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今年の夏は、地球上いたるところで猛暑が通り相場になった。中国も御多分に漏れず暑さに参っている。クーラ-全開だが、電力需要が急増して、電力危機が叫ばれ始めているという。

 

今年の冬は豪雪で、石炭運搬の貨物列車が動かず、寒い冬を経験させられた。今度は夏の電力危機。中国国民の嘆きが聞えてきそうである。SNSで政府批判を書き込むと、すぐに公安から呼び出しが来て、汗を絞られること必定。文句も言わず、ひたすら天を仰ぐ生活を余儀なくされそうだ。これに引き比べ、日本の夏の方がよほど涼しいかも。日本へ旅行で来ませんか。

 

『ブルームバーグ』(7月30日付)は、「猛暑中国、迫る電力危機、消費伸び7年ぶり高水準予測、送電能力不足」と題する記事を掲載した。

 

(1)「世界最大の発電能力を誇る中国が今夏、電力不足に陥る可能性が高まっている。気温の急上昇を背景に消費電力の伸びは7年ぶりの高水準が予測され、現状の送電能力では十分な供給ができなくなるとみられている」

 

国家が、計画経済で全てをコントロールしていると、こういう事態が起こることを証明した。中国の「一元管理」という言葉には、何か無駄を省くようなイメージがある。だが、政府が需要予測を間違えると、14億の国民が大変な迷惑を被るのだ。計画経済は、貧しい時代にその能力を発揮するが、需要多様化の時代には対応不可能になる。政府が賢明という前提はウソなのだ。市場に任せれば、価格が誘因になって未来の需給も均衡する役割を果たす。先進国に電力不足が起こらず、中国は今年の冬と夏の二回、エネルギー不足に陥っている。「政府が賢明でない」証拠だ。

 

(2)「中国では、習近平国家主席の大気汚染対策により石炭生産量を増やす取り組みが阻害され、天然ガスの供給量が拡大。不確実な再生可能エネルギーへの依存が増す一方、経済成長の持続で需要は伸びている。国家発展改革委員会(NDRC)のヤン・ペンチェン氏は、『夏になってエアコンや冷蔵庫の電力需要が増え、日々の発電量は急速に増加している。既に昨夏の最高水準近くにある電力負荷が大幅に増え続け、ピーク時には一部地域で電力不足が生じかねない』と指摘する」

中国政府は、電力不足の責任を天候になすりつけている。最初から、電力供給力に余裕を持たせるのが原則だ。電力の「融通制度」も欠かせない。広い国土に高速鉄道を敷設してGDP押上げを狙っているが、それよりも大事なのは「送電」と「蓄電」であろう。この両方が整っていれば、電力需要急増で電力不足に陥るという無様なことを避けられるはずだ。中国は、「発電」には力を入れるが、「送電」と「蓄電」は手薄である。自然エネルギーに力を入れても、「送電」と「蓄電」の能力不足で、折角の「発電」が無駄になっている。これが、「一元管理」という名の無駄製造システムの実態だ。

 

(3)「中国電力企業連合会によると、今年上半期、農業、製造業、サービス業における電力需要はそれぞれ10%、7.6%、約15%伸びた。住宅エネルギー消費は13%増加したという。NDRCのヤン氏によれば、同期の中国の総電力消費量は9.4%増加した。これは、2011年以降で最も高い伸び率だ」

 

電力需要が伸びたことは結構なこと。問題は、この需要予測を間違えた点にある。市場に任せれば、立派に解決してくれるはず。市場システムは、無駄を省く「最適機構」である。

 

(4)「中国は何年も前から世界中のどの国よりもクリーンエネルギーに多くの投資を行ってきた。だが、再生可能エネルギーの発電量は日照量や風速、降雨パターンなどによって変化する。中国人民大学・環境天然資源校のワン・ケ准教授は『再生可能エネルギーによる発電は間欠的であり、それに適した電力貯蔵システムなしでは、電力需要を完全に満たすことはできない』と指摘する」。

 

ここでの指摘は、その通りである。クリーンエネルギーは蓄電機能を高めれば、「地産地消」型になって有効との説も聞く。電力の節電意識を育てる副次効果が期待できるというのだ。