勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    a1380_001541_m
       

    韓国人にとって、反日は常識である。現実には、日本の歴史をほとんど知らないままに「反日」を叫んでいるという厳しい指摘が現れた。ソウル大学教授がその主である。

     

    韓国朱子学に深く染まった韓国人である。自分たちは、高い道徳を身につけた民族である。日本はアジアの辺境にある野卑な民族だ。日本は知るに値しない国である。せいぜい豊臣秀吉と伊藤博文の二人だけ知っていればことたりるという認識であろう。こういう浅薄な歴史知識に基づいて、日本批判とはおこがましいというのだ。

     

    『朝鮮日報』(4月21日付け)は、「『克日』したければ家康について知るべし」と題する寄稿を掲載した。筆者は、朴薫(パク・フン)ソウル大学東洋史学科教授である。

     

    「克日」とは、日本を乗り越えるという意味で使われている。「反日」は、単なる感情論とすれば、「克日」は深く日本を理解し韓国も日本に負けないように努力しようというニュアンスである。このほうが、理性的な対応なので「切磋琢磨」という関係になろう。現在の文在寅政権は、単純な「反日」である。金大中・元政権は「克日」に近い存在と思われる。これは、私の感想である。朴薫教授が言っている訳でない。

     

    (1)「韓国人のように、日本に対して極めて強い関心を抱きつつも知識は貧弱というケースは、よそではなかなか見られない。ほとんど全ての面で日本相手に競争心を燃やしデリケートに反応しつつも、当の日本、とりわけ日本史についての学びはお寒い限りだ。真に『克日』したいのなら、日本の歴史を知ることが最良の道のはず。私は、口では克日・反日を語りながら日本史には少しも関心を持たない人を見ると、本当に克日を望んでいるのかと疑わしく思う」

     

    歴史の知識が必要なことは、あらゆる分野で共通している。経済なら経済史、科学なら科学史である。先ずこれを学ぶことで、対象学問の概略を知りうるからだ。かつて、算数嫌いな子どもに、数の歴史を教えたら、とたんに算数に関心を持つようになったという報告を聞いた。歴史とは、抽象論でなく具体論だから興味を持たせるのだ。

     

    韓国でも、反日から克日へ転換させるには、文在寅大統領のように「積弊=親日=保守」という政治的な立場でなく、隣国・日本を知るという戦略論に立てば認識が変るはず。金大中氏は、それをやってのけた大統領である。

     

    (2)「わずかながら韓国人に知られている歴史上の人物も、大抵は豊臣秀吉、伊藤博文のように韓国史とあしき縁がある人物だ。しかもそれすら、前者は李舜臣(イ・スンシン)、後者は安重根(アン・ジュングン)との接点部分に限られる。韓国人にとっては思うところがあろうが、豊臣秀吉は日本の近世、伊藤博文は日本の近代をそれぞれ築いた『founder』だ。新たな日本づくりが、彼らの手でなされた。壬辰(じんしん)倭乱(文禄・慶長の役)も韓国併合も、その過程で起きた

     

    歴史は、川の流れのようなものだろう。連綿として続いている。秀吉も博文もその流れの「一点」に立つに過ぎない。歴史は「通観」してこそ初めて、現代が理解できるものだ。私は、いつもそういう視点で見るように務めている。

     

    (3)「幸いなことに小説『大望』(山岡荘八、原題は『徳川家康』)のおかげで、徳川幕府を樹立した家康はまだ知名度がある。山本七平が書いた『待ちの剣:100年の残酷時代を終わらせた徳川家康』(21世紀ブックス、パク・ソンヨン訳、原題は『徳川家康』)は、「近世」という時代の性格、家康の業績が持つ歴史的意味、彼の人間的な側面や独特なリーダーシップを興味深く伝えてくれる」

     

