勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    日韓関係は、最悪事態に突入している。韓国国会議長の問題発言をめぐって、日本政府は5回も「取消しと謝罪」を要求している。国会議長は拒否しており、韓国政府もわれ関せずである。韓国外務省には、文政権によって「日本通」がすべて追放されてしまい、水面下での交渉も不可能だ。北朝鮮と話をしているようなものである。

     

    これを見かねた米議会が超党派で動き出した。

     

    米上下院の共和・民主両党議員たちが12日(現地時間)、「米韓同盟と米日同盟は重要であり、米韓日の三角協力も必須だ」という内容の超党派の決議案を発議した。米上下院がこうした内容の決議案を同時に発議するのは異例とされる。

     

    『朝鮮日報』(2月14日付)は、「米国の韓日仲裁努力に消極的な韓国与党、日本の対米ロビーを疑う声も」と題する記事を掲載した。

     

    米議会が12日発議したのは『共通の利害を追求するための米韓・米日同盟と米韓日共助の重要性に対する議会の認識』という決議案だ。下院ではエリオット・エンゲル下院外交委員会委員長=民主党=とマイケル・マコール下院外交委員会共和党幹事が、上院ではコーリー・ガードナー上院外交委員会東アジア太平洋小委員会委員長=共和党=とロバート・メネンデス上院外交委員会民主党幹事らが発議した。

     

    (1)「決議案には、「米韓日3カ国の政府と国民は自由と民主主義、自由市場に対する共通の利害と個人的な友情を共有している」「米韓日は世界の挑戦に立ち向かう必須のパートナー」と書かれている。特に、「米韓・米日同盟は北朝鮮の脅威への対応を含めたアジア地域安定の基盤」「米韓日3カ国は北朝鮮の大量破壊兵器の脅威やミサイル拡散、違法行為に共同で対抗する」としている」

     

    (2)「米議会のこのような動きは、今月27日と28日に行われる2回目の米朝首脳会談を控えている状況で韓日の対立が続けば、北朝鮮非核化に必要不可欠な韓米日三角協力にヒビが入りかねないという懸念が反映されたものと見られている。ナンシー・ペロシ米下院議長も文喜相国会議長に会い、「最近の韓日関係悪化を憂慮している。問題が早急に解決するよう望んでいる」と語った。

     

    韓国政府は、外交の主眼をすべて北朝鮮に向けている。対日関係悪化が、韓国の安保体制にマイナスになるという認識はゼロである。すべて、敵か味方で割り切る韓国流の価値観に立てば、「北朝鮮は味方、日本は敵」という位置づけであろう。米議会の決議案は、その矛盾を示唆しているが、韓国「86世代」はその意味を理解できないのであろう。朝鮮戦争を仕掛けたのは北朝鮮である。日本は、米軍の後方支援基地になった。その日本に、悪態をついて「敵視」している。不思議な感覚の国である。

     

    (3)「与党側は米国の韓日確執仲裁努力に乗り気でない雰囲気だ。文喜相国会議長はペロシ下院議長と会談後の特派員懇談会で、(「天皇(原文は日王)は慰安婦問題について謝罪すべきだ」という自身の発言に安倍晋三首相ら日本政府が撤回を要求しているが、)「謝る事案ではない」と一蹴した。その上で同国会議長は「私が言ったことは日ごろからの持論」とも言った。与党・共に民主党の洪永杓(ホン・ヨンピョ)院内代表も13日、国会で「(文喜相国会議長の発言は)妥当な要求だ」と話した。共に民主党のある関係者は、米議会決議案について「日本が米国に『韓国をちょっと懲らしめてほしい』とロビー活動をしたのではないか」と陰謀論を提起した」

     

    米議会が、上下両院で同時に同じ議題の決議案を発議したのは異例である。韓国が、日本に対する「攻撃」を仕掛けた背景は、すべて文政権の反日政策にある。日本のなすべき点は、国会議長発言に対して「取消しと謝罪」を求め続けることである。絶対に途中でうやむやにしてはならない。これによって、韓国政府の反日の動きを食い止めるべきである。今後、韓国政府が日本へ「頼み事」を持ち込んでも、「取消しと謝罪」を盾に拒否することだ。

