勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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     韓国は、間違った最低賃金の大幅引上げによる高い失業率解決に手を焼いている。間違った政策の解決には、間違った政策を廃止するしか方法がない。それをやると、政府が間違いを認めることになるのでやりたくない。まさに、メンツの問題で事態を悪化させている。

     

    「メンツ」という問題は、儒教社会で共通である。中国もそうだ。体面を重視するから、間違いを認めて撤回することはない。だから、深みにはまり込んで身動きできない状態に落込んでゆく。韓国の雇用悪化が、これに該当するのだ。

     

    『朝鮮日報』(10月12日付)は、「アルバイト3万人雇用で問題を覆い隠す韓国政府」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「韓国政府が政府系企業、公共機関などを総動員し、短期の雇用約3万人分をつくり出す方針だという。政府の傘下機関、政府系企業、さまざまな協会、外局などに期間2カ月から1年の臨時職、インターン、アルバイトなどを募集させる内容だ。企画財政部(省に相当)の主導で雇用労働部、国土交通部などオール政府で取り組み、傘下機関に採用実績を機関トップの評価に反映すると公文書で圧力をかけている。既に韓国土地住宅公社(LH)、韓国鉄道公社(KORAIL)、韓国農漁村公社などが「賃貸住宅探し補助員」「体験型インターン」といった名目で数千人規模のアルバイト採用を始めた」

     

    文政権は、世にも不思議な「政府雇用のアルバイト募集」を始めた。政府系企業、公共機関などを総動員し、短期の雇用約3万人分をつくり出す方針だという。政府機関のトップ評価では、このアルバイト募集の実績を加味するという。100万人以上の失業者を抱える現在、わずか3万人のアルバイト募集では効果がない。それでも、「やらないよりもよい」程度のこと。言い訳仕事である。

     

    雇用を増やすには、企業活動を活発化させること。そうすれば達成可能だ。賃金は、市場に任せて置く。最賃引上幅は企業の生産性向上の範囲内という制約があるからだ。小幅でなく、大幅な最賃引上には、生産性向上を実現させる、別途の政策が必要である。それをやらずに、「16.4%」という法外な最賃引上を行なった。大混乱に陥って当然である。

     

    (2)「毎月30万人前後だった就業者数の伸びが昨年8月には3000人にまで減少した。税金54兆ウォンを投じてその結果だ。そこで短期アルバイトの仕事を急ごしらえして統計を変えようとしている。事実上の統計操作であり、到底、政府の対策とは言い難いお粗末さだ。大統領が「良質な雇用が増えた」と発言した日にこのありさまが明らかになった」

     

    文政権の雇用問題は、「数合わせ」である。アルバイトでも何でも良い。就業者数が上げれば、それで言い訳が可能という判断であろう。これでは、国民が安定した生活を望んでも不可能である。

     

    (3)「政府が増やしたという「見せかけの雇用」は、巨額の税金をのみ込んでいる。政府は昨年、追加補正予算11兆ウォンを投じ、67000人分の雇用を創出したというが、その半数が60代のアルバイトだった。保育施設での奉仕活動や一人暮らしの高齢者の安否確認、ごみ拾いなどで日当を受け取る期間数カ月の雇用に税金を数兆ウォンばらまいた。ソウル市が今年上半期に創出したという5000人の雇用も禁煙区域監視といった日当45000ウォンの「高齢者バイト」が大半だった。政府の評価を受ける公共機関はアルバイト募集競争を展開している。韓国南東発電は5万人、山林庁は2万人の雇用を創出すると言っている。支援が途切れれば消えてしまう見せかけの雇用をつくり出す競争だ」。

     

    政府は昨年、追加補正予算11兆ウォン(約1兆0900億円)を投じ、6万7000人分の雇用を創出したという。その半数が、60代のアルバイトだった。日本でも高齢者が働いているが、「働き方改革」で雇用形態を労働需要に合わせた。日本にできて、なぜ韓国では不可能なのか。労組が、自らの権益を侵されるとして反対しているのだ。韓国は、労組が生き残って国民が滅びるという最悪構図になっている。韓国労組は、李朝時代の「科挙」と同じで一生、身分保障されるべきだと思い込んでいる。


