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米中国交回復時に、米国は「一つの中国論」を認めて米台政府の高官接触を自重することになった。昨秋以来、中国が米国覇権へ挑戦するとの意思を明確にした結果、米国が態度を硬化させている。今年3月に米国は、「一つの中国論」を否定する形で、「台湾旅行法」を発効させた。米台政府の高官が自由な往来を可能にさせる法律である。

 

「台湾旅行法」の具体的成果が今回、台湾保健相と米厚生長官がワシントンで会談することで表面化した。

 

『台湾・中央社』(8月31日付)は、「台湾の保健相、米厚生長官とワシントンで面会 史上初」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米国を訪問していた陳時中・衛生福利部長(保健相)が8月29日、ワシントンの米保健福祉省でアレックス・アザー長官と面会したことが分かった。アザー氏が同日、自身のツイッターで、陳部長との記念写真を添えて明かした。台米の保健相が同省の庁舎内で顔を合わせるのは初めて。衛生福利部国際合作組の許明暉技監は30日、会談の内容については陳部長が帰国後に説明するとしながらも、『世界保健機関(WHO)年次総会への台湾の参加について支援を求めたはず』と述べた。また、台米間で感染症や防災などにおける協力体制の構築にプラスになるとして面会の意義を強調。アザー氏が自発的に情報を発信してくれたことにも感謝した」

会談内容は、中国が神経を使うようなものではない。中国は、WHOの年次総会へ台湾代表が出席することすら、2年連続拒否する「横暴」を重ねている。台湾は来年、是が非でも出席が可能になるよう、米国へ根回しを依頼したのであろう。

 

中国が、台湾のWHO出席を拒否するのは、越権行為である。自らの行政権が及ばない台湾市民の健康問題を無視することで、人道的にも許されることでない。