勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    文在寅(ムン・ジェイン)大統領の物腰は柔らかい。一方、頭はいたって固いようだ。自らの失政である、経済の急激な落込みをカムフラージュするため、新手を使い出した。批判勢力を「親日残滓」と位置づけ、国民に一掃するように呼びかけている。

     

    文在寅氏は昨年の最後の日、「共に民主党」指導部との送年昼食会で、「韓国社会に『経済失敗』フレームが強力に作動している」と話した。李海チャン(イ・ヘチャン)民主党代表も「守旧・保守勢力が経済危機説を流している」と相槌を打ったという。経済危機説を保守既得権層の理念・理解・利益同盟、すなわち「陰謀説」と規定してしまったというのだ。

    これは、韓国人革新派特有の反応である。自らの意見に反対する者は、すべて「保守」と決め込み追放すべし、という結論を出すことだ。現在の経済的な苦境は、明らかに最低賃金の大幅引上げを行なった文政権の失政である。それを取り繕うべく、財政資金5兆3000億円も支出して財政負担をもたらす「二重の失敗」を重ねている。批判は当然である。

     

    文政権による反対派批判では、「親日残滓一掃」という政治テーマとなって実行される。実に巧妙な反対派封じだ。言論封殺とも言える暴挙である。

     


    『韓国経済新聞』(3月9日付け)は、「危機ジレンマに陥った韓国政府」と題するコラムを掲載した。

     

    (1)「このような状況では経済成長率を予想するのも負担にならざるをえない。成長率を楽観的に展望すれば政権支持勢力に、悲観的に展望すれば政権反対勢力に分類されるかも知れないからだ。国際信用評価会社ムーディーズはことしの韓国の成長率が2.1%に墜落するものと見通した。政府展望値の2.6~2.7%より大きく下回り、政府が経済危機ではないと言いつつ度々引用する潜在成長率さえ大幅に下回る水準だ。ムーディーズが国内機関だったら間違いなく守旧・保守勢力と烙印を押されたであろう展望値だ」

    進歩派政権を名乗る文政権が、成長率を楽観的に展望すれば政権支持勢力に、悲観的に展望すれば政権反対勢力に分類する色分けを始めている。総じて批判派は保守派である。この保守派に対して、文大統領は、「親日残滓一掃」という呼びかけをしたのだ。

     

    『日本経済新聞』(3月9日付け)は、「文氏、保守潰しに日本利用」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の文在寅大統領が「親日残滓(ざんし)の清算」を国民に呼びかけた。日本人の耳に不穏に響くこの言葉には、文氏の統治や対日政策の底流にある歴史観が凝縮している。31日、ソウル。日本統治下の1919年に起きた最大の抗日独立運動「三・一運動」から100年の式典で、文氏が「代表的な親日残滓」の一つにあげた「パルゲンイ(赤い野郎)という言葉」が話題をさらった。韓国で「親日」とは、過去に日本の植民地統治に協力した人や組織、慣行を指す。日本からの独立後も追放されずに権力を持ち続けた保守政党や情報機関、検察などはその悪しき生き残りで、こうした勢力が相いれない独立運動家を思想犯に仕立てるために生みだした呼称が「パルゲンイ」だと文氏は主張する」

     

    74年前も昔の日本統治時代を持出しての日本批判だ。もっとも、秀吉の朝鮮出兵が未だにメディアに出てくる国である。74年前の出来事は、2~3年前の感覚なのだろう。歴史の時計の針が止まったままである。彼らの言う「親日」は、日本へ協力して蓄財したという理由である。だが、日本統治であったから近代教育を受け、独立後の急成長も可能であったという歴史的な因果関係に頭が及ばないのだ。歴史を総合的にバランスよく眺める。そういう習慣のない国民である。

     

    (2)「韓国では一時、文大統領支持率90%超を記録した20代で急速な「文離れ」が進む。圧力団体と化した労働組合との関係もぎくしゃくしてきた。来春の総選挙では、保守派が巻き返すのではないかとの観測も出始めている。権力機関から弾圧や拷問を受けた人々は、いまもパルゲンイや「従北(チョンプク=北朝鮮に従う人物)」との蔑称に特別な感情をかき立てられるという。韓国政府関係者は、文氏がパルゲンイ発言によって軍事独裁政権の流れをくむ保守政党をけん制し、革新勢力の再結集と人権に敏感な若年層の取り込みをはかったとみる

