勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    日本の防衛省が13日、防衛白書を発表した。韓国は、日本が竹島領有権主張と防衛費の増加を批判するだけのお粗末な内容であった。

     

    「馬に乗って走る日本の武者の絵を表紙にした今年の防衛白書は、中国の脅威を強調する一方、韓国の国防予算増額を集中照明する内容も1ページにわたり取り上げた。周辺国の状況を根拠に提示して自国の防衛費増強に向けた口実を設けるためのものとみられる」(中央日報)という近視眼的な内容だ。

     


    『中央日報』(7月13日付)は、「独島領有権を主張する日本の防衛白書 桜の代わりに『騎馬武者』を表紙に」と題する記事を掲載した。


    日本政府が毎年刊行する「防衛白書」で、17年連続で独島(ドクト、日本名・竹島)領有権主張を繰り返した。韓国との関係に対しては「韓国防衛当局側による否定的対応が続いている」と記述した。今回の白書には日本をめぐる安全保障懸案を説明し、「わが国(日本)固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在している」と明示した。日本が防衛白書を通じて独島の領有権を主張したのは小泉政権時代の2005年から今回が17年目だ。

    (1)「今年の防衛白書では、安全保障協力の章で韓国は昨年と同じく米国を除いた日本の防衛協力対象国のうちオーストラリア、インド、東南アジアの次となる4番目に配置された。また、韓国との関係に対しては2018年の韓国海軍駆逐艦と海上自衛隊哨戒機間の対立、独島周辺での軍事訓練、軍事情報保護協定(GSOMIA)終了議論などを取り上げた上で、「韓国防衛当局側による否定的な対応が継続している」と原因を韓国に転嫁した。このうち、韓国海軍による独島周辺海域での軍事訓練は今年初めて追加された部分だ。韓国の独島防衛訓練を韓日関係悪化の原因として指摘した格好だ」

    日本の安全保障政策において重要なパートナーは大きく変わった。従来は、米韓二ヶ国であった。だが、中国の軍事大国化に伴い「インド太平洋戦略」の重要性が浮上して、韓国の地位は大きく後退している。米・豪・印・ASEAN(東南アジア諸国連合)に次いで韓国である。日本へ敵対する韓国を重要なパートナーに選ぶ訳にいかないのだ。

     

    (2)「このため「日韓・日米韓の連携が損なわれることのないよう、引き続き韓国側の適切な対応を強く求めていくこととしている」と記した。昨年と似た表現だが、米国のバイデン政権発足に合わせて「日米韓連係」を強調する内容と「強く」という表現が新たに含まれた」

    韓国は、海上自衛隊の旭日旗を拒否している。自衛艦の釜山入港の際、旭日旗の掲揚を認めなかったのだ。こういう韓国が、日本の安全保障上の重要パートナーになれるはずがない。



    (3)「特に今年の防衛白書は「韓国の軍備増強と国防予算」という1ページ分の別途コーナーを設け、韓国の国防予算が2000年から22年連続で増加していると指摘した。韓国の2021年の国防費は前年比5.4%増加し、「国防改革2.0」に基づいて今後国防費を年平均7.5%ずつ増加させる計画としてその背景には米国からの戦時作戦統制権を早期に移管したいという文在寅(ムン・ジェイン)大統領の考えがあると分析した」

     

    韓国が、軍需費を大きく増やしているのは事実である。対GDP比の防衛費は、2%台に乗っている。韓国は、米軍の握る「戦時作戦統制権」(統帥権)を取り戻す目的である。だが、米軍は「親中朝・反米」の韓国政府へ渡すはずがない。万一、北朝鮮が攻めてきたら、韓国軍は戦わずして「講和条約」を結ぶ危険性が高いからだ。



    (4)「外交消息筋はこうした内容について、「岸防衛相は日本が国防費をGDP比1%以内で維持してきた慣行にしばられずに増やす意向を繰り返し明らかにしてきた。日本の防衛費増強に向けた根拠を設けるために防衛白書で中国と韓国など周辺国の国防費を集中照明したもの」と解釈した。今年の防衛白書の表紙の絵にもこうした意志が反映されたとみられる。過去の桜の花の絵や幾何学模様などとは違い、今年の防衛白書の表紙には日本を代表する墨絵作家である西元祐貴さんの騎馬武者の絵があしらわれた」

