勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国は、世界的な半導体不足で価格高騰の恩恵を受けて輸出が好調である。7月の輸出額が前年同期より29.6%も増えた。貿易統計を集計し始めた1956年以降の65年で月間基準では最高を記録した。3月からは、5カ月連続で輸出額が500億ドルを突破したほど。

    この韓国で異変が起こったのだ。輸出急増の裏で「ウォン安」に見舞われたもの。理由は簡単である。今後の輸出変調を先取りした動きである。韓国は、日本経済を抜いたと豪語するが、海外から見た韓国経済への評価はこの程度。お気の毒にも、底が浅く「漂流するコリア経済」という評価に変わりないのだ。

     


    『朝鮮日報』(8月14日付)は、「『3大悪材料』に見舞われた韓国、10カ月ぶりウォン安水準」と題する記事を掲載した。

     

    米FRBの早期テーパリング示唆・デルタ変異株流行拡大・半導体シェア低下懸念が、韓国を襲っている。外国人投資家たちの韓国株売却「セル・コリア」により、株式市場だけでなく外国為替市場の不安も膨らんでいる。外国人投資家たちが韓国株を売って得た金をドルに変えていることから、13日のウォン=ドル相場はこの10カ月間で最もウォン安の1ドル=1169ウォンを記録した。

     

    (1)「昨年末(1086.3ウォン)に比べて7.6%のウォン安だ。今週(9~13日)だけで2.4%(26.9ウォン)のウォン安になった。専門家は「米国が早期にテーパリング(量的金融緩和政策の段階的縮小)を行う可能性があるため、世界的に見てもドル高傾向にあるが、最近のウォン安は主要国の通貨に比べても急だ」と語った」

     

    14日の韓国株式市場で、総合株価指数(KOSPI)は7日続落した。終値は前日比37.09ポイント(1.16%)安の3171.29。終値ベースでは5月28日(3188.73)以来2カ月半ぶりに3200を割り込み、5月27日(3165.51)以来の安値となった。ウォン=ドル相場の終値は7.8ウォン安の1169.0。こうした「セル・コリア」の背景は、次の3点とされる。

     

    1)米FRBの早期金融緩和基調の打ち止め。この影響で、韓国の利上げが加速化される。

    2)デルタ変異株の流行拡大。韓国のワクチン接種は、OECDで最も遅れている。

    3)半導体シェア低下懸念。米国政府のテコ入れで、インテルの市場奪回戦術開始と半導体受託企業の買収戦略の余波を懸念。

     


    (1)「
    外国人投資家たちの離脱を加速化させる3大悪材料に挙げられているのは、「米国の早期テーパリングの可能性」「明るいとは言えない半導体展望」「世界の下位圏にある韓国の新型コロナワクチン接種率」だ。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォラー理事は8月2日、「早ければ10月から債券買い入れを減らしていく可能性がある。9月には、(テーパリング)計画の発表を準備しなければならないだろう」と述べ、来年ではなく今年の秋にテーパリングが開始される可能性を示唆した」

     

    韓国経済の弱点は、輸出依存度の高いことである。世界景気の変調が、最初に韓国輸出統計に現れる点で、「炭鉱のカナリヤ」とも呼ばれる存在である。炭鉱で二酸化炭素が発生すれば、最初にカナリヤに現れるという意味だ。韓国輸出は、7月まで絶好調であったが、それは過去のことである。先行きについては、全く違う尺度で韓国を計っているのである。気の毒だが、韓国の評価はこの程度なのだ。

     


    (2)「韓国の主力産業である半導体の展望が明るくないことも問題だ。今月12日と13日の二日間、外国人投資家たちは韓国時価総額1位のサムスン電子株を4兆ウォン(約3770億円)、2位のSKハイニックス株を1兆ウォン(約942億円)売り越した。ジョー・バイデン米大統領が500億ドル(約5兆4800億円)規模の半導体支援策を議会に要求したというニュースで、韓国・台湾の半導体市場シェアが低下するだろうとの懸念が高まった。サムスン電子の半導体業界におけるライバル企業・TSMCの比重が高い台湾加権指数も13日に1.4%下がった」

     

