勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    米国は、同盟国がファーウェイの次世代ネットワーク「5G」導入をしないように各国へ呼びかけている。もし、米国の申入れに反してファーウェイ製品を導入すれば、米国との取引を再検討すると「威嚇」しているのだ。米国との取引を再検討するとは、米国への輸出禁止とドル決済の中止を意味する。ここまで米国が迫ってくれば、いくら中国と縁があっても切らざるを得まい。

     

    『ロイター』(2月13日付)は、「中国の5G覇権、米国の切り崩しで大損の可能性」と題するコラムを掲載した。

     

    中国政府は次世代高速通信規格「5G」の覇権争いに勝つため膨大な資金をつぎ込み、国内企業を支援している。しかし米国は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を購入しないよう欧州諸国に対する政治的な働き掛けを強めており、中国は結局のところ通信機器の輸出が滞り、資金が回収できない羽目に陥る恐れがある。

     

    (1)「中欧を歴訪中のポンペオ米国務長官はファーウェイ製品を使う国との同盟関係の維持は困難と警告し、セキュリティー面での不安が全世界で取り沙汰されているファーウェイに対して再び攻撃を浴びせた。中国は国内市場の制圧を足掛かりに世界標準を征し、国内企業は超高速で機器を接続するための技術を基に、特許やソフトウエアの開発が可能になるかもしれない。しかしこうした大掛かりな投資計画は統計が示すよりもリスクが大きい」

     

    米国が、ファーウェイ製品を「5G」から締め出す目的は、安全保障上の理由である。米国内メーカーの保護目的ではない。現に、北欧メーカーの製品を推薦している。

     

    (2)「ほとんどの国の通信大手はまだ5G向け投資にそれほどのめり込んでいない。これにはいくつか理由があるが、初期コストの早期回収が難しいというのがその1つだ。一方、中国政府の戦略は範囲が広大で、たとえ中国移動(チャイナ・モバイル)のような国内通信大手が5Gサービスから利益を上げることができなくとも、関連機器を製造しているメーカーは利益が手に入るような絵図となっている。クレディ・スイスの試算によると、通信機器大手ファーウェイと中興通訊(ZTE)は海外市場での合計シェアが25%ないし30%に達しており、海外通信大手への製品販売ですぐにもうけが得られる態勢にある。消費者にも恩恵があるかもしれない。中国の5G技術はそこそこの性能で価格は手ごろだと評価されている」

     

    中国政府が、ファーウェイやZTEへ、5Gでも補助金を出しているのは明白である。スマホの生産でも補助金を出して、低コストで輸出させる戦略をとっているからだ。これでは、自由主義国の通信機メーカーが競争に勝てるはずがない。

     

    (3)「米政府は、中国のこうした収益源を断ち切ろうとしている。目論見が成功すれば、中国政府はその穴を埋めるため、国内通信網の構築で国内通信大手への依存を高めざるを得なくなるだろう。そうなれば大規模な5G戦略は瓦解し、補助金の負担は国内ですべて負うことになる。関連するソフトやサービスへの投資もリターンの先行きが暗くなる。こうなると中国としては5Gで投資競争に勝利しても実入りがないという痛い敗北を喫することにりかねない」

     

    米国は、中国の補助金政策の裏を知っているので、堂々とファーウェイ製品の排撃に動き出している。欧州を初めとする同盟国が、すべてファーウェイ製品を排除すれば、中国は大変な損になる。米国は、中国へ補助金政策の無駄を教え込む。そういう実地教育になるのかも知れない。


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    文在寅政権の経済政策失敗は、いよいよ明らかになってきた。最低賃金の大幅引上げが、雇用を奪っているからだ。政府は、涼しい顔をして南北問題に全精力をつぎ込んでいる。

     

    『聯合ニュース』(2月13日付)は、「1月の失業率4.5%に悪化、10年以来の高さ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国統計庁が13日発表した雇用動向によると、1月の失業率は4.5%で、前年同月比0.8ポイント悪化した。1月としては、リーマン・ショックの影響が残っていた2010年(5.0%)以来の高さだった。また、失業者数も122万4000人と1年前に比べ20万4000人増加し、1月では00年(123万2000人)に次ぐ多さとなった」

     