     

    日本の国防費は、GDP比1%以内を維持してきた。主要国で最低である。米国は、NATO(北大西洋条約機構)でも2%以上を求めている。韓国が2%台に達しながら、日本へ1%維持を求めるのは、現実を無視した狂った話である。

     


    (5)「防衛省関係者は、「若い層と外国人も防衛白書に簡単に接近できるように墨絵を採用した。国を守る意志と強さ、強固な防衛意志などを表現しようと思った」と説明した。だが戦争放棄を宣言した「平和憲法」体制にある日本の防衛体系を説明しながら好戦的な武者の姿を表紙に使ったのは「軍事大国」を指向する日本政府の本心を表わしたものではないかとの観測が出ている」

     

    自衛権は、どこの国でも固有の権利である。基本的人権と同じ位置にある。日本の平和憲法が、自衛権を否定していると見るのは幻想である。軍事費の対GDP費1%が、少し増えれば「軍事大国」と見れば、韓国は「超軍事大国」扱いであろう。こういう、矛楯したことを記事にしてはならない。恥ずかしいことだ。

     

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    キューバで7月11日、異例の反政府デモが起きた。これを受け、当事国キューバをはじめ各国が12日、さまざまな反応を示した。デモを支持する米国に対し、キューバのディアスカネル大統領は、テレビ演説し米国を「キューバの社会不安を引き起こすため経済的に窒息させる政策」を追求していると非難した。

     

    この4月、ラウル・カストロ氏が89歳で共産党トップの座を退き、兄の故フィデル氏が率いた1959年の革命から続いたカストロ兄弟による統治が終わりを迎えた。慎重に準備された権力移行の数カ月前、キューバでは表現の自由を求めるアーティスト集団の間で、自由の制限に抗議する運動が起きていた。

     


    このキューバでの反政府デモは、中国でも将来、起こり得ることを示唆している。中国が経済危機と無縁でないことだ。自由を奪っている点では、中国とキューバは同じ条件にある。現在の中国の軍備偏重政策は、超高齢社会における社会福祉負担急増と両立させることが困難になろう。そのとき、中国共産党政権は多分、軍備偏重政策を継続させるであろう。こうして、中国経済はにっちもさっちもいかなくなる。キューバの問題は、明日の中国の姿でもあろう。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(7月13日付)は、「バイデン氏、『キューバは抗議デモの要求に対応を』」と題する記事を掲載した。

     

    バイデン米大統領はキューバの共産党政権に対し、人々が「自由を求めて声を上げた」と訴え、過去数十年で最大の規模となった反政府デモの要求に対応を取るよう求めた。キューバでは11日、国内各地の諸都市で数千人の市民が街頭に繰り出し、食料や医薬品の不足に対する怒りを表すとともにコロナ禍対策の行動規制に抗議した。1959年の革命以来、一党支配下にあるキューバでは異例の抗議行動だ。

     

    (1)「バイデン氏は12日に発表した声明で、キューバ政府は「私腹を肥やす」ことより国民のニーズを満たすことを優先すべきだとした。同氏は「我々はキューバの人々を支持する」とし、「自由と悲劇的なコロナ禍からの救済、専制主義体制下での数十年来の抑圧や経済的苦難からの脱却を求める彼らの声」に対する賛同を表明した」

     

    米国バイデン大統領は早速、キューバの民衆抗議デモへ支援メッセージを送った。

     

    (2)「この声明の直前、キューバのディアスカネル大統領は2日間で2度目の緊急テレビ演説を行い、キューバを苦しめている食糧とエネルギー不足の原因は米国の制裁にあると非難し、米国へ譲歩しない姿勢を示していた。ディアスカネル氏は12日午前、一部で略奪が発生、警察車両が1台ひっくり返されたと述べた。外国勢力が、ソーシャルメディアで騒乱を扇動していると非難し、政府は国民を助けようと手を尽くしていると主張した。「国がコロナ禍で最悪の事態になった頃合いを(騒乱の扇動に)見計らうとは残酷で残虐、非人間的だ」と同氏は述べた。「彼ら(米国とその同盟国)は、新型コロナウイルスの感染を封じ込めようとしている数千人のキューバ人の命と努力を危険に陥れた」

