勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国経済の凋落3要件

    米国と張り合い傷深く

    転換困難な投資主導型

    豪州が成長率低下予測

     

    中国の7~9月期実質GDP成長率は、前年比4.9%増となり、伸び率は4~6月期の3.2%増から加速した。ただ、事前予想の5.3%増にはならなかった。それでも、パンデミック下における主要国の経済成長率としては、唯一のプラス成長を実現した。

     

    この結果、2008年のリーマンショック時と同様に、中国経済がパンデミック下で世界経済の牽引力になるという期待を持つ向きもいる。果たして、再び世界経済を引っ張る力はあるだろうか。

     

    中国経済の凋落3要件

    結論から先に言えば、世界経済を牽引する力はなくなっている。以下に、その理由を挙げる。

     

    1)中国経済の潜在成長率を形成する生産年齢人口比は、2010年がピークであった。生産年齢人口(15~59歳)は2010年まで上昇したが、それ以降に下落へ転じている。中国の生産年齢人口は、国際標準の15~64歳を5歳も下回る。これは、健康上と定年年齢60歳がもたらして変則的なものである。それだけ、中国は「労働力の質」が劣っていることを意味する。

     

    実は、中国の生産年齢人口が国際標準よりも5歳も少ない事実は、意外と知られていないのである。名だたる国際機関が、中国の潜在成長率を計算するのに、生産年齢の国際標準を用いて計算しているのだ。中国標準は国際標準より5歳も少ない事実から計算すると、生産年齢人口は、国際標準よりも約10%少なくなるはず。この点が、中国経済の将来予測を過大にさせている。

     


    2)米中対立が、抜き差しならぬものになっている。世界経済における米中デカップリング(分断)が、現実問題として登場してきたのだ。2008年のリーマンショック時、世界経済はグローバル経済で発展した。今後は、その「逆バージョン」となる。原因は、中国の対外進出とパンデミック襲来への警戒である。中国が、世界のサプライチェーンであることのリスクは、先進国にとって安全保障面と経済面で強く認識されてきたのである。

     

    中国にとっては、一夜にして世界の舞台が変わるほどの激変となろう。習近平国家主席は、あくまでも米国と対決する姿勢を取り続けている。その結果、「長征」(逃走)という毛沢東の選んだ苦難の道を、習近平氏も「新長征」として歩む決意を表明した。米国との対決を避けながら実力を蓄え、一気に米国を叩くという構想である。

     

    この夢のような話に国民を引入れ「隠忍生活」で我慢するというものだ。共産主義と無縁の13億余の中国国民にとっては、これほど迷惑な話はないはず。道連れにされるからだ。毛沢東の「長征」は、日本の敗戦という僥倖に助けられた。習氏の「新長征」には、そういう僥倖はないであろう。米国が経済や政治の面で自然に没落することはあり得ない。制度的に言えば、独裁政治は一夜にして崩壊する。民主主義政治はその前に、政権交代という新陳代謝が「延命」をもたらすのだ。

     

    3)中国の経済政策は、生産年齢人口比の低下、米中対立の長期化に伴う「新長征」で、内需主導経済に転換する。従来の輸出主導経済から内需主導経済へ転換すると発表している。14億人の人口を抱える中国の内需市場は、活性化すれば大いに発展の可能性があるように見える。だが、中国の内需市場は空洞化しているのだ。低所得層が、次のような比率を占めている。

     

    月収 500元(約8000円)以下  国民の7.5%

       1000元(約1万6000円)以下 23.5%

       2000元(約3万2000円)以下 50.7%

    (資料:『大紀元』10月22日付)

     

    中国国民の5割が、月収約3万2000円以下で生活している。しかも、国民健康保険制度がない国である。病気にかかったときの治療費の高さは、目が飛び出るほど。医師は、患者を診察前に「金はあるか」と聞く国である。共産主義の「平等・博愛」の欠片もない国なのだ。それでも、軍備拡張には金に糸目をつけず、天井知らずの膨張を続けている。この中国が、「内需転換経済」で成功するには、生活安全ネットの国民健康保険制度を完備する。軍備拡張費を社会保障費に回す。この2点が、早急に実現できなければ、絵に描いた餅となろう。(つづく)

     

