勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。


    テイカカズラ
       


    歴史の場面を読むようなシーンだ。中国が、国内情勢緊迫化を隠蔽するため、香港に国家安全法を適用せざるを得ないという場面である。このシーンを分解すると、次のような局面から成り立つ。習氏にとっては、①中国共産党の正当性護持のため、国民の不満を外に逸らす、やむを得ぬ措置になった。これが、②香港に約束されてきた「一国二制度」を形骸化させ、香港の自治が葬り去られる。この結果、③中国は米国の怒りを買う。以上の連続シーンは、玉突きに喩えられるであろう。

     

    米国は、香港の自治が維持される前提で、これまで本土と異なる待遇を香港に与えてきた。その好意が、香港国家安全法適用で消えるのである。中国は、香港を出島にして多大の利益を受けてきた。それだけに、米国の対応変化から大きな影響を被るはずだ。中国は、米国へ報復すると息巻いているが所詮、「引かれ者の小唄」となろう。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月28日付)は、「米国務省、香港は自治を失ったと正式に判断」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国務省は、香港が中国からの自治を失ったと正式に判断した。マイク・ポンペオ国務長官が27日付の発表文で明らかにしたもの。今後の米中の経済関係に影響を及ぼし、対中制裁につながる可能性がある。国務省は1992年の「香港政策法」に基づき、香港の自治状況に関する評価を義務づけられている。同省はこの日、香港の自治が守られなくなったと米議会に報告した。

     

    米国は、昨年11月制定の「香港人権・民主主義法」によらず、1992年の「香港政策法」に基づいた行動を中国に発動する。伝家の宝刀を抜く場面である。具体策は、29日(米時間)にトランプ大統領か発表される。

     


    (2)「ポンペオ氏は発表文で「この判断には全く喜びを感じないが、健全な政策決定には現実を認識することが必要だ」とした上で、「中国が自国を香港のモデルにしようとしていることは今や明白だ」と述べた。米国が当時是認した特別な地位は、これまで香港が欧米式の法治下にある世界金融の中心地であるとの「お墨付き」として機能してきた。だが国務省が判断を変えたことで、米国をはじめとする外国企業の香港に対する信頼が揺らぎそうだ」

     

    米国が、これまで香港に与えてきた特恵の背景は、欧米式の法治下にある世界金融の中心地であることを高く評価したものである。その前提として、欧米式の法治が保証されてきたことが大きい。世界の金融センターには、自治が不可欠である。その空気が消える以上、金融センターであり続けられない。米国は、「一国二制度」違反を理由にして、中国に死刑判決を与えるに等しい「特恵」取消しに動く。その具体的内容は、次のパラグラフに示されている。

     

    (3)「米国は香港への特別待遇の一環として、中国へは販売禁止の先端技術を搭載した機器の輸出を認めている。また世界保健機関(WHO)、アジア開発銀行(ADB)などの国際機関に香港が代表を送ることを支持してきた。米国への入国も香港市民は中国人より簡単だ。米国は香港政策法の下、香港を中国本土とは別の存在として扱ってきた。これまで米政府は毎年、香港の自治が守られていることを認め、貿易や投資といった分野で独立国家並みの待遇を与えてきた」

     

    米国は、香港に対して次のような独立国家並み待遇を与えてきた。

    1)中国へは販売禁止の先端技術を搭載した機器の輸出を認めている。

    2)香港にWHOやADBへ代表を送ることを支持してきた。

    3)香港市民は米国への入国も中国人より簡単な手続きで済んだ。

    4)貿易や投資の分野で本土よりも優遇してきた。

     

    中国が、香港を「出島」として利用してきたのは、4)の貿易や投資の優遇であろう。事実、中国は貿易や投資で香港が統計上で最大の取引先になっている。香港をクッション役に利用してきたのだ。

     

    2)で、香港がWHOやADBで参加できたのは、米国の1992年の「香港政策法」に基づいた結果である。今後、香港はWHOやADBに参加を送れなくなるのか。台湾との扱いで、バランスを取るのだろう。台湾のWHO参加の道が、開かれる可能性も出てくるだろう。

     

    (5)「ポンペオ国務長官は今回の判断の要因に、中国政府が香港に一方的・恣意的に国家安全法を導入しようとしている点を挙げた。米政府は今後も自治を求めて苦闘している香港の人々と共にあると述べた」