     

    キューバ大統領は、自らの失政を米国の責任へ擦り付けている。独裁政権の常套手段である。

     


    (3)「メキシコの左派ポピュリスト、ロペスオブラドール大統領は米国の出方について、助けたいというのなら数十年来の対キューバ禁輸措置を終わらせるべきだと述べた。同時にキューバ国民との連帯も表明し、必要なら食料や医療用品を提供する用意があるとした。11日のデモは首都ハバナ近郊のサンアントニオデロスバニョスから始まったとみられる。住民が反政府のスローガンを叫び、コロナ規制の停止と停電の解消を求めた。ディアスカネル氏は現地入りした後、デモはソーシャルメディアを通じた米国主導の情報操作で引き起こされたと述べた

     

    住民が、自由を求めていることは切実である。中国も同様に自由を奪っている。今後のキューバの動きがどうなるか、目が離せなくなってきた。

     


    (4)「抗議デモは東部サンティアゴデクーバに近いパルマソリアーノでも発生し、ハバナ南郊のサンアントニオデロスバニョスでは、群衆が「独裁を倒せ!」と叫んだと報じられた。ソーシャルメディアで拡散した動画は、北西部マタンサスでデモ参加者が車をひっくり返す場面を捉えている。ハバナではマスクを着けたデモ参加者たちが、共産党の支配、不足するモノを高値で売るドルショップ、医薬品の不足にうんざりしていると訴えた。ソーシャルメディアはデモの動画であふれかえっている」

     

    デモ隊は、共産党支配への不満を訴えている。パンデミック下での医薬品不足も忍耐の限界を超えさせているのであろう。

     


    (5)「米議会でもキューバ系のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ選出、共和党)など、複数の議員がキューバのデモ隊への支持を表明した。ホワイトハウスのサキ報道官は抗議デモを「注目に値する」と評した。「キューバ国民は専制主義体制からの自由を求めている。このような抗議は実に長い間、目にしなかったことだと思う。率直に言って、過去にあったかどうかもはっきりしない」と同報道官は12日の記者会見で述べた」

     

    キューバ民衆の抵抗運動は、散発的なもので終わるのか。あるいは、組織化されるのか、現状では判断できぬが、専制主義体制が必ず受ける抵抗運動である。

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    中国の地方財政が逼迫している。地方財政の財源は、半分以上が土地売却益によって充当されてきた。不動産バブルの行き詰まりで、地価の引上げが困難になって、ついに公務員や教員へボーナス返上命令を出すことになったのであろう。

     

    『大紀元』(7月13日付)は、「中国、地方政府が財政逼迫か 公務員らに支給済ボーナスの返還を要求」と題する記事を掲載した。

     

    中国の河南省、江西省、広東省などの地方政府は、公務員や公立学校の教師にすでに支給したボーナスを返還するよう要求したことがわかった。中国地方政府の財政難が浮き彫りになった。

     


    (1)「中国当局は今まで、地方政府の幹部や公務員に対して贅沢を禁止し、倹約に努めるよう複数回、指示したことがある。江西省南昌市水利局は7日、各下級機関に対して、「2021年67日以降に支給した市政府のボーナスについて、今後10日以内に無条件に全額を返還せよ」との通知を出した。同省の徳興市政府は、公立学校の教師に対して、「7日内に給付したボーナスを返すように」と要求した。同市の教師の第1四半期(13月期)のボーナスは1人当たり2万元(約34万円)で、4半期では計8万元(約136万円)という。年末ボーナスは別に支給される。ボーナスの総額は教師の年収を上回る

     

    ボーナスが正規給与を上回るのは、正規給与が低いことだ。これは、年金計算の基本が低い正規給与を基準にするためである。こうやって、軍事費に財政資金を回している。いずれ、その軍事費も捻出できなくなるだろう。

     


    (2)「中国国内の学者である李橋氏は12日、米『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)に対して、地方政府が公務員にボーナスの返還を求めるのは、各地の深刻な財政難を反映したと語った。「当局は景気が回復していると主張しているが、私たち市民は実際、多くの店舗や工場が倒産したのを目にしている。新型コロナウイルスの大流行も影響して、政府の税収が減っているに違いない」と李氏は話した」

