勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    WTO(世界貿易機関)事務局長選挙で、韓国政府が慌てている。日本が、WTO事務局長選挙で、自国候補者を出さないが、「意中の候補」の当選目指して、根回しを始める意思を表明したからだ。韓国は、これまで自国候補の楽勝気分でいた。ただ日本が本腰を入れて、韓国以外の候補を推せば、韓国楽勝の夢が消える。

     

    8日までで立候補を締め切るWTO事務局長選挙には、韓国のほか、メキシコら5人が出馬の意向を示している。これと関連して読売新聞は7日、「混戦が予想される」とし、現職のアゼベド事務局長が退任する8月末までに後任者が決まらない恐れもあると雰囲気を伝えたほど。こうした中で、6日からスイス・ジュネーブにあるWTO本部で開かれている日本の貿易政策に対する審査会議で、韓国政府代表団は日本を強く批判した。大事な事務局長選の前に、愚かな発言をしているものだ。

     

    『朝鮮日報』(7月7日付)は、「日本『WTO事務局長選挙にしっかり関与する』愈明希けん制に乗り出す」と題する記事を掲載した。


    日本政府が「WTO事務局長選挙にしっかり関与したい」と明らかにした。韓国の国際機関への進出に否定的な立場を示してきた日本政府が、事務局長選挙への立候補を表明した愈明希(ユ・ミョンヒ)産業通商資源部通商交渉本部長に反対票を投じる形でけん制に乗り出すのか注目される。

     

    (1)「日本の梶山弘志経済産業相は7日午前の記者会見で、WTO事務局長選出に関する日本政府の立場を問われ「日本も選出プロセスにしっかり関与していきたい」と述べた。梶山経産相は、「今週の8日までが候補者受付期間であり、現時点で5名が立候補済みと承知している」として「コロナ対応やWTO改革など課題山積の中で多角的貿易体制の維持、強化に向け、リーダーシップを発揮できる人物であることが重要だ」と述べた」

     


    日本の国益から言えば、韓国出身のWTO事務局長の実現は最悪である。日韓では、WTO係争案件を抱えているだけに回避したいのは当然だ。まさか、韓国は日本が賛成票を投じると期待しているはずもあるまい。

     

    韓国メディアは、最も有力な候補に選ばれてきた欧州委員会のフィル・ホーガン委員(通商担当)が最近、出馬取り止め意向を明らかにした。他の先進国が候補者を出しておらず、今のままなら「韓国人初めてのWTO事務局長輩出」の可能性がないわけではないと予測してきた。金尚祖(キム・サンジョ)大統領府政策室長は1日、ラジオ番組に出演してWTO事務局長の出馬に関連して「十分に勝算があると考える」と話したほど。この楽勝気分が、日本の「一言」でひっくり返った。

     

    (2)「WTO事務局長は、加盟国ごとに候補者への支持度合を調査し、支持度の低い候補者から脱落して最終的に1人が選ばれる形となる。加盟国の満場一致を追求するため、一国の意見が大きな影響を及ぼす。日本政府は愈明希氏について明確な意思を表明してはいないが、輸出規制問題をめぐって対立する韓国のWTO事務局長候補を歓迎しないと予想される。日本の茂木敏充外相は6月26日の記者会見で、愈明希氏に関する質問に「次期事務局長に求められる資質はいろいろあるが、(中略)主要国の利害を調整する能力が非常に重要」だとして「対応に関しては検討中」と述べていた」

     

    韓国は、WTO事務局長選で毎回、候補者を立てている。だが、第1回の投票で姿を消してきた。それだけ、韓国の信頼度がないという証拠でもあろう。当選させたければ、日本とWTOで争っていたのでは無理なのだ。そういう、国際感覚がゼロの国家である。

     


    (3)「WTOによると、現時点で出馬を表明しているのは愈明希氏を含め5人だ。メキシコのヘスス・セアデ外務次官、ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏(Gaviワクチンアライアンス理事長)、エジプトの弁護士ハミド・マムドゥ氏、モルドバの元駐ジュネーブ大使のトゥドル・ウリアノブスキ氏が立候補している。日本の読売新聞は同日、「5日現在で5人が出馬を表明しているが、有力者の立候補断念で混戦が予想される」とした上で、有力候補としてナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏の名を挙げ、世界銀行の専務理事として勤務した経験があり国際的な認知度が高いと説明した」

     

    下線を引いたように、有力候補はナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏である。世界銀行の専務理事として勤務経験があり、国際的な認知度が高いという。日本は、この候補を推すのだろうか。世銀の専務理事というポストを経験しているのは強味である。

     

     

