勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国政府は、賃貸住宅難の解決策として、空室のホテルなどを買収して転用することになった。原因は、「賃貸借3法」によって借り主の権利を保護しすぎたために、貸家が減ったことにある。政府が、応急措置をせまられたものである。家族が、ホテルの一室で煮炊きをしながらどのように生活するのか。非難が殺到している。解決策は、賃貸借3法の緩和であるが、政府にその意思はない。

     

    戦後の日本でも住宅難の解決策として、借家人の権利を保護したところ、韓国と同様のことが起こり、貸家の権利も回復してバランスをとった経緯がある。

     

    『朝鮮日報』(11月19日付)は、「56坪のホテル客室が賃貸住宅難対策? 鶏小屋に住めというのか」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府は19日、不動産関係閣僚会議を開き、公共賃貸住宅拡大を骨子とする賃貸住宅対策を発表する。政府は最近全国的に拡大した賃貸住宅難に無策だと批判を受けてきた。このため、対策は公共機関に短期間に確保できる住宅を最大限かき集め、賃貸市場に供給することが主眼とされる。ホテルや雑居ビル、工場などを改造し、賃貸住宅として供給する案も検討されている。これについて、野党は「ホテルの客室を改造するといったいい加減な弥縫(びほう)策を打ち出そうとしている」と反発している。不動産専門家の間でも「既に実施中の政策の二番煎じで、供給戸数を増やすことにばかりにきゅうきゅうとしている」との批判が聞かれる」

     


    (1)「韓国政府が示す今回の賃貸住宅対策の核心は「買い取り賃貸」と「保証金物件賃貸」だ。韓国土地住宅公社(LH)やソウル住宅都市公社(SH)など公企業が既存の住宅を買い取るなどして確保し、賃貸住宅として提供する方式だ。住宅物件を新築して供給する建設賃貸よりも早く供給できるメリットがある。しかし、マンションよりも多世帯、多世代住宅が多く、賃貸需要者のニーズには合わない。立地条件も悪いことが多く、「良質の賃貸住宅」とはかけ離れているとの声がある」

     

    賃貸住宅難というご時世に空き家・空室になっている物件は、相当に立地条件が悪いか物件自体に問題があるはず。それを構わず、政府が応急対策に乗出すというのだ。文政権は、すべてこういう場当たり主義である。最低賃金の大幅引上げによる失業増も、同じ過程から生まれた失敗である。

     

    (2)「都心の空きオフィスや雑居ビル、工場、ホテルなどを改造し、賃貸住宅として供給することも検討される。民主党の李洛淵(イ・ナギョン)代表は17日、ジャーナリスト団体「寛勲クラブ」の討論会で、「ホテルの客室を住居用に変更し、賃貸する案が(政府発表に)含まれると聞いている」と述べた。ただ、ホテルは客室ごとに仕切られており、すぐに住宅として活用できるようにも思えるが、キッチンがない上、ワンルームが多く、一人暮らしでなければ生活が困難だ。2人以上の世帯も暮らせる住宅として供給するためには、大規模な工事が必要となるが、それには時間も費用もかかる」

     

    ホテルで生活するリッチな人もいるが、それは例外的な存在である。庶民が、ホテルで生活することは困難である。そういう設備や構造になっていないからだ。コロナ禍で空いているホテルも、コロナ問題が終息すれば、必ず需要が回復するはず。そのとき、「ホテル住人」を追出す積もりか。そういう配慮がゼロである。

     


    (3)「野党は政府・与党のホテル改造計画について、「鶏小屋に住めというのか」と強く批判している。国民の力の劉承ミン(ユ・スンミン)元議員は「ホテルの客室を住居用に改造することを対策として打ち出すとはあきれる。7月に民主党が単独で成立させた賃貸借3法から元に戻すべきだ」と迫った。同党の河泰慶(ハ・テギョン)議員は「ホテルと住居用マンションは基本構造や住居環境自体が完全に異なる。市民に鶏小屋に住めというに等しい」と述べた」