    半導体も、米国の巻き返しが始まる。半導体の「総本家」は米国だ。そのことを忘れて、「半導体の韓国」などと有頂天になっていると、足元をさらわれるのである。日本も台湾企業と組んで「再興」を狙っている。サプライチェーン再編成という流れの中で、韓国は翻弄される運命だ。

     


    (3)「
    デルタ変異株の拡散による景気回復遅延の懸念も、外国人投資家たちのセル・コリアをあおる要因だ。韓国の新型コロナワクチン接種完了率は15%台で、経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最も低い。ポール・チェCLSA証券リサーチセンター長は「ワクチン接種が遅れており、景気回復が遅いことが影響している」、「当分の間、外国人投資家たちの売りムードが変わる理由がこれといってない」と語った」

     

    韓国の半導体購入契約は、昨秋から始まるなど大きく出遅れた。この影響で、ワクチン接種率が15%台とOECDでは最低ゾーンに沈んでいる。インド型の変種が襲来しているので、韓国は未接種率の大きさとからみ脅威になっている。

     

    (4)「外国人投資家たちの売りは、世界的なドル高現象と相まってウォン安を加速化させている。外国人投資家たちは普通、ウォン安になると為替差損を懸念して韓国株を売る。ところが、外国人投資家たちが売った株があまりにも多いため、ウォン安がいっそう急速に進むという悪循環に陥っているものだ。ブルームバーグ通信によると、最近3カ月間の対ドルレートの下落幅は韓国ウォンが-3.4%と最も大きかった。日本円(-0.8%)はもちろん、最近企業に対する規制強化で経済が打撃を受けている中国元(-1.8%)も、韓国より下落幅が小さかった」

     


    外人投資家にとって韓国株は、「オモチャ」扱いである。バッド・ニュースは敏感に反応して売り抜け、資金を回収している。外人投資家は、中国株で酷い目に遭っているので、それだけ対応(売り抜け)は早くなっている。これが、ウォン安へはね返るもの。1ドル=1200ウォンが、マジノ線である。「ウォン危機」が、取沙汰される価格ゾーンだ。

     

    問題は株安の襲来で、20~30代のにわか投資家が、大きな痛手を受けることである。住宅高騰で資金作りが間に合わず、株式投資に手を出した「初心者投資家」がゴマンといる。こちらは、どうするのか。他人事には思えないのだ。与党の大統領選候補にはマイナス材料である。 

     

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    戦闘機が、雨天に弱いとは聞いたことのない話である。中国の誇る新世代戦闘機J-10-Bが、雨天に弱いとの見方が広がっている。

     

    人民解放軍は、他国の軍隊と近代戦を戦った経験がない。ただ、艦船や戦闘機の数では、米国にひけをとらないどころか、上回る数になっている。このことから、中国軍有利という説が言われたりするが、それは全くの誤りという。戦闘経験のない軍隊は、烏合の衆になりかねないのである。

     

    こういう視点で、中国空軍の最新鋭戦闘機を眺めると、ちがった結論が出てくる。戦闘目的の戦闘機と言うよりも、他国を威嚇するための戦闘機という役割である。J-10-Bは、そいう「展示用」戦闘機に見られるのだ。

     


    中国軍機は、頻りと台湾領空を侵犯している。これ見よがしに振る舞っているが、台湾海峡の制海権は米軍などに握られているという。米国の原子力潜水艦3隻があれば、中国海軍が台湾攻略で派遣する艦船の全てを撃沈可能という。それだけ、米潜水艦の力量が勝るという例である。中国海軍は、戦闘経験がない上に、ティームを組んで戦うことが極端に苦手という。

     

    先の東京五輪でも金メダルを取ったのは、ほとんど個人戦である。ティームを組むスポーツになると、途端に敗北するのだ。「俺が、俺が」で我を張って「自己を殺す」ことができない国民性の結果という指摘があるほど。

     

    戦争は、個人プレーではない。集団の力を結集するものだ。中国人には集団で力を出す戦闘行為が不向きとされるのだ。

     

    『大紀元』(8月14日付)は、中国の戦闘機は『水に弱い』と政府メディア報道、台湾飛来13日間中止は台風の影響か」と題する記事を掲載した。

     

