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中国がいかに大国風を吹かせているか。それを証明する話が、また出てきた。南太平洋の夢の国パラオが、中国との国交を拒否したことを理由に、中国人旅行客の渡航禁止命令を出したのだ。大国中国が、人口2万1000人の小国に対する仕打ちとして、度量を疑われる行動だ。中国がいくら美辞麗句を並べ、近隣諸国と融和に務め、中国式社会主義を目標にすると言い募っても、この「パラオ虐め」を見れば、全てウソであることがわかる。

 

『朝鮮日報』(8月21日付)は、「中国、団体旅行禁止で小国パラオに外交圧力」と題する記事を掲載した。

 

(1)「昨年、『台湾と断交しろ』という中国の要求をきっぱりと拒否したことで注目を集めた太平洋の島国パラオが中国の報復に苦しんでいる。中国がパラオへの団体観光を禁止し、パラオを代表する産業である観光業が枯渇しているからだ」

 

中国は、台湾の外交的孤立を進めている。8月21日、南米のエルサルバドルは台湾と断交し、中国と国交を結んだ。台湾外務省の声明では、エルサルバドルは、台湾に巨額の支援(港湾開発)を求めたが、採算性に問題があるとして断ったところ台湾と断交し、中国と国交を結んだ。明らかに、中国の札束外国の結果だ。

 

パラオは、エルサルバドルのような道を選ばなかった。台湾との信義を守ったのだ。中国は、その報復としてパラオへの旅行禁止措置という仕打ちをしてきたもの。なんとも、えげつないことをやるものだ。こういう事例からみると、台湾断交の切り札は、全て「カネ」であろう。トンガ初め8ヶ国が、中国の「借金漬け」にされ後悔している。中国の甘言に乗ったら国を失う覚悟をすることだ。

 

(2)「パラオの人口2万1000人の約6倍に当たる12万2000人の外国人観光客が押し寄せていた。そのパラオは最近、ホテルの客室やレストランに閑古鳥が鳴き、観光遊覧船が港に停泊したままとなっている。旅行会社の廃業も相次いでいる。観光客の半数近く(5万5000人)を占める中国人観光客が途絶えたからだ。台湾と外交関係を持つ1つであるパラオは昨年、中国に台湾との断交を迫られたが拒否した。中国はパラオを自国民が行くことができない『不法観光地』に指定することで報復した」

 

パラオの1人当たり名目GDPは、1万7096ドル(2017年)、191ヶ国中47位である。中国は同8643ドル(2017年)、75位である。これか見ると、パラオの民度が上、とも言えそうだ。中国の行動は、このGDP尺度に現れている。

 

パラオの大統領は毅然として、中国の圧迫に屈しない姿勢で、次のように語っている。

 

トミー・レメンゲサウ大統領は、ロイターとのインタビューで、観光規制について中国から公式な通知は受けていないと説明。また、集団での観光は環境に被害をもたらしているとし、パラオはより多くを支出する観光客に焦点を合わせることで中国人観光客の減少に適応していると述べた。2017年には、観光名所のひとつだった塩水湖ジェリーフィッシュ・レイク(クラゲ湖)がクラゲの減少から閉鎖されたが、これも大勢の観光客が原因のひとつとされる」(『ロイター』8月21日付)。

 

集団旅行客を迎えるよりも、パラオの自然環境を心から楽しんで貰える質の高い観光客を迎えたいという。世界のエコロジストが集える「最後の楽園」であって欲しい。同時に、自由と民主主義を守った土地として語り継がれることを望みたい。