     

    野党が、こぞって反対しているのは当然である。文政権には、将来を見通す力がゼロである。すべてが思いつきで決めている感じだ。

     


    問題は、賃貸住宅3法にあることは間違いない。この法律は、今年7月に制定された「悪法」である。「賃借人は2年の契約期間終了後、特別な理由がない限りさらに2年の契約延長が保障される。延長時の値上げ幅は、従来の賃貸料の5%以内とし、地方自治体が条例で上限を決める」としている。

     

    この法律は、貸家側には不利である。2年契約でさらに2年の契約延長が可能。その際、値上げ幅は5%以内となっている。経済情勢がどう動くか不明の時代に、最長4年で値上げ幅僅かである。これでは、貸家側のリスクが大きくなりすぎる。しかも、同改正案は所管の常任委員会である法制司法委員会に上程されてから、わずか2日にして施行されることになった。こういう、せっかちな法律に誰でも不安を覚えて当然である。貸さないという選択によってリスク回避しているのだ。すべての責任が、文政権にある。

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    米GM本社は、韓国GMの賃上げストに撤退の意向を示唆するなど緊迫した場面を迎えている。GMは、2018年にも撤退の意向を仄めかしたことがある。今回は、単なる労組牽制の範囲を超えて、真剣さを覗わせている。

     

    韓国自動車業界は9月の生産が、新型コロナの影響から抜け出す気配を見せていた。しかし10月は、韓国GMの部分ストライキの影響で再び、生産減少に転じている。韓国GMの動きが、自動車業界の注目点になってきた。

     

    『中央日報』(11月19日付)は、「GM本社、韓国から撤退も、賃金交渉めぐり労働組合に警告」と題する記事を掲載した。


    韓国GMの使用者側と賃金・団体協約交渉で対立する韓国GM労働組合に対し、GM本社が「韓国から撤退することもある」と警告した。

    (1)「18日のロイター通信によると、スティーブ・キーファー米GM上級副社長兼海外事業部門代表は、「労働組合のストライキで約1万7000台の自動車生産に支障が生じていて、今週末までに2万台に達する」とし「新型コロナウイルスの感染拡大で年初に失われた6万台まで考慮すると、韓国GMは今年利益を出すことができない」と述べた」

     

    部分ストによる、影響が強く出ている。このままでは、韓国GMの決算は赤字となる。

     

    (2)「キーファー副社長は、「韓国GM労働組合は生産台数を人質にして経営的に打撃を与えているため、今後の韓国GMへの投資を難しくさせる」とし、「こうした労働組合の態度は韓国を競争力がない国にしている」と強く批判した。続いて「数週以内にこの問題が解決しなければ長期的な影響があるだろう」と話した」

     

    韓国は、「労働貴族」と言われるほど優雅なストライキをやって、会社側に徹底的な打撃を与え、高賃金を獲得する常連である。社会の批判も強く、労組に対して同情的な雰囲気はゼロである。要するに、経営側に無理難題な要求を突付けて賃上げを実現する。日本の労組のような節度がない「暴走スタイル」である。

     

    (3)「これに先立ち、全国金属労働組合韓国GM支部は16日の中央争議対策委員会で、17日から20日まで部分ストをすると明らかにした。韓国GMの前半組と後半組の勤労者はこの期間に4時間ずつストをし、先月23日に始めた残業・特別勤務拒否も続ける方針だ。労働組合の幹部は部分ストの最終日の20日から徹夜の座り込みに入る計画だ。韓国GM労働組合が先月30日から始めた部分ストは今回の中央争議対策委員会の決定で計12日に延長された」

    韓国GMの労使は、7月から今年の賃金団体交渉を続けているが、合意点を見いだせないままだ。10月末から3日間、4時間ずつの部分ストを始め、11月も18日まで9日間(営業日基準)の部分ストをした。部分ストをした期間は今月14営業日基準で半分以上の9日間にのぼる。

