勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    テイカカズラ
       

    韓国が、GSOMIA(日韓軍事情報総括保護協定)を破棄した理由は、単なる日本への嫌がらせといったレベルの話でなく、中国への深い傾倒が理由である。韓国左翼の発想であるが、文政権は左翼政権である以上、この陣営論理からの脱却は難しいであろう。韓国左翼は潜在的に日本を敵視しており、どんなことがあっても日本と手を結ばないという強い決意を滲ませている。日本はあらかじめ、こういう韓国左翼思想を知っておくべきだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(10月16日付)は、「韓日GSOMIA終了、その先にある問題」と題する寄稿を掲載した。筆者は、キム・ペクチュ西江大学社会科学研究所常任研究員である。

     

    GSOMIA終了発表の余震は続いている。保守マスコミは依然として韓米同盟の亀裂を理由に、効力が満了する1122日までに韓日GSOMIAを元に戻さなければならないとの世論を煽っている。朝米交渉が失敗すれば、その責任もそこに求めるだろう。文在寅(ムン・ジェイン)政府の中にも、条件付きとはいえ韓日GSOMIA終了の再検討意見が存在する。天皇即位式を契機に韓日政府間の対話が再開されれば、交渉カードとして使われるかも知れない。韓日GSOMIAの終了を主張した者として、その決定の意味を振り返り、その先にある問題、今後私たちが直面することになる韓米同盟の再調整問題を提起しようと思う。

     

    韓日GSOMIAの終了決定は、「果たして韓国にとって高度な韓日安保協力が必要なのか」という問いに対する返答だった。不都合でも高度な韓日安保協力を拒否しなければならない理由は、米日同盟との連係という観点から明確に確認することができる。

     

    (1)「第一に、韓国または韓米同盟が米日同盟と結びつく場合、韓国は中国の脅威に対応するための前哨基地に追い込まれることになるためだ。今年公開された米国防総省の「インド太平洋戦略報告書」では、米日同盟を「インド太平洋」戦略の「礎石」と規定し、韓米同盟は朝鮮半島を含む「北東アジア」戦略の「核心」と表現した。一見すると韓国も日本も重要な同盟パートナーとして同一視しているように見られるが、歴史的脈絡を考慮すれば深刻な差を表わした表現と見ることができる。要するに、韓日安保協力が高度化すれば、日本は戦略基地、韓国は最前方の戦闘基地になることを意味する」

     

    ここでは、日韓が歴史的な軋轢を抱えており、韓国は日本と「同盟」を組むことは心情的に困難である。ましてや、インド太平洋戦略に韓国が加われば、韓国が中国と対峙する戦闘基地、日本が戦略基地になって、日本の「盾」として利用されるだけという懸念を秘めている。この発想法の裏には、日本が明治維新以降、朝鮮半島をロシア進出の防衛線に利用したという軍事戦略の「焼直し」を踏襲している。これは、現代には通用しない時代遅れの防衛論である。

     

    日本にとっての安保戦略は、東シナ海と南シナ海の防衛にシフトしている。朝鮮半島の軍事戦略価値が大きく減ったのだ。こうして、日本における安保パートナー序列は変った。韓国は、これまで米国に次ぐ位置にあったが、アジア太平洋戦略では5位にランク・ダウンしている。新たな布陣は、米国・豪州・印度・ASEAN(東南アジア諸国連合)。そして、第5位に韓国がくる。繰り返せば、韓国がGSOMIAを破棄しても、日本の安保体制に致命的な欠陥をもたらさないのだ。アジア太平洋戦略が、日本の防衛線になったからである。

     

    (2)「第二に、韓米日の脅威認識が一致しないためだ。この間、韓米日安保協力は北朝鮮の脅威という共同の脅威に基づいて推進された。だが、朝鮮半島の平和体制構築が北朝鮮の脅威の除去または緩和を意味するだけに、少なくとも朝米非核化交渉が進行されている間には北朝鮮の脅威に対する韓米日の認識には差が出るほかはない

     

    ここでは、北朝鮮は軍事的な脅威でないとしている。米朝交渉に明るい期待を持っているからだろう。だが、安保体制は甘い期待よりも、最悪事態を想定して準備するものだ。机上の楽観的な防衛論は、百害あって一利なしである。

     