     

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    「自由の国」香港が一転、中国本土並みに窮屈な監視の目にさらされることになった。中国当局は73日、「香港国家安全維持法」に基づき香港に設置した当局の出先機関「国家安全維持公署」の署長に、悪名高き鄭雁雄氏を任命した。以下は、『大紀元』(7月7日付)が伝えた。

     

    鄭氏は、広東省「民主の村」(烏坎村)の村民による抗議活動を鎮圧したことで知られている。今後、強硬的な手段で香港のデモ参加者も抑え込むとの見方が広がっている。「泣く子も黙る」存在だ。

     

    「民主の村」の由来はこうだ。2009年に烏坎村の幹部が私利私欲をむさぼるため、無断で村の土地を不動産開発業者に売却した。村民は複数回、村政府や汕尾市政府に対して、土地売却を撤回するよう陳情した。しかし、当局に対応してもらえなかったため、若い村民20人余りは、2011年9月に大規模な抗議デモを始めた。これが、鄭氏によって弾圧されたのだ。香港の民主化デモと規模は異なるが、民衆の怒りは同じである。

     


    『フィナンシャル・タイムズ』(7月6日付)は、「
    香港市民の大量脱出 不安げに見つめる台湾」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「台湾人は、香港の民主化運動に共感を抱いているが、台湾当局は慎重に物事を進めている。中国政府に対する香港の戦いの基地として台湾を売り込むと、台湾がさらに大きな危険に見舞われかねないと意識しているからだ。中国は、台湾は自国の領土の一部だと主張しており、台湾がいつまでも統一を拒否するようであれば侵略も辞さないと脅している。香港の民主化デモの参加者と当局とのにらみ合いが続く過程で、すでに大勢の香港人が台湾に逃げ場を求めてきた。香港中文大学が5月に実施した調査では、移住を検討している香港人の35.%が台湾への移住を希望していることが分かった。亡命者予備軍にとって一番人気の行き先だということだ」

     

    香港で移住を検討している人の35.5%が、移住先として台湾を上げている。台湾は、中国から軍事的に脅されているものの、バックに米国が控えている。米中対立の中で、台湾の地政学的な地位は一段と上がっている。米国が、むざむざと中国の侵攻を許すはずがないのだ。

     

    (2)「台湾当局の統計によると、2019年に香港から来た5858人が台湾の居住民となっており、その数は18年から41%跳ね上がった。20年1~5月には、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて台湾が3月に入境を禁止したにもかかわらず、香港市民からの居留許可申請が前年同期の2倍以上に達した。台湾高官らは、当局が今週、査証(ビザ)申請受け付けを再開した後に、この数がさらに増加すると見ている。

    香港の苦境は、台湾の若者の間で強い共感を呼んだ」

     

    香港から見た台湾は、「都会度」では一歩も二歩も譲らなければならない。それだけに、香港富豪の移住先にはなりにくい。若者か庶民であろう。台湾の生産年齢人口が増えれば、経済発展は間違いなしだ。ここは、香港から若者を大いに移住させるべきである。台湾南部は、本当に戦前の日本の姿を残している。日本贔屓が多い土地だ。

     

    (3)「台湾民主基金会(TFD)の副執行長を務める陳婉宜氏は、「彼ら(若い台湾人)は間違いなく、台湾が安全な避難先になれるように望んでいる」と話す。同氏によると、7月公表されるTFDの年次調査は、台湾の民主主義に対する市民の評価が跳ね上がったことを示している。「香港での出来事が反映されたものと確信している」と同氏は言う。台湾の蔡英文総統は、香港の民主活動家に対する台湾の支持を表明したものの、台湾がもっと多くの人を受け入れられるようにする難民・政治亡命法を求める声には抵抗してきた。その代わり、香港から逃れてくる人の波に対応するため、台湾当局は71日、台湾移住を求める香港人を支援する専門の窓口事務所を開設した」

     

    台湾の蔡総統は、派手に香港人受入を表明すると、中国と摩擦を引き起す。それだけに、目立たない形で、香港人を受入れる体制を整えている。

     


    (4)「中国で対台湾政策を所管する国務院(政府)台湾事務弁公室は、台湾が逃れてきた香港人に対する人道的支援を保証したことを、「『台湾独立』と『香港独立』の合流」に基づく「分離主義者の策略」だと非難している。だが、台湾の専門家らは、香港と台湾が共同戦線を張って中国政府に挑むという考えは非現実的だと主張している。台北にある淡江大学の張五岳教授は「台湾が亡命中の香港野党勢力のプラットホームになるという考えには、無理がある」と言う。教授はさらに、台湾は香港よりも給与水準が低く、税率が高いため、香港の富裕層や高い技能を持った金融業界幹部が台湾に移住してくる見込みは薄いと指摘する。「今後見るようになるのは、おそらく大勢の若者と学生になるだろう」と話している」

