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人口14億人の中国が、わずか人口2万人のパラオを虐めている。パラオが台湾と断行するように圧力をかけ、中国人旅行を禁止しているもの。THAAD(超高高度ミサイル網)設置をめぐって中国にいじめぬかれた韓国は、中国を「小さな大国」と称して軽蔑する。中国は、同じことをパラオに向けてやっているのだ。恥ずかしいことと思わないところが、中国の限界だろう。

 

「現在、台湾と国交を結ぶ国は19カ国。蔡英文政権になってから3国が断交し、中国と国交を樹立した。巨大な観光市場と経済的な利益を約束し、台湾の国際的地位を削り取ろうとしている中国共産党政権は今、欧州バチカン市国と太平洋の島国パラオに揺さぶりをかけている」。「大紀元」(7月19日付)は、こう言って中国の狙いを説明する。パラオは、大の親日国である。2015年には天皇・皇后両陛下が慰霊の旅をされている。この親日国が、中国に虐められては気の毒。この夏休みは、多くの日本人がパラオ旅行して苦境を救っていただきたい。

 

中国のパラオ虐めは、前述の通り、中国人観光客の渡航禁止である。パラオ政府の統計によると、中国からの訪問客は2015年に日本を抜き1位になって以降、全体の約半数を占めてきた。だが、中国当局は昨年11月、台湾への圧力の一環で、パラオへの団体旅行を厳禁した。パラオの航空会社によると、年間3万人の搭乗客が今年は7月までに1万4000人に減少。搭乗料金も半額以下に落ち込んだという。この結果、7月18日、パラオ・パシフィック航空の運航会社が、中国との間で唯一運航していた香港路線を停止することが分かった。

 

「大紀元」(7月19日付)は、「台湾と国交維持の島国パラオ、中国空路を停止」と題して次のように伝えた。

 

「パラオは、日本の国連の委託統治を受けていた時代もあり、今日まで日本と積極的な外交関係がある。1997年、日系のクニオ・ナカムラ前政権時代に、李登輝政権時代の台湾と外交関係が結ばれた。3年毎に開かれる日本主導の太平洋・島サミット(PALM)にも参加し、今年5月、8回目となるPALMは福島いわきで開かれた。パラオにある外国公館は日本、台湾、米国の3カ国のみ。主たる産業は観光で、2010年前半までこの3カ国が顧客トップだった。しかし、2015年以降は中国本土からの旅行客が一位となり、過半数を占める。中国人観光客の急激な増加とともにマナー違反が目立つようになり、国内の不満が高まった。レメンゲサウ政権は昨年、香港経由の中国本土からのチャーター便を半減させた」

 

パラオのレメンゲサウ大統領は、台湾と中国を二重承認する意向を示し、「誰が友人で誰が友人でないかを選ぶつもりはない」と述べている(「産経新聞」7月19日付)。中国がパラオに圧力をかけても、レメンゲサウ大統領は立派な発言だ。習近平国家主席の「大言壮語」よりも人情味溢れる。中国は「小さな大国」だが、パラオは「大きい小国」と言える。習氏もタジタジであろう。