    (3)「韓国は、米・日とは違い、中国を現実的脅威としては認識しない。たとえ潜在的な中国脅威を認めても、現実的に中国を敵対視するいかなる集団防衛体制にも参加できない。中国を頭に載せて生きる朝鮮半島の地政学的運命といえる。したがって、私たちは高度な韓日安保協力要求を毅然として拒否しなければならない。韓国の安保に必要なのは韓米同盟であり韓米日同盟ではない。THAAD配備問題で確認した通り、米日同盟は韓国の安全に責任を負わない。米日同盟の前哨基地化要求を断固として拒否することにより、不要な紛争にまきこまれるリスクを除去しなければならない」

     

    韓国は、中国を現実的脅威として認識していないという。かつての宗主国・中国への依存心が現代でも生きているのだろう。THAAD問題で、中国から受けた理由なき経済制裁を甘受してでも、庇護を受けたいという気持ちだ。韓国がここまで意を決めて、中国に弓を引く形のGSOMIAを断固、拒否すべきというのだ。

     

    日本は、GSOMIAが継続していればそれも良し、破棄されても困るのは韓国であるという姿勢だ。韓国は自らの意思で決めるべきだろう。日本の基地が、韓国の防衛に使われることがなくなれば、韓国の防衛能力は大きく減殺される。日本が、米軍基地を利用させて、韓国防衛に間接的に協力する義務はない。韓国は、GSOMIAを廃棄するならば、日本の米軍基地利用も遠慮するべきなのだ。

     

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    韓国は、10月22日の天皇即位式に李首相が出席する。これを機に、日韓関係改善を狙っている。現状で困っているのが韓国であることを証明する話だ。一時の感情的な憤りで反日運動をやって見たが、冷静になれば韓国の方が困難な事態に追い込まれていることに気づいたのだ。

     

    反日不買運動では、韓国政府が自ら公用調達で日本品を外していたことが判明した。これは、WTO(世界貿易機関)の公用調達ルールに違反するものだ。韓国は、そのWTOへ日本を提訴している。「ホワイト国除外」が自由貿易ルールに違反するというもの。自国は、ルール違反をしながら日本を提訴する。二面性国家であるというイメ-ジを消しがたい。

     

    『韓国経済新聞』(10月17日付)は、「韓国政府まで『NOジャパン』加勢、輸出規制後に日本製品購入80%減る」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国政府の「日本不買運動」は話だけでなく行動につながった。16日に自由韓国党の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)議員が調達庁から提出させた「日本製品公共調達現況」を見ると、日本の輸出規制が始まった7月から先月までの政府官庁、地方自治体、公共機関の日本製品購入額は31億7000万ウォンで、1年前より79.3%減少した。日本製品輸入は1~6月にも36.9%減少した。だが輸出規制以降は減少幅が2倍以上に拡大した。7~9月に日本以外の外国製品と国産製品購入がそれぞれ23.7%と12.7%増えたのと対照的だ」

    韓国調達庁の調べでは、7~9月までの3ヶ月間で日本製品の公用調達額が、前年比で79.3%も減っている。韓国人の「瞬間湯沸かし器」的な行動パターンを示している。日本製品の公用調達額を減らした分は、外国製品と国産品の購入で穴埋めされた。この、公用調達から、日本品を外したことはWTO違反に該当する。

     

    (2)「調達庁関係者は、「政府が日本製品を排除しろと指示・勧告したことはない」としながらも、「各機関が輸出規制以降に日本から輸入していた製品を他の外国製に変えたり国産品を使おうとする動きが大きくなったのは事実」と話した。民間のように自発的な不買運動が広がっているという説明だ」

    これだけの日本製品公用調達額減少は、担当者の一存で行なったとは思えない。政府からの指示があったはずだ。そういう指示を出した韓国政府要人が、何食わぬ顔で天皇即位式に出席して「日韓友好」を語るとしたら大きな矛楯である。

     

    (3)「公共調達が多い日本製品は農機械や事務用品、冷暖房装置などだ。輸出規制対象である戦略物資ではない。それでも日本製品を輸入して後で問題が起きるかも知れないという理由などから日本製品購入を敬遠する機関が増加している。公共機関のある関係者は「輸出規制のような非常識な決定をした国ならば今後また何か問題を起こすかも知れないのではないのか。取引先として日本という国自体に対する信頼がすっかりなくなったもの」と話した。公務員と公共機関の職員が国民の反日感情を意識する側面もある」

    公共機関公用調達の担当者であれば、WTOルールを熟知しているはず。一存で日本品不買を決めるはずがない。韓国政府の指令であろう。

     