    文政権は、失業統計の発表を「原数値」(元データ)に換えてしまった。本来ならば、「季節調整値」にすべきだが、それを止めさせたのだ。原数値では、月々の変動が激しいので季節調整する。ところが、1月の原数値の失業率が「4.5%」となった。季節調整値にすれば、これほど高くなるはずがない。「策士、策に溺れる」という感じだ。自分で自分の首を締めている。

     

    ともかく、1月の失業率は前年同月比0.8%ポイントも高くなった。失業者は122万4000人と1年前に比べ20万4000人増加し、1月では2000年(123万2000人)に次ぐ最悪事態だ。これまで、失業者が100万人を超えて問題になってきたが、今やそんな域を超えている。文大統領は、この厳寒期に仕事を失った人々が122万人もいることに陳謝すべき立場である。自らの最低賃金の大幅引上げが招いた「事故」であるからだ。

     

    (2)「就業者数は2623万2000人で、前年同月比1万9000人増えた。増加数は昨年8月(3000人)以来の低水準にとどまり、政府が提示した今年の目標(月平均15万人)にはほど遠い。増加数の推移をみると、昨年7月から4カ月連続で10万人を下回り、11月は16万5000人に拡大したものの、12月は再び3万4000人に鈍化。先月は2万人も割り込んだ。統計庁は、製造業を中心に雇用不振が続いている上、昨年1月の増加幅(33万4000人)が大きかった反動もあると説明した」

     

    政府が、目標とする月平均の就業者増加数は15万人である。1月実績は、たったの1万9000人である。目標の13%に過ぎない。これで、政治と言えるのか。「倒閣運動」が起っても当然の事態である。だが、肝心の労組は文政権の支持母体である。しかも労組は大企業労組で組織されているので、差し迫った雇用の心配はない。現政権の下では、雇用悪化が政治問題にならない仕掛けになっている。報われないのは、未組織労働者である。踏んだり蹴ったりである。


    韓国統計庁が先月31日に発表した景気の先行指数は、昨年12月まで一致指数とともに7カ月連続で下落している。2つの指数が7カ月連続でともに下落したのは、第1次オイルショック当時の1971年7月から1972年2月まで8カ月連続下落して以来の最長記録となっている。 景気動向に関心を持つ者ならば、誰でも「これは危ない!」と思うはずである。ところが、政府は馬耳東風である。経済知識がないから無関心なのだ。救われないのは国民である。

     


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    中国経済をめぐる話題で明るいものはない。個人消費は停滞予想が強まっている。春節の小売りの伸び率は、前年比8.5%増と2011年以来の低い伸びに止まった。一方、今年の自動車需要の回復説が登場した。これは、まことに得がたい見解で、その根拠を見ることにする。

     

    『サンケイビズ』(2月11日付)は、「今年の自動車市場は持ち直す」と題する記事を掲載した。筆者は、日本総合研究所の関辰一氏である。

     

    (1)「18年の年初には、小型車減税措置の完全終了によって、販売台数が落ち込んだ。排気量1600cc以下の小型車の取得税率は通常10%だが、政府は景気てこ入れのために、15年10月から16年末まで税率を5.0%、17年中は7.5%と低めに定めて自動車需要を刺激。この結果、この2年間の販売動向は11年以降のトレンドから上振れたものの、減税措置が完全終了した18年には逆に下振れる動きが現れた。特に地場ブランドは減税措置による恩恵が大きかった分、反動減も大きかった。さらに年後半には、株安や米国車の買い控えによるマイナス影響も加わり、販売動向は急速に悪化した。だが、次の3点を受けて早晩、販売減少に歯止めがかかり、持ち直しに転じると見込まれる」

     

    小型車(1600cc以下)の取得税(10%)減税は、これまで次のような過程で実行されてきた。

    15年10月から16年末まで税率を5.0%

    17年中は7.5%へ

    18年は10%へ

     

    自動車取得税の計算式は「新車価格(含む増値税)÷1.17(増値税率)×自動車取得税率」である。この算式によると、10%取得税は、次の例に見られるような金額になる。諸戸和晃氏の試算による。

    税込新車価格9万元 1923元(約3万700円)
    税込新車価11万元 2350元(約3万7000円)
    新車価格13万元 2778元(約4万4000円)
    新車価格20万元 4274元(約6万8000円)



    以上のような取得税がどれだけ減税されるのか。まだ、詳細は不明だが、過去の例から最大限5%程度であろう。問題は、この取得税減税が直接に需要増へ結びつかないことに留意すべきだ。