     

    文氏は、来年の国会議員選挙を意識している。ここで敗北すれば、自らの残り任期がレームダック化する。それを恐れて、保守派=親日派としているのだろう。


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    年初来、急騰を演じた上海株式市場は8日、136.56ポイント、4.4%の急落になった。3000を割って2969.86で取引を終えた。不景気で株価が上がるのか、外資の思惑買いがリードし、これに中国の大衆が提灯付けの買いを入れた結果だ。最初に火を付けた、外資は売り抜けて無傷だろうが、地元の大衆が「負けくじ」を引かされた。

     

    『大紀元』(3月4日付け)は、「中国株急上昇、官製強気相場に大株主らが相次いで売却」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「経済の失速が一段と鮮明になっているなか、中国の株式市場は2月に入って以来、主要株価指数である上海総合と深圳が急上昇し、強気相場に入った。個人投資家が株価のさらなる上昇を見込んで相次いで買い注文を出す一方で、上場企業の大株主などは強気相場を利用して保有株式を売却している。2月単月で、中国の上海総合指数が約14%、深圳は約20.75%上昇した。上海総合は3月4日、昨年6月以降、約8カ月ぶりに3000台を回復した」

     

    上海総合は3月4日に8ヶ月ぶりに3000を突破し、8日に3000割れで「3日天下」に終わった。GDPを12%も水増ししている国の株価が、ましてや不況期に上がる理由がない。ただ、後のパラグラフで取り上げているように、政府が誘導している。5日は全人代の開会式。「祝儀相場」の積もりだろうが、とんでもない。気息奄々の中国経済を祝賀する理由がないのだ。

     

    (2)「株価の急騰は2015年の株価の暴落以降、初めてのことだ。最大の原因は、中国当局による官製相場にある。中国国内の金融アナリスト任中道氏は、中国株の急上昇について分析した。任氏によると、中国人民銀行(中央銀行)は1月に、市中銀行の預金準備率を1%引き下げたうえ、今後の金融政策について緩和的姿勢を示した。「中国当局が、信用拡大および金融緩和の方針を示すたびに、中国の不動産市場と株式市場はそれに反応して、強気相場になる」。中国当局は1月末から、株式市場について好材料となる政策方針に言及し、株価相場の上昇を誘導した」

     

    預金準備率1%引下げによる金融緩和分は、実物投資に向かわず株式市場へ流されている。株式の信用取引ではルーズな貸付が行なわれているのだ。これで株価を押上げ、その機会を利用して大株主に株式を売却させた。大株主救済の金融緩和であった。共産党政権の許しがたい行為である。中国人評論家は、「国策相場に売りなし」と言っているが、大衆投資家が上手く利用され、大株主の持ち株を高値で肩代わりした形だ。

     

    (3)「中国メディア『新京報』(1月28日付)によると、中国の銀行業と保険業の監督当局、銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の肖遠企・報道官は、英紙『フィナンシャル・タイムズ』の取材に対して、当局は保険企業などの機関投資家による上場企業株式の保有増加を支持すると発言した。当局は年金投資を臭わせ、個人投資家が株価のさらなる上昇を見込んで買い注文を出す環境を整えた。一方で、上場企業の大株主などは、強気相場を利用して保有株式を売却している」

     

    2015年当時、『人民日報』まで動員して、株価はまだ上がるという記事を掲載して、後に大問題となった。今回は、その轍を踏まぬようにさらりと一般投資家の買い意欲を誘い出すような戦術である。この発言であれば、単なる方針説明であり、受け取った側に責任があるように仕組まれている。巧妙な株価操作である。上場企業の大株主などは、強気相場を利用して保有株式を売却している。上場企業の大株主であれば、企業の実情は分りきっている。PER(株価収益率)が飛び抜けて跳ね上がっていたのだろう。

     

