勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国メディアでは最近、日本について憎くて気に入らないが、仲良くしないと損をする。だから、表面的にでも上手く日本と付合おう、という主張が登場している。

     

    個人の間でもそうだが、あからさまに利用してくることの分る相手と交際するのは時間の無駄である。打算のない、無私な立場で純粋に相手のことを心配してくれる人しか交流したくなくなるものだ。これは私だけの感想かも知れないが、国家間でも冒頭に挙げたような韓国式の打算はお断りしたい。

     

    『中央日報』(4月22日付け)は、「文在寅政権発の韓日関係破綻の恐怖」と題するコラムを掲載した。

     

    筆者は、同紙の李夏慶(イ・ハギョン)主筆である。主筆とは、普通は論説委員長より上の最高ポストである。この人物が、「いくら憎くて気に入らなくても、日本とうまく付き合って」と言っている。ジャーナリズムの本流から外れた議論だ。

     

    (1)「日本大使を務めた柳明桓(ユ・ミョンファン)元外交通商部長官は日本の心理をよく把握している。韓国が1997年の通貨危機当時に国際通貨基金(IMF)行きという屈辱を経験することになった決定打は日本の短期外債の回収だったとみる。柳氏は『韓国を最もよく守るのが日本だと考えてきたニューヨーク・ロンドン・香港の金融市場は大変な事態になったとみて次々と韓国から資金を抜いた』と話した」

     (2)「 その2年前の1995年11月14日、金泳三(キム・ヨンサム)大統領と江沢民国家主席の韓中首脳会談後の記者会見での発言が禍根となった。『南京大虐殺をどう思うか』という質問に対し、江沢民は『幼かった頃に私が実際に見たが、日本はそのようなことはなかったとしらを切る』と述べた。金大統領は『日本の政治家の妄言が続いている。悪いクセを直す』と語った。日本は驚いた。大統領外交秘書官として現場にいた柳氏は『この発言がIMF行きを招いた』と振り返った」。

    1997年、韓国が通貨危機(ウォン暴落)に見舞われた際、日本が緊急支援しなかったからと日本を恨んでいる。日本は韓国を救済しなければならない義務があるわけでない。この一件で見ると、韓国の日本への甘えは相当に大きいことが分かる。金泳三大統領が、「日本の政治家の妄言が続いている。悪いクセを直す」と発言した以上、日本側は「困った時だけ頼ってくるな」と拒否するのは当然だろう。

     

    人間関係も同じだ。盆暮れの挨拶をするのは、相手との友誼を保つという印である。普段の交流もなく突然、頭を下げられても相手の依頼には応じられまい。そこには、信頼関係がないからだ。韓国の金泳三大統領は、日韓の信頼の絆を自ら切ったのだからやむを得まい。

     

    (2)「文在寅(ムン・ジェイン)政権が慰安婦合意を無力化し、強制徴用者に対する日本企業の賠償責任を認める最高裁の判決が出てから、韓日関係は悪化の一途だ。日本は『日韓協定に基づく国家間の約束を破った』と主張している。加害者である日本が被害者になるというあきれる状況を韓国が自ら招いた。通貨危機当時のように日本が韓国に致命傷を負わせる可能性を懸念する人が多い。日本はすでに慰安婦少女像設置を問題にして韓日通貨スワップ交渉を中断している状態だ」

    文在寅大統領が、第二の「金泳三」になる可能性は大きい。文氏は、経済音痴である。通貨危機が、どのようなものかもおそらく詳細に掴んでいいないと思う。向こうっ気だけは強いが、緻密な計算のできないタイプと見る。創造力がたくましければ、日本を積弊勢力呼ばわりはしまい。感情過多症に陥っている。

     

     (3)「申ガク秀(シン・ガクス)元駐日大使は両国経済を『世界バリューチェーンと部品サプライチェーンで相互依存的な関係』と説明する。許昌秀(ホ・チャンス)全国経済人連合会(全経連)会長は「韓日関係が良い時、韓国の経済は良かった」と言う。最近は何かおかしい。朴チョル熙(パク・チョルヒ)ソウル大教授は『韓国に来る投資が中国や台湾に向かう事例が生じている』と話した」

