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中国政府は、「台湾」の文字が現れただけで猛反発する神経過敏症に陥っている。それだけに、ベトナムで台湾企業が「中華民国旗」(台湾国旗)の掲揚を始めたことに抗議している。発端は、台湾企業がベトナム市民の「対中抗議デモ」で被害が及ばぬよう、自衛措置で台湾国旗の掲揚を始めたもの。中国外交部は早速、「抗議した」と記者会見で述べている。

 

中国の「台湾」に対する意識は、病的なまでに高まっている。中国進出の外資系企業が、台湾を「国」と表記しただけで、「謝罪せよ」「書換えろ」という騒ぎだ。外国航空会社にも台湾表記は、「中国・台湾」と要求して書換えさせている。

 

こういう中で起こったベトナムでの「台湾国旗」の掲揚である。単なる表記の問題を超えた「実力行使」に当る。この間の事情は、次のようなものだ。

 

『大紀元』(7月30日付)は、「ベトナム、台湾企業の国旗掲揚を容認、反中デモ被害の対策で」と題する記事を掲載した。

 

(1)「ベトナム政府がこのほど、現地台湾企業に対して中華民国の国旗『青天白日満地紅旗』の掲揚を容認したことが分かった。台湾メディア『中央社』が7月28日に報じた。ベトナムでは近年、国民の反中感情が高まっている。2014年5月、中国企業が南シナ海で石油を掘削し、これに抗議する大規模なデモが、ベトナム各地で起きた。一部の抗議者が暴徒化し、漢字の看板を掲げる企業を標的に破壊行為を繰り返した。中国企業のほかに、台湾、香港と日本の企業も大きな被害を受けた」

 

ベトナムでは6月上旬、経済特区設置で中国資本の流入と、外国企業による経済特区での99年間土地租借に反発し、ハノイ市やホーチミン市など各地でデモが行われた。ベトナム人には、中国人、韓国人、日本人の区別がしにくいので、韓国系企業や日系企業がデモの被害に遭っている。台湾企業は、中国系企業でないことを表わすべく、「中華民国旗」の掲揚を始めた。

 

(2)「中央社の報道によると、同国に拠点を置く台湾家具メーカー、凱勝家具の羅子文総裁は、ベトナム人が中台企業を区別できるよう、ベトナム政府が同社に対して台湾の国旗の掲揚を容認したと話した。同社の工場は145月反中デモで、暴徒化となった市民の襲撃を受け、約100万ドル(約1億1100万円)の被害が出たという。羅氏によると、これまで台湾の国旗を掲げた場合、ベトナムの警察当局が、中国当局からの圧力で、国旗降ろしを要求してきた。『現在、このようなことは起きていない』という」

 

台湾家具メーカーは、「中華民国旗」と同時に米国国旗を掲げているという。ベトナム・デモ隊は、この二つの国旗を見ればおとなしく引き下がるのだろう。米国国旗の威力は絶大である。

 

この事態を受けて、中国は面白いはずがない。中国外交部は、記者会見で次のような抗議をした。

 

『レコードチャイナ』(7月31日付)は、「中華民国国旗掲揚をベトナムが容認、中国外交部コメント」と題する記事を掲載した。

 

(3)「中国外交部の耿爽(グン・シュアン)報道官は、『台湾は中国の一部』と述べた上で、『中国はいかなる形式の“台湾独立”分裂活動にも断固反対する。ベトナム側にはすでに申し入れを行っており、ベトナムは誤ったやり方を是正するよう関係企業に命じている』と説明した」

 

中国外交部の報道官は、ベトナム側が台湾企業に台湾国旗の掲揚を中止するように命じた、としている。だが、上記の通り台湾企業は掲揚を認められている。ベトナム政府の姿勢が変わったことを示唆している。中国の威力は低下してきたのだろう。