勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    左派の一般的なイメージは、リベラリズムである。韓国左派は、こういうリベラリズムと似ても似つかない民族主義崇拝である。韓国を良く理解できない理由は、左派が進歩派を装って民族主義発言をしていることだ。むしろ、韓国保守派のほうが、リベラリズムを良く理解しているのである。

     

    韓国左派の根本は、民族主義である。それゆえに、「親中朝・反日米」を鮮明にしている。文在寅政権は、まさに民族主義が濃厚であった。中朝に対しては、親戚のような親愛感を持って臨み、日米については親の敵討ちのような尖った意識を持ち続けていたのだ。この根本には、朱子学が存在する。

     


    『朝鮮日報』(10月2日付)は、「朱子が死んでこそ韓国が生きる」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙の朴正薫(パク・チョンフン)論説委員である。

     

    儒教は現実を基盤とする実践的学問だった。「修身斉家治国平天下」と表現されるように、実際に世の中で活用するための自己啓発論にして処世術、政治倫理に近いものだった。孔子・孟子は、食べていくための実用の価値を重視した。孔子は「まず民を豊かにせよ」と説き、孟子は「物があってこそ心が生まれる」(無恒産無恒心)とした。

     

    (1)「そんな儒教が観念論へと流れていったのは、12世紀に朱子が集大成した朱子学のせいだ。禅宗や道教の影響を受けた朱子が、宇宙論・人間本性論にこだわる中で、実践の倫理だった儒教を形而上学的哲学体系へと変えてしまった。中国で性理学は儒教の一分派にすぎず、16世紀以降は陽明学に押されて退潮した。ところが朝鮮王朝に伝わっていく中で、全ての異説を抹殺する圧倒的な支配イデオロギーとなった」

     


    朝鮮李朝は、儒教の一派である朱子学を国教とした。
    朱子学の純化によって、他の思想への寛容性を失わせ、それが朝鮮の近代化を阻む一要因となったとの見方もあるほどだ。道徳を積むことによる精神勝利を重視した。経済的な活動には興味を示さないという特質を持っていた。朝鮮をもって、中華秩序に自らを従属させるにとどまらず、「小中華」を自任するほどになった。朱子学の原理主義は、朝鮮王朝を亡国へと導いたと指摘される理由だ。

     

    要するに、文在寅政権の「親中朝・反日米」は、韓国をして「小中華」意識にさせていたことは明らかにしている。その思想的なバックボーンが、朱子学にあることを明らかにしている。韓国左派が、民族主義であることは間違いない。リベラリズムではないのだ。ここを間違えないでほしい。

     


    (2)「アジア通貨危機の後、韓国社会は儒教的弊害から脱皮するための、多くの変化を経験した。各分野で開放化・民主化が進展し、家父長的抑圧、情実・縁故重視の弊習は明らかに減った。世界に通用するクリエーティブな人材が続々と登場し、各企業はイノベーションの力で躍進している。『イカゲーム』やBTSに象徴されるKカルチャーの成功は、韓国を儒教的画一性の国とは規定し得ないことを立証してくれた」

     

    韓国で、新しいことを始めている人たちは、儒教的弊害=純化した朱子学からの脱皮を目指したグループである。韓国では、これを保守派と呼んでいるがそうではない。私は、韓国保守派こそリベラリズムの集団と呼んでいる。このパラグラフでは、それを裏づけているようだ。

     


    (3)「
    依然として中国中心の事大的世界観から抜け出せない、朱子の子孫たちがいる。中国の前では限りなく小さくなる親中・左派集団がそれだ。中国を「高い山の峰」、韓国を「小さな国」と称し、中華秩序の復元を意味する「中国の夢」に賛同するとしていた韓国前大統領がいた。「韓国は中国の属国だった」という習近平の発言にも沈黙し、現実ではなくイデオロギーの城に閉じ込められている自閉的政治勢力が、今の韓国国会を支配している。そうやって中国をあがめ慕う集団が、日本の話が出さえすると「土着倭寇(わこう)」うんぬんと言って見下し、敵意を隠さない。朝鮮王朝の士林の「小中華」意識と異なるところがない。中国でも死して久しい朱子が、韓国の左派陣営では生き生きとしているのだから、あきれてしまう