    中国軍機は8月11日、13日ぶりに台湾が指定する「防空識別圏」に進入した。中国官製メディアがこのほど「国産の戦闘機は水に弱く、濡れると錆びるからだ」と報じたため、中国軍がしばらくの間、進入を中止したのは台湾海峡周辺の悪天候が原因ではないかとの憶測が広まっている。

     

    (1)「中国官製メディア中央テレビ(CCTV)の軍事番組「軍武零距離」(毎週土曜夜8時)の最新回で、司会者は国産の新世代戦闘機J-10-Bの機体清掃を現場で体験していた。スポンジを手に取り、機体を拭く司会者に対し、そばにいた軍人は「水をかけて洗浄すれば、水分が機体に入り、内部の部品が錆びてしまうため、メンテナンスの際には、スポンジでドライクリーニングしている」と説明していた」

     

    中国の武器は、ほとんど他国技術の盗用とされている。開発陣が、じっくりと腰を落ち着けて長期にわたり、技術開発するような耐久性を持っていないと言われている。その代わり、スパイ活動にかけては大変な能力を持っている。下線部のように、水分が機体に浸みて内部の部品が錆びるという話は、信じ難いが基礎技術力に欠ける国家だけに「噓」とも思えないのだ。

     

    これと対照的な例は、ジェットエンジンを開発する、英国のロール・スロイス社である。ジェットエンジンを開発するための「コミュニティ」が出来上がっているという。コミュニュティが、ジェットエンジンの開発に取り組んでいるから技術が伝承されるという。中国の場合、給料に目が眩んで簡単に転職してしまうのだ。

     

    (2)「番組放送後、中国のネットユーザーらは「雨が降ればもう飛べないのか?」「雨天の作戦はどうなる?」「画面の中の対話は機密事項だ、公開されるべきではない」「米軍の戦闘機は水で洗い流すだけで、それに比べると中国の方がすごいだろう」などと皮肉る者もいた。台湾のコメンテーターの黃創夏氏は自身のFacebookを更新し、「なるほど、台湾では過去13日間、ずっと雨だったから、それで(中国軍機による)嫌がらせが止まったのか。水に触れると、錆びるからね。中国の軍機は夜間作戦の能力を強化しなければならないだけでなく、雨天時の作戦にも大きなリスクを抱えているのか」と書き込んだ」

     


    (3)「最近、台湾海峡周辺では台風の影響で、連日大雨が続いていた。ようやく天候が回復した11日、中国軍は13日ぶりに台湾領空へ侵入した。台湾は12日、11日に続いて中国軍の軍用機6機が防空識別圏に進入したと発表した」

     

    中国機が、珍しく台湾海峡の台湾領空を侵犯しなかった13日間は、ずっと雨が降っていたという。前記の「水分が機体に浸みて内部の部品が錆びる」という話と符節があうのだ。中国は、宣伝戦とスパイ戦に優れている。これ封じれば、恐れることはなさそうだ。

     

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    8月15日の敗戦記念日を前に、韓国の文学評論家が反日の集大成とも言うべき「日本非難」の寄稿を『ハンギョレ新聞』に掲載した。文学評論家であるから、厳密な論証に基づく日本論でないことは当然としても、これまでの日本批判では聞いたこともない「韓国優秀」「日本劣等」という論旨である。韓国朱子学を100%臭わせ、「化外(けがい)日本」という儒教認識が、全編を貫いている「記念」すべき反日論である。

     

    この寄稿の筆者は、文学評論を生業にしているから、社会科学に通暁しているとは思えない。そこで理性という目で見ると、この寄稿はどこまで耐えられるかをテストすることにした。韓国社会は、「感情8割・理性2割」とされている。この寄稿は「感情10割」で、理性はゼロである。

     


    『ハンギョレ新聞』(8月14日付)は、「日本、『反省なき』その構造」と題する寄稿を掲載した。筆者は、キム・ビョンイク文学評論家である。

     

