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ラオス政府が、次第に事故の補償問題に触れてきた。表題のように、「人災」であると決めてかかっている。普通の水害という自然災害でない。こういう位置づけだ。このような姿勢に転じてきた背景には、ラオスにとって発電事業が、有力な「輸出産業」である点も無視できない。今後とも電力開発を行なう以上、「一罰百戒」で事故再発を防ぐ意味もあるのか。

 

ラオスの電源開発計画はつぎのようだ。

 

「1990年代前半から次々とダム建設に着手。エネルギー鉱業省などによると現在、国内には53基の水力発電所があり、発電能力は計約7千メガワット。8割は輸出していて、最大の購入国タイには4200メガワット分あまりを輸出。同省によると、将来的には9千メガワット分に増やすと確約しているという。中国やベトナムにも輸出しており、2021年までに全体の発電能力を現在の2倍近い約1万3千メガワットに増強する計画も進行しているという」(『朝日新聞』8月2日付)

 

以上のような事情を考えると、ラオス政府の特別補償請求という意味合いが理解できる。ただ、原因究明はしっかりやらないと事故は再び起こる。

 

『中央日報』(8月2日付)は、「ラオス政府、ダム決壊は欠陥工事による人災、特別補償を 韓国建設企業に向けて?」と題する記事を掲載した。

 

(1)「日刊『ビエンチャンタイムズ』(8月2日付)報道によると、ラオスのソーンサイ・シーパンドン副首相は、最近開かれた補助ダム事故処理のための特別委員会会議で『洪水はダムに生じた亀裂のために起きた』と主張した。そして被害者への補償も一般的な自然災害の場合とは異なるべきだと強調した。この会議に出席した主務省庁の高官も同じ立場を明らかにした。エネルギー鉱山省のダオボン・ポンケオ局長は新聞のインタビューで『我々には災難の被害者に対する補償規定があるが、この規定は今回の事故に適用されない』とし、『今回の事故は自然災害ではないため』と主張した」

 

決壊したのは、補助ダムである。現場写真を見ると、土を固めて堤防をつくっている。「アースフィルダム」と呼ばれているらしいが、私は今までコンクリートダムを想定していた。「土のダム」となれば、SK建設が主張するように大量の降雨があったという事情も考慮する必要があるように思える。ここは、土木工学の立場から「土のダム」と降雨量との関係を取り上げるべきテーマでなかろうか。

 

(2)「こうした立場は、エネルギー鉱山相の主張とも一致する。カムマニ・インティラスエネルギー鉱山相は7月26日、現地メディアのインタビューで『規格に満たない工事と予想以上の豪雨が原因であるようだ。補助ダムに亀裂が入り、この隙間から水が漏れてダムを決壊させるほど大きい穴が生じたとみる』と欠陥工事疑惑を提起した。しかし施工を担当したSK建設はダムの事故が発生する前の10日間に1000ミリ以上の雨が降っただけに豪雨による『天災地変』とみている。村と農耕地の浸水による物的被害規模は算定するのが難しい状況だ」

 

ラオス政府とSK建設が直接、話合っていてもラチがあかないであろう。ダムに関する国際的な研究機関のようなものはないのか。第三者機関による判定が最も必要に思われる。