勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。


    韓国はいま、大韓帝国時代(1897~1910年)の文化展が人気を呼んでいるという。文政権は、日韓併合(1910年)に反対し上海に設立された大韓民国臨時政府(1919年)が、来年100年を迎えることもあり、過去の朝鮮民族の「優秀さ」を強調し始めている。

     

    今回の「強制徴用工」に関する韓国大法院(最高裁)判決は、日韓基本条約を否定する形になった。その根本的理由は、日韓併合が大韓帝国を抹消したことへの謝罪がないこと。日本が日韓基本条約でこの点を明示しなかったことへの怒り・不満が、あのような判決をもたらした心理的な背景である。

     

    韓国人にとって、それだけ誇りとする大韓帝国とはどのような立派な国であったのか。

     

    『中央日報』(11月18日付)は、「大韓帝国直前のヘル朝鮮」と題するコラムを掲載した。筆者は、ムン・ソヨン コリア/中央デイリー文化部長 である。

     

    (1)「(朝鮮の)近代国家建設の動きがあまりにも遅く始まり、朝鮮旧体制の問題が非常に深刻だった。これに関連し、西洋人が大韓帝国宣布3年前に直接見た「ヘル朝鮮」の風景は参考になる。オーストリアの旅行作家ヘッセ=ヴァルテッグが書いた『朝鮮、1894年夏』の一部を抜粋してみる」

     

    朝鮮李朝は、宮廷における親族間での派閥争いが激しかったことで有名だ。清朝末期と瓜二つであった。だが、韓国政府はそういう解釈でなく、日本が強引に取り潰したという説を流布した反日感情を煽っている。

     

    朝鮮李朝は大韓帝国と改称したが、世界はその行政能力に疑問を持ち、1905年に日本の保護国にしたほど乱れていた。この延長線で1910年に日韓併合に至った。韓国人は、ここを「屈辱の歴史」と呼んでいる。日本を絶対に許さないという歴史的部分である。だが、西洋人が大韓帝国宣布3年前(1894年)に直接見た『朝鮮、1894年夏』では、「ヘル朝鮮の実態」を表わしていた。

     

    (2)「私がインドや中国、日本を旅行し、ある都市に到着すると、異邦人が到着したという話が稲妻のように広まり、私の家の前には奇異な物品を売ろうとする商人がさまざまな貴重品を広げた。ソウルではむしろ商人を呼んでほしいと頼まなければならなかったが、実際に商人が出したものは箱と帽子、たばこパイプ、紙などの物品がすべてだった。もし彼らが生計維持費よりも多くを稼げば官吏に奪われる。この官吏は朝鮮の没落とここに蔓延する悲惨さの最も大きな原因だ。官吏の貪欲は、利潤獲得と所有に対するすべての欲求と労働意志、そしてすべての産業を窒息させた」

     

    韓国官僚は、家産官僚制と呼ばれる恣意的な行政を行なっていた。「もし彼らが生計維持費よりも多くを稼げば官吏に奪われる」とは、典型的な家産官僚制を表わす。現在の中国官僚(共産党員)もこの部類に属している。

    (3)「朝鮮人はかつてさまざまな技術を保有し、隣国の国民よりはるかに進んでいた(中略)12世紀にはすでに書籍印刷術を知っていた。これは欧州の印刷術の発明より100年も早い(中略)しかし日本人が新しく習得した基盤の上で何かをさらに作り出し、多くの領域で産業を発展させたことで有名になった半面、朝鮮人は数百年間も同じところにとどまっている。外部の世界から徹底的に遮断されていて、官吏の抑圧と搾取、そして無能力な政府のため、存在していた産業はむしろ後退した」

     