     

    米国としては、香港市民に対して厳しい扱いになることに心を痛めていることがわかる。米国への入国では、従来通りの措置を継続することになるのかも知れない。


    ムシトリナデシコ
       


    コロナ禍が、米中対立を一段と激化させている。パンデミックに伴う世界経済混乱に乗じて、中国企業が先進国へ手を延ばすことへの警戒である。中国の周到に準備された戦術で、針の穴でも利用する貪欲さに対して、米国は同盟国へ最大限の警戒体制を取らせている。

     

    『韓国経済新聞』(5月29日付)は、「日本・イスラエル、米同盟国が『中国たたき』に次々と同調」と題する記事を掲載した。

     

    米国と中国の対立が深まる中、米国の同盟国も「中国たたき」に次々と加わっている。日本は省庁のほか公企業もファーウェイ(華為技術)など中国の情報技術(IT)機器を使用できないようにし、イスラエルは大型インフラ事業で有力候補だった中国企業を脱落させた。

    (1)「日本政府は日本年金機構や産業技術総合研究所など96の公共機関および政府傘下の研究機関の運用指針を決め、中国の情報通信機器を事実上排除することにしたと、読売新聞が27日報じた。今回の新しい指針に基づき、96の公共機関は早ければ来月からコンピューター、通信回線装置、サーバーを購入する際、内閣サイバーセキュリティーセンターと相談しなければいけない。サイバーセキュリティーセンターは安全保障上のリスクがあると判断すれば、調達先の変更を要求することができる。調達先を決める際の基準も、価格だけでなく安保リスクまで総合的に考慮しなければいけない。外部勢力の個人情報窃取およびサイバー攻撃を防ぐためだが、ファーウェイやZTEなど中国IT企業を狙った措置と解釈される

    これまで、ファーウェイ・スマホは、「バックドア」をつけていることが知られていた。米国では、販売禁止措置を取っている。ファーウェイは、次世代通信網「5G」にも「バックドア」を仕掛けている。豪州が、これを昨年1月に発見して、米国へ通報した。当初、米国も信じなかったが実証試験で確認したもの。愕然とした米国は、同盟国へ向けてファーウェイ「5G」導入の危険性を訴えている。

     

    欧州では、ファーウェイ製「4G」が普及しており、次世代通信網「5G」もファーウェイ製導入は当然のこととしてきた。ここへ、「バックドア」問題が提示され、導入の可否に揺れている。英国もその一つである。だが、今回のパンデミックに伴う中国疑惑で、ファーウェイ製「5G」導入拒否に向けて態度を一変させている。

     

    日本が、ファーウェイ製拒否に舵を切っている背景も上記の通である。ファーウェイ製「5G」を導入すると、北京で相手国の情報をすべて聴取でき、戦争状態に入った場合、インフラ機能を不全にできるという事態が予知されている。



    (2)「イスラエルも世界最大規模の海水淡水化プラントの入札で、予想を覆して中国企業を脱落させた。イスラエル財務省は海水淡水化プロジェクト「ソレク2」の業者に自国企業のIDEテクノロジーを選定したと26日(現地時間)、発表した。このプラント事業は計15億ドル規模で、2023年の完工が目標。これまでは中国系のCKハチソンウォーターインターナショナルが無難に落札すると予想されていた。香港の富豪・李嘉誠氏の息子が運営するCKハチソンは資金力があり、イスラエル以外でも淡水工場を運営するなど経験も豊富だからだ」

     

    中国は、米国が技術漏洩に厳重警戒体制を取っていることから、イスラエルに技術窃取の焦点を絞ってきた。中国企業が、イスラエル企業に合弁計画を持ちかけ、技術情報を開示させたうえ、合弁計画を立ち消えにさせる、あくどいやり方が表面化している。イスラエルは、これまで中国との接触が少なく、「中国音痴」であった。その虚を突かれて、重要技術が漏洩している。米国は、同盟国中でも日本と並んで親密なイスラエルが、まんまと中国の術中にはまっていることに業を煮やしている。そこで、ポンペオ米国務長官がイスラエルに乗り込んだものである。

     