     

    このパラグラフは、文政権の「親中朝・反日米」を指している。下線分のように日本への猛烈な敵意と軽蔑は、韓国朱子学が生んだ副産物である。韓国朱子学は、朝鮮時代の両班(ヤンバン)という特権階級が担い手であった。その子孫が現在、「反日」の担い手になっているであろう。

     

    日本が朝鮮統治をしなければ、両班は生き延び特権階級としての利益を享受できた筈だ。それを追放した日本への憾み辛みは、子々孫々に渡り語り継がれているであろう。「反日」は、こういう経緯を考えれば、簡単に収まるはずがない。日韓友好は、韓国朱子学が生き続ける限り実現しないであろう。

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    今から振り返って見れば、韓国では文在寅政権時代が一番、有頂天になっていた。「二度と日本に負けない」と、文大統領(当時)は、日本に向かって啖呵を切った。また、韓国は先進国になり「G8」と自称してもいた。韓国は、あの時期が懐かしいであろう。

     

    一転して現在は、韓国が誇る半導体産業に不況の風が吹き始めている。韓国の産業界・学界の半導体専門家30人を対象に調査によると、8月時点で半導体危機が相当期間続くものとみている。回答者のうち58.6%がこうした状況が再来年以降も続くだろう言う。気も滅入るような予測結果が出ているのだ。

     

    『中央日報』(9月28日付)は、「半導体寒波、予想よりも厳しい『韓国半導体』に非常灯」と題する記事を掲載した。

     

    半導体需要の急減と価格下落にともなう市場沈滞で韓国の半導体業界の前途に非常灯が灯った。早ければ10月6日に7~9月期の業績発表を控えたサムスン電子は半導体営業利益が前四半期比で半減するという観測まで出てきた。

     

    (1)「市場調査会社のトレンドフォースは9月27日、7~9月期のNAND型フラッシュ価格が平均13~18%下落したのに続き10~12月期にも15~20%ほど追加で下がるものと予想した。これに先立ちトレンドフォースはDRAM価格もやはり7~9月期に10~15%、10~12月期に13~18%下落するという悲観的な見通しを出していた」

     

    メモリー型半導体は、汎用品ゆえに市況変動が激しい特性を持っている。急騰・急落という動きで、これは避けられない。非メモリー型半導体になれば、受注によって生産するので価格変動はより安定している。韓国半導体は、メモリー型の激しい市況変動を回避できない宿命を負う。台湾半導体とは対照的である。台湾は非メモリー型半導体が主流だ。

     


    (2)「市場ではすでに業績見通しを大きく引き下げている。この日金融情報会社のFnガイドによるとサムスン電子の7~9月期の営業利益見通し(コンセンサス)は前年同期比20%減少した12兆7076億ウォンだ。前四半期の14兆970億ウォンより1兆ウォン以上減った。半導体だけ分けてみれば7兆ウォン前後と予測される。匿名のサムスン電子関係者は「内部ではこれよりはるかに低い5兆ウォン台を予想している」と話す」

     

    サムスン電子の7~9月期の営業利益見通し(コンセンサス)は、前年同期比20%減少した12兆7076億ウォンだ。サムスン内部では、5兆ウォン台を予想しているという。大きな違いだ。正式発表の暁は、余りの悪化に衝撃を与えそうだ

     


    (3)「証券業界では、SKハイニックスの7~9月期営業利益見通しも前年同期比40%減った2兆5050億ウォンとみる。3カ月前の予想値である4兆6495億ウォンの半分水準だ。SKハイニックスは、売り上げの97%がDRAMとNANDから出ており影響がもっと大きいと分析される」

     

    サムスンに次ぐ半導体のSKハイニックスは、7~9月期営業利益見通しを前年同期比40%減という。これも正式発表では、さらに悪化した数字になりそうだ。

     

    韓国半導体は市況急落に大揺れだが、台湾半導体は健闘している。その差は、韓国のメモリー型半導体に対して、台湾は非メモリー型半導体という受注生産で市況が安定している点にある。

     


    『ハンギョレ新聞』(9月28日付)は、「韓国・台湾の対中貿易収支の明暗、半導体で分かれた」と題する記事を掲載した。

     