     

    中国経済の実態は、決して明るいものではない。土地売却益が、地方財源に繰り入れられるという綱わたりをしてきた。こういう財政制度は、世界広しといえど中国だけの変則財政である。

    (3)「上海市、河南省、山東省、四川省重慶市、湖北省、広東省の公務員らは中国版ツイッター、微博(ウェイボー)で、ボーナスの支給停止、または返還指示を受けたと訴えた。広東省潮州市の公務員は3日、住宅手当の支給中止の通知を受け取ったと明かした。四川省成都市のネット作家、譚作人氏は、「約10の省の政府が公務員にボーナスの給付を取りやめ、または返還を求めたという情報を得た。地方政府の財政がひっ迫しているのが原因だ」と示した」

     

    上海市もまた、ボーナスの支給停止または返還指示を受けている。これは、地方財源が急激に悪化していることを物語っている。中国経済は、急ブレーキがかかったのだ。

     


    (4)「中国の末端公務員と小中学校の教師の月収は2000元余り(約3万4000円)から4000元(約6万8000円)となっている。ボーナスを返金すれば、公務員とその家族の生活が一段と厳しくなる。RFAによると、中国国内ネット上では、地方政府がボーナスの返還ができない公務員らに対して、銀行でローンを組んでから返却するよう求めた。江西省の九江銀行はすでに、公務員を対象に「ボーナス返還ローン」を始めたという」

     

    末端公務員と小中学校の教師は、ボーナスを返金すれば生活が成り立たないという。その穴埋めで、「ボーナス返還ローン」の取り扱いが始まったという。

    (5)「中国政府系メディアの報道では、昨年上半期において中国の財政赤字が前年比で3割増え、地方政府の債務は3兆4000億元(約57兆8000億円)増加した。当局の発表では、31の省・市の一般会計の収支のうち、財政黒字となったのは上海市だけだ。李橋氏は、「これが中国当局の指導者が『倹約せよ』を繰り返している理由だ」と指摘した。RFAは、ボーナスの返還を求められたのは中央政府の高官ではなく、末端の公務員と教師であることを非難した」

     

    昨年上半期の地方財政において、上海市だけが黒字であった。その上海市もボーナス返還である。他の30の省・市は全て赤字だ。この地方財政が、黒字化するのは先の話である。米国のように、多額の国債発行で切り抜けられない金融構造上の弱点を抱えている。これが、中国の最大の弱点である。

     

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    中国のEV(電気自動車)企業の勃興騒ぎも一段落し、雌雄が決まった様子である。一時は、200社余がひしめきあったが、昨年で生存勝負も勝負がついてビッグ4社が生き残りに成功した。蔚来汽車(NIO)、理想汽車、小鵬汽車、威馬汽車である。

     

    米国の自動車産業の勃興期には、約100社が参入した。最終的には、このうち3社が生き残りを果たしたので、中国の新興EV企業も同じような結果になった。

     

    中国の新興EVでは、パンデミックと重なり資金繰りに苦しんだが、大手IT企業の支援を受けたり上場したので、資金調達面での苦悩から解放された。これが、生き残りおいて大きな条件になった。

     


    『日本経済新聞 電子版』(7月13日付)は、「中国新興EVのバイトン、債権者が倒産申し立て」と題する記事を掲載した。

     

    中国の新興電気自動車(EV)メーカー、拝騰(バイトン)を巡り、債権者が倒産手続きを申し立てたことが13日分かった。バイトンは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と組んでEVを量産する計画だったが、資金繰りに行き詰まったとみられる。鴻海との提携に今後影響する可能性もある。

     

    (1)「中国の企業情報サイト「企査査」によると、バイトンの株式を100%持つ南京知行新能源汽車技術開発について、一部の債権者が12日付で江蘇省南京市の裁判所に「破産重整」と呼ばれる再建型の倒産手続きを申し立てた。中国メディアによると、バイトンは「申し立てはまだ正式に受理されていない。(債権者との)和解を探っている」と説明している」

     

    バイトンは、再建型の倒産手続きを申し立てられた。会社側は、まだ和解策を探っているという。

     