    2年前の今頃、私は「戦犯国の自己欺瞞」と題して日本の国家的な「無反省」に対する批判をテーマに寄稿した。自ら起こした戦争で結局は米軍に投降し、自分たちを原爆の被害者と自任することで戦犯国という責任から脱し、その歴史的過ちを認めていないという話だった。その後、日本は反省どころか、恥ずべき歴史を打ち消すことに汲々としているということを相次いで確認したからだ。

     

    (1)「韓国の裁判所が、韓国人徴用工に対する補償を日本企業に指示した判決を下すと、日本は企業の韓国への部品輸出を制限する報復措置を取った。国際間の司法判決の適用には複雑な意見が介入するだろうが、司法レベルの問題を経済領域の報復へと転換したあさましさは当然批判されるべきものだった。そして、主要7カ国首脳会議(G7サミット)拡大に米国が韓国も入れようとしたことに対し、日本が露骨に反対したこと。そうすることで彼らはアジア的「事大善隣」体制を破壊し、「大東亜共栄権」の覇権国という華やかな修飾を守ろうとした」

     

    韓国大法院による旧徴用工判決は、日韓基本条約による日本の支払った無償3億ドルが充当されるべきところ、韓国政府が横取りしてインフラ投資に回したのが真相である。その後、この事実がばれて、少額の支払いで済まされた。日本に責任はない。

     


    韓国のG7の参加は、日本だけでなく英独カナダも反対した。G7のルールで7ヶ国同意が新加盟の条件である。G7のほかにG20もあるので、現状のままで良いというのが、米国以外の判断である。

     

    (2)「第2次世界大戦の戦犯国として懲罰されるべきであったのに、原爆の被爆国という大義名分により、むしろ戦争被害国に化けてその責任を回避した。そしてアメリカの庇護の下、50年代の朝鮮戦争、60年代のベトナム戦争で米軍の兵站基地となったことで、戦後復興からさらに進んで世界第2位の富裕国へと大きく成長した。にもかかわらず彼らは、韓国に対して、その発展に対して、もはや抑えつけることができず、いらついているように見えた」

     

    朝鮮戦争もベトナム戦争も、日本が関わった戦争でない。日本の経済発展は、科学技術と産児制限による生産年齢人口比率上昇という「人口ボーナス」の結果である。この日本の経済発展の恩恵を受けたのは韓国である。日本からの技術と資本の支援を受けたのだ。この事実を棚上げして、「韓国優越論」を唱えるのは大きな錯覚である。韓国は、未だに日本企業の技術導入から脱していないのだ。はっきり言えば、日本の「技術属国」である。

     


    (3)「全般的には、まだ韓国は日本に追いつけていないと判断するものの、この60年間で少しずつ日本を追い上げてきたし、ある部分では追い越したと自負してもいい点が見えてきた。1980年の韓国の個人所得は日本の6分の1だったが、今は日本が4万ドル前後、韓国は3万ドルを超えている。日本が誇っていた自動車産業も米国や東南アジアでは韓国が追い上げており、21世紀産業として脚光を浴びている半導体やバッテリーの分野では、むしろ韓国が大幅に上回っている。国連貿易開発会議(UNCTAD)において全会一致で「先進国」と公認された韓国のダイナミックな成長に彼らは驚き、妬み、恐怖を感じざるを得ないだろう」

     

    自動車産業では、東南アジアも米国も日本車が、販売シェアで圧倒的に韓国車を引離している。半導体は、日本技術を窃取したもの。バッテリーも技術は日本である。韓国は、UNCTADで先進国に格上げされた。これは、WTO(世界貿易機関)で韓国が発展途上国扱いされる矛楯を米国に指摘され、やむなく先進国宣言した結果にほかならない。WTOで農産物関税を高くするための便法として、発展途上国を悪用していたことを批判されたものだ。

     

    こういう背景から言って、日本が韓国を羨むことは一つもない。それどころか、韓国は未だに日韓通貨スワップ協定締結を日本へ懇願している。この事実こそ、韓国が超すに超えられない日本の「高い壁」を自覚している証拠であろう。

     

    (4)「このような私の考えを確認させてくれたのが、米国人学者ターガート・マーフィーの『日本-呪縛の構図』という著書だった。私にとって、この本は日本が「韓国からの挑戦」を受けていることを明確に教えてくれる。その根拠として韓国の方が有利な3つの点を挙げている。

