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日本は、欧米が相手にしない中国の「一帯一路」事業へ、具体的に踏み出すことになった。中国単独では、この「一帯一路」を切り盛りするには、大きな限界にぶつかっていた。資金難と債務漬けにさせて担保を狙うという悪評である。ここへ、資金量は豊富でクリーンなイメージの日本が加われば、中国は日本が「地獄で仏」だ。

 

『日本経済新聞 電子版』(9月4日付)は、「日中、インフラ協力始動、まずタイの高速鉄道」と題する記事を掲載した。

 

(1)「日中両政府による第三国でのインフラ協力が動き始める。9月下旬に北京で官民による委員会の初会合を開く。まずはタイの高速鉄道計画への投資の協力を巡り、協議を始める。日本側は中国とのインフラ受注競争が過熱するのを避け、中国に透明性の高い投資ルールを順守させるのが狙い。中国は海外でのインフラ投資への悪評を薄めたいところで、米中貿易戦争を踏まえた対米けん制の思惑もありそうだ」

 

ともかく、海外における中国の評判は、最低下劣の部類だ。相手国が返済できないのを見越して貸付、挙げ句に担保を取り上げる。私は、「国際高利貸し」と呼んできた。その中国が、日本と共同事業を言いだした裏には相当に困った事情があるはず。日本政府は、騙されないように細心の注意を払うこと。日本のイメージに傷がつくことは御法度だ。

 

金融事情が最大の要因と見る。国際収支構造は急速に悪化している。経常収支の黒字は激減しているのだ。大風呂敷に資金調達のメドがつかなくなってきたに違いない。

 

中国は、世界にばらまいた悪評が、自らの首を締めてきたに違いない。米中貿易戦争では、米国を徹底的に怒らせてしまい、関係修復を日本に依頼しているのだ。この話は絶対に乗ってはいけない。天安門事件後、日本は仲介役になって中国を国際社会に復帰させる役割を果たした。それにも関わらず、猛烈な反日をやって日本を非難誹謗してきた。こういう恩知らずの国には、親切にしても恩を仇で返されるだけ。ビジネスの範囲から出てはいけない。

 

(2)「タイが、国内で進める高速鉄道計画への投資で協力する。タイは主要3空港を結ぶ高速鉄道の建設計画を柱とした『東部経済回廊(EEC)開発構想』を掲げる。投資総額は5兆円超とされる一大事業だ。日中は9月に開く委員会の下に専門の分科会を設け、年末にも実施する国際入札をめざし具体案を詰める」

 

国際入札という公正な方法でも、中国は自らが受注すべく賄賂を贈って工作をするのでないか。ともかく、信用度ゼロの国が中国である。日本は、こういう相手と組む心構えがあるだろうか。日本は、欧米という紳士の国を相手にしているだけに、ころりと騙される懸念はないだろうか。心配の種は尽きない。