    (4)「現在、場外配資(外部信用取引)という信用取引の拡大が、株価急上昇の一因であると指摘されている。一部の個人投資家は、融資会社から資金を借り、高いレバレッジをかけて買い注文を増やしている。香港紙『経済日報』2月末によると、場外配資を提供する融資会社の審査条件は緩い。同紙の記者の調査では、同サービスを利用する場合、実名を名乗ることもなく、自らの電話番号だけを告げれば、レバレッジ10倍の資金を借りられるという」

     

    中国株が暴落した2015年の前年、場外配資による信用取引も急増していた。今年も2014年と同様にレバレッジ取引が急拡大すれば、2015年のような暴落が生じる可能性が高い。中国株には寄りつかぬことが賢明だ。

     


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    この1月の政府経済報告で、日本経済は戦後最長景気を記録したと発表した。その後、明らかになった1月の景気動向指数(速報)の一致指数が3ヶ月連続のマイナスとなり、昨年10月の景気ピーク説が登場している。

     

    景気動向指数は、先行・一致・遅行の3指標から構成される。景気の山・谷の判断では一致指数がカギを握っている。ただ、先行と遅行は、次のような関係にある。先行指数は、一致指数より先行して動くこと。遅行指数は、一致指数よりも遅れて動くという意味で、一致指数の判断において補助的な意味をもつ。

     

    以上のような、先行・一致・遅行の関係を見ると、先行指数は2017年11月にピークを付けている。一般的には、先行指数のピークから半年ないし1年後に一致指数がピークを付ける関係がある。一致指数が、昨年10月にピークを付けても不思議はない。遅行指数は、昨年5月がピークである。こういう因果関係から言えば、昨年10月がピークであった可能性は否定できないのだ。

     

    最近は、景気論争というものに出会ったことがない。景気の振幅が狭まっているので、景気がいつまで保つか、いつ底入れするかという点に関心が薄くなっていることもあろう。GDP成長率は、1%を挟んで上下で動くという程度であるからだ。ただ、昨年10月がピークとしても、今後の労働市場が緩和化して、失業率が高まるかといえば、その懸念はなさそうである。生産年齢人口比率の低下が深刻な状態で人手不足あるからだ。要するに、経済政策さへ誤らなければ、日本は基調的に人手不足に直面していく。

     

    昨年10月が景気のピークとすれば、その原因は世界経済による影響によるものだ。米中貿易戦争が、中国経済に与えたダメージの日本への波及であることは疑いない。

     

    中国経済は、先ず輸出面で打撃を受けた。それが、膨大な債務を抱える中国経済全般において、心理的な不安を高めて消費抑制に働いたと見られる。こうして在庫圧縮を強め、さらに設備投資抑制と、玉突き状態で波及していった。もともと、米中貿易戦争がなくても、中国経済は落勢を強める局面にあった。米中貿易戦争は、その落勢に勢いを付けたと見られる。

     

    中国経済が、本格的な景気調整局面に向かうのは不可避であろう。それが、日本の対中輸出にマイナスの影響を与えるが、日本経済は構造的な労働力不足に対応して設備投資せざるを得ない状況に追い込まれている。こういう要因を考えれば、景気後退があっても軽微に済むであろう。

     

    TPP(環太平洋経済連携協定)や日本EUのEPA協定が下支え役になりそうだ。ただ、今年10月に消費税2%引上げ分の負担が加わる点は気懸りである。ただ、14年8月の消費税3%引上は、後から振り返ると景気への影響は少なかった。

     

    日銀は今秋の消費税2%引上げによる実質的な家計負担が、2兆円程度にとどまると計算している。1997年や2014年の増税時と比べて、家計負担分は約4分の1に留まるからだ。軽減税率の導入や教育の無償化で家計の負担が軽減される結果である。その計算根拠を見ておきたい。

     

    8%から10%への消費税率引き上げ2%ポイント上げの負担増は、5兆60000億円と試算される。一方、軽減税率(1兆円分)や教育無償化(1兆4000億円分)、年金額改定(6000億円分)など計3兆5000億円分の負担軽減措置がある。この結果、家計負担分は2兆1000億円となる。こういう計算根拠を見ると、今秋の消費税引き上げでも、景気への影響は少ない感じがする。気の早い向きは、消費税引上げ見送り論もあるが、現状ではそれに及ぶまい。