     

    米国は、台湾に対して「独立」を叫ばぬように要請している。中国の軍事介入の理由を、わざわざ提供することを控えさせているもの。それだけに、台湾独立と香港独立が共同戦線を張ることはあり得ない。中国共産党が滅びれば、それぞれが独立する可能性を持つとしても、今はそれを具体的に展望できる段階でない。

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    韓国の文大統領は、南北交流を自らの任期中に前進させるべく、米国との軋轢を覚悟して捨て身の戦法に出るのでないか。米国は、最近の韓国大統領府による「安保3人ライン」の人事交代に疑いの目を向けている。米韓関係が軋めば、韓国外交は完全な袋小路に入る。文在寅氏は、最後の賭けに出て来た。

     

    『朝鮮日報』(7月7日付)は、「韓国が韓米作業部会を迂回して南北直通トンネルを作りかねない」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最近、外交・安全保障ラインを入れ替えて北朝鮮通を全面配置したことを巡り、米国政府内外から懸念の視線が送られている。行き詰まった南北関係を独自に解きほぐすため、韓国が「直通チャンネル」を開いて国際制裁を迂回しようとするのではないか、というのだ。ワシントンのある外交消息筋は「北朝鮮通を前面に押し出し、韓米作業部会も迂回する南北間のトンネルが作られることもあり得ると思う」と語った。

     

    (1)「新たな外交・安保ラインは、これまで多くの対北交渉の経験があったり、「民族優先」を強調してきたりした人物で構成されているのが特徴だ。徐薫(ソ・フン)国家安保室長はおよそ30年にわたり国家情報院(韓国の情報機関。国情院)で勤務しつつ対北業務を担当し、仁栄(イ・インヨン)統一相候補は全大協(全国大学生代表者協議会)第1期出身で、学生時代から統一運動を行ってきた。韓東大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「韓米関係など4強外交に対する理解が深い人物なしの、北朝鮮通一色で構成した人事では、きちんとした外交はやり難いだろう」と語った」

     

    北朝鮮通の人物3人が、揃って「安保ライン」に任命されたのは、米国にとって異色の組み合わせに映っている。米韓関係に精通した人物がいないのは、南北関係打開で米国を棚上げして行なう意志に受け取られている。これでは、米国の存在をないがしろにするもので、米韓関係にひび割れを起こす危険性が高まるのだ。この辺りが、文大統領の「直情径行性」を表わしている。

     

    (2)「米国は特に、対北違法送金事件で有罪宣告を受け、1年余り収監生活を送った朴智元(パク・チウォン)元「民生党」議員が国情院長に内定したことにショックを受けている雰囲気だ。対北制裁の専門家であるジョシュア・スタントン弁護士は「今の文在寅政権では、平壌へ現金を違法に流すことが重要な力量」だとしつつ、「これがワシントンにとって意味するところは何だろうか」と語った。「平壌大使が最後の夢」だと語る対北太陽政策論者を情報ラインのトップに任命することで、米国の反対があっても「対北融和の道」に進むというシグナルを送った-というわけだ」

     

    朴智元氏が、情報機関トップになったことに警戒観を強めている。かつて北朝鮮へ秘密資金を提供した人物だけに、米国は北朝鮮と秘密ルートを持っているはずと睨んでいる。その朴氏が情報機関トップに座ることは、韓国が「何をするか分からない」というシグナルを発していると米の警戒観を強めている。米国スパイ網は、韓国情報機関を監視する必要に迫られそうだ。

     

    (3)「タフツ大学のイ・ソンユン教授も、ツイッターに「朴智元は金正恩(キム・ジョンウン)に5億ドル(約537億円)を送金し、2曲のセレナーデまで添えた」とし「彼が韓国の情報トップになったことで、北朝鮮は『統一が今こそやって来たな』と思うかもしれない」と書き込んだ」

     

    朴氏の情報機関トップ就任は、北朝鮮に扉を開かせる契機になり得る。米国側には、こういう観測も生まれている。

     

    (4)「こうした中、北朝鮮は6日も韓米作業部会に対する不満を再度あらわにした。対外宣伝メディア「朝鮮のきょう」は6日、「いつまで恥辱と屈従に縛られようとするのか」というタイトルの記事で、韓国の政界やメディア、市民団体が声をそろえて韓米作業部会を批判していると主張した」

     

