勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国が、米中閣僚会議で補助金政策の撤廃を言い始めた。だが、具体的な内容は不明である。中国の補助金制度廃止は、米中貿易戦争の核心部分の一つである。中国のような計画経済では、補助金制度が産業奨励の主要手段になっている。これは、世界の貿易ルールである自由で公正な市場メカニズムを歪める原因である。米国は、これを理由に中国へその廃止を求めてきたが、ようやく動き出しそうな気配を見せ始めた。油断はできない。

     

    昭和20年代、日本経済が混乱していた当時、補助金政策を濫用していた。これが、財政赤字を膨らませ、企業の合理化を遅らせていた。米国は、日本政府に対しいわゆる「ドッジ・ライン」を行なわせ、日本経済の混乱が収まった経緯がある。補助金政策は、このように濫用すると経済の根幹を歪めるものである。

     

    米国が現在、中国に対して補助金制度の撤廃を求めているのは、市場経済の原則から言って正しいことだ。WTO(世界貿易機関)が、補助金制度の廃止を求めている理由もここにある。

     

    『ロイター』(2月15日付)は、「中国、補助金やめる方針表明、具体策は示さずー通商協議関係筋」と題する記事を掲載した。

     

    今週北京で行われている米中通商協議に詳しい関係筋3人によると、中国は市場を歪めている国内産業への補助金制度をやめる方針を表明したものの、その手段について詳細を提示していないという。

     

    (1)「中国は、すべての補助金制度を世界貿易機関(WTO)規則に準拠させると約束したが、米国側は中国が補助金制度について開示していないことなどから懐疑的な見方を示しているという。関係筋の1人は、中国は2001年にWTOに加盟して以来、国の補助金に関する報告義務を履行していないと指摘。「中国はこれを真剣に受け止めることを申し出た」と述べ、WTO規則を順守する約束について言及した。米国側の交渉担当者らはまだ納得していないという」

     

    中国は、強制しなければルールを守らない国である。世界は、この事実を忘れてはいけない。中国はWTO加盟の際、WTO原則を守ると誓約したが、これまで20年近くも破ってきた。世界もそれを見て見ぬ振りをしてきた。同罪というべきだ。だが、補助金制度は、「アメ」であって無駄を生むものだ。中国経済が「ブヨブヨ」状態になっている原因はここにある。戦後日本の経済も同じ間違いに陥っていた。それを占領軍の米国が見かねて是正させた。日本の経済学会は長いこと、この米国の政策を非難してきた。中国の現状を見れば、米国の政策の正しさが証明されたと言える。

     

    (2)「同関係筋は、中国は自国の制度を変えることなく『米国が提起した補助金や産業政策に関する問題に対処している』と訴える手段を模索していると指摘した。別の関係筋は、補助金をWTO規則に準拠させるという中国の大まかな約束は協議による1つの実行可能な成果だとした上で、中国はすべての補助金の記録を付けていないため、完全なリストを公開することで合意する可能性は低いとの見方を示した。もう1人の関係筋によると、今週行われてきた協議は、米国が中国に求める構造改革の問題で難航している。米国側は補助金の抑制に加え、技術移転の強要や米企業秘密の窃盗をやめるよう求めている。米通商代表部(USTR)および米財務省の報道官からのコメントは得られていない。中国商務省のコメントも得られていない」

     

    中国は、「自国の制度を変えることなく『米国が提起した補助金や産業政策に関する問題に対処している』と訴える手段を模索している」という。つまり、中国はいかに米国の主張を便宜的に受入れるか、という「すり抜け」を模索しているのだ。いかにも中国的である。「上に政策あれば、下に対策あり」で逃げ道を探している。市場経済の本質が分らないのだ。中国の限界は、まさにここにある。世界覇権を狙うには、強靱な経済体質にしなければならない。現状の補助金頼りでは、それは、不可能である。

     

    米国側は、「補助金の抑制に加え、技術移転の強要や米企業秘密の窃盗をやめるよう求めている」という。米国は「泥棒」を止めろと要求している。中国は、なんと恥ずかしい国だろうか。「泥棒」呼ばわりされても、目を覚まさない。これも、中国の限界である。「勝てば官軍」という意識なのだろう。となれば、世界の安全保障のためにも、中国を勝たせてはならない。


