勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。


    汚職は、中国の「文化」である。文化とは、生活の仕方と理解すれば、汚職が生活の一部である以上、そういう理解が可能であろう。4000年の歴史において、賄賂が意思疎通の重要な手段であった事実を考えれば、そう言わざるをえない。

     

    『ロイター』(12月14日付)は、「中国の習主席、反汚職運動で圧勝収めたと宣言ー国営メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国の習近平国家主席は共産党内での汚職との戦いで「圧勝」を収めたと宣言し、なお反汚職運動を継続する考えを示した。中国中央テレビ局(CCTV)が伝えた。

     

    (1)「習主席は昨年10月の共産党大会で汚職対策が『圧倒的な態勢』を整えたと述べていた。CCTVによると、14日に開かれた政治局会議では、この戦いに『圧勝』したとの評価を下した。CCTVは『態勢』から『勝利』への変化は党指導部の重要な判断を反映していると報じた」

     

    (2)「今年1~9月に汚職監視当局が取り扱った案件は46万4000件に上り、40万6000人に罰則を科した。CCTVによると、政治局は『汚職件数を大幅に減らし、増加を阻止するために効果的な措置を講じる必要がある』と表明。習主席は、党員と国家公務員の監視体制を近代化するため、汚職対策の基本構造を見直す取り組みを継続する必要があると語った」

     

    習氏が、汚職への勝利宣言を出したのは唐突である。政治局は『汚職件数を大幅に減らし、増加を阻止するために効果的な措置を講じる必要がある、と言っているからだ。

     

    なぜ、この段階でこういう発言をしたのか。それは、米中貿易戦争によって中国経済が重大な事態を迎え、経済改革派から「開戦論」を主導した習氏への批判を回避する手段に使っているのであろう。中国経済は、過剰債務の重圧に加えて米中貿易戦争による輸出難によって、金融システムはぐらついている。米国は、この実態を克明に把握しており、「超強気」で中国をおしまくっている。当然、米国への不満は高まるが、その原因をつくった習氏の強気姿勢への批判に転じているだろう。

     

    習氏は、この自己に向けられた批判を封じるために、「汚職勝利宣言」を発して党内批判を緩めざるを得ない立場に追い込まれている。そう考えなければ、辻褄が合わない話である。繰り返せば、中国経済の危機を証明している。

     

    メルマガ10号 「混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?」が、『マネーボイス』で紹介

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

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    中国は、「安全保障のジレンマ」という言葉を知らないらしい。一国が軍備を増強すれば、周辺国も自衛上、やむなくそれに備えた軍事力を持つ、という事実だ。中国に見られる最近の猛烈な軍拡は当然、他国の軍備増強を招く。この単純なことを忘れて、日本批判することはお門違いである。墓穴を掘るに等しいことだ。

     

    『レコードチャイナ』(12月14日付)は、「日本の新防衛大綱は中国を強く意識中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    『環球網』(12月13日付)は、日本の新たな防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画の内容について分析する記事を掲載した。

    (1)「記事は、『新たな防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画の基本的な概念は、多次元統合防衛力である』と指摘。『中国の軍事力増強と技術革新によって、日本の置かれている安全環境には大きな変化が生じており、日本政府はこの状況の中で、これまでの陸海空自衛隊の垣根を越えた“領域横断作戦”が必要であると考えている』と伝えた。しかし、『日本は長期にわたって中国軍の良性な発展について客観的な見方と分析を行っておらず、ダブルスタンダードで中国の軍事発展を見ており、歪曲した方法で中国が『地域の現状を変更』していると主張し、『中国の軍事的脅威』を宣伝している。そしてこれを、平和憲法の束縛からの脱却や軍備拡大、米国の手先となる道具と口実にしている。この点は、日本が毎年発行する『防衛白書』からも明白である“と論じた』

    日本は長期にわたって中国軍の良性な発展について客観的な見方と分析を行っておらず、と言うが、中国が「良性な発展」とは裏腹の軍拡を行なっている。例えば、中国の軍事費を国民1人当たりで計算して、「中国は低い」と言うことは噴飯もの。戦争は一人一人の単位で行なうものでなく、「集団」である。したがって、国民単位の軍事費を計算して煙に巻くことは「悪性」である。