    文在寅大統領の任期中は、日本にとって韓国の「カントリー・リスク」はきわめて高くなった。一国大統領が、公然と「反日姿勢」を取る国家へ投資するはずがない。グローバル・エコノミーの現在、TPP11(環太平洋経済連携協定)へ投資するのは当然のことだ。

     

    (4)「文政権はなぜ韓日両国関係の破綻を放置するのだろうか。国内政治を狙った過剰民族主義、反日情緒が問題だ。いくら憎くて気に入らなくても、日本とうまく付き合ってこそ安倍首相を通じてトランプ大統領の米国に韓国を認めさせることができる。経済と安全保障のリスクも解消し、対北朝鮮政策での役割も確保される。今の状況は非常に危険だ」

     

    韓国は、最初から日本を利用しようとしている。ならば、それなりの心配りをするべきだろう。敗戦後、日本が韓国を利用しようと考えたことはない。地政学的なリスクが軽減されたからだ。日韓併合は、地政学的リスクを回避する目的であった。

     

    韓国は、日本を憎いとか気に入らないと思っている以上、日韓関係が改善するはずがない。日韓関係改善のカギは、韓国にある。なぜなら、日本は韓国を利用しようという意図がないからだ。


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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    1~3月期は正味4%成長

    家計債務の急増で首回らず

    土地廟潰して農地確保政策

     

     

    中国の1~3月期のGDPが発表されました。事前予想では、6%台スレスレという厳しいものでしたが、前年同期比6.4%増でした。3月に入って住宅市場にテコ入れした結果でした。この「6.4%増」に世界は安堵していますが、この数字には多くの疑問符がついています。「水増し」という根本的な統計数値の真実を問う前に、先進国並みの「前期比」の年率換算での成長率はどうなのか、という問題です。

     

    中国では、GDP統計を発表する際、できるだけ尻尾を捕まれないように、詳細なデータを発表しないように工夫しています。GDPに占める需要項目である個人消費や設備投資、公共投資などのデータは発表されないようです。新聞報道されないので、そのように判断せざるを得ません。記者からの追及を逃れるためでしょう。

     

    そこで、大手を振って出てくる数字が、「前年同期比伸び率」です。本来ならば、「前期比伸び率」を最初に言うべきなのに後出しです。しかも、前期比延び率を年率に換算した数字を発表しません。マスコミに計算しろといわんばかりです。マスコミは、計算が面倒なので、「前年同期比」を発表するという仕掛けをしています。中国政府は、最初から弱点を知られたくないという姿勢で一貫しています。

     

    1~3月期は正味4%成長

    1~3月期は、前期比では1.%増でした。18年10~12月期(1.%)より減速しました。前期比の伸びを年率換算した成長率は5.%になります。これが、正規の成長率です。前年同期比では6.4%の成長率ですから、0.7%ポイントものギャップが生じています。ちなみに、前期(18年10~12月期)は、前期比1.5%成長率です。これを年率換算すると6.1%成長率になります。1~3月期は、前期比で0.4%ポイントの差になります。

     

    繰り返しますと、今年1~3月期のGDP成長率は、前期比ベースを年率換算すると5.7%になります。この5.7%成長もまともな数字ではありません。米国の著名はシンクタンク、ブルッキングス研究所の分析によれば、平均して1.7%ポイントの「水増し」をしていると指摘されています。この水増し分を差し引くと、正味掛け値なしのGDP成長率は、なんと4%に過ぎません

     

    中国経済は、ここまで落込んできたことを否定できません。具体的には、あの文化大革命(1966~77年)で嵐のように吹き荒れた「下放」が、再び始まろうとしています。都市部の学生を延べ1000万人も、ボランティアという形ですが農村で働かせるというのです。これは、都市部に就職口がないこと。一方の農村では高齢化で農作業が進まないという相互の事情を補い合うというものです。

     


    このニュースは、
     『大紀元』(4月16日付け)が、「上山下郷運動の再開か、 中国当局3年内に延べ1千万人若者を農村に」とだいする記事で報じました。

     

