勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    米バイデン大統領は、北京冬季五輪への政府関係者の出席を拒否する「外交ボイコット」を検討中と答えた。米国が、外交ボイコットに踏み切る場合、同盟国との打合せがあるだろう。日本はどうするのか。

     

    中国は、こういう事態を見越して日本の林外相へ訪中を招待した。中国は,今夏の東京五輪へ閣僚クラスを送っている。日本はこれから「外交ボイコット」問題を検討するが、米欧と同調すべきことはいうまでもない。

     

    『日本経済新聞』(11月21日付)は、「北京五輪、岸田政権に懸念 米が外交ボイコット検討 人権巡る制裁、法律なく」と題する記事を掲載した。

     

    岸田政権の懸念材料として2022年2月に迫る北京冬季五輪が浮上した。バイデン米大統領が中国の人権問題を理由に外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」の検討を明言した。日本の同調を求める声が内外で強まる可能性がある。短期間で決断を迫られる事態も起こり得る。

     


    (1)「外交的ボイコットは国として開催への祝意を示さないメッセージになる。米国にはウイグルやチベットなどの人権問題、香港での民主化勢力への弾圧で中国側に強い姿勢を示す狙いがある。岸田文雄首相は19日、首相官邸で記者団に「日本は日本の立場で物事を考えていきたい」と語った。現時点で同盟国や友好国に追随を求める米政府の発表はないが、年末にかけて米欧との協議で俎上(そじょう)にのることもあり得る。米国務省の報道官は4月、北京五輪に米選手団が参加するかを問われ「同盟国と議論したい」と答えた。5月にはペロシ下院議長が各国に外交的ボイコットへの賛同を呼びかけた。日本が北京五輪に派遣しなければ中国の反発が見込まれる。今夏の東京五輪は中国から閣僚級が来日した」

     

    下線部は、日本は米国と同調しない場合もあり得ることを示唆している。欧州では、中国の人権弾圧に嫌悪感を見せている。EU(欧州連合)が、対中政策で冷却化している現在、日本が、米欧の隊列を離れたパフォーマンスは、悔いを残すことになろう。はっきりと、現状が「冷戦下」という認識を持つべきなのだ。これと、日中外交は別に考えるべきである。

     


    (2)「過去の五輪の歴史をみるとボイコットはいくつかの段階に分けられる。最も厳しいのは選手団派遣の中止で、大規模な例に1980年のモスクワ五輪が挙げられる。米国が旧ソ連のアフガニスタン侵攻を非難し、同盟国に選手を派遣しないよう要請した。西ドイツや韓国など西側諸国を中心に50ほどの国が参加しなかった。日本も国内にボイコット反対論があったが、同盟国で安全保障を頼る米国に足並みをそろえた。84年の米ロサンゼルス五輪はソ連や東欧諸国、ベトナムなどが大会に加わらなかった」

     

    現状では、選手不参加問題は議論されていない。外交ボイコットである。中国は、東京五輪へ閣僚クラスを送ったが、最高指導部の人間でなかった。それほど、日本を重視した行動でなく、「お付き合い」程度であったのだ。日本が,このことを気にかける必要はない。

     


    (3)「選手団が開会式の入場行進や国旗・国歌の使用を拒否する方法もある。モスクワ五輪で英国、フランスなどは選手を派遣しつつ、開会式の行進に選手が参加せず、大会で自国の国旗・国歌を使わなかった。英仏の組織委員会は遺憾の意を示しつつ、参加を望む選手との折り合いをつけた。五輪では外交の一環で開会式や閉会式に政府代表を派遣する例が多い。それを取りやめる手法が今回米国の検討する外交的ボイコットだ。2008年の北京五輪の際も米議会や人権団体から当時のブッシュ大統領(第43代)に開会式不参加を求める声が上がった。中国政府のチベット自治区のデモ弾圧に批判が集中した。最終的には対中関係を考慮して出席した」

     

