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中国経済が昨年、予想外にも6.9%成長が可能になった背景に、輸出増加が寄与した。その輸出は今、米中貿易戦争で先行きが怪しくなっている。6月のPMI(製造業購買者担当指数)の輸出受注では、好不況の分岐点である50を割っている。「警戒警報」だ。

 

こうなると、中国の奥の手は人民元相場の下落容認である。手綱をしっかりと握りしめながら、人民元相場の軟化を認めて輸出の支えにしたいのは明白である。下落の限界はどこか。ここ10年間の人民元相場を見ると、1ドル=6.9元は安値の限界線であることが分る。相撲で言えば、ここが徳俵という感じがする。

 

中国は、米中貿易戦争の長期化に備え、輸出競争力を維持するために、1ドル=6.9元台へと大幅な元安水準にすると報じられている。中国政府は、ここまで「後退」しながら経済の態勢立て直しを図る意思表示のように思える。こうなると、6.9元は徳俵であり、かつて、独仏国境に敷かれたマジノ線という位置づけだ。

 

『大紀元』(7月9日付)は、「中国当局、米中貿易摩擦、1ドル6.9元台付近の元安を容認か」と題する記事を掲載した。

 

(1)「人民銀行の公表では、61日の対ドルの人民元基準レートは1ドル=6.4078元だったのに対して、6月29日は1ドル=6.6166元となった。元は1カ月で対ドルにおいて約3.25%と大幅に下落した。ロイターが市場関係者を対象に行った調査では、米国は通商問題で中国への圧力を強化しているため、元相場が対ドルで一段と下落する可能性が高いとの見方が多かった。一部の関係者は、3.25%の下げ幅を回復するのに1年かかると推測する」

 

中国のように管理型変動相場制では、人民元相場は政府管理である。大きな変動はあり得ない。ここが、自由に変動すべき為替相場の性格から見て、極めて問題含みの点である。世界のGDP2位になりながら、政府という「親がかり相場」では、企業に自立性が育つはずもない。中国政府は、こういう矛楯に気づかない振りをしている。この状態で、世界覇権に挑戦するなど夢のまた夢、である。6月の人民元相場の変動幅が3.25%で、これが回復するには1年かかるとは驚きだ。

 

(2)「ロイター通信は7月5日、中国当局高官の話を引用して、国内景気減速と米中貿易摩擦の激化を背景に、中国当局が元安を歓迎する姿勢を示し始めたと報道した。報道によると、情報筋は『当局はある程度の元安を認めている。しかし、元相場は1ドル=6.90元台を割り込むことを望んでいない』と話した。今後中国当局が元相場の急落の阻止と投資家の信頼回復を目的にする時のみ、為替介入を実施するという。英調査会社キャピタル・エコノミクスの最新調査によると、中国当局は人民元の動きをコントロールする姿勢を鮮明にした」

 

人民元は2015年に、大荒れ相場になった。あれ以来、厳重な相場管理を行い、資本移動にまで網を張っている。行き場を失った国内の過剰貯蓄は、不動産バブルに火を付けて回っている。人民元相場の変動を抑えて、バブル経済を結果的に奨励する形になった。最終的には、中国経済の足腰を弱めており、米中貿易戦争ではその弱点を狙い撃ちされている。こういう総合的な視点を欠いたまま、目先の利益を求め動き回る。海の向こうでは、トランプ氏が高笑いしている姿に気づかないのだろうか。