米国の国務長官と国防長官は3月17日、訪日に続いて訪韓することが決まった。これに伴い米韓の外務・国防の「2プラス2」会議が開催される。米韓では5年ぶりの会議になる。この席で米国は、韓国に対して明確に米同盟国側へ付くよう求めると見られる。韓国の「二股外交」の是非が、最終的に問われる局面だ。
『朝鮮日報』(3月8日付)は、「韓米『2プラス2』会議が5年ぶりに復活」と題する記事を掲載した。
韓国と米国の外相・国防相が、同時に会ういわゆる「2プラス2会議」は5年ぶりに復活しそうだ。米中の覇権争いが激しくなる中、中国に対抗する韓国、米国、日本の三角協力復元を目指す米国の本格的な介入と圧力が始まったとも考えられる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領としては同盟関係復活の大義名分を得られるが、今や米中間「綱引き」の段階は過ぎ去り、「どちら側に立つか」の圧力を本格的に受け始めた形だ。
(1)「米国のトニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官は今月15~17日の日程で訪日し、その後17日から1泊2日の日程で韓国にやって来る可能性が高いことが分かった。来韓が実現した場合、韓国外交部(省に相当、以下同じ)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官と国防部の徐旭(ソ・ウク)長官との「2プラス2会議」が実現する見通しだ。ある外交筋は「日本と格を合わせた形の来韓に向け調整が進んでいる」と伝えた」
米韓の「2プラス2」会議は、日本と格を合せることも理由という。積極的に開催しようという雰囲気ではないのだろう。ここら当たりに、韓国外交の迷走ぶりが窺える。国際情勢は、米中対立の長期化という大きな転換点に立っている。韓国には、その認識が希薄である。
(2)「米国は40以上の国と軍事同盟を締結しているが、その中で2プラス2会議を開催したのはごく少数だ。トランプ前政権が同盟を軽視したときもオーストラリアや日本などとは2プラス2会議を引き続き開催した。しかし韓米による2プラス2会議は2016年10月にワシントンで開催されたのが最後で、文在寅政権発足後は一度も開催されていない。その理由について外交関係者の間では「文在寅政権が進める北朝鮮の核問題対応策や韓日関係悪化に対する米国の不満が原因」との見方が出ている」
文政権になって「2プラス2」会議は開かれていないのは、米韓関係の弛緩を意味している。文氏は、よくよく国際情勢の認識がない御仁と見られる。
(3)「今年1月に発足したバイデン政権の外交と国防のトップが、初の海外訪問先として日本と韓国を選択し、2プラス2会議の形を取る背景には、中国との本格的な対決を念頭に置いた韓米日三角協力の復活を最優先の課題と判断したためとみられる。米国務省はバイデン政権発足後、メディアを通じて複数回にわたり「韓国と日本の関係以上に重要なものはない」と訴えてきた。2015年に韓日両国に圧力を加え、慰安婦合意を引き出した人物も当時国務副長官を務めていたブリンケン長官だったという」
米国で、日韓慰安婦合意の仲介役に立ったのは、ブリンケン氏だったという。韓国は、日韓慰安婦合意を骨抜きにした手前、なんとも罰の悪い思いであろう。何と言い訳するのか、そちらの方も興味深い。
(4)「米中間で「綱引き外交」を進めてきた韓国政府としては、同盟復元は喜ばしいことだが、米国による対中圧力に本格的に参加を求められた場合は困惑するしかない。しかも、今回の2プラス2会議の結果が中国を刺激するものだった場合、年内に予想される中国の習近平・国家主席来韓の大きな障害になる恐れもある。北朝鮮の核問題についてはバイデン政権による対北朝鮮政策の検討作業が今も進行中のため、具体的な内容よりも原則的な立場を強調する次元で終わる可能性が高い」
文政権は、習近平氏と金正恩氏の訪韓が最大の外交イベントと考えるほど偏っている。米韓同盟というしっかりした絆がありながら、その関係を深めずに米国と対立する国との関係深化を図るという「裏切り外交」を意図している。これは、韓国の国益を損ねるものだ。余にも八方美人的な振舞である。これでは、日米が韓国を信用しないはずだ。
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