    「上山下郷運動」は、(じょうさん・かきょう・うんどう)と読みます。これは、毛沢東の指導で文化大革命期に行なわれた運動です。農村で、青少年を強制的に労働(徴農=下放)させるもの。都市部の青年層が、地方の農村で肉体労働を通した思想改造によって、社会主義国家建設の意義を知る目的でした。

     

    習近平氏自身も、この下放生活を経験しています。1969年から7年間、陝西省延安市で農作業をしたのです。「習青年」は、鍬を担いで田んぼのあぜ道を歩いている写真が残っています。後年、省長時代にスコップを担いでいる写真もあります。他の人物と比べ、その姿が堂にいっており、「経験者」ならではでした。(つづく)

     

     


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    世界が米ソ冷戦後に驚いたのは、ソ連経済の惨憺たる姿であった。膨大な軍事費の圧力に民間経済が疲弊しきっていたことだ。

     

    舞台は変って、米国の前に4000年の歴史を誇る中国が登場した。孫子の兵法を用いれば、米国へ軍事的に勝てるという妙な自信を漲らせている。こういう中国の宣伝は、世界中にかなり浸透している。中国の実力を過大評価させているのだ。私は2010年5月から毎日、中国経済の動向を追い記事にしてきたが、現状は相当に疲弊してきたと見ている。

     

    中国は、いくら情報管理を強化しても、断片的に伝わってくる事実を繋ぎあわせただけで、米国と戦える経済力を失い始めている。中国のGDPは「水増し」している。この事実も世界の著名なシンクタンクによって解明された。この水増し分を取り除き、先進国並みのGDP計算法(前期比ベース)に引き直せば、今年の1~3月期のGDPは、年率4%成長に過ぎない。過大評価に値しない減衰ぶりだ。今後はさらに落込む。米国を追い抜くことなど不可能だ。

     

    中国の「主要産業」は、不動産開発である。GDPの約30%を支えるこの産業は、土地あってこそ成り立つ産業である。実は、その宅地開発適地がなくなってきた。14億人弱の国民を養うに必要な農地が不足している。これ以上、農地を潰してマンションを建てる訳にはいかないのだ。ましてや、米中関係が怪しくなってきた。中国が南シナ海で領土拡張して、米国のみならず、先進国全体の警戒心を高めてしまった。因果はめぐるで、中国本土に立てこもらざるを得ない事態を迎えている。

     

    この事態を招いたのは習近平氏である。側近である民族主義者の奢りに乗せられて、米中貿易戦争を受けて立ってしまい、大損害を被る事態になった。私は、トランプ氏がただの貿易赤字削減だけに満足する「凡愚な大統領」には見えないのだ。

     

    最初はそうだとしても、米議会が超党派で中国強硬派に転じている。トランプ氏が、宙ぶらりんな妥協をしようとしても不可能なほど、米国内は対中一枚岩になっている。これを招いたのも習近平氏の大言壮語(世界覇権論)である。

     


    『フィナンシャル・タイムズ』(4月11日付け)は、「
    米中関係、まだ来ぬ最悪期」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「かなりの急展開だが、理由は簡単だ。両国が合意すれば世界の景況感が高まるだろうし、1年半後に大統領選を迎えるトランプ氏がそれを見逃すはずはないからだ。中国から譲歩を引き出せば、有権者に立派な政治家だという印象を与えられるかもしれないのだ。だが米中冷戦の回避を祝う前に、真の米中対決はトランプ大統領の退任後にこそ起こると想定してみたらどうか。現在、衝撃的と思われている米中摩擦が、後世にはむしろ穏やかなものに感じられるようになるかもしれない

     

    下線を引いた部分は、興味深い指摘である。だが、この前提には、中国経済が今後も「健在」という仮定を置いている。世界バブル史の中で、唯一カムバックできた国は米国だけだ。オランダ、英国、日本はことごとく敗退した。米国の強さは、類い希な市場開放によって優勝劣敗の原則が生き続けていることだ。市場が、非合理的な存在を許さないという鉄壁の役割を果たしている。

     