    日本は、欧米と協調して行動することが必要である。安全保障で欧米とスクラムを組む日本が、五輪だけは「別行動」はできないだろう。

     


    (4)「開催地変更を求める場合もある。米議会の超党派議員は今夏、22年の北京五輪を延期し、開催地も変えるよう国際オリンピック委員会(IOC)に要請した。米国内で北京五輪と1936年のベルリン五輪を関連付ける声がある。ナチスドイツの人種政策などが問題になっている状況で、米国は不参加を検討しながら踏み切らなかった。ポンペオ前国務長官は3月に「1930年代の出来事はいま、中国で起きている。ベルリン五輪によって開催国の政治体制に大きな信認を与えてしまった」と指摘した。

     

    下線部分の認識は正しい。ヒトラーがベルリン五輪をいかに利用したか、いま、史実がそれを明らかにしている。五輪はスポーツの祭典というが、政治ショーであることも忘れてはならない。

     

    (5)「中国の人権問題に対応するため、米欧は対中制裁を始めている。新疆ウイグル自治区の公安トップらの資産凍結を実施した。米欧主要国には人権侵害を理由として外国当局者に制裁を科す「マグニツキー法」と呼ぶ法律がある。欧州各国は制裁で米国と足並みをそろえる。日本には同様の法律がない。国際人権問題担当の中谷元・首相補佐官は15日、テレビ番組で法制定は「簡単にはいかない」と語った。人権問題に対応する手段が限られる日本は五輪への対応に焦点が集まることも考えられる」

     

    日本には海外の人権に関する法律がないから、中国の人権問題について見て見ぬ振りをする、というのは不思議な感覚である。法律問題より、倫理・道徳に関わる話である。当時の世界は、ベルリン五輪を盛大に祝ったが,その裏でヒトラーは何を企んでいたか。史実を検証すべきであろう。台湾侵攻が起こったらどうするのか。

     

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    韓国のコロナ感染状況は、まさに「猖獗(しょうけつ)を極める」という表現がピッタリする状況に追い込まれている。「K防疫モデル」という言葉が懐かしいほど、現在は混乱状況の最中にある。「ウィズコロナ」は、一時的にも中断しなければ、医療体制が持たない事態だ。

     

    これ以上、重症者を増やさないためには「ウィズコロナ」の中断しかないが、これは政府自らが失敗を認める等しいこと。来年の大統領選挙を控え、与党候補が最大野党候補にリードされているので、「防疫失敗」を認めがたいのであろう。

     


    『中央日報』(11月20日付)は、「韓国、『ウィズコロナ』維持に総力 重症病床を統合運営と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルスの感染拡大が深刻だ。新規感染者数、重症患者数が急増していて、病床は逼迫している。ウィズコロナ(日常回復)を維持するために知恵を集める時だ。

     

    (1)「一日の新規感染者数は数日間3000人台となっている。19日0時基準で一日の新規感染者は3034人、重症患者は499人だ。新規感染者は首都圏が2428人で、全国の80%を占める。このため首都圏の病床が逼迫している。18日基準で首都圏の重症患者病床の稼働率は78.2%、ソウルは80.9%にのぼる。政府は「ウィズコロナ」をしばらく中断する非常計画(サーキットブレーカー)基準の条件の一つに「集中治療室病床稼働率75%以上」を提示したが、すでにこの基準値を超えている」

     

    重症患者病床は,すでに限界値である75%を超えている。文大統領は、「ウィズコロナ」の中断を決定できずにいる。世論の総批判が怖くて決断できないのだ。

     


