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米国は、中国に対して一段と強硬姿勢を見せている。米政府の外国投資委員会(CIFUS)はこのほど、中国複合大手の海航集団(HNAグループ)のニューヨーク市にあるビル所有権を調査した。

 

米政府機関が唐突に、NY市のトランプタワーの周辺にある中国の民間企業所有ビルの所有権調査を始めた意図は、中国政府のスパイ行為を警戒し始めたことが原因であろう。憶測の域を出ないが、中国人所有ビルがトランプタワーの周辺にあれば、いかなるスパイ行為でも自由に行えるはずだ。

 

『大紀元』(8月11日付)は、「米当局、トランプタワー近くの中国HNA所有ビルを調査」と題する記事を掲載した。

 

(1)「HNAが所有する21階の同ビルは、同市マンハッタン3番街850号に位置する。HNAが発表した声明によると、CIFUSはビル所在地の「特別な事情」で調査を始めた。報道によると、トランプ米大統領の自宅を構えるトランプタワーの周辺1マイル以内にある2つの警察署のうちの1つは、HNAのビル内に入居している。HNA2016年同ビルを購入した際、トランプ大統領はまだ就任していなかった」

 

HNA所有ビルには、警察署が入居しているという。これは、中国が機密情報を得るには絶好の場所である。付近には、トランプ大統領の自宅がある。この立地条件を考えれば、米政府が神経を使うのは致し方あるまい。

 

(2)「米紙『ニューヨークポスト』は8日、トランプ政権はCIFUSを通じて、HNAのビル所有権を取り上げようとする意図があるとの見方を示した。しかし、HNA側は、米政府から強制売却の指示は受けていないと否定した。米の財務長官をトップに据えるCIFUS16の政府機関が参与している。CIFUSは大統領に対して、米国家安全保障を脅かす可能性のある外国投資を批准しないようアドバイスを行う。米『ボイス・オフ・アメリカ』(VOA)は、トランプ米政権が審査中の中国企業による投資だけではなく、すでに実現した中国投資に対しても、今後見直す可能性が高まったと分析した」

 

米政府の外国投資委員会(CIFUS)は、米国家安全保障を脅かす可能性のある外国投資を承認しないようアドバイスする権限がある。このCIFUSが調査に当っていることは、米国の安全保障を損ねる行為への警戒だ。CIFUSはまた、すでに所有権を取得している中国人の物件についても見直す可能性があると報じられている。中国資本の総点検が始まれば事実上、中国資本の米国進出は困難になろう。中国にとっては痛手である。

 

(3)「米政府は今年4月、HNAによる米ヘッジファンド『スカイブリッジ・キャピタル』の買収案を却下した。HNA傘下企業の北京喜樂航科技有限公司による米同業のグローバル・イーグル・エンターテインメントの買収案も承認しなかった。グローバル・イーグル・エンターテインメントは航空機内の音楽・ビデオなどコンテンツを提供する会社である」

 

米政府の中国資本に対する警戒は、すでにHNAによる米ヘッジファンドの買収案を却下(今年4月)で明確になっている。航空機内の音楽・ビデオなどコンテンツを提供する会社の買収案も拒否した。米中貿易戦争の本質が、中国による「米国覇権挑戦」が原因であることは明確だ。中国の「米国打倒戦略」は、緒戦から躓いた形である。