勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    ノルウェー警察安全局長が、中国ファーウェイ(華為技術)製品が安全保障上、危険であると発表した。これでまた、ファーウェイへ警戒する国が増えた。ここまで、ファーウェイが警戒されるのは、ファーウェイが秘かに「バックドア」をセットし、北京で瞬時に情報を集めていることが確認されたのであろう。どういう形で、その危険性を確認したのか興味深い。噓情報でも流して、その反応を見たのか。その確認手口を知りたいものだ。

     

    来日中のメルケル独首相は5日、ファーウェイについて、中国政府にデータを引き渡さないとの保証が得られない限り、ドイツの5G(第5世代)通信網構築には参加させないと述べた。同首相は、セキュリティー上の懸念があり、「(ファーウェイが)国にデータを引き渡さない」ようにするため、中国政府と協議することが重要だと発言。ドイツで事業を展開したいのであれば、セキュリティーは重要な問題になるとし、中国政府が中国製品のデータに一切アクセスできないことを明確にする必要があるとの認識を示した。 以上は、『ロイター』(2月5日付)が伝えた。

     

    『大紀元』(2月6日付)は、「ノルウェー警察当局 ファーウェイは中国当局の代理人 G配備に警戒」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ノルウェー警察安全局(PST)のベネディクト・ビヨンランド局長が5日、中国通信大手ファーウェイは国益上の脅威になると警告した。同局長は同日、国家リスクについての年次報告書をミッケル・ワラ法務大臣に提出したと記者会見で発表した。同局長は、ロシアや中国といった諜報活動を行う国に対する安全保障政策の不足を説いた。また、特にファーウェイなど中国通信企業は脅威であると名指しした」

     

    北欧諸国では、伝統的にロシアへの警戒心が強い。第二次世界大戦と戦後の冷戦時代を通して、その諜報活動の危険性を熟知しているからだ。その延長で、中国への警戒心が強いのであろう。ノルウェー当局は、ファーウェイの危険性を公表したことで、北欧三カ国が同じ歩調を取るようだ。

     

    (2)「PST局長は、中国企業に当局の情報収集に協力する義務があると中国の法律が定めていると述べた。特に『ファーウェイは中国(共産党)政権と密接な関係を持ち、その代理人と見なさなければならない』と名指した。報告によると、複数の国の諜報局関係者がノルウェーの企業や組織に勤務する人の雇用を試みていることが分かっているという。米国とその同盟国や友好国は、中国人民解放軍出身者が創業したファーウェイに対して5G配備の入札排除や政府・民間・軍部における機器使用制限などを決定した。北欧諸国では、このファーウェイによる通信網を限定する措置を検討している」

     

    PST局長が、「ファーウェイは中国(共産党)政権と密接な関係を持ち、その代理人と見なさなければならない」と発言していることは、他国にも大きな影響を与えるであろう。ここまで断言されると、ファーウェイ製品導入を言い出せない雰囲気が強まる。ノルウェーでは、過去4Gネットワーク構築でファーウェイが参入している。だが、「5G」となると、4Gと異なり桁違いの影響力を持つ。PST局長は記者団に対して、安全保障上の問題から「基幹インフラ保護のために規制と枠組みを設定する必要がある」と法務省への報告について述べた。

     

     


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    一国の大統領が、ボランティアで弁当配達している姿を写真で見たのは初めてだ。韓国の文大統領がそれをやってのけた。これは、政治家としての任務をはき違えた行動と思われる。文大統領の政策が、効果を上げ得なかったことを再検討し、新たな政策を打ち出す。この方が、はるかに国民に優しい政治であろう。

     

    貧困家庭が、なぜそういう経済状態に追い込まれたのか。その原因を究明すべきである。文氏には責任がある。去年と今年の大幅な最低賃金の引上げによって解雇された家庭かも知れないのだ。もしそうであれば、文氏は「二重人格者」のレッテルを貼られることになろう。最低賃金の大幅引上げを行い、労働貴族のご機嫌取りをした罪滅ぼしに、今度は貧困家庭へ「弁当配り」では喜劇である。

     