    (4)「日本製品排除運動では、政府まで乗り出した不買運動は望ましくないという指摘もされている。ソウル大学国際大学院の安徳根(アン・ドックン)教授は「対日関係が最悪に突き進んで企業心理が萎縮し、予定されていた日本企業の韓国投資が取り消されるなど直接的・間接的な被害が広がっている。1日も早く事態を解決すべきなのに政府レベルの不買運動まで行えば日本の政権を刺激し状況がさらに悪化するだろう」と指摘した。しかも公共調達市場で日本製品輸入額は年間1000億ウォンに満たない。不買運動をしても日本に実質的な打撃を与えにくいという話だ。効果はないのに副作用ばかり大きくなるだろうという懸念が出ている理由だ」

    この下線部分は正論である。日本企業も韓国への投資を見直しASEAN(東南アジア諸国連合)へ振り向けている。韓国の得べかりし利益が、他国へ流れている。貴重な雇用もだ。日本製品輸入額は年間1000億ウォンに満たない。日本円では、91億円程度である。これで、日本の反感を買い「大損」をするのだ。


    (5)「日本製品を排除する過程で、国際調達協定違反が発生する素地もある。世界貿易機関(WTO)政府調達協定は公共調達市場で20万ドル以上の物品を購入する時は外国企業の参加を排除してはならず、海外の供給者を国内企業より不利に待遇してもならないと規定している。秋議員は「政府は不買運動のような感情におぼれた行動をするのではなく、韓日経済紛争を理性的に解決することに集中すべき」と指摘した」

     

    韓国は、保守党議員の方が理性的である。経済の理屈が分るから話が通じやすい。保守党議員は、下線部分を理解しているのだ。

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    中国は、建国100年の2049年に世界覇権を握る夢を公表している。だが、世界の中央銀行の専門家は、そういう現実が来ないと見ている。今後25年、世界の基軸通貨は、依然として米国ドルと予測しているのだ。当然であろう。世界覇権を握るには、基軸通貨国にならなければならない。そのためには、国内市場を完全開放すること。また、世界の銀行のトップに立って金融センターになることが条件だ。現在の中国共産党には、そのような度量も力量もない。

     

    『ブルームバーグ』(10月16日付)は、「外貨準備、今後25年もドルが王者に君臨―中銀幹部がUBS調査で予想」と題する記事を掲載した。

     

    各国中央銀行の外貨準備担当幹部は、少なくとも今後25年間は米ドルが引き続き基軸通貨としての地位を維持するとみている。

     

    (1)「UBSアセット・マネジメントが、中銀30行を対象に行った調査によると、回答した幹部の66%はこの先25年間の準備通貨としてドルが引き続き選択されるとみている。国際通貨基金(IMF)が先月発表したところによると、世界の中銀が保有する117000億ドル(約1270兆円)規模の外貨準備のうちドルが占める比率は約62%となっている」

     

    トランプ氏が、米国大統領になってあちこちで摩擦を起こしているので、「米国嫌い」が増えていることは事実だ。そういう「反米国」は、外貨準備でドルの比率を下げ、金のウエイトを増やすなど、ささやかな抵抗している。だが、それはごく一部であり、米国ドルは圧倒的な価値と使い勝手の良さで他通貨を寄せ付けない。

     

    トランプ氏の自負は、米国市場の奥深さにある。この米国市場に直接アクセスできることだけでも、大変なメリットであると言い放っているのだ。中国が、米国によって特別関税を掛けられ「高いアクセス料」を支払わされている現状は、とうてい世界覇権の資格もないことを立証している。中国が、国内市場を保護主義でガードしている限り、横綱になれないことを示している。

     

    (2)「UBSのアナリスト、マッシミリアノ・カステリ、フィリップ・サルマン両アナリストは16日のリポートで、「ドルの独占的な地位は、外貨準備管理においては不変の特長だ。過去25年間、ドルの占有率は平均で60%を上回っている」と指摘。「この数十年、ドルの独占的な地位は近く終息すると幾度となく言われてきたことを考えると、この調査内容には驚く」とした。中国人民元がドルのシェアを徐々に奪うと予想されているが、人民元が今後四半世紀で準備通貨としてのドルやユーロの地位に並ぶとの回答は38%にとどまった」

     

    第二次世界大戦直後、フランスは米国ドルの基軸通貨制に反対して、米国へ挑戦し続けた歴史がある。だが、外国為替相場の変動制によって、「ドル危機」は解消しさらなる力を持つに至った。それが、米国市場の持つ魅力である。個人消費が、米国経済を動かしている現状は、他国にない魅力なのである。自由で創造的な社会の魅力は、他に匹敵する国がないのだ。