     

     

     

     

     

     

     


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    北朝鮮は、核制裁で国連から厳しい経済制裁を受けているが、「貧すれば鈍する」で仮想通貨5億ドル超をサイバー攻撃によって奪取した。国連報告書が明らかにしたもの。

     

    『日本経済新聞 電子版』(3月8日づけ)は、「北朝鮮、仮想通貨5億ドル超奪う、国連報告独自入手」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁の履行状況を調査する専門家パネルが月内にも公表する報告書の全容が明らかになった。北朝鮮が経済制裁を逃れて外貨を取得する主要手段としてサイバー攻撃を強化していると分析。2017~18年にかけ仮想通貨交換業者への攻撃で推計5億ドル(555億円)超の被害が出たとも指摘した。北朝鮮に非核化を迫る圧力が弱まっているとの懸念が強まりそうだ」

     

    北朝鮮のサイバー攻撃能力は、かなり高いと指摘されている。中国と並んで、共産主義国はなぜこういう不法行為に手を染めて平然としているのか。道徳意識が低いから共産主義=独裁主義に陥るのか。世間には、「共産主義万歳」という人々もいる。モラルは一切問わず、ただ資本主義に反対と言うならば、単なる教条主義者ということだろう。

     

    (2)「近く安保理に正式に提出される報告書は、18年2月から1年間における国連の対朝制裁の履行状況をまとめた内容。各国政府や国際機関の情報のほか、独立した専門家による調査結果を盛り込んでおり、対北制裁を巡る国連安保理での今後の議論に影響を与える。報告書は今回、北朝鮮当局が主導する外貨獲得のためのサイバー攻撃の実態に初めて踏み込んだ。制裁強化で北朝鮮の外貨収入が細る中、サイバー攻撃に特化した部隊が政権のために外貨獲得の任務を課されていると指摘した」

     

    (3)「特に追跡が難しく、国家の規制も比較的緩い仮想通貨を狙ったサイバー攻撃について『北朝鮮により多くの制裁回避の手段を与えている』と強調した。サイバー攻撃に使うハッキングやブロックチェーン(分散型台帳)などの技術も洗練されていると指摘した。具体的なサイバー攻撃として、報告書は17年1月から18年9月にかけて日本や韓国などアジアの仮想通貨交換業者に対して少なくとも5回の攻撃を成功させ、推計で5億7100万ドルの被害が出たとした。報告書に添付された資料では、18年1月の日本の交換業者『コインチェック』での仮想通貨の巨額流出も、北朝鮮のハッカー集団による攻撃に含めている。韓国政府系シンクタンクの調査によると、制裁強化で北朝鮮の貿易は大幅に制限され、主要相手国の中国向け輸出は18年に2.2億ドル程度へ激減。サイバー攻撃による外貨獲得が主要な収入源となっている実態が浮かぶ」

     

    北朝鮮の貿易は、制裁強化で大幅に制限され、主要相手国の中国向け輸出は18年に2.2億ドル程度へ激減。サイバー攻撃による外貨獲得が主要な収入源となっている。日本や韓国などアジアの仮想通貨交換業者に対し、少なくとも5回の攻撃を成功させ、推計で5億7100万ドルを不法入手している。輸出制限分の穴を、サイバー攻撃で稼いでいるという「盗賊国家」になっている。

    北朝鮮制裁委員会専門家パネル報告書のサイバー攻撃のポイントを上げる。

     

    サイバー攻撃

    偵察総局が主導

    仮想通貨交換業者への攻撃は、17年1月~18年9月に5回成功。被害額は5億7100万ドル

    攻撃は洗練され、追跡が難しく

     

    このように、北朝鮮によるサイバー攻撃が明らかにされている。これを防ぐにはどうするのか。国連が中心になって封じ込こめ対策を取らないと増長させるばかりだ。世界的な規模での警戒警報を発令するなど、協調しないとやられっぱなしになる。なんとかして制裁を加える手立てはないだろうか。


