a0002_008851_m

日韓関係のバロメーターは、訪韓する日本人客の動向である。昨年は、文在寅大統領の誕生で日韓慰安婦問題を蒸し返し、日韓関係は逆戻りした。その後、韓国は対日姿勢を変えて、釜山の日本領事館前に立てた「韓国人職工」像を強制撤去した。

 

こうした姿勢を見届けたのか、日本人旅行客がソウルへ戻っている。韓国では、日本へ観光キャラバン隊を送るなど、涙ぐましい努力を重ねてきた。これを見た日本人は、一度は「嫌韓」で怒ったものの再び、玄界灘を越え始めている。

 

韓国では、「THAAD」(超高高度ミサイル網)をめぐって、中国から手痛い報復を受けてきた。中国へ進出したスーパーの「ロッテマート」は、100店以上の全店が閉店に追込まれて営業権を売却。中国人の訪韓旅行者は激減。こうした韓国への仕打ちに驚かされ、「中国の正体見たり」という大ショックを受けた。これで、韓国人が意味もなく、中国を「有り難がる」雰囲気は一掃されたようだ。

 

そこへ、タイミングよく日本人観光客が増え始めてきた。「世界で日本人の悪口を言うのは韓国人だけ」という妙な過信を捨てて、本気で日本に対応しようという雰囲気が出ている。韓国の大手新聞東京特派員の元には、「子どもの就職では、これから日本へ行く時代か」という主旨の電話が増えている。中国依存を捨てて、日本見直しのムードが見られるのだ。

 

『中央日報』(6月27日付)は、「訪韓外国人、中国人が減り日本人が大幅に増加」と題する記事を掲載した。

 

今年1~5月の累積外来客数は593万人。昨年同期と比べると約2.9%増えた。この期間、中国の訪問客数は179万人で、前年同期比10.4%減、THAAD報復措置以前の2016年と比べて41.4%の減少である。中国に次ぎ比重が大きい日本人訪問客は増えている。1~5月の訪韓日本人は107万人で、前年同期比では約15%増である。今年1年では270万人の訪韓が予想される。反面、1~5月に日本を訪問した韓国人は341万人で、昨年同期比約21%もの増加である。韓日両国間の訪問客数の差は、依然として3倍以上もある」

この記事を要約すると、次のようになる。

   訪韓旅行客の最大は中国人だが、今年1~5月の累計では前年比10.4%減、一昨年比ではなんと41.4%減になる。中国政府が、訪韓旅行にブレーキを掛けているのだろう。

   中国人に次ぐ日本人は、1~5月に前年比で約15%増の107万人。一方、韓国人の訪日客は1~5月に341万人で約21%増だ。日韓では、約3倍強の差で韓国人訪日客が訪韓日本人を上回っている。これを見ると、日本人の「嫌韓」は、まだまだ根深いものがある。

 

日本人の訪韓観光客が今後、どのような推移をたどるのか。そのカギの一つは、ウォン相場の動向である。

 

6月27日のソウル外国為替市場は前日より2.80ウォン安の1ドル=1117.60ウォンで取引を終えた。6月11日からの半月で42.40ウォン安である。韓国は、米国から為替市場への「隠れた介入」について警告を受けている。その結果、安易に介入できない事情がある。米中貿易摩擦の飛び火を受けて、最初にその影響を受けるのが韓国とされている。最近のウォン安は、これを反映したものである。

 

こうなると、ウォン安相場は定着する気配だ。韓国は、「三度目の金融危機の到来か」と厳戒態勢だが、海外からの旅行者にとっては「朗報」である。ウォン安を利用した韓国旅行は増える気配である。