    現在、韓流ドラマで朝鮮王朝の権力闘争が舞台になっている。一部で誇張はあるにしても、あのようなことは実在したはずである。超保守的で権力争いが三度の飯よりも好きという設定は、現在の韓国政治につながっているからだ。「朝鮮人は数百年間も同じところにとどまっている。外部の世界から徹底的に遮断されていて、官吏の抑圧と搾取、そして無能力な政府のため、存在していた産業はむしろ後退した」。この惰眠を打ち破ったのが、明治政府である。韓国では、一方的に日本を悪者にしているが、朝鮮李朝は退廃的な存在であったことを窺わせている。


    (4)「このような内容を読むほど、『朝鮮旧体制が日帝という外国勢力でなく内部の市民革命で転覆できていたなら』とため息が出る。そうなっていれば、朝鮮について民族主義の郷愁があふれるものでなく、より冷静な歴史が記述されたはずであり、それは今の韓国の行方にも役に立っていただろう。今の大韓帝国に対する関心がバランスの取れた考察になることを望む」

    朝鮮李朝は、腐敗しきっていた。だから、日本の保護国に編入された。こういう客観的な事情を無視して、韓国は「日帝けしからん」と反日を煽っている。しかも韓国大法院まで、感情むき出しの判決を下したのだ。日韓の相互理解は、韓国による日韓併合時代の客観的な理解を前提にする。これが進まない限り、相互理解は永遠に不可能だろう。



    ペンス米副大統領は、11月18日にパプアニューギニアで閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と2回会話した。その際、「中国は変わらなければならない」と伝えられていた。

     

    米国トランプ大統領は、今回のAPEC首脳会談に出席しなかったことから、習近平氏の「一人舞台」というマスコミ報道があった。だが、ペンス副大統領の歯に衣着せぬ「中国批判」によって、トランプ氏がわざと欠席したことが分る。11月末にはG20で米中首脳会談がある以上、ペンス氏による痛烈な中国批判で中国の妥協を引き出す高等戦術であろう。そう理解すれば、すべて納得いくのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(11月18日付)は、「ペンス氏、『中国の変化必要』習氏に直接伝達」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ペンス米副大統領は18日にパプアニューギニアで閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と2回会話した。米中関係の改善には『中国側の変化が必要』と直接伝えた。記者団に対し、米中首会談では不公正な貿易慣行に加え、南シナ海や人権の問題まで幅広く議論されると指摘した」

     

    米国が、中国に対して強硬であるのは、中国経済が10月以降、急速に金融的混乱へ陥っているという背景がある。私は「メルマガ6号」(18日発行)で、極度に混乱する中国の金融状況を分析した。来年1月1日から、米国の関税第3弾2000億ドルの関税率が25%(現在10%)に引き上げられれば、中国経済は金融的に破綻寸前まで追い詰められる。米国は、この弱点を完全に衝く戦略と思われる。

     

    太平洋戦争中、日本の山下奉文大将はシンガポールで、英陸軍アーサー・パーシバル司令官に日本の提示する条件に対して、「イエスかノーか」と迫った話は有名だ。いま、米国は中国に対して、「イエスかノーか」という勝者の立場にある。ペンス副大統領が、厳しく中国を批判するのは、「降伏」を迫っていると見るべきだろう。

     

    (2)「ペンス氏が18日午後、パプアニューギニアを離れる前に記者団に明らかにした。同氏によると、習氏に『米国は(中国との)よりよい関係に関心があるが(中国側の)変化がなければいけない』と語りかけた。習氏は『対話が大事だと思っている』と答えたという。ペンス氏は米中首脳会談の議題として、関税や知的財産権の侵害といった貿易問題に加え、南シナ海などにおける『航行の自由』の確保や、イスラム教徒弾圧などの人権問題を挙げた」

     

    ペンス氏は米中首脳会談の議題として、次の点を上げたという。

       関税や知的財産権の侵害といった貿易問題

       南シナ海などにおける『航行の自由』の確保

       イスラム教徒弾圧などの人権問題

     