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    ファーウェイ(華為技術)任CEOは、「我が社は法律を守って正々堂々とビジネスをしている」と記者会見で胸を張った。実は、その裏で贈賄工作をして製品の売り込みをしていたことが判明した。

     

    『大紀元』(2月13日付)は、「ファーウェイ、贈賄など世界21カ国で捜査―米VOA」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)はアフリカやアジアなど世界21カ国で、贈賄や政治的腐敗の疑いで捜査を受けた。米『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)が11日に伝えた。報道によると、アフリカのアルジェリア政府は2012年、ファーウェイの幹部が贈賄罪で有罪判決を受けた後、同国政府の通信関連入札から同社を排除した。ザンビアでも、数百万ドル規模の農村部移動通信基地局のプロジェクトで贈賄の容疑で現在同国政府からの調査を受けている。南太平洋に位置する島国、ソロモン諸島では2017年、ファーウェイがオーストラリアまで繋ぐ海底光ファイバー・ケーブル敷設契約の取得のため、同国与党に約525万ドル(約5億8051万円)の選挙資金を提供した」

     

    世界21ヶ国で贈賄工作をしてきたとは驚きである。製品に自信があれば、こういう汚い手を使わずにきただろうが、いかにも中国ビジネスという感じだ。政党への贈賄では、後のパラグラフにも出てくるように日本円で「億単位」である。札ビラを切って受注をかき集めてきたのだ。

     

    (2)「ファーウェイ側は、贈賄などの容疑について否定しているが、米シンクタンク『ヘリテージ財団』のアフリカ問題専門家であるジョシュア・メサーベイ氏は、ファーウェイはアフリカで腐敗行為などを繰り返してきたとVOAに対して主張した。米ジョージ・メイソン大学アントニン・スカリア・ロースクールの国家安全研究所研究員、アンディー・カイザー氏は2018年6月米議会の公聴会で、『過去12年間、ファーウェイとZTE(中国通信機器大手の中興通訊)は腐敗行為で21カ国の政府に捜査、または有罪判決を受けた』と述べた」

     

    21ヶ国とは、次のような国である。

     

    アルジェリア、ガーナ、フィリピン、マレーシア、モンゴル、ノルウェイ、ソロモン諸島パプアニューギニアなど、アフリカ、欧州、アジア、オセアニア各国だ。

    ファーウェイは、中国国内でさえ反腐敗取り締まりの対象であるという。2017年、中国当局はファーウェイの国内消費者向け事業の幹部を収賄罪の容疑で逮捕した。見境がない贈賄企業である。

     

    (3)『VOA』は、ファーウェイはプロジェクトの契約や他のビジネス的優位性を取得するために、アフリカやアジアの途上国の政府や政党に対して直接に贈賄や不正献金を行ったとした。アルジェリアでは、ファーウェイとZTEの幹部が、国家通信事業者の元幹部1人と実業家1人にそれぞれ1000万ドル(約11億563万円)を贈賄した。2012年、同国の裁判所は収賄の罪で2人に対してそれぞれ懲役18年を言い渡した。また、ファーウェイとZTEの幹部に対して贈賄罪で懲役10年を言い渡した。同時に、アルジェリア政府は、ファーウェイとZTEを、2年内の公的入札への参加を禁止した」

     

    米国政府は、ファーウェイがこういう反倫理的企業である以上、危険視したに違いない。ファーウェイは、身から出たサビである。中国政府の指示を受けて、スパイ活動の片棒を担ぐことぐらい、容易に想像できるのだ。ファーウェイの歩くところすべて贈賄とは、中国政府のやっていることと余りにも酷似しているから驚くほかない。


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    中国政府高官といえば、記者会見でも平然と「白を黒」と言いくるめる話術を持っている。このパターンとは全く異なる「誠実発言」が注目されている。次の発言である。

     

    中国商務省高官は12日、「中国の消費の伸びが今年さらに鈍化する公算が『非常に大きい』との認識を示した」(『ロイター』2月12日付)

     