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    中国統計は、デタラメというのが一般的評価である。GDPも水増しされている疑いが濃いとされてきた。米国の著名シンクタンク、ブルッキングス研究所は7日、中国経済は公式統計を約12%下回り、近年は実質成長率が毎年約2ポイント水増しされてきたとする論文を発表した。これは、衝撃的なニュースであり、習近平氏の唱える「世界覇権論」など、吹き飛ぶ話だ。

     

    中国が、こうした水増しGDP統計を発表してきた狙いは何であったのか。それは、「メンツ」「見栄」というごく幼稚な動機であろう。米国と並ぶ超大国を演出するためには、GDP統計に「ゲタ」を履かせて背伸びしたかったにちがいない。習氏は、この水増しGDP統計を使って、発展途上国に「強国」ぶりを見せびらかせ、中国経済圏へ取り込む道具に使ってきたのだ。「一帯一路」もその一環である。強国・中国という看板を掲げて、領土拡張に利用する腹積もりであったのであろう。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(3月8日付け)は、「中国GDP、公式統計を12%下回る、米機関が調査」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所は7日、中国経済は公式統計を約12%下回り、近年は実質成長率が毎年約2ポイント水増しされてきたとする論文を発表した。中国の公式統計に対する根強い懐疑論を改めて裏付けた。論文は、中国の景気減速は政府が認めた以上に深刻だとの懸念も示した。公式統計ベースでも、中国経済の2018年の成長率は6.%と、1990年以来最も鈍いペースとなっている」

     

    近年のGDP統計は、08~16年の期間を分析すると毎年、2%ポイントの水増しがされているという。17年以降も同じ水増しがされているとすれば、昨年のGDP増加率は発表された6.6%でなく4.6%に低下する。

     

    日本のバブル崩壊(1990年)後、3年め当たりからGDPは急減速している。この例から見て、中国のGDPにはそのような動きを見せず、私は疑問を抱いてきた。ブルッキングス研究所調査により、毎年2%ポイントの水増しがあったという指摘で、この長年の疑問が解けた思いだ。

     


    (2)「論文では、08年から16年の間を分析対象としており、18年の国内総生産(GDP)成長や中国経済の規模の推計は含まれていない。だが、論文で示している16年の推計と同程度に、18年のGDPが過大評価されていたとすれば、18年の実際のGDPは公式統計の90兆元(約1500兆円)という数字を10.8兆元(約180兆円)下回ることを示唆している」

     

    08年から16年の間、GDPは毎年平均で2%ポイントの水増しされている結果、18年のGDPは約12%の水増しとなる。18年のGDPは公式統計では90兆元であるが、実際は79.2兆元(約1314兆円)である。

     

    (3)「中国政府の数値目標重視は、毛沢東主義の国家計画の名残だ。そのため、GDP成長率は政治的に敏感な数字になった。中国共産党は地方の幹部の業績評価を、主に各地方の成長に基づいて実施している。『地方政府は成長・投資目標を達成したことで報酬を受けるため、地元の統計をゆがめる動機付けとなる』。米シカゴ大学ブース・ビジネススクールの経済学者で全米経済研究所(NBER)のリサーチアソシエートを務める謝長泰氏が率いる論文執筆陣はこう述べている」。

     

    GDP統計の水増しは、地方政府官僚が起点になっている。地方官僚はなぜ、真実を記載せず水増ししたか。それは、地方官僚の業績判定基準がGDP成長率にあったからだ。胡錦濤時代、業績判定基準はGDPでなく環境保全を基準にすると発表した。しかし、習近平時代になって、成長へのエンジンがかり元の木阿弥になったのだろう。

     

    (4)「ブルッキングス研究所の論文は、北京の国家統計局が地方の役人から受け取る水増しされたデータを調整するのに苦しんでいる様子を浮き彫りにしている。分析では、中央政府が地方統計に加えた調整は07~08年度以前はおおむね正確だったが、「この時期以降は、もう正確ではないようにみえる」としている。国家統計局は昨年、地方のデータと全国のデータの食い違いを解消するために19年から省のデータ収集に対する統制を強めると述べた」

     

    07~08年度以前のGDP統計は、おおむね正確であるという。胡錦濤氏は、水増しの弊害を認識していたことになる。習近平氏になると、「ミソも糞も一緒にする」という権力欲が全面に出て、今や中国の対外信用を大きく落とす結果になった。


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