    (2)「病床待機者数も急増した。19日0時基準で病床待機者数は520人。一日間に97人も増えた。今月1日の「ウィズコロナ」転換当時、首都圏の病床待機者は「0人」だったが、12日に100人台(116人)となり、その後の1週間に5倍近く増えた。今月だけで入院待機中に死亡した感染者は6人にのぼる。ウィズコロナ以前の昨年2月20日から今年10月31日まで入院待機中の死亡者は計26人、月平均1.3人だったが、11月がまだ途中であることを考慮すると深刻な状況だ。梨大木洞病院のチョン・ウンミ呼吸器内科教授は「紅葉シーズンとウィズコロナ施行が重なって人々の集まりが増えたほか、防疫基準をあまりにも急激に緩和した」とし「ウィズコロナは継続すべきだが、移動量を減らすことを考える必要がある」と主張した」

     

    想像もできないスピードで重症患者が増えている。主として高齢者とされるが、早期のワクチン接種者で、効果の切れてきたところを直撃されているという。

     


    (3)「このように首都圏の重症病床確保が難しくなる中、政府は19日、首都圏医療対応強化対策を発表した。非首都圏の病床の稼働率が70%を超えないラインで首都圏の患者が使用できるようにするということだ。重症患者の状態が良くなれば一般病室に移せるよう準重症(452床)、中等症(692床)病床も確保する。拠点専門病院2カ所と感染病専門病院2カ所も追加で運営する。しかし人工呼吸器などを装着した重症患者を遠くまで安全に移送するのは容易でないうえ、病床の確保に相当な時間がかかり、効果はすぐに表れないという医療現場の声が多い」

     

    重症患者で転院可能者は、ワンランク下の治療段階へ移すという「移送作戦」が、上手くいくだろうか。その間に、病状の急変を招けば「医療ミス」として告発されかねない事態となろう。政府は選挙目当てでなくこの際、「ウィズコロナ」中断を決めるべきだろう。そもそも,政府の決めた危機ラインを政府の都合で破っているのだ。

     

    (4)「金富謙(キム・ブギョム)首相はこの日に開かれた首都圏医療対応病院長との懇談会で「この危機を克服できなければ、苦労して始めたウィズコロナがしばらくストップするのではという心配がある」と述べた。当局は感染者数がさらに増えると予想している。中央災難安全対策本部のイ・ギイル第1統制官は19日の定例記者会見で「ウィズコロナ以降、移動量が増えて感染者の規模が増えたようだ。患者が減少する要因はなく、今後も患者は増えると予想する」とし「療養型病院・施設や精神科病院で今月26日までに追加接種をしても2週が過ぎてこそ抗体ができるので今後3週間が最も厳しくなると見ている」と述べた。順天郷大のキム・タク感染内科教授は「ブースターショットは『追加』でなく『3回目の接種』という認識を持つ必要がある」とし「病床と医療従事者の拡充など医療力量が再整備されるまで社会的距離の一部を修正補完して施行することも考慮すべき」と話した。

    首相発言を見れば、もう「ウィズコロナ」は無理という判断である。大統領府が、強引に継続させているのであろう。当局は、感染者数がさらに増えると予想しているのだ。この状況で、「ウィズコロナ」を継続するのは、政治的思惑以外に考えられない。

     

     

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    『ロイター』(11月20日付)によると。米国のキャンベル・インド太平洋調整官は19日、中国の習近平国家主席が先のバイデン大統領とのオンライン会談で、米国と同盟国の連携強化は冷戦思想で、中国の「胸焼け」の原因になっているという見方を明確にしたと明らかにした。両首脳の次回会談が、開催される時期については明確にしなかったという。

     

    上記の「中国が胸焼け」の原因について、米国と同盟国が結束して動いていることを「冷戦思想」の展開と見たことだ。これまでの中国は、「衰退する米国・発展する中国」という根拠のない仮定に酔ってきた。それが、オンラインで顔を見ながらの会談で、米国の並々ならぬ決意を感じとったのだろう。そこで、米国は「怯む」中国を一挙に追詰める戦略に出ていると見られる。「弱い米国でない」という証拠を見せ始めたのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(11月20日付)は、「米英豪の安保枠組み拡大めざす『アジア・欧州で』米高官」と題する記事を掲載した。

     