    (4)「雇用は税金ではなく、新たなビジネスが生み出すものだ。新産業を阻む規制をなくし、法人税負担を軽減し、労働市場を改革すれば、企業自らが新たなビジネスを始める。良質な雇用が増えれば、家計所得が増え、消費が上向き、企業はさらに投資を行い、雇用が増え続けるというプラスの循環が起きる。政府は正攻法を捨て、税金ばらまきという誤った処方を続けている。最低賃金を急激に引き上げ、若者が仕事を追われる結果を生んだ。誤った政策を是正せず、税金で公務員を増やすことに固執している。今度はアルバイトの急募で統計数値を良く見せかけようとしている。問題の本質はどんな病気であれ、見栄えが良ければよいという発想が雇用問題にまで広がっている点だ」

     

    韓国経済の悲劇は、左派経済学に占領されてしまったことだ。日本で言えば、日本共産党が政権を取ったときと同じ現象が起こるのだろうか。日本共産党は、ここまで独善的な政策に陥らないことを願っている。韓国に、失敗例があるから同じ轍を踏まないように、周囲が目を光らさなければ危険だ。これは、あくまでも仮定の話である。文政権の経済政策は、日本共産党並みであることを言いたいためである。

     


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    日本人は、「ビザなしで旅行できる国が190カ国にのぼり、世界で最も旅券(パスポート)パワーが強いことが分かった」と、英BBCが10日(現地時間)報じた。BBCは、世界およそ200カ国の旅券パワーを調査して発表するヘンリー旅券指数の最新資料によると、日本が世界旅券パワー1位だったと報じたもの。

     

    ヘンリー旅券指数は、国際航空運送協会(IATA)の資料を根拠に、199カ国の旅券所持者が227カ国のうちノービザで訪問できる国の数を計算して順位をつけている。『中央日報』(10月11日付)が伝えた。

     

    日本の総合的評価が、日本政府発行の「パスポート」への信頼を高めているのであろう。なぜ、日本が「ノー・ビザ数」で世界1位になったのか、理由は不明だが、だいたいの見当はつく。

       GDP世界3位である

       日本人のマナーの良さ

       世界共通価値観を持つ

       日本人旅行客は自国になにがしかの文化的貢献をする

     

    思いつくままに列挙すると、こんな項目が浮かんでくる。「ノー・ビザ」でも、何の問題も起こっていないことが、最大の決め手であろう。また、日本を「ノー・ビザ」で受入れた以上、自国にも同じ待遇を求めていることは当然だ。

     

    となると、訪日外国人旅行客数が急増している裏には、こういう措置が貢献していると思われる。10年以上も前のことだが、ドイツからスイスへ入る国際列車内で突然、アジア人だけにパスポート提示を求められた。日本のパスポートを見せたら、中を見ようとせず表紙のチェックで終わったことがある。

     

    ああいう一件に出会うと、「日本」というブランドをありがたく思うものだ。日本国内では、いろいろと不満や政府批判が果てしない。海外では、日本という存在が一目置いて見て貰える。日本人として生まれて良かったと思う。


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    韓国政府は、左派の革新政権を売り物にして登場した。文政権は「雇用重視の政府」という触れ込みであった。実態は、「雇用破壊政府」の汚名を着る結果になった、原因は、最低賃金の大幅引き上げ(16.4%)が仇となり、解雇と雇用を増やすという事態に陥っている。韓国の最賃制度は罰則を伴うだけに、零細企業者は罰則に問われないよう解雇せざるをえない局面に追い込まれた。

     

    文政権は、「革新成長」なる旗を掲げてスタートした。つまり、「親労組・経済民主化・所得主導成長」という内容である。

     

       親労組とは、労働組合の主張に沿うことが労働大衆を重視する政策につながる。

       経済民主化は、反大企業主義で財閥企業の経営自主性を奪うため規制を増やす。

       所得主導成長とは、最低賃金の大幅引上げである。

     

    これら三項目から受けるイメージは、純粋な市場経済の否定である。中国の経済政策と似通っていることに気付くはずだ。韓国左派は、市場経済ルールの抑制が国民福祉の増大につながるという、大いなる錯覚をしている。この学派が一大山脈をなしており、卒業生が各分野で実力を持っている。現在の文政権は、その象徴的な存在になった。過去二代、韓国右派の保守党が政権を握ったのでこの際、徹底的に右派を追放する。そして、左派の長期政権樹立構想を立て実行しているところだ。

     

    韓国経済は、こういう左派政権の思惑の道具にされている。最低限、労働組合の主張を生かして、彼らの利益を保障し選挙運動の際に与党の手足になって働ける「部隊」を確保したい。こういう狙いが浮かび上がるのだ。最低賃金の大幅引上げがそれである。

     