     

    部分ストは、労働側の損失が少なく会社側への打撃が大きい。自動車のように流れ作業では、部分ストが、全行程を止めてしまうからだ。それだけに、会社側の損失は大きく「撤退」を言い出す事情が分かる。

     

    ストライキは労働者の権利であるが、その過剰行使によって雇用を失うことは最も愚かなことだ。妥協地点を間違えると、自分の首を締める結果になる。部品製造の関連企業も、ハラハラして見ているところだ。

     

    『中央日報』(11月19日付)は、「韓国GM協力会社社長100人『ストのため電気代も払えず、助けて』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国GMの協力会社からなる「協信会」が、韓国GMの労使対立で協力会社は危機を迎えていると訴え、労使に賃金団体交渉の早期妥結を求めた。

     


    (4)「協信会は19日、韓国GM富平(プピョン)工場西門で「韓国GMの妥結しない賃金団体交渉に対する協力会社の生存のための訴え」を発表し、「賃金団体交渉がすぐに妥結しなければ、流動性が脆弱な協力会社は不渡りを出す事態を迎えるかもしれない」と憂慮を表した。特に先月末から続いている韓国GM労働組合の残業・特別勤務拒否、4時間の部分ストで、協力会社が被害を受けていると主張した。この日の集会には協力会社の代表およそ100人が参加した」

     

    部品製造の協力会社は、弱い立場である。多分、「ジャスト・イン・タイム」制で納品しているであろうから、組み立て部門の部分ストは協力会社の生産過程に大きな影響を与えているであろう。労組は、そういう協力会社の痛みも感じなければならない。

    (5)「協信会は、「賃金団体交渉の遅延で生産に深刻な支障が生じている。さらなる支障が生じてはいけない」とし「協力会社の不渡りなど取り返しがつかないことが発生すれば、韓国GMの部品サプライチェーンに深刻な影響が及ぶ」と強調した。また「生産への支障で協力会社は自動車企業より厳しい苦痛に直面している」と訴えた。協信会は「一部の会社は電気代のほか、職員の給与も適時に支払えない状況」とし「第2次、第3次協力会社は事業をあきらめるところが増えている」と伝えた」

     

    韓国進歩派は、相手の身になって考えることがない階層である。「自分達だけよければそれでいい」という極めて身勝手な振る舞いを行う。これは社会を「敵・味方」という区分けをしているからだ。味方には極めて甘く、敵方には極めて冷酷に振る舞うのである。協力会社についても「敵方」という分類であろう。資本家は敵という単純な区分けであるからだ。



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    中国は、2021~25年の5カ年経済計画で、平均年率5%前後のGDP成長率を見込む。だが、コロナ禍の影響は消しがたく、内需中心経済目標に警戒信号が灯っている。昨年、1人当りの名目GDPは1万ドルを超えたが、可処分所得は4300ドルとかけ離れて低い。不動産バブルによる家計負債が、大きな負担になっているのだ。習近平氏は、こういう庶民の暮らしには暗く、ただ、大きな目標を掲げるだけである。

     

    『日本経済新聞 電子版』(11月19日付)は、「中国、もたつく賃金回復 手取り昨年と同水準 福利厚生は削減」と題する記事を掲載した。

     

    中国の賃金回復に遅れが出ている。最低賃金が据え置かれる中、残業や休日出勤などの手当が伸び悩んでいる。好況業種の半導体や自動車を除けば、労働者の待遇改善は道半ばだ。可処分所得の伸びも鈍く、個人消費回復の重荷となっている。

     

    (1)「10月中旬、上海市で約40社が参加した採用説明会は新型コロナウイルスへの感染予防のため屋外サッカー場が会場だった。多くの求職者が訪れたが「手取り月収は5000元(約7万9000円)前後と昨年と同水準」(上海遠安流体設備科技)といった条件提示が多かった。「手取りは月4500~5000元と前年と変わらないが、福利厚生は削減している」(江蘇省蘇州市の電子・通信機器メーカー、泰吉強電子科技)との声もあった。賃金の前年比を答えた19社のうち、残業代を含めた月収が増えたのは3社にとどまった」