    米国家安全保障会議(NSC)でアジア戦略を担うキャンベル・インド太平洋調整官は19日、米英豪で立ち上げた安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の参加国拡大をめざす考えを示した。「すぐにではなくてもアジアや欧州の他の国が参加するのを期待している」と述べた。個別の国は挙げなかった。米平和研究所のオンラインイベントで語ったもの。

     

    (1)「具体的な協力分野として、サイバーや軍事転用できる人工知能(AI)などに触れ「各国には強みとするイノベーションの分野がある。お互いに何を得られるか見極めたい」と話した。米国、英国、オーストラリアは9月にオーカスを創設した。米英が支援して豪州に原子力潜水艦を配備する計画で、インド太平洋での中国軍を抑止する狙いがある。キャンベル氏は15日にオンライン形式で実施した米中首脳協議で中国の習近平国家主席がバイデン米大統領に「米国が手がける多くのことが中国をいらだたせている」と明言したと明らかにした。オーカスや日米豪印による枠組み「Quad(クアッド)」などが念頭にあるとみられる」


    中国にとっては目と鼻の先に、米国によって「AUKUS」(軍事同盟)や「Quad」(経済安全保障)という対中包囲網が形成されて壁を感じているはずだ。気持ちが良いはずがない。「AUKUS」について、キャンベル氏はさらに参加国を募る意思を示している。日本もその候補に挙がっているだろうが,憲法改正がなければ実現しまい。

     


    (2)「クアッドを巡って2022年は、日本が主催国になることで合意したと説明した。今年9月下旬に米ワシントンでクアッドの首脳会議を開いており、22年は首脳を含む関連会合を日本で開く可能性がある。
    クアッドは経済安全保障を軸にした協力の枠組みになる。キャンベル氏は「4カ国がより深く協力したい。サイバーや宇宙など新しい領域での取り組みも増えてくるだろう」と強調した。「東南アジアでのインフラ整備は非常に重要だ」との認識も示した

     

    クアッドは、経済安全保障である。半導体・蓄電池・レアアース・医薬品のサプライチェーンを形成する。これが、米中デカップリングの核になるのだろう。

    (3)「15日の米中首脳協議でバイデン氏が、核戦力やサイバー分野をめぐる高官協議を提案したことに関して、「習氏は議論に参加すると示唆しており、誰がふさわしいかを特定する必要がある」と指摘した。米中の政府機関以外からも参加する可能性に言及した。キャンベル氏は「中国が核、サイバー、宇宙などの分野に進出し(国際社会を)不安定化させるような行為をしている」と主張した。米中による偶発的な軍事衝突を回避する重要性を強調したうえで「双方の誤解を減らすために、具体的に何ができるのかを確認しなければならない」と唱えた」

     

    米中首脳会談で、バイデン氏が核戦力やサイバー分野をめぐる高官協議を提案したところ、習氏が応じたという。中国も、際限のない軍拡競争の弊害を認識しているようだ。この面では、一つ明るい面が見られる。

     


    『ロイター』(11月20日付)は、「
    米国、中国に対し南シナ海でのフィリピン船への妨害行為で警告」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「米国は19日、南シナ海でフィリピンの補給船に向けて放水銃を使った中国の行動を「危険で、挑発的で、正当化されない」とし、フィリピン船への武力攻撃を受けて米国の相互防衛義務を発動させる可能性があると警告した」

     

    下線部は、重要である。米国が、中国のフィリピン船への危険な行動に警告を発したもので、米比相互防衛条約まで持出している当たり、気迫のこもった抗議である。中国も驚いたであろう。

     

    (5)「国務省のプライス報道官は、「地域の平和と安定を直接脅かすエスカレーション」の中で、米国は条約上の同盟国フィリピンを支持すると表明。中国政府は「フィリピンの排他的経済水域でのフィリピンの合法的な活動を妨害してはならない」とコメントした。プライス氏は「米国はフィリピンの同盟国とともにルールに基づく国際海洋秩序を守る立場にあり、南シナ海でのフィリピン公船への武力攻撃は米国の相互防衛義務を発動させる可能性があることを再確認する」と述べた」

