が、2040年までに地方自治体1799カ所のうち半分に相当する896カ所が人口減少で消滅する可能性があるという報告書を出した「増田レポートショック」だった。 安倍氏は柔軟だった。増田氏のコントロールタワー設置などの提言をほぼそのまま受け入れた。動きは一瀉千里だった。9月に首相直属の内閣府に「まち・ひと・しごと創生本部」を新設した。 雇用と人を呼ぶ好循環地方を作るという機構だ。安倍氏を本部長に元閣僚が参加した。安倍氏は同月の改閣で地方創生大臣を新設し、政敵である石破茂氏を起用した。石破氏は「地方から革命を起こさなければ、未来は切り拓けない」と力説する(『日本列島創生論』)」

     

    地方創生戦略と海外観光客誘致が、安倍内閣の目玉政策の一つである。外国人観光客の誘致は、地方活性化に役立っている。最初の頃は、外国人観光客は、大阪→富士山→東京というコースだったが、リピーターの増加とともに地方への回廊ができ上がり、大きな賑わいを見せるようになっている。

     

    (2)「安倍氏は年末に目指すべき将来の方向を提示する「地方創生長期ビジョン」と5カ年の目標や施策や基本的な方向を提示する「創生総合戦略」(2015~19年)を打ち出した。総合戦略は官僚集団が最も敬遠する数値目標を入れた。5年間で若者の地方雇用30万人創出、地方からの東京転入6万人減少、東京からの転出4万人増加、地方における自県大学進学者の割合36%、企業の地域拠点強化7500件増加。来年から第2ラウンドを迎える地方創生はまだ先は遠いという指摘が少なくない」

     

    日本の少子高齢化が進んだ結果、地元の大学進学が増えている。高度経済成長時代は、若者は競って大都市へ集中した。現在は、全国の生活水準の標準化が進んでおり、地方の方が経済的には生活しやすい面も多くなっている。

     

    (3)「安倍氏の地方創生戦略と海外観光客誘致は針と糸の関係だ。安倍氏は「観光は日本成長戦略の大きな柱」「地方創生の起爆剤、決定的手段」と繰り返し述べる。人口減少の空白を外国人で埋めてお金を落としてもらおうということだ。安倍氏は観光立国の指令塔になった。2015年、自身が議長を務める「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を発足させた。創生本部発足から1年後のことだ。この会議は翌年の観光ビジョンを出した。目標は野心に満ちていた。訪日外国観光客数を2020年4000万人→2030年6000万人とし、消費額を2020年8兆円→2030年15兆円とした」

     

    日本全国に、外国人観光客が現れる時代になった。これは、日本人の伝統的な考え方を徐々に変えつつある。労働力不足解決策として、外国人労働者受け入れ数を増やしていることと相まって、外国人への「抵抗感」を払拭しつつあるようだ。

     

    (4)「2015年当時のインバウンド観光客は1974万人だった。現在、インバウンド観光客の上昇は急カーブを描いている。2017年2869万人を記録し、昨年は3000万人を突破した。昨年の外国人観光客消費額(4兆5000億円)は半導体など電子部品輸出額(4兆225億円、2017年基準)を上回る。いすみ鉄道株式会社前社長の鳥塚亮氏は、『外国の再訪問客は東京-京都-大阪の黄金路線の代わりに田舎を歩き始めた。ニッチ観光への対応が重要だ』と言う」

    昨年の外国人観光客消費額(4兆5000億円)は、半導体など電子部品輸出額(4兆225億円)を上回った。「経済のサービス化」とひところ盛んにいわれたが、もはや当たり前の時代だ。

     

    18年度の国際収支が発表になった。訪日客による消費額から日本人の海外旅行での消費を差し引く旅行収支は、13年度まで赤字だった。それが、18年度は2兆4890億円の黒字と過去最大になっている。インバウンドの存在感がますます強まっている。

     


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