    (4)「織田信長と豊臣秀吉の革新的政策を、家康は積極的に継承し、安定的に定着させた。政策は革新的だったが、実行の過程は老獪(ろうかい)で、遠回しだった。また家康は、あまたいる戦国武将の中でも出陣の経験が最も多い将帥の一人だった。指揮を執るだけでなく、敵陣深く入り込んで兵士のように戦った。戦闘においても政策においても、上の人間だからと後ろに引っ込んだりはせず、現場で『タフに取り組んだ』」

     

    (5)「今の日本社会のルーツは徳川時代にある。明治維新も近代化も、そのルーツの上で展開した。だから現代日本を深く理解しようと思ったら徳川時代を知るべきで、その創設者たる家康について学ばなければならない。数十年の間に私が会ってきた多くの日本人は、声を強めて『反日!』を叫ぶ人よりも、家康、坂本竜馬、東条英機について読み、知っている韓国人の方を評価し警戒した。例外なく、一様にそうだった」

     

    世界史的に言えば、欧州と日本だけが封建時代を経験した。封建制とは、天子(王様)の下に諸侯が各自領内の政治を任された政治制度である。日本が、欧米制度をスムースに導入できた背景にはこれがあった。中国や朝鮮など他国には、この封建制度がないのだ。その一つ前の専制時代であり、天子が全土を直接統治した。

     

    日韓併合は、専制政治の朝鮮を近代国家へ飛躍させようという試みである。韓国で、こういう歴史知識があれば、「反日」で凝り固まって日本を絶対に許さないとか、積弊対象にすることもないであろう。文在寅氏には、世界史の知識が欠けているのだ。お気の毒に思う。


    a0001_001080_m
       

    北朝鮮は、経済制裁によって確実に追い込まれている。昨年の穀物生産量は、前年に比べておよそ10%のマイナスを記録したので、国際機関に緊急食糧援助を求めざる得なくなっているという。

     

    今のところ北朝鮮で餓死者が出たとか、あるいは大規模な飢饉が発生したとの情報はないという。市場などでの穀物価格も安定しているようだ。しかし、北朝鮮の農業事情に詳しい専門家は、「制裁の長期化で経済難が続き、住民全体の購買力が低下している。これが食料価格の安定している理由だ」との見方を示しているようだ。

     

    これを裏付けるように、脱北者が急増している。北朝鮮秘密警察である保衛省幹部6人が、3月脱北して中国に潜伏していると伝えられている。また、脱北ブローカーを通じて川を渡りたいと依頼する件数は普通、1週間に23件程度だが、最近は昨年同時期に比べ2~3倍に増えた(『朝鮮日報』4月20日付け)という。北朝鮮経済は、危機的な状況にあることは疑いない。

     

    『朝鮮日報』(4月20日付け)は、「金正恩委員長の統治基盤、対北制裁で打撃ー米紙」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「国際社会の対北朝鮮制裁で北朝鮮の経済が揺らぎ、金正恩(キム・ジョンウン)政権にとって実質的な脅威になっている、と米紙『ニューヨーク・タイムズ』4月18日付け(現地時間)が報道した。同紙によると、脱北者らの証言や経済学者らの分析として、この数年間の対北朝鮮制裁により北朝鮮の石炭・鉄鉱石・海産物など中国輸出の道が断たれ、その結果、朝鮮労働党幹部や軍人・警察官といった「北朝鮮指導層」が最も大きな打撃を受けているという。アジアプレスの石丸次郎北朝鮮取材チーム長は同紙のインタビューで、「制裁で最も大きな打撃を受けている彼らは、政権から給与と配給を受けている20~30%の人々だ」

     

    前記の秘密警察幹部が脱北したのは、金正恩氏からの給与が途絶えている結果、裏を知り抜いた「脱北」という最後手段に出たものであろう。秘密警察幹部が脱北となると、事態は窮迫している証拠だ。韓国の文在寅大統領が、頻りと南北交流事業を主張していた裏には、北朝鮮からのSOSが届いていたのかも知れない。

