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中国政府が笛や太鼓で騒いできた「一帯一路」計画が、あちこちで「不都合な真実」が暴露されている。当初は、第二次世界大戦後、欧州経済復興援助で実績を上げた「マーシャルプラン・アジア版」という触れ込みであった。マーシャルプランとは、当時の米国務長官の名前をとり、米国が欧州の経済的な復興を支援した事業である。

 

最近、中国政府は自国のメディアに対して「マーシャルプラン」なる言葉の使用を禁じる通達を出した。マーシャルプランは米国の援助であったが、「一帯一路」は援助でなく高利の貸付である。高利の債務を返済できない国では、担保を差し押さえられるという事態にまで発展し、中国がにわかに批判される側になっている。そこで、「マーシャルプラン」なる言葉を禁じたもの。

 

マレーシアは、今年5月にマハティール氏が首相に返り咲いたことから、「一帯一路」計画の一環として契約済みの高速鉄道、「東海岸鉄道」(ECRL)計画を7月5日に中止決定された。中止期間は定められていない。同事業の第1期分契約額は、460億リンギット(約1兆2500億円)である。マハティール氏は、これだけの巨額投資が財政的に負担であることや、それに見合った効果が期待できないと指摘した。

 

『サーチナー』(7月9日付)は、「マレーシアで『一帯一路』構想が躓き」と題する記事を掲載した。

 

(1)「マレーシア政府が同プロジェクトを中止した理由は、総工費が当初予算を上回る見込みとなり、財政悪化を防ぐためとしている。マハティール氏は今年5月の選挙戦でも中国との間で進んでいるプロジェクトは『国益にそぐわない』という見方を示していた。ECRLの総工費は当初550億リンギット(約1兆5050億円)と見積もられていたが、マハティール政権の最新試算によれば、中国への金利支払などを含むと810億リンギット(約2兆2100億円)に膨らむ見通しになったという」

「東海岸鉄道」(ECRL)計画は、総工費が約1兆5050億円と見積もられていたが、金利分を含めると約2兆2100億円に膨らむ見込みだという。実に、当初金額に比べて46%増である。何か、「悪徳商法」の典型例という感じである。安い見積もりを出して契約を取り、その後に契約金額の上乗せをする。多分、こういうやり口で、スリランカなどを食い物にしてきたのだろう。

 

 

(2)「マレーシアでは、同プロジェクトの他、中国との間で『一帯一路』関連で複数の大型プロジェクトの計画がある。これら計画に絡んで、ナジブ・ラザク前首相が背任、収賄罪容疑で逮捕されている。今回のECRLの中止に合わせて、中国企業との間で交わされたマレー半島とボルネオ島をつなぐパイプライン建設計画についても事業中止の判断が下されている。マレーシアにおける相次ぐプロジェクトの中止発表は、その他の地域での『一帯一路』プロジェクトの進行にも影響を与える懸念がある」

マレーシアでは、前政権が「一帯一路」関連でいくつかのプロジェクトを中国政府との間で進めていた。ナジブ前首相が逮捕されたので、中国との間でいかなる契約があったかが、裁判過程で明らかにされるはずだ。そうなると、中国のメンツは丸つぶれだ。「一帯一路」計画は、中国の資金的行き詰まり感を反映して、すでに縮小方向に向かっている。マレーシアでの「取りこぼし」は、中国の野望を阻止するきっかけになり