    この記事を見た瞬間、「エッ」という驚きの声を上げるほどであった。中国経済がついに迎えた断末魔でもあるのだ。中国の二大高額商品は、住宅と自動車である。GDPに占める比率は、住宅25%、自動車10%である。この二つが、ついに変調を来たしている。

     

    『大紀元』(2月13日付)は、「中国当局、経済失速認める世論に合わせるためとの指摘も」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国当局と中国政府系メディアがこのほど、今年の中国経済が一段と失速すると公言した。その真意について憶測が広がっている。中国商務部(商務省)の王斌・市場運行司副司長は12日に開かれた2018年商務工作関連会議で、『中国消費市場における圧力が強まっている。今年の個人消費は一段と減速する可能性がある』と述べた。消費動向を示す小売売上高は2018年に9%増となった。伸び率として15年ぶりの低水準となった」

     

    中国当局は、もはや実勢悪を隠せなくなって情報をオープンにしているのであろう。

     

    (2)「中国メディアの報道では、王斌副司長は、昨年小売売上高の不振は自動車販売と住宅市場の低迷に関係すると示した。中国紙『証券日報』(12日付)によると、2019年2月12日まで、上海と深圳株式市場に上場する自動車メーカーのうちの16社が2018年度業績報告を公表した。なかに、「マクロ経済成長の減速、米中貿易戦、消費者心理の冷え込みの影響を受けて」、うちの12社が収益の減少や赤字拡大などを示した。自動車メーカー、吉利汽車や東風汽車などは今年の販売目標を、昨年の水準から引き下げて設定した」

     

    国内自動車メーカーも軒並み業績不振である。16社中、12社が減益や赤字拡大などに陥った。理由に、「マクロ経済成長の減速、米中貿易戦、消費者心理の冷え込みの影響を受けて」などを上げているという。この、状況では自動車取得税(10%)の減税(幅は未定)があっても回復は難しいであろう。

     

    (3)「また、『中国証券報』は、中国投資銀行、中国国際金融(CICC)の統計を引用し、旧正月の大型連休中、上海や南京など17の大中都市の新築住宅販売面積は前年同期と比べて56%減少したと伝えた。中小都市の住宅市場も不調だという。CICCの統計によれば、今年11日から22日まで、60の中小都市の新築住宅販売面積は前年同期比8%減となった。前月比では30%減。不動産開発企業の販売実績も低迷しているという。住宅市場調査会社の克而瑞が提供する月別統計では、中国トップ10社の不動産開発企業の1月の売上高は15%減少したという」

     

    旧正月の大型連休中、上海や南京など17の大中都市の新築住宅販売面積は、前年同期と比べて56%減少した。高値の住宅を購入しても、ローン支払いで難儀するので慎重になっているのだろう。新年に入って、ムードががらりと変ってきた。中国トップ10社の不動産開発企業の1月の売上高は15%減少したという。ついに来るべきものが来た感じだ。不動産バブル崩壊への第一歩。金融市場は、これより早くつまずいている。これが、住宅市場へ波及したもの。

     

    (3)「国営新華社通信傘下の『経済参考報』は11日、トップ一面に評論記事を掲載した。『今年中国経済が引き続き下振れ圧力に直面する。このため、13月期のGDP伸び率は6%まで下落するだろう』と1990年以来の最低水準になると示唆した。同評論記事は、すでに22の省・市政府が今年のGDP成長率目標を引き下げたことにも言及した。うち半数の地方政府は、GDP成長率目標を6%に下方修正したという。また記事は、今年1月の製造業購買担当者指数(PMI)が昨年12月に続き、景気拡大と悪化の分かれ目である50を下回ったことは、中国経済を支える製造業の不振局面が続いているのを浮き彫りにした、と主張した」

     

    1~3月期のGDP成長率は前年比6.0%まで下落するとの予測が国営メディアに登場した。これは、改革派が経済政策の実権を握った証かも知れない。民族派が後退したとすれば、習近平氏の勢力関係にも影響があると見る。実態はどうか。

     