     

    (2)「北朝鮮は、瀬取りなどにより石油を備蓄しているが、通常の市場価格の1.5~2倍を払っているため外貨消費が多いようだ。党の倉庫が空になり、党幹部らの懐具合も芳しくなくなったため、外貨消費の拠点である平壌市内のデパートも閑散としているという。北朝鮮上位層を含む脱北者も増加傾向にある。北朝鮮に詳しい消息筋は、『北朝鮮保衛省幹部など6人が先月脱北して中国に潜伏している』と話す。金正恩委員長は彼らを逮捕しようと大規模な逮捕組織を送ったが、まだ行方が把握できていないとのことだ。一部では、彼らは反北朝鮮団体『自由朝鮮』(旧:千里馬民防衛」)に救助を要請して支援を受けている可能性もあるとしている」

     

    現在、北朝鮮の外貨保有額は推定で数十億ドル(数千億円)だが、これと現時点での食料と石油の備蓄量では1年以上は持ちこたえられないとの見方もあるという。統一研究院の趙漢凡(チョ・ハンボム)研究委員は「(北朝鮮における)2017年の経済成長率はマイナス3.%、昨年はマイナス5%だったが、今年はさらに下がる見通しだ」とした上で、「今年末まで持ちこたえるため北朝鮮は食料を備蓄しようとするだろう」と予想した(『朝鮮日報』4月20日付け「北朝鮮外務省文書、緊急の食料輸入が必要」)。頼りの外貨準備が、マイナス経済成長もあって、さらに底をつきそうになってきている。

     

    北朝鮮の秘密警察幹部が、反北朝鮮団体「自由朝鮮」にかくまってもらっているとなれば、

    金正恩氏としては不安要因が増すことになる。今回、ロシアを訪問するが、プーチン氏の力を借りて、反北朝鮮団体「自由朝鮮」潰しにかかるのかも知れない。

     

    (3)「中国などはこれまで、北朝鮮の一般住民の生活苦を軽くしようと対北朝鮮制裁の緩和を主張してきた。しかし、『ニューヨーク・タイムズ』の報道によると、対北朝鮮制裁の効果が最も大きく現れているのは金正恩体制を支える北朝鮮のエリート集団だという。北朝鮮は対中輸出で外貨を稼いで消費財・資本財を購入してきた。そうしたものをこれまで享受してきた10%のエリート層が、経済制裁で最も直接的な打撃を受けている。これら特権層は対北朝鮮制裁により真っ先に揺らぐことになると見られている」

     

    米国による経済制裁効果は、北朝鮮のエリート層を直撃している可能性が大きくなっている。これは、金正恩体制を揺さぶることになろう。脱北者急増とあわせて、北朝鮮に核放棄を迫る状況が、ますます強まってきたようだ。

     


    a0960_008565_m
       

    米中通商協議が、大詰めにあることは衆知の通りだ。USTR(米通商代表部)のライトハイザー氏が、これまで交渉を見送ってきた日米交渉を始めたことは、米中交渉の終わりを意味するものである。

     

    こうなると、米中通商協議の調印式はいつ行うかが注目の的になってきた。調印式場について、米トランプ大統領は米国を。中国の習国家主席は第三国を主張している。米中通商協議の内容が、圧倒的に米国案で進められた上に米国での調印となれば、習氏のメンツが立たないのだ。そうなると、第三国=日本が選ばれる可能性が強まってきたようだ。

     

    トランプ氏の訪日日程は、5月25日~28日である。この4日間は、常識的に長すぎると感じないだろうか。私は、せいぜい2日~3日が国賓としての滞在日程と見る。となると、残り1日は、米中通商協議の調印式に当てられても不思議はない。

     

    安倍首相は、4月26日にトランプ氏と米国で面会する。5月はトランプ氏の国賓としての訪日。6月はG20でトランプ氏と習近平氏の訪日。こういう重要なスケジュールで、安倍首相がいかなる外交手腕を発揮するか注目される。4月の安倍訪米は、5月の米中通商協議の調印式に打合せをする目的でないだろうか。