     

    あれだけ、空母は持たないと宣言しながら、今では原子力空母を含めて3隻の空母を持つ軍事国家になろうとしている。こういう中国を信用出来るはずがない。絶えず、他国領土を獲得すべく狙っている。南シナ海の他国の島嶼略奪が、それを表わしている。しかも、習氏は、米国に対して南シナ海で軍事基地をつくらないと約束した。現実には、ミサイル基地を置いていると指摘されている。こういう中国の「噓八百」体質は、悪性である。

     

    (2)「この点について中国国防部は、『日本は中国が力によって現状を変更していると主張するが、日本政府が“不法に島を購入”したことは現状変更ではないのか?自衛隊が南西での軍事力を強化していることは現状変更とは言わないのか?新安保法によって集団的自衛権を解禁したことは現状変更ではないのか?日本の行為の目的は、軍事政策を大幅に調整し、軍備を拡大して平和憲法改正の口実にすることであり、この種の動向は国際社会からの高い関心と警戒心に値する』と反論しているという」

     

    現状変更とは、領土の帰属国を変えることだ。現在、中国が南シナ海で根拠のない「九段線」を引いて、自国領に書換えようとしていることが「現状変更」そのものである。定義を間違えるとみっともないことになる。日本批判は、慎重にすべきである。天に唾する行為は止めることだ。

     

        日本政府が“不法に島を購入”したことは現状変更ではないのか。これは、日本人保有の尖閣諸島を日本国政府が買い上げたもので、所有国の変更ではない。

        自衛隊が南西での軍事力を強化していることは現状変更とは言わないのか。これは、自衛権の問題で、中国が干渉することではない。

        新安保法によって集団的自衛権を解禁したことは現状変更ではないのか。これも、自衛権の問題である。中国のように他国領土を奪う行為ではない。

        日本の行為の目的は、軍事政策を大幅に調整し、軍備を拡大して平和憲法改正の口実にすることであり、この種の動向は国際社会からの高い関心と警戒心に値する。これも曲解である。日本は、国防費で対GDP比1%を厳守している。中国は、公表以外でも隠れ国防費を支出している不明朗さが指摘されている。実際には、対GDP比で2%以上の軍事大国の中国が、日本をヤリ玉に挙げることは、「頭隠して尻隠さず」の愚を犯している。中国は、日本を批判すればするほど、自国の矛楯を浮き彫りにしている。恥をかくことは止めた方がよい。



    文大統領の最新の世論調査では、支持率は45%、不支持率44%とほぼ並んだ。これに危機感を募らせるのは文政権だけでない。文氏を支持するメディアも危機感をあらわにしている。これまでの文氏は、腰が低いことで人気を得てきた。だが、先のG20サミットの帰途、機内での記者懇談会で「経済問題は答えない」と煙幕を張って、保守派メディアから一斉に批判の声が上がった。

     

    この情景に対して、革新派メディアは顔を曇らせている。あの腰の低い文氏がどうしたのだ、という戸惑いである。そこで、「大統領の声を聞きたい」という記事になった。

     

    『ハンギョレ』(12月12日付)は、「大統領の率直な声を聞きたい」というコラムを掲載した。筆者は、同紙のパク・チャンス論説委員室長である。

     

    (1)「しばらく前に文在寅大統領の国外歴訪中、大統領専用機内で記者懇談会を開いたのが論議になった。 歴訪中だから外交事案の質問だけ受けるとしたのだが、保守メディアは『不都合で不快な質問を封じ込める一方通行』『疎通でなく不通』と非難した。 国民との疎通が必ずしも記者会見である必要はない。 しかも日増しにマスコミの地位と影響力は落ちている。記者会見にしろラジオ演説にしろ、または『国民との対話』にしろ、重要なのは国民が核心懸案を直接尋ねて大統領の返答を聞くことだ。 大統領府広報首席や広報官を通して、または視覚的なデジタル資料で伝える大統領の『お言』は、干からびた花と同じでいくら整えて美しく飾っても感動を呼び起こしにくい」