    (4)「中国当局が景気悪化を公に認めた理由について、カナダ在住の中国人評論家の文昭氏は、米『ラジオ・フリー・アジア』に対して『中国世論に合わせるためだ。多くの中国国民は身をもって経済の悪化を感じている。この状況下で当局が経済指標を水増したら、国民の実感とのギャップが広がり、国民の不満が高まるだろう』と述べた」

     

    中国国民の怒りを買わないように、水増し情報を流すことを止めざるを得ないほど、実勢悪がはっきりしてきたのだろう。


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    けさ、下記の目次で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    一人っ子政策が危機の原因

    10年遅れ日本の後を追う

    人口減が海外戦略を狂わす

    出生率低下による3大問題

     

     

    現在の中国は、建国以来の潜在的な危機を抱えています。出生率の急低下という問題です。過剰人口に悩まされた中国は、1979年~2015年までの36年間、「一人っ子」政策を実施して人口増加にブレーキをかけました。それが、結果として行き過ぎてしまい出生率の急低下を招いています。

     

    人口問題は、一般にはなかなか理解されがたいものです。日本もその轍を踏んでおり、出生率の引上げに躍起となっています。幼児教育から高校・大学の授業料無料化まで、膨大な財政負担によって、日本の発展を支えようという大構想です。

     

    中国の場合、日本よりもはるかにその対策が遅れています。聞き慣れた言葉になりましたが、合計特殊出生率(一人の女性が生涯に生む子どもの数)は、日本が1.4人台です。中国は2015年に1.05人という数字が算出できる関連データを発表以来、その発表を中止しました。それは、合計特殊出生率が1人を割る事態になって、あえて中国の「弱点」を公表するまでもない、という懸念によるものと見られます。

     

    人口は、安定的な社会保障や年金制度の維持という観点から、横ばい維持が理想です。それには2.08人という合計特殊出生率が必要です。日本では、2025年までに1.8人の目標を立て、人口1億人維持を目指しています。中国は現在、合計特殊出生率が1人を割っていると見られます。これは、中国の将来に最大の潜在的な危険要因を抱えたと言えます。

     

    合計特殊出生率は、一国経済の潜在成長率に大きな影響を与えます。人間は、生産の主体であり、消費の主体です。労働力不足はロボットなどが代替できます。ロボットは、消費をしませんので、経済の均衡ある成長に寄与しないのです。経済発展と社会保障充実には、人口の安定的な増加率が欠かせない理由です。

     

    一人っ子政策が危機の原因

    人口が純減状態になれば、年金制度が維持できません。中国のように社会主義を標榜している国家では、年金によって老後生活を保障せざるを得ません。中国は折りに触れ、社会主義の体制的優位性を強調してきた手前、これを裏切ることは共産党の権威を自ら貶める結果となります。その公約は、人口高齢化で働き手が減れば維持できないのです。「一人っ子」政策が、皮肉にも中国共産党の将来を揺さぶる要因になってきました。

     

    中国は、2050年頃を目途にして米国の覇権に挑戦すると宣言しました。米中貿易戦争の裏には、この覇権をめぐる米国の拒否姿勢が色濃く投影されています。中国が、その2050頃に人口動態面で、どのような落込みになっているか。それが、カギを握るでしょう。この問題は後で取り上げますが、現在の国民の平均年齢は、米中ともに37.4歳です。合計特殊出生率は、米国が1.82人(2016年)。中国も公式では1.62人(2016年)としていますが、信憑性に乏しく信頼できません。現実は、1人を割っていると推測されているのです。

     

    米中の平均年齢が現在、同一レベルにあります。かつ、中国の合計特殊出生率が、米国を下回っている点を勘案すると、次のことが予測できます。

     

    1.   中国は、米国よりも早く人口高齢化を迎える

    2.   中国の潜在的成長率は、米国を下回る事態を迎える

    3.   米国は移民社会であるので、移民を受けいれて出生率を引上げる余地がある

     

    このように中国は、米国と比較して不利な状態に置かれています。米国の覇権を狙える人口基盤が存在しないことになるのです。この点は、きわめて重要ですので記憶に止めていただきたいと思います。

     