    これから挑戦しようという中国はどうか。まだ、不動産バブルにしがみついて、住宅ローン条件を緩和し生き延び策を考えている程度である。この中国が、バブルの淵から生還できると見ているとすれば、世界経済史について盲目という批判を受けるであろう。

     

    中国経済は、WTO(世界貿易機関)から2016年に「非市場経済国」と烙印を押されてままだ。市場ルールを生かして自ら生き延びる力を持てない国である。政府の補助金なしで自立できない経済が、米国に対して覇権をかけた競争など挑むのは不可能。月に石を投げるような話だ。この非現実性を理解しないで、中国の経済力を過大評価した、中国超大国論など成り立たないであろう。

     

    (2)「経済以外の分野では、トランプ氏は米大統領として一般的に考えられるほど、中国への警戒心が強くないようにみえる。経常赤字は常にいかなる場合でも負けの証拠だと思い込んでいるが、それだけだ。他の信条を持ち合わせていないため、そうしたことで中国と向き合うことには興味がない。大統領は例えば(人権などの)中国の内政問題やアジアの米同盟国が直面する安全保障上の脅威、中国のアフリカ諸国への投資拡大による経済支援攻勢、従来の国際機関の影響力低下、民主主義と一党独裁体制のせめぎ合いなどには全くといっていいほど関心がない。米中はこうした問題で今後何十年も対立する可能性が高い。逆に言えば、トランプ氏の「偏狭さ」が超大国間の緊張のエスカレートに歯止めをかけているといえる」

     

    米国が現在、中国に対して貿易問題以外に目立った動きをしないのは、経済に集中する戦略にほかならない。近々に、米中貿易戦争はひとまず矛を収める。議会が、次の問題として人権問題を準備している。中国の責任者の責任追及を検討している。安全保障問題では国防権限法を使って、中国企業の締出しに動いている。米議会を強固な中国警戒論でまとめたのはトランプ氏である。オバマ氏ではなかった。この点を見落とした議論は片手落ちである。米国は、自らの覇権を狙う国に対して絶対に容赦しない。そういう歴史を持つことを忘れた議論はナンセンスだ。

     


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    文在寅大統領と与党「共に民主党」は、進歩派政権という看板を掲げているが、実態は恐ろしいほどの独裁的動きを見せている。次期政権が保守派になったら、これら一連の動きの裏にどのような策略と国民意識統一を妨害する動きがあったかを明らかにすべきだろう。あまりにも進歩派というイメージを悪用し、詐欺的な振る舞いに映るからだ。

     

    『朝鮮日報』(4月21日付け)は、「韓国政治の偏狭さを示す大統領記念館」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の韓賢祐(ハン・ヒョンウ)論説委員である。

     

    (1)「韓国政府が管理する歴代大統領の記念施設に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領関連の資料だけが展示されていないという。世宗市の大統領記録館、青南台大統領記録館(忠清北道清州市)、文化体育観光部(省に相当)の大韓民国歴史博物館のいずれにも李承晩(イ・スンマン)大統領から李明博(イ・ミョンバク)大統領までの各大統領に関連する写真や記録が保管されているが、朴槿恵大統領のものだけはなかった。時間がなかったわけではなく、空間が足りないわけでもない。どういうわけかあえてそうしたのだ」

     

    現政権が、朴槿惠・前大統領をことのほか敵視するのは理由がある。前々回の大統領選挙で、文氏が朴氏に敗北した恨みである。朴氏が刑務所から法的に保釈される時期になっても釈放されなかった。文氏の差し金であろう。以後、朴氏は控訴審にも出廷しないで刑務所に頑張ってきた。ただ、腰椎が激しく保釈を申請したが、司法当局は大統領府の顔色を窺っている。

     

    文在寅という人間は、上辺は腰が低くてぺこぺこしているが、実は相当に冷たい人間のようだ。韓国政府が管理する歴代大統領の記念施設に朴槿恵大統領関連の資料だけが展示されていないという。文氏は、できれば朴氏の存在を抹殺したいのだろう。仮に、これを願っても不可能である。大統領として存在した以上、文氏はその事実を認めねばならない。

     