        自動車普及率が20%に接近しつつあること。日韓も、20%接近で自動車販売は鈍化している。中国は現在、18%近辺にあることに留意すべきである。

        減税は、需要の先食いであること。減税を中止すれば、売上が落ちることにそれが現れている。過去の減税で需要の先食いがかなりの規模で進んでいる。

        中国の信用機構が破綻しつつあるので、銀行の新規融資が困難になっていること。自動車ローンは高級車にはつくが、低価格車にはシャドーバンキングが貸し手であり、融資が困難な状況。

     

    以上の3点から、私は関氏の主張は実現が難しいと判断する

     

    (2)「第1は、政府による自動車需要刺激策だ。1月29日に中国の中央政府は、「供給最適化による消費安定成長で強大な国内市場形成を促進する実施方案」を発表し、地方政府に対して自動車購入補助金の導入を容認すると表明した。同方案では、補助金の規模は明記されていないが、マクロ経済は厳しい局面にあることを踏まえれば、補助金の規模は一定以上となるだろう。このところは輸入総額急減など、リーマン・ショックが発生した08年、チャイナ・ショックがみられた15年と似た不気味な動きがみられる。このため、景気対策の中でも即効性の高い自動車需要刺激策が求められる局面だ」

     

    地方政府は、財政的に逼迫している。インフラ投資の資金も調達しなければならない。自動車減税にどれだけ財源を回せるか。竜頭蛇尾の恐れが大きい。過去の成長率が高かった頃と状況は全く変っている。

     

    (3)「第2は、米中対立の緩和である。貿易戦争が一段と激化すれば、減速感が強まる内需に加え、外需からも景気下押し圧力が強まりかねない。それを懸念する中国政府は、米国に譲歩するスタンスに転換しつつある。3月に追加の関税引き下げが回避されれば、株価が回復するだけでなく、米国車を買い控えする動きも弱まると見込まれる」

     

    3月に追加関税が見送られても、米中貿易戦争が完全解決するはずがない。米中の覇権が絡む以上、米国は中国包囲網を執拗に展開するであろう。米国は、中国が白旗を掲げるまで、関税引き上げを武器に使って圧迫すると見る。

     

    (4)「第3は、所得水準の上昇による長期的な市場拡大である。今年も、名目所得は年率5~10%程度の上昇ペースを保つとみられる。中国の自動車普及率はいまだ7人に1台と、日本の2人に1台に遠く及ばない。所得水準の上昇を受けて、普及率がさらに高まる可能性が高い。以上のことから、自動車販売落ち込みは短期間のうちに終息すると判断できる。下振れ要因が薄れるにつれ、再び自動車販売は回復トレンドに戻っていくだろう」

     

    このパラグラフは、相当のバラ色に染められている。先ず、中国経済が不動産バブル

    による過大債務を負っていること。その認識が100%欠如している。中国が、「中所得国のワナ」に陥るリスクを考える時、「名目所得は年率5~10%程度の上昇ペースで続く」という想定は不可能であろう。

     

    また、「中国の自動車普及率はいまだ7人に1台と、日本の2人に1台に遠く及ばない」という前提も非現実的である。自動車は、「所有」から「利用」に焦点が移っている。シェラリング時代である。ましてや、自動車は個人単位で持つものでなく、家庭単位であろう。自動車の免許証の数ほど、自動車保有台数が増える訳でない。私の結論は、少なくも今年すぐに回復トレンドに乗るのは無理である。家電の補助金は3年間である。これだけの期間、需要は増えないという想定である。自動車も3年は必要であろう。


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    血は水よりも濃し、である。国際的な危機に直面すると、米英は協調して行動する。対中国戦略をめぐり、EU(欧州連合)への説得に動いているからだ。

     

    米国は、ファーウェイ(華為技術)製品の締出しでEU各国を説得している。英国は、中国のハッカー集団である「アドバンスト・パーシステント・スレット(APT)10」のハードとソフトの両面の実態をEU各国へ提供して、その脅威ぶりを説明している。ともに、自由と民主主義を独裁国家・中国から防衛するという危機感からだ。

     