    中国の普通出生率は2018年、1000人あたり11人を下回りました。1949年の中華人民共和国建国以来、最低の水準となって衝撃を与えました。2018年の出生数は17年比200万人少ない1523万人でした。2年連続の減少で1980年以降では最も少ない出生数になりました。

     

    中国政府系シンクタンクの中国社会科学院は、中国の人口は2029年に14億4000万人でピークに達し、50年までに13億6000万人に減るとの予測を発表しました。これは、生産年齢人口が2億人程度減少する可能性を意味しているのです。中国政府は、2050年頃に米国覇権へ挑戦するという国家目標を打ち挙げました。その時点で、生産年齢人口が2億人も減っており、中国の経済成長率が急減速しているはずです。(つづく)




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    米国は、同盟国がファーウェイの次世代ネットワーク「5G」導入をしないように各国へ呼びかけている。もし、米国の申入れに反してファーウェイ製品を導入すれば、米国との取引を再検討すると「威嚇」しているのだ。米国との取引を再検討するとは、米国への輸出禁止とドル決済の中止を意味する。ここまで米国が迫ってくれば、いくら中国と縁があっても切らざるを得まい。

     

    『ロイター』(2月13日付)は、「中国の5G覇権、米国の切り崩しで大損の可能性」と題するコラムを掲載した。

     

    中国政府は次世代高速通信規格「5G」の覇権争いに勝つため膨大な資金をつぎ込み、国内企業を支援している。しかし米国は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を購入しないよう欧州諸国に対する政治的な働き掛けを強めており、中国は結局のところ通信機器の輸出が滞り、資金が回収できない羽目に陥る恐れがある。

     

    (1)「中欧を歴訪中のポンペオ米国務長官はファーウェイ製品を使う国との同盟関係の維持は困難と警告し、セキュリティー面での不安が全世界で取り沙汰されているファーウェイに対して再び攻撃を浴びせた。中国は国内市場の制圧を足掛かりに世界標準を征し、国内企業は超高速で機器を接続するための技術を基に、特許やソフトウエアの開発が可能になるかもしれない。しかしこうした大掛かりな投資計画は統計が示すよりもリスクが大きい」

     

    米国が、ファーウェイ製品を「5G」から締め出す目的は、安全保障上の理由である。米国内メーカーの保護目的ではない。現に、北欧メーカーの製品を推薦している。

     

    (2)「ほとんどの国の通信大手はまだ5G向け投資にそれほどのめり込んでいない。これにはいくつか理由があるが、初期コストの早期回収が難しいというのがその1つだ。一方、中国政府の戦略は範囲が広大で、たとえ中国移動(チャイナ・モバイル)のような国内通信大手が5Gサービスから利益を上げることができなくとも、関連機器を製造しているメーカーは利益が手に入るような絵図となっている。クレディ・スイスの試算によると、通信機器大手ファーウェイと中興通訊(ZTE)は海外市場での合計シェアが25%ないし30%に達しており、海外通信大手への製品販売ですぐにもうけが得られる態勢にある。消費者にも恩恵があるかもしれない。中国の5G技術はそこそこの性能で価格は手ごろだと評価されている」

     

    中国政府が、ファーウェイやZTEへ、5Gでも補助金を出しているのは明白である。スマホの生産でも補助金を出して、低コストで輸出させる戦略をとっているからだ。これでは、自由主義国の通信機メーカーが競争に勝てるはずがない。

     

    (3)「米政府は、中国のこうした収益源を断ち切ろうとしている。目論見が成功すれば、中国政府はその穴を埋めるため、国内通信網の構築で国内通信大手への依存を高めざるを得なくなるだろう。そうなれば大規模な5G戦略は瓦解し、補助金の負担は国内ですべて負うことになる。関連するソフトやサービスへの投資もリターンの先行きが暗くなる。こうなると中国としては5Gで投資競争に勝利しても実入りがないという痛い敗北を喫することにりかねない」

     

    米国は、中国の補助金政策の裏を知っているので、堂々とファーウェイ製品の排撃に動き出している。欧州を初めとする同盟国が、すべてファーウェイ製品を排除すれば、中国は大変な損になる。米国は、中国へ補助金政策の無駄を教え込む。そういう実地教育になるのかも知れない。


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