     

    文大統領の支持率低下は、記者懇談会で記者の質問を経済問題以外にしたことが原因ではない。失業率上昇を解決出来ない執政能力に疑問符がついているからだ。こういう本質論をズバリ衝く記事を書くことが求められている。

     

    (2)「文大統領は今年5月「就任1年の記者会見」をしなかった。 4月に劇的に板門店(パンムンジョム)南北首脳会談を行ない、6月には朝米首脳会談を控えて朝鮮半島情勢が薄氷を踏むような時期だったので、記者会見がないのを誰も意に介さなかった。 だが、今は違う。 支持率は50%の線を行き来して、今後経済状況はどうなるのか多くの人が心配している。 ろうそくの広場に共に立っていた勢力は分化し、ろうそくの精神に逆らう反動の動きは明確になりつつある。 このような時期に、働き口が増えなくて失望している若者に、ろうそく集会で提起された社会変化の要求を今どのように実現しつつあるのか尋ねる会社員に、大統領府がスタート初期の緊張と初心を大事に保っているのかと鋭利なまなざしを送る人々に、大統領はどんな話をするだろうか。 今、大統領の声を直接聞きたいと思うのはそのような理由からだ」

     

    国民が不安であるのは、最低賃金の大幅引上を行い、自営業者の経営が著しく困難になっていること。それがまた、若者の失業率が跳ね上がらせていること。こういう点について、問題の本質を捉えず、「所得主導成長論」などの空想経済論を大真面目に語ってきた、その欺瞞性に失望しているにちがいない。空虚な言葉を聞くことよりも、最低賃金の大幅引上を撤回することが問われている。

     

    「進歩派メディア」と言っても、この程度のことしか書けないことが、さらに失望感を高めている。文氏の支持率低下は、文氏を支持してきたメディアの信頼感低下を招いているはずだ。新聞発行部数にも影響が出ているであろう。


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    今朝、下記の目次で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    潜在成長率を下回るGDP

    労組と市民団体は「紅衛兵」

    内需不振で息切れ脆弱経済

    文氏の関心は8割が北朝鮮

    支持率は株価に連動し下落

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、12月11日の国務会議(閣議)で初めて、「雇用と民生指標で困難に直面している」と述べました。その後、雇用労働部(日本の厚生労働省)を訪問し、「雇用問題については、今まで成功していないというのが冷静な評価である」と真情を吐露したそうです。

     

    文大統領が、このように最低賃金の大幅引上について、否定的な評価をしたのは雇用危機が表面化してから9カ月目のことです。これまでは、一貫して「最低賃金の大幅引上は成功している」と主張し続けてきたのです。

     

    2月の就業者数減少(前年同月比)が発表されたのは3月です。最低賃金を16.4%引上げた1月の翌月には、早くも就業者数の減少に見舞われ、現在までその基調が続いています。誰が見ても、この原因は最低賃金の大幅引上にあります。文政権は、どうしてもこれを認めなかったのです。

     

    潜在成長率を下回るGDP

    韓国経済は、4~6月期と7~9月期に、年率2.4%台の実質成長率でした。潜在成長率は2.8%程度と見られています。理想的な経済政策は、潜在成長率に見合った実質成長率を実現させることです。韓国政府は、これを放置してきました。現在、失業者が増え失業率が高まって、内需は不振を極めています。

     

    潜在成長率とは、労働力や製造設備をフルに活用し、実現できる経済成長率です。韓国経済の現状は、この潜在成長率に届いていません。この差は0.4%ポイントもあり、しわ寄せは高い失業率と製造設備の低稼働率に表れています。人的資源と物的設備が遊休化しているのです。

     