    もっと、ハッキリ言えば、最低賃金引き上げによって失業率が増えても、韓国労組には直接の被害はない。それどころか、韓国労組には最賃大幅引き上げ分がメリットになる。野党勢力の抑制には、司法の力を利用して「積弊一掃」という名の下で、保守党政権関係者を追放する。こうして野党を無力化し、南北統一に向けた動きを加速させるのだ。

     

    私が、これまで得てきた韓国関連情報を総合すると、こういう危機的な結論に辿り着く。南北統一では「反日」が、共通のキーワードになってくる。慰安婦問題、旭日旗問題など次々に役者が代っても、日本批判への動きに変わりはない。文政権は、経済問題を棚上げして政治問題のみに集中しているが、それだけ経済危機を招くリスクは大きくなっている。

     

    韓国政府は、失業率を低く見せかける「トリック」を始めている。

     

    韓国統計庁長官は8月末に突如、解任された。理由は、最低賃金引き上げに伴い所得分配の不公正が高まった、というデータ発表にある。これは、調査標本を一部手直ししたこともあるが、結果には影響のないもので不公平の高まりに変わりなかった。だが、韓国大統領府は、自らに都合の悪い結果が出たとして激怒、統計庁長官を更迭した。

     

    この「隠蔽工作」が、どのような形をとってくるか注目していたところ、9月の完全失業率の発表で、従来の「季節調整値」(国際標準)をトップに出さず、「実数値」を発表してきたのだ。この種の統計数字に不慣れな新聞記者は、何ら疑問にも感じず、統計庁発表の文書をそのまま記事にした。

     

    『聯合ニュース』では、「9月の失業率は3.6%に悪化」という見出しになった。8月の失業率は4.2%(季節調整値)である。それが「9月は3.6%に悪化」とは、辻褄の合わない記事である。読む側を混乱させるものだ。実は、この「3.6%」は実数値である。季節調整していない「原数値」と呼ばれている未加工数値である。日本では、最初に「季節調整値」が正式データとして発表される。「原数値」は、統計の末尾に「参考」として掲示されている程度だ。統計専門家以外に、「原数値」を見る者は少ない。その程度の扱いである。季節調整値こそ、統計判断の生命線といってもよい。

     

    韓国政府は、明らかに社会に誤った情報を流布させて、失業問題が深刻化していないと、カムフラージュしている。これが、「革新政権」の看板を出す文政権が、堂々と行なっている「データ発表の欺瞞性」なのだ。

     

    9月の完全失業率は、季節調整値によると4.0%である。

     

    『中央日報』(10月12日付は、次のように伝えた。

     

    「統計庁が12日に発表した雇用動向によると、9月の韓国の失業率は3.6%だった。前年同月比0.3ポイント増えた。季節的特性を考慮した季節調整失業率は4.0%だった。8月(4.2%)に比べると低下したが、過去5カ月間で3回も4%を上回った。失業者数は9カ月連続で100万人を上回った。通貨危機の影響で1999年6月から2000年3月まで10カ月連続で「100万人失業」となったが、それ以来の長い期間だ」

     

    文政権に、失業問題の悪化が最低賃金の大幅引上げにあるという認識はある。だから、実態をカムフラージュする必要に迫られるのだ。過去5カ月間で3回も4%(季節調整値)を上回った。失業者数は9カ月連続で100万人を上回った。通貨危機の影響で1999年6月から2000年3月まで10カ月連続で「100万人失業」となった。現状の失業者100万人は、「平時」で起こっている現象である。文政権の労働政策がいかに無策であるかを物語る数値である。

     


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    米国の中国に対する警戒観は沸点に達してきた。貿易戦争に留まらず、安全保障問題にまで拡大されている。1年前には想像もできない急ピッチな展開である。オバマ前政権が手を付けなかった問題へ着手している背景に、当局による長年の調査が裏付けになっているのだろう。

     

    先に、中国の産業スパイが逮捕・起訴された事件が公表された(10月10日)直後の措置である。相当の裏付けの証拠を握った結果であろう。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月12日付)は、「米政権、対中国の核技術輸出を厳格化」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米当局者は11日、中国に対する核技術輸出に新たな制限を設けることを明らかにし、即日実施した。背景には、中国が自国の軍事力を増強するとともに、米産業を弱体化するため、不正に核技術を取得しようとしているとの懸念がある。トランプ政権はこれまでにも、シリコンバレーや他の重要産業に中国資本が投資を行う場合の審査を強化するなどの対策を講じており、中国による米国の基幹技術取得を阻止する姿勢が鮮明となった」

     

    米国は1952年、朝鮮戦争勃発後に、対中国への輸出禁止項目を増やした。今回の措置は、チンコム復活であるのか。事態の推移を見ながら行なうのだろう。

     