    (2)「バイトンは2018年に米ニューヨーク証券取引所に上場した上海蔚来汽車(NIO)などと並び、一時は中国の有力な新興EVメーカーとも評され、鴻海のほか中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)なども出資していた。20年ごろから資金繰りが悪化し、同年夏に事業停止に追い込まれた。21年1月に鴻海との提携を発表し、22年13月期にバイトンブランドのEVを量産する予定としていた。倒産の申し立てを受けたことで先行きに不透明感が再び強まっている」

     

    バイトンは、かつてNIOと並び立つ有望企業と囃されたが、今や整理淘汰に波に飲み込まれようとしている。栄枯盛衰の厳しさを絵に描いたような感じだ。

     

    (3)「バイトンは鴻海と提携する一方で、20年9月に設立した関連会社「盛騰汽車」にEVの開発や生産などの主要な事業を移管している。盛騰には中国国有自動車大手、中国第一汽車集団などが出資しており、盛騰のEV関連事業は継続するとみられる」

     

    バイトンの倒産問題で、その余波を受けるのは鴻海である。EV開発で協力する契約を交わしていた。鴻海は、こういうバイトンの経営不安に気付かなかったのだろうか。ここで、最近の中国新興EV企業の実情に触れておきたい。

     


    「『中国汽車報』によると、中国新興EVメーカーは2020年にピーク時の100社余りから40社余りまで減ったと報じている。これらのうち量産を実現し、且つ販売実績がある企業は10社前後に過ぎない。中国汽車工業協会(CAAM)の統計では、2020年の中国新興EVメーカー10社の販売台数は合計約14万台強。このうち蔚来汽車(NIO)、理想汽車(Li Auto / Leading Ideal)、小鵬汽車(Xpeng)、威馬汽車(WM Motor)4社で販売の80%を占めた」

     

    「現在、中国新興EVメーカー上位4社のうち、NIO、理想汽車、小鵬汽車の3社は米国で次々に上場を果たしている。メディアによると中国新興EVメーカーは多くの資金を必要としており、この3社が米国での上場を選択した一つの要因は、中国の上場審査が厳しいのに対し、米国での審査は比較的容易で資金調達の環境も良く、直面する資金不足をより早く解決できるためと報じられている」

     

    「NIOは、2018年9月にニューヨーク証券取引所に上場し、米国で上場した初の中国新興EVメーカーとなった。2020年7月には理想汽車がNASDAQに上場。1ヵ月が経たないうちに小鵬汽車もニューヨーク証券取引所に上場した」

     

    「特筆すべきことは、中国新興EVメーカーのトップ4社は大手テック企業と密接に関係していることが挙げられる。IT大手TencentはNIOに対して投資を拡大しており、NIOの第2位株主となった。理想汽車は2020年7月の上場後、IT大手の美団(Meituan)の創業者王興 氏が理想汽車の筆頭株主になった。小鵬汽車もまたAlibabaや小米(Xiaomi)から融資を受けている」

     

    以上は、marklines(3月12日付)から引用した。新興EV企業4社は、IT大手企業と提携して資金調達面で活路を開いていたという共通項がある。バイトンは、鴻海と強い結びつきを保たなかったことで悲劇的な結果になった。

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    韓国は、これまで日本へ日韓首脳会談を要請してきた。その会談目的は、日本の対韓国輸出手続き規制の即時撤廃要求と、歴史問題(徴用工・慰安婦)を今後、話合おうという韓国に有利な内容であることが分かった。

     

    こういう一方的な内容では、日本は受入れ難いであろう。この結果、会談時間は「15分間」の儀礼なものか、「1時間」の中身の濃い会談になるか不明である。

     

    『ハンギョレ新聞』(7月13日付)は、「首脳会談は15分?1時間? 韓日が会談形式に敏感になるわけは」と題する記事を掲載した。

     

    23日に予定された東京五輪開会式に合わせて文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪日する問題をめぐり、韓日外交当局間の熾烈な駆け引きが続いている。一見、17カ月ぶりに開かれる韓日首脳会談を「15分程度の略式会談」にするか、「1時間程度の正式会談」にするかという会談の形式をめぐる対立のように見えるかもしれない。しかし、その裏には強制動員被害者への賠償問題、日本軍「慰安婦」被害者に対する賠償問題など、長年の懸案に対する見解の隔たりが依然として埋まらない厳しい現実がある。