     

    米国は、このくらい強い態度に出ないと、中国から「衰退する米国」と軽んじられる。中国の違法行為には断固として対応する、そういう姿勢を見せなければ、同盟国は「頼もしい米国」と思わないのだ。

     

    (6)「フィリピンは18日、中国海警局(日本の海上保安庁に相当)の船3隻が南シナ海のフィリピン領環礁に向かう補給船を妨害し、放水銃を使用したとして「最も強い表現で」非難した。今回の事件は、米国のジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席が超大国間の緊張関係の激化が紛争に発展しないようにすることを目的に今週、3時間半にわたってオンライン形式で会談した数日後に起きた」

     

    米中オンライン会談で、米国は同盟国の利益を守ると発言したのであろう。その第一弾が、今回のフィリピンへの警告だ。

     

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    中国政治家の前時代性が、女子テニス選手の告発で浮き彫りになった。中国副首相(当時)が、不適切な関係を求めたとする問題からだ。この女子選手は告発後に、行方不明になっている。本人と称する人物から、「元気でいる」とのメールが報じられたものの、信憑性を疑われている。

     

    この問題について、IOC(国際オリンピック委員会)委員は、事態が糾明されなければ、明春開催予定の北京冬季五輪開催を中止することもあり得ると発言するなど、疑念がひろがっている。

     

    『ロイター』(11月20日付)は、「IOC委員、北京五輪への影響に言及 女子テニス選手消息不明で」と題する記事を掲載した。

     

    国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は、女子テニスでダブルス元世界ランク1位の彭帥選手(中国)が消息不明になっている問題への対処次第で、IOCが2022年北京冬季五輪開催に関して強硬な態度をとる可能性があると述べた。

     


    (1)「彭帥選手は中国交流サイトの微博(ウェイボ)で2日、中国共産党の幹部だった張高麗元副首相から性行為を強要され、合意の上で不倫関係を持ったと暴露。その投稿は約30分後には削除されたが、投稿のスクリーンショットがインターネット上で拡散し、大きな話題となった。この投稿以降、彭帥選手は消息不明となっており、その身を案じる声が世界中で高まっている。

     

    告発内容が、極めて衝撃的であった。それはもちろんだが、告発した本人の居所が分からないという、さらにショッキングな出来事である。中国社会が、泥沼状況であることの一端を見せつけられた感じだ。

     

    (2)「大坂なおみ選手やセリーナ・ウィリアムズ選手(米国)なども安否を心配するコメントを出し、女子テニスのツアーを統括するWTAのスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)は、対処に問題があった場合は中国でのトーナメント開催から撤退する用意があるとの警告も出している

     

    WTAは、女子テニスに関する中国トーナメントから撤退することもあると警告している。

     

    (3)「パウンド委員はロイターに対し、「もし、早急に良識ある形で解決されなければ、事態の収拾がつかなくなるかもしれない。(IOCが強硬な態度をとる)可能性もある。五輪大会を中止するとまではいかないかもしれないが、どうなるかは誰にも分からない」と述べ、北京冬季五輪中止の可能性も完全には排除しなかった」

     

    IOC委員は、北京冬季五輪中止の可能性もあり得ると警告している。それほど,中国の引き起した事態は重大なのだ。

     

    (4)「中国への対応に関しては、「自分が中国側だったら、『(五輪中止は)残念だが、われわれよりも、世界中のわれわれ以外の人々の方がよりがっかりすることだろう』と言える」とし、圧力をかけるよりもスポーツ界や政府関係者との交渉の駆け引きの方が有効であるとの見解を示した」

     

    IOCが、前面に出て解決策を求めるよりも、中国のスポーツ界や政界が自浄作用を働かせろと要請している。もし、そういう動きもなければ、「最悪事態」へ突入ということなのだろう。

     