    1)韓国の方が国際化したエリートが多い

    2)韓国の政治経済機関の方が権力構造と責任所在が明確なため、迅速かつ果敢な意思決定ができる

    3)南北対峙と北朝鮮の脅威という『実存的脅威』のせいで失敗が許されない」

     

    毎日、韓国政治をウォッチしている立場から言えば、「韓国からの挑戦」を意識することはない。実態は逆である。日本批判を世界中に振れ回すことが、「国際化したエリート」のやることではない。

     

    韓国与党「共に民主党」は、多数決の横暴で野党を完全に無視している。民主主義を破壊しており米国務省から人権批判を受けているほど。歴代大統領が二人も刑務所に収監中の現実を自慢できるはずがない。対北朝鮮政策は、米国から批判されるほど無原則である。

     


    (5)「韓国は過去60年間、複数回の革命またはそれに類する変革と権力交代を通じて国民的、政治経済的、社会文化的跳躍を遂げ、今日に至っているが、振り返ってみると、日本は天皇の「万世一系」を誇り、戦後60年あまりの間、中国とさほど変わらない「一党独裁」的自民党体制の中で「ガラパゴス現象」に閉じ込められてきたのだ。そのうえ、象徴的表象である天皇、門閥に分有された内閣、頑強な官僚、の三者に分かれている権力構造のせいで、彼らは新たな政策選択の決定権とその結果論的責任を押しつけ合う」

     

    日本は、明治維新と戦後改革によって二度の革命的変革を行った。革命とは、過去との断絶である。戦後日本は、その意味で「新生日本」である。韓国から非難される問題はない。

     

    韓国経済は、日本の戦後改革で捨てた財閥制度を取り入れるほど、後進的な存在である。韓国財閥制度こそ、韓国経済の前近代性を象徴している。これに対峙する労組は、世界一といわれる戦闘的存在である。労使対立によるストの経済的損失は先進国トップである。

     


    韓国官僚制は、朝鮮李朝時代の両班(ヤンバン)を受け継ぎ、「家産官僚制」になっている。恣意的行政を行っているのだ。日本の官僚制は、マックス・ヴェーバーの指摘する「近代官僚制」である。責任の押し付けあいは韓国である。不動産投機に便乗する韓国官僚の存在は、どのように説明すべきなのか、聞いてみたいものである。

     

    天皇制の存在は、英国の王室制と同じで民主主義と共存している。古き伝統を守ることは、国家の英知を意味する。伝統と革新は、矛楯することはないのだ。韓国を民主主義国と呼ぶにはおぞましいほど、敵・味方に分かれて人身攻撃に明け暮れている。その自覚がないだろうか。

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    中国の有力不動産開発企業である中国恒大は、これまで黒い噂に包まれてきた。最近では、資材仕入れ先に払う資金がなく、完成したマンション10戸を渡し、それが時価の6割で売却するというSNSが話題になったほど。中国恒大の「運命」が、刻々と迫っている印象である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月13日付)は、「中国恒大の巨額債務、ついにツケを払う時」と題する記事を掲載した。

     

    中国で最も大きな負債を抱えた不動産開発大手のトラブルは、収束にはなお程遠い。中国恒大 集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)の株価は今週に入り11%上昇している。電気自動車(EV)部門や不動産管理部門などの上場子会社の株式を一部売却する交渉を行っているとの発表が好感された。だが、同社の財務状況は依然として厳しい。同社株は昨年7月から80%近く下落した。社債もディストレスト債の水準で取引されている。中には額面の半分にも満たないものもある。

     


    (1)「中国恒大が保有する上場2社の株式は約160億ドル(約1兆7700億円)と評価されており、差し迫った流動性の圧力を和らげる一助となるかもしれない。特に、安定した事業で利益を上げている不動産管理会社は、他のデベロッパーにとって魅力的な存在となり得る。一方、多額の負債を抱え、まだ1台も販売していない不採算のEV部門は、売却するのは難しいかもしれない。中国恒大が保有するEV部門の株式65%は約100億ドル相当で、2月から8割余りも落ち込んでいる。同社は今月既に、インターネット部門の株式7%を中国のインターネットサービス大手、 テンセントホールディングス を含む投資家に売却し、約4億ドルを調達している」