    中国と台湾間の関係悪化にもかかわらず、台湾の対中国貿易黒字の基調はそのまま維持されている。韓国の対中国貿易収支が5月から連続で赤字を記録しているのとは対照的な流れだ。両側を分けたのは半導体だったとの分析が出た。

     

    (4)「韓国貿易協会の国際貿易通商研究院が9月28日に出した報告書「韓国と台湾の対中貿易構造分析」によれば、8月基準で台湾の対中貿易収支は34億5000万ドルの黒字を記録した。一方、韓国の対中貿易収支は、8月が3億7000万ドルの赤字だった。貿易協会は、台湾の対中貿易黒字の要因として半導体を挙げた。最悪に突き進んでいる台中関係にもかかわらず、台湾の対中交易は比較的安定して維持されており、特に半導体が中国向け輸出および貿易収支黒字で占める割合が急上昇しているとの分析だ」

     


    台湾は、非メモリー型半導体で安定した実績を上げている。中台関係は悪化しているが、ビジネスは安定している。中国に代替輸入先がない結果だ。

     

    (5)「今年1~8月、台湾の中国向け半導体輸出は430億ドルで、輸出全体の51.8%を占めた。昨年の年間45.6%(半導体輸出574億ドル/全体輸出1259億ドル)よりさらに高まった。18月の半導体分野で収めた貿易黒字は223億ドルで、貿易黒字全体の92.7%を占めた。昨年、この割合は69.8%(303億ドル/434億ドル)だった。これとは異なり、韓国の中国向け半導体輸出は7月の14.8%増加(昨年同月比)から8月は3.6%の減少に転じた。1~8月累計で韓国の対中貿易収支は依然として黒字を記録中ではあるが32億ドル水準で、昨年同期(158億ドル)に比べて79.8%減少した。同期間、台湾の対中貿易黒字は240億ドルだった」

     

    台湾の1~8月の対中半導体輸出は、全体の51.8%を占めている。昨年同期の45.6%を上回るほど。世界の半導体不況とは無縁である。多分、自動車用半導体など特殊分野の半導体であろう。韓国の中国向け半導体輸出は、7月の14.8%増加(昨年同月比)から8月は3.6%減に転じている。メモリー型半導体の不振を表している。台湾と韓国の差は大きい。

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    中国人民元相場が、1ドル=7.116元(10月1日終値オフショア市場)で引けた。7元割れだが、中国ではこの現象をどのように説明しているか。

     

    韓国紙『中央日報』(10月2日付)は、「人民元とウォン、韓国の対応は」と題する記事を掲載した。中国経済金融研究所の全炳瑞(チョン・ビョンソ)所長へのインタビューである。

     

    (1)「(質問)人民元の心理的マジノ線が崩れた。

    (答え)「外部でそのように話すが、中国政府には7元がマジノ線ではない。むしろ最近の人民元急落は中国政府の意図が入っているとみなければならない。人民元相場はドル、ユーロ、円など貿易量が大きい国の通貨を複数の通貨バスケットでまとめて前日終値で変動幅を反映した後に中国政府が算出した調整係数(景気対応調整要因)を加える形で決定される。事実上政府が為替相場を統制する構造だ。複数の通貨バスケットではドルの割合が最も大きいためドルが上がり始めた今年初めから人民元相場は低くならなければならなかった。しかし中国政府は調整係数を通じてこれまで人民元下落を防いだ。韓国や日本のように市場で為替相場が決まる国とは状況が違う」。

     


    中国は、自らの「管理型変動相場制」を恥じるのでなく自慢している。西側先進国は、すべて自由な「変動相場制」である。日本は、1973年から移行した。中国は、未だにそれができないのだ。ここに、中国経済の後進性という本質的矛楯がある。国家が、管理保護しなければならない経済部門があるのだ。

     

    (2)「(質問)中国通貨当局が1ドル=7元崩壊を放置した理由は。

    (答え)「中国の産業を守るのが先のためだ。中国は2008年の金融危機で輸出依存型成長モデルの限界を実感し、その後輸出より内需市場の成長に注力した。中国国家統計局の資料によると、中国の国内総生産(GDP)で輸出が占める割合は2006年の36%から2020年には18%まで低くなった。中国で生産した製品5個のうち1個だけを輸出するという話だ。ところがコロナ禍と封鎖で消費が不振に陥ったのが問題だった。内需が打撃を受けた状況でも輸出が増えれば中国の産業がマイナス成長を避けられるため人民元下落を容認したのだ」

