勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    a0960_008712_m
       

    私のつれづれ日記㊶で、話題の「老後資金2000万円説」を取り上げました。お三方の読者からコメントを頂きました。すでに読まれた方もおいでとは思いますが再度、掲載します。新聞報道とは違う貴重な「生の声」です。どうぞ、もう一度お読みくださるよう、お願い申し上げます。

     

    (1)「本日のつれづれ日記を拝見し、勝又さんが戦前生まれであることを始めて知りました。大変失礼しました。
    書かれることの深みから、そこそこの年齢の方とは察していましたが、あまりにも精力的に書かれるものですから、もっと若い人かと思っていました。
    これからもご自愛のうえ、世情に疎い者のために、幅広い知識と叡智で、世界の動きを読み解いて頂きますよう宜しくお願いします」
    2019-06-16 09:03:40 名無しさん

     

    (2)「最近のマスコミの質的低下にはただただ呆れるばかりです。老後の生活設計は各自独自に行うべきもので、年金に加えていくら必要なのかは各自の事情によって大きく違う筈です。それをマスコミは鬼の首でもとったかのように、厚生年金だけでは平均2000万円足りないから年金崩壊だと大騒ぎし、一般市民を煽動するのは害悪以外の何物でもありません。国民はそこまで愚かではありません」2019-06-16 12:06:32 名無しさん

     


    (3)「勝又様
    いつも拝読させて頂いております。
    マスコミが国民を不安にさせる情報を流すのは、ある意味いつものことかとおもいます。 (2)の方が仰られているように、年金に加えていくら必要かはまさしく人によることだと思います。年金に限らず「人による」「一概に言えない」のに無理やり一括りにしようとしてるニュースが多いような気がします。そもそも年金は国がやってる最低限の保険制度にすぎないということを忘れている方も多々いらっしゃるような気がします。
    いつも有益な情報ありがとうございます。
    どうかご自愛ください」
    2019-06-16 22:48:15 ある意味平常運転?

     

    テレビのワイドショーでも早速、扱っていますが、「当事者」の声はなかなか聞かれません。人間は「考える葦」とパスカルは言いました。ただ、ボーとして生きて来たわけではないはずです。政府が、必要な老後資金の具体例まで口出しするのはいかがかと思います。お金は確かに必要で大事なものです。それは「条件付き」と思います。人生のすべてがカネのために生きるのでは、詩も文学も芸術も必要なくなるように思います。すべては「ほどほど」に。程度問題ということでしょうか。


    a0960_006624_m
       


    中国経済を支えたのは、不動産バブルと技術窃取である。この二つが、中国の存在を過大評価させた理由だ。中国を評価する場合、GDPの規模だけに目を向けて、いずれ米国を抜くと錯覚している。中国経済について心血を注いで研究をしたこともなく、他人の主張を鵜呑みにした「中国論」ほど、害毒を流すものはない。

     

    中国に本当の潜在成長力があるならば、不動産バブルを意図的に長引かせ、あぶく銭を必要とする「短期戦略」をするはずがない。また、基礎技術力があれば、先進国から技術を盗み出す卑劣な行為を重ねるはずがない。経済倫理感欠如の中国ではある。だが、国家先導によって技術窃取して来た例は、人類史上初めてである。

     

    こういう中国が、ついに墓穴を掘った。柄にもなく、世界覇権に挑戦すると「竹馬」に乗った結果、米国がその竹馬の足を払ったのである。その上、不動産バブルで補給線は伸びきっている。新たな物資(成長率プッシュ)を届けられない状況に追い込まれている。米国が貿易戦争を仕掛ければ、もんどり打って竹馬から落ちる局面だ。

     

    中国の超高度成長を実現させた「一人っ子政策」が、人口面の潜在成長力を極限まで破壊した事実を無視している。この点については、最後に触れる。戦時中の日本が、大東亜共栄圏の夢に酔った以上の夢を持ち始めた中国だ。客観的な分析もないままに世界覇権論を口外して、米国の逆鱗に触れたのが現在の状況である。

     

    『中央日報』(6月17日付)は、「米中貿易戦争で片方に寄るのは致命的敗着」と題するコラムを掲載した。筆者は、李熙玉(イ・ヒオク)/成均館大政治外交学科教授/成均中国研究所長/リセットコリア外交安保分科委員である。

     

    (1)「今回の(貿易)戦争は米国が中国の浮上ペースを落として覇権を強化する時間を確保するためのものだった。中国もここで引けば「中華民族の偉大な復興」の夢が水の泡になると判断して背水の陣を敷いたのだ。 したがって米中貿易戦争は今後、通貨、エネルギーと資源、標準と規範、体制と制度などあらゆる領域に拡大する可能性が高い。特に米国は同盟国にも中国の新たな脅威に共同対処することを要求する一方、戦線から離脱すれば友邦と見なさないという脅迫もしている」。