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    文在寅大統領の1年9カ月を振り返ると、経済政策では立派なことを語るが、実行を伴わないというのが定評だ。最低賃金の大幅引上げは、経済活性化の切り札と叫んでいたが、逆に失業者を増やしている。「所得主導経済」というお題目に誘われて始めたことだ。この間違った政策が、韓国経済の基盤を徹底的に破壊することは明白である。この先、韓国経済はどうするのか。反日をやっている時間はないはずだ。

     

    『朝鮮日報』(2月14日付)は、「韓国政府の雇用対策、バラマキ頼みを反省して修正せよ」と題する社説を掲載した。

     

    今年1月の就業者数が前年同月に比べ1万9000人の増加にとどまった。韓国政府が今年の経済運用計画で「月間雇用15万人増加」を掲げたが、年初から目標値に遠く及ばなかった。失業者数(122万人)は1月としては過去19年で最多だ。失業率は4.5%に上昇し、過去9年で最悪を記録した。この原因は、最賃の大幅引上げにあるが手直し、ないし棚上げするという動きはゼロ。集団自殺のような場面である。

     

    (1)「過去には雇用の優等生と評価された韓国は雇用情勢が悪化し、米日に失業率の低さで逆転された。韓国よりもはるかに豊かな先進国よりも雇用を創出できない状況なのだ。そうであるなら、韓国政府は原因が何かを分析し、対策を示さなければならない。しかし、意固地になっている。馬車が馬を引っ張るような所得主導政策、税金を注ぎ込む雇用政策を続けるのだという。1月の厳しい雇用統計が発表され、韓進重工業が債務超過だと発表したその日、経済副首相は『今年は政府系企業が2000人を採用する』というとんでもない場当たり的な対策を表明した」

     

    今の韓国に、経済政策というものは存在しない。単なる思い込みによる妄念だけである。貧しい人を豊かにしたい。その動機は正しいが、手段を間違えているのだ。病気の治療でも同じであろう。手順を間違えた治療は健康を損ねて逆効果になる。現在の韓国がその状態である。もはや、この問題を取り上げるのも飽きるほどだが、文氏の頭にはこの惨状が分らないのであろう。妄念とは恐ろしい。

     

    雇用対策として、経済副首相は「今年は政府系企業が2000人を採用する」と簡単に言い切る当たりに、経済政策不在という烙印が押されるのだ。雇用の基本は民間にあることを忘れた発想法である。繰り返しになるが、賃金と生産性はバランスを取らなければならない。このポイントが文政権では理解不能である。文政権5年間で、韓国経済はその発展基盤をメチャクチャにして次期政権へバトンを渡す。だが、もはや次期政権でも手の施しようのない末期症状に立ち至るであろう。

     

    (2)「文在寅政権発足以降はこんな調子が続いている。悲惨な雇用統計が示されるたびに『状況を厳しく受け止める』としながらも、抜本的な対策を立てるのではなく、税金ばらまきによる対策を打ち出すパターンを繰り返している。大学の講義室の電灯を消す『エネルギー節約ヘルパー』、たばこの吸殻を拾うだけの『伝統市場維持者』を採用し、雇用統計を粉飾するという手まで使った。税金ばらまきではなく、企業と市場にやさしい経済活性化政策に転換しなければ、雇用は決して増えない。雇用対策の予算として54兆ウォン(約5兆3200億円)を注ぎ込んでも、最悪の雇用事情が続いているならば、それを反省し、路線を修正するのが常識のはずだ」

     

    政府が、大学の教室の電灯を消すというアルバイトや、たばこの吸殻を拾うというアルバイトをつくって、「雇用増」を水増しするとは前代未聞である。文政権では、この程度のアイデアしか浮かばないのだろう。なぜ、「所得主導経済」というまやかしの理屈に取り憑かれているのか。何の役にも立たない事業に、5兆円以上の貴重な財源をつぎ込む。国民は、怒りを表わさなければならない。


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    2016年以降、中国に集まった外資系ハゲタカファンドが苦戦している。買い取った不良債券の値下がりと、資金繰りの悪化が理由だ。これは、中国の不況が、従来の想定範囲を超えて深刻化している動かしがたい事実を証明している。楽観論は、危険であることを改めて突付けている。