    『ロイター』(11月20日付)は、「
    消息不明の中国テニス選手、所在確認求める声 米仏など懸念表明」と題する記事を掲載した。

     

    中国共産党の幹部だった張高麗元副首相との不倫関係を告白し、行方が分からなくなった女子テニスの彭帥選手(中国)を巡り、各界から所在確認を求める声が相次いでいる。

     

    (5)「米ホワイトハウスは19日、中国政府に対し、同選手の所在確認と安全確保について「独立した検証可能な証拠」を提示するよう要請した。サキ報道官は「彭帥選手が、中国共産党幹部による性的暴行を告発した後、行方不明になっているとの報道に深い懸念を抱いている」と述べた。フランスのマラシネアヌ・スポーツ相も「わが国は人権の尊重に深くコミットしている。彭帥選手のケースのような性的暴行の告発には、透明性が絶対に必要だ」と表明した」

     

    米ホワイトハウスまでが、発言する事態になっている。米国は、北京冬季五輪へ「外交ボイコット」を検討中だけに、中国政府へ厳しい対応を求めるであろう。

     

    (6)「このほか、大坂なおみ選手やセリーナ・ウィリアムズ選手(米国)らトップ選手を始め、関係団体などからも彭帥選手の安全を確認するよう求めるコメントが出されている。

    セリーナ・ウィリアムズ選手は「彭帥選手のニュースを受けて、とてもショックを受けている。一刻も早く彼女が無事に発見されることを願っている。この件は調査されるべきで、われわれは黙っていてはならない」と述べた」

     

    女子テニス選手から、心配の声が上がっている。公的機関が、早急に動き出すべきであろう。

     

    テイカカズラ
       

    韓国では、ワクチン接種率が日本より高いにもかかわらず、感染者がはるかに多い点に首をひねってきた。その原因は接種したワクチンが当初、アストラゼネカであったことで、抗体がファイザーやモデルナよりも早く低下することにあったようである。

     

    韓国は、ワクチン購入手配が遅れたこともあり英国のアストラゼネカを購入した。これにより高齢者優先で接種したが、早く抗体が低下している。高齢者患者が急増している理由はこれだ。こうして、3度目接種を4ヶ月目から行うことになった。日本では、原則8ヶ月後を守っている。

     


    『中央日報』(11月20日付)は、「韓国、高齢層のブースターショットを4カ月後に前倒し」と題する記事を掲載した。

     

    韓国保健当局が60歳以上の高齢層に対してブースターショット(追加接種)間隔を接種完了後6カ月から4カ月に前倒しして施行に入った。

    疾病管理庁は17日、60歳以上の高齢層、高齢者・障害者施設など感染脆弱施設入所・従事者、療養型病院・施設入院・入所従事者、基礎疾患のある人(18-59歳)、病院級医療機関従事者、医院など医療機関従事者が基本接種完了から4カ月(120日)以降に追加接種をするよう勧告した。5カ月ほど繰り上げるだろうという予想を上回る破格的な対策だ。

    (1)「米国のFDA(米食品医薬品局)とCDC(米疾病対策センター)は、「65歳以上、接種完了後6カ月」というブースターショット基準を維持してきた。しかしFDAは19日、ファイザー・モデルナ製ワクチンのブースターショット緊急使用対象を18歳以上の成人に拡大した。6カ月間隔は維持した。欧州でも「4カ月後の追加接種」を選択した国はほとんどない。にもかかわらず韓国の疾病管理庁は4カ月後の追加接種という破格的な決定を出した。基本接種完了から4カ月後に追加接種をする国はベルギーとハンガリーだけで、韓国が世界3番目となる。マレーシアは19日、中国のシノバック製ワクチン接種から3-6カ月後に追加接種をすると明らかにした」



    韓国が、3回目接種を「4ヶ月後」に設定したのは、海外でもほとんど例がないという。米英ともに、「6ヶ月後」である。韓国の感染者がいかに増えているかを示している。

     

