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韓国の文政権は、気の毒なほど経済面で「ドジ」が続いている。文大統領は、7月26日にソウルの光化門で市民とビールを酌み交わし、「庶民大統領」を演出し、国民の悩みを聞くという触れ込みだ。この席では、最低賃金で経営が苦しくなっている話や、就職難の悩みも打ち明けられたという。

 

だが、文政権は国民の暮らしを圧迫するような政策ばかりやっている。その根本的な間違いは、最低賃金の大幅引き上げが国民のためになるという「妄念」にあることに気づいていないのだ。つい先日、IMF(国際通貨基金)のアジア担当官が、直々にこの政策の危険性を説いている。「馬に念仏」で聞く耳持たぬ連中である。

 

前記のIMF担当官は、最賃引上が物価引き上げの要因になると警告したが、ついにそれが現れ始めている。

 

『中央日報』(7月30日付)は、「不況でも止まらない物価上昇 韓国政府の所得主導成長を強打」と題する記事を掲載した。

 

(1)「物価が韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政府の核心経済政策である所得主導成長を脅かしている。農産物、外食費、ガソリン代などの価格が全般的に上昇を続けている。猛暑や原油価格の上昇に加え、最低賃金引き上げが複合的に作用した結果だ。利益が増えても物価が急騰すれば実質所得の底上げを図ることは難しい。ただでさえ景気不振という状況で、物価まで所得主導成長の足を引っ張ることになり政府の悩みは深まるばかりだ」

 

韓国政府が、生産性を上回る最低賃金引上げを強制している以上、賃上げ上昇分を価格に上乗せるのは当然である。「便乗値上げ」ではない。こういう悪循環を想定せず、「良いことばかり」を考えていた結果、副作用が現れてビックリ仰天し始めている。

 

(2)「最低賃金引き上げもサービス業などの物価を動揺させている。男性ヘアカット専門店『ブルークラブ』の首都圏店舗は今月からカット代を一斉に1000ウォン引き上げた。物価上昇は景気回復を邪魔するもう一つの悪材料だ。物価が上昇すれば懐事情が厳しくなった家計は財布の紐を締めるようになり、消費不振に帰結する。このような状況が続けば、所得向上による内需拡大という政府の経済目標は難関を避けられなくなる」

 

ソウルの有名男性ヘアカット専門店では、カット代を100円引上げたという。これは、「一波が万波を呼ぶ」の喩え通り、消費者物価全般へ広がってゆくであろう。誰も文句は言えない値上げである。韓国政府の想定外の動きであろう。

 

(3)「所得主導成長政策の核心である最低賃金引き上げが、物価上昇の一因になっているため政策の転換が必要だという指摘がある。国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のタルハン・フェイジオールー課長が今月25日(現地時間)、米国で開かれたセミナーに参加して『韓国の最低賃金引き上げスピードがとても速い』とし、最低賃金引き上げに伴うインフレーション(物価上昇)の可能性を指摘したのもこのような脈絡だ」

 

文氏が、「最賃引上」について打算で動いているとは思えない。彼の風貌から受ける印象は、「真面目人間」である。その文氏が、最賃の大幅引き上げが国民のためになると信じ込んでしまった。この「妄信」をどのようにして解くのか。文氏の師匠である牧師先生にお願いするほかない。