    (3)「ポンペオ米国務長官が13日にイスラエルを訪問した後、雰囲気が変わった。ポンペオ長官は当時、イスラエルのネタニヤフ首相に会い、「CKハチソンのプラント投資は米国の安保に脅威となる」と述べ、中国企業の排除を要求したという。入札の結果発表直後、イスラエル財務省は「IDE側が提示した価格条件が良かった」と説明したが、ウォール・ストリート・ジャーナルは「米国と中国の対立に巻き込まれないための決定」と分析した」

    ポンペオ国務長官のイスラエル訪問について、次のように報じられている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月18日付)は、「米イスラエル関係を阻害する中国問題」と題する寄稿を掲載した。筆者のダグラス・フェイス氏は、米ハドソン研究所のシニア・フェロー。2001~05年に国防総省の政策担当次官を務めた。

     

    (4)「マイク・ポンペオ米国務長官は5月13日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とエルサレムで会談し、イスラエルと中国の経済的結び付きがさらに強まれば、米イスラエル関係に害を及ぼすと警告した。米国の現政権はイスラエルに対して過去のどの政権よりもずっと友好的な姿勢を示しているだけに、このメッセージには強い影響力がある。ポンペオ氏は、世界が中国との関係で新たな時代に入っていることを強調した」

     

    (5)「オバマ政権下でも、中国の敵対的行動に対する反発は一部で見られたが、トランプ政権になってからはさらに反発が強まり、それは超党派的な動きになった。中国への反撃は今や米国の政策であり、11月の米大統領選挙で誰が当選しても継続するとみられる。イスラエルの主な関心事は依然としてイランなど周辺地域の状況だが、世界にとっての新たな重大戦略課題を無視することはできない」


    イスラエルのネタニヤフ首相は、以上のような状況をポンペオ米国務長官から聞かされたとすれば、中国警戒に転じるのは当然のことだ。これで、中国の「イスラエル攻略」計画は、封じられることになろう。こうなると、中国は再び日本へ「ニーハオ」とにこやかに笑ってくるに違いない。

     

    日本では、6月7日から海外資本がトヨタやソフトバンクなど日本の主要上場企業の株式を1%以上取得するには日本政府の事前審査を受けなければいけない、という法改正に踏み切っている。財務省は最近、こうした事前審査対象企業518社を選定した。事前審査基準を出資比率10%から1%に大幅に強化した改正外為法(外国為替及び外国貿易法)が、昨年9月成立によるものだ。日本政府は、中国への技術漏洩防止体制を強化している。


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    中国は、まんまと米国の標的ゾーンへ自ら入り込んできた。香港への国家安全法適用が、28日の全人代で可決されたからだ。米国は、香港との一国二制度が廃止されたと解釈しており、中国へ制裁を発動することが決定的になった。

     

    米国は昨年11月、香港人権・民主主義法を成立させた。中国による香港への国家安全法適用は、まさに香港人権・民主主義法に抵触するものだ。米国が、香港に与えた特恵(関税など)を廃止するに値する中国の行為である。中国は、これによって大きな損害を被る。同時に、米国企業にも類は及ぶ。米国は、それを覚悟で中国に一太刀浴びせるのだ。

     

    『ロイター』(5月28日付)は、「米中全面対決『火の粉』を浴びる香港の不運」と題するコラムを掲載した。

     

    米国は中国に、新型コロナウイルス感染のパンデミック(大流行)を引き起こした代償を支払わせる新たな手段を見つけ出した。香港に狙いを付けることだ。

     

    (1)「ポンペオ米国務長官は27日、香港にもはや高度な自治はないと宣言した。これにより、米国が香港を中国本土と区別し、貿易や旅行に関して与えてきた特別待遇が打ち切られる可能性がある。ポンペオ氏の主張はおおむね正しい。中国は香港への政治統制を強化する目的で国家安全法制の導入を提案しており、米議会の与野党双方が反発しているのだ」

     

    香港への国家安全法適用は、香港の自由と民主主義を制約するものだ。香港人権・民主主義法によって、米国務長官の権限で行動を開始できる。米国が、香港へ与えた特恵廃止が政策のテーブルに乗った。米国は、パンダミックへの怒りも手伝い、中国へ打撃を与える一撃を撃ち込むであろう。

     

    (2)「優遇措置がなくなれば、当然香港が真っ先に、そして最も大きな痛手を受ける。香港に展開する米企業は1300社で、米国とのモノ・サービスの貿易額は年間700億ドルに達するだけでなく、トランプ政権が中国に対して発動した関税の適用も受けていない。香港は中国本土が輸入できないような先端技術も利用可能だし、米政府のビザ発給基準は香港市民の方が本土より緩やかだ」