    『中央日報』(2月6日付)は、「韓国野党、自由韓国党の前代表、文大統領の弁当配達に庶民コスプレ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「党代表選挙に出馬した韓国野党『自由韓国党』前代表の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏が5日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がソル(旧正月)を迎えて経済的な支援が必要な家庭に弁当を直接配達したことに対して『庶民コスプレ』と非難した。洪氏はこの日、自身のフェイスブックに投稿した文で『破綻した民生を世話する考えはなく、弁当の配達で庶民コスプレする様子はイメージ政治の終局』と指摘した」

     

    文氏には、儒教朱子学の「道徳主義」が色濃く残っている。自らを道徳主義者と位置づけ、他人を攻撃するタイプである。独善主義であり、絶対に妥協しないのだ。最低賃金の大幅引上げこそ、貧困家庭を救うと信じている。その経済的な破綻によって、貧困家庭がさらなる貧困状態に落込んでいる。そういう現状を理解しようとしないから、平気でボランティアで弁当配りができるのだろう。

     

    (2)「洪氏は、『イメージ政治の惨劇を身震いするほど経験した方々が再びイメージ政治に誘惑されているのは実に遺憾に思うべきこと』としながら『そろそろ党内にもイメージ政治は捨てるべきだ』と主張した。あわせて『コンテンツ政治に戻れ』とし、『何が国家と党と国民と党員のための道なのか熟考しなければならない時』と強調した」

     

    このパラグラフで主張されていることは、すべて正しいと思う。文大統領がやるべきことは、民情の正しい把握とそれに基づく実行である。1月に入って大統領府は、経済界の苦悩を聞く機会を持ち始めた。そのこと自体はいいことだが、最低賃金の大幅引上げについての苦情が殺到しても聞くだけ。答えは、「現状変更は困難」という一言だ。最賃引き上げ幅の縮小が不可能であれば、経済界の意見を聞いても無駄である。要するに、民情を聞くポーズだけである。行動を起こさないのだ。文大統領の弁当配りと同じ「政治ショー」である。文氏の道徳主義を実感する場面だ。

     


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    中国の自動車市場は下り坂だ。消費不況の風を受けていることと、需要の飽和化という物理的な壁にぶつかっている。こうして、18年の中国全体の新車販売台数は、17年比2.%減で28年ぶりに前年実績を下回った。19年もマイナス基調と見るべきだろう。

     

    この逆風を受けながら、トヨタの販売は「好調」である。1月は前年比15.3%増を記録した。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月5日付)は、「トヨタの中国新車販売、1月は15%増、11カ月連続プラス」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「トヨタ自動車5日、中国での1月の新車販売台数(小売台数)が前年同月比15.%増の14万7100台だったと発表した。11カ月連続で前年実績を上回った。セダン『カムリ』がフルモデルチェンジの影響で81.%増の1万7400台と好調だったったほか、高級車『レクサス』の販売好調も続いた。中国政府の輸入乗用車に対する関税引き下げを受け2018年に値下げしたレクサスも、5.%増の1万4400台と好調だった」

     

    中国の国産車は、軒並み苦境に陥っている。自動車ローンが金融逼迫で付かないことだ。これが、客足を遠のかせている。その点、トヨタは自社の豊富な資金を持っており、販売促進で大きな役割を果たしていると見られる。国産の吉利汽車の場合、資金繰りを付けるべき所有株式の売却をするほど、金融逼迫に見舞われている。

     

    トヨタは、中国での2019年の新車販売台数目標を、前年比8.%増の160万台に設定した。プラグインハイブリッド車(PHV)の新モデルを発売し、既存の主力車種も好調が続くと見込むもの。中国では、日系メーカー首位の日産自動車も、19年に160万台の販売を目指している。これまで、日系首位は日産であったが、いよいよ中国市場で日産・トヨタの競争が激しくなりそうだ。

     

    18年の中国における販売台数は次のような結果となった。

    日産  156万3986台(前年比2.9%増)

    トヨタ 147万4500台(前年比14.3%増)

     

    日産の伸び悩みに対して、トヨタが躍進している。この勢いでいけば、トヨタが日産を抜く可能性が強い。日産の前会長ゴーン氏は、中国市場での伸び悩みを理由に、西川社長の更迭を考えていたと伝えられた背景はこれだろう。ただ、日産の伸び悩みの裏には、自動車ローンという販促手段が弱い事情もあるだろう。