     

    下線部分で、人民元相場の7元割れの理由を説明している。だが、これに先立ち、人民元は、中国経済の先行き不透明を警戒されて売り込まれていた。株式市場や不動産市場の混乱が、人民元相場を安値に追込んでいたのだ。人民元安は、人為的な誘導によるものでない。この点をインタビューではカムフラージュしている。

     


    (3)「(質問)「人民元安」が続くだろうという話なのか。

    (答え)「中国の景気を見なくてはならないが、4-6月期の経済成長率が0.4%を記録したのが底だとみる。資産運用会社であるフィデリティが出す主要国の景気サイクルを見ても中国はすでに景気低迷を過ぎつつあるところだ。世界銀行とIMFの今年の中国経済成長見通しがそれぞれ2.8%と3.3%に低くなったということに注目しているが、核心は来年だ。世界銀行の来年の中国成長見通しは4.5%、IMFは4.6%だ。これら機関の見通しで今年より来年の成長率が高いのは主要国で中国だけだ。景気が戻ってくれば中国政府も人民元安を容認しないだろう」。

     

    世界銀行やIMFという国際機関は、中国の圧力をかなり受けている。来年について、悪い予測を出せない背景だ。これら機関には、多くの中国人スタッフが送り込まれており、「工作」している。今年については、隠しようがないので「素」の予測データを出しているだけであろう。来年も、最大の不安材料である不動産バブル崩壊の後遺症について、何ら解決策が提示されていないのだ。

     


    (4)「(質問)ウォン相場に影響はないか。

    (答え)「ウォンと人民元の相場同調化はすでに壊れた。最近の韓国の貿易構造を見るとウォン相場は人民元とともに動ける状況ではない。過去には韓国が中間財を中国に輸出し中国は完成品にして輸出した。中国がドルを稼げば韓国もドルを稼ぐ構造で為替相場が一緒に動いたのだ。ところが最近ではこうした品目が減った。半導体を除けば韓国はすでに2021年から中国との貿易で赤字を出している。バッテリーやディスプレーなどの核心素材であるリチウムとレアアースのように韓国が中国から輸入する品目が多い。両国の通貨価値はもう別に見なければならない」。

     

    下線部分は、事実に反している。ウォン急落には、韓国の貿易赤字が影響している。中国経済が不振で、韓国の輸出に影響を与えているからだ。これは、厳然たる事実である。中韓経済は、深く繋がっている。ウォン安の裏には人民元安が絡んでいるのだ。



    (5)「(質問)韓国はどのように対応すべきか。

    (答え)「産業競争力を高めなければならない。韓国は内需市場が大きい国ではないので世界市場から押し出されれば打撃が大きい。米国に金利引き上げを止めろということはできない状況で、韓国経済の基礎体力をどのように高めるのかを心配しなければならない」

     

    下線部の指摘は正しい。内需のテコ入れである。だが、これは中国については、さらに必要である。個人消費の対GDP比は、中国が40%であるのに対し韓国50%だ。中国は本当のことを言えば、他人事のように韓国へ注文できる立場にないのだ。

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    韓国経済の不振は、ウォン相場急落に現れている。すでに、1ドル=1400ウォン台を割込んでいるが、10月1日19時40分、1440ウォンにまで下落した。前日終値1430ウォンから10ウォンの値下がりである。

     

    こういう事態にもかかわらず、韓国国会は与野党が政争で空転している。尹(ユン)大統領の外遊中の言動を巡る争いである。その中身は、くだらないことばかりだ。英国でのエリザベス女王死去の際の記帳が、右書きか左書きで最大野党「共に民主党」が、国格を貶めた不作法と非難。米国では、大統領発言(誰も正確に聞き取れない)を捉えて、「バイデン大統領をこの野郎」と罵倒したと難癖つけて騒いでいる。子どもレベルの話である。

     

    こういう浮ついた話とは別に、韓国経済はウォン急落が示すように、実態が悪化している。大企業の設備投資が中止や延期という事態になっているのだ。

     


