a1150_000852_m



韓国経済は、世界でも例のない大幅な最低賃金引き上げで、文政権に首を締められている。最低賃金引き上げは、社会の底辺で働いている人たちの経済的待遇を改善して、経済全体を好循環の軌道に乗せる。こういう目的のはずだが、韓国では2年間に約30%も大幅に引き上げる破天荒なことを始めた。これが仇になって、韓国経済は循環軌道から脱線して破綻するだろう。

 

2年間で、約30%の最賃引き上げと言っても、ピント来ないかも知れない。そこで、その計算式をお見せしたい。100×1.164×1.109=129.08になる。1.164は今年の最賃引き上げ率(16.4%)。1.109は来年の最賃引き上げ率(10.9%)である。昨年の最賃水準を100とすれば、来年の引上げ後の最賃水準は129になる。よって、2年間で約30%の賃上げになるのだ。

 

こういう、生々しい数字を見て余りにも大幅だという野党の政治家がいた。「いた」と過去形にしたのは、つい先日、痛ましくも自死を遂げたからだ。その人の名前は、国会議員であった故魯会燦(ノ・フェチャン)前正義党代表である。不覚にも、身元の分らない政治献金を受け取ったことに責任を感じ、自ら死を選ぶ悲劇的結果になった。魯氏は死去する3日前にワシントン特派員らと会った席で、後掲のような自戒を込めた発言をしていた。

 

『中央日報』(7月30日付)は、「文在寅政権、もう大げさな旗幟はたたもう」と題するコラムを掲載した。

 

(1)「最低賃金を短期間に1万ウォンに引き上げるという文在寅(ムン・ジェイン、2020年まで)、安哲秀(アン・チョルス)、劉承ミン(ユ・スンミン、2022年)だけでなく正義党(2019年)の公約は、実現不可能なポピュリズムであると告白した。韓国の自営業者の比率は経済活動人口の28%で米国の4倍にのぼる。自営業問題は、カード手数料を1%台に下げたり、商店賃貸借保護法を改正したところで解決しない。最低賃金の大幅引上げにある」

 

各党は、国民の支持をえたいばかりに、実現不可能な公約を掲げたことが明らかにされている。ここまで、韓国政治の舞台裏が明らかになると、これに熱狂した韓国国民が哀れに思えるのだ。自ら選んだ大統領の手によって、自らの生活基盤を破壊されたからである。かつて、ヒトラーに熱狂して選んだドイツ国民が、塗炭の苦しみを味わったことと同じ図式に見えるのだ。口当たりの良いポピュリズムの恐ろしさがここにある。

 

正義党とは、2012年10月に結成された進歩正義党(略称: 正義党)を前身とし、2013年7月の党大会で現在の党名となった国会議員は6名である。韓国型社会主義の実現を目指しているという。

 

(2)「現在、自営業者と零細企業・中小企業人は2年間で最低賃金が30%近く上がったことで悲鳴をあげている。青年はコンビニエンスストアのバイトも見つけるのが難しくなった。経済の毛細血管が詰まり、支持率は急落している。文大統領との27日の光化門(クァンファムン)ビヤホール対話でも『業種別・地域別に速度調節をする必要がある』という意見が出てきた。まさに正しい言葉だ。魯会燦式にまずは現場の声を聞いていれば当然反映されたはずであり、今のような混乱はなかっただろう。広がる所得の差を減らすということには賛成する。しかし最低賃金1万ウォン自体が目標ではないはずだ。にもかかわらず短期間に1万ウォンに引き上げれば、自営業者・零細業者・アルバイトの生計が脅かされるという声にこの政府の誰も耳を傾けなかった。これでも『人が優先だ』と話す資格があるのだろうか」

 

今年の最賃16.4%引き上げですら、コンビニ店主はアルバイトの雇用を打ち切っている。家族で細々と経営するスタイルに切り替えたのだ。この煽りを受けて、青年が新規にコンビでのアルバイト口すら探すことが困難になっている。魯氏の方式に従えば、先ず現場の状況把握をすることだ。文在寅政権は、「理念先行」で現場の動きを把握せずに、大号令を発してしまった。今や、二進も三進も行かず、新たな「悪者探し」をして、そこへ責任を転嫁させる雰囲気だ。カード会社の手数料が高い。店舗の賃貸料が高い。これらの外部条件に責任を被せようとしているが、最大の問題は最賃を急激に上げすぎたことだ。


韓国は、自営業が底辺を支えている経済である。その自営業が最賃の急激な引き上げで、直撃弾を浴びた形になった。来年も二桁引き上げである。自営業者の悲鳴は、韓国経済の凋落につながる。