    米国の、ファーウェイ製品をめぐる対EUへの説明は、次のようなものだ。『ブルームバーグ』(2月8日付)は、「中国の華為製品使用なら米国との取引は不利に」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国のゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)大使は7日、西側諸国が華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)などの中国製設備を重要インフラプロジェクトに使用することを認めるなら、米国による対抗措置のリスクに直面することになると警告した今回の警告は、トランプ政権が欧州や北米、他の同盟国で第5世代(5G)移動通信網や自動運転車、他のテクノロジーセクターの高額契約から中国企業を全面的に締め出そうとしていることを示す新たな兆しとなる。EUはサイバースパイや知的財産の窃取に関与した企業や国家に対する新たな制裁制度の導入を検討している」

     

    米国は、北米・欧州・日本などを含む全同盟国から、ファーウェイ製品を閉出す決意である。具体的には、第5世代(5G)移動通信網、自動運転車、他のテクノロジーセクターの全分野が、安全保障と密接に絡むためだ。

     

    ファーウェイは、中国国内で収益の約半分を上げている。約27%を占める欧州・中東・アフリカはそれに続く第2の市場とされる。その大半を占めるといわれる欧州で、締め出だされることは大きな痛手になる。ざっと利益の4分の1を失う計算だ。

     

    ファーウェイが、中国政府と密接な関係にあることは、周知の事実になっている。ファーウェイ側は強く否定しているが、もはや動かぬ事実と受け止められているのだ。このファーウェイとの関係で、ハッカー集団の動きが注目の的になっている。

     

    『ブルームバーグ』(2月12日付)は、「EU、中国ハッカー集団への対抗策を検討-英が情報提供と関係者」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「欧州連合(EU)加盟国は、ネットワーク侵入に関する英国からの情報提供を受けて、中国政府とのつながりのあるハッカー集団によるものと疑われるサイバー攻撃への対抗策を共同で検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。非公開情報であることを理由に一部の関係者が匿名を条件に語ったところでは、『アドバンスト・パーシステント・スレット(APT)10』として知られる集団によるソフトウエアとハードウエアの両方への攻撃を裏付ける証拠が、1月28日の実務者会合で英国の専門家から他のEU加盟国の専門家に提供された。この情報が極秘扱いだとして、ハードウエアへの攻撃を巡る疑惑の詳細を関係者らは明らかにしていない」

     

    英国は、中国ハッカー集団「APT10」の手口(ソフトウエア)とハードウエアの両面について、EU各国へ具体的に説明したという。この貴重な情報が、EU各国に共有されたことは、中国にとって痛手であろう。悪事千里を走るというから、これから中国を見る目がぐっと厳しくなるだろう。

     

    (3)「関係者2人によれば、実務者会合では制裁や共同での警告といった可能な対応策が協議された。中国によると疑われるスパイ活動や知的財産権の窃盗行為に欧米各国が対抗する中で、APT10が焦点に浮上している。米司法省は昨年12月に中国人ハッカー2人の米国での起訴を発表し、同国をはじめ十数カ国での企業システム侵入など、約10年にわたり中国当局がスパイ活動を画策してきたと主張したが、中国側は強く否定。APT10は、起訴事実となったスパイ活動で中心的役割を果たしたとされる。関係者の1人によると、英国が提供したAPT10に関する証拠は、それらの起訴に関係するものだという」

     

    中国は、ハッカー集団APT10を使って、欧米各国へスパイ活動や知的財産権の窃盗行為を続けてきたと見られる。英国が、その最高機密をEU各国へ伝授したもの。中国は、よくぞここまで汚い手を使ってきたものだと呆れる。

     


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    日本は、中国ファーウェイの「5G」導入を拒否したが、同じ拒否組の英国に冷たい態度だ。日本に対しては、ファーウェイの「ファ」の字も言わないのに、英国へ侮辱的な言動を取っている。中国は、日本に対して利用価値があると踏んでいるからだろう。

     