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    文在寅大統領は、韓国を極めて危険な方向へ導いている。米中対立の長期化という国際問題が起こっていながら、その方向性を見通す努力がゼロである。米中が対立すると、韓国からの中国向け輸出が減って困る、という程度の認識なのだ。混迷した事態の中で、韓国の安全保障をどうすべきか、という根本的な問いかけはない。

     

    豪州は、対中貿易比率がトップでも中国の経済報復に敢然と立ち向かっている。経済的問題は一時的だが、安全保障問題は永遠の問題である。豪州には、こういう認識があるから「インド太平洋構想」に積極的に参加している。片や韓国は、豪州とは真逆で「インド太平洋構想」に背を向けている。この違いは、国際情勢への認識の差によるものだろう。もっと突き詰めれば、文大統領の「従北・反日」という民族主義で、世界を見る目が曇っているからだ。

     


    『朝鮮日報』(10月25日付)は、「反日・従北の民族主義が大韓民国を脅かす」と題する寄稿を掲載した。筆者は、ユン・ピョンジュン教授である。所属大学は不明。

     

    光復(日本の植民地時代からの解放)75周年が過ぎた今も、反日民族主義は続いている。文在寅(ムン・ジェイン)政権の「官制民族主義」により韓日関係は崖っぷちに立たされた。市民社会は、日本帝国主義の残滓清算を掲げて中学、高校の校歌を変更したのに続き、幼稚園という名称を幼児学校に変えようという動きが盛んだ。政権支持率の絶対兵器である官制民族主義は、民心に根差した反日感情と爆発的な相乗作用を呼び起こしている。反日民族主義を批判すれば、土着の倭寇(注:日本人の海賊)というレッテルが貼られ、やがて生き埋めにされる。

     

    (1)「民族とは想像された共同体」という主張がある。「民族が民族主義をつくったのではなく、民族主義が民族をつくった」というのだ。血統と言語を共有する5000年の白衣民族を誇る韓国人には驚くべきことのように聞こえる。長期にわたって持続した血統、言語、文化の上に建設された韓国民族主義と、近代の産物である西洋民族主義を平面的に比較するのは難しい。しかし、民族主義が民族を呼び起こすというのは明白な事実だ」

     

    「民族が民族主義をつくったのではなく、民族主義が民族をつくった」という指摘は、現在の文政権にピッタリの言葉である。文氏は政権就任以来、「反日一筋」である。過去3年間も「反日」を叫んできたのだから、韓国の反日感情が絶頂に達して当然だろう。一方では、虚しさもあるはず。日本を批判して何のプラスがあるのか。安全保障面で、韓国を危機に追い込むだけである。

     

    (2)「北朝鮮問題も感性的な民族主義が主流となっている。北朝鮮労働党創建75周年記念閲兵式の筋肉自慢でも、文在寅政権は金正恩(キム・ジョンウン)委員長のリップサービスによって一喜一憂する。しかし、大韓民国を焦土化する北朝鮮の核兵器と「愛する韓国の同胞たち」を慰める金正恩委員長の民族主義の修辞は、正反対の概念だ。「まさか北朝鮮が核で同族を攻撃することなどあろうものか」といった「同民族」に対する願望思考が、金正恩委員長による韓半島(朝鮮半島)統一戦略を見事なまでに覆い隠している」

     

    文大統領は、日本を危険視し北朝鮮愛に燃えているが、これほど視野狭窄症はない。ソウルの目と鼻の先では核が日々、製造されている。その核が韓国で使われない保障はどこにもない。朝鮮戦争を始めたのは中国と北朝鮮である。その中朝に燃えるような愛をたぎらせる文在寅氏とは、いかなる頭脳構造であろうか。

     

    (3)「反日感情の縦糸と従北情緒の横糸が韓国民族主義を歪曲している。北朝鮮が日本植民地時代の残滓をなくし、民族史的正統性でリードしたという偽りの歴史観が民族主義を汚染している。感傷的な民族主義は、厳しい国際政治に対する冷徹な認識を妨げる。21世紀の新冷戦時代を迎え、朝鮮半島は米中の帝国覇権競争の最前線となっている。民主主義と市場経済を共有した韓日間の相互協力は、「帝国中国」の無限なる膨張から韓国の主権を守る合従連衡の国家戦略資源だ。即物的な反日感情を超え、冷静な克日と用日が新たな韓国民族主義のキーワードにならなければならない」。