    『東亞日報』(10月1日付)は、「『最悪の状況に備えろ』大企業の投資も止まる」と題する記事を掲載した。

     

    未曾有の物価高やドル高・金利高の「3高現象」により、投資や生産など企業の経営活動が相次いで萎縮している。ウォン安ドル高が進み、コスト負担が大きくなった企業各社は相次いで投資を保留・再検討したり、現金を積み上げて最悪の状況に備えた防波堤を高くしている。

    (1)「9月30日、財界によると、韓国国内の主要企業各社は最近、3高による経営環境の悪化や需要萎縮により、経営計画の見直しに追われている。LGは先月29日、3年ぶりにオフラインでの社長団ワークショップを開き、中長期経営戦略について議論した。これに先立って、三星(サムスン)も26日、社長団会議などを通じて経済懸案について話し合い、SKは今月中に「最高経営者(CEO)のセミナー」を開く計画だ」

     


    LG(総合家電)、サムスン、SK(半導体)と言った韓国を代表する企業は、韓国経済を取り巻く状況急変に警戒姿勢を強めている。最近の、輸出不振を反映したものだ。

     

    (2)「国内外企業の投資も止まっている。現代(ヒョンデ)オイルバンクとハンファソリューションは先月、主要生産施設の設立計画を撤回すると相次いで公示した。米メモリ半導体企業マイクロンも29日(現地時間)、来年の投資計画を30%縮小することにしたと明らかにした。アップルは、新製品アイフォーン14の増産計画を最近撤回したことが知られ、29日は株価が4.9%急落した」

     

    自動車の現代も慎重姿勢に転じている。設備投資計画の見直しに入った。

     


    (3)「グローバル情報技術(IT)企業の投資が減り、国内主力輸出品目である半導体の生産は14年ぶりに最大幅で減少した。統計庁の「8月の産業活動動向」によると、8月の半導体の生産は前月より14.2%減少し、2008年12月(マイナス17.5%)以来13年8ヵ月ぶりに最も大きく減少した。今後の景気を予測する先行指数の循環変動値は99.3で、前月より0.2ポイント下落した」

     

    8月の半導体の生産は、前月比で14.2%も減少した。14年ぶりの大幅な落込みである。半導体市況の急落が響いている。パソコンやスマホ需要の一巡化が大きな理由である。

     


    (4)「経済環境が急速に悪化すると、政府は大企業の主要経営陣とともに会議を開き、対策作りに乗り出した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は30日、ソウル中区(チュング)の銀行会館で三星電子とSK、LG電子、現代自動車など大手企業の財務担当者が参加する「マクロ金融状況点検会議」を主宰した。尹大統領は、「世界的な金利引き上げと市場不安で、実体経済の減速が懸念されている」とし、「マクロ経済の金融専門家、主要企業の財務グローバル担当専門家と企業が現場で体感する困難を共有し、対策について考える」と話した」

    韓銀(中央銀行)が30日に発表した「9月の景況判断指数(BSI)」によると、9月の全体産業BSIは前月に比べて3ポイント下落し78になった。BSIが、100未満なら以前と比較して経営状況などが悪化するだろうと感じている企業が多いことを意味する。2021年2月(76)以降、1年7カ月ぶりの大幅低下でるが今後、この低下傾向は一層強くなる見込みだ。要するに、「不況深化」という状況である。


     

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    韓国の左派勢力は、「親中朝・反日米」姿勢を共通項にしている。この左派勢力にとって、日米韓三ヶ国軍事演習は絶対に認めがたい事態だ。だが、北朝鮮の頻発するミサイル実験によって、日米韓三ヶ国軍事演習の頻度も上がるという皮肉な結果を招いている。

     

    全国民主労働組合総連盟(民主労総)が8月、6000人以上の組合員を動員し反米集会を開催し、「韓米同盟解体」「韓米戦争演習中断」などを叫んだ。民主労総の梁慶洙(ヤン・ギョンス)委員長は、「韓半島の運命を思いのままに翻弄する米国に対抗して闘争すべきだ」「労働組合は力で不平等な韓米同盟を終わらせよう」と主張したほど。この労組が、文政権を支えていたのである。韓国左派に共通しているのが、「親中朝・反日米」である。

     