     

    米国と香港のモノ・サービスの貿易額は、年間700億ドルに達する。これは、特恵があってのことである。特恵廃止になれば、この年間貿易額は減少する。中国は、香港を出島として利用してきたから、大きな打撃を受ける。

     

    (3)「確かに香港は中国に接した、ちっぽけな領土だ。しかし中国は別のリスクとも向き合っている。27日には数千人の香港市民が国家安全法制への抗議のため街頭に繰り出し、数百人が拘束された。そこに米国の優遇措置廃止に伴う経済的打撃が加われば、市民をさらに刺激しかねない。今のところ中国側は天安門事件当時のような強硬手段行使を控えているとはいえ、騒乱がさらにエスカレートすれば、中国政府がどこまで我慢できるか分からない」

     

    中国共産党による台湾への強硬策は、本土の内部矛楯を隠蔽するための措置である。だが、香港の騒乱は、本土の不満へ火を付けることにならないか。中国は、大量の失業者を抱えており、香港での強硬策が凶と出るか吉と出るかは分からない。

     

    (4)「トランプ大統領はこれまで、香港の民主主義が危機的状況を迎えていても、それほど強い対応を取らず、香港での人権侵害に関与した当局者に制裁を科す権限を得ているにもかかわらず実行していない。優先してきたのは中国との貿易協議の合意だった。ただ11月の大統領選を前に、政治的計算が変わったのかもしれない。新型コロナで4月の米失業率は15%近くに跳ね上がった。そしてトランプ氏は今、中国が適切な感染対策を講じなかったとして責任を追及している」

     

    トランプ氏は、今秋の米大統領選を控えて、中国へ強硬策に出ざるを得ない事情がある。米中双方が、それぞれの事情を抱えて、激突するであろう。中国の受けるダメージがはるかに大きいはずだ。

     


    (5)「こうしたトランプ氏の態度が、米中対立の新たな局面を生み出している。香港への幾つかの優遇措置を撤廃するとともに、中国の政府当局者や企業を対象とする制裁措置が検討されつつある。一方トランプ氏は、自身の対中強硬姿勢を再選戦略の一部に組み込んだ。野党・民主党の候補指名を獲得しそうなバイデン前副大統領を中国に弱腰だと批判するようになった。米中が政治的にぶつかり合って火花を散らす中で、香港は不運にもその火の粉を浴びてしまう恐れがある」

     

    香港では、市民の台湾移住が積極化する。台湾側は、蔡総統の演説によって「受入れ」を表明した。香港民主化派と台湾民進党(与党)との連携強化が行なわれる見通しが強まっている。

     

    香港では、中国当局が国家安全法により、香港にある資産を追跡し、差し押さえるとの懸念が広まる。これを受け中国富裕層は、香港から他国へ資産移転に動く可能性が取沙汰されている。香港市場に投資されている資産は、約1兆ドルを超えるという。このうち、半分以上は本土の個人投資家が持つ資金と見られる。この多額資金が香港から流出すれば、香港資本市場は大打撃だ。5000億ドル以上の中国富裕層資金が香港から流出すれば、香港資本市場の縮小は必至であろう。香港は、国際金融都市としての地位が低下する。


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    米経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、昨秋から日本企業の株主重視経営を評価している。滅多に日本を褒めることのない同紙が、昨今のコロナ禍でも引き続き日本企業を高評価している。注目点は、日本企業の保有現金の多さである。パンダミック下では、企業が営業活動を中断したので、極端な流動性不足に直面している。その点で、日本企業は過去の手厚い内部留保で手持ち現金が多いのである。これが、世界企業の中で優位なポジションを占めさせている、と評価しているのだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月28日付)は、「日本株が避難先に、コロナ危機どう転んでも」と題する記事を掲載した。

     

    世界の注目は、重力に逆らうかのようなS&P500種指数のパフォーマンスに集まっているが、日本の上場企業は過去10年の大半にやってきたことを地味にやり続けている。淡々とアウトパフォームしているのだ。

     