     

    『ブルームバーグ』(4月19日付け)は、「米中高官協議あと2回予定、来月の首脳会談で合意署名目指す」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米中両政府が通商問題での合意に向けハイレベル協議を近く開催することが分かった。2回開催する予定で、5月初めまでに妥結し、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席による同月中の合意署名を目指す。閣僚級協議も行われる予定で、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表とムニューシン米財務長官は4月29日の週に北京を訪問する計画。中国の劉鶴副首相がその翌週に協議のためワシントンを訪れる予定だという。劉副首相の訪米中に、両国の当局者は交渉妥結と、合意署名のための米中首脳会談の詳細を発表したい意向で、その場合、5月下旬の会談開催が設定されることになりそうだと関係者は語った」

     

    米USTRのライトハイザー代表とムニューシン米財務長官は4月29日の週に北京を訪問する。中国の劉鶴副首相がその翌週に協議のためワシントンを訪れ、相互訪問の原則を守り米中平等の立場を示す儀式だ。この劉氏の訪米中に交渉妥結と、合意署名のための米中首脳会談の詳細を発表したい意向だという。長い道のりの米中通商協議の第一幕が幕を閉じる。今後も、何かとゴタゴタが予想される。

     

    (2)「トランプ大統領は4月4日、合意の枠組みをまとめるのに4週間、詳細文書の策定に2週間必要となる可能性を示していた。またトランプ大統領は17日、ホワイトハウスで開かれたイベントで、交渉は『成功』するだろうとの考えを示した上で、近いうちに最新情報の発表があるだろうと述べた。関係者によると、一つの選択肢として検討されているのは、合意署名のための米中首脳会談を日本で行う案。トランプ大統領は5月1日に皇太子さまが天皇に即位された後に会見するため来日を予定している」

     

    米中交渉の妥結調印は、5月下旬に設定されることになりそうで、かつ中国の「第三国説」とすれば、トランプ氏の訪日中というスケジュールが浮かぶであろう。この案は、中国にとっても受け入れがたいものではあるまい。中国は、日本を味方に引入れたいと腐心している最中だ。米中通商協議の妥結調印を日本で行なうことにより将来、米中での通商紛争が起った場合、日本に調停役となって貰いたい希望があるかも知れない。


    30    1025   4
       


    日韓をめぐる「福島産海産物」輸入規制問題で、韓国が一審で敗訴した。二審では、逆に日本が敗訴するという意外な結果になった。結審後10日も経つが、韓国は敗訴覚悟でまともな資料もつくらなかったのだ。そういうデタラメな実態を究明したい。

     

    WTO(世界貿易機関)が二審で、韓国の主張を認めたのは不可解の一語である。韓国は現在、さも正義の勝利のごとき振る舞いをしているが、完全に彼らは敗訴を覚悟していた。一審の段階で日本の現地調査をしながら、その報告書も途中で執筆を中断したまま。勝ち目はないと諦めていた。それが、まさかの「勝訴」。一番、驚いたのは韓国だ。

     

    WTOは、二審でどこを見ていたのか。一審では、日本の主張を100%認めておきながら、二審では韓国に軍配を上げた。日本は、まさにペテン師に引っかけられたようなものである。多分、韓国の市民団体が「むしろ旗」で、WTO本部のあるジュネーブに乗り込んでくるのを恐れたとしかいいようのない結果だ。

     

    韓国市民団体は、「狂気」の集団である。慰安婦の少女像を世界中に設置して歩いている集団だ。反日が唯一の生きがいのようなものである。静かなジュネーブで、デモ行進しない保証はあるまい。こういうことに不慣れなWTOが、恐れをなしたとしても不思議はない。

     


    先ず、韓国が敗訴を覚悟していた状態を紹介したい。

     