     

    ハゲタカファンドは、不良債権を安く買い叩き、高値で転売して利益を上げる「企業再建屋」である。このプロ集団が、目測を誤って自らが不良債権になりかねないという事態だ。ミイラ取りがミイラになるような話である。中国の景気後退を甘く見ていると、大変な目に遭うという実例がここに現れて来た。

     

    リーマン・ショック(2008年)直後の「4兆元投資」を起点とする投資ブーム開始から10年となり、この間の固定資産投資額の合計は446兆元(約7200兆円)にのぼるとされている。これは、天文学的な金額である。この20%が不良債券化すれば、最終的に1440兆円にもなる。ハゲタカファンドは当初、ここまで不良債権が溜まっているとは想像もしていなかったはずだ。「開けてびくり」というのが実情であろう。

     


    『ロイター』(2月14日付)は、「中国ハゲタカファンド業界、流動性ひっ迫で苦境に」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「不良債権を安値で買って転売して利ざやを稼ぐいわゆる『ハゲタカファンド』は、金融リスク解消に一役買うだろうと中国政府から期待されていた。だが今や、このファンド自体が資金繰りに窮して信用力を低下させる事態に陥ってしまった。ハゲタカファンドの苦境は、中国の銀行が迅速に不良債権を処理して新規融資の余力を生み出すのを阻むばかりか、多くの個人投資家が不良債権ファンドに出資しているだけに、金融システムにおけるリスクを高めて社会不安を巻き起こしかねない。PwCのパートナーで中国と香港の債務再編・破綻処理チームを率いるテッド・オズボーン氏は、『これまでなら国内の不良債権投資家は新規購入に向けて多額の借り入れが可能だったが、現在ではまったく資金を借りられない』と話す

     

    金融機関は、極端に貸出を絞っている状況がよく分かる。債務再編・破綻処理チームすら、資金を借入れできないのは、極端な信用不安が起こっている結果だ。

     

    (2)「不良債権価格の下落は、近年この分野に進出した上場企業のバランスシートを直撃している面もある。資産管理会社(AMC)と呼ばれる国有の不良債権処理機関でさえ、逆風にさらされている。中国華容資産管理公司は昨年上期に不良債権投資で得た税引き利益が61%も減った。ライバルの中国信達資産管理公司も昨年全体の利益が3割減少したと見込んでいる。減益となれば13年の上場以来初めてだ。PwCによると、中国の銀行と4大AMCが抱える問題債権(不良債権やディストレス資産など)は1兆4000億ドル(約154兆円)前後。景気の減速や規制当局が金融機関のバランスシート調整を急き立てていることから、問題債権はさらに増える見通しだ。オスボーン氏は『中国の不良債権サイクルは始まったばかりであり、まだ多くの年数続くと思う』と述べた」

     

    国有の不良債権処理機関と呼ばれる資産管理会社(AMC)は、昨年上期に得た税引き利益が61~30%もの減益になった。債券価格の下落である。底値と見て買い取った債権がさらに値下がりを続けている結果だ。中国の銀行と4大AMCが抱える問題債権(不良債権やディストレス資産など)は約154兆円前後だが、不良債権処理のサイクルは始ったばかりである。処理を終えるまで、まだ多くの年数がかかる、と指摘している。

     

    冒頭に指摘したように、2009~18年までの固定資産投資額の合計は、446兆元(約7200兆円)にのぼる。この20%が不良債券化すれば、最終的に1440兆円にもなる計算だ。現在、中国の銀行と4大AMCが抱える問題債権は約154兆円前後という。潜在的な不良債権に対して、まだ10%見当に過ぎない。これでは、ハゲタカファンドが買い取った不良債権が値下がりするはずだ。私は、中国の不動産バブルは「空前絶後」であり、これで中国経済は沈没せざるを得ないと読む。

     

     


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    中国が、南米アルゼンチンのパタゴニア地方で、軍管轄の宇宙基地を建設する際、ある約束を交わしていた。それはビジターセンターを設けて、16階建ての高さほどある巨大アンテナを備えた基地の説明が受けられるようにと、確約していたのだ。

     

