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中国は、交渉団を米国へ送ることで米中貿易戦争解決に向けて一歩を踏み出す姿勢を見せている。この裏には、習国家主席の指示があった。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月18日付)が、次のように伝えた。

 

「中国政府の顧問らは、習主席ができる限り早期の米中関係改善を指示したと明かす。米国との対立がさらに深刻化すれば、経済改革を断行し世界の強国になるとの習主席の計画に狂いが生じかねないとみられている」

 

習氏が、「徹底抗戦」から後退したのは、中国経済の悪化など不利な条件が出ているためだ。前出のWSJによると、「米国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー委員長は15日の閣議で、『投資家は中国から資金を引き揚げ、米国へとシフトさせている』とし、『中国経済は足元、ひどい状況』にあるとの認識を示した」

 

トランプ政権内では対応を巡り、意見が分かれている。「米財務省とクドロー氏が率いるNECは、市場や米財界寄りで、交渉のたたき台になると考える中国への要求項目も、縮小したものを策定している。だが、関税を管轄する米通商代表部(USTR)は、追加関税を課すことで10月までさらに中国側から譲歩を引き出せるとして、交渉は先延ばししたい立場のようだ」(WSJ)

 

米国が今後、中国に対してどのように対応するか未定であり、米企業の一部では長期化予想で対策を立てている。

 

『ブルームバーグ』(8月18日付)は、「米ウォルマート、化粧品会社に中国外での生産検討要請」と題する記事を掲載した。

 

ウォルマートは化粧品メーカーに対して、中国以外での生産を検討するよう要請している。差し迫るトランプ政権による対中関税の影響を抑制するために、小売り世界最大手が初めて示した意向の一つだ。ブルームバーグが入手したウォルマートの電子メールによれば、同社の購買部門は化粧品供給元の一部へ8月7日付で送った文書の中で、中国外に生産設備を所有しているか、そうでない場合は生産能力を拡大するために投資を検討するかを尋ねている。米政府の追加関税で打撃を受ける可能性がある中国製品のリストには口紅やシャンプーなどが含まれている」

 

ウォルマートは、世界最大の小売業である。この企業が、中国以外での生産を要請したことは、他社の追随を招く可能性が強い。すでに、台湾のIT大手6社が中国以外での生産検討を発表している。中国は、解決の目途が立たなければ不利な状況に追い込まれる。