    文氏のこういう勝ち誇った態度は、対日政策にも向けられている。文氏は、韓国朱子学に見る典型的な「道徳主義者」のようだ。自らは絶対的に正しく、敵対した者には容赦ない敵愾心をもって対決する。ここでは、日本=朴槿惠を同一視している。朴氏にも性格的は冷たい一面が指摘されているが、すでに囚われの身である。文氏が敵愾心を燃やす相手でなくなっている。勝敗が決まった以上、なぜフェアな態度が取れないのか。

     

    (2)「皮肉にもこれらの施設は李明博・朴槿恵政権の時に設置された。どの大統領の関連資料を退任後いつまで展示するかという規定もないようだ。李明博大統領の肖像画は退任から2カ月後に設置されたが、朴槿恵大統領は2年以上過ぎても展示されるかさえ決まっていない。記念館の担当者は『まだ資料を整理しているところだ』としか語らない」

     

    文在寅氏は大統領就任早々、「朴槿惠氏の記念切手」発売を禁止した。刷り上がって発売を待つばかりであった。歴代大統領は、こうして記念切手を出す慣例である。文氏が弁護士出身であれば、「推定無罪」という言葉が生きていることを承知のはず。それを覆したところに、朴氏へ並々ならぬ敵意を感じるのだ。

     

    (3)「その一方で歴史を伝えるはずのこれら記念館で、どういうわけか「現職大統領」の顔が展示されている。世宗市では金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)・文在寅(ムン・ジェイン)大統領の3人が北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記、金正恩(キム・ジョンウン)委員長とそれぞれ会った時の写真がセットのように掲げられ、「平和に向かう道」という題目も付けられていた」

     

    (4)「現政権による『歴史政治』はその時々の政治的な必要性によって変わる。文大統領は2012年の大統領選挙当時、李承晩・朴正煕大統領の墓参りはしなかったが、17年の大統領選挙では『統合』を口実に墓参りを行った。つい先日まで『建国100年』などと騒いでいたかと思えば、北朝鮮がこれを嫌うと知ると突然やらなくなった。解放から70年以上過ぎたが、100年過ぎた学校の校歌を『親日清算』を理由に廃止し、6・25戦争(朝鮮戦争)の南侵責任者に独立有功者として勲章を授与するという。この偏狭で変質した歴史政治はいつになったらその正体を現すのだろうか」

     

    米ソの冷戦時代、ヒトラーに模したチャップリンが、地球儀の風船に腰掛ける場面があった。独裁者の心情をからかったものだ。文在寅氏も、この映画場面にピッタリな振る舞いをして、束の間の「独裁者」を楽しんでいる風情だ。文氏の大統領任期は後、満3年ある。この調子で、歴史という厳然たる事実を自分に都合良く解釈して,切り貼りして喜んでいるのだろう。次期大統領が保守派になれば、文氏は確実に「虐待」される運命である。それにふさわしい行動をしているからだ。

     

    文氏は、カトリック教信者と聞く。キリスト精神とは、それほど安っぽいものなのか。そんなはずはない。獄窓にある、かつての政敵に一片の同情心も見せず、さらに追い打ちを掛けて溜飲を下げている。文氏は、それでも人間と言えるだろうか。

     


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    中国政府は、外交政策で懲らしめたいと思う相手国には、中国人観光客を減らすべく団体旅行ツアーを禁止すれば事足りた。だが最近は、個人観光客が増え始めており、政府の思い通りにことが運ぶこともなくなっている。共産主義と言えども、個人の趣味趣向を左右できる段階は終わったようである。

     

    今年は、「中国・ニュージーランド(NZ)観光年」と銘打たれた年である。だが、中国共産党系新聞『環球時報』は、中国人観光客のNZへ旅行計画を考え直していると報じて、チグハグナ感じを与えている。NZ側が、華為技術(ファーウェイ)の第5世代(5G)移動通信システム採用を禁止する方針を打ち出したことへの報復策だ。『環球時報』は、NZへのけん制球を上げて反応を見たものである。

     

    果たして、中国政府のけん制球は効くだろうか。

     

    『ブルームバーグ』(4月21日付け)は、「威力陰る中国人団体の海外ツアー、個人客増も政治目的の効果は上がらず」と題する記事を掲載した。

     