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    中国での日本商品の人気は抜群だ。「メード・イン・ジャパン」が、憧れの商品になっている。品質の良さが、高い評価を得ている理由である。これまで、中国へ進出した日本企業が、相次いで国内の工場建設に踏み切り、「日本産」であることを売りにしている。

     

    『レコードチャイナ』(2月2日付)は、「最も多く購入は日本の商品、中国人の越境ECサイト利用」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国最大手の検索サイトを運営する百度公司の日本法人、バイドゥ株式会社は、中国人2000人を対象に行った越境ECサイトの利用実態調査の結果を発表した。『どこの国の商品を購入することがありますか』の問いに対しては、『日本』を挙げた人が58.0%で最も多かったという。日本以外の国では、韓国(52.5%)、米国(48.4%)が多く、それに続くオーストラリアやドイツ、フランスはいずれも20%台だった」

    越境ECサイトの利用実態調査では、58%が日本商品を選び1位に上げられている。人気の秘密については、「品質が安全」である。その証は、「メード・イン・ジャパン」にある。同じ日本製品でも、「中国産」では不人気だという。中国人が製造に関わったのでは信用がおけない、という理由である。

     

    ここで、日本企業は日本国内での製造に切り替えている。「何十年ぶり」という国内工場の建設に踏み切っているのだ。この点は、後で取り上げる。


    (2)「『日本商品を購入する』と回答した人の割合を地域や性別で分類すると、北京・天津在住の女性が72.7%、上海・浙江・江蘇在住の女性が68.7%と特に高かった。一方、広東在住の男性は51.6%、重慶・四川在住の男性は48.2%と低かった。バイドゥは、サイトの言語表示と購入や閲覧行動の関係も調べた。なお、回答者2000人のうち、219人は越境ECサイトの非利用者だが、「仮に使う場合を想像して」との前提で回答してもらった」

     

    日本商品への人気が高いのは、北京・天津在住の女性が72.7%、上海・浙江・江蘇在住の女性が68.7%と特に高かった。いずれも沿海部の人たちで、日本旅行経験者であろう。その背景には、高賃金という共通事情がある。今年1月現在の最低賃金(月給)は次の通りだ。

     

    北京市 2120元(約3万3920円)

    天津市 2050元(約3万2800円)

    上海市 2420元(約3万8720円)

    浙江省 2010元(約3万2160円)

    江蘇省 2020元(約3万2320円)

     

    いずれも、中国では最高の賃金を得ている地域である。日本との距離が、比較的短いということも「日本製品」ファンにさせていることもあろう。

     

    日本企業は、国内での増産体制に入っている。中国需要増加であるから、中国で生産すれば生産や輸送のコスト切下げになると考えがちである。だが、中国消費者は、日本で生産することに価値を付けている。そこで工場増設が始っているもの。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月4日付)は、「資生堂、九州に化粧品工場、『日本製』輸出へ400億円」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「資生堂は福岡県久留米市に新工場を建設する。2021年をメドに稼働し主力のスキンケア製品を生産する。投資額は400億~500億円を見込む。資生堂は現在、大阪府と栃木県でも新工場を建設中で、世界の生産能力は現状比でほぼ倍増する見通し。訪日観光客の増加で『メード・イン・ジャパン』の商品の人気が高まっている。アジアへの輸出や国内需要を満たすため、生産を国内に回帰させる動きが本格化する」

     

    資生堂は、「メード・イン・ジャパン」 人気に乗って、一挙に国内で3工場を建設するという「特需」に潤っている。もともと、日本の化粧品は、アジア人特有の肌を研究し尽くした製品づくりであると評価されてきた。米国化粧品が、日本で定着できなかったのは、「肌の研究」で出遅れた結果である。中国では、資生堂製品の「ニセ物」が、ホンモノの資生堂製品に混じって売られている。こういう実態からいえば、「日本産」に人気が向くのは当然であろう。