    中国はいずれも、抗弁の余地ない問題ばかりである。なかでも、不公正貿易慣行の是正は、喫緊の課題である。この点で、米国から追い詰められている。第4弾の2650億ドルが仮に発動される事態となれば、中国経済は金融面で完全破綻する。人民元相場の暴落と外貨準備高3兆ドル割れは当然で、見る影もなくなるはずだ。中国の運命は11月末の米中会談にかかっていると言えよう。



    中国の国家主席習近平氏が来年、韓国と北朝鮮を訪問することになった。アジア太平洋経済協力会議(APEC)で、習氏が韓国文大統領との会談の席で、このような発言をしたと発表された。習氏は来年、先の安倍訪中への答礼とした訪日すると見られている。そうなると、習氏にとって来年は、近隣外交に力を入れることになりそうだ。

     

    『中央日報』(11月18日付)は、「文在寅大統領の招請受けた習近平主席『来年に訪韓 訪朝するだろう』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は17日、『韓国と中国は北東アジアの平和・繁栄という戦略的利益が一致するだけに、韓中関係発展と韓半島(朝鮮半島)平和プロセスにさらに緊密に共同協力することを希望する』と話した。習近平中国国家主席との就任後4度目の首脳会談の席でだ。文大統領の言葉に習主席も『(韓中)双方の韓半島情勢安定などに対する協力がとても効果的だった。韓中両国は隣国と協力して韓半島の平和と安全を推進し、公平で公正な国際秩序を遂行することで立場が似ている』と答えた」

     

    韓国が、中国に対して外交辞令を言っている様子がよく分かる。こういう歯の浮きそうなことを平気で言うものだろうか。これが、外交慣例なのだろう。

     
    (2)「習主席は非公開の会談で、金正恩委員長の答礼訪問と米朝首脳会談に対する肯定的な見通しをしたという。青瓦台核心関係者は『習主席が、ことを成し遂げるには天時、地利、人和が必要だが、その条件が合いつつあると表現した』と伝えた。文大統領は習主席の話に『今年韓半島で全人未踏の平和の時代が開かれている。習主席が3回の中朝首脳会談など韓半島情勢進展に向け建設的な役割をしてくれたことに感謝する』と話した。その上で習主席に『早期にソウルを訪ねること』を要請し、『習主席の訪韓が南北関係をさらに成熟させるだろう』とした。文大統領の招請に習主席は『招請に感謝する。来年都合の良い時期に訪問する用意がある』と答えた。習主席は続けて『金正恩委員長から北朝鮮を訪問してほしいという招請を受けた状態だ。来年に時間を作って北朝鮮を訪問する考えだ』と付け加えた」
     
    習氏は、文氏からの訪韓要請に対して、訪朝することも合わせて答えていることが分る。このように、中国が南北「等距離外交」をすることは、南北問題解決に中国を外せないことを言外にアピールして、中国のプレゼンスを高める狙いであろう。

     

    習氏はまた来年、日本訪問もしなければならない。このように日韓朝の三カ国を訪問する目的は、対米外交において中国の存在の大きさを見せつけ、対抗心を顕わにする積もりであろう。押されっぱなしの米国に対して、一矢報いる狙いと見られる。

     

    中国は、近隣外交を無視しひたすら国防力拡張に努めてきた。これは、安全保障政策では下策とされる。国防力拡張以上に、近隣諸国と友好的でなければならない「基本戦略」に気付いたとすれば、外交政策の転換と言える。さて、内実はどうなのか。

     

     

     



    韓国自動車業界は、青息吐息の状態に追い込まれている。自動車メーカーの経営不振が、部品業界を直撃しているからだ。さらに、今年から始った最低賃金大幅引き上げと労働時間短縮が、賃金コストを押上げている。最賃と労働時間短縮は、文政権が始めたこと。回り回って、政府が救済せざるをえない羽目に陥ったのだ。

     