    『ハンギョレ』(4月10日付け)は、「4年にわたる福島水産物紛争、危険性の立証を放置した韓国政府」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本の福島周辺の水産物の輸入をめぐって日本と貿易紛争中の韓国政府が、これら水産物の放射能の危険性を証明する基本報告書も用意せず、世界貿易機関(WTO)訴訟に対応してきたことが明らかになった。1審で敗訴した韓国政府は、12日に開かれる2審でもやはり敗訴する可能性が高いものと予想される」

     

    韓国政府は、「福島産海産物」の輸入規制が、科学的な根拠に基づかない措置であることを知っていたので、最初から「負け戦」覚悟であった。これでは、放射能の危険性を証明する基本報告書も用意できるはずがない。

     

    (2)「これまで韓国政府は、日本政府との貿易紛争後、消極的な対応で一貫してきた。まず、世界貿易機関に証拠資料として提出する報告書すら作成しなかった。政府は日本の提訴前の2014年、日本の放射能リスクと関連した報告書を作る目的で『日本の放射能安全管理民間専門委員会』を立ち上げた。民間委は同年12月と2015年1月、二回にわたって日本の現地調査まで終えたが、日本の提訴後、活動を中断した。さらに、同委員会は二回の現地調査に対する結果報告書も作成しなかった」

     

    韓国政府は、世界貿易機関に証拠資料として提出する報告書すら作成しなかった。また、日本の現地調査まで終えながら、報告書も作成しなかったのだ。日本の提示するデータに圧倒されて、もはやそれに反駁するようなデータもないので報告書作成を「放棄」したとしか思えない。

     

    (3)「これと関連して、世界貿易機関は1審の判定で『韓国政府がなぜ最終手続き(報告書の作成)を中断したのか、その理由をきちんと説明できなかった』と指摘するほどだった。しかし、昨年の1審敗訴後も韓国政府は何の後続措置もしていない。関連する政府機関も根拠資料を作成していない。例えば、日本から輸入した農水畜産物の放射能数値を検査する食薬処は、日本産食品の放射能濃度に関する分析報告書も作成していない。福島近隣の環境をモニタリングする原子力安全委員会も、訴訟の対応論理として使えるだけの分析資料は何も提出していない。原安委は、事故が発生した東京電力の内側と、近隣の大気中の放射能の数値だけを調査しただけで、土壌や海水汚染は調査しなかった」

     

    韓国政府が、なぜ最終手続き(報告書の作成)を中断したのか。WTO一審では、その理由をきちんと説明できなかったとまで指摘したのだ。韓国の「放棄試合」であったのが、二審では「勝訴」という意外な結果が出た。WTOの権威を疑われる事件だ。

     

    文大統領は、詳しい事情を知らないので「勝訴」が出た後に、次のような指示を出している。

     

    文氏は、「緻密に準備すれば貿易紛争で勝つことができるという自信を持ってほしい」と述べた。また、今後の別の紛争訴訟で参考にするためにも一審の敗訴原因と上訴審で変わった対応戦略など一審と二審を比較分析した資料を残す必要があると、検討を指示した(『中央日報』4月16日付け)という。文氏からこの指示を受けた担当部局は、さぞ困っているだろう。負け戦覚悟で資料もつくっていなかった。それが「勝訴」というのである。WTOは、インチキな結論を出したものである。



    32
       

    韓国政治に、従来に見られなかった「進歩派独裁」という巧妙な動きが強まっている。文氏は一見、民主主義の申し子のように振る舞うが、人事手続きでも国会の聴聞会に掛けず、独断で決めている。しかもその人事は、憲法裁判所裁判官である。文政権一派の裁判官で憲法裁判所を支配しようとの狙いは明らかである。

     

    次期政権が保守政権に変った場合、今回の「独断人事」の背景と狙いは必ず究明される必要があろう。また、テレビ局経営者も前政権時から一変させて、労組ともども政権批判放送が消えている。文政権による「情報コントロール」が進んでいるのだ。