     

    中国恒大は、最後のあがきをしている。新規部門でEV(電気自動車)を立ち上げるなどと手を広げているが、救済役にはほど遠い。万策尽きたところである。


    (2)「財務の穴を埋めるためには、さらに多くの資産を売却する必要がある
    。中国恒大は3月時点で約1040億ドルの有利子負債を抱えていたが、それすら最も緊急性の高い問題ではない。社債の償還期限は全て来年3月以降だ。それより心配なのは、支払いを受けていない納入業者や請負業者である。多くの業者が資金を取り戻すために訴訟を起こし、そのうち何社かは中国恒大の一部資産を凍結させることに成功した。一例として、深圳に上場している利欧集団(レオ・グループ)は先週、期限を過ぎたか期限が間近な未払いの広告料や商業手形を含め、5500万ドルを求めて中国恒大を提訴することを明らかにした。また、建材業者の塁知集団(レッツ・ホールディングス)は中国恒大の商業手形の受け入れを停止すると発表した。同社は既にそうした手形およそ500万ドル相当を有する。こうした小さな金額は積み上がるものだ」

     

    3月末で、約1040億ドルの有利子負債を抱えている。これだけでない、日常の取引業者に支払わない「買掛金」(仕入れ債務)が、ほぼ1000億ドルもある。いずれも、弱小業者である。

     

    (3)「中国恒大は12月時点で1000億ドル近い仕入れ債務があった。他のサプライヤーや請負業者も加わるにつれ、訴訟や資産凍結が負のスパイラルを引き起こす可能性がある。中国恒大にとっては比較的小さな債務でも、サプライヤーにとっては存続問題になりかねない。大口債権者は解決に向けた交渉意欲を持つかもしれないが、これほど多くの中小企業と調整するのは困難だ。中国恒大は昨年、買掛金を増やすことで借入金の縮小に成功したが、もはやそれをやり通すのは不可能だろう。慎重なサプライヤーが増えれば、既存プロジェクトを完成させるのも難しくなるかもしれない。他のデベロッパーは中国恒大のプロジェクトを幾つか買い取ることに関心があるかもしれない」

     

    中国恒大は、買掛金を増やして借入金を減らすという自転車操業を続けてきた。だが、借入金と買掛金を合せると、約2000億ドルの債務になる。もはやクビが回らない状況だ。

     


    (4)「今回の危機の引き金となった、中国政府のレバレッジに対する締め付けで、そうする力も抑制される可能性がある。
    政府がこうした全ての問題を無秩序な混乱へ陥るがままにさせる公算は小さい。多くの中小企業や、事前販売済みのマンションの購入者が巻き込まれることを踏まえると、なおさらだ。ただ、借り入れに依存した成長を続けるための信用が中国恒大に流れ続けるのを放置することもないだろう。同社は資産売却を継続し、規模縮小を受け入れる必要がある。特に株主は、無傷では済まないかもしれない。中国恒大の膨れ上がった債務は、長年にわたって同社の成長をけん引してきた。とうとうそのツケが回ってきた

     

    下線部の意味を要約すると、「減資」によって株主へ負担させる方法が浮上する。極端なことを言えば、100%減資して、有利子負債を資本に充当させ、見かけ上の財務体質改善を図るという荒療治も考えられるのだ。最近の中国政府は、株主に損をさせることに平気ゆえ、どんな再建策が出てくるか分からない。

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    韓国の国立外交院は、韓国外交官の教育や外交方針を考究する場である。それだけに、外交院長は外交部の次官ポストで遇されている顕職である。その国立外交院長が、「トンデモ発言」をして物議を醸している。

     

    『朝鮮日報』(8月13日付)は、韓米訓練不要論者の韓国国立外交院長「北がミサイルを発射すれば斬首訓練もすべき」と題する記事を掲載した。

     

    韓国国立外交院の洪鉉翼(ホン・ヒョンイク)院長は8月12日「もう(北朝鮮に)好意を見せる必要はない」とした上で「北朝鮮が短距離ミサイルなどを発射すれば、斬首・先制攻撃、北朝鮮占領作戦の訓練も今週中にやってしまうべきだ」と提案した。