    ここでの認識は、米中が互角の勝負と見ている。現実は、互角どころか大きな格差がある。この筆者は、米国が覇権国であることを忘れた議論をしている。ここに間違いの原点がある。米国ドルは基軸通貨である。世界中で通用する通貨だ。人民元は、ローカル・カレンシーに過ぎない。世界の金融情報は、すべてワシントンに集まるシステムである。

     

    米国の市場は世界一の厚みを持っている。この米国市場へアクセスできるのは、「特恵である」とトランプ氏が自慢するほど。要するに、米国市場の持つ絶対的な力が、米国経済の力をさらに大きく押上げている。米中問題を議論するならば、この程度の認識を持つべきである。米中が、互角という前提は完全な誤りである。

     

    (2)「両国は相手を完全に屈服できず、相互依存が深まった状態で休戦を模索するはずだ。そのきっかけは6月末に大阪で開催されるG20(20カ国・地域)首脳会議になるかもしれず、次期米大統領選挙を控えた特定の時点になるかもしれない。このように見ると、現在の局面は休戦を控えて経済領土を拡大するための最後の戦闘と見ることもできる」

    米国は、米中貿易戦争が長引けば長引くほど、サプライチェーンの再編成に乗り出す。中国にある製造機能を、外国へシフトさせることだ。産業の空洞化現象が始まる。これは、米中の相互依存が「分解」することで、「相互依存」とは逆方向である。米国政府は、中国との関係を希薄化させる方向へ進んでいる。米国が、TPP(環太平洋経済連携協定)へ復帰するようなことがあれば、中国を完全に米国市場から切り離しできるのだ。この現実を知るべきである。


      
    (3)「中国もこの戦争を復碁して、次のような未来戦略を準備するだろう。

        技術の自主化を高度化し、バリューチェーン体系の国内化を模索する一方、レアアース(希土類)のような供給リスク指数が高い鉱物資源の戦略的価値を再点検する。

        「供給側構造改革」を通じて製品と企業の競争力を改善し、内需中心の発展戦略を通じて経済体質を変える国家主導型の構造調整を本格化する。

        創業と教育革新を通じて科学技術人材養成に総力を挙げ、世界が中国に知識財産権の使用料を支払うようにする。

        中国系通信ネットワークに対する米国の報復措置に対して「国家技術安全保障リスト」を作成するなど正面対抗カードを準備する。

        ロシア・中央アジアに続いてアフリカ連合(AU)55カ国にもファーウェイ5G網を構築しながら戦略的友軍を確保する」

    中国は、前記5項目によって米国に対抗するだろうと指摘している。この実現性はあるだろうか。

        自主技術の育成は、これまで不可能であったから技術窃取してきたもの。米国から技術制裁を受ければ、ますます困難になる。レアアースは無意味であることを、私は繰り返し指摘してきた。

        供給構造の合理化は、市場経済において初めて可能である。国有企業中心の中国経済では不可能である。

        中国は、これまでに技術窃取してきた特許料を支払うことが前提になる。

        ファーウェイの「G5」に仕掛けられている「バックドア」問題は、安全保障の基盤を破壊するだけに米中それぞれの陣営が分かれるべきである

        中国陣営は、発展途上国グループだ。米国陣営と別々になる場合、中国陣営は世界最大市場の米国市場へのアクセス権を失うことを意味する。中国が自陣営で経済支援することは不可能になる。中国自体が米国市場へのアクセス権を失った状態で、慢性的な経常赤字が不可避になるからだ。

     

    ここに列記されていることは、中国側の情報であろう。総論として言えることは、実現不可能である。中国の劣勢は明白である。米中の100年覇権戦争など考えられない。中国が、それに耐えられる潜在成長力を欠くからだ。合計特殊出生率は現在、余りの悪化で公表を抑えているほど。「1」を割っていると見られる。米国の合計特殊出生率は、「1.77」(2017年)である。合計特殊出生率は、端的に潜在経済成長率を示す指標である。この米中比較だけでも、「100年覇権戦争」はあり得ないのだ。


    a0001_000269_m
       

    ファーウェイの任CEOは、これまで米国を茶化すなど鼻っ柱の強さを見せてきた。それも過去のこと。ついに、スマホの4000万台減産を発表するまでに追い詰められた。弱味を握られた側は、静かにしているべしという教訓を得たであろう。

     