     


    (1)「会談の開催が決まった直後から、その形式をめぐる論議が始まった。日本経済新聞は11日付の1面で、文大統領が23日の東京五輪開会式に出席するのに合わせて「会談する方針」だと報じたが、共同通信は同日、「韓国は本格的な首脳会談開催を期待」しているが、菅首相は「元慰安婦と元徴用工をめぐる賠償問題で韓国が妥協しない姿勢を見せている」とし、文大統領を“特別待遇”しない方針を6月末に決めたと報道した。同通信はまた、首相官邸関係者の話として「文大統領を含め、1人当たりの(会談時間は)原則15分程度になるだろう」と報じた。菅首相が文大統領をほかの要人たちと同様に扱い、事実上“招待客の一人”にしたい思惑をうかがわせたということだ」

     

    日韓首脳会談を行う方向になったが、会談内容によって会談時間は流動的である。日本は、日本の要求する内容でなければ「15分」という条件を付けている。韓国はこれに反発して「1時間」を要求しているという。

     

    (2)「これを受け、今度は韓国が反撃に出た。同報道に対し、外交部は11日夜、記者団に送った立場表明で「両国外交当局間協議の内容が最近、日本政府当局者などの話として、日本の立場と視点で一方的にマスコミに流出していることに対し、強い遺憾の意を表する」とし、「こうした状況では両政府間協議は持続することが難しく、日本側が慎重に対応することを求める」と明らかにした。

     

    韓国は、日韓首脳会談の微妙な点について、日本で報道されていることに反発している。

     

    (3)「韓国政府はこれまで水面下の交渉を通じて、2019年7月に日本が取った輸出規制措置に対しては「撤回」を要求し、日本が望む歴史関連懸案への対応については「韓日外交当局間対話を通じて協議していこうという立場」(11日外交部の立場表明)を伝えたという。言い換えれば、韓国の要求は“現金”で受け取り、日本の要求には“手形”を渡すと明らかにしたわけだ。新型コロナによって四面楚歌の困難の中で行われる東京五輪への文大統領の訪問をテコに、日本の譲歩を引き出す戦略を取ったのだ

     

    韓国が、図に乗ってきた感じだ。韓国への輸出手続き規制の即時撤廃を要求しながら、歴史問題の即時解答を渋り先送りしていることだ。日本が、こういう提案に同意するはずがない。韓国の「空気を読めない」田舎外交に変化はなさそうだ。

     


    (4)「政府高官も、いま重要なのは「形式と成果だ。これ以上日本の反応に対応せず、状況を注視する」と述べた。ここでいう形式とは、「1時間程度の正式会談」であり、成果とは、政府がこれまで地道に要求してきた「輸出規制措置の撤回」などを意味するものとみられる。しかしこれまで、韓国が強制動員と慰安婦問題など懸案に具体的な解決策を提示しない限り首脳会談に応じない意向を示してきた日本は、1時間程度の正式会談に応じた場合、吹き荒れるだろう国内世論の圧迫を負担に感じている」

     

    韓国の要求取りの会談結果になったら、菅政権は保たないだろう。なぜ、ここへ来てそのような理不尽な妥協をする必要があるのか。日本が対韓関係で困っていることはゼロである以上、原則通りの外交方針を貫くべきである。

     

    (5)「大統領府は繰り返し、「今後日本側の態度が重要だ」と強調した。大統領府関係者は同日午後、記者団と書面で行った質疑応答で「政府は韓日首脳会談を開く用意はあるが、会談が開催されれば成果がなければならないという立場」だとし、「最近の日本のマスコミ報道を見る限り、首脳の五輪開会式への出席問題や韓日関係改善問題を政治的に利用するような印象があり、注意深く見守っている」と明らかにした。「15分間会談」と「1時間会談」をめぐる両国の駆け引きが円満な合意点を見出せなければ、久しぶりに両国間に漂っていた“温度”が消え、文大統領の訪日そのものが実現しない可能性もあるという見通しも示されている」

     

    元々、韓国側が訪日希望を出したのだから、強硬に会談条件を主張できる立場でない。こういう外交儀礼を弁えない韓国には、「実地教育」で当るほかない。つまり、日本は原則を曲げないことである。

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