    (2)「当局者によると、中国国営の原子力大手、中国広核集団(CGN)に対しては、輸出を基本的に禁止する。今回の措置は全面的な販売禁止ではないが、販売には米国の技術が不正利用されないとの相当な確証が必要になるとしている。CGN関連以外の組織に対する販売は個別に判断するという。米当局者によると、中国は軍事目的での核技術の入手を急いでいるようだ。これには南シナ海に建造した人工島での利用に加え、洋上原発や空母・潜水艦向けに核技術の取得を目指している兆候があるという。また中国は、米国の技術を他国に不正転用しているとしている」

     

    米当局者によると、中国は軍事目的での核技術の入手を急いでいるという。南シナ海に建造した人工島での利用に加え、洋上原発や空母・潜水艦向けに核技術取得を目指している兆候があるという。その技術を、こうやって手に入れようという狙いだ。他人の褌で相撲を取る、大胆な戦略である。全て、「他人任せ」で世界覇権狙いである。重ねて、大胆と言うほかない。


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    中国経済最大の悩みは、人民元相場の不安定化にある。貿易戦争激化で輸出減は不可避であり、それが経常収支黒字にどのようにはね返るか。息をのむ思いで見ているに違いない。中国の外貨準備高が、3兆ドル台を割り込んだ場合、人民元相場の先行き悲観論は不可避であろう。そのカギは、貿易黒字の減少幅しだいであり、刻々とその時期が迫っている。

     

    『ロイター』(10月11日付)は、「中国が資本流出阻止へ窓口指導、元の不安定化も警戒」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国当局が国内居住者による対外投資を制限する「窓口指導」に乗り出している。米中貿易摩擦の激化を背景に、資本流出と人民元の不安定化に神経をとがらせているもようだ。複数の関係筋によると、個人富裕層向けの海外投資の枠組みであるQDLP(適格国内有限責任組合)は、新規認可が棚上げとなっている。また機関投資家向けの海外投資の枠組みであるQDII(適格国内機関投資家)も過去3カ月間、投資枠の新規割り当てが実施されていない。今のところ、2015─16年のような大規模な資本流出の兆しは見られず、こうした非公式の窓口指導は予防手段のようだ」

     

    中国当局は、外貨準備高3兆ドル台割れを最も恐れているにちがいない。対外的なシンボルと化しているからだ。これを「種」に経済的な弱小国に圧力を掛けてきた。そのシンボルが「溶けた」時を想像すると、恐怖感に囚われているはずだ。その時期は秒読みである。

     

    個人富裕層向けの海外投資と機関投資家向けの海外投資は、過去3カ月間、投資枠の新規割り当てが実施されていないという。中国当局の緊張ぶりが手に取るように分るであろう。

     

    (2)「中国が誇る貿易黒字も縮小している。カリフォルニア大のビクター・シー准教授(政治経済学)の推計では、対米輸出が控え目に見積もって20%減少しただけでも、月間の貿易黒字は80億─100億ドル縮小し、約3分の2になる。昨年1360億ドルに上った海外からの直接投資も大幅に減る可能性がある」

     

    中国は、対米輸出が控え目に見積もって20%減少する。それだけでも、月間の貿易黒字は80億~100億ドル縮小し、約3分の2になる。昨年1360億ドルに上った海外からの直接投資も大幅に減る可能性がある。どう見ても、中国の国際収支が「火の車」になることは明らかだ。年末になれば、人民元相場の動向が最大の注目点になろう。

     

    (3)「直接投資に比べ、海外からの証券投資はずっと不安定で、あっさりと流れが逆転しかねない。中国国家外為管理局(SAFE)の直近データによると、第2・四半期末時点で中国の対外債務総額は5兆3000億ドルで、うち1兆1300億ドルが株や債券などの証券投資だった。ドイツ銀行のG10・FX戦略グローバルヘッドのアラン・ラスキン氏は今週のノートで、人民元安が続けば「自己実現的な資本流出が起こり、制御不能になるとの懸念が高まりかねない」と言う」

     

    中国の対外債務総額は6月末で、5兆3000億ドル。うち、1兆1300億ドルが株や債券などの証券投資だった。人民元安が続けば、自己実現的な資本流出が起こり、制御不能になるとの懸念が高まりかねない、とする見方が公然と語られている。すでに、先の世界株安で、中国株も暴落した。海外投資家の大量の売りが起こっている。中国経済に訪れる断末魔が、スピードを上げつつ接近している感を否めない。


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