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文氏は、大統領就任15ヶ月で支持率が初めて60%を割った。それだけに、危機感も強いようだ。これまで、支持母体の労組と市民団体のロボットであり、「反企業」「規制強化」一本槍できた。それが失業者を増やすという展開になり、支持母体を敵に回しても、「国民本位」の政治を行なうという。

 

文在寅大統領の支持率が60%割れとなった。8月9日、世論調査機関リアルメーターが、アンケート調査の結果、文大統領に対する肯定的な評価は先週より5.2%ポイント下落した58.0%となった。否定的な評価は5.4%ポイント上がった35.8%だった。リアルメーターの集計で肯定的評価が60%割れとなったのは文大統領就任以降初めて。『中央日報』(8月9日付)が伝えた。

 

58%の支持率でも「お化け」数字である。韓国国民も「経済無能大統領」に業を煮やして、「×」を付ける人が増えているのだ。本当に、これまで経済政策ではマイナスのことばかり行なう希有の大統領となっていた。

 

『朝鮮日報』(8月9日付)は、「支持層と衝突の文大統領、規制改革で正面突破」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅大統領が市民団体・労働団体・与党強硬派らの反対を押し切って、インターネット専門銀行に対する『銀産分離(産業資本の銀行の持ち株所有を制限する制度)緩和』などの規制改革を予定通り推進するとの意向を明らかにした。文在寅大統領が支持層である進歩陣営の要求に逆らって主要政策を推進するのは、大統領就任後、事実上初めてと見られている。大統領府は、規制改革対象を医療機器・インターネット銀行だけでなく、ビッグデータ活用のための個人情報保護分野やドローン、自動運転車などにまで拡大するという。厳しい経済状況を解決するため、陣営の論理よりも現実的な選択肢を探る考えと見られる」

 

韓国政府は、規制改革対象を医療機器・インターネット銀行、ビッグデータ活用のための個人情報保護分野、ドローン、自動運転車などにまで拡大するという。これが実現すれば、韓国もようやく「普通の国」になる。それにしても、よくぞここまで放っておいたものと感心する。今からでは遅すぎるが、やらないよりはまし、という程度であろう。

 

(2)「大統領府関係者は、『インターネット専門銀行活性化は、既に寡占化されている金融産業にとって刺激になるだろう。何かの原則や主義に接近してはならない』と述べた。これまで所得主導の成長などをめぐり意見を述べてきた金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相兼企画財政部長官と張夏成(チャン・ハソン)大統領府政策室長も規制改革には同じ意見だと言われている。市民団体の参加連帯や全国民主労働組合総連盟(民主労総)などは『規制緩和は財閥寄りの政策』主張している」

 

韓国の遅れた産業の筆頭に銀行があげられてきた。規制が厳しく、「手数料ビジネス」はできなかった。それ故、銀行の収益率は低く、リスクを伴う成長性の望める分野へ融資できなかった。「インターネット専門銀行」へ革新IT企業が資本と技術投資を拡大できるようにするもの。中国では、「P2P」のインターネット金融が倒産続出で大きな社会問題になっている。韓国では、逆に手足を縛りすぎて寡占化が進むという逆の状態だ。IT企業が参入すれば、庶民が割高な金利に苦しむことから開放される可能性も出てくるだろう。

 

市民団体と労組の反対論の根拠は、「規制緩和は財閥寄りの政策」と紋切り型の発言である。この「石頭」を柔らかくする薬はないだろうか。彼らの意識では、「財閥は悪」なのだ。