    『中央日報』(11月15日付)は、「韓国政府、自動車部品業界に緊急支援、研究開発に2兆ウォン投入」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国政府が自動車部品産業の競争力回復に向けた研究開発に2兆ウォン(約2000億円)を投じることにした。当面の業界の資金難解消に向けては金融支援対象を中小企業から中堅企業にまで拡大する案を推進する。14日の産業通商資源部と自動車部品業界によると、韓国政府はこうした内容を盛り込んだ自動車部品活力向上案を今月末に発表する。韓国政府は部品業界の競争力を高める中長期対策が必要だとみて未来自動車に焦点を合わせた大規模研究開発支援策を出すことにした。電気・水素自動車などエコカー研究開発に1兆ウォン、自動運転車研究開発に1兆ウォン(約1000億円)を投じる」

    自動車部品業界が苦境に陥っている理由は、文政権による「労働条件」の急変にある。日本では、実施前に時間を置いて業界に準備させるものだが、韓国にはそういう配慮はゼロだ。しかも、「罰則付き」であるから企業は対応不可能である。根底には、「反企業主義」がはびこっている。これが当然という感覚である。世にも不思議な政府が登場した。

     

    日本の自動車部品業界は、自動車メーカーと共同で部品開発する例が多い。独自で開発

    した部品であれば、系列以外にも広く販売して収益基盤を固めている。韓国では、カーメーカーの部品買い叩きで薄利多売を余儀なくされるという違いがある。カーメーカーの買い叩き理由は、「労働貴族」による高賃金攻勢の尻を、部品メーカーにたらい回ししている結果だ。こう見ると、すべての原因が「労働問題」に帰着する。

     



    アジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議で15日、台湾から出席した鄧振中・行政院(内閣)政務委員が、環太平洋経済連携協定(TPP)参加の意向を改めて表明した。

     

    台湾は、すでに日本へもTPP参加の意向を伝えていた。今回のAPEC会議中の発言によって、公式発言になった。問題は、非参加国の中国が妨害工作をするか否かである。日本政府は、来年の習近平氏の訪日スケジュールに支障が出ないか、懸念していると伝えられている。だが、中国が横槍を入れる「資格」はないのだから、加盟国全体の意向で受入れるべきだろう。

     

    台湾『中央社』(11月16日付)は、「台湾、TPP参加の意向を改めて表明  APEC閣僚会議」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議が15日、パプアニューギニアで開かれ、台湾から出席した鄧振中・行政院(内閣)政務委員は会議の中で、環太平洋経済連携協定(TPP)参加の意向を改めて表明した。鄧氏は取材に対し、TPP加盟国の閣僚と会場で会った際、台湾の法改正や政策などの準備状況を紹介し、参加の意向を明確に伝えたと説明。TPPの参加については規則が定まっていないが、鄧氏が接触した国の代表は、話し合いの進捗について最新の状況を台湾に報告すると話したという。また、台湾の体制については各国から好意的な評価が示されたと明かした」

    台湾のTPP参加は、歓迎すべきである。参加国が一国でも増えることは市場拡大に寄与する。

     

    このTPP問題とは別に、ペンス米副大統領は17日、APECの台湾代表を務める張忠謀氏と会談した。米政府関係者が記者団に明らかにした。米政府高官が台湾代表と接触するのは異例だ。台湾を重視する姿勢を示し、中国をけん制する狙いがあるとみられる。『日本経済新聞 電子版』(11月17日付)が伝えた。

     

    台湾代表は過去にもAPEC首脳会議を利用して米側と接触している。ただ、会談相手は国務長官だった。副大統領級との会談は初めてという。中国側の反発する可能性もあるが、米国側は取り合わないであろう。トランプ政権になってから米台は密接な関係を維持している。米国は、「台湾旅行法」(今年3月施行)によって米台の政府高官の往来を自由にする体制を取っている。この法律を盾に取れば、中国の抗議があっても一蹴できる。


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