    (1)「東証株価指数(TOPIX)はドル建て換算で、世界の株価がピークをつけた2月12日以来、8%値下がりしている。これに対し、S&P500、MSCI新興国指数、ユーロ・ストックス指数は同期間にそれぞれ11.5%、16.5%、19.8%の下落となっている。だが、過去のパフォーマンスを頼りに、日本市場に目を向けるべきだと言っているのではない。今後状況が大きく改善するか、逆に再び悪化するかにかかわらず、日本の上場企業は投資家が恩恵を受ける要素を備えているのだ」


    世界の株価(ドル建て)がピークをつけた2月12日以来の値下がり状況

    TOPIX          8%下落

    S&P500       11.5%下落

    MSCI新興国指数    16.5%下落

    ユーロ・ストックス指数  19.8%下落

     

    TOPIXの値下がり率が、最も軽微であった理由は何か。答えは、後のパラグラフに出てくるが、現金保有高の大きさである。コロナ禍での不況抵抗力を評価された結果である。

     

    (2)「新型コロナウイルスの大流行で打撃を受けた世界経済が想定以上に早い回復を遂げた場合、TOPIXのかなりの部分を構成する電気機器、情報・通信、輸送用機器の各セクターには追い風となる。日本の大型株は、国内売上高の割合が約半分にとどまる。こうしたシナリオ下で、日本株が米国株をアウトパフォームすることはないかもしれないが、引き続き新興国や欧州の株式に勝つ可能性は十分にある

     

    日本の大型株の国内売上高の割合は、約半分にとどまる。これは、日本の国内不況に左右されない点であり、他国の株式に十分に勝てる要因としている。

     


    (3)「コロナ感染の第2波、第3派に見舞われる、もしくはアナリストの想定以上に経済への打撃が深刻なために回復が鈍い場合、日本企業が持つ強みはより明確になる。それは大量に抱える現金だ。日銀のデータによると、国内企業(金融除く)が保有する現金・預金は昨年12月時点で約280兆円に上る。平時なら、日本企業が巨額の現金を抱えている状況は同国経済にとって望ましくないかもしれない。しかし、今の時期には非常に歓迎すべきものだ。日本株への売りが他国の株ほど強まらなかったのも、これで多少は説明がつく」

     

    どこの国の企業もパンデミックで、流動性不足に直面している。その点、日本企業は「後顧の憂い」がないのだ。資金手当の心配がなく、経営計画を推進できる強味が何者にも優る。こういう時期に、自由な発想で経営できる強味を生かせば、今後の発展を約束するのであろう。企業経営は、流れを中断して立ち止まることが、もっともロスを大きくする。

     

    (4)「日本株のバリュエーションも魅力的だ。このところの上昇でやや割高になったが、その変化は米国に比べれば足元にも及ばない。向こう1年の見通しに基づく日本株の株価収益率(PER)は、3月につけた底の11.1倍から現在では15.7倍になった。これに対し、米国株は13.5倍から22.9倍に跳ね上がっている。ファクトセットによると、米国株に比べた日本株の割安感は、過去最高の水準に達している。日本株は今年すでにその価値を示しているが、先行きが極めて不確実な状況において、なお魅力的な要素を備えている。米国株の水準にやや警戒感を抱く投資家なら、バランスを求めて東方に目を向けるといいかもしれない」

     

    日本株のPERは現在、15.7倍。米国株は22.9倍である。米株が、大きく買い進まれている一方、日本株は出遅れている。割安感が目立つのであろう。日本株は、上値余地があると見ているのだ。

    世界の株価(ドル建て)がピークをつけた2月12日以来の値下がり状況

    TOPIX          8%下落

    S&P500       11.5%下落

    MSCI新興国指数    16.5%下落

    ユーロ・ストックス指数  19.8%下落

     

    TOPIXの値下がり率が、最も軽微であった理由は何か。答えは、後のパラグラフに出てくるが、現金保有高の大きさである。コロナ禍での不況抵抗力を評価された結果である。

     

     

    あじさいのたまご
       


    中国習政権は、新型コロナウイルスの発生源を武漢でなく、他国へ擦り付けることに懸命になっている。1月時点では、武漢市華南海鮮市場と発表していたが、今になって否定するという変節だ。中国国内の共産党への信任欠如を恐れた結果であろう。中国共産党の「小心ぶり」を見せている。世界の信頼を傷つけても「御身大切」の小人なのだ。これで、世界覇権を狙いたいと、どでかい夢を描いている。

     