    (4)「日本の化粧品メーカーではコーセーなども国内増産投資を加速している。18年の日本製化粧品(ヘアケア含む)の輸出額は前年比4割増の約5260億円となり、6年連続で過去最高を更新した。9割は中国を中心とする東アジアだ。日本の日用品大手の間では生産の国内回帰の動きが相次いでいる。ユニ・チャームは19年に福岡県で26年ぶりとなる国内新工場を稼働。中国などで人気の高い高級紙おむつなどを生産する。ライオンも21年に国内52年ぶりとなる歯磨き粉の工場を香川県で稼働する予定だ」

     

    日本国内で消費財生産の新工場建設は、「何十年ぶり」と降って湧いたような話である。これから、訪日客4000万人目標を達成した後、6000万人目標が打ち上げられている。目先は、来年の東京オリンピックである。「メード・イン・ジャパン」の人気上昇とともに、海外での消費財需要もうなぎ登りとなろう。


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    中国の春節(旧正月)は、2月4日~10日まで1週間の大型連休である。過去最高の700万人が海外を訪れる見通しで、渡航先で日本は人気2位という。大変な数の中国人旅行客が、日本列島を訪れる計算だ。

     

    中国は、17年の訪日観光客の1人当たり旅行支出で首位であった。18年は4位へ後退したが、それでも25万円弱の支出である。18年の中国人訪日客数は、838万人で首位。中国人が日本で消費した金額は、総額1兆2570万円にも上る。大変な額だ。海外旅行者8人分が、日本人1人分の年間消費額に匹敵するという「仮説」がある。これを当てはめると、中国人観光客のもたらす消費額は、日本の100万都市の年間消費に匹敵する計算だ。

     

    『レコードチャイナ』(2月3日付)は、「春節到来で日本に商機、各地で中国人旅行客の受け入れ準備進む」と題する記事を掲載した。

     

    『人民網』(2月2日付)は、春節(旧正月)の長期休暇を迎える中国に合わせ、日本でも中国人観光客の受け入れ準備が進んでいると伝えた。


    (1)「記事は、『大阪の最もにぎやかな商店街の店には、レジや店の入り口に『春節快楽』『新春快楽』などの表示が掛けられている』と紹介。ドラッグストアでカゴいっぱいに買い物をしていた中国四川省から来たという中年夫婦の話として、『もうすぐ春節だ。日本の健康食品はお得だと聞いたので、うちの年寄りのために買ってあげて孝行でもしようと思う』と伝えた。その上で、『春節の長期休暇に伴い、訪日中国人の流れがピ再びークを迎えつつある』と紹介。統計によると、18年の訪日外国人は3119万1900人だったが、このうち中国人が最も多く、前年比で13.9%増となる838万人に達したことを指摘した

     

    外国人にとって、大阪の人気が高いという。気さくな雰囲気を気に入っているのであろう。その意味では、中国人と大阪は気性がすこぶる合いそうである。「春節快楽」「新春快楽」などとすぐに貼るあたり、大阪商法の凄さである。「儲かりまっか」精神で奮闘していただきたい。

     

    (2)「そのため、『日本の商店では、早くから春節を新たな商戦期と定め、このチャンスを逃すまいとしている。中国人客に対して新たな販促キャンペーンを展開しており、これには、中国で人気のマスクとお菓子をセットにして『福』の字を貼り付けて春節の雰囲気を出したり、免税カウンターを増やしたり、店の入り口に中国人従業員を配置して旅行客を呼び込むことなどがある』と紹介した。また、中国人旅行客の消費を促すため、より便利なサービスも提供していると紹介。『日本の多くの店が、積極的にWeChatPayAlipayを導入している。夜10時を回っても、大阪の商店街では多くの店がまだ営業しており、免税カウンターの前では多くの中国人観光客がスマホで支払いをしている』と伝えた」

     

    大阪万博は、2025年開催である。世界中から観光客が集まるはず。大阪商店街が、その前哨戦として今年の春節で貴重な経験を積むことは貴重な経験になる。そのノウハウを、日本全国の商店街に伝え、外国人旅行者へのビジネス・モデルにして貰いたい。世界中から観光客が来てくれることはありがたいことだ。日本の「オ・モ・テ・ナ・シ」精神を存分に発揮すれば、それが新産業に育だってくれるだろう。


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