    (2)「このように見ると、「4カ月後」決定の科学的な根拠は十分でない。「あまりにも早いのでは」「安全性に問題はないのか」という声も予想される。疾病管理庁と予防接種専門委員会は、「米国やドイツで免疫低下者など高危険群の追加接種に安全性の心配が見られず、今回の措置は安全性の心配より突破感染を減らす予防効果の利益が大きい」と評価した。リスクと利益を天秤にかけて利益が大きいと評価したのだ」

     

    3回目接種を4ヶ月後に行う、リスクと利益を天秤にかけると、利益が大きいというのが早期接種の理由である。

     

    (3)「今月1日に「ウィズコロナ」に入ってから3週間が経過し、日常回復のプラスの効果があちこちで表れている。一方で高齢層のワクチン効果も落ちている。特に療養型病院の高齢者がそうだ。基礎疾患のある患者が多く、ワクチンを接種しても免疫力が十分に形成されないという。さらに接種から4カ月が経過し、虚弱な免疫力までが「武装解除」レベルになっている。デルタ株が突破感染させている」

     

    下線部が、深刻な事態だ。高齢者で療養している人の免疫力が低下しているので、3回目接種を早める理由である。

     


    (4)「60-74歳の高危険群はアストラゼネカ製ワクチンを接種した。ワクチン導入問題で選択の余地がなかった。疾病管理庁の分析によると、アストラゼネカ製ワクチンはデルタ株への対抗力が2回目の接種から3カ月経過すれば半分以下に落ちる(抗体価の数値207→98)。ファイザー製は5カ月後に半分以下に落ちる(338→168)。アストラゼネカ製ワクチン接種者に突破感染が多い理由だ」

     

    このパラグラフが重要である。アストラゼネカ製ワクチンは、デルタ株への対抗力が3ヶ月後に98へ低下する。ファイザー製は、5カ月後に168である。この抗体の低下ぶりを見ると、アストラゼネカ製を接種した人は、4ヶ月後に3回目接種を急がなければならない。

     


    (5)「19日の感染者のうち60歳以上は37%。最近は一日に30人近く死亡するが、ほとんどが60歳以上で、これまで死者数全体の91.4%にのぼる。重症患者全体の82%を占める。60歳以上のワクチン効果低下、突破感染、重症・死亡率などを考慮すると、「4カ月後の追加接種」決定の背景を理解できる。科学的な根拠はやや不十分だが、現実的な根拠があると見ることができる」

     

    下線部分の現実を見れば、アストラゼネカ・ワクチン接種の高齢者が3回目接種を急がなければならないようである。

     

    日本の現実はどうか。


    厚生労働省は11月18日、ワクチンの追加接種(3回目接種)について公表した。3回目の接種は12月1日から来年9月30日までを予定しており、高齢者、基礎疾患を有する人等を特に接種を勧めている。

     

    新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)の対象は2回目接種を完了した日から、原則8か月以上経過し、18歳以上の人。日本国内での初回接種(1回目・2回目接種)または初回接種に相当する接種が完了している人となっている。初回接種に相当するのは、日本で薬事承認されている、フィザー社ワクチン、武田/モデルナ社ワクチン、アストラゼネカ社ワクチンのいずれかを接種している場合に限る。

     

    特に接種を勧めるのは、高齢者、基礎疾患を有する等の「重症化リスクが高い人」、重症化リスクが高い人の関係者・介助者(介護従事者等)等の「重症化リスクが高い人との接触が多い人」、医療従事者等の「職業上の理由等によりウイルス曝露(ばくろ)リスクが高い人」となっている。

     

    接種ワクチンは、1回目・2回目に接種したワクチンの種類にかかわらず、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを使用し、ファイザー社のワクチンは18歳以上が対象となっている。武田/モデルナ社のワクチンについては、追加接種(3回目接種)に向けての薬事承認審査中という。

     

    これから,長い冬を迎える。コロナ感染を絶対に防ぎたい。

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