    北朝鮮の標的は、韓国批判から米国非難に向かってきた。文大統領が、今回の「安保3人ライン」で北朝鮮と秘密交渉を始めれば、米韓同盟は大きな傷を受けるだろう。南北関係発展か米韓同盟維持か、そういう難しい問題にぶつかりそうだ。その場合、韓国の安全保障は根本からひっくり返されるだろう。危ない橋だ。文氏にはその意味が分かっていない。

     

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    文大統領は、韓国がコロナを封じ込めたとし、「K防疫モデル国」宣言した。その後は、芳しくない状況が続いている。全国的に、感染者が増えているからだ。こうなると、「K防疫モデル国」宣言は色あせてくる。日本を見下していたころの元気さは、消えてしまった。

     

    日本も封じ込めに苦労している。ただ一つ救いなのは、感染源を特定できる点だ。東京の夜の歓楽街が、感染者の半分以上を占めている。彼らを「地下」に追い込むのでなく、「地表」に止まらせて、検査に協力させる「緩やかな」方式が成功するだろうと見られている。この方式を気長にやって行くしかないようだ。

     

    『毎日新聞』(7月6日付)は、「コロナ封じ込めに成功したはずの韓国で感染拡大する理由、自粛解除と防疫、両立の難しさ」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルスの感染拡大をいったん抑え込み、5月初旬に市民に対する外出や集会の自粛要請を解除した韓国が、再び予断を許さない状況になっている。首都圏だけでなく、南西部の光州(クァンジュ)市や中部の大田(テジョン)市など地方都市でも集団感染が相次いで発生し、新規感染者数が高止まりしている。

     

    (1)「感染が急拡大した光州市を3日に訪れた丁世均(チョンセギュン)首相は、市民に対し、「これ以上の感染拡大を防ぐため、市民一人一人の協力と参加が切に求められている」と感染防止対策の徹底を呼びかけた。光州市では6月27日から寺院を中心とした集団感染が発生し、75日正午現在で計80人の感染が判明している。政府は感染の拡大状況に応じて実施すべき防疫措置を3段階で設定しており、同市は2日、最も軽い「第1段階」から「第2段階」へと全国で初めて引き上げた。これに伴い、室内50人以上、屋外100人以上の集会や行事が禁止された。光州市を取り囲む全羅南道も、6日に第1段階から第2段階に引き上げると5日発表した」

     

    日本では、東京都の感染者数が突出している。これは、冒頭で指摘した「積極的な検査要因」による。韓国では、地方での感染者が増えている点に「封じ込め」の難しさを示している。

     


    (2)「韓国では2月から南部・大邱(テグ)市で新興宗教の信徒を中心に始まった「感染爆発」を、他の地域に拡散することなく収束させたことが功を奏し、4月下旬以降は国内の新規感染者数が10人以下となる日が多くなった。韓国政府は、感染拡大が落ち着いたと判断し、5月6日、市民に対する外出や集会の自粛要請を解除した。ところが、その直後に判明したソウル市内のナイトクラブでの集団感染をきっかけに、首都圏で複数の集団感染が断続的に発生。韓国政府は5月29日から首都圏に限って、再び防疫管理を強化し、「これから12週間が重要な山場になる」と外出や集会の自粛を呼びかけた。それでも、小規模な集会や行事を通じた感染が続き、さらに地方にも飛び火した格好だ」

     

    首都圏の感染急増が、地方に飛び火した感じである。その点日本は、ほとんどの地方で感染者「ゼロ行進」である。日本は、東京都の「夜の歓楽街」を封じ込められれば、乗り切れるという期待感が強まる。

     

    (3)「背景にあるのは、いったん感染拡大を抑え込んだことによる人々の「気の緩み」が原因の一つとみられる。政府が携帯電話の位置情報やクレジットカードの使用金額などを基に首都圏の人の流れを分析したところ、5月29日に自粛を要請した後の週末は、政府の呼びかけにもかかわらず、要請前からほとんど減っていなかった。6月半ばからは、新規感染者数に占める地方住民の割合が増加。光州市だけでなく、大田市でも訪問販売業者を通じた集団感染が起きている」

     

    「気の緩み」が、第二波を呼込んでいると指摘している。文大統領は、政治的意図で「K防疫モデル」を宣言した。結果的にこれが、気の緩みを生んだのであろう。口は災いの元である。

     

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    中国が、中印国境紛争で武力衝突した後遺症で、インド民間から反撃を受けている。「中国不買運動」だ。デリーの3000ホテルが、中国人の宿泊を拒否する決定をした。思い上がった中国の民族主義が、中国民衆からの反撃を受ける番となった。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月6日付)は、「印ホテル、中国人排除、デリーで宿泊禁止を通達」と題する記事を掲載した。

