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習近平氏が音頭をとって始めた「一帯一路」」計画は、発展途上国でのインフラ投資が主体である。中国は、工事を順調に進めるべく例の「札束外交」を展開する。中国にとって賄賂は日常茶飯事。これが、相手国に腐敗をもたらしており、露メディアが異例の批判を行なった。もともと、中央アジアはロシアの裏庭である。そこへ札束を抱えて乗り込み、相手を抱き込んで工事を始めている。ロシアには面白いはずがない。

 

『大紀元』(8月9日付)は、「中央アジアで腐敗を増長 露メディア 一帯一路を異例の批判」と題する記事を掲載した。

 

中央アジア諸国は、中国政府が世界の広範囲で実施するインフラ整備計画「一帯一路」構想の重要地域となっている。しかし、関係国の経済規模にそぐわない大型プロジェクトや、現地政府の腐敗と汚職を招くといった報道は増加している。意外なことに、ロシアメディアからも批判が出た。

 

(1)「ロシア主要紙『インディペンデント』は最近、中央アジアにおける一帯一路プロジェクトを批判する長文記事を発表した。記事によると、中央アジア諸国では、一帯一路プロジェクトが広がるにつれ、中国からの投資が増え、国のキャッシュフローも改善されているが、相対的に反中感情が高まっているという。各地での反中デモが増加していると報じた」

 

中国は、強引な工事を行なうほか、地元の業者を使わず、中国企業が請け負うという「丸儲け」主議を貫いている。

 

(2)「中国共産党政権による中央アジアへの支配的な態度は、キルギスタンとカザフスタンのみならず、中央アジア全体に広がっている。この記事は、カザフスタンの社会調査の報告を引用している。2007年、カザフ社会で中国人が『嫌い』と回答した者は18%、2012年には33%に上昇し、2017年には46%と半数に達する勢いだ。また、わずか10年という短期間で、反中感情が中央アジアに広がり、社会全体に浸透する一世論となっているという」

 

中国人が通った跡は、ぺんぺん草も生えないほど、中国は徹底的な収奪を行なう。古代の王政時代と同じ感覚である。帝国主義が、DNAとなっている国家だ。

 

(3)「この現代シルクロード構想『一帯一路』は、インフラ関係国の経済状況に見合わない融資を高利で組み、資本や労働者さえも中国から注ぎ込み、中国式にプロジェクトを進行させているとして、評判が低下している。英語圏主要紙は『中国の債務トラップ外交』などと批判記事を展開してきた」

 

世界メディアで批判されている「一帯一路」計画は、いずれ頓挫の運命であろう。中国の資金事情悪化は目前である。中国は、延びきった戦線を維持できる金融力があるだろうか。白黒がつく時期は早いと見られる。

 

(4)「『債務トラップ』の犠牲となる国は、キルギスもその1つ。中国の過剰負債により、国家の主権を脅かしかねない事態となっているにもかかわらず、2018年6月に山東省青島で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議で、訪中したキルギス大統領は、新たな大規模な援助と融資を受けることを発表した。専門家は、中国の中央アジアにおける影響力の拡大は、ロシアの地域的利益を真剣に脅やかすと考えている。しかし、中央アジアの反中国感情とロシアとが具体的な関係を持っているかどうかは不明だ」

 

キルギスが、「債務トラップ」の犠牲国になりそうだという。この裏には、巨額の賄賂が動いているであろう。過去の例では、賄賂漬けが発覚している。いずれ、中央アジアで中国とロシアは、対立するリスクが膨らみつつある。