     


    (1)「洪院長はつい先日まで「連合訓練はやらなくても良い」、「こちらは訓練をするのに、北朝鮮に短距離ミサイルの発射などをやるなというのは非常識だ」と発言し問題となっていたが、今回は突然、自ら正反対の主張を行ったのだ。この日就任したばかりの洪院長は、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長の談話や通信連絡線の復元撤回について、「非常に巧妙な『南南葛藤(韓国内部の対立)』を誘導する戦術」「野党が政府を攻撃すれば、彼ら(北朝鮮)としては利得だ」との見方を示した。

     

    国立外交院長が、こういう踏込んだ発言をしていいのか疑問がわき上がる。洪院長は、国防長官のような発言をしているからだ。軍事力に訴えず、いかに外交案件を処理するか、というのが、外交の巧拙が問われる場面である。

     

    米韓合同の軍事訓練目的は、純粋な防衛目的とされている。北朝鮮へ攻め込む演習でない。国連の報告によれば、北朝鮮は昨年末から秘かに核開発を続けている。こういう状況で、米韓が、何らの演習もしないのは軍隊の存在を否定するのと同じである。軍隊は常時、訓練することで戦闘能力を維持できる。こういう、軍事演習を否定するのは論外である。

     


    (2)「洪院長はさらに、「朴槿恵(パク・クネ)政権当時の木箱地雷の時は、韓米が協力し国民の総和団結によって固く一つになる態勢を示したため、北朝鮮は最終的に尻尾を下ろして謝罪したではないか」「こちらが固い心で厳重な姿勢を示せば、北朝鮮も『もう一度仲良くしまよう』と言ってくるはずだ」とも語った」

     

    北朝鮮の挑発を事前に防止できるのは、米韓が十分な備えをしておく時だけである。隙を見せれば必ず、そこを突いてくる。朝鮮戦争が、その適例である。韓国の与党は、この理屈が分からない振りをして北朝鮮に迎合している。核を持つ北朝鮮への対抗は、生やさしいものでないことを認識すべきだ。

     

    (3)「洪院長は、「主張を変えた」との指摘を受けることを予想するかのように、「私を『韓米連合訓練は必要ない』と主張した人間と言いたいだろうが、私は韓米同盟を非常に尊重する人間だ」とも述べた。

     

    この発言は、かなり飛躍している。米韓合同訓練は、北朝鮮の野望を未然に防ぐ役割である。しかも、軍隊は常時、演習していなければ力量が落ちるという宿命を負っている。「練度の低下」は、軍隊の最も避けなければならない点である。米韓同盟を重視するならば、合同演習を認めなければならないのだ。この程度の認識もない国立外交院長では、韓国外交の先が思いやられる。

     


    (4)「
    洪院長が北朝鮮への強硬姿勢を主張したこととは対照的に、この日与党などからは韓米連合訓練の取消しを求める声が相次いだ。民主平和統一諮問会議の丁世鉉(チョン・セヒョン)主席副議長は、「韓米関係だけを考えるのではなく、国民に希望を与えたことの責任を取らねばならない」として、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は16日から始まる韓米連合訓練の本訓練を取り消すべきだ」と主張した。丁氏は「光復節の祝辞ではどうせ南北関係に関する大統領の政策の意思が語られるはずだ。それなら北朝鮮が恐れる後半部の訓練を中断する措置を行うべきではないか」と訴えた。防衛目的の定例連合訓練を取りやめることで、北朝鮮に「誠意」を示そうという趣旨だ」

     

    朝鮮戦争がどういう状態で起ったか、韓国与党はそういう歴史的検証を忘れている。ただ、徒手空拳で平和が守られるという幻想にしがみついている。旧ソ連も現在の中国も、武力を背景にして外交を展開しているのが現実である。韓国は、北朝鮮と中国の共謀による侵略で、その犠牲を背負わされた身である。

     

    戦後の日本も、いわゆる平和勢力は、この類いの議論を好んできた。「非武装中立論」で盛り上がっていたのだ。尖閣諸島が中国に狙われている事態で、「非武装中立論」はあり得ない。

     

     

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