     

    中印両軍の国境係争地域での衝突を受け、インドで中国の顧客や製品を排除する動きが広がっている。首都ニューデリーでは地元のホテル協会が傘下の約3千のホテルを対象に中国人の宿泊禁止を通達した。インドでは中国製品の不買運動も起きており、衝突は経済問題に発展しつつある。

     

    (1)「中印両軍は615日に衝突し、インド側は45年ぶりに死者を出した。デリー・ホテル・アンド・レストラン・オーナーズ協会は6月末、加盟する約3千のホテルで中国人を宿泊させないよう指示した。同協会は安価で泊まれるホテルやゲストルームが加盟し、デリーでの部屋数は合計75千程度に上るという。同協会は「中国軍との衝突でインドの兵士が20人死亡した。我々は非常に憤っており、中国人に部屋を提供しないことを決めた」との声明を出した。加盟ホテルに対し、中国製の家具やキッチン用品なども使わないように求めている」

     

    デリーのホテル3000軒が、中国人宿泊を締め出すという。インド側にも損失だが、それ以上に愛国心で中国へ対抗するのだろう。これは、中国に紛争を再び、起こさせないブレーキになるのかも知れない。

     


    インド人は、内心で中国を軽蔑している。民主主義政治でないことだ。インドは、独立当時の総選挙で文盲者のために「候補者の似顔絵」で投票させた。このため、全土の選挙が終わるまで1ヶ月の時間を掛けたのだ。こういう苦労を考えれば、中国の独裁政治は軽蔑の対象でしかないはず。インド人が、プライドに掛けても中国を許せないのだろう。

     

    (2)「デリーのホテル内にある中華料理店で働くインド人スタッフは、「新型コロナウイルスの影響で過去3カ月間苦しんできた。さらに打撃を受けることになる」と肩を落とす。インドは新型コロナの感染拡大で国際線の運航を再開していないが「中国人は安全を確保できなければインドに来なくなる」との見方を示す。インド貿易団体は中国製品の不買運動を6月中旬から呼び掛けている。参加する貿易業者は約7千万にも上る。インドでは8月に家族の健康を祈る祭りがあり、通常では手首に装飾品や糸をつける。最近は、中国製品が多く流通していたが、今回の祭りでは中国製品を買わないよう消費者に求めている。11月のヒンズー教の新年を祝う最大の祭り「ディワリ」でも中国製品を排除する方針だ

     

    小間物をはじめほとんどの消費財が中国からの輸入である。11月のヒンズー教の新年である祭りからも、中国製品を排除するという。これで、中国の中小企業はさらに窮地に立たされる。すべて、習近平氏が始めた画策が原因である。恨むべきは、習近平氏である。

     

    (3)「地元メディアによると、6月からインドの南部の港などで中国から輸入されたスマートフォンや医薬品などの通関手続きが滞っている。インド国内に中国製品を流通させないための措置という見方がある。貿易関係者は「通常であればすぐに通関手続きが完了する商品が23週間かかるケースも出ている」という。インド政府は中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)、自動車大手の長城汽車などを対象に製品の使用禁止や契約の見直しに動いている。中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」など59のアプリの使用も禁止した」

     

    インドは、中国との経済関係を薄める方向に向かっている。ベトナムがそうだ。中越戦争(1979年)で、中国はベトナムへ侵攻して大敗した苦い経験がある。ベトナムは、南シナ海でも島嶼を奪われている。その怒りが、「反中」に向かわせているのだ。インドも「反中同盟」に加わる。

     


    (4)「インドは新型コロナの感染者が累計約70万人に達し、貧困層を中心に感染拡大に歯止めがかからない。国際通貨基金(IMF)によると、2020年の成長率はマイナス4.%と約40年ぶりの低水準に陥る恐れがある。モディ政権は中国に弱腰をみせると支持を失いかねないため、強硬な措置を続けている。中国排除でインド経済が一段と落ち込む可能性もある。中国側は現時点では冷静な対応だ。中国は衝突による死傷者数を公表せず、報道を抑制している。中国政府はインドメディアが発信するニュースを「中国で見られないように制限した」との情報もある。中国にとっては米国との経済や外交の摩擦緩和が最大の優先事項のため、インドとの衝突を過熱させたくない思惑が透ける。

     

    中国は、これだけインドの怒りを買っているのだ。習近平氏の「オウンゴール」である。インドは、日米豪が推進する「インド太平洋戦略」に加わる。中国にとって、取り返しのつかない事態になった。

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