    『大紀元』(5月28日付)は、「中国専門家『発生源は武漢の市場ではない』、1月の発言を反故」と題する記事を掲載した。

     

    中国疾病予防管理センターのトップ、高福主任はこのほど、メディアの取材に対して、武漢市華南海鮮市場は新型コロナウイルスの発生源ではないと発言した。しかし、4カ月前の記者会見で、高主任は、同市場で販売されている野生動物から新型コロナウイルスを見つけたと明言した。中国人ネットユーザーは、1月の発言を覆した同氏を非難した。

     

    (1)「高福氏は5月25日、官製メディア「鳳凰衛視(フェニックスTV)」のインタビューを受けた。その際、同氏は、1月上旬に国家の調査チームとともに武漢市に入り、華南海鮮市場で動物サンプルと下水道の廃水サンプルを集めたと明かした。動物サンプルから新型コロナウイルスを検出できず、廃水からウイルスを発見したと述べた。1月22日、同氏は国務院新聞弁公室が開いた記者会見で、「新型コロナウイルスの発生源は、武漢市の海鮮市場で違法に取引されている野生動物だ」と話した」

     

    (2)「国営新華社通信は1月26日、「中国疾病予防管理センターは、新型コロナウイルスの発生源研究において一定の成果を得た。(同センターは)武漢市華南海鮮市場で収集した585件の環境サンプルの中、33件のサンプルから新型コロナウイルスの核酸を初めて検出した。同時に、陽性環境サンプルからウイルスを分離することに成功した。同ウイルスの感染源は華南海鮮市場で取引されている野生動物だと示された」と報じた。同記事は現在も、新華社のウェブサイト「新華網」に掲載されている」

     

    中国疾病予防管理センターのトップ、高福主任は自らの発言を翻して、新型コロナウイルスの発生源は分からないと発言した。中国感染症チームを率いるトップが、こういう政治的な発言をして、自らの地位を守ろうとしている。否定発言を迫る中国指導部は、真実の究明よりも、中国のメンツを優先させようとしている。武漢発症は、公知の事実となっている。感染者の発生状況から見ても動かせぬ事実だ。それをこの期に及んで否定する。常識では考えられないふるまいだ。世界中か出されている賠償請求をかわす狙いもる。

     

    (3)「中国インターネット上では、高福氏の矛盾した発言への批判が強まった。中国版ツイッターの微博では、高氏の辞任を求める声が上がっている。

    「もし1月の発言が本当のことであれば、5月の発言は嘘でしょう。逆に5月の発言が本当であれば、1月に言ったことは嘘でしょう。どちらにしても、高氏は嘘をついた」

    「未知のウイルスを目の前にして、私たちは手違いやミスを理解できる。しかし、嘘をつくことは許されない。国家衛生健康委員会は、微博に投稿して、高福氏を称賛した。嘘ばかりつく主任をなぜ容認するのか?国家衛生健康委員会が高福氏を解任しないことを、非常に不安に思っている」

    「専門家として、なぜ無責任な発言をしたのか?なぜ事実を言わないのか?」

    「14億人の健康問題をこのような嘘つきに任せてはいけない。高福、辞任しろ」

     

    読者からは、非難が殺到している。何と罵倒されてもシラを切る積もりなのだ。「だから共産党は信頼できない」という評判を落とすだけであろう。

     

    (4)「武漢市で新型コロナウイルスの感染が発生した後、中国当局は当初、華南海鮮市場が発生源だと強調した。しかし、国内外の一部の専門家がウイルスを分析した結果、ウイルスは武漢ウイルス研究所の実験室から漏洩した可能性があるとの認識を示した。これを受けて、中国当局は2月下旬以降、発生源について、華南海鮮市場ではなく、米軍の兵士が持ち込んだと主張し始めた。高福氏は、中国当局の方針に歩調を合わせ、発言を変えたとみられる」

     

    中国は、巧妙である。華南海鮮市場の発生源を否定させたのは、この市場でコウモリを売っていなかったことが立証されているからだ。その後、専門家は武漢ウイルス研究所の実験室からの漏洩を指摘している。中国は、武漢ウイルス研究所説を否定して、米軍将兵の持ち込みに切換え、米国へ罪をなすりつけている。こういう一連の「脚本」を見ると、最初から中国共産党が仕組んでいる疑いが濃厚になる。

     

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