     

    文氏の民族主義は、北朝鮮出身の両親が抱いた「望郷の念」と変わるまい。それは純粋だが単純であり、米中対立の長期化という国際情勢進展の中で、正確な判断を誤らせる「邪念」になり得るのだ。火薬庫となった朝鮮半島で、韓国の安全保障をどう守るのか。文氏の頭脳を超えた問題になってきた。

     


    (4)「血統と習慣に縛られた種族的反日・従北民族感情は、歴史の退行にすぎない。種族的限界を振り切る市民的民族主義であってこそ、韓国民族主義が復活するのだ。反日・従北を超えて克日・克北に向かうとき、道が開かれる。光復75周年に実体もつかめない親日派という言葉を持ち出すのは、自由と正義の共和制の敵にすぎないのだ

     

    反日・従北と言う言葉ほど、民族感情をくすぐる言葉はあるまい。それは、一種の麻薬である。将来展望のない刹那の言葉だ。一国の大統領が、そういう麻薬言葉を使って国民を「痴呆」にさせている。無責任な政治家と言うほかない。

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    韓国は、科学分析を信用しない社会である。思い込みで動いている社会だ。日本は福島原発処理水問題で、IAEA(国際原子力機関)と密接な連携を保ちながら無害化を進め海洋放出する準備を進めている。

     

    ところが、韓国メディアや市民団体は、こうした科学的分析を無視した空騒ぎを行い、日本があたかも「天下の大罪」を冒すような論調にすり替えられている。韓国の原子力発電所も原発に伴う排水は、海洋放出しているのだ。それを棚に上げて、日本が世界で初めて行う、といった調子の誇大宣伝の記事を書いているから驚く。朝鮮民族とは、どういう民族なのか。深い疑問に包まれるのだ。

     

    『中央日報』(10月25日付)は、「福島『処理水』処分に科学的接近が必要」と題する寄稿を掲載した。筆者は、ジェイムス・コンカ米フォーブス科学コラムニストである。

     

    新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)のため経済活動が鈍化するなど、全世界が大きな影響を受けた。このような悪条件の中で福島原発を運営する東京電力は最近、争点に浮上した福島原発「処理水」の処分に苦心している。処理水とは、放射能汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化した後、福島原発のタンクに貯蔵しておいた水のことで、現在約1000個の大型タンクに入っている。


    (1)「専門家らはこの処理水を規制基準値以下の状態で海に放流することを勧告していて、現在としてはこの方法が最善策だと口をそろえる。途方もない水準の放射性物質が含まれているという一部の憂慮とは違い、1リットルの処理水からはポテトチップ1袋またはバナナ4本と似た水準の放射性物質しか検出されない。また東京電力はALPSで汚染水から62種の放射性物質を取り除いて規制基準値以下にし、現在の処理水にはトリチウム(H-3)だけが含まれている」

     

    トリチュウムも無公害化の科学的見通しはついている。

     

    (2)「一部の懸念とは違い、関連分野で長期間研究してきた筆者のような人は、トリチウムがすでに自然界に存在する物質であり、海に放流しても問題はないということをよく知っている。現在までも複数の国の原発施設から海などに放流されたことがあり、トリチウムによって海洋生態系および人々の健康が深刻に脅かされた事例もない」

     

    トリチュウムは、すでに自然界に存在している。海洋生態系および人々の健康が深刻に脅かされた事例もないというのだ。韓国社会では、ことさら危険だ、危険だと騒ぎ回っている。自国の原発から放出されている点は、全く不問に付している。

     


    (3)「またトリチウムは半減期が比較的短いうえ、海洋生物や海底堆積物に容易には吸収されず、ベータ放射線を放出するので、海に放流するのが適切だ。そしてトリチウムは大気の自然な過程によってすでに多くの量が海洋に存在している。特に地球に現在存在するトリチウムの99.9%は数十億年間にわたりそうであったように自然の大気中で形成される。これと比較すると福島処理水のトリチウムの量は心配するほどの水準でない」

     