     

    手取りは月4500~5000元と前年と変わらないが、福利厚生費が削減されている。ただ、マクロ統計で見た家計債務の対GDP比は昨年、55.2%へ上がっている。一昨年は51.5%であった。手取りが横ばいとすれば、可処分所得では債務返済分が負担になっている。

     

    (2)「2020年は多くの省や市が最低賃金の引き上げを見送り、工場労働者の収入は休日出勤の有無や残業代に左右される。「年前半より受注は回復しているが、今も週休2日で操業している」(金型の中国超日模具)との指摘が目立ち、賃金の上積みは難しい状況だ。こうした状況はマクロの統計にも表れている。中国国家統計局によると、19月の可処分所得は実質で0.%増にとどまる。通年でも6%近い伸びだった19年を大きく下回りそうだ

     

    1~9月の可処分所得の増加率は、0.6%増と微増に止まっている。これでは、個人消費が増えるはずがない。

     


    (3)「賃金が伸び悩む一方、「生産ラインの維持や技能継承のため、欠員補充は必要」(研磨機器の江蘇賽揚精工科技)として採用に踏み出す企業は徐々に増えている。上海、深圳市場に上場する約3900社の20年7~9月期は概算で約3割の最終増益だった。13月期、46月期の最終赤字から脱し、企業の採用姿勢の変化につながっているもようだ」

     

    (4)「雇用改善が踊り場に差し掛かる可能性を指摘する声もある。人材会社の智聯招聘は同社に寄せられる求人数と求職者数から「就業市場景気指数」を算出している。同指数は20年13月の1.43から79月には1.89に回復したが、1年前の水準には及ばない。智聯招聘は10~12月も一定の改善を見込むものの、「前年同期の2.18には及ばない」とする」

     

    昨年10~12月の「就業市場景気指数」は、2.18であった。今年の79月には1.89で年内は2以下であろう。これでは、個人消費へのプッシュは弱まるほかない。中国の実態は、かくのごとしである。強気見通しは当らない。

     


    習近平氏は、中国経済について内需循環を主体とする構想を画いている。その実態が以上に指摘した通り、極めて脆弱である。米中対立の長期化で輸出依存型は、存続不可能になっている。内需循環への依存経済は、否応なく選択せざるを得ない道である。

     

    内需循環への依存経済で最大の問題は、設備投資の低下である。輸出依存低下であれば、従来のような大型設備投資の必要性は消える。この削減される設備投資を、個人消費でカバーすることなど、完全な誤りである。習氏は、それがいとも簡単に代替できると見ているようだが、「不可能」の三文字である。それならば、と奥の手を使ってインフラ投資を増やすだろうが、これも禁物である。生産性の低下を招くのだ。要するに、中国経済は袋のネズミになってきた。

     

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    中国は、半導体産業の脆弱性が鮮明になると共に、韓国を引き寄せる動きを活発化させてきた。だが、肝心の韓国経済界が、米国の反ファーウェイ戦線に参加する姿勢を明らかにしており、中国の懇願は振り切られた。

     

    11月18日、米韓財界会議で共同宣言文が採択された。その中で、「我々は、5Gネットワーク内のどこにも、信頼できず危険性の高いベンダー(特にIT関連製品の販売企業)が入る場所はないということで意見を共にする」との声明を発表した。これは言外に、疑惑を持たれている中国ファーウェイが、米韓の5Gに入り込む余地はないと宣言したものと受け取られている。

     

    一方、皮肉にも同じ18日、駐韓中国大使のケイ海明氏が、「5Gネットワークにおける協力の拡大」を韓国政府に要請した。米国が主導する「クリーンネットワーク」(中国の情報技術・企業の退出政策)に韓国は参加しないよう遠回しに圧力をかけてきたものとみられる。