     

    『朝鮮日報』(4月20日付け)は、「憲法ではなく文在寅政権を守る憲法裁判所」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日『35億ウォン(約3億4000万円)株式投資疑惑』が指摘されている李美善(イ・ミソン)氏と、ウリ法研究会元会長の文炯培(ムン・ヒョンベ)氏の2人を憲法裁判所の裁判官に任命した。その結果、現政権で人事聴聞報告の採択なしに任命された憲法裁判官はこれで4人になった。これまで歴代政権で30回以上にわたり憲法裁判所長、憲法裁判官の人事聴聞会が行われたが、聴聞報告の採択なしに任命されたケースは過去に1回もなかった」

     

    憲法裁判所の裁判官任命は、国会の聴聞会を経ることが当然の手続きである。過去の政権でもすべて、そういう手続きを経ている。文大統領は、自らに冠せられた「社会派弁護士」という評判を悪用し独裁的な動きをしている。はなはだ危険というほかない。文氏は、韓国社会を自らの思い通りに動かすと独裁的な方向を強めている。こうした、憲法精神を踏みにじる「クーデター」的政治は、糾弾されてしかるべきである。

     

    文氏の頭には、北朝鮮問題しかないようだ。北朝鮮を救済して南北交流を実現する。これだけが政治目的と化している。そのためには、日韓関係が破綻しても致し方ないとまで、思い込んでいる節が見られる。ならば、日本も腹を固めて対応するほかない。

     


    (2)「現政権発足後は、裁判官が指名されるたびに様々な問題が指摘され、今や裁判官のほぼ半数が聴聞報告の採択なしに任命された。裁判官の人選が政権のコード(政治的理念や傾向)に合致する自分たちの仲間中心に行われたためだ。そのようにして任命された憲法裁判官は9人中4人になったが、これでは憲法裁判所そのものが深刻な道徳的問題を抱えるのはもちろん、民主的な正当性まで失われてしまうだろう。『憲法裁判所は大統領府の出先機関』との指摘ももはや決して大げさではない」

     

    憲法裁判所という、一国の制度や価値観に関わる根幹的な裁判を司る裁判官が、権力の意向次第で恣意的に決定されることはきわめて不幸である。国会の聴聞会は、そういう権力の恣意性を排除するための不可欠な手続きである。それを飛び越えた超法規的な任命は、文政権が永久に負わなければならない責任である。

     

    (3)「李美善氏と文炯培氏の2人が憲法裁判官に任命された結果、大法院(最高裁判所に相当)長が会長を務めるウリ法・人権法研究会出身者は4人となった。文大統領が大統領府民政主席だった時に秘書官だった民弁(民主社会のための弁護士会)の元会長も憲法裁判官だ。これによって法曹界の新たな主流とされる政権コード集団出身者が憲法裁判所を事実上掌握し、その結果、韓国社会の核心的な利害や価値に対する憲法的な判断が彼らの手に渡ってしまった」

     

    野党各党からは、「気に入らない法律や積弊とされた法律を次々と違憲にするだろう」「左派独裁の最後の鍵が完成した」などの指摘が相次ぎ、また法曹界からは「死刑制度」や「国家保安法」などが廃止されるとの声も出始めているという。これは見過ごすことのできない事態というべきだ。

     

    文氏は、北朝鮮との統合(一国二制度)準備を始めているに違いない。そのためには、憲法裁判所裁判官を進歩派で固めることが必須条件と見ている。だが、日本との関係悪化を放置したままに,北朝鮮との統合は不可能であることに気付いていないのだ。ここら当たりが、文氏の政治家としての限界を示している。日米関係緊密化の中で、安全保障的な観点を無視した南北統合など「戯言」に過ぎないのだ。文氏は余りにも幼稚である。

     

     

     


    このページのトップヘ