    韓国は、下線で指摘されているような点について全く無視している。あたかも、慰安婦問題や徴用工問題と同じセンスで「日本糾弾」に夢中だ。


    (4)「放射性物質を海に放流するという発想は多くの人を不安にさせる。しかし問題はまさにここにある。トリチウムは人体に有害という認識とは違い、現実は全くそうではない。他の放射性核種と異なり、トリチウムはすぐに希釈されて体内から抜ける。実際、トリチウムが含まれた水の危険度は非常に低いため、世界各国の原発からすでにこれが排出されたこともある」

     

    トリチュウムが、遺伝子を損傷させるという主張もされている。だが、「すぐに希釈されて体内から抜ける」という。科学的な分析では、巷間の指摘と全く異なるのだ。韓国の非科学的な主張は、「反日運動」の一環である。野蛮性を帯びた危険な議論をしていることに付合うのは疲れ果てるのだ。



    (5)「2011年の東日本大震災から9年が過ぎた現在、日本政府は福島処理水をどう処分するのかについて専門家の助言に耳を傾ける一方、国際機関とも積極的に協業している。東京電力はすでに放射能汚染水を放流可能な安全水準に浄化するため、ALPSを通じて62種の放射性物質を除去した。また今年2月の日本訪問中に福島原発を視察したラファエル・マリアーノ・グロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長は処理水放流について技術的な観点で見ると国際慣行に合うと明らかにした。さらに日本政府はトリチウム数値のモニタリングおよび食品安全検査を強化する案も考慮中という」

     

    このパラグラフでは、日本政府ができうる限りの措置を取っていると指摘している。韓国の議論になると、この部分が完全に抜けている。意図的な報道である。

    (6)「処理水の放流に反対する人たちも確かにいる。しかし結局、日本政府が処理水を放流してこそこの問題が解決され、これを通じて我々は未来に向かって進むことができる。処理水を貯蔵しておく場合、この懸案は数十年間続くはずだ」

     

    この問題では、感情論でなく科学的な根拠に基づく議論がすべてである。こうした点になると、韓国社会は追いつけないのだろう。だから、感情論一本槍の扇動的な話になる。危険な社会である。



    (7)「常にそうであるようにすべての問題は、認識とそれによる憂慮に帰結する。科学者として我々は、根拠に基づいて解決策を提示できるが、これをめぐり意見が対立することもある。福島処理水の処分については、科学的な根拠に基づき合理的な判断が下されることを期待する」

    この寄稿文を掲載したされている一方で、『韓国経済新聞』(10月24日付)は、「福島原発の汚染水放流方針を撤回すべき」とする社説を掲載している。もはや、紹介するのも徒労に終わる。 

     

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    韓国は不思議な国である。国民は、安全保障の相手国として圧倒的に米国へ依存している。だが、文政権はその米国と隙間風をつくり、中朝へ親愛感を示すという「ねじれ現象」である。国民と文政権の間で、米国への親近感が異なるのは、文政権に根本的な問題がある。

     

    「インド太平洋構想」でも、文政権は距離を置いている。思想的に「親中朝派」の文政権では、インド太平洋構想に加わることが、中朝に対する大変な「裏切り」という自責の念を持っているのであろう。米韓同盟がありながら、米国と敵対する中国へ秋波を送る。戦国時代であれば、韓国は裏切り国として「成敗」を受ける立場だ。

     

    『朝鮮日報』(10月24日付)は、「バイデンが当選しても韓国の安全保障は危うい」と題する寄稿を掲載した。筆者は、チェ・ガン・アサン政策研究院副院長である。

     

    米大統領選挙は、韓国の生存に大きな影響を与える。米国は、中国や日本と比較して、道徳的価値と韓半島(朝鮮半島)に対する領土的野心という面で「韓国が頼れる同盟国」といった意識が韓国には存在する。米世論調査機関のピュー・リサーチ・センターによると、トランプ大統領に対する韓国人の好感度は17%にとどまっているが、米国への好感度は59%に上るなど、調査対象となった13カ国のうち最も高かった。

     