     


    『ハンギョレ新聞』(11月19日付)は、「韓国財界『反ファーウェイ』戦線に参加を示唆?」と題する記事を掲載した。

     

    米国や英国、オーストラリア、日本などの同盟国が、第5世代(5G)技術覇権争いで「華為(ファーウェイ)制裁」の流れに賛同している中、韓国財界が「我々は、5Gネットワーク内のどこにも、信頼できず危険性の高いベンダー(特にIT関連製品の販売企業)が入る場所はないということで意見を共にする」という声明を発表した。韓米財界会議が採択した共同宣言文に盛り込まれた内容で、韓国財界が集団で「反ファーウェイ戦線」に参加する意向を初めて公式に明らかにしたものとみられる。

     

    (1)「全国経済人連合会(全経連)は18日、米国商工会議所と共同でテレビ会議方式で開催した「第32回韓米財界会議総会」で、共同宣言文を採択したと発表した。6項目からなる共同宣言文によると、「5Gの責任感あるグローバル開発及び展開の促進」という項目が出てくる。両国の財界はこの項目で、「我々は、5Gネットワーク内のどこにも、信頼できず危険性の高いベンダーが入る場所はない(という点で、意見を共にする。また、韓米両国政府が同盟やパートナーと共に信頼構築やセキュリティの改善に力を入れるべきであり、そのためには民間部門と継続的に協力してリスクの把握と低減に努めて、信頼できる5G技術やサービス、製品の持続的な開発を進めなければならないと信じている」と明らかにした)

     

    下線部において、同盟やパートナーと共に信頼構築やセキュリティの改善に力を入れるべきとしている。中国は、米韓の同盟国でもパートナーでもない。この共同宣言の範疇に入っていないのだ。

     


    (2)「宣言文は、「信頼できず危険性の高いベンダー」を明らかにしていないが、中国IT企業のファーウェイを指すものと見られる。これまで米国や英国、オーストラリアなどは国家安全保障を理由に、自国の5G通信ネットワーク構築事業でファーウェイを排除し、ファーウェイを「信頼できず危険性の高いベンダー」と呼んできた。全経連の関係者は「宣言文のこの文言は5G技術の重要性と安全性を強調する原論的意味から含まれたもので、特定企業を指したものではない。今回の財界会議でも特定企業に対する言及は全くなかった」と述べた」

     

    これまでファーウェイを排除してきた国では、ファーウェイを「信頼できず危険性の高いベンダー」と呼んできたのである。今回も同様の文言が入っていることが、決定的な証拠と言える。

     

    『ハンギョレ新聞』(11月19日付)は、「駐韓中国大使、5Gネットワークにおける韓中協力の拡大を要請」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「ケイ大使は18日、中国大使館主催で開かれた「新時代における中国国政運営の評価と未来の韓中関係再跳躍の協力案」の基調演説で「5Gネットワーク、デジタル経済、人工知能などデジタル新インフラ建設分野で(韓国との)協力を拡大することを望んでいる」と述べた。ケイ大使は4月の全国経済人連合会(全経連)の懇談会と、9月の「人民網」とのインタビューでも、5Gや人工知能、ビッグデータなどをめぐる韓中協力を強化しようと提案した」

     

    中国は、韓国説得で必死である。米中対立の長期化で半導体技術の習得に大きな障害が生じているからだ。中国半導体トップの紫光集団がデフォルト騒ぎを引き起しており、足元に火がついた格好である。中国は、これまで「THAAD(超高高度ミサイル網)」を巡り、韓国へ経済制裁を加えてきた。それにも関わらず、韓国IT企業を中国へつなぎ止めたいという虫のいい考えである。恫喝外交の破綻だ。

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    米国は、覇権国家としての面目を保った。新型コロナワクチン開発競争で、ファイザーとモデルナの両社が、揃って有効性が90%を超えるというハシカワクチン並みの高いレベルのコロナワクチンを開発したからだ。東京都医師会長は、TVで「信じられない」と発言していた。ワクチンで90%を超える有効性とはそれほど凄い成果なのだろう。