    現在、同センターは完成しているが、基地の施設全体が高さ2メートル超の有刺鉄線に囲まれている。予約しなければ中に入ることはできない。当初の約束であったビジターセンターは存在しない。ここから、また中国が「悪さを企んでいるのでないか」と疑惑の目で見られている。

     

    中国が、南米まで手を延ばした米国へ対抗するポーズを見せている。建設案が持ち上がった時から、秘密主義が芬芬(ふんぷん)としていた。高さ2メートル超の有刺鉄線を張り巡らすのは、民事利用でないことを自ら示している。頭隠して尻尾隠さずという、いつもの中国流の粗雑さが見え隠れしている。

     

    『ロイター』(2月4日付は)、「アルゼンチンの中国軍宇宙基地、民事利用は本当か」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「謎に包まれたこの宇宙基地を巡っては、地元住民が不安に感じており、陰謀説もささやかれ、米国のトランプ政権は同基地の本当の目的について懸念を抱いていることが、数多くの住民やアルゼンチン政府の現旧職員、米当局者、天文や司法の専門家への取材から明らかとなった。公式発表によると、同基地の目的は、民事利用のための宇宙観測と探査である。この1月に中国の探査機が月の裏側に着陸した際にも、同基地は大きな役割を果たしたと同国メディアは伝えている」

     

    中国は、「一帯一路」のように飛び地作戦でいずれ他の南米にも「宇宙基地」と称するものをつくって、米国を脅かす積もりであろう。中国の今後の経済力が、この野望を達成するにふさわしい成長をするかきわめて疑問である。むしろ、逆に「中国包囲網」をつくられる理由に利用されるだけだ。中国は、同盟国もなく「単騎出陣」で民主主義国と戦うリスクを大きくするだけである。私は、中国経済の基盤がきわめて脆いと見ている。日々の経済情報を積み重ねると、経済的に最も危険水域に差し掛かっているのだ。

     

    (2)「敷地面積が約2平方キロのこの人里離れた宇宙基地はアルゼンチン当局の監視をほとんど受けていないことが、ロイターが入手した数百ページに及ぶ同国政府文書から分かった。アルゼンチンのマクリ現政権で外相を務めたスサナ・マルコラ氏は、同基地の活動を監視する手段がないとインタビューで語った。2016年、同氏は宇宙基地に関する中国との契約を見直し、民事利用に限るとする条項を加えた。契約上、中国は同基地の活動をアルゼンチンに知らせる義務があるが、それが軍事目的に利用されないよう当局が監視するメカニズムはないと国際法の専門家は指摘する」。

     

    中国は、アルゼンチンの「無知」につけ込んでいる。「一帯一路」計画でもそれをやっているからだ。だが、不正内容は、いずれアルゼンチンの政権が変れば気付かれるものだ。「一帯一路」計画がひっくり返されたように、アルゼンチンでも起るだろう。

     

    (3)「米国は以前から、中国の宇宙『軍事化』戦略を懸念してきたと、ある米当局者は語る。また、アルゼンチンの基地が探査目的であるという中国の主張を懐疑的に見る理由があるとも同当局者は付け加えた。ロイターが取材した他の複数の米当局者も同様の懸念を示した。『腐敗し、財政不安を抱えていた政府が10年前に秘密裏に合意したパタゴニアの地上局は、受け入れ国の主権をむしばむ不透明で略奪的な中国による取引の一例だ』と、米国家安全保障会議(NSC)のガレット・マーキス報道官は語った。理論的には、同基地は「他国政府の衛星通信を傍受し、機密データを入手する」ことは可能だと、米国立電波天文台(NRAO)のディレクター、トニー・ビーズリー氏は指摘。ただし、「そのような傍受はもっと簡単な機器でも可能」だという」。

     

    米国家安全保障会議(NSC)のガレット・マーキス報道官は、「腐敗し、財政不安を抱えていた政府が10年前に秘密裏に合意したパタゴニアの地上局は、受け入れ国の主権をむしばむ不透明で略奪的な中国による取引の一例だ」と語ったという。マレーシアで、中国が前政権に行なったことと同じことをアルゼンチンでも行なっている。ファーウェイ(華為技術)は、世界21ヶ国で贈賄容疑により捜査されている。中国政府も同じ「札束攻勢」でアルゼンチンに宇宙基地をつくったのであろう。いつまで、アルゼンチンに居座れるか見物である。