    文政権は、「雇用政権」というふれこみで登場しました。失業者を減らし所得を引き上げる政策を一枚看板に上げたのです。その象徴として、「最低賃金の大幅引上」を高く掲げました。この政策のどこが間違ったでしょうか。それは、生産性の上昇を無視して、最低賃金だけを大幅に引き上げる、そのアンバランスにあります。最賃を大幅に引き上げるならば、それに見合った生産性引上げが必要です。この因果関係を無視し、現在の苦境に落込みました。

     

    生産性と賃金のアンバランスのもたらす危険性は、内外で指摘され続けました。私も及ばずながら、ブログを通じて指摘してきました。文政権はなぜ、こういう声に耳を貸さなかったのか。そこが最大の問題です。文政権誕生の裏に、次のような事情が働いたからです。

     

    労組と市民団体は「紅衛兵」

    文在寅政権は、労働組合と市民団体が主要支持基盤です。一昨年12月から始った朴槿惠(パク・クネ)政権弾劾の「ロウソク・デモ」を組織したのは労組と市民団体です。朴槿惠政権は、この「ロウソク・デモ」によって倒れたのも同然でした。この結果、生まれたのが現政権であり、主導権は労組と市民団体が握ったことは間違いありません。

     

    文政権は、今年の最低賃金を16.4%引き上げました。これが、韓国経済にどのような混乱をもたらすか、想像もできないほど経済政策に不案内な政権でした。さらに、2019年は10.9%の最低賃金引き上げを決定しています。あと2週間で新年を迎えます。最賃の変更について何らの動きもありません。

     

    予定通り最低賃金を引き上げれば、混乱はさらに拡大するでしょう。今なお、政府が重い腰を上げないのは、労組と市民団体の目が光っており、彼らの反対の嵐を想像して、二の足を踏んでいるのでしょう。

     

    ここに、労働組合と市民団体は、中国の文化大革命(1966~77年)で猛威を振るった「紅衛兵」という論調もあります。韓国の労組と市民団体はなぜ、「紅衛兵」に喩えられるのか。それは、2期10年間続いた保守党政権を打倒するために、あの寒い冬空の下で「ロウソク・デモ」を組織して朴槿惠政権を弾劾。文在寅政権を樹立させた最大の功労者であるからです。

     

    韓国の「紅衛兵」は、こうやって獲得した政権ですので、彼らが長く抱いてきた要求を一挙に実現させるべく動きました。(つづく)

     



    鴨緑江を挟んだ中国と北朝鮮は、同じ専制国家であり、やっていることは同じである。罪のない人間を「人質」にとって、相手国と有利な取引をする狙いである。

     

    「レコードチャイナ」(12月16日付)は、「中国がカナダ人2人拘束、カナダでは中国旅行取りやめる動きも仏メディア」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「仏『RFI』(12月15日付)の中国語版サイトは、中国当局がカナダ人2人を「中国の国家の安全に危害を及ぼす活動」に従事した容疑で拘束したことを受け、カナダでは中国旅行を取りやめる動きが出ていると報じた。報道によると、中国当局は、カナダ当局が米国の要請で中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(モン・ワンジョウ)副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕したことに反発し、カナダ人の元外交官と実業家の2人を拘束した」

     

    (2)「RFIがバンクーバー・サンの報道を引用して伝えたところによると、カナダ政府は中国への渡航に対して注意を呼び掛けており、ブリティッシュコロンビア州の政府関係者や企業経営者など約40人規模の訪中団が今週初め、渡航を取りやめた。また旅行会社によると、一般旅行客の間でも中国渡航への懸念が広がり予約をキャンセルする動きが出ているという」

     

    中国政府によるカナダ人二人の拘束は、人質であることは明らかだ。米国国務長官も釈放を要求しているので、いずれ米中問題に発展するであろう。米国は、中国の新疆ウイグル自治区における人権弾圧問題を追及する姿勢に変っている。その一環として、今回のカナダ人拘束が取り上げられ、国際問題化することは避けられまい。米中摩擦では、米国が圧倒的な支配権を確立したので、中国は無駄な抵抗を止めるべきだ。

     

    メルマガ10号 「混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?」が、『マネーボイス』で紹介

    まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

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