    (1)「韓国の安保を巡る状況は、構造的に改善が困難な局面へと突入した。5000万人の国民の生存が韓国の意志とは関係なく、米国や中国、そして北朝鮮の決定によって決着が着くのではないかといった不安は拭えない。次の大統領がトランプ大統領であれバイデン候補であれ、「米国優先主義」がさらに強化された米国外交政策と向き合うようになる恐れがある。トランプ大統領の中国政策が手荒いと非難されてはいるが、中国の浮上が米国にとって最大の脅威だという見方は、共和党と民主党の間で了解済みの案件だ。米国社会内で悪化した中国に対する世論を考慮すると、「経済は中国、安保は米国」といった立場を維持するのは容易でない」

     

    日本では、日米安全保障条約を完全に信頼しているので、安全保障問題で孤立感を持つことはない。韓国ではそれが逆である。米国依存でなく、中国依存という政治グループ(文政権支持派)がいるから驚かされる。国論が統一されていない、バラバラの国である。韓国では、「経済は中国、安保は米国」という。だが、「安保も中国」という特殊グループが文政権には入り込んで、「獅子身中の虫」の悪さをしているのだ。

     


    (2)「トランプ大統領のアプローチが、南北の和解と協力に重点を置いている韓国政府と互いに通じてはいる。しかし、この裏にはトランプ大統領が韓米同盟を取引対象としかねないという変数が存在する。トランプ大統領にとって重要なのは米朝間の対話が与える宣伝効果であるため、北朝鮮から一部の非核化措置を引き出すために軍事演習の縮小、あるいは中断、さらには在韓米軍の削減を選択する可能性もある」

     

    韓国が、米国から見放されるという危機感を持っているのは、芯から米国と一体化するという意識が欠如しているからだ。「親中朝」という思いが、いつも頭の隅にあるから、米国も韓国を「外様」扱いしている。

     

    (3)「バイデン候補はトランプ大統領が掲げた「米国優先主義」から脱し、同盟関係を復元、米国の国際的リーダーシップを回復すると約束した。対話による北核問題の解決を強調している点は、「戦略的忍耐」と表現しつつも、北朝鮮の非核化に手をこまねいていた「オバマ2.0」の前轍(ぜんてつ)を踏む恐れもあり、懸念される。民主党政権の内部分裂で政策に混乱が生じる恐れがあり、バイデン陣営内の軍縮専門家らは北朝鮮を核国家として受け入れる軍縮会談の開催を主張しているが、これこそまさに北朝鮮がこれまで要求してきたことであり、韓国の安全保障をさらに危うくするだろう」

     

    米軍が、日本から撤退するとか兵員削減という話は聞かない。だが、韓国の場合、しょっちゅうそういう議論が出るのは、米韓同盟の親密さが掛けているからであろう。中国への秋波は、韓国の安全保障を危険に追い込むことを知るべきだろう。米台関係と米韓関係を比べて、米韓同盟の関係性が希薄化しているのは、韓国文政権の「中国秋波」が原因であろう。

     


    (4)「韓国は、北朝鮮の非核化が放棄できない目標であるという点を明確にしなければならない。北朝鮮を核国家として受け入れる「スモール・ディール」が持つ危険性を指摘するとともに、北朝鮮が非核化の意志を明確に示す場合は制裁を緩和し、関係改善も進めていくという原則を固守していかなければならない。日本との関係改善を模索し、中国に対しては自由民主主義と市場経済の価値と規範に忠実な姿勢で対応していかなければならない」

     

    日韓関係が、喧嘩別れ状態である。米韓同盟も隙間風。こういう状況で、韓国の安全保障が完璧を期せるはずがない。中国からすれば、この迷える韓国を「射止める」べく動くのは当然である。「僚友」のない国が、安全であるはずがないのだ。

     

     

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    韓国ではインフルエンザ・ワクチン接種後に亡くなる人が10月21日12人から、22日一日で新たに28人(午後11時基準)に増えた。同一ロット番号(製造番号)で生産されたワクチンを接種して死亡した事例も発生している。韓国医師協会と一部の専門家はワクチン接種の暫定中断要求に乗り出す騒ぎである。この事故は、日本での同一ケースがあるのかどうか。慎重に検討しなければならない。

    オンラインコミュニティを中心にワクチンを巡って確認されていない情報が増えている。ワクチンの安全性に対する不安感が「デマ」につながる状況である。韓国の無料予防接種事業対象者の中から死亡事例が続き、あるオンラインコミュニティには「中国産インフルエンザ・ワクチンを打たれて9人が死亡した」という書き込みが掲載されて、騒ぎが広がっている。