    『日本経済新聞 電子版』(10月1日付)は、「日米韓の軍事演習拡大を検討、米軍 北朝鮮への抑止強化」と題する記事を掲載した。

     

    北朝鮮が弾道ミサイルの発射を相次いで実施したことを受け、米軍は日本や韓国と軍事演習を拡大する検討に入った。16日に始まる中国共産党大会の終了後に北朝鮮が核実験に踏み切る可能性があると分析し、抑止力の強化を急ぐ。

     

    (1)「韓国軍合同参謀本部によると北朝鮮は1日、平壌の周辺から日本海に向けて2発の短距離弾道ミサイルを発射した。米国のインド太平洋軍は声明で「ミサイル発射は北朝鮮の違法な大量破壊兵器や弾道ミサイル計画が(地域を)不安定にする悪影響を示すものだ」と批判した。北朝鮮は9月25日から1週間で4回という異例の頻度でミサイル発射を繰り返している」

     

    北朝鮮は、9月25日から1週間で4回という異例の頻度でミサイル発射を行なっている。ロシアのウクライナ侵攻に刺激されているのだろう。

     


    (2)「米太平洋空軍のケネス・ウィルズバック司令官は9月30日、ハワイで日本経済新聞などの取材に応じた。日米韓の軍事演習の拡大を念頭に「(北朝鮮への)対抗措置の選択肢になる」と語った。「米空軍は直ちに対処する用意がある」とも強調した。米太平洋艦隊のサミュエル・パパロ司令官も9月30日の取材で「3カ国が直面する脅威は、我々がもっと連携した活動をしなければならないことを示す」と指摘し、日米韓の軍事演習拡大に意欲を示した。「常にあらゆる活動が連携したものでなければ決して満足しない」とも語った。

     

    下線のように、北朝鮮の軍事脅威の増加は、日米韓三ヶ国軍事演習を増やす結果になった。韓国左派にとって、親近感を持つ北朝鮮が原因で日米韓三ヶ国軍事演習の頻度を上げるのは、何とも皮肉なことであろう。

     


    (3)「日米韓は30日、対潜水艦戦を想定した共同訓練を約5年ぶりに実施した。北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射するとの観測に対処したものとみられる。8月にもオーストラリアやカナダも交え、ハワイ沖で弾道ミサイルを探知・追尾するための訓練をした。韓国で5月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が就任してから3カ国の防衛協力を再び深めている。米国防当局者はミサイル発射の狙いをめぐり、最近は北朝鮮メディアが発射を報じないことをあげて「研究開発やミサイル部隊の能力向上という意味合いが大きい」と分析。「(政治的な)メッセージが実験の主要目的ではない」と話した。北朝鮮は変則軌道で飛行するミサイルの開発を加速させているとの見方が多い」

     

    韓国軍は、文政権下では「反日」を強要されたが、ユン政権下では「日韓協力」という180度変わった路線になってきた。日本を批判した韓国軍は、どんな思いで日米韓三ヶ国軍事演習に臨んでいるのか聞いて見たいものだ。

     


    (4)「米国は、北朝鮮の核実験を警戒する。ウィルズバック氏は「近い将来になんらかの実験があっても驚かない。とても注視している」と語った。「北朝鮮は周辺国や米国に対して核兵器を使うと脅している。極めて大きな懸念を抱かせるものだ」と話した。バイデン政権は、北朝鮮が核実験の準備を整えていると分析している。米国防当局者は北朝鮮が核実験を実施する場合は16日に始まる中国共産党大会の後になる可能性が高いとの見方を示した。「北朝鮮が中国の政治日程に敏感になっているのはほぼ確実だ。中国から(核実験をしないように)ある程度の圧力を受けていることも間違いない」と語った。一方で「共産党大会が終わっても北朝鮮が同じ制限を受けているかどうかはわからない。金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、状況が整ったと判断すれば新たな核実験を実行に移す可能性が高い」と言及した」

     

    北朝鮮の核実験は、中国共産党大会後が予想される。10月下旬であろう。核実験すれば、韓国の北朝鮮政策を巡って、日米韓三ヶ国の軍事協力の在り方が議論されるはずだ。その際、日韓関係に残された懸案事項をどう解決するか、これらが合わせて問われるであろう。 

     

     

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