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インターネット金融の「P2P」(ピア・ツー・ピア)が、中国で大混乱状態にある。金融業者が破産、持ち逃げという事態に陥っているからだ。

 

この問題は、すでにブログでも取り上げたが、高利に目がくらんだ投資家が騙されたもの。「ネズミ講」組織が、この「P2P」に利用されている。資金を集めても融資せず、高利配当をエサに新たな投資家から資金を吸い取る「悪魔」の金融ビジネスである。中には、真面目に事業を展開している業者もいるが、営業中の金融業者数よりも倒産業者数が多いという異常業界だ。

 

倒産会社数は、2018年に入り約330社に達し、債務不履行額は少なくとも300億元(約4900億円)に達するというように、被害額が増えている。被害者は、政府に抗議して救済を求めているが、陳情活動は阻止されている。

 

『大紀元』(8月8日付)は、「金融業者相次ぐ破綻、投資家が北京で陳情を計画、当局に阻まれる」と題する記事を掲載した。

 

(1)「8月6日、巨額な被害を受けた投資家は北京の中央政府に対して陳情活動を計画したが、当局に阻止された。米ラジオ・フリーアジア(RFA)が6日報道した。報道によると、中国全国各地の数千人のP2P金融投資家はソーシャルメディアを通じて、北京にある金融当局の前での陳情活動に参加しようとした。中国インターネット上に投稿された動画によると、一部の投資家は外出中、警官に身柄拘束されたほか、上海の投資家は在宅中に、無理やり自宅に押し入ってきた警官に、北京に行かないよう恫喝(どうかつ)された」

 

陳情活動に参加しようとした被害者が、外出中に警官に身柄拘束されたり、自宅に訪ねてきて恫喝されるなど、日本では考えられないことが起こっている。この程度の国が、世界覇権を狙うというのだから呆れる。

 

(2)「フランス通信(AFP)の報道によれば、投資家らは6日に、北京市内の月壇公園に集合した後、同区にある中国銀行保険監督管理委員会(銀監会)まで進行し、銀監会の庁舎前で陳情しようとした。事前に情報を入手した警察当局は、各地で警戒態勢を強化した。銀監会から釣魚台国賓館まで距離3キロの道路上では、陳情者を地元に送還するために、120台のバスが待機していた。北京市警察当局はまた、一部の陳情者の身柄を拘束した」

 

中央政府に陳情することが、こうして阻止されている。いったい、国民の不満はどこが聞いてくれるのか。政府は、口を開けば「法治国家」と言うが、実態は権力国家である。不都合なことには、耳をふさいでいる。

 

(3)「中国では2007年以降、P2P金融会社が各地で現れ、12年に急速に発展し、15年には業者数は4000社を上回った。投資家の人数も数十万人から300万人に急増したという。現在、P2P金融の利用者は5000万人いるとみられる。カナダ在住の時事評論家の文昭氏はRFAに対して、事実上『高利貸し』であるP2P金融の急速な拡大の背景には、当局の厳しい規制で、国民には十分な資産運用ツールがない現状があるとの見方を示した」

 

中国で、「P2P」という高利貸しビジネスが異常に拡大した理由は、政府の資本規制にある。3兆ドルの外貨準備高を維持しなければ、国家の体面が維持できないという「メンツ論」が、外貨流出を抑える資本規制策を生んだ。国家のメンツとは何か。海外から中国の存在に一目置いて貰いたい。最高指導者の非合理的な欲望=メンツの維持のために、行き場を失った国内貯蓄が非正規の「P2P」という「あだ花」を生んだ。習氏は罪な男だ。