     

    韓国政府が無料で提供するワクチンは中国産だというのだ。ワクチン死亡関連記事にも、「中国産ワクチンを取り寄せて、大韓民国の国民を相手に実験するのではないか」というコメントが相次いだ。これは、いずれも事実でなく否定されている。6社は、すべて国内でワクチンを製造する。唯一の外国会社であるサノフィパスツールはフランスの会社であり、インフルエンザ・ワクチンを全量フランスで製造する。

     


    卵アレルギーの患者は、インフルエンザ・ワクチンを打ってもらってはいけないという情報も、ソーシャルネットワークサービス(SNS)などを通じて広がっている。しかし、日常生活の中で卵を食べてショック、呼吸困難、アナフィラキシーなどの深刻な反応が生じたのではなく、じんましんが出るほどの軽いアレルギーなら、インフルエンザ・ワクチンを打ってもらっても大丈夫だというのが専門家らの意見だ。疾病管理庁、WHO、米疾病管理予防センター(CDC)もこのように勧告している。ただ、ワクチン接種前に医師に十分相談をすることが欠かせない、という。

    『中央日報』(10月24日付)は、「インフルエンザ・ワクチンショック、接種中断を検討し死因の究明をと題する社説を掲載した。

     

    インフルエンザ・ワクチン接種直後に死亡する事例が韓国各地で同時多発的に続出して国民の不安が高まっている。それでも疾病管理庁は接種を継続すると明らかにして混乱と不安がなかなか落ち着かない。

    (1)「昨日、国会国政監査で国会議員はワクチンの安全性が明らかになるまで接種を一時中断するべきだと求めた。だが、鄭銀敬(チョン・ウンギョン)庁長は「現在まで死亡者の報告が増えたことは増えたが、予防接種による死亡という直接的関連性は低い」とし、接種強行の立場を守った。高齢層や妊婦など高危険群の場合、インフルエンザ・ワクチンの接種が必要だというのが一般的な見解だ。しかし新型コロナウイルス(新型肺炎)が地域社会に深々と浸透した状況で、インフルエンザ・ワクチンの接種直後の短期間で死亡者が続出したため接種を暫定中断する必要がある」

     

    インフルエンザ・ワクチンの接種直後に多数の死者が出ている。当局は当然、接種を中止して専門家会議を開くべきだ。コロナ・ワクチンの最終臨床試験では、死者などの事故が出れば、臨床試験を中止している。人命に関わる問題である以上、そのくらいの慎重さが要求される。


    (2)「ワクチン自体の欠陥の可能性も迅速に検証しなければならない。鄭庁長は「ワクチン製造過程や食品医薬品安全処の検定を通じて毒性物質をすべて除いているので製造過程で問題が生ずることはあり得ない」と説明した。だが、今年はコロナ事態で国のインフルエンザ・ワクチン予防接種事業を大きく拡大して政府調達物量(1900万名分)を急きょ製造する過程で問題が生じた可能性を排除しがたい。一部ではインフルエンザウイルスを有精卵に注入して培養するときに毒性物質や菌が基準値以上あったとすれば死亡に達するショックを引き起こす可能性があると主張するそれでも食品医薬品安全処は流通する前と接種以前のワクチンに対して菌と毒性物質状態をそれぞれ厳しく点検していないという。ワクチン安全点検行政に死角地帯がありえるということだ」

     

    下線部のような疑義が出されているという。専門家であれば、そうした疑問点に対して丁寧に答えるべきである。紋ギリ型の対応では、悲劇を生むばかりである。

     


    (3)「今回の事態に対する政界の反応は無責任だ。与党は鄭庁長庇護に汲々としている。鄭庁長がインフルエンザ・ワクチン事態で揺れる場合、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率に悪影響を与えるか心配しているとは情けない。野党はインフルエンザ・ワクチンを「死を呼ぶ毒薬」として過度に不安をあおっていることもまた不適切だ」

    今回のインフルエンザ・ワクチン事故が、文大統領の支持率に悪影響を与えるのでないかと懸念する声があるという。何と情けない発想法か。この事故で落命した人の無念さを考えるべきだろう。

     

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