    『日本経済新聞』(6月18日付)は、「ファーウェイ、スマホ4000万台減産 海外販売4割減、米の禁輸措置響く」と題する記事を掲載した。

     

    同社の経営トップの任正非・最高経営責任者(CEO)が17日、広東省深圳市の本社で米有識者と対談し、今後の経営の見通しを明らかにした。米制裁の影響を数値で対外的に公表するのは初めて。

     

    (1)「中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は17日、米国による制裁の影響で今後2年間は売上高が計画比で計約300億ドル(約3兆3000億円)減るとの見通しを明らかにした。主力のスマートフォンの世界販売は19年に2割減となり、特に海外販売が4割減と大きく落ち込み、年間4000万台の減産が見込まれる。多くの部品を米国や日本など海外に依存しており今後、世界のサプライチェーン(供給網)にも大きな影響を与える」

     

    ファーウェイ・スマホは、グーグル・ソフトを使えないデメリットが計り知れない。自社ソフトでは、ユーザーが受け入れないので減産はやむを得ない。今後、回復する見込みがあるかといえばない。ジリ貧を辿る公算が大きくなってきた。

     


    (2)「任氏は、年間売上高について「今後2年間は年1000億ドル前後になるだろう」と述べた。ファーウェイの18年の売上高は1051億ドル(約11兆4000億円)。19年は約2割の増収を計画していたが、減収に転じる可能性を示唆し、20年までほぼ成長が止まるとの見通しを示した」

     

    2020年までは売上高は横ばいが続く。それ以降はどうなのか。ソフト問題が未解決であるかぎり、解決策はない。

     

    (3)「特に全売上高の約5割を占めるスマホが影響を受ける。同社は18年に世界で約2億台を出荷した。そのうち約1億台が海外向けだが、19年は年4000万台程度減る見込みだ。日本のスマホ出荷は年3000万台強で、ファーウェイの減産はそれを上回る規模となる。任氏は5月下旬に「(米制裁で)当社がマイナス成長になることはない」と述べていた。だが、影響が予想以上に広がり、1カ月もたたないうちに業績の下振れを認めざるを得なくなった。今後、スマホ同様に米国など多くの部品を海外からの調達に依存する次世代通信規格「5G」関連の成長事業にも影響が広がる可能性がある

     

    本命は、「5G」である。米国企業からソフトと半導体供給を受けて、地歩を固めてきたのが現実だ。その支え棒がなくなる以上、「5G」の分野で出遅れが不可避である。米国が徹底的な「反ファーウェイ」を展開しているので、その影響は大きいであろう。

     

     

     


    a0001_000268_m
       

    中国経済は、「メルトダウン」という言葉が当てはまる状況になってきた。販売業者から、中小銀行12行が発行する「銀行引受手形」を受け取らないように「お触書」がまわった。

     

    銀行引受手形とは何か。

     

    販売先と掛売り取引する際に、販売先の取引銀行が支払いを保証する「銀行引受為替手形」である。与信リスクを低下させる決済手段として、有効な手段になってきた。その肝心の「銀行引受手形」で、現金を支払われないリスクが高まっているのだ。世も末である。

     

    こうなると、現金決済だけが唯一の安全な取引になる。中国ビジネスの末端では、ついに信用崩壊の末期症状を見せ始めてきた。

     

    『大紀元』(6月15日付)は、「中国中小銀の金融リスク増、12行が経営難か」と題する記事を掲載した。

     

    中国国内12の地方商業銀行が信用リスク拡大のため、「銀行引受為替手形」の受取りを拒否されたことが分かった。中国当局が5月末、内モンゴル自治区の包商銀行を公的に管理下に置いたと発表したばかりである。

     

    (1)「中国経済学者の夏業良氏は12日、YouTubeに投稿した経済評論動画で明らかにした。夏氏が国内から入手した情報では、安徽省のある電機企業が社内に送った通達で、支払いに問題が起こらないように、今後12の銀行の「銀行引受為替手形」を受け付けないようにと指示した」

     

    (2)「12の銀行には、中国東北部にあるハルビン銀行、錦州銀行、盛京銀行、西北部にある甘粛銀行、蘭州銀行と、山東省と天津市の一部の銀行がリストされた。ほとんどが上場金融機関だ。中には香港市場に上場している盛京銀行は、遼寧省瀋陽市に本部を置き、地元の有力都市商業銀行として業務を拡大してきたものもある」

     

    香港市場に上場している銀行までが、危険銀行扱いされる状況になっている。不動産バブルで背負い込んだ不良債権が経営を圧迫しているにちがいない。

     