     

    ファイザーについては、すでに本欄で取り上げた。新興医薬品企業モデルナの開発成果を紹介したい。モデルナは、これまで新薬開発の成功例のない企業である。それにも関わらず、米国政府が研究補助金を出したのは、民間ボランティアによる研究レベルの高さを推奨した結果である。

     

    このボランティア団体は、自弁で集まった有識者である。いずれも製薬会社の株式を持たないという誓約によって、研究内容を精査した。自分の利益のために左右されない前提で取り組んだのである。モデルナは、その厳しい精査に耐えて、米国政府に推奨されたのである。

     


    『フィナンシャル・タイムズ』(11月17日付)は、「モデルナ、有望ワクチン開発で評価高まる」と題する記事を掲載した。

     

    米バイオ製薬のモデルナ株にはギャンブルのようなものという評判がつきまとってきた。同社がそんな見方を払拭する時が近づいたのかもしれない。モデルナは16日、新型コロナウイルスワクチンの最終治験の初期データで94.%の有効性が得られたと発表した。大規模最終治験で良好な結果を得た米企業は、独ビオンテックと提携した医薬品大手のファイザーに次いで2社目だ。

     

    (1)「モデルナは業界で最も評価が分かれる企業のひとつだった。今回の治験の初期データは、この製薬ベンチャーの真価を証明する材料にもなる。2010年の創業以来、一度も製品を市場に送り出したことがないにもかかわらず、同社は、18年12月の新規株式公開(IPO)で企業価値75億ドルとされ、6億0430万ドルを調達した。19年を通して、同社の株価はほぼ初値を下回り、弱気筋の空売り残高が積み上がった。だが、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で同社の「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術と呼ぶ新手法を使ったワクチンに注目が集まった。mRNAが人の細胞に取り込まれると免疫反応が起きる。同社の株は16日に8%上昇した。リフィニティブによると、年初来の上昇率は390%にのぼり、時価総額は380億ドルを超えている」

     

    下線をつけたようにモデルナのワクチン製法は世界初の試みである。ファイザーも同じである。短期間に大量生産できるというメリットが指摘されている。米国における科学レベルの高さが生んだ当然の帰結であろう。

     

    (2)「それももっともだ。治験結果が最終的に確認されれば、同社のワクチンは、はしかなどの小児疾患向けワクチンと同じくらい効き目があることになる。この新型コロナワクチンは、個人に合わせたがんワクチンなど、モデルナの他の創薬のコンセプトの正しさを証明するものにもなり得る。新型コロナワクチンの治験の詳細は、このセクターに対する楽観的な見方を促す内容だ。ワクチンは高齢者などさまざまな集団に有効とみられ、2~8度で30日間冷蔵保管することができる。一方、ビオンテックとファイザーのワクチンは通常マイナス75度で保管する必要があり、冷蔵では5日間しかもたない」

     

    モデルナの実験的創薬技術とは、患者自身の細胞構造を自前の医薬品製造工場に変える企業を立ち上げたいという考えに基づく。このアイデアは、ベイルート生まれの生化学研究者ヌーバー・アフェヤン氏である。そのための道具は、メッセンジャーRNAまたはmRNAとして知られる小さな遺伝情報媒体だ。このmRNAは通常、ヒトのDNAから指示された情報を運び、各細胞に何をすべきかを伝える。モデルナは、病気や病原体を攻撃する指示を与えられたmRNAで合成し、それを患者の体内に導入することを目指してきた

     

    このアイデアによってコロナワクチンが開発された。今回のコロナワクチン開発が成功したので、他の難病などへの応用が可能とされている。ガンのほかにリュウマチなども対象になろう。まさに、ノーベル賞ものだ。2~8度で30日間冷蔵保管することができるという。保管方法が、ファイザーに比べて有利である。

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