    こういう点が、中国の成り上がり者的国家としての未熟さだ。韓国も同じである。日韓のGDP規模が接近したからと言って、過去には絶対言わなかったことを口に出す。儒教文化圏の即物性を見せつけられているようで不快に感じる。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月12日付)は、「中国の地方政府首脳による訪日急増、日本企業の誘致活発化」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の地方政府が日本企業の誘致活動を活発化している。地方政府首脳が日本を訪問する件数は2018年下期に、同上期に比べ2倍超に増加した。日中関係の改善を受けた動きだが、目先の景気の下支えとなる投資を呼び込みたい思惑も透ける。『省長が2度も足を運ぶのは前例がない』。三菱UFJ銀行の幹部は話す。四川省の尹力省長は18年、2度にわたり日本を訪れた。20年に開港する新空港の周辺に『日中産業園区』の建設計画があると強調、日本からの投資に期待を寄せた。湖北省の王暁東省長、江蘇省昆山市の杜小剛・市党委書記も日本でセミナーを開いている。三菱UFJ銀が関与した地方政府の日本訪問件数は18年後半に16件にのぼり、同年前半の7件から急増した」

     

    中国は、「一帯一路」でも日本を引入れようと必死だ。落ち目になると必ず、日本を頼ってくる。韓国と同じである。困った時の日本頼みだ。それにつけても、中国外相の王毅氏の傲慢な態度は忘れられない。外交官でなく恫喝屋のイメージである。彼自身、日本で嫌われていることを自覚しているのか、最近は表面に現れなくなった。国家も個人も同じである。陰日向なく交流できることが、信頼をつなぎ止める要因である。

     

    中国地方政府が、日本企業の誘致で日本へ熱いラブコールを送っている。高度技術を持ち込んでは窃取される危険性が高い。ここで一つ、頭に入れておくべきことがある。中国は市場としての魅力が、時間の経過とともに低下する点だ。出生率低下という人口動態から見て、急速に「老人国家」に転落する。「豊かになる前に高齢化社会」という悲劇に陥る。これは、文字通りの悲劇になる。日本企業は、内乱・騒乱の類いに巻き込まれないことが必要になろう。

     

    (2)「中国のGDP伸び率は18年に6.6%28年ぶりの低水準になった。地方政府には、日本企業による投資で景気減速を補いたいとの思惑がある。『幹部の人事考課に、日本を含む外資誘致が含まれている』との声もあった。中国事業を拡大したい日本企業にとって、日中関係が改善傾向にあり、地方政府が日本からの誘致を競うことは追い風となる。もっとも米中貿易戦争の行方など不安材料も多く、どれだけの企業が「ラブコール」に応えるかは見通せない」

     

    潜在的な社会不安を抱える中国は、果たして安定した投資先であろうか。中国地方政府トップが、ここまで慌てふためいて「日本へ日参」し始めたことは、背に腹を換えられという切羽詰まった事情があるからだ。そうでなければ、ここまで掌を返すような振る舞いをするとは思えない。国内に緊急事態が発生しているのであろう。重量型の投資は危険である。

     

    『レコードチャイナ』(2月6日付)は、「ファーウェイ排除したが、英国はなぜ中国の助けを必要としているのか」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国メディア『中油網』(2月4日付)は、米国に追従してファーウェイの5G設備参入禁止の意向を示している英国が、一方で中国に助けを求めるしぐさを見せていると報じた。記事は、5日の春節に合わせて英国の首相官邸のドアに『丹鳳呈祥龍献瑞、紅桃賀歳杏迎春』という対聯が張り付けられたとし、英国史上初めて首相官邸に中国の対聯がお目見えしたと伝えた。また、対聯のみならずメイ首相が『英国は在英華人の家である。英中両国関係が引き続き向上する中、全世界の各地で中国の新年を祝う人々に、もっとも美しい祝意を示します』との談話を発表したことを紹介している」

    中国は、英国が中国にお世辞を言っていると怒っている。大人げない態度だ。そう言えば、日中関係が厳しい時代、安倍首相が祝辞を送ってもメディアに紹介もしない「お天気屋」国家だ。その日本に、今度は中国がお世辞を言い揉み手をして現れている。英国を貶(けな)して、日本にお世辞を言う。なんとも言えない中国の「二重性」を感じる。

     

    (4)「記事は、『英国が突然、中国に愛想を振りまいたのは、中国が世界第2の経済大国であることを重要視したからである可能性がとても高い。ブルームバーグによると、予定どおり英国の欧州連合(EU)離脱が実現すれば英国の経済成長は17%へ低下するが、離脱が先延ばしになれば経済成長がさらに鈍化する可能性があるという』とした」

     

    中国は、自国経済がふらついている現実を自覚していないようだ。GDPの300%に及ぶ債務を抱えた中国が、英国を下に見る言い方は尊大そのもの。国の品格が分る話だ。


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