     

    米国ドルが魅力を失ってくれば、米国自身が自らのアイデアでそれを克服する。そういう能力を持つ国は、米国しかない。1929年の世界恐慌。さらに、2008年のリーマンショックの「火元」も米国である。だが、その危機を乗り越えたのは、世界史において米国しか存在しない。この一事をもってしても、米国の底力に脱帽せざるをえない。中国共産党は専制主義で、国民に選挙権も与えない国である。米国とは、次元が異なる。

     

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    文在寅大統領のやることなすこと、すべてが裏目に出ている。文氏は、32年に北朝鮮と五輪共同開催構想を打ち上げ、自信満々であった。しかし、肝心の北朝鮮がこの構想に水を差すような行動に出ている。文氏との認識ギャップは、嫌と言うほど目立っている。

     

    サッカーのワールドカップ(W杯)予選で、韓国は29年振りに北朝鮮と対戦した。平壌で開催された試合は何と、「無観客」・「無放送」という異常な雰囲気で行なわれた。試合は「引き分け」であり、およそスポーツの常識である「平和の祭典」とほど遠い結果となった。

     

    この結末で、最も傷ついたのが文氏であろう。韓国の経済問題よりも、北朝鮮問題に関心を持っていると揶揄されている文氏だ。北朝鮮が「聖地」のようなもの。学生時代から北朝鮮の「チュチェ思想」に凝っている影響もあろう。文氏の両親は、北朝鮮出身である。そのためか、文氏は北への思い入れが人一倍強い。

     

    『朝鮮日報』(10月16日付)は、「非正常国家と五輪共同開催とは、無中継サッカー波紋で対北政策懐疑論が拡大」と題する記事を掲載した。

     

    10月15日、29年ぶりに行われたサッカー韓国代表の平壌アウェー試合は「中継なし」で終わった。「無観客・無中継・無勝負(引き分け)を風刺して「3無試合」だったと評する声も出た。ワールドカップ(W杯)予選が生中継されないという異例の事態に、サッカーファンの間からは(文大統領の就任時の演説になぞらえて)「本当に一度も経験したことのない国になった」との反応が示された。

     

    (1)「試合翌日の16日には、文在寅大統領がこのところ公式の席上で何度も表明していた「2032年ソウル・平壌共同五輪開催」に対する懐疑論へと拡大した。サッカーファンたちは「W杯の試合の生中継もできない国と、何が共同開催だ」「ミサイルでも分からなかった北朝鮮の現実が、サッカーを通して分かった」「このような待遇をされて、何が共同開催だ」「スポーツもバラマキか」といった反応を見せた。一部の専門家らは「今回のサッカー南北戦の事態で、北朝鮮に対する不信感が植え付けられただけに、文大統領の五輪共同開催構想は実現が容易ではないだろう」と分析した」

     

    一言で言えば、文大統領の見通しが甘かったことだ。2032年、南北朝鮮による五輪の共同開催構想のきっかけは、「東京も二度、五輪を開催するから」という日本への対抗心であった。動機が不純である。文氏は寝ても覚めても「反日」である。

     

    (2)「ネットでは、今回の南北サッカー試合について酷評が殺到しているという。この日、エフエム・コリア、楽サッカー、サッカーラインなどインターネットのサッカーコミュニティーには「北朝鮮は本当に想像以上の国」「北朝鮮のせいで国際的に恥をかいた」などの反応が殺到した。大韓民国サッカー国家代表チームのフェイスブックアカウントにも「北朝鮮はいったい21世紀に何をやっているんだ」「こんなとんでもない試合があるか」などの反応が多く見られた。あるネットユーザーは「米国と中国は『ピンポン外交』のようにスポーツで関係が改善したが、南北関係はスポーツのせいで一層悪化しそうで残念だ」と書き込んだ」

     

    北朝鮮が、なぜこういう仕打ちに出たのか理由は不明。ただ、文政権への不満があることは疑いない。ここまで北朝鮮から侮辱を受けながら、文氏はなお「南北交流」を言い続けている。その忍耐心は大したものだ。北朝鮮の「チュチェ思想」に心酔しているので、我慢できるのであろう。

     

    (3)「サッカーファンたちの不満は、文大統領が表明した「2032年ソウル・平壌五輪共同開催」へと続いている。文大統領は今年8月の光復節の演説で、南北の五輪共同開催構想に初めて言及した後、先月もトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長と会った際、五輪の南北共同招致を推進するとの意思を重ねて表明した」