    (3)「夏業良氏は、中小銀行の金融システムが崩壊する前兆であると強い危機感を表した。同氏は、与信リスクが一段と拡大することで、今後数年間に中小銀行が連鎖的に破たんする恐れがあるとの認識を示した。夏業良氏は、中国の金融機関は上場しているが、実質上、国有資産だと指摘した。「中国当局は銀行の連鎖破たんを回避するため、最終的に国有資産管理会社(AMC)が問題の中小銀行を買収し、財政部(財務省)が不良債権を全部抹消する可能性が高い

     

    中国人民銀行は、5月に地方の商業銀行の預金準備率を段階的に引き下げる計画の詳細を発表していた。地方の商業銀行を対象に預金準備率を5月15日、6月17日、7月15日の3段階に分けて引き下げるもの。中小銀行の経営危機救済目的も含まれている。6月17日、預金準備率引き下げ第2弾で約1000億元(144億4000万ドル)相当の長期資金が供給された。

     

    預金準備率引き下げで貸出能力の拡大を図るが、すでに焼け石に水の状況であろう。破綻銀行は、政府が買収し財政資金で穴埋めするという。不動産バブルでひとときは税収も増えたが 、最後は財政資金で尻ぬぐいである。中国経済の末路を示している。

     

     

     


    a0001_000088_m
       

    好況を謳歌した半導体市況が落込んでいる。ファーウェイ問題が、市況回復の大きな重石になってきた。過去の半導体市況も変動が激しく、韓国のような財閥企業が株主の存在を無視した大型投資で生き延びてきた独特の産業構造を形成している。その盟主になったサムスン電子の今年の営業利益は、昨年比で半減見通しが強まってきた。韓国の法人税に穴があくだろう。文政権にとって、頭の痛い問題が発生してきた

     

    『韓国経済新聞』(6月17日付け)は、「サムスン電子、今年の営業利益半減か」と題する記事を掲載した。

     

    サムスン電子の業績を支える半導体とスマートフォン事業の競争力が揺らいでいる。米中貿易紛争の余波などによりスマートフォンとメモリー半導体の需要が減り、今年のサムスン電子の営業利益は昨年の58兆8900億ウォンの半分にも満たないとの見通しが出ている。半導体不況は来年まで長期化する可能性まで提起されている。

    (1)「サムスン電子高位関係者は16日、「4-6月期に入り半導体事業をめぐる外部環境が急速に悪化している。会社内部でもメモリー半導体の業況が年末まで回復しないだろうとの意見が多数」と話した。彼は「今年と来年の半導体事業戦略をすべて組み直している」と付け加えた。サムスンはこうした内部見通しを来月の4-6月期業績発表会の際に株主と投資家に説明する計画だという。サムスン電子は4月末の1-3月期業績発表会当時だけでも「4-6月期には需要の段階的な回復傾向を期待する」(メモリー事業部チョン・セウォン副社長)としていた」

    当初の楽観的な見通しは、完全に狂った。今年4月からの回復を見込んでいたのだから落胆ぶりは大きい。世界経済の伸び鈍化予想から見れば、来年の回復も困難であろう。米中貿易戦争の帰趨がカギを握る。中国の動き次第となろう。

     

    (2)「市場でも楽観論は見つけるのが難しい。グローバル市場調査会社のDRAMエクスチェンジは7日、当初前四半期比10%と予想した7-9月期のDRAM平均販売価格(ASP)下落幅を10~15%に修正した。10-12月期もこれまでの下落幅予想値の2~5%より大きい10%の下落を予想する。PC業界を中心に取引されるDRAM固定価格(DDR4・8Gb基準)は5カ月連続で大幅に下がり最近は4ドルを割り込んだ」

    DRAM市況は、4月から急速に悪化している。7月以降、前期比予想の下落幅は鋭角的な落込みとなってきた。警戒が必要だ。

     

    (3)「半導体業界は今後景気見通しが不透明になれば昨年の半導体スーパー好況を牽引したサーバー顧客も今年計画した投資を先送りする可能性があるとみている。米中貿易紛争の余波により中国でアップルのiPhone販売が減る点も負担だ。 ファーウェイ問題で利益が予想されたスマートフォン事業も期待ほどの成果を出せないという観測が提起されている。スマートフォン市場全体で成長が鈍化している中でトップ企業間の価格競争が激しくなり収益性が急落するとみられる」

    ファーウェイ問題の「反射利益」は見込み薄という。業界全体が沈没すれば、パイの奪い合いどころの話でなくなるからだ。需要が上り坂であれば「反射利益」も期待できるが、そのような状況ではなくなってきた。ただ、中長期的には、ファーウェイ問題は、サムスンの利益になる。

     

     


    このページのトップヘ