    政治の主張のためには国民の旅行先を別の国に誘導するのもいとわないのが中国政府だ。中国人観光客の急減でパラオや韓国などは、実際に大きな打撃を受けた。この「公然の秘密兵器」ともいうべき常套手段の効果が今後長続きしそうにないことは、NZをはじめとする観光立国にとっては良いニュースだ。

     

    (1)「海外旅行需要は、90年代半ばの所得増加に伴い拡大し、一段の規制緩和を迫られた中国政府は渡航先を個別に認可する『ADS』と呼ばれる制度を導入した。中国の旅行代理店が、ADS認定を受けた国向けの団体ツアーを扱うことを許可されるとともに、認定国による中国観光マーケティング活動を認めるというものだ。ADSの効果は驚くほどで、2018年には中国本土に住む1億5000万人近くが越境旅行を楽しみ、世界一のアウトバウンド大国になった」

     

    中国人の海外旅行は最初、団体旅行で始まった。2018年は、中国本土に住む1億5000万人近くが、海外旅行を楽しむ時代である。一方、団体ツアーに飽き足らず、個人旅行が増えるのは時代の趨勢。中国では今、これが主流になろうとしている。

     

    (2)「中国人観光客を受け入れる国の恩恵も大きく、ある調査はADS認定後の3年間にその国を訪れる中国人が50%余り増えることを示した。NZはGDPの6%を旅行・観光業から直接得ており、海外の観光客数で言えば中国はオーストラリアに次ぐ2位だ。だが17年、中国は韓国への団体ツアーの認可を休止。韓国政府が米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を決めた後のことだ。同年だけで韓国の観光業界は70億ドル(約7800億円)近い打撃を被ったと韓国政府は試算する。昨年になると中国は、台湾との外交関係を維持すると決めた太平洋の島国パラオへの団体ツアーを禁止し、観光業で成り立つパラオ経済は壊滅的打撃を受けた。パラオの観光客の約45%が中国人だった」

     

    前記の通り、1億5000万人もの中国人が海外旅行する時代では、旅行先となる外国が中国への売り込みを始めるのも当然だ。NZは、豪州に次いで2位の実績を持つに至った。すでに、中国へのマーケッティングが浸透している。韓国やパラオでは、中国人の団体ツアーにお任せスタイルであったためか、中国政府の「団体ツアー」取消しによって大きな被害を受けた。中国人観光客が杜絶したのだ。

     


    (3)「この経済兵器の威力は確実に薄れそうだ。中国人が一段と豊かになり、より洗練されて自信を持つにつれ、今のところは政府の制限対象でない個人旅行が選好されるようになっているからだ。13年時点で、中国人海外旅行客に占める個人旅行者は37%だったが、18年前半にはその割合が50%に達した。豪州への旅では中国人の58%が個人旅行を選び、14年の42%から割合が上昇した。18年4~6月に米国を旅していた中国人の78%は個人旅行客だった

     

    中国人の海外旅行は、団体ツアーから個人旅行が選好される時代に移りつつある。団体ツアーの「お仕着せ旅行」からリピーターになって、「オーダーメード」の個人旅行へ移行することだ。豪州への旅では中国人の58%が個人旅行である。米国旅行では78%にもなっている。

     

    (4)「高度な教育を受け比較的恵まれた若い世代は、それまでの世代よりも消費の選択で自立志向が強まっていることがうかがえる。こうした中国の変化を早くから認識していたのがNZだ。中国が最近のような脅しをかけてくる前から、NZ観光局は中国でマーケティング活動の対象を金銭的に余裕のある個人にシフトし始めていた。こうした取り組みを続けることが中国政府に抵抗する最善策かもしれない」

     

    NZへの個人旅行比率は不明だが、豪州並みの60%弱はあるだろう。米国並みなら80%弱になる。中国政府による、NZ旅行を妨害するような振る舞いがあっても、「80後」(80年代生まれ)や「90後」(90年代生まれ)はそれを乗り越える、と期待されているがどうなるか。中国共産党の「威令」はどこまで効くか。テストケースになろう。


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