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日の出の勢いで進んできた中国の「一帯一路」計画は、各国から条件見直し要求が強まっている。マレーシアに続いてパキスタンも中国と交渉を始める。一帯一路計画に絡んで、中国政府から過剰融資を受けて、「破産する国」が続出しているからだ。強面の中国も、世界世論の厳しさに身をすくめている。あの傲慢な中国が、どこからも支援されない孤独な状況では、「多勢に無勢」で相手国の要求を飲まざるを得ないのだ。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(9月10日付け)は、「パキスタンも一帯一路の条件見直しへ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「パキスタンは、中国の広域経済圏構想『一帯一路』の下で交わした合意の見直しや再交渉を計画している。中国政府が掲げるインフラ投資計画への関与の条件を疑問視する国が、また一つ増えることになる。パキスタンの新政権は一帯一路の投資について見直し、10年前に署名した貿易協定の再交渉に臨むと同国の閣僚や顧問が語っている。貿易協定は中国企業に不当な利益をもたらしているという」

 

パキスタン前政権は、中国と密着したゆえに、不利な条件を飲まされてきた。新政権が、それを暴き出している。なぜ、こういう不利な条件で契約したのか。それは、中国得意の「賄賂攻撃」である。現金を積まれれば、コロリと国を売る政治家多いという証拠だ。それを悪用してきた中国も同罪である。

 

(2)「再検討しているのは、総工費620億ドル(約6兆8700億円)のインフラ事業『中パ経済回廊(CPEC)』の一部。古代のシルクロードに沿ってアジアと欧州を結ぶという一帯一路のなかでも、CPECは群を抜いて規模が大きく最も野心的だ。パキスタン南部グワダル港の大幅な拡張や、道路と鉄道の整備、総工費300億ドルの発電所建設などが含まれている」

 

再検討対象は、総工費620億ドルのインフラ事業『中パ経済回廊(CPEC)』の一部で、一帯一路の中で最も重要な部分という。マレーシアもそうだが、中国にとって重要な箇所の工事を、相手国資金で行なわせるという「えげつなさ」である。中国にとっては、賄賂を握らせても実現したい事業なのだ。「他人の褌で相撲を取る」。これが、中国の寄生虫的な生き方を示している。

 

(3)「新政権の閣僚として商業、繊維産業、工業、投資を担当するアブドゥル・ラザク・ダウード氏は、『前政権はCPECに関して中国とひどい交渉をした。適切に準備せず、適切に交渉しなかったために多くを譲り渡してしまった』と、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)に語った。『中国企業が税優遇など多くの優遇措置を受け、パキスタンで不当な優位に立っている。これは我々が目を向けていることの一つだ。パキスタンの企業が不利になるのは公平ではないからだ』。先週末にイスラマバードを訪問した中国の王毅外相は、中国政府は2006年に結んだパキスタンとの貿易協定について再交渉に応じる構えを示した。『CPECはパキスタンに債務を押し付けているわけではない』と王氏は述べた」

 

新政権の閣僚は、次々と中国の仕掛けたパキスタンへのワナを明らかにしている。この状況では、「親中」が「反中」になりかねない雲行きである。中国という国は、いかに他国を食いものにするか。新植民地主義の国家であることは間違いない。パキスタン新政権は、大いに中国のデタラメぶりを告発すべきだ。