     

    五輪の南北共同招致は、文大統領の一人芝居に終わることもあろう。次期韓国大統領が保守派になれば、文政権の課題を引き継ぐはずもないからだ。それよりも、北朝鮮の冷淡な態度が、文政権支持率を引下げるというマイナス要因になりかねない。文氏は、政治家としての見通しがすべて外れており、その評価にさらなる汚点を残しそうである。
     

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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

    目先の利益追って四面楚歌

    中国の異常減速で右往左往

    IMFが成長率を大幅下げ

     

    現在の韓国は滑稽なほど、日本との融和を求め必死になっている。文大統領による「二度は日本に負けない」。こういう啖呵を切るゆとりは、すでに失っている。文氏は、4人の密使を日本に送って、10月22日の天皇即位式に当り、安倍首相との首脳会談を模索させたが不発に終わった。日本側の厚い壁に阻まれた結果だ。韓国は、儀礼的な日韓首脳会談を狙っていた。

     

    目先の利益追って四面楚歌

    韓国大法院による日本企業への徴用工賠償を命じた判決は、日韓基本条約を骨抜きにする国際法違反である。韓国は、こういう暴挙によって日韓関係を破壊した。日本が、絶対に承服できないとして、拒否するのは当然である。この問題が、日韓に突き刺さったトゲとなっている。韓国政府が、これを棚上げして、対日関係を軌道に乗せようというのは不可能だ。

     

    日本が7月、韓国への半導体製造3素材輸出の手続きを厳格化した。これに反発した韓国政府は、「不買運動」で対抗して「NOJAPAN」「NO安倍」という幟を立て、全土に反日不買を浸透させた。このことが、どれだけ日本側を硬化させたか分らない。輸出手続きの厳格化を、わざわざ「輸出数量絞り込み」と曲解させ、反日を煽った韓国政府のやり口はあこぎ過ぎるのだ。日本が、怒りを鎮められないのは当然だ。

     

    韓国は、さらに「GSOMIA廃棄」という見当違いの対抗策を取ってきた。GSOMIAとは、日韓軍事情報包括的保護協定である。日米韓三ヶ国の安保体制を象徴する「安保インフラ」だ。「江戸の仇を長崎で討つ」という感状過多な行動に出て、米国からの強烈な批判を浴びる事態となった。米国は11月23日までにGSOMIA廃棄を撤回するように要求している。

     

    韓国は、米国の要求を撥ね付けられる状況にない。米軍は、韓国に駐留し米韓軍の指揮権を握っている。こういう中で、韓国が取るべき道はただ一つ。GSOMIA騒動の終息である。それには、日本からの「言質」が欲しいのであろう。日本による韓国への「ホワイト国除外」停止である。GSOMIA破棄は、韓国が勝手に決めた屁理屈であり、日本が手を貸すべき話でない。

     

    従来の日韓紛争では、互いに最後は「腹芸」で落としどころ探してきた。結果的に、それが韓国を甘やかせた。日本は、日韓併合という植民地政策の「借り」を、こういう不条理なバーター取引で穴埋めしてきた。だが、日韓基本条約によって、その「借り」はすでに解決済みである。韓国大法院が、今回のような国際法違反の判決を出した裏には、日本への甘えがあったであろう。「人権に時効はない」と大見得を切った判決だが、日韓基本条約で解決済みなのだ。

     

    司法が、条約に判断を下すことは国際的にタブーである。韓国は、そのタブーに挑戦した判決を出したのである。この裏には、文大統領の強い意志が働いていた。昨年8月、文氏は大法院の判決を誘導するような演説を行っている。文氏は、口を開けば「韓国は三権分立だから、判決を尊重しなければならない」と逃げ口上に使っている。だが、今回の「チョ・グク問題」を見れば分る通り、大統領が公然と検察捜査に圧力を加えているのだ。

     

    文大統領による徴用工賠償発言は、「人権に時効はない」と言うほど高尚なものでない。「反日」への利用がすべてである。徹底した反日行動を行って韓国世論を引きつけ、次期大統領も進歩派から当選させる党利党略に過ぎない。日本が、こういう見え透いた文氏の戦術に手を貸して、融和策に乗るべきでない。韓国の蒔いた種は韓国に刈り取らせる。外交面で二度と党利党略を行なわせない。そういう教訓を身につけさせることだ。(つづく)

     

     

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