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    現代自は、系列の起亜自を含めれば81%の国内シェアを持つ断トツ企業である。だが、それは上辺だけだ。営業利益率は両社で2%台という、見るも哀れな姿に落込んでいる。高賃金で利益を食われ、研究開発費に資金を投下できない「その日暮らし」経営である。まかり間違えば、「ゾンビ企業」になりかねない事態になっている。

     

    そのSOS企業が、ソウルで超高層ビルを建設するというのだ。もともと、この土地を購入する時から「高価な買い物」とされて話題を提供してきた。そこへ、ついにビルを建設する。だが、研究開発費支出もままならぬなかで、新ビル建設とは「?」である。

     

    『朝鮮日報』(2月14日付)は、「危機の現代自動車、ビル建設に4兆ウォンを使っている場合か」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「ソウル市は現代自動車グループの新社屋となるグローバルビジネスセンター(GBC)や永東大路複合開発など「蚕室国際交流複合地区開発」に今年7月にも着工するという。このプロジェクトは現代自がGBCの建設許可を得る見返りに支払う公共寄与金17000億ウォン(約1700億円)がシードファンドとなる。現代自がくわ入れを行わなければ、スタートを切ることができない。朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は、このプロジェクトによって期待される雇用創出を業績として残したい構えだが、それを可能にするには、現代自が今後23年に3兆-4兆ウォンを支出しなければならない」

     

    現代自が、この敷地を高値で購入したこと自体が経営的には間違いである。トヨタも日産も本社ビルは、都心の一等地にあるわけでない。かつて、日産本社が銀座にあることで無駄な経費がかかると批判されたものだ。今は、発祥の地である横浜へ移転している。トヨタは、ご存じの愛知県下にある。製造業が、派手な一等地に本社を持つ必要がない。

     

    現代自は、ソウル市長の圧力に負けて新本社ビルを建設するのだろう。だが、経営立て直しには心機一転して、売却するぐらいの気構えでなければ再建は覚束ない。労組にもそのくらいの決意のほどを見せるべきである。

     


    (2)「韓国の自動車産業が直面する状況を見ると、現代自が超高層ビルを建てるのにそれほど多額の資金を使うべきなのかという懸念が生まれる。社内の一部にも「今はビルを建てるのにカネを使っている場合ではない」との声があるという。現代自は昨年、営業利益が47%、純利益が64%それぞれ減少した。生産能力を年181万台に増やした中国工場の稼働率は44%にまで低下した。四川工場の昨年の生産台数はわずか12000台だった。事実上工場は稼働停止状態だ。今年に入って回復の兆しが見える米国市場では関税爆弾が山積みだ」

     

    現代自の経営は危機的状況だ。昨年の現代自・起亜の統合営業利益は2.4%。2011年の営業利益率(9.5%)と比較すると4分の1程度まで落込んでいる。トヨタ自動車の営業利益率(7.9%、昨年7~9月期基準)と比較しても収益性が非常に低い。現代車が3000万ウォンのソナタを1台売った場合72万ウォン(約7万2000円)の利益を得るとすれば、トヨタは同じ車を売っても平均的に237万ウォン(約23万7000円)の利益を得ている。

    現代自は、韓国では断トツの存在だが、国際的に見れば「ゾンビ候補」にまで成り下がっている。この際、彼我の競争力の差を考えれば、「田舎大名」で満足している場合でない。

     

    (3)「現代自の人件費は世界でも最も高い部類に入る。研究開発費はトヨタ、フォルクスワーゲン、GM、フォードなどライバル企業の3分の1から4分の1にすぎない。電気自動車市場は既に中国が先頭を走っている。本業に全力を傾けても危機を克服できる保証はないのに、政治的な要求まで重なり、企業に負担をかけている」

     

    現代自のR&Dは、同業の3分の1から4分の1にすぎない。これで、国際的な競争に勝てるはずがない。新ビルが、現代自の「墓標」にならぬよう、ここは思い切って建設を取り止め、土地を売却してR&Dに振り向けるべきだ。


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